JP2012227222A - 金属化フィルムコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】ケースレス構造であって小型化と軽量化が実現され、耐透湿性能に優れた金属化フィルムコンデンサを提供する。
【解決手段】金属化フィルムを巻き回し、もしくは積層させてなる金属化フィルム柱体1の2つの電極取り出し面に金属溶射部2,2が形成され、金属化フィルム柱体1の電極取り出し面以外の領域を外装フィルム5が被覆してなる金属化フィルムコンデンサ10において、金属溶射部2から金属化フィルム柱体1の周面の外装フィルム5の一部に亘って低透湿性被膜6が被覆している。
【選択図】図1
【解決手段】金属化フィルムを巻き回し、もしくは積層させてなる金属化フィルム柱体1の2つの電極取り出し面に金属溶射部2,2が形成され、金属化フィルム柱体1の電極取り出し面以外の領域を外装フィルム5が被覆してなる金属化フィルムコンデンサ10において、金属溶射部2から金属化フィルム柱体1の周面の外装フィルム5の一部に亘って低透湿性被膜6が被覆している。
【選択図】図1
Description
本発明は、巻回し型もしくは積層型の金属化フィルム柱体がケース内に収容され、かつケース内のモールド樹脂体内に埋設されてなる金属化フィルムコンデンサに関するものである。
従来の金属化フィルムを巻き回してなる巻回し型、もしくは金属化フィルムを積層してなる積層型の金属化フィルムコンデンサは、図8で示すように、巻き回しもしくは積層してなる金属化フィルム柱体fの両端の2つの電極取り出し面に金属溶射部m,m(もしくはメタリコン、メタリコン電極)が形成され、これら2つの金属溶射部m,mに外部引き出し端子b,bがはんだ接合hされたものがケースc内に収容され、ケースc内に形成されたモールド樹脂体jにて封止された構造のものが一般的である。より詳細には、金属化フィルム柱体fの周面にポリエチレンテレフタレート(PET)などからなる防水性フィルムbfを数十回程度巻装して防水被膜を形成し、この外側にモールド樹脂体jが形成されている。なお、この一般構造の金属化フィルムコンデンサがたとえば特許文献1で開示されている。
しかし、特許文献1や図8で示す構造の金属化フィルムコンデンサでは、ケースを具備するものであることからその体格が大きくならざるを得ない。特に車載用コンデンサの場合には、容量が数百μFと大容量かつ大型のものとなり易いことから使用されるモールド樹脂材量も多くなるのが一般的であり、モールド樹脂材量が多くなることでケース体格も大きくなり、コンデンサ体格が増大することに加えて重量も増加することとなってしまう。さらには、モールド樹脂材量が多くなることで樹脂材料が硬化した後の残留応力増を招いてここにクラックが生じ易くなり、本来の防水機能が十分に発揮できないという課題もある。したがって、環境フレンドリーで低燃費な車両実現に向けてその小型化が進んでいる昨今の車両への搭載に当たっては、ケースを廃したケースレス構造で小体格かつ軽量な金属化フィルムコンデンサの重要性が高まっている。
ケースやケース内のモールド樹脂体を廃したケースレス構造の金属化フィルムコンデンサにおいては、その小型化や軽量化を図ることができるというメリットの反面、その耐透湿性能確保が重要な課題となってくる。金属化フィルムコンデンサは水分の浸入によってたとえばアルミ電極が劣化して静電容量の低下の原因となったり、フィルムが吸水することで絶縁抵抗や耐圧が低下する原因となる。たとえば特許文献2では、バスバーが接続されたコンデンサ素子の全周をノルボルネン系樹脂製の外装体で被覆してその耐透湿性能を確保するケースレス構造の金属化フィルムコンデンサが開示されている。
特許文献2で開示される金属化フィルムコンデンサは、金属化フィルム柱体の全周を樹脂製の外装体で完全に包囲するものであることから、ケースレス構造としたにもかかわらず十分な体格低減効果が得られないものとなっており、さらには、外装体の重量も大きくなってコンデンサの全重量が嵩んでしまうことから、ケースレス構造を適用した際のメリットを十分に享受できていない。
