以下に、本発明の実施形態に係る継手部材について説明する。図1は本実施形態に係る継手部材1を示す斜視図、図2は本実施形態に係る継手部材1を示す図であり、(a)は正面図、(b)は部分体20の側面図である。継手部材1は、所謂雌型継手部材であって、雄型継手部材2の係合突出部2aを図1の矢印で示す方向に沿って嵌入させて受容する凹状の受容部10を具える。また継手部材1及び雄型継手部材2には、外側に延在するアンカー70が配設される。また継手部材1は、雄型継手部材2と組み合わされて、例えばコンクリート製のセグメント(被接合体)の接合面と他のセグメントの接合面を当接させた状態で接合するための継手を構成する。ここではアンカー70を異形棒鋼とするが、これは素材や形状を限定するものではなく、勿論、ねじ節鉄筋や丸棒等であっても良い。
なお継手は、図3に示すような地中にトンネルを構築するシールド工法に適用できる。シールド工法においては、工場等で予め製造したセグメント102を周方向に接合してリング104を製作し、このリング104を軸方向に順次接続してトンネル100を構築する。図3では短い直線で記号的に示したセグメントの周方向の継手106に本発明を適用することができる。
以下の説明においては、図1に示すXYZ直交座標系を設定し、この直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係等について説明する。X軸は、係合突出部2aを受容部10に嵌入する方向(嵌入方向という。)に平行となるように設定されている。Y軸は、係合突出部2aと受容部10とが互いに係合する向きに平行となるように設定されている。Z軸は、XY平面に直交する方向に設定されている。また、係合突出部2aが受容部10の嵌入する方向が+X方向及び受容部10から係合突出部2aを抜去する方向が-X方向となるように設定されている。また継手部材1において受容部10側が+Y方向及びアンカー70側が-Y方向となるように設定されている。
継手部材1の受容部10は、図2に示す上側(+Y方向側)の端面一部及び、-X方向の端面が開口した略凹形状を有する。また受容部10は、Z方向に対向配置された一対の案内壁12a、12b、係合凸部14、底部16を含んで構成される。
案内壁12a、12bは、X方向に沿って延び、受容部10に嵌入する係合突出部2aの移動(嵌入)を案内する。係合凸部14は、各案内壁12a、12bの上縁部からZ方向に沿って受容部10の+Y方向の開口を狭めるように突出する。即ち係合凸部14は、互いに先端部間の間隙を狭めるように突出する。従って係合凸部14は、受容部10に嵌入した係合突出部2aと係合し得、雄型継手部材2のY方向及びZ方向の移動を規制する。なお係合凸部14間の間隙は、係合突出部2aがスライド移動する移動経路となり、係合凸部14の先端面は、雄型継手部材2の移動を案内する案内面としても機能する。
底部16は、案内壁12a、12bの間に配置され、受容部10の底面を構成する。即ち底部16は、案内壁12a、12bの-Y方向の端部に連設する。
上記継手部材1は、従来のように一体成型によらず、互いに別体に形成された複数の部分体によって構成する。具体的には図1、2においては、継手部材1を互いに別体の二つの部分体20、22により構成する。部分体20は、図2(a)に示す継手部材1の+Z方向側半分(左半分)を形成する。即ち部分体20は、案内壁12a、+Z方向側の係合凸部14、底部16の+Z方向側半分を有するようにその形状が設定される。一方、部分体22は、図2に示す継手部材1の-Z方向側半分(右半分)を形成する。即ち部分体22は、案内壁12b、-Z方向側の係合凸部14、底部16の-Z方向側半分を有するようにその形状が設定される。
また部分体20、22は、各々結合面24を有し、該結合面24を合わせ面にして互いに結合される。部分体20、22の結合は、ボルト締結により行う。従って部分体20、22には、各々に形成されたZ方向に貫通する貫通孔(不図示)を連通し、連通する貫通穴にボルトを挿通させ、該ボルトにナットを締結することで、部分体20、22を結合させる。なお部分体20、22の結合手段は、ボルト締結に限定するものではなく、カシメやリベット締結であってもよい。また接着、溶着、溶接、嵌合、又はこれらを組み合わせた結合手段を用いてもよい。
図2(b)は、結合面24側からみた部分体20の側面図を示し、図2(b)に示すように、結合面24にはアンカー配設溝26が形成される。アンカー配設溝26は、アンカー70の外形の凹凸に相当する凹凸を含む溝形状を有する。即ち、アンカー70の表面のリブ或いは筋等の突起を嵌合させて係合し得る形状の溝を有する。なお部分体22は、部分体20と同様のアンカー配設溝26を有する。従って部分体20、22を結合させることで、アンカー70は、各々のアンカー配設溝26に嵌まり、部分体20、22によって挟持されて保持される。
また、部分体20、22の結合面24は、平面状に限定するものではなく、凹凸面状であってもよい。ここでの凹凸面としては、例えば鋸刃形状や、凹凸が傾斜面になっている山形形状、凹凸が湾曲面になっている波形形状等、何れの形状であってもよい。
また凹凸面は、ローレット等の微小凹凸又は、互いに嵌合可能な凹凸、粗面状等、何れであってもよい。微小凹凸を採用すれば、結合面24間の摩擦力及び/又は嵌合力が増加するので、締結前の各結合面24がX方向又はY方向に沿って摺動するのを抑止することが出来る。
