JP2011192788A - 金属化フィルムコンデンサ、金属化フィルムコンデンサ装置及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐湿性や放熱性を高め、製品重量を抑制した金属化フィルムコンデンサ、金属化フィルムコンデンサ装置及びこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】電極層を備える少なくとも2枚の誘電体フィルム(56、58)を巻回し、素子端面に金属を溶射して電極層の一方に電極部、素子端面に金属を溶射してなる電極層の他方に電極部を備えるコンデンサ素子(6)と、コンデンサ素子の各素子端面側に開口部(28)を備える外装部材(外装容器8)と、コンデンサ素子の素子端面との間に間隔を設けて外装部材を封口する封口部材(蓋部10、12)と、封口部材に貫通させて固定された端子部(14、16)と、端子部と電極部とを接続するリード部(30、32)と、封口部材と外装部材との間にある間隔(D5 )内に充填され、電極部を覆いかつ封口部材に密着させて外装部材と封口部材とを封止する封止樹脂(18)とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】電極層を備える少なくとも2枚の誘電体フィルム(56、58)を巻回し、素子端面に金属を溶射して電極層の一方に電極部、素子端面に金属を溶射してなる電極層の他方に電極部を備えるコンデンサ素子(6)と、コンデンサ素子の各素子端面側に開口部(28)を備える外装部材(外装容器8)と、コンデンサ素子の素子端面との間に間隔を設けて外装部材を封口する封口部材(蓋部10、12)と、封口部材に貫通させて固定された端子部(14、16)と、端子部と電極部とを接続するリード部(30、32)と、封口部材と外装部材との間にある間隔(D5 )内に充填され、電極部を覆いかつ封口部材に密着させて外装部材と封口部材とを封止する封止樹脂(18)とを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、乾式の金属化フィルムコンデンサ素子を用いたコンデンサ、コンデンサ装置及びこれらの製造方法に関し、例えば、パワーエレクトロニクス分野で用いられる金属化フィルムコンデンサ、金属化フィルムコンデンサ装置及びこれらの製造方法に関する。
高出力電源等、パワーエレクトロニクス分野では平滑化素子等に金属化フィルムコンデンサが用いられている。このような金属化フィルムコンデンサには高耐電圧、大容量のものが求められている。金属化フィルムコンデンサに要求される耐電圧や容量が単一の素子の耐電圧や容量を超える場合には、複数の素子を電気的に結線し、直列接続による高耐圧化、並列接続による大容量化又は直並列接続化による高耐圧化及び大容量化を図っている。
金属化フィルムコンデンサでは、高耐電圧や大容量化のため、ポリプロピレンフィルムにアルミニウム等を蒸着した金属化フィルムを使用し、絶縁油を含浸した湿式のものが用いられていた。絶縁油を含浸したものは大型で重く、可燃性の絶縁油を用いれば、燃えやすいという欠点がある。
このような金属化フィルムコンデンサに関し、複数の素子を結線してコンデンサ素子集合体を構成し、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等を充填して被覆した乾式の金属化フィルムコンデンサ集合体が知られている(特許文献1)。
樹脂充填型の乾式金属化フィルムコンデンサ集合体では、ケースに充填された樹脂に加熱硬化時の収縮でクラックを生じやすく、連結されたコンデンサ素子の集合体が樹脂硬化時の加熱による熱的ストレスや、樹脂のクラックによる物理的ストレスを受けるおそれがある。
充填樹脂にクラックを生じている場合、耐湿負荷試験を行うと、そのクラックから湿気が侵入することになる。この湿気が、コーティング等の処理がなされていない各コンデンサ素子の金属蒸着電極を酸化劣化させる原因になる。電極の酸化劣化は電極機能を滅失させ、静電容量を消失させることになる。
樹脂硬化時、コンデンサ素子に熱的ストレスや物理的ストレスが生じると、コンデンサ素子を構成するポリプロピレンフィルムに軟化や変形、巻回体自体の変形、一方の金属化フィルムの誘電体フィルムと他方の金属化フィルムのアルミニウム蒸着膜との間に密着を損なう空隙部分を生じさせ、その結果、初期静電容量が低下する不都合がある。
また、複数のコンデンサ素子を集合させた金属化フィルムコンデンサ集合体に高電流を流す場合にはその結線に銅板等のバスバーが用いられる。バスバーで複数のコンデンサ素子の電極部を結線した場合には、樹脂硬化時の各素子の位置ズレや、素子電極部とバスバーの結線部にストレスが加わると、結線状態を悪化させ、結線部抵抗の増加や結線部分で発熱を生じさせ、コンデンサ素子の耐圧低下やショート不良を生じることになる。
コンデンサ素子集合体の全体を充填樹脂で覆うと、充填樹脂がコンデンサ素子集合体の放熱性を悪化させ、使用時、コンデンサ素子集合体の温度上昇や、重量の増大等の不都合もある。
このような課題を解決するため、コンデンサ素子に樹脂ディップを施し、各コンデンサ素子から引き出したリード線により複数のコンデンサ素子を結線した後、ケースに格納する。そのケースにはコンデンサ素子の高さの10〜90〔%〕程度に樹脂を充填し、コンデンサ素子自体に耐湿性を持たせてコンデンサ集合体の耐湿特性を向上させるとともに、樹脂充填量を低減させて放熱性を高め、温度上昇を抑制するものが知られている(特許文献2)。
ところで、樹脂層をディップで形成した金属化フィルムコンデンサ集合体では(特許文献2)、均一な樹脂層に形成することが難しく、不均一な樹脂層では耐湿性にバラツキを生じる。また、円柱角部にあたる素子端面、つまり、金属溶射(メタリコン)が施された素子電極部(メタリコン電極)の樹脂層が薄くなる。
