JP7083419B2 - ケースレスフィルムコンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、両端面に一対の電極引き出し用の金属電極が形成されてなるフィルムコンデンサ素子と、前記一対の金属電極のそれぞれに電気的に接続された外部引き出し端子を有し、さらに遊端側の外部接続端子部を除く外部引き出し端子の一部およびフィルムコンデンサ素子の全体を外装樹脂で被覆してなるケースレスフィルムコンデンサに関する。
従来より、金属化フィルムを巻回または積層してなるフィルムコンデンサ素子を開口部を有するケース内に配し、ケース内に樹脂充填してなる金属化フィルムコンデンサが知られているが、近年は小型化・軽量化を図るため、ケースを用いない構造(ケースレス構造)を採用することも行われている(例えば特許文献1の請求項9、〔実施例5〕の段落[0092]~[0099]および図10参照)。
特許文献1には、フィルムコンデンサ素子と外部接続部部分を除くバスバー(外部引き出し端子)がエポキシ樹脂で形成された外装樹脂で被覆されたケースレスフィルムコンデンサが開示されており、外装樹脂を外装体とすることでフィルムコンデンサ素子を外部環境から保護していることが記載されている。
上記のように構成されたケースレスフィルムコンデンサにおいては、ケース内にフィルムコンデンサ素子を収容した状態で樹脂を充填したケースモールド型フィルムコンデンサに比べて、ケースが存在しない分、外装樹脂(エポキシ樹脂等)には外部からの衝撃に対する保護と外部からの水分浸入に対する遮断の機能が強く求められている。特に、フィルムコンデンサ素子内でアルミニウムや亜鉛などからなる金属薄膜電極(蒸着金属)が電流によって水分と反応すると、水酸化アルミニウムなどの不導体を生成(陽極酸化)してフィルムコンデンサの静電容量を減少させてしまうので、水分浸入は確実に防止しなければならない。
このため、ケースレスフィルムコンデンサの全体における水分浸入防止機能を充分に高いものにするための対策として、従来では一般的に、外装樹脂の厚みを一定以上に確保することが行われている。
特開2014-138082号公報
しかしながら、水分浸入防止を確実なものにするために外装樹脂に充分な厚みを確保しようとすると、そのことが原因でかえってフィルムコンデンサの大型化・重量化を招き、ケースレス構造とした意味がなくなってしまう。
本発明はこのような事情に鑑みて創作したものであり、小型化・軽量化を図りながら、外部からの水分浸入に対する防止機能を向上させることができるケースレスフィルムコンデンサを提供することを目的としている。
本発明は、次の手段を講じることにより上記の課題を解決する。
本発明によるケースレスフィルムコンデンサは、
両端面に一対の電極引き出し用の金属電極が形成されてなる複数個のフィルムコンデンサ素子が互いに軸方向を平行にした状態で並列に配置されたコンデンサ素子ユニットと、
前記コンデンサ素子ユニットを構成する前記複数個のフィルムコンデンサ素子の両端面に位置する一対の金属電極群のそれぞれに電気的に接続された外部引き出し端子と、
前記外部引き出し端子における遊端側の外部接続端子部を除く前記外部引き出し端子の一部および前記コンデンサ素子ユニットを構成する前記複数個のフィルムコンデンサ素子の全体を外装する外装樹脂とを有するケースレスフィルムコンデンサであって、
前記コンデンサ素子ユニットを構成する前記複数個の前記フィルムコンデンサ素子の各々の前記両端面を除く外周部に耐湿性外装フィルムが巻き付けられ、かつ、
前記外部引き出し端子のそれぞれは、前記外装樹脂により外装される外表面が前記金属電極群の全域に対応する部位とともに耐湿性シートで被覆され、
前記耐湿性外装フィルムおよび前記耐湿性シートは、前記外装樹脂に比べて透湿度が低いことを特徴とする。
上記構成の本発明のケースレスフィルムコンデンサにおいては、次のような作用が発揮される。
