JP4948781B2 - セグメントの連結構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ボックスカルバートなどのセグメント部材を連結してなる構造物に対し、セグメントの連結部の継手構造に関するものである。
下水道、鉄道、地下河川等のトンネルの覆工内壁を構築するためのボックスカルバート等に使用されるセグメントには、鋼製セグメント、鋼−コンクリートの合成セグメント、コンクリートセグメント等が適用される。これらのセグメントには継手部が設けられている。この継手部は、一般にセグメントのコンクリート中にアンカー鉄筋を介して固定されるものであり、この継手部を介して多数のセグメントを周方向と軸方向に連結してボックスカルバートが構築されることになる。従ってこの継手部は、セグメントを用いた施工を行う上で特に重要な役割を果たすものであり、従来において数多くの提案がされている。
従来提案されている継手構造も改良の主眼点は種々異なっている。例えば、(1)継手部の構造を簡潔にすることを主な改良点とするもの、(2)継手部の止水性を向上することを主な改良点とするもの、(3)継手部の連結操作を容易にすることを主な改良点とするもの、(4)継手部の強度をセグメント本体と同程度に向上することを主な改良点とするもの、(5)前記の複数の点を同時に改良することを主な改良点とするもの等がある。また、この改良技術も、鋼製セグメント、鋼−コンクリートの合成セグメント、コンクリートセグメントによっておのずから構造が相異している。
従来、この種のセグメント連結構造に関しては、特許文献1〜特許文献3が提案されている。
特許文献1には、セグメントの端部に互いにフランジ面同士が当接するH形鋼又はプレートとカットTからなるH形部材を取り付け、このH形部材のフランジ4枚を貫通する連結ボルトで継手を締結する、セグメント連結構造が開示されている。この継手構造は、引張りと曲げに対応する十分な強度を有するというメリットもある。
特許文献2には、コンクリートセグメントにおいて、セグメント本体及び継手部ともに強度と剛性のアップを図るための継手構造として、セグメント本体の円周方向の両端に断面略リップ溝状の連結溝部を設け、円周方向に隣り合うセグメントの連結溝部に跨って接合キーをセグメント面外方向(トンネル軸方向)から挿入するセグメントの連結構造が開示されている。このセグメントの連結構造において、セグメント端部に設置された継ぎ手金具につき、鉄骨部材端の側面部に複数本の取付ボルトによって直接ボルト止めし、かかる継ぎ手金具をダクタイル鋳鉄製とすることにより、強度と剛性を向上させることが可能となる。また、セグメントどうしの接合に関しても、かかる接合キーを介して簡単に行うことができるというメリットもある。
特許文献3は、大断面、大深度、地下河川等大きな曲げモーメントや引張力が作用する場合に有効な合成セグメントの継手に関するものであり、継手部がセグメント本体と同等の強度および剛性を有する構造が開示されている。そして、高剛性、高耐力のセグメント継手を実現する方法として、セグメントの内空側鋼板の側縁に周方向に隣り合うセグメント継手を跨ぐように内側が開いた箱状の補強部材を配置して、前記の内空側鋼板にボルト接合する構成が開示されている。
特開平10−339099号公報 特開平8−184296号公報 特開平7−62988号公報
しかしながら、特許文献1のセグメントの連結構造では、継手を締結するためには、セグメント内部から締結しなければならず、セグメント内にコンクリートが打設してある場合は、継手を締結できない。また、H形鋼のフランジ面が、セグメント継手部における曲げ外力に対して、ウエブとしての役割をしており、少ない鋼材量で断面2次モーメントを効率的に大きくできず、不経済となっている。
