JP7082870B2 - 金属-樹脂積層体 - Google Patents

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本発明は、金属-樹脂積層体に関するものである。
金属を主体とする基材と、樹脂層とを備える金属-樹脂積層体は、種々の分野で広く使用されている。含フッ素樹脂は、耐久性や絶縁性に優れ、比誘電率(ε)や誘電正接(tanδ)が小さい材料であり、上記のような金属-樹脂積層体にも適用されている。一方、含フッ素樹脂は本質的に金属に対する接着性が低い。そのため、樹脂層が含フッ素樹脂層を主体とする金属-樹脂積層体においては、基材と樹脂層との間の接着性を高めて、基材からの樹脂層の剥離を防止する必要がある。
金属を主体とする基材と含フッ素樹脂を主体とする樹脂層と間の接着性を高めるために、例えば基材と樹脂層と間に接着剤層やプライマー層などの接着性付与層を介在させることが行われている。特許文献1には、金属の基材と含フッ素樹脂を含む樹脂層との間にプライマー層が配置された積層体が開示されている。
特開2000-326441号公報
上述のように、本質的に金属に対する接着性が低い含フッ素樹脂を含む金属-樹脂積層体において、金属-樹脂間の接着性を高めることが求められている。このとき、金属-樹脂間の接着性を高めつつ、含フッ素樹脂層が本来有する高耐久性などの特性を損なわれないようするのが望ましい。
そこで、金属を主体とする基材と含フッ素樹脂を主体とする樹脂層とを備える金属-樹脂積層体において、含フッ素樹脂層が有する有利な特性を充分に維持しつつ、基材と樹脂層との間で剥離が起こらない程度に充分な接着性が保持される金属-樹脂積層体を提供することを目的の1つとする。
本願の金属-樹脂積層体は、基材と、含フッ素樹脂層と、を備える。基材は、第1の表面を有する金属層と、第1の表面を覆い、酸素含有量が40原子%以上の金属酸化領域と、を含む。含フッ素樹脂層は、金属酸化領域上に接触して配置される。
上記金属-樹脂積層体によれば、含フッ素樹脂層が有する有利な特性を充分に維持しつつ、基材と樹脂層との間で剥離が起こらない程度に充分な接着性が保持される金属-樹脂積層体を提供することができる。
金属-樹脂積層体の一例を示す概略断面図である。 未架橋の含フッ素ポリマー分子と金属酸化領域との関係を説明するための概略図である。 電子線架橋された状態の含フッ素ポリマー分子と金属酸化領域との関係を説明するための概略図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態を列記して説明する。本願の金属-樹脂積層体は、基材と、含フッ素樹脂層と、を備える。基材は、第1の表面を有する金属層と、第1の表面を覆い、酸素含有量が40原子%以上の金属酸化領域と、を含む。含フッ素樹脂層は、金属酸化領域上に接触して配置される。
上述のように、含フッ素樹脂は本質的に金属に対する接着性が低い。したがって金属を主体とする基材に対し、単に含フッ素樹脂を主体とする樹脂層を積層したのみでは含フッ素樹脂層と金属層との間で剥離が起こりやすい。含フッ素樹脂を主体とする樹脂層を備える金属-樹脂積層体において、含フッ素樹脂層と金属層との間で剥離が起こらないようにするためには、基材と樹脂層との間の接着性を高める必要がある。
一方、例えば接着性を高めるために含フッ素樹脂層と金属層との間に接着剤層やプライマー層を配置すると、含フッ素樹脂層が本来有する有利な特性が充分に発揮されない場合がある。例えば高い絶縁性が求められる用途において、含フッ素樹脂層よりも絶縁性が低い物質からなる接着剤層を設けた場合、積層体全体としての絶縁性が損なわれるおそれがある。また薄型化の観点からも不利になる。そのため、基材と樹脂層とが直接接触する積層構造を有する積層体が望まれる。
本願の金属-樹脂積層体においては、酸素含有量が40原子%以上の金属酸化領域を含む基材を用い、その金属酸化領域に接触するように、含フッ素樹脂を含む樹脂層を配置することで、上記基材と上記樹脂層との間で剥離が起こらない程度に充分な接着性が保持される。またこれにより、含フッ素樹脂層が本来有する有利な特性を充分に発揮することが可能となる。
上記金属-樹脂積層体においては、金属層が、アルミニウム、ニッケル、銅、又はステンレス鋼からなる金属の層であってもよい。これらの金属は、上記金属-樹脂積層体の金属層を構成する金属として好適である。
上記金属-樹脂積層体においては、金属酸化領域が、クロメート処理領域、ジルコニア処理領域、又はアルマイト処理領域からなる群から選択される少なくとも1種の領域であってもよい。このような金属酸化領域を採用することで、基材と樹脂層との間の接着性を充分に確保することができる。
