JPH07195616A - フッ素樹脂被覆鋼板およびその製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂被覆鋼板およびその製造方法

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JPH07195616A
JPH07195616A JP35101793A JP35101793A JPH07195616A JP H07195616 A JPH07195616 A JP H07195616A JP 35101793 A JP35101793 A JP 35101793A JP 35101793 A JP35101793 A JP 35101793A JP H07195616 A JPH07195616 A JP H07195616A
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steel sheet
resin film
fluororesin
layer
heat
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JP35101793A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Hatano
浩 秦野
Kenji Osawa
健次 大沢
Toshihiko Okada
敏彦 岡田
Yasuhide Yoshida
安秀 吉田
Masaki Omura
雅紀 大村
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は密着性に優れた熱融着型のフッ素樹脂
被覆鋼板に関するものである。 【構成】Alを20〜80wt.%含むZn−Al系合
金めっき鋼板の表面にクロメート処理層あるいはさらに
プライマー層を介してエチレンテトラフルオロエチレン
共重合体樹脂フィルムの熱融着層を形成したフッ素樹脂
被覆鋼板である。 【効果】Alが20〜80wt.%含むZn−Al系合
金めっき層とETFE樹脂フィルムの熱融着層の間にク
ロメート処理層を介在させることにより特別な下地処理
等を施すことなく優れたフィルムの密着性が得られる。
また、クロメート処理層の上にプライマー層を介在させ
ることにより、密着性、耐食性がさらに向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は密着性、あるいはさら
に加工性、耐食性に優れたフッ素樹脂被覆鋼板に関す
る。
【0002】
【従来の技術】鋼板表面にフッ素樹脂被覆層を形成した
フッ素樹脂被覆鋼板はフッ素樹脂の優れた耐熱性、非粘
着性を活かしてガステーブルの天板、炊飯器の内釜用素
材等の厨房用品用素材に広く使用されている。
【0003】耐熱性、非粘着性に優れたフッ素樹脂とし
ては、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(以
下、ETFEと呼ぶ)樹脂、ポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)樹脂、4フッ化エチレンパーフルオロア
ルコキシエチレン共重合体(PFA)樹脂、4フッ化エ
チレン6フッ化プロピレン共重合体(FEP)樹脂等が
知られている。
【0004】フッ素樹脂被覆鋼板には、フッ素樹脂を溶
媒に分散させたフッ素樹脂塗料を下地鋼板上に塗布した
後、焼き付けてフッ素樹脂被覆層を形成したフッ素樹脂
塗装鋼板、フッ素樹脂フィルムを下地鋼板上に接着剤層
を介して貼り付ける接着型フッ素樹脂ラミネート鋼板お
よびフッ素樹脂フィルムを下地鋼板上に熱融着させる熱
融着型フッ素樹脂フィルムラミネート鋼板がある。
【0005】フッ素樹脂塗装鋼板は製造コストの点で有
利であるが、ミクロにみた場合塗膜の連続性が劣り、塗
装時の塗膜にピンホールが発生しやすく、ピンホール部
から下地鋼板の腐食が発生しやすいという欠点がある。
【0006】接着型フッ素樹脂フィルムラミネート鋼板
は、フッ素樹脂フィルム自体は緻密であるので上記のよ
うなピンホールがなく、さらに、製造時に鋼板を高温に
加熱することなく十分なフィルム密着性が得られる点で
有利である。しかし、接着剤自体の耐久性が悪いと、接
着剤層の劣化が早期に起こり、フッ素樹脂フィルムの性
能を十分に活かせないという欠点がある。
【0007】熱融着型フッ素樹脂フィルムラミネート鋼
板はフィルム自体が緻密である点は上記のフィルムの場