特許文献2に開示されているセグメントの連結構造では、H形またはI形に形成された接合キーによって隣り合うセグメントが連結され、H形またはI形に形成された接合キーの中間部がウエブとしての役割をなしている。このため継手部に曲げ荷重が作用したときに前記ウエブで曲げに抵抗することになり、セグメント継手部における断面2次モーメントを大きくするには極厚のウエブとる必要があり不経済であった。また、単に連結穴に接合キーを挿入するだけで、機械的に接合キーがセグメント継手部に固定されておらず、傾斜配置した場合などに接合キーが連結溝部から抜け落ちる可能性があり、この点の改善要請が高まっていた。また、継手の曲げ耐力を増加させるためには、接合キーの板厚を増やさねばならず非経済的である。
特許文献3に開示のセグメントの連結構造では、セグメントの内空側鋼板に配置した箱状の補強部材がセグメントの内空側に出っ張り、セグメント内面の平坦性を確保できないという問題がある。また、箱状の補強部材の背面側(つまり地山側)に形成される凹部にグラウトを注入する必要があり、施工コストと手間がかかるという問題があった。
本発明は、継手部がセグメント本体と同程度の高剛性、高耐力を有することができるよう、継手部を継手ブロック体にて連結し、しかも、構成が簡潔でかつ継手部がセグメント本体の面外に出張らず、セグメント本体の平坦性を確保できるように構成することで従来の問題点を解決したセグメントの連結構造を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するとともに、さらに〔1〕セグメントの継手部の強度を向上、〔2〕継手部に作用する曲げ荷重に対する抵抗の向上、〔3〕構造の簡潔化、〔3〕施工性の向上、〔4〕止水性の向上を図るべく、セグメント本体の継手板の桁高方向両端に結合金物を固着することによって継手ブロック体嵌合溝を形成し、周方向に隣接するセグメントの前記結合金物を当接することにより相対する前記継手ブロック体嵌合溝によって形成される中空部に、その内面に沿うように継手ブロック体を挿入して、前記結合金物と継手ブロック体とをボルトにて接合するようにしたセグメントの連結構造を発明した。
即ち、第1の発明は、複数のセグメントを周方向と軸方向に結合して構築した構造物における前記セグメントの連結構造であって、前記セグメント本体の継手板の桁高方向両端に結合金物を固着することによって継手ブロック体嵌合溝を形成し、周方向に隣接するセグメントの前記結合金物を当接することにより相対する前記継手ブロック体嵌合溝によって形成される前記軸方向視で矩形の中空部に、セグメント幅方向端部から、セグメント本体の幅寸法と同じ長さで、セグメント幅方向の端部の端面形状が相対する前記継手ブロック嵌合溝によって形成される中空部内面に沿う形状とされた軸方向視で矩形の継手ブロック体を嵌合するように挿入し、前記継手ブロック体は、セグメント桁高方向両端部にフランジを有し、さらに継手ブロック体の長手方向に間隔をあけて複数のウエブを有し、かつ各ウエブは前記周方向に隣接するセグメントの前記継手板に向かって前記周方向に延長するように配置されており、前記結合金物と挿入された継手ブロック体とをボルトにて接合していることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記継手ブロック体は、セグメント桁高方向両端部にフランジを形成するためのフランジ板を有し、さらにウエブを形成するためのウエブ板により前記フランジ板を互いに結合してなることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記結合金物と前記継手ブロック体は、互いに摩擦接合されてなることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1〜第3の発明において、前記結合金物は、セグメント桁高内部方向へ突出させた突出部が形成されてなり、前記突出部は、前記中空部に挿入される継手ブロック体の凹部と係合されることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1〜第4の発明において、前記継手板並びに前記結合金物は、一体成形された形鋼または鋳鋼で構成されることを特徴とする