すなわち、複数個あるフィルムコンデンサ素子のそれぞれに対してその外周部を耐湿性外装フィルムの巻き付けによって被覆しているが、その耐湿性外装フィルムとして外装樹脂に比べて透湿度が低いものを用いているので、複数のフィルムコンデンサ素子の集合であるコンデンサ素子ユニットを外装する外装樹脂の厚みを薄くすることが可能となる。それは、全体としての耐湿性能は外装樹脂の耐湿性能と耐湿性外装フィルムの耐湿性能とを合わせたものであるが、耐湿性外装フィルムの耐湿性能が外装樹脂の耐湿性能よりも高いので、外装樹脂の厚みは耐湿性外装フィルムを用いない場合に比べてより薄くて済むからである。
上記構成では、コンデンサ素子ユニットにおける両端面の金属電極には耐湿性外装フィルムは巻き付けられていないが、金属電極の近辺外側領域での水分浸入防止に関しては、金属電極に接続された外部引き出し端子は、外装樹脂により外装される外表面が金属電極群の全域に対応する部位とともに耐湿性シートで被覆されており、その耐湿性シートとして外装樹脂に比べて透湿度が低いものを用いているので、金属電極を外装する外装樹脂の厚みを薄くすることが可能となる。それは、全体としての耐湿性能は外装樹脂の耐湿性能と耐湿性シートの耐湿性能とを合わせたものであるが、耐湿性シートの耐湿性能が外装樹脂の耐湿性能よりも高いので、外装樹脂の厚みは耐湿性シートを用いない場合に比べてより薄くて済むからである。
そして、上記の相乗作用により、外部引き出し端子の外部接続端子部を除いてケースレスフィルムコンデンサの全体をその三次元方向で覆う外装樹脂の厚みを全体的に薄くしながら、コンデンサ素子ユニットの外周部周方向領域および金属電極の近辺外側領域からの水分浸入に対する防止機能を向上させることが可能となる。ひいては、ケースレスフィルムコンデンサの小型化、軽量化に有利となる。
上記構成の本発明のケースレスフィルムコンデンサには、次に説明するようないくつかの好ましい態様ないし変化・変形の態様がある。
〔1〕前記耐湿性シートは、前記外部引き出し端子のうち前記複数個のフィルムコンデンサ素子の前記金属電極群と接続される部位を被覆するシート本体部と、このシート本体部の周辺に前記シート本体部の辺縁部から折り曲げられて前記金属電極群の側方位置まで延出する折り曲げ辺縁部とを有している、という態様がある。
耐湿性シートの形態として平坦で1平面的なシート(つまり折り曲げ辺縁部がなくてシート本体部のみに相当するもの)を想定すると、そのシートの端縁においてフィルムコンデンサ素子の両端面の金属電極が一部露出する状態となる。これに対して、上記のようにシート本体部の周辺に折り曲げ辺縁部を連接した構成とすれば、金属電極の表面のみならず側面を含む全体を耐湿性シートで被覆することが可能となる。すなわち、外装樹脂から金属電極にかけての沿面距離つまり水分浸入経路長を増やすことで、耐湿性能をさらに向上させることが可能となる。
シート本体部の周辺に折り曲げ辺縁部を連接することに代えて、外部引き出し端子の周辺に折り曲げ辺縁部を連接することも考えられるが、シート本体部に折り曲げ辺縁部を連接する方が加工容易性の面やコスト面で有利となる。
〔2〕また、前記耐湿性外装フィルムは、前記フィルムコンデンサ素子における熱融着性を有する後巻きフィルムとして構成されている、という態様がある。
熱融着性の後巻きフィルムを耐湿性外装フィルムとして用いて部材兼用を行うことにより、フィルムコンデンサ素子の小型化を図り、生産性の向上と製造コストダウンを有利に進めることが可能となる。
〔3〕また、前記耐湿性外装フィルムは、基材と当該基材上に設けられたバリア層からなる一対の構成単位が、前記バリア層の上に前記基材が配置されるように重ねられ、最外層に外部保護層を有し、前記基材がポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリ塩化ビニリデンからなる群から選択されるいずれかであり、前記バリア層がシリカまたはアルミナを含む無機材質層である、という態様がある。
これらは耐湿性に優れ、適度な弾性をもっている。特にポリ塩化ビニリデンは耐湿性のほかガスバリア性も兼ね備え、自己粘着性を有している。