また嵌合可能な凹凸を採用すれば、締結前の各結合面24がX方向又はY方向に沿って摺動するのを抑止することが出来、更に締結前の部分体20、22同士で凹凸を嵌合させ、位置合わせを容易に行うことが出来る。なお、一方の結合面24に一つ又は複数の凹部を設け、他方の結合面24に一つ又は複数の凸部を設け、凹部に凸部を嵌合させて位置合わせを行ってもよい。
継手部材1を複数の部分体20、22で構成し得るようにしたので、部分体20、22がプレス加工や、鍛造等の塑性加工により製造可能な形状とすれば、各部分体20、22を一体化させるための結合手段を施しても、継手部材1を鋳造等の一体成型により製作するよりも安価に製造することができる。更に各部分体20、22を大量生産可能であるため、継手部材1の大量生産を容易に行うことができる。また、塑性加工によって製造された継手部材1は、鋳造によって製作した場合と比較して強度が向上するので、鋳造で製造された場合の強度を維持しつつ、全体の小型化を図ることができる。また、雌型の継手部材1を複数の部分体20、22で構成した場合を例に説明したが、勿論雄型の継手部材を複数の部分体で構成してもよい。
次に雄型と雌型とを兼ねる雄雌型の継手部材を複数の部分体によって構成する場合について説明する。図4は雄雌型の継手部材30の例を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。継手部材30は、同一の構造を有する他の継手部材と組み合わされて、セグメントの接合面と他のセグメントの接合面を当接させた状態で接合するものである。
継手部材30は、セグメント102の接合面108から図4(a)における下方、即ち-Y方向に突出する突出部32と、セグメント102に埋設される受容部34と、セグメント102に埋設され突出部32と受容部34を接続する接続部36を備えている。
突出部32は、その全体が接合面108から突出する。即ち接合面108が突出部32と接続部36との境界となっている。突出部32は、図4(b)に示すように、YZ平面に平行な平面で切った場合の断面形状におけるZ方向の幅が、上縁32aよりも下縁32bの方が広い台形形状であり、この断面形状はX方向に一定である。
受容部34は、-Y方向側の一端面が露出し、且つ該一端面と接合面108とが面一になるようにセグメント102に埋設される。受容部34は、二つの側壁34a、34bと連設部35を具え、図4(a)の右側(-X方向側)の端面は開口部38となり、開口部38から他の継手部材の突出部が挿入可能となる。側壁34a、34b、連設部35、開口部38、開口部38にX方向に対向する端面40により画定される空間は、開口部38から挿入された他の継手部材の突出部を受容する断面凹状の受容空間となる。
受容空間のYZ平面と平行な平面で切った断面形状は、上縁42aの幅が突出部32の下縁32bの幅と等しく、下縁42bの幅が突出部32の上縁32aの幅と等しい台形形状であり、この断面形状は挿入方向に一定である。また、受容空間のX方向の長さは、突出部32のX方向の長さとほぼ等しい。即ち、受容空間の形状は、他の継手部材の突出部の形状とほぼ同一であり、受容空間は他の継手部材の突出部を完全に収容し得る。なお、受容部34の-Y方向側の一端面は、接合面108と面一でなくてもよい。
受容部34の受容空間に他の継手部材の突出部が挿入された状態で、接合面の面方向に沿った引張力(Y方向に沿ってセグメント102同士を離間させる向きの力)が作用したとき、他の継手部材の突出部は、側壁34a、34bを押し広げる外力を作用させる。即ち、側壁34a、34bは、間隙が連設部35側から-Y方向の開口端側に向かって狭まっているので、他の継手部材の突出部に引張力が作用したとき、該突出部からZ方向の外向きの外力を受ける。
ここで側壁34a、34bは、自身の剛性により開口端が突出部に係合して係合凸部として作用する。更に側壁34a、34bは、受容部34の端面40と連設部35によって支持されると共に、セグメント102により拘束されているので、他の継手部材の突出部を保持する。
ここで、側壁34a、34bは、その強度を向上させるために、肉厚を厚く形成してもよいが、それ以外の方法、例えば側壁34a、34bの外側にリブやフランジ等の補強手段を設けて強度を向上させるようにしてもよい。
接続部36は略直方体状の部材で、セグメント102に埋設されているが、勿論これに限定されるものではない。接続部36の-X方向の端面36aには受容部34が、-Y方向の端面36bには突出部32が接続される。なお、接続部30の形状を、製造を容易にするため略直方体状としたが、突出部32と受容部34を概ね上記のような位置関係で接続し、且つ接合時に他の継手部材の突出部により押圧される際の荷重に耐えることができれば他の形状であってもよい。
雄雌型の継手部材30は複数の部分体により構成される。具体的には、継手部材30を部分体50、52によって構成する。部分体50は、図4(b)に示す継手部材30の左半分(+Z方向側半分)を形成する。即ち部分体50は、側壁34a、連設部35の+Z方向側半分、突出部32の+Z方向側半分、接続部36の+Z方向側半分を有するようにその形状が設定される。一方、部分体52は、図4(b)に示す継手部材30の右半分(-Z方向側半分)を形成する。即ち部分体52は、側壁34b、連設部35の-Z方向側半分、突出部32の-Z方向側半分、接続部36の-Z方向側半分を有するようにその形状が設定される。また部分体50、52は、各々の結合面24を合わせ面にして互いに結合される。