合と同様であるが、フッ素樹脂の特徴である非粘着性に
起因して下地鋼板との密着性が悪いので、下地鋼板との
良好な密着性を得るために以下に示すような特殊な前処
理を施した後に、熱融着したフッ素樹脂フィルム形成す
る必要があった。
【0008】即ち、フィルム密着性に優れた熱融着型フ
ッ素樹脂フィルムラミネート鋼板に関する技術として
は、 特公昭59−10304号公報に示されるように、下
地鋼板に陽極酸化皮膜を形成させた後、フッ素樹脂フィ
ルムを熱間圧着する方法、特公昭59−16836号
公報に示されるように、下地となるめっき鋼板に電気化
学的エッチング処理を施して、表面に微細な凹凸を設け
た後フッ素樹脂等の被覆を形成する方法、特公昭59
−16837号公報に示されるように、下地となるめっ
き鋼板に機械的な粗面化処理を施した後フッ素樹脂等の
被覆を形成する方法、特開昭63−126728号公
報に示されるように、下地となるめっき鋼板に水和酸化
皮膜を形成した後PTFE樹脂フィルムを熱圧着する方
法、特開平5−162243号公報のように、めっき
鋼板等の下地鋼板の表面にフッ素樹脂と耐熱性樹脂とを
混合した下地層を設けた後フッ素樹脂フィルムの熱融着
層を形成したフッ素樹脂フィルム被覆鋼板等がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した被覆
鋼板には以下に述べるような問題点がある。
【0010】即ち、特公昭59−10304号公報、特
公昭59−16837号公報、特公昭59−16837
号公報および特開昭63−126728号公報に示され
るようなフッ素樹脂被覆鋼板は何れも優れた密着性を得
るために、フッ素樹脂被覆層を形成する前に特別な下地
処理を必要としており、また、特開平5−162243
号公報に示されるようなフッ素樹脂被覆鋼板ではフッ素
樹脂被覆層を形成する前に特別な組成のプライマー層の
形成、あるいはさらにプライマー層を形成する前の下地
鋼板の粗面化処理を必要としており、何れもコストが高
くなるという問題がある。
【0011】本発明者等は、前記の従来技術の問題点を
鑑みて、安価で密着性の優れたフッ素樹脂被覆鋼板およ
びその製造方法を提供することを目的として研究してい
る過程で、前記のような特別な前処理、あるいは特別な
プライマー層を形成しなくても熱融着したフッ素樹脂フ
ィルムが良好な密着性を示すことがあることに気づき、
鋭意検討の結果、下地鋼板が特定範囲のAl組成のZn
−Al系合金めっき鋼板であり、前記Zn−Al系合金
めっき鋼板上に施した化成処理がクロメート処理であっ
て、かつ、フッ素樹脂層がETFE樹脂からなる熱融着
フィルムであれば、特別な前処理あるいは特殊なプライ
マーを用いることなく優れた密着性の熱融着型フッ素樹
脂ラミネート鋼板が得られることを知見した結果、本発
明に到ったものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段は、第一の発明ではAlを20〜80wt.%含
むZn−Al系合金めっき鋼板表面に、クロメート処理
層を介して、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体
樹脂フィルムの熱融着層を形成したフッ素樹脂被覆鋼板
であり、第二の発明ではAlを20〜80wt.%含む
Zn−Al系合金めっき鋼板表面に、クロメート処理層
およびその上に形成されたプライマー層を介して、エチ
レンテトラフルオロエチレン共重合体樹脂フィルムの熱
融着層を形成したフッ素樹脂被覆鋼板である。また、第
三の発明は前記のフッ素樹脂被覆鋼板の製造方法に関す
るものであり、前記のフッ素樹脂被覆鋼板のエチレンテ
トラフルオロエチレン共重合体樹脂フィルムの熱融着層
を形成するに際して、前記熱融着層を形成すべきクロメ
ート処理層あるいはさらにその上にプライマー層が形成
された下地鋼板を前記樹脂フィルムの融点以上に加熱
し、次いで前記鋼板の表面に前記樹脂フィルムを圧着
し、さらに、前記の樹脂フィルムが圧着された鋼板を前
記樹脂フィルムの融点以上、熱分解温度以下に加熱して
エチレンテトラフルオロエチレン共重合体樹脂フィルム
の熱融着層を形成させるフッ素樹脂被覆鋼板の製造方法
である。
【0013】以下本発明について詳述する。本発明にお
いては優れた密着性を得るために下地鋼板のめっき層の
存在は極めて重要である。本発明のめっき層はZn、A
lを主成分とするZn−Al系合金めっき層であって、
優れた密着性を得るためには、Al含有率が20〜80
wt.%、好ましくは30〜70wt.%,さらに好ま