上記金属-樹脂積層体においては、含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂が、酸素および窒素のうち少なくともいずれか一方を含有する極性基を含んでもよい。含フッ素樹脂がこのような極性基を有することにより、基材と樹脂層との間の接着性をより高めることができる。
上記金属-樹脂積層体においては、極性基が、カルボキシ基、カルボン酸無水物基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。含フッ素樹脂がこのような極性基を有することにより、基材と樹脂層との間の接着性をより安定的に高めることができる。
上記金属-樹脂積層体においては、含フッ素樹脂層が、含フッ素ポリマー架橋体を含む層であってもよい。このような含フッ素樹脂層を採用することで、耐久性などの各種特性により優れた金属-樹脂積層体を得ることができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本願の金属-樹脂積層体の一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰り返さない。
[金属-樹脂積層体の構成]
図1を参照して、金属-樹脂積層体の構成を説明する。図1は金属-樹脂積層体の一例を示す概略断面図である。
図1を参照して、金属-樹脂積層体10は、基材20と、含フッ素樹脂層30と、を備える。基材20は、第1の表面40Aを有する金属層40と、第1の表面40Aを覆う金属酸化領域50とを含む。含フッ素樹脂層30は、金属酸化領域50上に接触して配置される。
[基材]
本実施の形態において、金属層40はその表面に金属酸化領域50を形成可能な金属部材から構成される。そのような金属部材を構成する金属の例としては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼などが挙げられる。金属層40の形状は、含フッ素樹脂層を積層可能な形状である限り特に限定されず、例えば板状、箔状である。
本実施の形態において、金属酸化領域50は、例えば化成処理によって金属層40の第1の表面40A上に形成された酸化皮膜である。このような酸化皮膜を形成するための化成処理の方法としては、クロメート法、ベーマイト(boehmite)法、アルマイト法、ジルコニウム法、チタン法、リン酸クロメート法、リン酸亜鉛法等が挙げられる。なかでも金属酸化領域50としては、クロメート法によって形成されるクロメート処理領域、ジルコニウム法によって形成されるジルコニア処理領域、又はアルマイト法により形成されるアルマイト処理領域であるのが好ましく、クロメート処理領域であるのがより好ましい。クロメート法は、クロム酸塩又は重クロム酸塩を主成分とする溶液中に金属層40を構成する金属部材を浸漬し、化学的に金属酸化領域50となる皮膜を生成させる方法である。また他の化成処理も同様に、必要な成分を含む溶液に金属部材を浸漬することで、化学的に金属酸化領域50となる皮膜を生成させるようにすることで、化成処理を行うことができる。このような化成処理により、金属層40の第1の表面40Aには、金属酸化領域50が形成される。
金属酸化領域50の酸素含有量は40原子%以上である。上記酸素含有量の上限は、好ましくは80原子%以下、より好ましくは75原子%以下である。金属酸化領域50がこのような酸素含有量を有することにより、基材と樹脂層との間で充分な接着性を保持することができる。
金属酸化領域50の厚みは特に限定されないが、例えば0.01μm以上1.0μm以下、好ましくは0.01μm以上0.5μm以下である。厚みが0.01μm以上であることで、基材と樹脂層との間の接着性を好適に保持することができる。また厚みを1.0μm以下とすることで金属-樹脂積層体10の薄型化に貢献することができる。
[含フッ素樹脂層]
含フッ素樹脂層30は、含フッ素樹脂を主成分とする層である。具体的には、樹脂層を構成する成分の50質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上が含フッ素樹脂である。また含フッ素樹脂とは、分子鎖内に炭素原子(C)とフッ素原子(F)との結合を有する樹脂である。
含フッ素樹脂としては特に限定されないが、例えばテトラフルオロエチレン・ヘキサオロプロピレン共重合体(FEP:Fluorinated ethylene propylene)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA:Perfluoroalkane)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoroethylene)又はテトラフルオロエチレン・パーフルオロジオキソール共重合体(TFE/PDD:Tetrafluoroethylene-Perfluorodioxol copolymer)、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオライドターポリマー、フルオロエラストマー等を挙げることができる。さらにこれらの化合物を2種以上含む混合物や、これらの含フッ素樹脂を構成する各モノマー2種以上の組み合わせにより形成されるコポリマーなども含まれる