多孔質な構造であるメタリコン電極では、コンデンサ素子内への水蒸気の侵入が起こりやすい。これに対し、巻回素子のポリプロピレンフィルムの透湿性は低く、素子側面部に露出したポリプロピレンフィルムが水蒸気侵入経路とならず、その影響は低い。そこで、メタリコン電極を被覆する樹脂層には充分な耐湿性が要求されるが、ディップによる樹脂層では、メタリコン電極部で樹脂層が薄くその均一性にバラツキを生じるため、耐湿効果が十分とはいえない。
コンデンサ素子集合体に施される充填樹脂では、素子高さの10〜90〔%〕程度しか被覆していないので、各コンデンサ素子のメタリコン電極部に必要な耐湿性を充足できない。
コンデンサ素子集合体を覆う充填樹脂はその充填樹脂量を一定程度減少させても、コンデンサ素子集合体の全体を覆うので、その硬化が、コンデンサ素子に大きな熱的ストレスや物理的ストレスを加え、初期特性の劣化をもたらす。
また、充填樹脂のクラックは、コンデンサ素子が露出する充填樹脂面とコンデンサ素子との界面で生じ易く、即ち、充填樹脂による耐湿機能の必要な箇所でその多くが発生する。このため、クラックが充填樹脂による湿気の侵入防止効果を低減させる。
更に、充填樹脂量がコンデンサ素子の露出面積に大きく関係し、即ち、充填樹脂量が少なければ、各コンデンサ素子の露出面積が広くなり、放熱性が高められる反面、耐湿性が低下する。また、充填樹脂量が多ければ、各コンデンサ素子の露出面積が狭くなり、耐湿性は向上するが、放熱性が悪化する。
このように、従来の乾式の金属化フィルムコンデンサ集合体では耐湿性や放熱性が不十分であり、更には製品重量を抑制できないという課題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、耐湿性や放熱性を高め、製品重量を抑制した金属化フィルムコンデンサ、金属化フィルムコンデンサ装置及びこれらの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明の金属化フィルムコンデンサは、電極層を備える少なくとも2枚の誘電体フィルムを巻回した巻回素子であって、この素子端面に金属を溶射して前記電極層の一方に接続された電極部、前記素子端面に金属を溶射してなる前記電極層の他方に接続された電極部を備えるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の各素子端面側に開口部を備え、前記コンデンサ素子を収納する外装部材と、前記コンデンサ素子の素子端面との間に間隔を設けて前記外装部材に固定され、前記開口部のそれぞれを封口する封口部材と、前記封口部材に貫通させて固定された端子部と、前記端子部に固定されて電気的に接続され、前記端子部と前記電極部とを接続するリード部と、前記封口部材と前記外装部材との間にある前記間隔内に充填され、前記電極部を覆いかつ前記封口部材に密着させて前記外装部材と前記封口部材とを封止させた封止樹脂とを備える。
また、上記金属化フィルムコンデンサにおいて、前記封口部材が、前記外装部材の開口端面を覆う閉塞部と、この閉塞部の周縁部に形成されて前記外装部材の周囲面を被覆する立壁部とを備え、前記立壁部と前記外装部材との間に前記封止樹脂が充填されている構成としてもよい。
また、上記金属化フィルムコンデンサにおいて、前記封止樹脂又は前記外装部材の少なくとも一方の厚みdが下記式の値以上である構成としてもよい。
d=1.63・k・(h/2000)・(P/P0)以上である。
d:厚み(mm)
k:透湿度(g・mm/mm2 ・24h)
h:耐湿信頼性保証時間(時間)
P:耐湿保証試験条件における水蒸気圧(Pa)
P0:85℃85%RHにおける水蒸気圧(Pa)
d=1.63・k・(h/2000)・(P/P0)以上である。
d:厚み(mm)
k:透湿度(g・mm/mm2 ・24h)
h:耐湿信頼性保証時間(時間)
P:耐湿保証試験条件における水蒸気圧(Pa)
P0:85℃85%RHにおける水蒸気圧(Pa)
上記課題を解決した本発明の金属化フィルムコンデンサ装置は、前記金属化フィルムコンデンサの複数個が併置されたコンデンサ集合体と、このコンデンサ集合体の前記金属化フィルムコンデンサの一方又は他方の端子部間を接続するバスバーとを備え、前記バスバーにより複数の前記金属化フィルムコンデンサを直列、並列又は直並列に接続してなる構成である。
上記課題を解決した本発明の金属化フィルムコンデンサの製造方法は、電極層を備える少なくとも2枚の誘電体フィルムを巻回した巻回素子であって、この素子端面に金属を溶射して前記電極層の一方に接続された電極部、前記素子端面に金属を溶射してなる前記電極層の他方に接続された電極部を備えるコンデンサ素子を形成する工程と、前記コンデンサ素子の各素子端面側に開口部を備え、前記コンデンサ素子を収納する外装部材を形成する工程と、端子部とともに該端子部及び前記電極部を接続するリード部を備え、前記コンデンサ素子の素子端面との間に間隔を設けて前記外装部材に固定され、前記開口部のそれぞれを封口する封口部材を形成する工程と、前記電極部を覆いかつ前記封口部材に密着させて前記外装部材と前記封口部材とを封止させる封止樹脂を前記封口部材と前記外装部材との間にある前記間隔内に充填する工程とを含んでいる。
上記課題を解決した本発明の金属化フィルムコンデンサ装置の製造方法は、前記金属化フィルムコンデンサの製造方法により得られた金属化フィルムコンデンサの複数個を併置してコンデンサ集合体を形成する工程と、前記コンデンサ集合体の前記金属化フィルムコンデンサの一方又は他方の端子部間をバスバーにより接続し、複数の前記金属化フィルムコンデンサを直列、並列又は直並列に接続する工程とを含む構成である。