以上説明したように、雄雌型の継手部材30を複数の部分体50、52で構成することができる。雄雌型の継手部材30は、受容部34の受容空間を有するため一体成型以外の方法、例えば鍛造で製造することができないが、受容部34の各部を分けるように部分体50、52の形状を設定し、各部分体50、52を鍛造可能な形状にすることができる。従って部分体50、52を鍛造やプレス加工等の塑性加工で製造すれば、継手部材30を安価に大量生産することができる。また塑性加工で製造した部分体50、52で継手部材30を製造するので、鋳造したものと比較して強度を向上させることができる。そのため鋳造したものと同じ強度を維持して継手部材30を小型化することが可能となり、更に小型化による製造コストの減少を図ることができる。
次に他の例の雄雌型の継手部材について説明する。勿論、以下に記載の継手部材は、複数の部分体によって製造可能であることは言うまでもない。図5は継手部材30の突出部32と、受容部34の受容空間の断面形状とが台形形状以外の形状とした例である。具体的には突出部32は、YZ平面に平行な面の断面形状において、Z方向の幅を広げる段差部60aを含む突出部側係合部60を有する。段差部60aは、突出部32のZ方向の両端部に形成される。
また受容部34は、受容空間のYZ平面に平行な面の断面形状において、Z方向に開口を狭める段差部62aを含む係合凸部62を有する。係合凸部62は、受容部34の内面のZ方向両側に形成される。
従って突出部側係合部60は、突出部32が他の継手部材の受容部に嵌入したとき、段差部60aが他の継手部材の受容部の段差部に、その面方向に当接し、結果、他の継手部材の係合凸部と嵌入方向に直交する方向に係合し得る。
また係合凸部62は、受容部34に他の継手部材の突出部が挿入されたとき、段差部62aが他の継手部材の突出部の段差部に、その面方向に当接し、結果、他の継手部材の突出部側係合部と嵌入方向に直交する方向に係合し得る。
従って、継手部材30と他の継手部材は、係合した状態からY方向に外れるのを防止することができる。なお受容部34の受容空間の断面形状は、他の継手部材の突出部に係合し、Y方向の移動を抑止できれば、上述した形状とは異なる形状であってもよい。
次に、図6を参照して雄雌型の継手部材30を用いた部材の接合方法について説明する。図6では、既設のセグメント102aに対してセグメント102bを接合することを想定している。セグメント102aには、継手部材30に相当する継手部材30aが固定される。またセグメント102bには、継手部材30に相当する継手部材30bが固定される。継手部材30aの突出部32aは、接合面108aから突出し、継手部材30bの突出部32bは、接合面108bから突出する。
また、セグメント102aの受容部34aに隣接する位置には、継手部材30bの突出部32bを受容部34aに進入させるための空間110aが形成される。即ち空間110aは、受容部34aの受容空間に連続する位置に形成され、接合面108a側を開放することで、突出部32bを挿脱可能とする形状を有する。同様にセグメント102bの受容部34bに隣接する位置には、突出部32aを受容部34aに進入させるための空間110bが形成される。即ち空間110bは、受容部34bの受容空間に連続する位置に形成され、接合面108b側を開放することで、突出部32aを挿脱可能とする形状を有する。
まず、セグメント102bを、接合面108bと接合面108aとを対向させ、図6(A)に示すように、突出部32bと空間110aとを対向するようにセグメント102a近傍に配置する。
次にセグメント102bを図6(A)の矢印Aで示すセグメント102aの方向に移動させる。セグメント102bは、セグメント102aに対して、図6(B)に示すように接合面108bが接合面108aに当接する。また突出部32aが空間110bに、突出部32bは空間110aにそれぞれ進入する。
接合面108aと接合面108bを当接させた状態で、セグメント102bを図6(B)の矢印Bの方向に移動させることで、図6(C)に示すように突出部32bが受容部34aに、突出部32aが受容部34bにそれぞれ収容される。前述のように受容部34a(34b)は、突出部32b(32a)に係合するので、接合面108a、108bの面方向に沿ってセグメント102a、102b同士の離間を防止するように機能する。従って継手部材30aは他の継手部材30bと組み合わされて継手106を構成する。
継手部材30によれば、受容部34は他の継手部材の突出部を挿入可能な開口部38と、挿入された他の継手部材の突出部を収容し、接合面の面方向に沿った方向に抜け出さないように保持する。そのため、二つのセグメントの接合面を当接させて二つのセグメントを相対的に接合面に平行に移動させるだけで容易に接合することができる。