そこで本発明者等は、コンデンサ素子への透湿経路を詳細に分析し、可及的に少ない量の防湿材料にてコンデンサ素子の一部を被覆させることにより、その耐透湿性能を確保することのできるケースレス構造の金属化フィルムコンデンサの発案に至っている。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、ケースレス構造であって小型化と軽量化が実現され、耐透湿性能に優れた金属化フィルムコンデンサを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による金属化フィルムコンデンサは、金属化フィルムを巻き回し、もしくは積層させてなる金属化フィルム柱体の2つの電極取り出し面に金属溶射部が形成され、金属化フィルム柱体の電極取り出し面以外の領域を外装フィルムが被覆してなる金属化フィルムコンデンサにおいて、金属溶射部から金属化フィルム柱体の周面の一部に亘って低透湿性被膜が被覆しているものである。
本発明の金属化フィルムコンデンサは、当該コンデンサ内への透湿経路を詳細に分析した結果として特定された透湿度の最も高い金属溶射部に対し、金属溶射部から金属化フィルム柱体の周面の一部(すなわち、外装フィルムの端部)に亘って低透湿性被膜が被覆した構成を適用することにより、従来の金属化フィルムコンデンサに比して透湿度が格段に低減され、もって耐透湿性に優れたものである。
さらに、本発明の金属化フィルムコンデンサは、ケースレス構造を呈し、金属溶射部とその近傍にのみ低透湿性被膜を被覆させた構成であることから、体格が増大することもなく、重量が嵩むこともない。
ここで、金属化フィルム柱体は、ポリプロピレン(PP)やポリフェニレンサルファイド(PPS)などからなる誘電体フィルムの表面にアルミニウムや亜鉛などからなる金属蒸着膜が形成されてなる金属化フィルムを2枚積層して一組とし、双方の金属化フィルムが異なる端部に絶縁マージンを有することでそれぞれが固有の金属溶射部(メタリコン電極)に接触するようになっている。さらに、金属蒸着膜のうち、絶縁マージンと反対側の端部であって金属溶射部と接触する端部は電極接触を保証するために他の部位よりも厚めのいわゆるヘビーエッジとなっており、たとえば、金属蒸着膜の一般部が30nm程度である場合に、ヘビーエッジは倍の60nm程度に調整されている。
巻回し型もしくは積層型の金属化フィルム柱体の両端の電極取り出し面に、亜鉛などからなる金属溶射部が形成され、この金属溶射部に外部引き出し端子の一部がはんだ付けされる。この外部引き出し端子は、棒状や板状のバスバーなどからなり、その素材としては銅やアルミニウム、ニッケル、ステンレスなどが適用される。
金属化フィルム柱体の該電極取り出し面以外の周面にはポリエチレンテレフタレート(PET)などからなる外装フィルム(防水性フィルム)がたとえば数十回程度巻装されて当該周面を被覆している。
上記するように、金属溶射部の外部にはバスバーなどの外部引き出し端子が配設されるが、この外部引き出し端子を巻き込むようにして金属溶射部の外周からさらに金属化フィルム柱体の周面の外装フィルムに亘るように低透湿性被膜が配設される。
ここで、低透湿性被膜としては、低透湿性の熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのうちのいずれか一種を適用することができ、これらを金属溶射部の外部にコーティングして形成された被膜や、これらの樹脂素材からなるシート状の被膜を金属溶射部の外部に接着してなる形態などを挙げることができる。なお、本発明者等による実験結果に基づき、本明細書において「低透湿性」とは、被膜の透湿度として、24時間あたりで20g/m2程度かそれ以下の透湿度を示すものである。
低透湿性被膜の端部は、金属化フィルム柱体の周面の外装フィルムの一部と積層した状態で密着することから、低透湿性被膜と外装フィルムは同素材の樹脂から形成されているのが好ましい。