本発明の金属化フィルムコンデンサ及びその製造方法によれば、次のような効果が得られる。
(1) 外装部材、封口部材及び封止樹脂によって樹脂封止することができ、コンデンサ素子の耐湿性を向上させることができる。
(2) 外装部材の開口部が封止樹脂によって封止されるので、コンデンサ素子との密着性がよく、コンデンサ素子と封止樹脂との界面からの水蒸気侵入を抑制できる。
(3) 外装部材と封口部材とにより、封止樹脂の層厚を一定に調整することができ、均一な封止特性、封止強度及び耐湿性を得ることができる。
(4) 耐湿保証条件に応じて封止樹脂の層厚を調整でき、製品重量やサイズを抑制し、均一化することができる。
(5) 封口部材に端子部が固定され、この端子部とコンデンサ素子の電極部とを一定長さのリード部で接続するので、その接続長を最短化でき、低抵抗化とともに、金属化フィルムコンデンサの重量、サイズを抑制できる。
(6) 外装部材、封口部材、コンデンサ素子及び端子部を単一の封止樹脂で固定するので、これらの固定強度の安定化とともに、接続状態の安定化を図ることができる。
(7) 外装部材と封口部材とを固定する封止樹脂をコンデンサ素子に密着させているので、水蒸気の侵入経路を長くかつ狭くでき、コンデンサ素子の耐湿性を高めることができる。
(8) 外装部材や封止樹脂の厚みを既述の式を充足するように設定すれば、確実かつ十分な耐湿性能を高め、一定の耐湿性保証を行うことができる。
(9) 封止樹脂に用いられる樹脂量を一定に管理することができ、封止樹脂の硬化収縮時の、熱的ストレスや物理的ストレスからコンデンサ素子を防護でき、初期特性が安定化しているコンデンサ素子を備える金属化フィルムコンデンサを提供できる。
本発明の金属化フィルムコンデンサ装置及びその製造方法によれば、次のような効果が得られる。
(1) 本発明の金属化フィルムコンデンサ装置によれば、既述の金属化フィルムコンデンサを集合体に用いて構成するので、前記(1) ないし(9) で述べた効果を享受でき、耐湿性、小型化及び堅牢化を高めたコンデンサ装置を提供できる。
(2) 金属化フィルムコンデンサの各端面に端子部が形成され、第1及び第2のバスバーが異なる金属化フィルムコンデンサの各端面に配置されて接続されるので、各バスバーの絶縁間隔を大きく取ることができ、安全性を高めることができる。
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態は金属化フィルムコンデンサの単体、金属化フィルムコンデンサ装置の構成部品としての金属化フィルムコンデンサの構造及びその製造方法の一例である。
この第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、金属化フィルムコンデンサの一例を示している。
この金属化フィルムコンデンサ2は、本発明の金属化フィルムコンデンサの一例であって、本発明の金属化フィルムコンデンサ装置である例えば、金属化フィルムコンデンサ装置4(図6)の構成部品となるものであるが、金属化フィルムコンデンサ装置4の構成部品に限定されるものではない。
そこで、この金属化フィルムコンデンサ2では、コンデンサ素子6と、外装容器8と、蓋部10、12と、端子部14、16と、封止樹脂18とを備える。
コンデンサ素子6は、金属化フィルムコンデンサ素子であって、巻回素子である。このコンデンサ素子6の素子端面の一方には第1の電極部20、その他方には第2の電極部22が形成されている。これら電極部20、22は、コンデンサ素子6の素子端面に露出する第1又は第2の電極層24、26(図3)にメタリコン等の金属形成手段により、導電性のよい金属で形成されている。即ち、電極部20はコンデンサ素子6の一方の電極層24(図3)との接続手段であり、電極部22は他方の電極層26(図3)との接続手段である。そして、このコンデンサ素子6は外装容器8の内部に収納される。
外装容器8は、コンデンサ素子6の外装部材の一例であって、コンデンサ素子6を収納可能な容積及び内径を持つ筒体であり、両端に開口部28を備えている。この実施の形態の外装容器8は、絶縁材料として例えば、合成樹脂の成形体であるが、金属性の筒体であってもよい。コンデンサ素子6の素子長をL1 、素子径をD1 、外装容器8の容器長をL2 、内径をD2 とすると、L1 <L2 、D1 <D2 とすればよい。
ここで、L2 −L1 =ΔDaは、外装容器8内でコンデンサ素子6の各素子端側に空間を形成する幅となる。この空間は、封止に十分な量の封止樹脂18を充填するための容積部分であり、この実施の形態では、端子部14、16やその接続部分が幅ΔDa内に収容される。そこで、この実施の形態では、これらを収容可能な最小限の幅ΔDaが設定されている。即ち、各素子端部側にはΔDa/2の幅が設定されている。
蓋部10、12は、外装容器8の開口部28を塞ぐ封口部材の一例であって、この実施の形態では、外装容器8と同様に合成樹脂で形成されている。外装容器8の外径をD3 、蓋部10、12の内径をD4 とすると、D3 <D4 に設定されている。D4 −D3 =Dbとすると、設定された幅Dbは、外装容器8の開口部28に蓋部10、12を装着可能にするとともに、幅Dbで設定される間隔内に封止樹脂18を浸透させる手段である。また、蓋部10、12と外装容器8の開口端との間には間隔D5 が設定されている。
端子部14、16は、コンデンサ素子6の電極層24、26に対応する端子であるとともに、外部接続手段であり、端子部14は蓋部10に貫通させて固定され、端子部16は蓋部12に貫通させて固定されている。この実施の形態では、端子部14には電極部20がリード部30によって接続されている。また、端子部16には電極部22がリード部32によって接続されている。電極部20とリード部30との接続、電極部22とリード部32との接続は、例えば、半田付けによって接続すればよく、31が接続部分である。