また、第6の発明は、第1〜第5の発明において、前記継手ブロック体は、H形鋼、又はC形鋼、又は両者を組み合わせたもので構成されていることを特徴とする。
また、第7の発明は、第1〜第6の発明において、前記継手ブロック体は、内部にコンクリートが打設されていることを特徴とする。
また、第8の発明は、第1〜第7の発明において、前記継手ブロック体は、上下面に長手方向に沿って止水材が配設されていることを特徴とする。
本発明によると、セグメント本体の継手板の桁高方向両端に結合金物を固着することによって継手ブロック体嵌合溝を形成し、周方向に隣接するセグメントの前記結合金物を当接することにより相対する前記継手ブロック体嵌合溝によって形成される中空部に、その内面に沿うように継手ブロック体を挿入し、前記結合金物と継手ブロック体とをボルトにて接合して継手部を構成するので、継手板と結合金物と継手ブロック体が協働してセグメント本体と同等の剛性、耐力を発揮でき、単純なボルト接合作業のみで、断面2次モーメントの大きい継手ブロック体によるセグメントの連結が可能性となり、継手部に作用する引張りおよび曲げ荷重に強固に抵抗でき、構造も簡潔である。さらに、継手板と結合金物と継手ブロック体は、セグメントの外形内に納まっているので面外方向への凸凹がなく継手部の平坦性を確保できる。
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1〜図3は、鋼殻(主桁とスキンプレートは省略する)にコンクリートを充填した合成セグメント1aを継手部2を介して周方向に連結する実施形態1を示し、図1は、継手部2を当接し継手ブロック体3を挿入する施工過程の斜視図、図2は、継手ブロック体3の斜視図、図3は、継手ブロック体3の側面図である。
各図において、セグメント本体1の継手板6の桁高方向両端には、結合金物4が溶接で固着されていて、この継手板6と結合金物4とで継手ブロック体嵌合溝5aが形成されている。なお、以下では継手板6と結合金物4とをまとめて溝状継手金物7という。結合金物4は、セグメント本体1の幅方向、桁高方向の寸法と等しい外周面を有し、継手部2とセグメント本体1とが平坦性を確保するように配設されている。また、上下(内側と外側)の結合金物4には複数のボルト挿入孔8が設けられており、かつ、このボルト挿入孔8には、ボルト頭部が面外方向に出っ張らないように座刳り10が加工されている。
そして図1のように、隣接するセグメント本体1を周方向に当接することで、結合金物4の先端同士が接合し、継手ブロック体嵌合溝5aが合わさることで、セグメント幅方向に延長する矩形の中空部5が形成される。この中空部5には一端側から継手ブロック体3を挿入する。継手ブロック体3の端面形状は矩形の中空部5内面に沿う形状とされている。実施形態1の継手ブロック体3は、セグメント桁高方向の両端部にフランジを形成するフランジ板11を有し、両フランジ板11をウエブを形成するウエブ板12で結合することで構成されている。ウエブ板12は継手ブロック体3の長手方向に間隔をあけて複数設けられている。ウエブ板12とフランジ板11とは互いに溶接により結合される。フランジ板11には、複数のボルト挿入孔8が設けられている。また、フランジ板11の内側において、ボルト挿入孔8の先端にはナットまたは袋ナット等を予め溶接にて取り付けておき、ボルトを固定できるようにされている。ボルト挿入孔8は、継手ブロック体3を正しい位置に嵌合したとき、結合金物4のボルト挿入孔8と合致する位置に設けられる。また、継手ブロック体3の長さは、セグメントの幅方向と同等な寸法となるように調整されている。
実施形態1において、セグメント本体1の相対する溝状継手金物7を当接して形成される中空部5に一端側から継手ブロック体3を挿入したうえ、結合金物4のボルト挿入孔8と継手ブロック体3のフランジ板11のボルト挿入孔8に接合ボルトを挿入しナットに締結することで、該接合ボルトと継手ブロック体3を介して相対する溝状継手金物7を堅牢に連結できる。