双方の端部同士を積層させて接着させるに当たり、双方ともにたとえばポリエチレンテレフタレートから形成されている場合は、双方を同一温度で溶融させて双方の分子同士の絡み合いを図り易くでき、外装フィルムと低透湿性被膜の間の良好な密着性を保証して密着箇所に高いシール性を付与することができる。
また、たとえば、外装フィルムに比して融点の高い低透湿性被膜を使用することで、低透湿性被膜の密着部を溶融させた際に外装フィルムも溶融させることができ、同様に良好な密着性を担保することができる。
また、前記低透湿性被膜として、金属板もしくは金属箔層のいずれかを適用することもできる。
金属溶射部の外周に金属箔層を配設する場合は、金属溶射部の表面をめっき処理して金属箔層を形成することができる。また、金属溶射部の外周に金属板を配設する場合は、金属溶射部の表面に金属板を接着することができる。いずれの形態であれ、金属板もしくは金属箔層が金属溶射部の周囲に配され、さらに金属化フィルム柱体の周面の外装フィルムの端部と金属板等の端部が積層してこの積層箇所で双方が接着等される。なお、金属板の素材によっては、透湿度がゼロ、すなわち、完全に透湿させない素材もあることから、このように透湿度ゼロの性能も本明細書では「低透過性」に含むものとする。
さらに、本発明による金属化フィルムコンデンサの他の実施の形態として、前記金属溶射部内に低透湿性の金属板もしくは金属箔層が埋設され、さらに金属板もしくは金属箔層が金属化フィルム柱体の周面の一部にまで延びて被覆しているものであってもよい。
金属溶射部を形成し、その外周に既述するようにして金属板もしくは金属箔層を配設し、その外側にさらに金属溶射部を形成することで金属溶射部内に低透湿性の金属板もしくは金属箔層が埋設された構成を形成できる。この金属溶射部内に埋設された金属板等は、さらに金属化フィルム柱体の周面の一部にまで延びてここで積層し、該周面の一部と接着等される。
以上の説明から理解できるように、本発明の金属化フィルムコンデンサによれば、金属溶射部から金属化フィルム柱体の周面の一部、すなわち外装フィルムの端部に亘って低透湿性被膜が被覆している構成を適用したことにより、ケースレスであってケース内の封止樹脂体も存在しない構成であるにもかかわらず、透湿度の最も高い金属溶射部の透湿度を格段に低減することができ、もって耐透湿性能に優れた金属化フィルムコンデンサを提供することができる。また、この金属化フィルムコンデンサは、低透湿性被膜が金属溶射部やその近傍にのみ配設された構成であることから、体格も小さく、軽量な金属化フィルムコンデンサとなる。
以下、図面を参照して本発明の金属化フィルムコンデンサの実施の形態を説明する。
(金属化フィルムコンデンサの実施の形態1)
図1は、本発明の金属化フィルムコンデンサの一実施の形態を縦断面図で示したものである。図示する金属化フィルムコンデンサ10は、金属化フィルムが巻装されてなる金属化フィルム柱体1と、その周囲を被覆する外装フィルム5と、金属化フィルム柱体1の両端の2つの電極取り出し面に形成された金属溶射部2,2(メタリコン電極)と、この金属溶射部2,2のそれぞれにはんだ層4,4を介して繋がれた外部引き出し端子3(バスバー)と、金属溶射部2から外装フィルム5の端部に亘って被覆する低透湿性被膜6とから大略構成されている。また、この金属化フィルムコンデンサ10はケースレス構造を呈しており、したがって、ケース内にモールドされるモールド樹脂体も当然に存在しない。
図1は、本発明の金属化フィルムコンデンサの一実施の形態を縦断面図で示したものである。図示する金属化フィルムコンデンサ10は、金属化フィルムが巻装されてなる金属化フィルム柱体1と、その周囲を被覆する外装フィルム5と、金属化フィルム柱体1の両端の2つの電極取り出し面に形成された金属溶射部2,2(メタリコン電極)と、この金属溶射部2,2のそれぞれにはんだ層4,4を介して繋がれた外部引き出し端子3(バスバー)と、金属溶射部2から外装フィルム5の端部に亘って被覆する低透湿性被膜6とから大略構成されている。また、この金属化フィルムコンデンサ10はケースレス構造を呈しており、したがって、ケース内にモールドされるモールド樹脂体も当然に存在しない。