封止樹脂18は、蓋部10、12で塞がれた外装容器8の開口部28側の空間部に充填される樹脂であって、封止性の高い熱硬化性樹脂として例えば、エポキシ樹脂やウレタン樹脂である。この封止樹脂18は、蓋部10、12とコンデンサ素子6の素子端面との間、コンデンサ素子6と外装容器8との間、外装容器8の開口端と蓋部10、12との間隔D5 、外装容器8の開口部28の縁部と蓋部10、12との間に回り込んで硬化しており、気密性の高い封止構造を構成しているとともに、これらの部材間を固定する固定手段として機能している。即ち、この封止樹脂18によって、コンデンサ素子6、外装容器8及び蓋部10、12が一体化されている。
この金属化フィルムコンデンサ2の蓋部10、12及び端子部14、16について、図2を参照する。図2は、金属化フィルムコンデンサを分解して示している。
各蓋部10、12は、閉塞部34と、立壁部36とを備え、閉塞部34を底部とすれば、有底筒状に形成されている。閉塞部34は、コンデンサ素子6を収納する外装容器8の各開口部28より径大な例えば、円板である。この閉塞部34の周縁部には一定幅の立壁部36が形成されている。閉塞部34の幅D6 は、既述の間隔D5 と、幅ΔDa/2との加算値(D5 +ΔDa/2)に対して大きく、即ち、D6 >(D5 +ΔDa/2)に設定すればよい。
そして、閉塞部34の中央部には貫通孔38が形成され、この貫通孔38には端子部14又は端子部16の端子用ボルト40を貫通させて固定する。端子用ボルト40は、貫通孔38より径大な頭部42と、ねじ部44とを備える。頭部42が蓋部10、12の内側に設置され、蓋部10、12の内側には円盤状の封止部材としてパッキン46及びリード部30又はリード部32が設置される。
パッキン46の透孔48及びリード部30又はリード部32の接続孔50に端子用ボルト40のねじ部44を貫通させる。蓋部10、12の内面部と端子用ボルト40の頭部42との間には、パッキン46及びリード部30又は32が挟まれ、閉塞部34を貫通させたねじ部44にはワッシャ52及びナット54を取り付けることにより、端子部14が蓋部10に取り付けられ、端子部16が蓋部12に取り付けられる。この場合、貫通孔38はパッキン46によって閉塞され、端子用ボルト40にはリード部30又は32が電気的に接続される。
端子部14に接続されたリード部30は、コンデンサ素子6の電極部20に半田付け等の接続手段により接続され、端子部16に接続されたリード部32は、コンデンサ素子6の電極部22に同様の接続手段により接続される。
次に、コンデンサ素子6について、図3を参照する。図3は、コンデンサ素子の構成例を示している。
このコンデンサ素子6には一定幅の少なくとも2枚の帯状の誘電体フィルム56、58が用いられ、誘電体フィルム56の一面側には第1の電極層24が形成され、誘電体フィルム58の一面側には第2の電極層26が形成されている。各誘電体フィルム56、58には幅aで電極層24、26が形成されているとともに、幅bで無電極部60が形成されており、各無電極部60を各誘電体フィルム56、58の異なる縁部側に設けてある。従って、コンデンサ素子6の一方の素子端面には電極層24、他方の素子端面には電極層26の縁部が露出しており、換言すれば、各素子端面の一方が電極層24、その他方が電極層26で形成されている。
次に、金属化フィルムコンデンサの製造方法の一例について、図4を参照する。図4は、樹脂封止の手順を示す図である。
金属化フィルムコンデンサ2の製造工程には、素子形成工程、組立工程が含まれ、組立工程には樹脂封止工程(図4)が含まれる。素子形成工程では既述のコンデンサ素子6が形成される。組立工程では、外装容器8、蓋部10、12、端子部14、16の各部品の製造を経て金属化フィルムコンデンサ2の組立てに至る。
樹脂封止工程の前工程で、外装容器8にコンデンサ素子6が挿入され、コンデンサ素子6の電極部20、22に蓋部10、12の端子部14、16に固定されたリード部30、32が半田付けされる。
そこで、例えば、一方の蓋部10に液状化している封止樹脂18の所定量を充填する。この封止樹脂18内に外装容器8とともに、コンデンサ素子6を挿入して位置決めし、封止樹脂18を硬化させる。図4に示す状態は、一方の蓋部10が既に封止樹脂18によって外装容器8を封止した状態であり、蓋部12側の封止に至る工程を示している。
斯かる樹脂封止工程を経て図1に示す金属化フィルムコンデンサ2が組み立てられ、製品化される。
以上述べた第1の実施の形態に係る金属化フィルムコンデンサ2及びその製造方法について、以下特徴事項等に言及する。
(1) 外装容器8、蓋部10、12が封止樹脂18によって樹脂封止され、コンデンサ素子6の耐湿性を向上させることができる。
(2) 外装容器8の開口部28が封止樹脂18によって封止されるので、封止樹脂18とコンデンサ素子6との密着性がよく、コンデンサ素子6と封止樹脂18との界面からの水蒸気侵入を抑制できる。
(3) 外装容器8と蓋部10、12とにより、封止樹脂18の層厚を一定に調整することができ、均一な封止特性、封止強度及び耐湿性を得ることができる。
(4) 耐湿保証条件に応じて封止樹脂18の層厚を調整でき、製品重量やサイズを抑制し、均一化することができる。
(5) 蓋部10、12に端子部14、16が固定され、各端子部14、16とコンデンサ素子6の電極部20、22とを一定長さのリード部30、32で接続するので、その接続長を最短化でき、その低抵抗化とともに、金属化フィルムコンデンサ2の重量、サイズを抑制できる。
(6) 外装容器8、蓋部10、12、コンデンサ素子6及び端子部14、16を単一の封止樹脂18で固定するので、これらの固定強度の安定化とともに、接続状態の安定化を図ることができる。