しくは40〜60wt.%であることが望ましい。この
範囲を外れると密着性が低下するためである。
【0014】本発明においては本発明の効果を損なわな
い範囲内でさらにSiあるいはその他の元素を含むこと
ができる。
【0015】係るめっき鋼板の製造方法としては代表的
には溶融めっき法によることができるが、この方法に限
定されるものではない。
【0016】また、めっきの基材となる鋼板は低炭素鋼
板、高炭素鋼板あるいはステンレス鋼板等各種の鋼板を
使用することができる。
【0017】本発明において前記組成のめっき鋼板が優
れた密着性を示す理由は必ずしも明らかではないがAl
−Zn系合金めっき鋼板の表面に形成された酸化物皮膜
と、この上に形成されたクロメート処理層のCr=Oや
Cr−OHとが強固な結合をもたらすためではないかと
推測される。
【0018】本発明において、前記のAl−Zn系合金
めっき層の上にクロメート処理層を介して、ETFE樹
脂フィルムの熱融着層を形成することが必要である。化
成処理を全く行わない場合、あるいは、化成処理として
リン酸塩処理を行った場合は、良好な密着性が得られ
ず、本発明の化成処理としては適当でない。
【0019】クロメート処理層が優れた密着性を示す理
由は前記した通りであると推測される。
【0020】優れた密着性を得るために、クロメート処
理層の付着量はクロム換算で10〜90mg/m2 、好
ましくは20〜80mg/m2 、さらに好ましくは40
〜60mg/m2 が適切である。付着量が少ないとクロ
メート処理層の効果が現れず、また、付着量が多いとク
ロメート処理層内の凝集破壊が起こり、いずれも密着性
が低下するためである。
【0021】クロメート処理には、反応型クロメート処
理、塗布型クロメート処理、電解型クロメート処理があ
る。反応型クロメート処理はクロメート処理液中に下地
鋼板を浸漬するかクロメート処理液を下地鋼板にスプレ
ーで吹き付けることによって行われる。塗布型クロメー
ト処理は下地鋼板に塗布ロールでクロメート液を塗布す
ることによって行われる。電解型クロメート処理はクロ
メート処理液中で下地鋼板を陰極として電解することに
よって行われる。本発明ではこれらの何れの処理も使用
できるが、コスト面から塗布型クロメート処理を用いる
ことが望ましい。
【0022】塗布型クロメート処理としては、クロム酸
系、クロム酸とシリカを含有する系、クロム酸とシリカ
とリン酸を含有する系等各種の処理液を使用することが
できる。クロム酸とシリカとリン酸を含有する塗布型ク
ロメート処理を使用すると、密着性に加えて、さらに優
れた耐食性が得られる。クロム酸とシリカとリン酸を含
有する処理液では、クロム酸(CrO3 )とシリカ(S
iO2 ) 、リン酸(H3 PO4 )の配合比率(重量比)
はリン酸を1とすると、クロム酸を1〜3、シリカを1
〜3に配合するのが好ましい。
【0023】フッ素樹脂としては、優れた密着性を得る
ためにはETFE樹脂が必要である。それ以外のフッ素
樹脂では良好な密着性が得られない。ETFE樹脂はエ
チレンとテトラフルオロエチレンが交互に共重合したも
のが一般的だが、必ずしもこれに限定されるわけではな
い。ETFE樹脂フィルムの熱融着層の厚さは30〜1
000μm、特に50〜1000μmが好ましい。この
厚さを下回ると耐食性が低下する。また、前記の厚さを
超えると、コストアップとなるだけでなく、加工性が低
下するためである。
【0024】ETFE樹脂は着色顔料を含まない透明な
樹脂で使用してもよいし、必要に応じて適宜着色顔料を
配合することもできる。着色顔料としては酸化チタン、
酸化鉄等の公知の顔料を配合目的に応じて適宜選択する
ことができる。
【0025】本発明においては、クロメート処理層の上
にプライマー層を形成した後、その上にフッ素樹脂被覆
層を形成することによって、更に密着性、耐食性の向上
を図ることができる。
【0026】プライマー層はクロメート処理層を形成し
た後、その上にプライマー塗料を塗装、焼付することに
よって形成する。
【0027】プライマー塗料はベース樹脂、顔料および
その他の添加物からなる。プライマー塗料中のベース樹
脂としては、エポキシ樹脂、エポキシウレタン樹脂、変
成エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ア
クリル樹脂、アクリルエポキシ樹脂、アクリルフェノー
ル樹脂、ポリエステル樹脂、変成エポキシ樹脂、アルキ
ッド樹脂、ウレタン樹脂等、塗料として一般的に用いら
れている各種の樹脂を使用することができる。