実施形態1では、継手板6と結合金物4とからなる溝状継手金物7と継手ブロック体3が接合ボルトで結合されて継手部2を構成しているので、この継手部2に作用する引張荷重に対しては、複数本の接合ボルトの支圧および、結合金物4と継手ブロック体3のフランジ板11との摩擦接合にて対抗でき、曲げ荷重に対しては、溝状継手金物7と継手ブロック体3が嵌り合って対抗するので、継手部2はセグメント本体1と同程度の高耐力、高剛性を確保できる。また、溝状継手金物7と継手ブロック体3には形鋼を用いることでコスト低減が図れる。継手板6と結合金物4とは一体成型された形鋼または鋳鋼を用いてもよいし、ビルドアップにて溶接にて形成してもよい。安価に精度よく中空部5を形成するためには、溶接が不要となる形鋼を用いるのが最も好ましい。また、セグメント周方向に軸力が卓越し継手部への圧縮力が大きいときは、継手ブロック体3内にコンクリートを打設してもよい。
継手ブロック体3の構成は、引張りや曲げ荷重に対抗できる構造であればよく、継手ブロック体3の他の実施例を図4〜図6、図13に示す。図4の継手ブロック体3は、短寸に切断した複数のH形鋼15のフランジ16の側縁同士を当接させるように並べて、これらの全体で溝状継手金物7と同じ幅寸法の継手ブロック体3を構成している。このとき、H形鋼15のフランジ16における側縁同士を溶接することは必須とならない。この並べられた各H形鋼15の上下のフランジ16には複数のボルト挿入孔8が開設されている。そして、この複数のH形鋼15を矢印方向に移動して継手部2の中空部5に順に挿入する。その後、上下の結合金物4のボルト挿入孔8からH形鋼15の上下のフランジ16のボルト挿入孔8に接合ボルトを挿入し、ナットに締結することで、継手ブロック体3を介して両側の溝状継手金物7を堅牢に連結できる。
図5の継手ブロック体3は、短寸に切断したC形鋼17を向い合わせフランジ18の先端同士を当接させてなる矩形ブロック19を2組並べて構成している。このとき、C形鋼17のフランジ18における側縁同士を溶接することは必須とならない。また、C形鋼17のフランジ18には複数のボルト挿入孔8が開設されている。そして、図5のC形鋼17を矢印方向に移動して継手部2の中空部5に順に挿入する。その後、上下の結合金物4のボルト挿入孔8からC形鋼17の上下のフランジ18のボルト挿入孔8に接合ボルトを挿入し、ナットに締結することで、継手ブロック体3を介して溝状継手金物7を堅牢に連結できる。
図6の継手ブロック体3は、短寸に切断した2つのH形鋼15をフランジ16の側縁同士を互いに溶接することなく当接させて並べると共に、H形鋼15の両側縁にC形鋼17を向い合わせ各々のフランジ16、18の先端同士を溶接させることなく当接させて、これらの全体で溝状継手金物7の幅と同じ寸法となるように構成している。H形鋼15のフランジ16には複数のボルト挿入孔8が開設されている。そして、図6の継手ブロック体3のC形鋼17とH形鋼15を矢印方向から継手部2の中空部5に順に挿入する。その後、上下の結合金物4のボルト挿入孔8からC形鋼17のフランジ18のボルト挿入孔8とH形鋼15のフランジ16のボルト挿入孔8に接合ボルトを挿入し、ナットに締結することで、継手ブロック体3を介して溝状継手金物7を堅牢に連結できる。
図4〜図6の各H形鋼15とC形鋼17からなる継手ブロック体3と溝状継手金物7を接合ボルトで結合して継手部2を構成する場合も、図1〜図3と同様に継手部2に作用する引張荷重と曲げ荷重に対してセグメント本体1と同程度の高耐力、高剛性を確保できる。また、継手ブロック体3にはH形鋼やC形鋼などの形鋼を用いるのでコスト低減が図れる。特にセグメント側面での平坦性を確保するためには、図5または図6に示すように継手ブロック体端部にC形鋼のウエブを配置することが好ましい。図13の継手ブロック体3は、長手方向に伸びる上下左右4面の各側板20と前後両端部の端板21とで形成した両端が閉じた筒体で構成された例を示す。