JP7082846B1 - 頭皮保護用組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、疎水性炭化水素を含む皮膚保護用組成物は、皮脂を含む皮膚に馴染みやすく皮膚上に保護膜を形成しやすくなる。
また、該皮膚保護用組成物は疎水性炭化水素を含有することにより、水溶性の染毛剤と接したときに、染毛剤の成分、特にジアミン類を剤形中に分散しにくく、透過しにくい。このため、染毛剤等に含まれるジアミン類は皮膚に到達しにくくなり、毛髪施術時のアレルギー反応の低減を期待できる。
同時に、水溶性の染毛剤は、皮膚保護用組成物により保護膜が形成された頭皮ではなく、毛髪に効率的に移行するため、染毛効果を高めることができる。
さらに、皮膚保護用組成物はセルロースナノファイバーを含むため、皮膚保護用組成物の表面に水溶性の染毛剤が付着したときに、セルロースナノファイバーが染毛剤の付着した保護膜の表面に滲み出すように集積し、染毛剤を取り込みつつ3次元の網目構造のミクロフィブリルを形成し、急速にゲル化する。このため、染毛に使われない染毛剤が保護剤表面付近に留まりやすく、ゲル化した染毛剤は洗い流しやすくなる。
また、皮膚保護用組成物に含まれるセルロースナノファイバーは、攪拌や摩擦、振動等により急速に粘度が低下するチキソトロピー性を有するため、コームと毛髪との摩擦領域では粘度が下がり、染毛が可能となる。逆に、頭皮のような摩擦がほぼ加えられない領域では粘度が下がらず、染色されにくい。
まず、セルロースとは、多糖類であり、β-グルコースが直鎖上に重合した高分子である。そして、セルロースナノファイバーは、セルロースをナノレベルまで解繊したものである。セルロースナノファイバーの直径は、概ねナノメートルのサイズであり、数百nm以下の物を指すことが多い。また、セルロースナノファイバーのアスペクト比(繊維長/繊維幅)は、100以上となる。
セルロースナノファイバーが0.01質量%未満になると、皮膚保護用組成物の表面に水溶性の染毛剤が付着したときに、セルロースナノファイバーが有効成分として染毛剤の付着した保護膜の表面に滲み出すように集積し、染毛剤を取り込みつつ3次元の網目構造のミクロフィブリルを形成し、急速にゲル化するという特性が得にくくなる。さらに、セルロースナノファイバーが有するチキソトロピー性により、摩擦の有無で粘度を調整することが難しくなる。一方、セルロースナノファイバーが30質量%を超えると、沈殿しやすくなる。
セルロースナノファイバーの平均繊維長が0.8μmを超えると、3次元網目構造は荒くなり、ミクロフィブリルが形成されにくくなり、保護膜に付着した染毛剤を取り込みにくくなり、急速なゲル化も進みにくくなる。一方、セルロースナノファイバーの平均繊維長が0.01μmを下回ると、ナノ材料としての人体への安全性に懸念が生じることとなる。
本発明に用いられる疎水性炭化水素化合物は、疎水性を有する炭化水素化合物から適宜選択されるが、特に、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、スクワラン等が好ましい。なお、水溶性の染毛剤を溶解・分散させない性質であることが要求されるため、エステル基やヒドロキシル基、エーテル基等を有する植物油やアルコール等の疎水性の低い炭化水素化合物は好ましくない。
本発明の皮膚保護用組成物は、親水性多糖類をさらに含んでもよい。
親水性多糖類が0.01質量%未満になると、皮膚保護用組成物の表面に水溶性の染毛剤が付着したときに、セルロースナノファイバーにより形成されたミクロフィブリルをさらに凝固させることが難しくなる。一方、親水性多糖類が10質量%を超えると、セルロースナノファイバーのミクロフィブリル形成を阻害したり、逆に凝固が遅くなったり沈殿しやすくなる。よって、親水性多糖類を配合する場合は、セルロースナノファイバーの性質を損なわないように配合することが望ましい。親水性多糖類の含有量は、セルロースナノファイバーの含有量に対し、等量以下であることがより好ましい。
本発明の皮膚保護用組成物は、酸化防止剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
酸化防止剤は、腐敗防止する成分が適宜選択されるが、特にトコフェロールが好ましい。酸化防止剤の含有量は、0.001質量%以上0.3質量%以下が好ましく、0.02質量%以上0.1質量%以下がさらに好ましい。
本発明の皮膚保護用組成物は、上述したセルロースナノファイバーと、疎水性炭化水素化合物、及び、任意の親水性多糖類、任意の酸化防止剤を含む。
疎水性炭化水素化合物の粘度は温度依存的に増減するが、セルロースナノファイバーの温度非依存的チキソトロピー性より、皮膚保護用組成物は周囲の温度環境に影響されず染毛剤のゲル化を促進することができる。すなわち、一度ゲル化した染毛剤はコーム等の摩擦が与えられなければ粘度は下がらず、頭頂部等からの皮膚保護用組成物の流れ落ちを抑えることができる。
また、疎水性炭化水素化合物は疎水性であるため、水溶性の染毛剤の成分、特にジアミン類を溶解・分散しにくい。このため、染毛剤等に含まれるジアミン類は皮膚に到達しにくくなり、毛髪施術時のアレルギー反応を低減することができる。
染毛剤(カラー剤)に含まれるジアミン類が、頭皮に到達してアレルギー反応の原因となりやすいか否かは、カラー剤やジアミン類が頭皮保護剤に混和するか相分離するか、あるいは、頭皮保護剤にカラー剤やジアミン類がどの程度分散しているかを評価する必要がある。