【0028】プライマー塗料中の顔料として、クロム酸
ストロンチウム、クロム酸バリウム、クロム酸カルシウ
ム、クロム酸亜鉛等の防錆顔料を含むことが必要であ
る。
【0029】プライマー層はクロメート処理層とETF
E樹脂フィルムの熱融着層の双方に対して強固な結合を
もたらすために密着性が向上する。プライマー層中の防
錆顔料が下地の腐食を抑制するために耐食性が優れる。
【0030】本発明のプライマー塗料中には、さらに必
要に応じて酸化チタン、シリカ、タルク、クレーおよび
炭酸カルシウム等の体質顔料を配合してもよい。
【0031】また、本発明のプライマー塗料中には、本
願の効果を損なわない範囲であればその他の添加物を配
合することができる。
【0032】プライマー層の厚さは40μm以下が適当
である。40μmを超えるとプライマー塗料を焼き付け
た時に、膨れが発生して、上層被覆層の表面に凹凸の外
観不良が発生するためである。
【0033】次に、本発明の熱融着型フッ素樹脂被覆鋼
板において、下地鋼板へのフッ素樹脂フィルムの熱融着
層の形成方法について説明する。
【0034】本発明の熱融着型フッ素樹脂被覆鋼板で
は、クロメート処理層あるいはさらにその上にプライマ
ー層が形成された下地鋼板をETFE樹脂フィルムの融
点以上に加熱し、次いで前記鋼板の表面に前記のETF
E樹脂フィルムを圧着し、さらに、前記の樹脂フィルム
が圧着された鋼板をETFE樹脂フィルムの融点以上、
熱分解温度以下に加熱してETFE樹脂フィルムの熱融
着層を形成するのがよい。
【0035】下地鋼板をETFE樹脂フィルムの融点以
上に加熱した後にETFE樹脂フィルムを圧着する。下
地鋼板をETFE樹脂フィルムの融点以上に加熱した
後、ETFE樹脂フィルムを圧着すると、圧着と同時に
下地鋼板に接する面からフィルムの溶融が始まるので密
着性が向上する。さらに、前記の樹脂フィルムが圧着さ
れた鋼板をETFE樹脂フィルムの融点以上、熱分解温
度以下に加熱すると、ETFE樹脂が溶融することによ
り下地鋼板とETFE樹脂フィルムの層間の気泡が完全
に脱気されるので密着性が向上する。圧着はロールによ
る圧着等公知の方法によって行うことができる。圧着時
の圧力は密着性の点から5kg/cm2 以上が好まし
い。
【0036】後加熱をETFE樹脂の融点以上としたの
は、融点以下では、フィルムが完全に溶融せず下地鋼板
に十分密着しないためである。また、ETFE樹脂の分
解温度以下としたのはこの温度を超えると樹脂フィルム
が熱分解により劣化するためである。後加熱時間は20
〜60秒が望ましい。20秒未満ではフィルムが十分に
溶解せず密着性が不十分であり、また60秒を超えて加
熱しても密着性の向上効果がなく、逆にコスト的に不利
となるためである。
【0037】
【作用】下地めっき鋼板の表面に形成されたクロメート
処理層のCr=OやCr−OHが下地のAl−Zn合金
めっき鋼板の表面に形成された酸化物と強固な結合をも
たらすとともに、クロメート処理層の上に形成される熱
融着されたEFTE樹脂フィルムと強固な結合をもたら
すために密着性が優れる。
【0038】また、プライマー層はクロメート層とET
FE樹脂フィルムの双方に対して強固な結合をもたらす
ために密着性に優れる。また、プライマー層中の防錆顔
料が下地鋼板の腐食を抑制するために耐食性が向上す
る。
【0039】また、下地鋼板上にETFE樹脂フィルム
の熱融着層を形成するに際して、予め下地鋼板をETF
E樹脂フィルムの融点以上に加熱した後、その表面にE
TFE樹脂フィルムを圧着し、さらに、前記の樹脂フィ
ルムが圧着された鋼板をETFE樹脂フィルムの融点以
上、熱分解温度以下に加熱してETFE樹脂フィルム熱
融着層を形成することにより、下地鋼板とETFE樹脂
フィルム間に気泡の巻き込がなく、また両者が強固に接
着するので密着性が向上する。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに具体
的に説明する。下地鋼板としてAl含有量が10〜90
wt.%、めっき量が片面20〜200g/m2 の溶融
Zn−Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al−1.6
%Si(wt.%)でめっき量が100g/m2 の溶融
めっき鋼板(GL)、めっき量が100g/m2 の溶融
亜鉛めっき鋼板(GI)、めっき量が40g/m2 の電
気亜鉛めっき鋼板(EG)、めっき量が40g/m2
溶融アルミめっき鋼板(Al)、Al−5%Zn−0.