これらの中で、特にFEP、PFA、PTFE、およびTFE/PDDが好ましい。これらの含フッ素樹脂は、加熱や電子線照射等により、含フッ素樹脂としては比較的に容易にラジカルが生成する。生成したラジカルの反応によって、含フッ素樹脂の改質を行うことも可能である。
上記含フッ素樹脂は、酸素および窒素のうち少なくともいずれか一方を含有する極性基を含んでもよい。含フッ素樹脂がそのような極性基を有することにより、基材と樹脂層との間の接着性をより向上させることができる。そのような極性基は特に限定されないが、カルボキシ(-COOH)基、カルボン酸無水物(-CO-O-CO-)基、アルコキシカルボニル(RCOO-(Rは一価の炭化水素基))基、ヒドロキシ(-OH)基、エポキシ基、およびイソシアネート(-N=C=O)基からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。これらの基を含む場合、金属酸化領域と含フッ素樹脂層との間の相互作用が起こりやすく、そのような相互作用によって基材と樹脂層との間の接着性が高いレベルで安定する。
好ましい実施形態においては、含フッ素樹脂層30が、含フッ素ポリマー架橋体を含む層である。含フッ素ポリマー架橋体を含むことにより、耐摩耗性などの耐久性が向上する。また場合によっては基材と樹脂層との間で化学結合が生じることもある。それにより、含フッ素樹脂層30の耐久性がより向上する。
図2および図3を参照して、含フッ素ポリマーの未架橋の状態と架橋後の状態を概略的に説明する。図2は未架橋の含フッ素ポリマー分子と金属酸化領域50との関係を説明するための概略図である。図3は電子線架橋された状態の含フッ素ポリマー分子と金属酸化領域50との関係を説明するための概略図である。
図2の未架橋の状態においては、直鎖の含フッ素ポリマー分子31と、直鎖の含フッ素ポリマー分子32との間の分子間凝集力が弱い。また金属酸化領域50と含フッ素ポリマー分子32との間の相互作用が少ない。これに対し、図3に示す架橋後の状態においては、含フッ素ポリマー分子33の分子鎖はネットワーク状に伸長している。そのため、分子間力が弱い図2の未架橋の状態と比較して、図3に示す架橋体は、架橋によるネットワーク状の構造を有するためにより高い耐久性や耐熱性を有する。その結果、架橋によって含フッ素樹脂層30の耐久性や耐熱性が改善される。また結合点111,112,113において、分子鎖の一部が金属基材の表面と相互作用が生じ得る。
含フッ素樹脂層30が含フッ素ポリマー架橋体を含むか否かは、例えば三級炭素101,102,103,104,105の存在を、固体NMR(nuclear magnetic resonance)などの分析手段で検出することにより確認することが可能である。
また含フッ素ポリマー架橋体は、電子線架橋構造体、すなわち含フッ素樹脂に電子線を照射することにより架橋されたものであるのが好ましい。架橋によって、含フッ素樹脂層30の特性、例えば耐久性や耐熱性などを改質することができる。なお架橋の形態は特に限定されない。例えば真空中で金属-樹脂積層体10を加熱して熱ラジカルを生成させることにより架橋を行ってもよい。
含フッ素樹脂層30は、内部に気孔を有する多孔質構造であってもよい。このようにすることで、含フッ素樹脂層30の耐熱性や絶縁性等が向上する場合がある。
また図1を参照して、含フッ素樹脂層30の曲げ強度の向上や線膨張係数の調整のために、含フッ素樹脂層30は中間層を有していてもよい。そのような中間層の例としては、含フッ素樹脂層30を構成する含フッ素樹脂が含浸されたガラスクロスなどが挙げられる。他の例としては、金属クロス、セラミックスクロス、アルミナクロス、またはポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドおよびアラミド等の耐熱繊維クロス、またはポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、およびテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などからなる耐熱フィルム等が挙げられる。
上記中間層がクロス状の物質の場合、そのクロスの織り方としては特に限定されず、公知の折り方が適用可能である。例えば中間を薄くするためには平織りが好ましい。また屈曲する用途には、綾織りやサテン織りなどが好ましい。