〔4〕また、前記外装樹脂の透湿度が1.5~4.0g/m2 /dayである一方、前記耐湿性外装フィルムの透湿度が0.3g/m2 /day以下である、という態様がある。
本発明によれば、ケースレスフィルムコンデンサの小型化・軽量化を図りながら、外部からの水分浸入に対する防止機能を向上させることができる。特に、コンデンサ素子ユニットを構成する複数個のフィルムコンデンサ素子の1つずつにつき、その外周部を透湿度が外装フィルムより低い耐湿性外装フィルムの巻き付けによって被覆するとともに、外部引き出し端子の外表面を金属電極群の全域に対応する部位とともに耐湿性シートで被覆したので、一層の小型化・軽量化と耐湿性能向上とを図ることができる。
本発明の実施例における金属化フィルム巻回体を構成する金属化フィルムを示す斜視図 本発明の実施例における円柱状の金属化フィルム巻回体の作製途中を示す斜視図 本発明の実施例におけるフィルムコンデンサ素子の断面図(a)と、フィルムコンデンサ素子の斜視図(b) 本発明の実施例における耐湿性外装フィルムの構成例を示す断面図 本発明の実施例におけるコンデンサ素子ユニットを示す斜視図 本発明の実施例におけるコンデンサ素子ユニットと上下のバスバーを示す分割状態の斜視図 本発明の実施例におけるコンデンサ素子ユニットと上下のバスバーの組み立て状態を示す斜視図 本発明の実施例における上側のバスバーと上側の耐湿性シートを示す分割状態の斜視図 本発明の実施例における下側のバスバーと下側の耐湿性シートを示す分割状態の斜視図 本発明の実施例における外装樹脂以外の部分の組み立て状態を示す斜視図 本発明の実施例におけるケースレスフィルムコンデンサの外観を示す斜視図 本発明の実施例におけるケースレスフィルムコンデンサの構造を示す縦断面図
以下、上記構成の本発明のケースレスフィルムコンデンサにつき、その実施の形態を図1~図12を用いて具体的な実施例のレベルで詳しく説明する。
図1~図12において、10はフィルムコンデンサ素子、10Aはコンデンサ素子ユニット、10Bは樹脂充填空間部、11は先巻フィルム、12はフィルムコンデンサ素子10の本体部を構成する金属化フィルム巻回体、12Aは金属化フィルム、13は誘電体フィルム、14は金属薄膜電極、15は耐湿性外装フィルム、16は電極引き出し用の金属電極(メタリコン)、17はバスバー(外部引き出し端子)、17aは外部接続端子部、17bは接続用小突片、17cは接続用孔、17dはバスバー17の空気抜き穴(端子側空気抜き穴)、18は耐湿性シート、18aはシート本体部、18bは折り曲げ辺縁部、18dは耐湿性シート18の空気抜き穴(シート側空気抜き穴)、19はエポキシ樹脂などの外装樹脂である。
図1は図2、図3に示す金属化フィルム巻回体12を構成する金属化フィルム12Aを示している。図1に示すように、誘電体フィルム13の片面(両面の場合もある)に金属を蒸着させて金属薄膜電極14を形成することにより金属化フィルム12Aを構成している。誘電体フィルム13の一側の端縁領域は絶縁マージン13a(白抜き部分)として残し、それ以外の領域を金属薄膜電極14(ハッチング部分)としている。絶縁マージン13a,13aがフィルム幅方向で互いに逆側に位置するように2枚の金属化フィルム12A,12Aを対向配置し、両矢印Y1,Y2で示すようにフィルム幅方向でずらした状態で重ね合わせる。このとき、2枚の金属化フィルム12A,12Aにおいて、フィルム面に対する金属薄膜電極14,14の存在側が同じ向き(図示例では上向き)となる状態で重ね合わせる。
図2は、円柱状の金属化フィルム巻回体12の作製途中を示す。図1のようにして2枚重ね合わされた金属化フィルム12A,12Aを図2に示すように先巻フィルム11を中心としてその周囲にロール状に巻回する。一方の金属化フィルム12Aの巻き終わり部分に耐湿性外装フィルム15を接合し、金属化フィルム巻回体12の巻き終わり部分の外周面に対し引き続いて耐湿性外装フィルム15を巻き付ける。耐湿性外装フィルム15は複数回にわたって巻回することが好ましい。