2%Si(wt.%)でめっき量が100g/m2 の溶
融めっき鋼板、ステンレス鋼板(SUS304)を準備
した。板厚はいずれも0.5mmとした。この鋼板(下
地鋼板)を用いて下記の通り本発明の実施例および比較
例のための樹脂被覆鋼板を作成した。
【0041】(実施例)下地鋼板としてAl含有量が2
0〜80wt.%、めっき量が片面20〜200g/m
2 の溶融Zn−Al合金めっき鋼板およびZn−55%
Al−1.6%Siでめっき量が100g/m2 の溶融
めっき鋼板(GL)を用いて化成処理を施した後、No1
〜21および29〜34まではプライマー処理を施さな
いでまたNo22〜28ではプライマー処理を施した後に
厚さ30〜1000μmのETFE樹脂フィルムを用い
て熱融着フィルムの被覆層を形成した。
【0042】化成処理の種類(処理液)は次の通りであ
る。 (1)処理液A:塗布型フロメート処理であって、クロム
酸:シリカ:リン酸=2:2:1の重量比率で配合され
たクロメート処理液を下地鋼板の表面にロールコートし
た後、90℃、20秒の条件で乾燥処理した。 (2)処理液B:塗布型クロメート処理であって、クロム
酸:シリカ=1:4 の重量比率で配合されたクロメー
ト処理液を下地鋼板の表面にロールコートした後、90
℃、20秒の乾燥条件で乾燥処理した。 (3)処理液C:反応型クロメート処理であって、クロメ
ート処理液(ジンクロム3360H、日本パーカライジ
ング社製)に下地鋼板を浸漬後、絞りロールで付着量調
整をした後、100℃で乾燥処理した。 (4)処理液D:電解型クロメート処理であって、CrO
3 を30g/l、Na2SO4 を0.3g/l含み、5
0℃のクロメート処理液中で、20A/dm2 の電流密
度で、下地鋼板を陰極として電解処理した。
【0043】また、プライマー塗料はクロム酸ストロン
チウムを28wt.%含有するエポキシ樹脂系プライマ
ーを使用し、ロールコートで乾燥膜厚が5μmになるよ
うに塗装し、焼付板温200℃、焼付時間60秒の条件
で焼付処理した。
【0044】ETFE樹脂フィルムは市販の樹脂フィル
ム(旭硝子社製)を使用した。融点は260℃、分解温
度は400℃である。
【0045】ETFE樹脂フィルムを熱融着する前に下
地鋼板を熱風式加熱炉で350℃に加熱後、5kg/c
2 の圧力でフィルムを圧着し、さらに350℃の温度
で60秒の後加熱を行い、フッ素樹脂被覆鋼板を作成し
た。
【0046】作成したフッ素樹脂被覆鋼板について、フ
ィルム密着性、加工性、耐食性の試験を行った。試験に
供した鋼板の内容および試験結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】なお、表1の各試験は以下の方法で行っ
た。フィルム密着性は市販のカッターナイフでラミネー
トフィルム側に母材に達する1mm角の碁盤目を100
個描いた試験片を、沸水中で3時間処理した後、エリク
セン試験機で6mm押出、押出部をセロファンテープで
剥離し、剥離したマス目を目視で測定した。評価は剥離
程度に応じて、剥離率が5%未満を「5」、5%以上1
0%未満を「4」、10%以上、25%未満を「3」、
25%以上50%未満を「2」、50%以上を「1」と
した。
【0049】加工性は試験片に180度の角度で密着折
り曲げを施し、折り曲げ部のクラックの状態をルーペで
拡大し、目視で判定した。評価はクラック程度に応じて
クラックの全く認められないものを「5」、クラックの
僅かに認められるものを「4」、クラックが中程度のも
のを「3」、クラックの大きいものを「2」、クラック
の著しいものを「1」とした。
【0050】耐食性は180度の角度で密着折り曲げを
施した試験片を、JIS−Z2370に規定の条件で2
000時間の塩水噴霧試験を行った。折り曲げ部をセロ
ファンテープで剥離し、剥離率を目視で判定した。評価
は剥離程度に応じて、剥離率が5%未満を「5」、5%
以上10%未満を「4」、10%以上、25%未満を
「3」、25%以上50%未満を「2」、50%以上を
「1」とした。
【0051】(比較例)先に述べた下地鋼板を使用し
て、実施例と同様に化成処理は処理液Aを使用して処理
した。但し、No8(処理液P)はリン酸塩処理であり、
リン酸亜鉛系処理液(パルボンド3300、日本パーカ
ライジング社製)に下地鋼板を浸漬処理した。また、No
7については化成処理は行わなかった。また、いずれも
プライマー処理は施さなかった。フッ素樹脂フィルムに
ついては、No10、11、12はそれぞれポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)樹脂、4フッ化エチレンパ
ーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)樹
脂、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(F