(7) 外装容器8と蓋部10、12とを固定する封止樹脂18をコンデンサ素子6に密着させているので、水蒸気の侵入経路を長くかつ狭くでき、コンデンサ素子6の耐湿性を高めることができる。
ここで、この水蒸気侵入について、図5を参照する。図5は、封止樹脂の沿面距離の一例を示している。
外装容器8に密着する封止樹脂18の沿面距離IDは、外装容器8の外部のポイントq1からコンデンサ素子6の周囲面のポイントq2に至る距離である。仮に、この沿面距離IDを水蒸気の侵入経路とすれば、外装容器8と封止樹脂18との密着面積が大きく、沿面距離IDは相当大きく設定されている。このため、水蒸気の侵入経路が長く且つ細いので、水蒸気侵入からコンデンサ素子6を防護することができる。
(8) 外装容器8や封止樹脂18の厚みを下記式(1) を充足するように設定すれば、確実かつ十分な耐湿性能を高め、一定の耐湿性保証を行うことができる。
封止樹脂18又は外装容器8の少なくとも一方の厚みdを、
d=1.63・k・(h/2000)・(P/P0) ・・・(1)
d:厚み(mm)
k:透湿度(g・mm/mm2 ・24h)
h:耐湿信頼性保証時間(時間)
P:耐湿保証試験条件における水蒸気圧(Pa)
P0:85℃85%RHにおける水蒸気圧(Pa)
とすればよい。
d=1.63・k・(h/2000)・(P/P0) ・・・(1)
d:厚み(mm)
k:透湿度(g・mm/mm2 ・24h)
h:耐湿信頼性保証時間(時間)
P:耐湿保証試験条件における水蒸気圧(Pa)
P0:85℃85%RHにおける水蒸気圧(Pa)
とすればよい。
斯かる構成では、水蒸気侵入経路が非常に狭く、長くなるので、耐湿性が非常に良好となる。
また、それぞれの封止樹脂18の厚みを規定することで、確実に必要十分な耐湿保証ができる。
(9) 封止樹脂18の樹脂量を一定に管理することができ、封止樹脂18の硬化収縮時の熱的ストレスや物理的ストレスからコンデンサ素子6を防護でき、初期特性が安定化しているコンデンサ素子6を備える金属化フィルムコンデンサ2を提供することができる。
(10) 外装容器8の両端から端子部14、16を引き出した構造では、最外周部が誘電体であるポリプロピレンで覆われているので、比較的耐湿性の良好な素子側面部に対する外装容器8の厚みと、最も水蒸気侵入するメタリコン電極部である電極部20、22の樹脂厚みをそれぞれ設定することができ、メタリコンの電極部20、22−外部露出部であるねじ部44の露出部がそれぞれ最短とでき抵抗抑制となるばかりか、メタリコン部分を覆う封止樹脂18の樹脂層の厚みを必要最低限に抑えることが可能であり、金属化フィルムコンデンサ2の重量、サイズを最小限に抑えることができる。
(11) 封止樹脂18の樹脂量を必要十分に管理できるので、従来のように充填樹脂の硬化収縮時の、熱的ストレス、物理的ストレスがなく、初期特性が安定化しているコンデンサ素子へのストレスが少ないばかりか、効果的に軽量化、小型化も可能となる。
(12) 既述の式(1) について、
気体が樹脂等を透過する際の気体の透過に関する一般式は、次の通りである。
A=k(p1−p2)・S/d ・・・(2)
但し、A:気体の透過量
k:樹脂のガス透過係数
p1,p2:樹脂内外のガス分圧
S:樹脂面積(透過断面積)
d:樹脂厚さ
である。
但し、A:気体の透過量
k:樹脂のガス透過係数
p1,p2:樹脂内外のガス分圧
S:樹脂面積(透過断面積)
d:樹脂厚さ
である。
金属化フィルムコンデンサ2について、耐湿試験を行った場合、金属化フィルムコンデンサ2の内部には、「水蒸気単独の形では存在せず」かつ「侵入した水分は電極金属と反応して消費」されるので、p2はほぼ“0”であり、一定耐湿条件(例えば、85℃−85%RH)では、一定量の水分侵入に掛かる時間は、樹脂厚みに比例し、透湿度に反比例する。
ここで、透湿度の分かった封止樹脂の厚さ(素子までの厚み)を変えて、85℃−85%RHでの耐湿負荷試験を行い、静電容量変化(減少)を確認した。
静電容量減少は、侵入水分による蒸着金属劣化で発生するが、製品劣化時間は、A:水分が封止樹脂を透過して、コンデンサ素子まで到達する時間と、B:到達した水分によって電極が劣化する時間との合算時間となる。
そこで、k1(透湿度):9.5〔g・mm/mm2 ・24h〕の封止樹脂を使って封止厚みを、5〔mm〕と10〔mm〕とし、85〔℃〕−85〔%〕RH耐湿負荷試験で静電容量変化率が5〔%〕を超える時間を求めると、5〔mm〕のとき:A+B=950〔h〕、10〔mm〕のとき:A+B=1450〔h〕となる。
ここで、Bは、樹脂厚さによらず一定、Aは、樹脂厚さに比例するので、A=a・d1とすると、5〔mm〕のとき:5a+B=950〔h〕、10〔mm〕のとき:10a+B=1450〔h〕となる。
上式より、a=100〔h/mm〕、B=450〔h〕、保証時間を2000〔h〕とすると、100d+450=2000→d1=15.5〔mm〕となる。
また、k2(透湿度):3.8g・〔m/mm2 24h〕の封止樹脂を使って同様の試験をすると、5〔mm〕のとき:A+B=1700〔h〕、10〔mm〕のとき:A+B=2900〔h〕なので、5〔mm〕のとき:5a+B=1700〔h〕、10〔mm〕のとき:10a+B=2950〔h〕で、a=250〔h/mm〕、B=450〔h〕、保証時間を2000〔h〕とすると、250d+450=2000→d2=6.2〔mm〕が得られた。
これより、封止樹脂18によらず、一定素子では、B:到達した水分によって電極が劣化する時間は一定であることが立証される。