雄雌型の継手部材の他の例について説明する。図7は他の雄雌型の継手部材を示す図であり、(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は平面図である。継手部材40は、突出部、受容部、接続部を備え、他の継手部材と組み合わされて継手を構成する点では継手部材30と同様であるが、各部の形状が異なっている。
継手部材40は、セグメント102の接合面108から突出する突出部42と、セグメント102に埋設される受容部44と、セグメント102に埋設され突出部42と受容部44を接続する接続部46とを具える。
突出部42は、その全体がセグメント102の接合面108から突出する。即ち接合面108が突出部42と接続部46との境界となる。図7(A)、(B)に示すように、突出部42の断面形状は、背面側の端面42aにおいては接合面側の幅をb1、接合面に対向する側の幅をb2とするとき、これらの大小関係が次の不等式(1)を満たす台形である。
b2>b1 不等式(1)
また突出部42の断面形状は、正面側の端面42bにおいては接合面側の幅をb3、接合面に対向する側の幅をb4とするとき、これらの大小関係が次の不等式(2)を満たす台形となっている。
b4>b3 不等式(2)
また、各幅の大小関係は、b1<b3、b2<b4となっている。即ち、突出部42の立体的な形状は、幅(Z方向に沿った長さ)が+Y方向に沿って漸次減少すると共に、+X方向にも漸次減少する楔形状を成す。
受容部44は、-Y方向側の一端面が露出し、且つ該一端面と接合面108とが面一になるようにセグメント102に埋設される。受容部44は、二つの側壁44a、44bと連設部45を備え、正面側(-X方向側)の端面が開口部48となり、開口部48から他の継手部材の突出部が挿入可能となる。
側壁44a、44b、連設部45、開口部48、開口部48にX方向に対向する端面43により画定される空間は、開口部48から挿入された他の継手部材の突出部を受容する断面凹状の受容空間となる。
受容部44の受容空間の形状は、他の継手部材の突出部の形状と略同一であるが僅かに受容空間の方が、+X方向に深く、端面43の幅が突出部42の端面の幅より狭くなっている。これにより受容部44の受容空間には、他の継手部材の突出部が完全に収容される。
接続部46は、-X方向側の端面には受容部44が接続され、-Y方向側の端面には突出部42が接続される。突出部42の端面42bと受容部44の端面43の位置は、接続部46の-X方向側の端面56と略一致するように設定される。
図8は雄雌型の継手部材の他の例を示す図であって、同一の形状を有する二つの継手部材4を組み合わせた状態を示している。継手部材4は、上記の継手部材30と同一形状の本体4aを備える。本体4aの受容部の連設部の外側の端面4bと、該端面4bと略面一である接続部の端面4cには、それぞれ、アンカー70が固定される。アンカー70として、例えば、直線状、或いはU字形、L字形等の適宜の形状の異形鉄筋等を用いる。
アンカー70は、本体4aのセグメントに対する相対位置を維持し得るように径と長さが設定される。即ちアンカー70の長さや径は、本体4aがセグメントから分離しないように、想定される軸方向の荷重に耐え得るように設定される。アンカー70の固定は、溶接の他、アンカー70の端部に雄ねじ、更に本体4aに雌ねじ孔を設けて両部材を螺合することにより行っても良い。
また、アンカー70を具える雄雌型の継手部材の他の例としては、図9に示す外周補強部材71を本体4aの外周に設けてもよい。外周補強部材71は、略U字形若しくは馬蹄形を成す板状部材であって、本体4aの外周において嵌入方向に間隔を存して二枚配設される。
また、外周補強部材71は、馬蹄形を成す構造の本体4aの外面に対して法線方向に凸設するように配設され、本体4aと一体的に形成しても良く、別体として溶接や接着、嵌合によって設けても良い。
なお、外周補強部71の凸設高さや幅や形状は、特に限定されるものではなく、要求水準に合わせて本体4aを十分に補強出来るものであればよい。図9では外周補強部材71の配設位置は、アンカー70と一致しているが、必ずしも一致しなくても良く、枚数も一枚又は三枚以上としても良い。また、アンカー70を具えていない継手部材に、外周補強部材71を配設しても良い。外周部補強部材71を設けたことで、受容部の側壁が外側に開くように変形することを防止し、セグメント同士を離間させる方向に沿った継手の引張強度を向上させることができる。
また、図10に示すように、継手部材4は、セグメントの接合面に略平行な板状であって、本体4aの接合面側の端面に配置した接合面補強部材72を具えることで、剛性を向上させるようにしてもよい。
図11は、他の雄雌型の継手部材80を示す斜視図である。継手部材80は、被接合体が型枠に流動性材料(例えばコンクリート、合成樹脂)を注入し硬化させて作成される場合に適した継手部材である。図12は型枠120に配置した継手部材80の平面図である。図11、12では被接合部材122の接合面124が上面となるように型枠120を作成した場合を想定している。
被接合部材122の継手部材80は、受容部80e内に流動性材料が流入するのを防止するための流入防止部材90を備える。流入防止部材90は、収容部80eと接合時に必要な空間82の外周に沿った防止部材側壁91と、防止部材側壁91の下端に接続された防止部材底板92を備えている。防止部材側壁91の上端には、必須ではないが、ループ状の把持部93が設けられている。防止部材側壁91の上端は、接合面(打設面)から少し突出するようにしている。