図3に示すように、金属化フィルム巻回体12は、先巻フィルム11の周りに金属化フィルム12Aを多重に巻回して構成されている。そのフィルム重なり部分どうし間に金属薄膜電極14を介在させている。部分拡大図(a1)に示すように、径方向で対向して重なり合う一対の隣接する誘電体フィルム13,13どうし間に金属薄膜電極14が介在し、逆に、径方向で対向して重なり合う一対の隣接する金属薄膜電極14,14どうし間に誘電体フィルム13が介在している。つまり、誘電体フィルム13と金属薄膜電極14とは交互に繰り返す積層状態となっている。一対の金属薄膜電極14,14によって誘電体フィルム13をサンドイッチ状に挟み込む構造がコンデンサ(蓄電)構造となっている。耐湿性外装フィルム15は金属化フィルム巻回体12の外周部に対して巻回され、ヒートシール等を用いた熱溶着によって固定されている。その熱溶着は耐湿性外装フィルム15自身に対して行われる。ヒートシールにおいては、最外装フィルムから2~5層を熱溶着することが好ましい。
この耐湿性外装フィルム15は、その耐湿性能が外装樹脂19よりも高いものが採用されている。すなわち、フィルムコンデンサ素子10において、金属化フィルム巻回体12の外周部に外装樹脂19に比べて透湿度が低い耐湿性外装フィルム15が巻回されている。外装樹脂19と耐湿性外装フィルム15の透湿度の具体例は以下のとおりである。すなわち、外装樹脂19(厚み2mm)の透湿度は、1.5~4.0g/m2 /dayに対し、耐湿性外装フィルム15の透湿度は、後述する図4(b)に示す構成(厚み約60μm)によれば、0.3g/m2 /day以下である。なお、耐湿性外装フィルム15としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)を基材として用いることが好適であり、外装樹脂19としてはエポキシ樹脂が好適である。これらは耐湿性に優れ、適度な弾性をもっている。PVDCは耐湿性のほかガスバリア性も兼ね備え、自己粘着性を有している。
図4に耐湿性外装フィルム15の構成例を示す。図4(a)に示すように、耐湿性外装フィルム15は、基材15aとバリア層15bとを一対の単位として構成される。基材15aとしては上記した材質が用いられ、その厚みは10~20μm程度の加工性に問題のない範囲であることが好ましい。また、バリア層15bは、厚み0.5μm程度のシリカ、アルミナ等の無機材質層により形成される。なお、耐湿性能を高めるため、上記構成単位を複数重ね合せてもよい。図4(a)では、上記構成単位を2つ重ね合せた例を示している。また、基材15aと反対側の表面には、上記構成単位を保護するため、バリア層15b上に外部保護層15cが設けられる。外部保護層15cとしては基材15aと同等の材質および厚みのものが用いられる。
ここで、図4(b)に示すように、バリア層15bを保護するために内部保護層15dをバリア層15b上に設けてもよい。内部保護層15dを設けることにより、フィルム製造時の重ね合わせ工程で受ける損傷等からバリア層15bを保護することができる。内部保護層15dとしては厚み6μmまでのポリ塩化ビニリデン(PVDC)が好適に用いられる。
次に、円柱状の金属化フィルム巻回体12を図3に示すように、プレスによる加熱成形で断面小判状の柱状体に成形する。そして、金属化フィルム巻回体12の軸方向両端面において、誘電体フィルム13の重なり部分どうし間の金属薄膜電極14,14に接続する状態で金属溶射等により金属電極(メタリコン)16,16が形成され、フィルムコンデンサ素子10が構成されている。このように構成されたフィルムコンデンサ素子10が図5に示すように複数個、軸方向を互いに平行にした状態で縦横両方向に並列に配置され、コンデンサ素子ユニット10Aを構成している。
