JP7080445B2 - 排水管用圧力調整弁 - Google Patents

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Description

本発明は、排水管内の圧力を調整する圧力調整弁に関する。
建物などの排水管の途中には上方に向けて延びる通気管が接続されており、この通気管の上端には排水管内の圧力を調整するための圧力調整弁が設けられている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の圧力調整弁は、通気管と外部とを連通する連通孔を有する弁座及び連通孔内に配置された支持筒部を有するハウジングと、支持筒部により上下動可能に支持されて連通孔を開閉する弁体とを備えている。弁体は、支持筒部内に挿入された軸部、軸部と一体に形成された円板状の弁部、弁部と弁座との間に介在されるパッキン、及びパッキンを弁部の下面に対して押さえ付けて保持する押さえ部材を備えている。
こうした軸部及び弁部は、硬質樹脂により一体成形されている。また、パッキンは軟質樹脂により形成されている。
こうした圧力調整弁では、通常、弁体が自重により弁座に当接されていて連通孔を閉塞する一方、排水管に連通する弁室内の圧力が外部の圧力よりも低くなると、外部の圧力と弁室内の圧力との圧力差により弁体が押し上げられて弁座から離間することで連通孔が開放される。これにより、連通孔を通じて弁室内に外気が導入されることで上記圧力差が緩和される。
特開2015-86923号公報
ところで、特許文献1に記載のものも含む従来の圧力調整弁の弁体では、硬質樹脂により形成された軸部及び弁部、軟質樹脂により形成されたパッキン、並びに押さえ部材を有しており、弁体の重量が大きい。そのため、弁体が弁座に着座する際に衝突音が発生することがあり、こうした異音が住人などに不快感を与えるおそれがある。
これに対して、本願発明者は、エラストマなどの軟質樹脂により軸部、弁部、及びパッキンを一体成形することを考えた。これにより、弁体の軽量化を図ることができ、上述した異音の発生を抑制することができるとともに、仮に異音が発生したとしてもその音圧レベルを低減することができる。
しかしながら、この場合、軸部が軟質樹脂により形成されていて撓みやすいため、開弁した際に弁部の重みにより軸部が折れ曲がるおそれがあり、圧力調整弁としての機能が損なわれるという問題がある。
なお、こうした問題は、特許文献1に記載の圧力調整弁のように排水管内の圧力が外部の圧力よりも低くなったときに開弁して上記圧力差を緩和するものに限定されず、排水管内の圧力が外部の圧力よりも高くなったときに開弁して上記圧力差を緩和する圧力調整弁においても同様にして生じる。
本発明の目的は、圧力調整弁の機能が損なわれることを抑制しつつ弁体の着座に伴って異音が発生することを抑制できる排水管用圧力調整弁を提供することにある。
上記目的を達成するための排水管用圧力調整弁は、排水管内の圧力を調整するものであって、前記排水管と外部とを連通する連通孔の周囲に形成された弁座及び前記連通孔内に配置された支持筒部を有するハウジングと、前記支持筒部内をその軸線方向に沿って変位可能な軸部、及び重力により前記弁座に当接されて前記連通孔を閉塞する一方、前記排水管内の圧力と外部の圧力との圧力差によって前記弁座から離間するように変位する弁部を有し、軟質樹脂により一体成形された弁体と、を備え、前記軸部には、前記支持筒部の内周面に係止されることで当該軸部の最大変位量を規制する規制部が設けられている。
同構成によれば、弁体の軸部及び弁部が軟質樹脂により一体成形されていることから、弁部が弁体と弁座との間をシールするシール部材、所謂パッキンとしても機能する。このため、軟質樹脂により形成されたシール部材を、硬質樹脂により一体に形成された軸部及び弁部とは別体として備える弁体に比べて、弁体を軽量化することができる。これにより、例えば弁体が弁座に着座する際の衝撃を緩和することができ、異音の発生を抑制することができる。また、仮に異音が発生したとしてもその音圧レベルを低減することができる。
ここで、上記構成によれば、排水管内の圧力と外部の圧力との圧力差によって弁体が押し上げられて開弁する際に、軸部に設けられた規制部が支持筒部に係止されることで、軸部の最大変位量が規制される。このため、支持筒部から軸部が過度に突出することを抑制することができ、弁部の重みにより軸部が折れ曲がることを抑制することができる。
ところで、上記のように軸部の最大変位量が規制されると、開弁時における弁座から弁部までの距離、すなわち弁体の開度を確保することが難しくなり、圧力調整弁の通気量を確保することが難しくなるおそれがある。
この点、上記構成によれば、弁部が軟質樹脂により形成されているため、軸部が最大変位量となるまで押し上げられた後は、外部の圧力または排水管内の圧力により弁部が上方に反り返るように撓む。これにより、弁体の開度を拡大することができ、圧力調整弁の通気量を確保することができる。
上記排水管用圧力調整弁において、前記軸部は、前記支持筒部の上端開口から挿入されており、前記規制部は、前記軸部の挿入方向の先端部に設けられるとともに前記軸部の本体部分よりも拡径された拡径部分を有しており、前記拡径部分から先端側の外周面は、先端側ほど縮径されたテーパ状をなしており、前記支持筒部の内周面には、前記規制部の前記拡径部分が係止される段差部が設けられていることが好ましい。
同構成によれば、支持筒部の上端開口から弁体の軸部を挿入することにより弁体が組み付けられる。そして、弁体が開弁する際に、支持筒部の内周面に設けられた段差部に軸部に設けられた拡径部分が係止されることで、軸部の最大変位量が規制される。