図11、12に示すように、受容部80eの内面に防止部材側壁91と底面92が当接するように、流入防止部材90を設置し、流動性材料を型枠120に注入する。流動性材料は流入防止部材90に阻まれて空間82及び受容部80eに流入不可である。流動性材料が硬化した後、把持部93を図11の上方に引き上げ流入防止部材90を除去すると空間82と受容部80eが形成される。この除去がスムーズに行えるように、防止部材側壁91と防止部材底板92は流動性材料と付着しにくい材料で形成するのが好ましい。
把持部93は、流動性材料の硬化後に流入防止部材90を除去しやすい形状であれば、図示のものと形状が異なっていても良く、取付位置も図示のものと異なっていても良い。また、把持部93を省略することもできる。
流入防止部材90は、図11、12に示すような上部が開口した箱状の部材とするほか、受容部80e及び空間82の形状に対応したブロック状の部材とすることもできる。その場合、材料は例えば発泡スチロールを用いることができる。この場合も、把持部を設けても良い。
なお、雄雌型の継手部材同士を係合させるための形状は、図5に示す突出部側係合部と係合凸部との形状に限定するものではない。例えば突出部側係合部と係合凸部の各段差部が、嵌入方向に沿って傾斜してもよい。具体的には図13に示す突出部側係合部60の段差部60aは、嵌入方向に沿って+Y方向、即ち接続部36から離れる方向に傾斜する。また突出部側係合部60は、段差部60aの幅の長さ(Z方向の長さ)が嵌入方向に沿って漸次大きくなるように形成される。
係合凸部62の段差部62aは、段差部60aと略平行な傾斜を有するように形成される。また係合凸部62は、係合凸部62同士の間隙が嵌入方向に沿って狭まるように、その幅が漸次大きくなるように形成される。このようにすれば、突出部側係合部60と係合凸部62の一方の段差部の縁部を他方の段差部の縁部に確実に当接させて三次元的な位置決めを可能とし、嵌入方向に直交する方向の荷重に対する剛性を向上させることができるという効果が得られる。
なお段差部60a、62aの角部分は、例えば、直方体状、三角形状、或いは円弧状(勿論、これらの形状に限定されることはなく、他の多角形状や不定形な形状でも良い)の凹部及び/又は凸部を有してもよい。また段差部60a、62aは、端面のZ方向の縁部が連設部側に向くように傾斜してもよい。このようにしても継手の引張力に対する剛性を向上させることができる。また突出部側係合部と係合凸部は、段差部を二つ具えるものに限定するものではなく、一つ又は三つ以上具えてもよく、また設置位置が互いに対向する位置であっても、対向しない位置であってもよい。
また、段差部は、一段に限定するものではなく、図14に示すように多段状であってもよい。このように多段にすることで、受容部34に他の継手部材の突出部32が嵌入された際に、各々の段差部60a、62aが係合するため、継手に引張力が作用した際に応力を分散することができ、突出部32及び受容部34をよりコンパクトな大きさに設定することができる。また複数の段差部は、各々が同一の形状及び/又は相似形状であってもよく、また一部又は全てを異ならせた形状であってもよい。勿論この場合においても、対応する段差部60a、62a同士は、係合可能な形状とする。
図15はアンカーを配設可能な雄雌型の継手部材140を示す斜視図、図16はアンカーを配設可能な雄雌型の継手部材140を示す正面図である。継手部材140は、略直方体状の受容体142と、該受容体142の+Y方向端面に配設された突出部144を有する。受容体142は、他の継手部材の突出部を受容する受容開口部146、アンカーを配設するためのアンカー配設部148を具える。また受容体142のZ方向の壁面には、Z方向に穿孔された複数のボルト挿通孔150が形成される。
突出部144は、例えば受容体142と一体的に成形され、+Y方向に突出する形状を有する。また突出部144は、基端部よりも先端部が幅広に、即ちZ方向に広くなるように段差部152を含む突出部側係合部154を有する。また突出部144は、段差部152と基端との間で延伸し、受容体142に連結する連結部155を有する。また突出部144にもZ方向に穿孔されたボルト挿通孔150が形成され、ここでは突出部側係合部154にボルト挿通孔150が形成される。
受容開口部146は、受容体142の-X方向端面からX方向に沿って形成される。受容開口部146は、YZ平面に平行な断面形状が凹状を有するように形成され、且つ+Y方向端面が開口する。受容開口部146は、Z方向に対向する側壁160a、160b、底部162、係合凸部164a、164bを含んで構成される。側壁160a、160bは、X方向に沿って延び、他の継手部材の突出部の嵌入を案内する。
アンカー配設部148は、受容開口部146の-Y方向側に形成される。即ち受容開口部146に対し突出部144の反対側に形成される。なおアンカー配設部148は、受容体142内で配設するアンカーが延伸する形状に沿った方向に開口しており、X方向の両端面が開口されるように形成される。なお具体的なアンカーの配設方法については後述する。