また、継手ブロック体3としては、図示を省略するが、フランジとなる上下2面の側板20と両端部の端板21とで形成した両端が閉じた枠体で構成してもよいが、ウエブ板12またはこれに相当する部材を配置する必要がある。継手ブロック体3のウエブ材としては、セグメント本体が複数の主桁を有している場合は、主桁と同じ位置に設けることがセグメントから成る構造物全体の均一性から好ましいが、セグメント本体幅方向の両サイドのみに配置しても構わない。この継手ブロック体3でも引張荷重と曲げ荷重に対して強力に対抗でき、特に圧縮荷重が卓越する場合には、内部にコンクリートを充填して抵抗する構造とするが、図13のような中空タイプの継手ブロック体では、コンクリートの充填が容易である。
図7〜図9は実施形態2を示している。この実施形態2において、継手部2における結合金物4の先端にセグメント桁高内部方向に突出させた内側突出部22を設ける。図7は、継手部2を当接し継手ブロック体3を挿入する施工過程の斜視図、図8は、継手ブロック体3の斜視図、図9は、継手ブロック体3のウエブ板12の斜視図である。
実施形態2において、内側突出部22と結合金物4と継手板6は、それぞれ鋼板を溶接して構成してもよいし、リブ付きC形鋼で構成してもよい。ちなみに、図7〜9の例は、これらをリブ付きC形鋼で構成した例を示している。したがって、実施形態2では溝状継手金物7の内側突出部22を当接させることにより、セグメント桁高内部方向へ突出した突出部22付きの中空部5が形成される。溝状継手金物7の他の構成は実施形態1と同じである。内側突出部22は、図のようにセグメント幅方向全体に亘って設けてもよいし、そのセグメント幅方向の一部のみに形成されていてもよい。後者の例は後において詳細に説明する。
実施形態2では、中空部5に内側突出部22が形成されていることから、これに挿入される継手ブロック体3の端面形状も、内側突出部22と嵌合可能となるような形状に構成される。すなわち図8に示すように、継手ブロック体3の上下面の中央部に長手方向に沿って溝部23が形成されている。このため、実施形態2の継手ブロック体3は、上下辺の中央部に凹部24があるウエブ板12が所定間隔をあけて複数平行に設けられ、各ウエブ板12の各凹部24の両側に形成された凸部24aに亘って細長の2つのフランジ板11aが溶接されている。また、各ウエブ板12の凹部24の底部にわたって細長の底板25が固着されている。継手ブロック体3の長手方向の寸法は、セグメント本体1の幅寸法と同じ長さに設けてある。また、継手ブロック体3のフランジ板11には、中空部5に挿入された場合において、結合金物4のボルト挿入孔8と同じ位置にボルト挿入孔8が開設されており、フランジ板11の内面にはナットが固着されている。
溝状継手金物7を連結するには、内側突出部22付き中空部5に継手ブロック体3を挿入したうえ、結合金物4のボルト挿入孔8と継手ブロック体3のフランジ板11のボルト挿入孔8に接合ボルトを挿入し、ナットに締結することで、継手ブロック体3を介して溝状継手金物7を堅牢に連結できる。
実施形態2では、セグメント継手部2に作用する引張り荷重に対して、ボルトによる支圧または摩擦接合のみでは耐力が不足する場合に特に有効である。すなわち、継手ブロック体3の溝部23と中空部5の内側突出部22が係合しているので、この係合部で引張り荷重に対してより強力に対抗できる。また、内側突出部22と継手ブロック体3の溝部23で引張り荷重に対抗できるときは、結合金物4と継手ブロック体3とを摩擦接合する必要がなく、この場合は、結合金物4と継手ブロック体3の内縁側(図の下側)のフランジ板11と外縁側(図の上側)のフランジ11とを別の接合ボルトで結合しても構わないが、内縁側と外縁側とを一体化させることにより継手部2に大きな曲げ耐力を効果的に発揮させるためには、内縁側と外縁側のフランジ11を繋ぐ長ボルトとすることが好ましい。