図6、図7に示すように、コンデンサ素子ユニット10Aにおいて、各フィルムコンデンサ素子10の軸方向(上下方向)両端面に形成された金属電極16,16のそれぞれに外部引き出し端子としての板状のバスバー17,17が電気的に接続されている。バスバー17,17の本体部はほぼ長方形状を呈し、その長方形の遊端側にある短辺縁の1つからほぼ直角に折り曲げられた状態で外部接続端子部17a,17aが一体的に連接されている。下側のバスバー17と一体の外部接続端子部17aは、上側のバスバー17と一体の外部接続端子部17aよりも長い状態に形成され、それぞれの端縁(上端縁)はほぼ同じ位置になっている。図示例の場合、コンデンサ素子ユニット10Aにおけるフィルムコンデンサ素子10は9個あり、3行3列に並列されている。バスバー17,17はそれぞれ3行3列の合計9個のフィルムコンデンサ素子10に対して一括的に接続されている。
バスバー17と金属電極16との電気的接続について説明する。ここでは、上側のバスバー17について説明する。上側のバスバー17には、個々のフィルムコンデンサ素子10に位置対応させて、接続用小突片17bを残して貫通状態で切り抜いた接続用孔17cが縦横両方向の配列状態で形成されている。接続用孔17cの位置で、接続用小突片17bをフィルムコンデンサ素子10の金属電極16に対して抵抗溶接やはんだ付け等により電気的に接続されている。下側のバスバー17についても、これと同様の加工が施されており、接続用小突片17b、接続用孔17cが存在している。
次に、バスバー17に形成された端子側空気抜き穴17dについて説明する。ここでは、上側のバスバー17について説明する。上側のバスバー17において、縦横両方向に並列された複数個のフィルムコンデンサ素子10の隣り合うものどうし間に生じている樹脂充填空間部10B(菱形の4辺を内側に円弧状にした断面形状の柱状体)のほぼ中央部に位置対応させて、樹脂内部に残存する空気を外部へ逃がすための端子側空気抜き穴17dが複数個形成されている。下側のバスバー17についても、これと同様の加工が施されており、同様に空気抜き穴17dが存在している。
複数個のフィルムコンデンサ素子10において、それぞれの上端側の金属電極16は同一の平面内に位置し、それぞれの下端側の金属電極16も別の同一の平面内に位置している。これら2つの平面は互いに平行となっている。そして、上側のバスバー17はコンデンサ素子ユニット10Aにおける上側の1つの平面内の金属電極16群に対して接合され、一方、下側のバスバー17はコンデンサ素子ユニット10Aにおける下側の1つの平面内の金属電極16群に対して接合されている。
図8、図9、図10に示すように、上側のバスバー17の外表面(外装樹脂19により外装される上側面)は、その面のほぼ全域にわたって耐湿性シート18で被覆され、下側のバスバー17の外表面(外装樹脂19により外装される下側面)は、その面のほぼ全域にわたって耐湿性シート18で被覆されている。さらに、遊端側の外部接続端子部17a,17aを除く状態で、コンデンサ素子ユニット10Aと上下のバスバー17,17と上下の耐湿性シート18,18の全体がモールド成形の外装樹脂19で外装されている。
上記の耐湿性シート18,18は、その耐湿性能が外装樹脂19よりも高く設定されている。すなわち、上下両側のバスバー17,17のそれぞれは、外装樹脂19により外装される外表面のうち少なくとも金属電極16と接続される部位が、そのほぼ全域にわたって外装樹脂19に比べて透湿度が低い耐湿性シート18,18によって被覆されている。耐湿性シート18,18の材質および厚みは、耐湿性外装フィルム15と同様なものが用いられる。
耐湿性シート18,18の形状について、本実施例の場合には、矩形(長方形であるが正方形も可)のシート本体部18aと、このシート本体部18aの4辺の辺縁部のそれぞれから直角または直角に近い状態で折り曲げられて金属電極16,16の側方位置まで延出する折り曲げ辺縁部18bとを有する構造となっている。