ボルト挿通孔150は、継手部材140を構成する部分体170、172同士をボルト締結するためのボルトの挿通孔であって、ストレートの貫通孔であってもよく、内周面に雌ねじ加工したものであってもよい。また開口する位置にボルトの頭部又はナットが挿入される座ぐりを形成してもよい。
受容開口部146の底部162は、側壁160a、160b間に配設され、凹形状を成す受容開口部146の底面を構成する。係合凸部164a、164bは、側壁160a、160bの先端縁部から、Z方向に沿って受容開口部146の開口を狭めるように突出する。即ち係合凸部164a、164bは、互いに先端と先端との間隙を狭めるように突出する。従って係合凸部164a、164bは、受容開口部146に嵌入した突出部側係合部154と係合し得、他の継手部材のY方向及びZ方向の移動を規制する。なお係合凸部164a、164bは、その間隙に連結部155が介在するので、該連結部155の嵌入方向に沿った移動を案内する。
上記の継手部材140を二つの部分体により構成する場合には、例えばXY平面に平行な面で結合し得るように、各部分体を形成する。図15、16においては、継手部材140のZ方向の略中央部において、結合し得るように部分体170、172の形状が設定される。即ち部分体170と部分体172とは、互いに他方に対して略対称な形状を有し、部分体170は、図16に示す継手部材140の左半分(+Z方向側半分)、即ち、受容体142の左半分(側壁160a、係合凸部164a、底部162の左半分を含む部分)及び突出部144の左半分を形成する。部分体172は、図16に示す継手部材140の右半分(-Z方向側半分)、即ち、受容体142の右半分(側壁160b、係合凸部164b、底部162の右半分を含む部分)及び突出部144の右半分を形成する。
また、各部分体170、172には、アンカー配設部148の一部を成すアンカー配設溝が形成される。例えば、部分体170のアンカー配設溝148aは、図17に示すように、受容体142のXY平面において湾曲状に延伸するように凹設される。なおアンカー配設溝148aの延伸方向や、湾曲箇所の曲率半径等は、特に限定するものではなく、アンカーの形状(例えば、L字形状、U字形状、J字形状等)に応じて適宜設定する。勿論部分体172に形成されるアンカー配設溝は、継手部材140を構成したとき、その凹形状の開口が、アンカー配設溝148aの開口と一致するようにその延伸方向や、湾曲箇所の曲率半径等の形状が設定される。
上記のように形成された部分体170、172を用いて継手部材140を構成する手順としては、例えば、先ず部分体170のアンカー配設溝148aの形状に合わせてアンカー70を設置する。次に部分体170と部分体172とをボルト締結により結合する。即ち部分体170、172同士の位置を合わせて、各ボルト挿通孔150にボルトを挿通し、該ボルトにナットを螺合することで締結を行う。これにより継手部材140が形成され、この継手部材140を二つ組み合わせたとき、図18に示すように、一方の継手部材140の受容開口部146に他方の継手部材140の突出部144が嵌入し、同様に他方の継手部材140の受容開口部146に一方の継手部材140の突出部144が嵌入して、各突出部144が各受容開口部146に受容され、結果二つの継手部材140が係合される。
上述のように互いに別体に形成された部分体を組み合わせて継手部材を構成するので、部分体をプレス加工や鍛造等の塑性加工で製造することが出来、一体成型の継手部材のように製造方法が鋳造に限定されないので、製造性が良好な継手部材が得られる。また本発明の継手部材によれば、鋳物の継手部材と比較して、より多くの種類の材料を選択できるため、継手部材自体の強度の向上や、従来の継手部材と強度を維持したまま、小型化を図ることができる。
なお、上述した各継手部材において、二つの部分体によって構成する場合を例に説明したが、これに限定するものではなく、部分体が受容部の側壁、底部、係合凸部の少なくとも一つ以上を含んだ形状を有していれば、三つ以上の部分体で構成してもよい。また、二つの部分体で構成する場合等において、各部分体が互いに対称形状である必要はなく、対称形状以外の形状を有してもよい。
ここで図19、20は、複数の部分体で継手部材180を構成する場合のパターンを示す図であり、図19(a)、(b)は、二つの部分体(二パーツ)で継手部材を構成する場合を示す図、図19(c)~(e)は、三つの部分体(三パーツ)で継手部材を構成する場合を示す図である。図20(a)~(c)は、四つの部分体(四パーツ)で継手部材を構成する場合を示す図、図20(d)、(e)は五つの部分体(五パーツ)で継手部材を構成する場合を示す図である。なお継手部材180は、継手部材140から、アンカー配設部148を省いた形状であって、略直方体状の受容体142と、突出部144を有するものとする。
図19、図20において、ハッチングによって継手部材180の各部分体を示し、異なる部分体同士はハッチングを異ならせて図示する。二パーツ(二つの部分体180a、180b)で継手部材180を構成する場合、図19(a)に示すように、部分体180aは、側壁160a、底部162、係合凸部164a及び突出部154を有し、部分体180bは、側壁160b及び係合凸部164bを有するように形成してもよい。或いは、図19(b)に示すように、部分体180aは、係合凸部164a、164b及び突出部154を有し、部分体180bは、側壁160a、160b及び底部162を有するように形成してもよい。