EP)樹脂の各フィルムを使用し、その他は実施例と同
じETFE樹脂フィルムを使用した。フィルムは前加熱
温度を350℃、後加熱温度を350℃、加熱時間を6
0秒を基本とし、No13〜17については前加熱、後加
熱の条件を変更した。また、No18のめっき鋼板は10
%塩酸中で5分間エッチング処理を行い、表面に凹凸を
形成させた。この鋼板を360℃に加熱した後、その表
面に4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(F
EP)樹脂フィルムを圧着し、さらに360℃で20分
間加熱した。フィルムの圧着は上記の実施例と同様の条
件で行った。
【0052】比較例についても上記の本発明の実施例と
同様の条件で試験した。比較材の内容および試験結果を
表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】本発明の実施例は密着性がいずれも優れ
る。また、プライマー層を形成したNo22〜28はプラ
イマー層がない場合に比べてフィルム密着性、耐食性が
さらに向上している。
【0055】比較例においてAl−Zn系合金めっきで
Al含有率は外れるNo1・2、化成処理を行わないNo
7、化成処理層がリン酸塩処理のNo8はフィルム密着性
が劣る。また、下地鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜
鉛めっき鋼板、溶融アルミめっき鋼板の場合あるいはス
テンレル鋼板の場合はいすれも密着性が劣る。
【0056】フッ素樹脂の被覆層を形成時に、前加熱温
度、後加熱温度、後加熱時間が本発明の範囲を外れるNo
12〜17は何れも密着性が劣る。
【0057】
【発明の効果】本発明の鋼板は、密着性が優れる。ま
た、プライマー層を介在させることにより、更に密着
性、耐食性が優れる。また、ETFE樹脂フィルムを熱
融着するに際して、予め下地鋼板をETFE樹脂フィル
ムの融点以上に加熱した後、前記鋼板の表面にETFE
樹脂フィルムを圧着し、さらに、前記ETFE樹脂フィ
ルムが圧着された鋼板をETFE樹脂フィルムの融点以
上、熱分解温度以下に加熱してETFE樹脂フィルムの
熱融着層を形成するので優れたフィルム密着性のフッ素
樹脂被覆鋼板を得ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 吉田 安秀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 大村 雅紀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Alを20〜80wt.%含むZn−Al
    系合金めっき鋼板表面に、クロメート処理層を介して、
    エチレンテトラフルオロエチレン共重合体樹脂フィルム
    の熱融着層を形成してなるフッ素樹脂被覆鋼板。
  2. 【請求項2】Alを20〜80wt.%含むZn−Al
    系合金めっき鋼板表面に、クロメート処理層およびその
    上に形成されたプライマー層を介して、エチレンテトラ
    フルオロエチレン共重合体樹脂フィルムの熱融着層を形
    成してなるフッ素樹脂被覆鋼板。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載のフッ素樹
    脂被覆鋼板においてエチレンテトラフルオロエチレン共
    重合体樹脂フィルムの熱融着層を形成してフッ素樹脂被
    覆鋼板を製造するに際して、前記熱融着層を形成すべき
    下地鋼板を前記樹脂フィルムの融点以上に加熱し、次い
    で前記鋼板の表面に前記樹脂フィルムを圧着し、さらに
    前記樹脂フィルムが圧着された鋼板を前記樹脂フィルム
    の融点以上、熱分解温度以下に加熱してエチレンテトラ
    フルオロエチレン共重合体樹脂フィルムの熱融着層を形
    成することを特徴とするフッ素樹脂被覆鋼板の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997016582A1 (fr) * 1995-11-02 1997-05-09 Toyo Kohan Co., Ltd. Processus de production de tole d'acier laminee, tole d'acier laminee et tole d'acier ayant subi un traitement de surface utilisee dans ce processus
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JP2019104171A (ja) * 2017-12-12 2019-06-27 住友電気工業株式会社 金属−樹脂積層体

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