上側の耐湿性シート18には、バスバー17の複数の端子側空気抜き穴17dのそれぞれに位置対応させてシート側空気抜き穴18dが形成されている。この耐湿性シート18のシート側空気抜き穴18dの開口面積に対して、上記のバスバー17の端子側空気抜き穴17dの開口面積はより大きなものになっている。端子側空気抜き穴17dもシート側空気抜き穴18dも円形であり、端子側空気抜き穴17dはシート側空気抜き穴18dよりも大径となっている。両空気抜き穴17d,18dは同心状となるように位置関係が定められている。下側の耐湿性シート18についても、これと同様の加工が施されている。なお、両空気抜き穴17d,18dの形状については、円形以外の任意の形状であってもよい。
コンデンサ素子ユニット10Aと、コンデンサ素子ユニット10Aを構成するフィルムコンデンサ素子10の上下の金属電極16,16に電気的に接続した上下のバスバー17,17と、上下のバスバー17,17に張り合わせた上下の耐湿性シート18,18とを外装樹脂19で外装するに当たっては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂ケースを用いることなく、それら3要素の一体物を金型内にセッティングし、金型キャビティ内にモールド樹脂を注入充填して硬化させることにより外装樹脂19を形成する。金型から離型すれば樹脂ケースのないケースレスなフィルムコンデンサが得られる。
上記のような構造をもつケースレスフィルムコンデンサには、次のような利点がある。
すなわち、水分遮断機能を外装樹脂19と耐湿性フィルム(耐湿性外装フィルム15や耐湿性シート18)とに分担させるのであるが、その耐湿性フィルム(耐湿性外装フィルム15や耐湿性シート18)として透湿度が外装樹脂19に比べて低いものを用いるので、外装樹脂19の厚みを薄くしながら、ケースレスフィルムコンデンサの耐湿性能を向上させることができる。その結果、外部からコンデンサ内部へ浸入しようとする水分に対する遮断機能を向上できるとともに、ケースレスフィルムコンデンサの小型化・軽量化を図ることができる。
また、耐湿性シート18,18において、そのシート本体部18aの周辺に折り曲げ辺縁部18bを一体的に連接してあるので、金属電極16,16の表面および側面を含む全体を耐湿性シート18,18で被覆することができる。その結果として、外装樹脂19から金属電極16,16にかけての沿面距離つまり水分浸入経路長が増し、ケースレスフィルムコンデンサの耐湿性能をさらに向上させることができる。
また、コンデンサ素子ユニット10Aの樹脂充填空間部10Bに位置対応させてバスバー17,17に端子側空気抜き穴17d,17dを形成し、耐湿性シート18,18にシート側空気抜き穴18d,18dを形成しているので、外装樹脂19の厚み減少や不均一などの不具合が防止されるとともに、ボイドに起因するクラック発生等も防止される。
また、端子側空気抜き穴17d,17dの開口面積をシート側空気抜き穴18d,18dの開口面積より大きくしてあるので、金属電極16,16に至るまでの水分浸入経路の形状が断面形状で2段のL字形(縦経路-横経路-縦経路-横経路の2段屈折経路)となる。その結果、水分浸入に対する実効的な抵抗作用長が、両方の空気抜き穴の開口面積を同じにした場合(水分浸入経路の形状が1段のL字形(縦経路-横経路)の1段屈折経路)に比べて、より長いものとなる。つまり、この2段屈折経路によるラビリンス(迷路)効果によって、水分浸入防止の効果が向上する。これによって、ケースレスフィルムコンデンサの耐湿性能を向上させることができる。
耐湿性外装フィルム15については、これをフィルムコンデンサ素子10における後巻きフィルムとして構成することが望ましい。この場合、後巻きフィルムは熱融着性のものを用いる。すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などの熱融着性にある基材を両面に貼り合わせた形態の後巻きフィルムが好ましい。特に、熱によるフィルムコンデンサ素子10の劣化を抑制するため、熱融着温度を極力下げることが好ましい。この観点からは後巻きフィルムの基材として、ポリプロピレン(PP)が好適に用いられる。金属化フィルム巻回体12の最外周の膜要素として後巻きフィルムを巻回し、その巻回状態の後巻きフィルムをそれ自体で(端縁部と巻回部とで)熱融着し、これによって金属化フィルム巻回体12の外周部に耐湿性外装フィルム15が構成される。