三パーツ(三つの部分体180a、180b、180c)で継手部材180を構成する場合、図19(c)に示すように、部分体180aは、側壁160a、係合凸部164a及び突出部154を有し、部分体180bは、側壁160b、係合凸部164bを有し、部分体180cは、底部162を有するように形成してもよい。
または図19(d)に示すように、部分体180aは、係合凸部164a及び突出部154を有し、部分体180bは、係合凸部164bを有し、部分体180cは、側壁160a、160b及び底部162を有するように形成してもよい。
または図19(e)に示すように、部分体180aは、係合凸部164a、164b及び突出部154を有し、部分体180bは、側壁160a、及び底部162の一部を有し、部分体180cは、側壁160b、及び底部162の残りの部分を有するように形成してもよい。
四パーツ(四つの部分体180a、180b、180c、180d)で継手部材180を構成する場合、図20(a)に示すように、部分体180aは、係合凸部164a及び突出部154を有し、部分体180bは、係合凸部164bを有し、部分体180cは、側壁160a、及び底部162の一部を有し、部分体180dは、側壁160b、及び底部162の残り部分を有するように形成してもよい。
または図20(b)に示すように、部分体180aは、係合凸部164a及び突出部154を有し、部分体180bは、係合凸部164bを有し、部分体180cは、側壁160a及び底部162を有し、部分体180dは、側壁160bを有するように形成してもよい。
または図20(c)に示すように、部分体180aは、係合凸部164a、164b及び突出部154を有し、部分体180bは、側壁160aを有し、部分体180cは、底部162を有し、部分体180dは、側壁160bを有するように形成してもよい。
五パーツ(五つの部分体180a、180b、180c、180d、180e)で継手部材180を構成する場合、図20(d)、(e)に示すように、部分体180aは、係合凸部164a及び突出部154を有し、部分体180bは、側壁160aを有し、部分体180cは、底部162を有し、部分体180dは、側壁160bを有し、部分体180eは、係合凸部164bを有するように形成してもよい。
なお、上述した継手部材においては、部分体同士をXY平面で合わせて結合したが、これに限定するものではなく、図19(b)、(e)、図20(a)、(c)、(d)等に示すように、部分体同士をXZ平面で合わせて結合してもよい。勿論、部分体同士をYZ平面で合わせて結合してもよいことはいうまでもない。
また、上述した継手部材においては受容体を構成する部分体の何れかに突出部を含むようにしたが、これに限定するものではなく、上記部分体とは別体の突出部のみを構成し得る突出側部分体を設けてもよい。
また、部分体の形状は、雌型又は雄雌型の継手部材を構成するための形状に限定するものではなく、雄型の継手部材を構成するための形状を有してもよい。また図21に示すように雄型と雌型の何れかを選択的に構成し得る形状であってもよい。具体的には、部分体190a、190bは、互いに対して対称形状を有し、係合凸部192、連設凸部194、板部196を有して成る。係合凸部192は、板部196の一端部からZ方向に突出して設けられる。連設凸部194は、板部196の他端部から係合凸部192と同じ方向に突出して設けられ、且つ係合凸部192よりも板部196の厚み以上の長さで突出するように突出長さが設定される。
板部196は、一方の板面198の両端部に係合凸部192又は連設凸部194を配設し、他方の板面199が対となる部分体の板部と結合する際の合わせ面として機能する。即ち図21(b)に示すように、部分体190a、190bを各々の板面199を合わせ面に結合した場合、係合凸部192の突出方向が互いに逆向きとなり、突出部を形成する。
一方、部分体190a、192aを板面198の反対側で結合した場合、即ち図21(c)に示す部分体190a、190bの板面198を対向させ、連結凸部194の先端面同士を結合した場合、連結凸部194、板面198、係合凸部194によって突出部を受容し得る受容空間を画定し受容部を構成する。このように、部分体によって受容部を構成すると共に、受容部を構成するときの係合凸部の向きの組み合わせと、異なる向きの組み合わせにより、突出部を構成し得るように各部分体の形状を設定してもよい。
なお、継手部材の材料は、所望の強度、製造コスト、セグメントが使用される環境条件等に応じて種々のものを使用することができ、勿論、継手部材1は金属の他、合成樹脂、木、紙、ガラス、セラミックス、ゴム或いはこれらの複合材料など適宜の材料を用いて適宜の製造方法で形成することが可能である。
また本発明の継手部材は、セグメント以外の被接合体に適用することができ、適用可能な被接合体の材質としては、例えば、コンクリート、金属、合成樹脂、木材等である。被接続部材の形状としては、例えば、板状、柱状、ブロック状等の同種のもの同士或いは異なる種類の部材の接合に適用することができる。また、上記に例示したシールドセグメントの他に、本棚やプレキャストによるコンクリート部材(プレキャストコンクリート部材)一般、家具一般、住宅フレーム材等を含む土木用及び/又は建設や建築用の建材、各種機械等のあらゆる物品に適用することができる。