金属化フィルム柱体1の具体的な構成は、不図示の金属蒸着膜が不図示の誘電体フィルムの一側面に形成されて金属化フィルムが形成され、この金属化フィルムを2枚積層して一組とし(2枚一対の金属化フィルム)、この2枚一対の金属化フィルムが巻き回されて構成されている。
ここで、一組の金属化フィルムの一方の誘電体フィルムの一側面に形成された金属蒸着膜は、その長手方向に沿う一方端が一方の金属溶射部2に密着しており、その長手方向に沿う他方端には、他方の金属溶射部2から絶縁されるべく、たとえば2mm程度の隙間領域(絶縁マージン)が設けられている。また、金属蒸着膜のうちで上記金属溶射部2に密着している端部は、電極接触を保証するために他の部位よりも厚めのいわゆるヘビーエッジとなっており、たとえば、金属蒸着膜の一般部が30nm程度である場合に、ヘビーエッジは倍の60nm程度に調整される。
ここで、誘電体フィルムは、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などから形成でき、金属蒸着膜は、アルミニウムや亜鉛、銅などを誘電体フィルム表面に蒸着することで形成される。さらに、金属溶射部2は、金属化フィルム柱体1の電極取り出し面にアルミニウムや亜鉛などを溶射することで形成される。
金属化フィルム柱体1のうち、電極取り出し面以外の周囲を被覆する外装フィルム5は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などからなる防水性フィルムがたとえば数十回程度巻装されて形成される。
また、低透湿性被膜6としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)のいずれか一種の樹脂素材からなる被膜を適用することができ、これらを金属溶射部2の外部に外部引き出し端子3やはんだ層4を巻き込むようにしてコーティングすることにより、低透湿性被膜6を形成する。なお、ここで、「低透湿性」とは被膜の透湿度として、24時間あたりで20g/m2程度かそれ以下の透湿量を示すものである。
たとえば、ポリエチレンテレフタレートからなる外装フィルム5に対して、低透湿性被膜6も同素材のポリエチレンテレフタレートから形成しておくことで、低透湿性被膜6の端部6aを外装フィルム5の端部に積層させて双方の端部同士を接着させるに当たり、双方を同一温度で溶融させて双方の分子同士の絡み合いを図り易くでき、良好な密着性を保証することができる。
後述する実験結果より、金属化フィルムコンデンサ10を構成する構成要素の中で最も透湿度の高い金属溶射部2の外周を低透湿性被膜6で完全に被覆することにより、ケースレスであってケース内のモールド樹脂体も存在しない構成であるにもかかわらず、耐透湿性能に優れた金属化フィルムコンデンサとなる。さらには、低透湿性被膜6が金属溶射部2やその近傍にのみ配設された構成であることから、体格も小さく、軽量な金属化フィルムコンデンサとなる。
(金属化フィルムコンデンサの実施の形態2)
図2は、本発明の金属化フィルムコンデンサの他の実施の形態の縦断面図である。同図で示す金属化フィルムコンデンサ10Aは、樹脂素材の低透湿性被膜に代わり、ニッケルや銅、亜鉛などがめっき処理されてなる金属箔層6Aによって金属溶射部2の外周が被覆されたものである。
図2は、本発明の金属化フィルムコンデンサの他の実施の形態の縦断面図である。同図で示す金属化フィルムコンデンサ10Aは、樹脂素材の低透湿性被膜に代わり、ニッケルや銅、亜鉛などがめっき処理されてなる金属箔層6Aによって金属溶射部2の外周が被覆されたものである。
この金属箔層6Aの端部6Aaが外装フィルム5の端部に積層されるようにしてめっき処理を施し、双方を密着させる。