上記中間層の密度としては、1g/m以上5g/m以上が好ましく、2g/m以上3g/m以上がより好ましい。また、上記中間層単独の引張強度としては、1GPa以上10GPa以下が好ましく、2GPa以上5GPa以下がより好ましい。また、上記中間層単独の引張弾性率としては、10GPa以上200GPa以下が好ましく、50GPa以上100GPa以下がより好ましい。さらに、上記中間層単独の最大伸び率としては、1%以上20%以下が好ましく、3%以上10%以下がより好ましい。また、上記中間層を構成する材料の軟化点としては、700℃以上1200℃以下が好ましく、800℃以上1000℃以下がより好ましい。上記中間層が上述の性質を有することで、好適に所望の機能を奏することができる。
含フッ素樹脂層30は、他の添加剤をさらに含んでもよい。そのような添加剤として、例えば曲げ強度、耐熱性や放熱性を向上させるためのフィラーを含んでもよい。またシランカップリング剤などの接着性付与剤を含んでもよい。また含フッ素樹脂層30は、他の添加成分として、難燃助剤、顔料、酸化防止剤、反射付与剤、隠蔽剤、滑剤、加工安定剤、可塑剤、発泡剤等を含んでもよい。
[金属-樹脂積層体10の形成方法]
金属-樹脂積層体10の形成方法は特に限定されない。一例として、以下のような手順にて金属-樹脂積層体10を形成することが可能である。
まず金属層40を構成する金属部材を準備する。たとえば、第1の表面40Aを含む領域がアルミニウム、ニッケル、銅、又はステンレス鋼からなる、板状や箔状の部材を準備する。
次に金属層40の第1の表面40Aに金属酸化領域50を形成する。金属酸化領域50は、第1の表面40Aを覆い、酸素含有量が40原子%以上となるように形成される。また金属酸化領域50が形成される面は金属層40の第1の表面40Aのみに限られず、金属層40の露出面を全て被覆するように金属酸化領域50を形成するのが望ましい。所定の成分を含有する溶液中に金属部材を浸漬することにより、第1の表面40Aを含む金属層の露出面全体に化学的に酸素含有皮膜を形成する。この酸素含有皮膜が金属酸化領域50となる。このようにして基材20を準備する。
次に含フッ素樹脂層30を形成するための含フッ素樹脂のシートを準備する。シートは補強材等として機能する中間層(たとえば含フッ素樹脂を含浸させたガラスクロスなど)を含んでいてもよい。準備した含フッ素樹脂のシートを、加圧および加熱下で金属酸化領域50を覆うように基材表面20A上に接着する。加圧および加熱は、例えば熱プレスにより行うことができる。
接着時の加熱温度は、含フッ素樹脂層30の主成分である含フッ素樹脂の結晶融点以上が好ましく、結晶融点よりも30℃高い温度以上がより好ましく、結晶融点よりも50℃高い温度以上がさらに好ましい。例えば、含フッ素樹脂層30の主成分がFEPの場合、このFEPの結晶融点が約270℃であるため、加熱温度は270℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましく、320℃以上がさらに好ましい。このような加熱温度において含フッ素樹脂層30を加熱することで、含フッ素樹脂内でラジカルを効果的に生成させることができる。ただし、加熱温度があまりに高温になると、含フッ素樹脂自体が劣化するおそれがあるため、加熱温度の上限としては600℃以下が好ましく、500℃以下がより好ましい。
また、上記工程に加え、さらに電子線照射を行って含フッ素樹脂の架橋を促進してもよい。
上記工程を行うことで金属-樹脂積層体10を作成することができる。なお、金属-樹脂積層体10の形状は板状やシート状の形状に限られず、基材20と含フッ素樹脂層30との接着が可能な種々の形状を採用することができる。
[用途]
本実施の形態に係る金属-樹脂積層体は、種々の分野に適用することが可能である。特に配線材やテープ部材、電池、フレキシブルプリント基板といった電気・電子部材に好適に適用することができる。
発明の効果を確認するために以下の実験を行い、特性を評価した。結果を以下に示す。
[評価用試料の作製]
上記実施の形態に説明した方法により金属-樹脂積層体の試料を作製した。作製した各試料について、金属層と樹脂層との間のピール強度を測定し、評価した。ピール強度の測定結果を表1~表3の「ピール評価」の欄に示す。
ピール強度は、JIS K 6854-2に準じて測定した。
なお表1は金属層として、アルミニウム(Al)層を用いた例の評価結果である。表2は金属層として、ニッケル(Ni)層を用いた例の評価結果である。