ただ、頭皮保護剤は、光が十分に透過しないものや粘度が高いものが多く、分光分析による定量が難しい。しかしながら、ジアミン類4種は紫外線を照射すると重合を開始し、十分な時間経過により定常状態になることに着目し、次のように評価を行った。
実施例1~3は流動パラフィン(ハイコールK-350、カネダ株式会社製)中のセルロースナノファイバー(Cellenpia、日本製紙株式会社製)の濃度を0.1質量%、1質量%、10質量%に変えたものであり、比較例1~10は市販品の頭皮保護剤を用いたものである。
また、カラー剤は、色剤(1剤)と過酸化水素化合物(2剤)の混合物であり、各カラー剤は以下の1剤及び2剤を1:1で混合したものである。
・カラー剤A
ILLUMINA(Deepsea、WELLA製)+2剤(過酸化水素6%)
・カラー剤B
THROW(P/08株式会社b-ex製)+2剤(過酸化水素6%)
・カラー剤C
PROMASTER(R9/8、株式会社ホーユー製)+2剤(過酸化水素6%)
評価結果を表1に示す。
一方で、比較例4、6、10の頭皮保護剤はジアミン類と混和しており、ジアミン類が頭皮に到達してしまい、頭皮をアレルギー物質から保護できない可能性がある。また、比較例1、6、10の頭皮保護剤はカラー剤と混和した。カラー剤にはさまざまな成分が配合されているため、ジアミン類等のアレルギー物質が頭皮保護剤に分散しているとは言い切れないが、少なくとも比較例6、10についてはジアミン類等のアレルギー物質が頭皮保護剤に分散している可能性が高いと考えられる。
各試料につき、頭皮保護剤とカラー剤又はジアミン類が混和しているか、相分離をしているかを目視確認した。
各試料につき、頭皮保護剤の色調がどのようになっているかを目視確認した。
以上の結果を、表2に示す。
実施例4は本発明の一例であり、セルロースナノファイバー(Cellenpia、日本製紙株式会社製)0.5質量%、流動パラフィン(ハイコールK-350、カネダ株式会社製)、グルコマンナン0.5質量%を配合したものである。
ジアミン類のうち、重合したo-フェニレンジアミンの吸収波長416nmを指標として用い、ピーク強度を比較した。分光分析機器には、UV-Visダブルビーム分光光度計UV-2600i(島津製作所製)を用いた。
評価結果を表3に示す。
なお、表1~3での評価は、頭皮保護剤を試料管に入れて液体として振動混合した場合の染毛剤との関係を確認したものであり、頭皮への塗布又はスプレーをした後に染毛剤でコーム等を用いて染毛する場合とは状況が異なる。特に、セルロースナノファイバーの3次元網目構造のミクロフィブリルの形成や、チキソトロピー性、さらに、親水性多糖類を配合するときは該親水性多糖類の凝固プロセスも合わせて総合的に処方を検討しなければならないことは言うまでもない。
実施例4の頭皮保護剤にて頭皮を保護したあと、染毛剤にて染毛した場合の使用感を調査し、施術中のヒリヒリ感、シャンプー後の痒み等の官能評価を行った。
アンケート結果を、表4及び図1に示す。
アンケート結果を、表5及び図2に示す。
本発明のカラー剤の実施例の染毛阻害に関し、さまざまな髪質を有する14名に対して調査を行った。
14名の髪質のアンケート結果を、表6及び図3に示す。
若者にとっても、高齢者にとっても、染毛は最早お洒落なファッションの一部であり、アレルギー原因物質の頭皮への到達を低減させる皮膚保護用組成物を提供することは、社会的にも大きな意義があり、今後のさらなる応用及び開発が大いに期待される。
Claims (7)
- セルロースナノファイバーと、
疎水性炭化水素化合物と、
を含み、
水は配合されず、
前記セルロースナノファイバーは、皮膚保護用組成物の全量に対し、0.01質量%以上30質量%以下であり、平均繊維長が0.01μm以上0.8μm以下である、頭皮保護用組成物。 - 前記セルロースナノファイバーは、カルボキシメチルセルロース、TEMPO酸化型セルロース、スルホン化セルロースのグループから選択される1以上のセルロースナノファイバーであり、親水性を有する、請求項1に記載の頭皮保護用組成物。
- 前記疎水性炭化水素化合物は、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、スクワランのグループから選択される1以上の疎水性炭化水素化合物である、請求項1又は2に記載の頭皮保護用組成物。
- さらに親水性多糖類を含み、該親水性多糖類はセルロース、セルロース誘導体、グルコマンナン、カラギーナンのいずれか1以上からなる、請求項1~3いずれか一項に記載の頭皮保護用組成物。
- 前記親水性多糖類は、皮膚保護用組成物の全量に対し、0.1質量%以上10質量%以下である、請求項4に記載の頭皮保護用組成物。
- さらに酸化防止剤を含む、請求項1~5いずれか一項に記載の頭皮保護用組成物。
- 染毛前に頭皮に対し塗布又はスプレーし、染毛時の頭皮を保護する、請求項1~6いずれか一項に記載の頭皮保護用組成物。
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- 2021-06-11 CN CN202180097499.0A patent/CN117202890A/zh active Pending
- 2021-06-11 JP JP2021567044A patent/JP7082846B1/ja active Active
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