一方、A:水分が封止樹脂を透過して、コンデンサ素子まで到達する時間については、2000〔h〕の保証時間に対し、k1(透湿度):9.5〔g・mm/mm2 ・24h〕の封止樹脂では、厚みd1=15.5〔mm〕、k2(透湿度):3.8〔g・mm/mm2 ・24h〕の封止樹脂では、厚みd2=6.2〔mm〕が必要という結果であり、d1/k1=15.5/9.5=1.63、d2/k2=6.2/3.8=1.63と、封止樹脂の厚みと透湿度の間には一定の関係即ち、d=1.63kの関係がある。
つまり、車載用等の金属化フィルムコンデンサに求められる、85〔℃〕−85〔%〕RH耐湿負荷試験において、静電容量変化率が5〔%〕以内とする保証時間2000〔h〕とするには、封止樹脂18の厚みと透湿度の関係を:d=1.63・k以上とすればよい。
ここで、保証時間を、hとするには、水分侵入時間が封止樹脂の厚みと比例するので、d=1.63・k・(h/2000)であり、さらに、気体透過一般式より、水蒸気分圧をPとするには、水蒸気分圧に対して封止樹脂の厚みを比例的に厚くする必要があり、
d=1.63・k・(h/2000)・(P/P0) ・・・(3)
但し、P:耐湿試験条件における水蒸気圧
P0:85℃85%RHにおける水蒸気圧
となる。
d=1.63・k・(h/2000)・(P/P0) ・・・(3)
但し、P:耐湿試験条件における水蒸気圧
P0:85℃85%RHにおける水蒸気圧
となる。
ここで、耐湿試験を行った場合、一般式を用いると、
A=k(p1−p2)・S/d ・・・(4)
であり、この式(4) のA量だけ水蒸気量が試験当初より通り抜けていることになる。
A=k(p1−p2)・S/d ・・・(4)
であり、この式(4) のA量だけ水蒸気量が試験当初より通り抜けていることになる。
しかしながら、実際のフィルムコンデンサの電極を劣化させる状態となるには、上述のように、A時間とB時間の合算時間となるが、A時間は、樹脂透過時間+素子界面透過時間(特にメタリコン部)、メタリコン部で水和反応を起こしながら透過する時間、と複雑であり、単純に上記一般式でどの程度の水蒸気が透過できる時間からフィルムコンデンサの劣化が開始するかは不明であった。
そこで、本発明の金属化フィルムコンデンサでは、A時間とB時間の分離解析を行って、一定試験条件・保証時間を満足する樹脂充填型フィルムコンデンサを製造するための、封止樹脂18の透湿度と厚みの関係を明らかにし、高い耐湿性を実現している。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は既述の金属化フィルムコンデンサを用いた金属化フィルムコンデンサ装置の構造及びその製造方法の一例である。
この第2の実施の形態について、図6及び図7を参照する。図6は、金属化フィルムコンデンサ装置の一例を示し、図7は、バスバーの接続部を示している。図6及び図7において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
この金属化フィルムコンデンサ装置4は、図6に示すように、金属化フィルムコンデンサ2の集合体62と、第1及び第2のバスバー64、66と、複数の絶縁カバー68と、端子盤70とを備える。
集合体62は、複数の金属化フィルムコンデンサ2を集合させ、この実施の形態では、15個の金属化フィルムコンデンサ2の各端子部14、16で共通面にして、3行5列に配置されている。緊締手段を図示していないが、各金属化フィルムコンデンサ2は着脱可能に配置してもよいし、樹脂によって固定してもよい。
バスバー64は、集合体62の各金属化フィルムコンデンサ2の一方の端子部14を接続する手段であって、例えば、銅板で構成される。この実施の形態では、各金属化フィルムコンデンサ2の端子部14に跨がるように格子状枠体で構成されている。バスバー64のクロス部には図7に示すように、貫通孔71が形成され、この貫通孔71に端子部14のねじ部44を貫通させ、ねじ部44にナット72を固定して端子部14とナット72とでバスバー64を挟み込み、電気的に接続されている。バスバー64により各端子部14が並列に接続されている。
バスバー66は、集合体62の各金属化フィルムコンデンサ2の他方の端子部16を接続する手段であって、バスバー64と同様に構成されて各端子部16を並列に接続する。
絶縁カバー68は、各金属化フィルムコンデンサ2の端子部14、16とバスバー64又は66との接続部を防護するための保護手段であって、合成樹脂等の絶縁材料で形成された筐体である。この絶縁カバー68を設置することにより、接続部を保護するとともに、電気的な絶縁が図られ、安全性が強化される。
端子盤70には、外部端子部74、76が設置され、外部端子部74にはバスバー64が接続され、外部端子部76にはバスバー66が接続されている。従って、外部端子部74、76の間には、図8に示すように、各バスバー64、66を介在させて複数の金属化フィルムコンデンサ2が並列に接続されている。
この実施の形態では、複数の金属化フィルムコンデンサ2の全てを並列接続しているが、その他の接続形態として、直列接続又は複数のコンデンサをグループ化して直並列接続としてもよい。
次に、金属化フィルムコンデンサ装置の製造方法の一例について言及する。
この金属化フィルムコンデンサ装置の製造方法は、既述の金属化フィルムコンデンサ2を用いて集合体62とバスバー64、66の接続工程、端子盤70の取付工程等を含んでいる。
既述の金属化フィルムコンデンサ2の製造方法で述べた通り、各金属化フィルムコンデンサ2を製造する。複数の金属化フィルムコンデンサ2として例えば、15個の金属化フィルムコンデンサ2を用意し、これらを3行5例に整列させ、各端子部14、16を一面に配列させる。
各端子部14にはバスバー64を配置し、バスバー64の貫通孔71に貫通させた端子用ボルト40のねじ部44にナット72を取り付け、バスバー64に金属化フィルムコンデンサ2の各端子部14を固定し、電気的に接続する。