また、前記の各実施形態において、溝状継手金物7で形成される中空部5に継手ブロック体3を正規の位置まで嵌合し、接合ボルトで結合したとき、両溝状継手金物7の端縁同士が当接する部位では隙間が生じる。この隙間を水密的に封止して止水性を高めるためには、図10に示すように、継手ブロック体3の上下面に長手方向に沿って、この隙間を挟み込むようにして2列の止水材取り付け溝26を形成し、この溝26に止水材を取り付けるようにしてもよい。止水材取り付け用溝26は、相対する結合金物4の突き合せ部27(図1に示す)を挟む位置で、かつ両側のボルト挿入孔8よりも中央部寄りの位置に設ける。止水材は、吸水機能と弾性反発力を期待できる吸水膨張性のゴムを用いることが好ましい。
このように構成すると止水材が結合金物4の内面と密接し、相対する結合金物4の突き合せ部27の隙間から浸入した水は、止水材の位置で止められるので継手部2の止水性が向上すると共に、接合ボルトの腐食を防止できる。接合ボルトの首部にも止水材を取り付けるのが好ましい。
図11、図12は実施形態3を示している。この実施形態3においては、継手部2における結合金物4の全長に亘って突出部を設けるのではなく、かかる結合金物4の先端中央部の内面にセグメント桁高内部方向に突出させた中央内側突出部28を固着すると共に、継手ブロック体3を長手方向に2分割する。図11は、継手部2を当接し継手ブロック体3を挿入する施工過程の斜視図、図12は、溝状継手金物の斜視図と断面図である。
実施形態3の中央内側突出部28は、所定厚みの鋼板を結合金物4の先端中央部内面に溶接して構成する。したがって、実施形態3では相対する結合金物4の先端を当接させることにより、中空部5内において、セグメント桁高内部方向へ突出した中央内側突出部22を設けることができる。溝状継手金物7の他の構成は実施形態1と同様である。
実施形態3の継手ブロック体3は、長手方向に2つに分割された分割継手ブロック体3aで構成されている。分割継手ブロック体3aは、長方形の鋼製の上下のフランジ板11の間に長手方向に所定の間隔をおいて複数の鋼製のウエブ板12を配置し、両板を溶接して構成される。さらに、分割継手ブロック体3aの互いに突き合せる内側の端部において、上下のフランジ板11を一部切り欠くことにより凹部29が形成される。したがって、分割継手ブロック体3aを中空部5にセグメント幅方向両側からから挿入したとき、中空部5内の中央内側突出部28に凹部29が嵌合して、2つの分割継手ブロック体3aの端部同士を当接できる。
実施形態3において、溝状継手金物7を連結するには、中空部5内にセグメント幅方向左右から別々に分割継手ブロック体3aを挿入したうえ、結合金物4のボルト挿入孔8と分割継手ブロック体3aのフランジ板11のボルト挿入孔8に接合ボルトを挿入し、ナットに締結することで、2つの分割継手ブロック体3aを介して溝状継手金物7を堅牢に連結できる。
実施形態3では、鋼材からなる溝状継手金物7と分割継手ブロック体3aが接合ボルトで結合されて継手部2を構成しているので、この継手部2に作用する引張荷重に対しては、複数本の接合ボルトの支圧と摩擦接合の他に、中空部中央に設けた突出部にて対抗する。実施形態2のように全長に亘って突出部を設けると継手ブロック体のフランジの切り欠きが増えてしまい曲げ耐力が低下してしまうため、引張り荷重に応じて必要長さだけ突出部を設けるようにする。曲げ荷重に対しては、溝状継手金物7と2つの分割継手ブロック体3aが嵌り合って対抗するので、継手部2はセグメント本体1と同程度の高耐力、高剛性を確保できる。
本発明は、ボックスカルーバートなどを構成するフラットなセグメントを立坑で組付ける場合の継手部に適用できる。また、実施形態を適宜設計変更して実施することは構わない。
実施形態1に係るセグメントの連結構造において、継手部を当接し継手ブロック体を挿入する施工過程の斜視図である。 継手ブロック体の斜視図である。 継手ブロック体の側面図である。 継手ブロック体の他の例の斜視図である。 継手ブロック体の他の例の斜視図である。 継手ブロック体の他の例の斜視図である。 実施形態2に係るセグメントの連結構造において、継手部を当接し継手ブロック体を挿入する施工過程の斜視図である。 実施形態2に用いる継手ブロック体の斜視図である。 図8の継手ブロック体におけるウエブ板の斜視図である。 止水材取り付け溝を有する継手ブロック体の斜視図である。 実施形態3に係るセグメントの連結構造において、継手部を当接し継手ブロック体を挿入する施工過程の斜視図である。 (a)は、実施形態3に係る溝状継手金物の斜視図、(b)は、(a)のA−A断面図である。 継手ブロック体の他例の斜視図である。