このように熱融着性の後巻きフィルムを耐湿性外装フィルム15として用いると、部材兼用によるフィルムコンデンサ素子10の小型化とともに、生産性の向上と製造コストダウンを図ることができる。
ちなみに、本発明の特徴構成以外の条件は従来と同じとして、所定の耐湿特性を得るために外装樹脂の厚みが、従来は5~6mm必要としていたところ、本実施例では3mmまで減らすことができた。
本発明は、ケースレスフィルムコンデンサに関して、外部引き出し端子の外部接続端子部を除いたフィルムコンデンサ素子全体を覆う外装樹脂の薄肉化と水分浸入防止機能の向上とを共に図る技術として有用である。
10 フィルムコンデンサ素子
10A コンデンサ素子ユニット
15 耐湿性外装フィルム
15a 基材
15b バリア層
15c 外部保護層
16 電極引き出し用の金属電極(メタリコン)
17 バスバー(板状の外部引き出し端子)
17a 外部接続端子部
18 耐湿性シート
18a シート本体部
18b 折り曲げ辺縁部
19 外装樹脂

Claims (5)

  1. 両端面に一対の電極引き出し用の金属電極が形成されてなる複数個のフィルムコンデンサ素子が互いに軸方向を平行にした状態で並列に配置されたコンデンサ素子ユニットと、
    前記コンデンサ素子ユニットを構成する前記複数個のフィルムコンデンサ素子の両端面に位置する一対の金属電極群のそれぞれに電気的に接続された外部引き出し端子と、
    前記外部引き出し端子における遊端側の外部接続端子部を除く前記外部引き出し端子の一部および前記コンデンサ素子ユニットを構成する前記複数個のフィルムコンデンサ素子の全体を外装する外装樹脂とを有するケースレスフィルムコンデンサであって、
    前記コンデンサ素子ユニットを構成する前記複数個の前記フィルムコンデンサ素子の各々の前記両端面を除く外周部に耐湿性外装フィルムが巻き付けられ、かつ、
    前記外部引き出し端子のそれぞれは、前記外装樹脂により外装される外表面が前記金属電極群の全域に対応する部位とともに耐湿性シートで被覆され、
    前記耐湿性外装フィルムおよび前記耐湿性シートは、前記外装樹脂に比べて透湿度が低いことを特徴とするケースレスフィルムコンデンサ。
  2. 前記耐湿性シートは、前記外部引き出し端子のうち前記複数個のフィルムコンデンサ素子の前記金属電極群と接続される部位を被覆するシート本体部と、このシート本体部の周辺に前記シート本体部の辺縁部から折り曲げられて前記金属電極群の側方位置まで延出する折り曲げ辺縁部とを有している請求項1に記載のケースレスフィルムコンデンサ。
  3. 前記耐湿性外装フィルムは、前記フィルムコンデンサ素子における熱融着性を有する後巻きフィルムとして構成されている請求項1または請求項2に記載のケースレスフィルムコンデンサ。
  4. 前記耐湿性外装フィルムは、基材と当該基材上に設けられたバリア層からなる一対の構成単位が、前記バリア層の上に前記基材が配置されるように重ねられ、最外層に外部保護層を有し、
    前記基材がポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリ塩化ビニリデンからなる群から選択されるいずれかであり、
    前記バリア層がシリカまたはアルミナを含む無機材質層である請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のケースレスフィルムコンデンサ。
  5. 前記外装樹脂の透湿度が1.5~4.0g/m2 /dayである一方、
    前記耐湿性外装フィルムの透湿度が0.3g/m2 /day以下である請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のケースレスフィルムコンデンサ。
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