同様に、各端子部16にバスバー66を配置し、バスバー66の貫通孔71に貫通させた端子用ボルト40のねじ部44にナット72を取り付け、バスバー66に金属化フィルムコンデンサ2の各端子部16を固定し、電気的に接続する。
このような接続工程を経て、バスバー64とバスバー66との間には、複数の金属化フィルムコンデンサ2からなる集合体62が配置され、各金属化フィルムコンデンサ2はバスバー64、66により並列に接続された状態となる。
そして、各バスバー64、66及び集合体62には、端子盤70が取り付けられ、端子盤70にある外部端子部74にはバスバー64が接続され、外部端子部76にはバスバー66が接続されることにより、金属化フィルムコンデンサ装置4が完成する。
以上述べた金属化フィルムコンデンサ装置4及びその製造方法によれば、金属化フィルムコンデンサ2及びその製造方法で述べた通りの効果を享受できるとともに、次のような効果が得られる。
(1) 金属化フィルムコンデンサ装置4によれば、既述の金属化フィルムコンデンサを集合体62に用いて構成するので、耐湿性、小型化及び堅牢化を高めたコンデンサ装置を提供できる。
(2) 金属化フィルムコンデンサ2の各端面に端子部14、16が形成されており、各バスバー64、66が異なる金属化フィルムコンデンサ2の各端面に配置されて接続されるので、各バスバー64、66の絶縁間隔を大きく取ることができ、安全性が高められたコンデンサ装置を提供できる。
(3) 各金属化フィルムコンデンサ2が十分な耐湿性を有するので、集合体62の全体に改めて充填樹脂等の封止対策は不要であり、各金属化フィルムコンデンサ2の端子部14、16をバスバー64、66等で結線するだけで、簡単に耐湿性の良好な金属化フィルムコンデンサ装置4が実現される。また、バスバー64、66による金属化フィルムコンデンサ2の端子部14、16の結線によっても、金属化フィルムコンデンサ2及びその内部にあるコンデンサ素子6への結線部に対する機械的なストレスがなく、堅牢な金属化フィルムコンデンサ装置4を形成できる。
しかも、各金属化フィルムコンデンサ2のそれぞれが外気に開放されているので、放熱性が良好である。
(4) 各バスバー64、66が金属化フィルムコンデンサ2の集合体62の反対側に配置されているので、安全性が高く、バスバー配線時の取り回しによるショート発生の危険性がない。
(5) 外装容器8と蓋部10、12とが封止樹脂18で固定され、しかも、蓋部10、12には外部接続のための端子部14、16が固定されているので、バスバー64、66に各金属化フィルムコンデンサ2を結線するときの機械的ストレスは、金属化フィルムコンデンサ2やその内部のコンデンサ素子6に加わることがなく、素子状態・結線状態が安定化しており、コンデンサ特性が良好で、高電流が流れた場合でも異常発熱することもない。特に、外装容器8と蓋部10、12との固定が封止樹脂18による封止によって非常に安定しており、素子状態・結線状態の安定化を図ることができる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は既述の金属化フィルムコンデンサを用いた金属化フィルムコンデンサ装置の構造及びその製造方法の一例である。
この第3の実施の形態について、図9を参照する。図9は、蓋部でコンデンサ素子を位置決めする構成例を示している。図9において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
この実施の形態では、蓋部10、12の閉塞部34に単一又は複数のストッパ78が形成され、このストッパ78の高さhによってコンデンサ素子6の固定位置を位置決めする構成としてもよい。ストッパ78はリング状でもよいし、円弧状又は棒状でもよい。棒状であれば、複数個のストッパ78によりコンデンサ素子6を水平状態で位置決めし、その位置の安定化を図ることができる。
図示しないが、蓋部10、12の閉塞部34に外装容器8の開口端を位置決めする突部を備え、この突部によって蓋部10又は12の内側と外装容器8の開口端との間に既述の間隔D5 が設定される構成としてもよい。
斯かる構成によれば、蓋部10、12にあるストッパ78により、コンデンサ素子6及び外装容器8の位置決めを容易に行える。封止樹脂18の樹脂層の厚み及びメタリコンによる電極部20、22への塗布状態の管理が容易であり、最も水蒸気侵入するメタリコンの電極部20、22に、効果的且つ均質に十分な耐湿特性を封止樹脂18の樹脂層を以て実現できる。更に、耐湿保証条件に合わせて、樹脂厚みを調整することで、製品重量、サイズを最小に抑えることができる。
〔他の実施の形態〕
上記実施の形態では、円筒形の外装容器8及び蓋部10、12を用いているがこれに限定されない。角筒状の外装容器8及び蓋部10、12を用いてもよい。
次に、金属化フィルムコンデンサ2又は金属化フィルムコンデンサ装置4の実施例に言及すると、外装容器8及び蓋部10、12は絶縁性の樹脂材料等を用いて形成すればよい。外装容器8を金属ケースで形成する場合には、コンデンサ素子6が収納される内面側に絶縁性加工をすればよい。
外装容器8や蓋部10、12には、透湿性の低い材料が好ましく、このような材料を用いれば、より薄い外装容器8の形成が可能であり、軽量化や放熱性の改善が図られる。例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が好ましい。
外装容器8、蓋部10、12の内面にコンデンサ素子6の位置決め用突起を設ければ、外装容器8に対するコンデンサ素子6の位置決めや、外装容器8と蓋部10、12との位置決めが容易になる。