符号の説明
1 セグメント本体
1a セグメント
2 継手部
3 継手ブロック体
3a 分割継手ブロック体
4 結合金物
5 中空部
5a 継手ブロック体嵌合溝
6 継手板
7 溝状継手金物
8 ボルト挿入孔
10 座刳り
11 フランジ板
12 ウエブ板
15 H形鋼
16 フランジ
17 C形鋼
18 フランジ
19 矩形ブロック
20 4面の側板
21 端板
22 内側突出部
23 溝部
24 凹部
25 底板
26 止水材取り付け溝
27 突き合せ部
28 中央部内側突出部
29 凹部

Claims (8)

  1. 複数のセグメントを周方向と軸方向に結合して構築した構造物における前記セグメントの連結構造であって、
    前記セグメント本体の継手板の桁高方向両端に結合金物を固着することによって継手ブロック体嵌合溝を形成し、周方向に隣接するセグメントの前記結合金物を当接することにより相対する前記継手ブロック体嵌合溝によって形成される前記軸方向視で矩形の中空部に、セグメント幅方向端部から、セグメント本体の幅寸法と同じ長さで、セグメント幅方向の端部の端面形状が相対する前記継手ブロック嵌合溝によって形成される中空部内面に沿う形状とされた軸方向視で矩形の継手ブロック体を嵌合するように挿入し、前記継手ブロック体は、セグメント桁高方向両端部にフランジを有し、さらに継手ブロック体の長手方向に間隔をあけて複数のウエブを有し、かつ各ウエブは前記周方向に隣接するセグメントの前記継手板に向かって前記周方向に延長するように配置されており、前記結合金物と挿入された継手ブロック体とをボルトにて接合していることを特徴とするセグメントの連結構造。
  2. 前記継手ブロック体は、セグメント桁高方向両端部にフランジを形成するためのフランジ板を有し、さらにウエブを形成するためのウエブ板により前記フランジ板を互いに結合してなること
    を特徴とする請求項1記載のセグメントの連結構造。
  3. 前記結合金物と前記継手ブロック体は、互いに摩擦接合されてなること
    を特徴とする請求項1または2に記載のセグメントの連結構造。
  4. 前記結合金物は、セグメント桁高内部方向へ突出させた突出部が形成されてなり、
    前記突出部は、前記中空部に挿入される継手ブロック体の凹部と係合されること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のセグメントの連結構造。
  5. 前記継手板並びに前記結合金物は、一体成形された形鋼または鋳鋼で構成されること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のセグメントの連結構造。
  6. 前記継手ブロック体は、H形鋼、又はC形鋼、又は両者を組み合わせたもので構成されていること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセグメントの連結構造。
  7. 前記継手ブロック体は、内部にコンクリートが打設されていること
    を特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載のセグメントの連結構造。
  8. 前記継手ブロック体は、上下面に長手方向に沿って止水材が配設されていること
    を特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載のセグメントの連結構造。
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