なお、図示を省略するが、めっき処理による金属箔層6Aに代わって、アルミニウムや銅、ステンレス等の金属板で金属溶射部2の外周を被覆してもよく、この形態においても、金属板の端部を外装フィルム5の端部に積層されるようにし、双方の積層箇所を接着等することで端部の密着性を担保するのがよい。ここで、金属板を適用する場合は透湿度がゼロ、すなわち、完全に透湿させない場合もあり得るが、ここでは透湿度ゼロの性能も「低透過性」の概念に包含されるものとする。
(金属化フィルムコンデンサの実施の形態3)
図3は、本発明の金属化フィルムコンデンサのさらに他の実施の形態の縦断面図である。同図で示す金属化フィルムコンデンサ10Bは、金属溶射部2,2A内に低透湿性の金属箔層6Aが埋設されたものである。
図3は、本発明の金属化フィルムコンデンサのさらに他の実施の形態の縦断面図である。同図で示す金属化フィルムコンデンサ10Bは、金属溶射部2,2A内に低透湿性の金属箔層6Aが埋設されたものである。
その形成方法は、金属溶射部2を形成した後、その外周にめっき処理を施して金属箔層6Aを形成し、その外側にさらに金属溶射部2Aを形成することによって金属溶射部2,2A内に低透湿性の金属箔層6Aが埋設された構成を形成できる。なお、金属箔層に代わって金属板が埋設された構成であってもよいことは既述の通りである。そして、金属溶射部2,2A内に埋設された金属箔層6Aの端部6Aaは、さらに外装フィルム5の端部にまで延びてここで積層し、外装フィルム5の端部に密着される。
[金属化フィルムコンデンサを構成する金属化フィルム柱体、外装フィルムおよび金属溶射部それぞれの透湿度を測定した実験とその結果]
本発明者等は、図4aとそのb−b矢視図である図4bで示すように、金属化フィルム柱体とその周囲の外装フィルム、およびその両端部の金属溶射部からなる金属化フィルムコンデンサモデルM(長さ100mm、幅40mm、厚み20mm)を作成し、各部の透湿度を測定する実験をおこなった。より具体的には、金属化フィルム柱体はその構成要素であるポリプロピレン(PP)からなる誘電体フィルムを測定対象とし、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる外装フィルムと亜鉛素材の金属溶射部(メタリコン)の各透湿度を測定した。なお、本実験は、25℃で湿度90%RHの室内でおこなっている。その結果を図5に示す。
本発明者等は、図4aとそのb−b矢視図である図4bで示すように、金属化フィルム柱体とその周囲の外装フィルム、およびその両端部の金属溶射部からなる金属化フィルムコンデンサモデルM(長さ100mm、幅40mm、厚み20mm)を作成し、各部の透湿度を測定する実験をおこなった。より具体的には、金属化フィルム柱体はその構成要素であるポリプロピレン(PP)からなる誘電体フィルムを測定対象とし、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる外装フィルムと亜鉛素材の金属溶射部(メタリコン)の各透湿度を測定した。なお、本実験は、25℃で湿度90%RHの室内でおこなっている。その結果を図5に示す。
同図より、誘電体フィルムの透湿度、外装フィルムの透湿度およびメタリコンの透湿度がそれぞれ11g/m2(24時間)、2g/m2(24時間)、130g/m2(24時間)となっており、低透湿度である誘電体フィルムおよび外装フィルムに対して、メタリコンの透湿度は格段に高いものであることが特定されている。
本発明の金属化フィルムコンデンサはこの実験結果に基づき、最も透湿度の高い透湿経路である金属溶射部に対して低透湿度の被膜を配設することで耐透湿性に優れた金属化フィルムコンデンサとしたものである。
次に、図4で示す金属化フィルムコンデンサモデルMを使用して、金属溶射部(メタリコン)からの透湿量の試算結果と、低減が可能な透湿量に関する試算結果を以下に示す。
まず、2つのメタリコンの端面の総面積は700×2面=1400mm2であり、外装フィルムの面積は10000mm2である。
金属化フィルムコンデンサ内部への透湿量としては、メタリコン面からの透湿量が、130(g/m2/日)×0.0014m2=0.182(g/日)であり、外装フィルムからの透湿量が、2(g/m2/日)÷20(巻回数による厚み要素)×0.01m2=0.001(g/日)である。