例えば、本棚に適用する場合、図22に示すように、本棚200は、鉛直方向に配置される二枚の側板201の間に、一枚の天板202と複数の棚板203を配置した構造となっている。ここでは側板201と天板202の継手210及び側板201と棚板203の継手220に本発明を好適に用いることができる。木材等の部材に二つの継手部材を固定する方法としては、例えば、受部と接合部を収容できる空間を形成し、その空間に継手部材を圧入し或いは接着剤等で固定する。継手部材を圧入する場合は、受部及び挿入部に鬼目ナットを形成しても良い。継手部材によれば、一体に形成されている突出部と接続部が、側板201と天板202及び側板201と棚板203にまたがって配置されている。そのため、二つの継手部材により構成される継手は、図22の上下方向の剪断力に対して著しく高い強度を有する。二枚の側板201の間に天板202及び棚板203を挿入する方向は、紙面に垂直な方向とすることも、紙面の上下方向とすることもできるが、上下方向とした方が、使用時に天板202及び棚板203が抜け出すことがなく好ましい。
なお、複数の部分体から成る継手部材において、各部分体の合わせ面に複数の凹凸を形成した凹凸面を形成した場合、例えば、図23に示すように部分体170の合わせ面の略全域を凹凸面210とする。この場合に部分体172の合わせ面には、凹凸面210の凹凸が嵌まる凹凸面を形成する。従って部分体170、172同士を組み合わせれば図24に示すように、部分体170の凹凸面210の凸部(凹部)と部分体172の凹凸面220の凹部(凸部)とが嵌合し、合わせ面間の摩擦力及び/又は嵌合力が増加する。
また継手部材140は、凹凸面210、220の凹凸の配列方向に係合するため、配列方向に沿って部分体170と部分体172との位置ズレを引き起こす剪断力が発生した場合、凹凸面210、220が剪断力に抵抗し得る。結果、継手部材140に挿通されるボルト等の締結部材に剪断力が集中するのを防止し、ボルト等の締結部材の破断を抑止することができる。また部分体170、172に凹凸面210、220を形成したことで、部分体170、172同士を組み合わせる際の位置合わせを容易に行うことができる。なお凹凸の形状は特に限定するものではなく、図25(a)に示す山型形状、(b)に示す鋸歯形状、(c)に示す波形状等であってもよい。
なお、凹凸面は、部分体170、172の合わせ面全体に形成することに限定するものではなく、合わせ面の一部だけに形成してもよい。特に合わせ面の連結部155を成す箇所に凹凸を形成すると、凹部分で肉厚が薄くなり、連結部155における強度が低下する虞がある。そこで連結部155における強度の維持のため、図26に示すように連結部155を避けて凹凸面210を形成することが好ましい。
また、上記説明においては継手部材を半割にした部分体170、172に凹凸面を形成する場合を例に説明したが、これに限定するものではなく、二分割の継手部材であっても他の分割方法で構成した継手部材や、三以上に分割された継手部材の各々の合わせ面を凹凸面としてもよいことは言うまでもない。
例えば、図19(a)を参照して説明した部分体180aが側壁160a、底部162、係合凸部164a及び突出部154を有するものであれば、連結部155を分割しないため(図27参照)、連結部155における強度を維持できる。
また、部分体170、172間に発生する剪断力に抵抗し得る構造は、上記の凹凸面に形成に限定するものではなく、適宜設定可能である。例えば部分体170、172に剪断キーを配設してもよい。具体的には図28(a)に示すように、ボルト挿通孔150の合わせ面側の開口に座ぐり部230を設け、座ぐり部230に中空の円筒形状の剪断キー232(図28(b)参照)の一部が挿嵌される。なお不図示の部分体172にも同様にして剪断キー232の一部を挿嵌し得るように、座ぐり部230を設ける。剪断キー232は、軸方向に貫通する、ボルト等の締結部材が挿通し得る内周形状の中空部分234を具え、全長が部分体170の座ぐり部230の深さと、部分体172の座ぐり部230の深さとを足し合わせ長さと略同じ或いは、若干短い長さに形成される。
従って、部分体170(又は部分体172)の座ぐり部230に剪断キー232を挿嵌させ、部分体170、172の合わせ面同士を重ね合わせたとき、座ぐり部230同士が対向して連続し、当該二つの座ぐり部230内に剪断キー232が挿嵌される。即ち剪断キー232は、部分体170、172の座ぐり部230内に収容された状態で配設される。そして部分体170、172のボルト挿通孔150及び剪断キー232の中空部分234にボルトを挿通し、該ボルトにナットを螺合することで締結を行う。
このように、継手部材の内部に剪断キーを配設することで剪断キーが剪断力に抵抗し得、ボルト等の締結部材に剪断力が集中するのを防止することができる。また、部分体170に剪断キー232が挿嵌されたとき、図28(b)示すように剪断キー232の一部が部分体170の合わせ面から突出するので、その突出した剪断キー232の一部が挿嵌し得るように、部分体172の座ぐり部230の位置を合わせれば、部分体170と部分体172との位置合わせを容易に行うことができるという効果を得ることができる。