また、この位置決めされた蓋部10、12に封止樹脂18を流し込み、硬化させることで耐湿特性確保・軽量化に最適な必要十分な樹脂封止が可能である。このとき、一方の蓋部10に外装容器8を取り付け、この蓋部10側を下にして封止樹脂18を流し込み、熱硬化して樹脂封止をする。そして、この封止樹脂18が固化した後、他方の蓋部12を下にしたまま封止樹脂18を流し込めばよい。このように、蓋部10、12の取り付けと、その位置操作により、蓋部10、12に選択的に封止樹脂18を充填し、熱硬化して封止樹脂18の樹脂層を形成する。封止樹脂18の樹脂材料には、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いればよく、斯かる樹脂によれば、耐湿性を高めることができる。
上記実施の形態(図1等)で説明したように、外装容器8の両端に取り付ける蓋部10、12がキャップ状であるから、蓋部10、12と外装容器8との間の空間部に封止樹脂18を充填させることにより、水蒸気の侵入経路を非常に狭く且つ長く取ることができ、耐湿性が良好な金属化フィルムコンデンサ2が得られるとともに、外装容器8と蓋部10、12との封止樹脂18による固定を実現することができる。
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
2 金属化フィルムコンデンサ
4 金属化フィルムコンデンサ装置
6 コンデンサ素子
8 外装容器
10、12 蓋部
14、16 端子部
18 封止樹脂
20、22 電極部
24、26 電極層
28 開口部
30、32 リード部
31 接続部
56、58 誘電体フィルム
62 集合体
64 第1のバスバー
66 第2のバスバー
4 金属化フィルムコンデンサ装置
6 コンデンサ素子
8 外装容器
10、12 蓋部
14、16 端子部
18 封止樹脂
20、22 電極部
24、26 電極層
28 開口部
30、32 リード部
31 接続部
56、58 誘電体フィルム
62 集合体
64 第1のバスバー
66 第2のバスバー
Claims (6)
- 電極層を備える少なくとも2枚の誘電体フィルムを巻回した巻回素子であって、この素子端面に金属を溶射して前記電極層の一方に接続された電極部、前記素子端面に金属を溶射してなる前記電極層の他方に接続された電極部を備えるコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の各素子端面側に開口部を備え、前記コンデンサ素子を収納する外装部材と、
前記コンデンサ素子の素子端面との間に間隔を設けて前記外装部材に固定され、前記開口部のそれぞれを封口する封口部材と、
前記封口部材に貫通させて固定された端子部と、
前記端子部に固定されて電気的に接続され、前記端子部と前記電極部とを接続するリード部と、
前記封口部材と前記外装部材との間にある前記間隔内に充填され、前記電極部を覆いかつ前記封口部材に密着させて前記外装部材と前記封口部材とを封止させた封止樹脂と、
を備えることを特徴とする、金属化フィルムコンデンサ。
- 前記封口部材が、前記外装部材の開口端面を覆う閉塞部と、この閉塞部の周縁部に形成されて前記外装部材の周囲面を被覆する立壁部とを備え、
前記立壁部と前記外装部材との間に前記封止樹脂が充填されていることを特徴とする、請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 前記封止樹脂又は前記外装部材の少なくとも一方の厚みdが下記式の値以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
d=1.63・k・(h/2000)・(P/P0)
d:厚み(mm)
k:透湿度(g・mm/mm2 ・24h)
h:耐湿信頼性保証時間(時間)
P:耐湿保証試験条件における水蒸気圧(Pa)
P0:85℃85%RHにおける水蒸気圧(Pa)
- 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の金属化フィルムコンデンサの複数個が併置されたコンデンサ集合体と、
このコンデンサ集合体の前記金属化フィルムコンデンサの一方又は他方の端子部間を接続するバスバーと、
を備え、前記バスバーにより複数の前記金属化フィルムコンデンサを直列、並列又は直並列に接続したことを特徴とする、金属化フィルムコンデンサ装置。
- 電極層を備える少なくとも2枚の誘電体フィルムを巻回した巻回素子であって、この素子端面に金属を溶射して前記電極層の一方に接続された電極部、前記素子端面に金属を溶射してなる前記電極層の他方に接続された電極部を備えるコンデンサ素子を形成する工程と、
前記コンデンサ素子の各素子端面側に開口部を備え、前記コンデンサ素子を収納する外装部材を形成する工程と、
端子部とともに、該端子部及び前記電極部を接続するリード部を備え、前記コンデンサ素子の素子端面との間に間隔を設けて前記外装部材に固定され、前記開口部のそれぞれを封口する封口部材を形成する工程と、
前記電極部を覆いかつ前記封口部材に密着させて前記外装部材と前記封口部材とを封止させる封止樹脂を前記封口部材と前記外装部材との間にある前記間隔内に充填する工程と、
を含むことを特徴とする、金属化フィルムコンデンサの製造方法。
- 請求項5に記載の金属化フィルムコンデンサの製造方法により得られた金属化フィルムコンデンサの複数個を併置してコンデンサ集合体を形成する工程と、
前記コンデンサ集合体の前記金属化フィルムコンデンサの一方又は他方の端子部間をバスバーにより接続し、複数の前記金属化フィルムコンデンサを直列、並列又は直並列に接続する工程と、
を含むことを特徴とする、金属化フィルムコンデンサ装置の製造方法。
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