なお表1、表2において、金属層としては厚み50μmの金属箔を準備した。また「表面処理」とは金属酸化領域50を形成するために行った表面処理の方法を示す。「Zr」はジルコニウム法、「Cr」はクロメート法を意味する。含フッ素樹脂層30を構成する材料としてFEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)のシート(厚み12.5μm)を2枚準備し、基材20を挟むように両面にシートを熱プレスして接着した。「プレス条件」は、シート接着時の熱プレスの条件を示す。また「照射あり」、「照射なし」とは電子線照射の有無を示している。
表1において、実験No.1~No.3は金属層の表面処理が行われておらず、金属酸化領域を含まない試料の評価結果であり、比較例である。同様に、表2の実験No.6も比較例である。その他の例(実験No.4,5,7)は実施例である。
Figure 0007082870000001
Figure 0007082870000002
※ばらつきが大きい
[考察]
表1に示すように、金属層40の表面処理により金属酸化領域50を形成することで、飛躍的に基材-樹脂層の間の接着性が向上することが実証された。
まず表1を参照して、実験No.1~No.3に示すように、金属酸化領域50が形成されていない基材20に対する、含フッ素樹脂層30のピール強度は3.0N/cm以下と低い(実験No.1~No.3)。このように含フッ素樹脂は本質的には金属と接着しにくい。また実験No.1~No.3のように熱プレスの条件を変更してもピール強度にほとんど差は見られない。これに対し、実験No.4およびNo.5においては、実験No.1~No.3に対して有意に高いピール強度を発揮した。
金属層がNi層であっても同様である。表2を参照して、金属層40の表面がジルコニウム処理され、ジルコニウムを含む金属酸化領域50が形成された実験No.7の試料においては、金属酸化領域50が形成されていない実験No.6の試料と比較して有意にピール強度が高かった。また、含フッ素樹脂層30に電子線を照射しない場合において、金属酸化領域50が形成されていない実験No.6では実験水準ごとのばらつきが大きかった。これに対し、金属酸化領域50が形成された実験No.7の試料においてはピール強度は充分な強度で安定していた。
このように、金属酸化領域50を含む基材を準備するとともに、含フッ素樹脂層30を金属酸化領域50上に接合することで、基材と樹脂層との間で剥離が起こりにくい金属-樹脂積層体を得ることができる。また基材と樹脂層とが直接接触するように接着することで、含フッ素樹脂層30が本来有する有利な特性を充分に発揮し、薄型化にも寄与する金属-樹脂積層体10を得ることができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本願の金属-樹脂積層体は、金属を主体とする基材と含フッ素樹脂を主体とする樹脂層とを含み、基材と樹脂層との間の剥離が起こりにくい金属-樹脂積層体が求められる分野において、特に有利に適用され得る。
10 金属-樹脂積層体
20 基材
20A 基材表面
30 含フッ素樹脂層
31,32,33 含フッ素ポリマー分子
40 金属層
40A 第1の表面
50 金属酸化領域
101,102,103,104,105 三級炭素
111,112,113 結合点

Claims (5)

  1. 基材と、
    含フッ素樹脂層と、
    を備え、
    前記基材は、
    第1の表面を有し、ニッケル箔の層である金属層と、
    前記第1の表面を覆うジルコニア処理領域である金属酸化領域と、を含み、
    前記含フッ素樹脂層を構成する含フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体およびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むとともに、フルオロシリコーン化合物を含まない含フッ素樹脂であり、
    前記含フッ素樹脂層は、前記金属酸化領域上に接触して配置される、
    金属-樹脂積層体。
  2. 前記金属層と前記含フッ素樹脂層との間のピール強度が9.3N/cm以上である、請求項1に記載の金属-樹脂積層体。
  3. 前記含フッ素樹脂が、酸素および窒素のうち少なくともいずれか一方を含有する極性基を含む、請求項1または請求項2に記載の金属-樹脂積層体。
  4. 前記極性基が、カルボキシ基、カルボン酸無水物基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項に記載の金属-樹脂積層体。
  5. 前記含フッ素樹脂層が、含フッ素ポリマー架橋体を含む層である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の金属-樹脂積層体。
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