この試算結果より、メタリコン面からの透湿量が99.5%を占めることが分かった。そこで、仮にこのメタリコン面の透湿度をPET外装フィルムを20回巻回した場合に相当する0.1(g/m2/日)に低減できれば、透湿量は0.001(g/日)+0.1(g/m2/日)×0.0014m2=0.00114(g/日)となり、当初の透湿量の1/160まで低減することが可能となる。
この試算結果からも、金属溶射部(メタリコン)を低透湿性の被膜で被覆することにより、耐透湿性に優れた金属化フィルムコンデンサが得られることが分かる。
[図1で示す金属化フィルムコンデンサに関し、低透湿性の樹脂からなる低透湿性被膜(実施例)、低透湿性被膜無しおよび低透湿性でない被膜(比較例)それぞれの透湿度を測定した実験とその結果]
本発明者等は、JIS Z 0208で規定するカップ法を適用して以下表1で示す各種コーティング材からなる被膜を1mmのメタリコン板に配設して試験片を作成し、25℃で湿度90%RHの条件下における透湿度を測定する実験をおこなった。この実験は、図1で示す金属化フィルムコンデンサの構成要素である樹脂素材の低透湿性被膜として適切な素材を検証するための実験である。試験結果を図6に示す。
本発明者等は、JIS Z 0208で規定するカップ法を適用して以下表1で示す各種コーティング材からなる被膜を1mmのメタリコン板に配設して試験片を作成し、25℃で湿度90%RHの条件下における透湿度を測定する実験をおこなった。この実験は、図1で示す金属化フィルムコンデンサの構成要素である樹脂素材の低透湿性被膜として適切な素材を検証するための実験である。試験結果を図6に示す。
図6より、実施例1〜7の透湿度はいずれも24時間あたりで10g/m2程度かそれ以下の透湿度となっているのに対して、被膜の無い比較例1は120g/m2以上、比較例2,3もそれぞれ50g/m2程度、90g/m2程度と高い透湿度となることが実証されている。
本実験結果より、金属溶射部表面を被覆する被膜素材として、PETやPP,PE、PVDCのいずれか一種を適用するのが好ましいことが実証されている。
[図2,3で示す金属化フィルムコンデンサに関し、金属溶射部に金属板からなる低透湿性被膜を配したもの、金属溶射部内に金属板からなる低透湿性被膜を埋設したもの、および金属溶射部に金属箔層からなる低透過性被膜を形成したもの(以上、実施例)と、低透湿性被膜無し(比較例)それぞれの透湿度を測定した実験とその結果]
本発明者等は、JIS Z 0208で規定するカップ法を適用して、以下表2で示すように、メタリコンに各種素材の金属板からなる低透湿性被膜を配したもの(実施例1,2,3)、メタリコンに各種素材の金属板からなる低透湿性被膜を配し、かつ、素子外周のメタリコン露出面積を模擬した穴をこの金属板に設けたもの(実施例4,5)、メタリコン内に金属板からなる低透湿性被膜を埋設したもの(実施例6)、およびメタリコンに金属箔層からなる低透過性被膜をめっき処理したもの(実施例7,8,9、10)と、被膜無し(既述する比較例1と同様)の試験片をそれぞれ試作し、25℃で湿度90%RHの条件下における透湿度を測定する実験をおこなった。この実験は、図2,3で示す金属化フィルムコンデンサの有する各種金属素材の金属板や金属箔層をメタリコン外周に配設する構成やメタリコン内に金属板等を埋設する構成が耐透湿性向上効果を奏することができるか否かを検証するための実験である。試験結果を図7に示す。
本発明者等は、JIS Z 0208で規定するカップ法を適用して、以下表2で示すように、メタリコンに各種素材の金属板からなる低透湿性被膜を配したもの(実施例1,2,3)、メタリコンに各種素材の金属板からなる低透湿性被膜を配し、かつ、素子外周のメタリコン露出面積を模擬した穴をこの金属板に設けたもの(実施例4,5)、メタリコン内に金属板からなる低透湿性被膜を埋設したもの(実施例6)、およびメタリコンに金属箔層からなる低透過性被膜をめっき処理したもの(実施例7,8,9、10)と、被膜無し(既述する比較例1と同様)の試験片をそれぞれ試作し、25℃で湿度90%RHの条件下における透湿度を測定する実験をおこなった。この実験は、図2,3で示す金属化フィルムコンデンサの有する各種金属素材の金属板や金属箔層をメタリコン外周に配設する構成やメタリコン内に金属板等を埋設する構成が耐透湿性向上効果を奏することができるか否かを検証するための実験である。試験結果を図7に示す。
図7より、実施例1〜3,6では、ほぼ完全に水分透過を防止できることが実証されている。また、実施例4,5より、メタリコン厚さに起因する側面の外周面積からの透過が確認されるが、フィルムとの接触に必要な最小限のメタリコン厚さに設定することで透湿性を改善することができる。さらに、実施例7〜10の金属箔層をめっき処理にて形成されたものにおいても24時間あたりで5g/m2以下の透湿度となることが実証されており、いずれの実施例も耐透湿性に優れたものとなっている。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…金属化フィルム柱体、2…金属溶射部(メタリコン電極)、3…外部引き出し端子(バスバー)、4…はんだ層、5…外装フィルム、6…低透湿性被膜、6A…金属箔層(低透湿性被膜)、10,10A,10B…金属化フィルムコンデンサ
Claims (5)
- 金属化フィルムを巻き回し、もしくは積層させてなる金属化フィルム柱体の2つの電極取り出し面に金属溶射部が形成され、金属化フィルム柱体の電極取り出し面以外の領域を外装フィルムが被覆してなる金属化フィルムコンデンサにおいて、
金属溶射部から金属化フィルム柱体の周面の一部に亘って低透湿性被膜が被覆している金属化フィルムコンデンサ。 - 前記低透湿性被膜が低透湿性の樹脂からなる請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 前記外装フィルムと前記低透湿性の樹脂が同素材である請求項2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 前記低透湿性被膜が金属板もしくは金属箔層のいずれかである請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 金属化フィルムを巻き回し、もしくは積層させてなる金属化フィルム柱体の2つの電極取り出し面に金属溶射部が形成され、金属化フィルム柱体の電極取り出し面以外の領域を外装フィルムが被覆してなる金属化フィルムコンデンサにおいて、
前記金属溶射部内に低透湿性の金属板もしくは金属箔層が埋設され、さらに金属板もしくは金属箔層が金属化フィルム柱体の周面の一部にまで延びて被覆している金属化フィルムコンデンサ。
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---|---|---|---|---|
CN107978451A (zh) * | 2017-11-15 | 2018-05-01 | 南通江森电子科技有限公司 | 一种电容器多层喷金方法 |
JP2018160498A (ja) * | 2017-03-22 | 2018-10-11 | ニチコン株式会社 | ケースレスフィルムコンデンサ |
US10784046B2 (en) | 2016-03-25 | 2020-09-22 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Film capacitor |
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2011
- 2011-04-15 JP JP2011091241A patent/JP2012227222A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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