また、上記構成によれば、上記拡径部分から先端側の外周面が先端側ほど縮径されたテーパ状をなしているため、支持筒部の内部に対して軸部の先端、すなわち規制部の先端を容易に挿入するとともに支持筒部に対して軸部を容易に押し込むことができる。したがって、支持筒部に対して弁体を容易に組み付けることができる。
本発明によれば、圧力調整弁の機能が損なわれることを抑制しつつ弁体の着座に伴って異音が発生することを抑制できる。
排水管用圧力調整弁の第1実施形態について、圧力調整弁を構成する部品を互いに離間して示す分解斜視図。 同実施形態のベース部材の平面構造を示す平面図。 同実施形態の圧力調整弁全体の断面構造を示す断面図。 図3の一部を拡大して示す断面図であって、閉弁状態の断面図。 図4に対応する断面図であって、弁部が上方に反り返るように撓んでいる状態の断面図。 図4に対応する断面図であって、軸部の変位量が最大である状態の断面図。 図4に対応する断面図であって、軸部の変位量が最大であり、弁部が上方に反り返っている状態の断面図。 第2実施形態の圧力調整弁を構成する部品を互いに離間して示す分解斜視図。 同実施形態の圧力調整弁の断面構造を示す図であって、第1の弁体及び第2の弁体が共に閉じられている状態の断面図。 図9に対応する断面図であって、第1の弁体の変位量が最大である状態の断面図。 図9に対応する断面図であって、第1の弁体が上方に反り返っている状態の断面図。 図9に対応する断面図であって、第2の弁体の角部が持ち上げられている状態の断面図。 変形例における圧力調整弁の断面図。 他の変形例における圧力調整弁の断面図。 他の変形例における圧力調整弁の断面図。
<第1実施形態>
以下、図1~図7を参照して、第1実施形態について説明する。
図1及び図3に示すように、排水管用圧力調整弁(以下、圧力調整弁10)は、建物などの排水管(図示略)内の圧力を調整するものであり、ハウジング11を備えている。
ハウジング11は、ベース部材20と、ベース部材20に取り付けられるキャップ30とにより構成されている。
<ベース部材20>
図1~図3に示すように、ベース部材20は、平面視略長方形状の底壁20a及び底壁20aの外周縁から上下に突出する周壁20bを有している。
底壁20aは、その長手方向において中央部に近接するほど下方に位置するように傾斜している。底壁20aの長手方向の中央部には、平面視円形状の接続口21aが形成されている。接続口21aの周縁には、下方に向けて突出する円筒状の接続筒部21が形成されている。
図3に示すように、接続筒部21は、排水管の途中から上方に向けて分岐して延びる通気管100(図3参照)に接続される。
図1~図3に示すように、底壁20aには、接続口21aを長手方向の両側から挟むように平面視円形状の一対の連通孔22が形成されている。
底壁20aにおける連通孔22の内周縁には、上下に突出する円筒部24が形成されている。円筒部24の上端部には、上側ほど外径が縮径された縮径部24aが形成されている。円筒部24の外周面には、上下に延在する複数の案内溝25が周方向に間隔をおいて形成されている。各案内溝25は、縮径部24aの上端まで延びている。
縮径部24aの上端が、後述する弁体15が着座する弁座23として機能する。すなわち、弁座23は、通気管100(排水管)と外部とを連通する連通孔22を形成している。
円筒部24の中心部には、その中心軸線に沿って上下に延びる支持筒部27が設けられている。支持筒部27は、円筒部24の内周面と支持筒部27の外周面との間に介在する複数(本実施形態では3つ)の連結リブ26を介して連結されている。複数の連結リブ26は、円筒部24の径方向に沿って延在するとともに周方向に等間隔にて設けられている。
図3及び図4に示すように、支持筒部27の上面は、弁座23よりも下方に位置している。
図4に示すように、支持筒部27の内周面には、支持筒部27の下端から上側に向けて縮径されたテーパ面27aが形成されている。また、支持筒部27の内周面におけるテーパ面27aの上側には、テーパ面27aの上端に対して内径が縮径された段差部27bが隣接して形成されている。
ベース部材20は、硬質の合成樹脂により一体成形されている。
<キャップ30>
図1及び図3に示すように、キャップ30は、平面視略長方形状の頂壁30aと、頂壁30aの外周縁から下方に向けて突出する周壁30bとを有しており、硬質の合成樹脂により一体成形されている。
図3に示すように、ベース部材20の周壁20bに対してキャップ30の周壁30bが外側から嵌合して組み付けられる。これにより、ハウジング11内に弁室12が形成される。
<弁体15>
図1及び図3に示すように、弁室12内には、一対の連通孔22を開閉する一対の弁体15が設けられている。弁体15は、エラストマなどの軟質樹脂により一体成形されている。
図3及び図4に示すように、弁体15は、支持筒部27内をその軸線方向に沿って変位可能な軸部16及び軸部16の上端に設けられた円板状の弁部18を有している。
図1、図3及び図4に示すように、弁体15は、軸部16と同一軸線上に位置するとともに弁部18の上面から突出する頭部19を有している。
図4に示すように、弁部18のうち外周部18aと軸部16との間に介在する円環状の部分は、下面側から肉盗みされており、外周部18aよりも板厚の薄い薄肉部18bとされている。
弁体15は、軸部16の先端部(下端部)を支持筒部27の上端開口から挿入することにより組み付けられている。
軸部16には、支持筒部27に係止されることで軸部16の最大変位量を規制する規制部17が一体成形されている。
すなわち、弁体15の軸部16の下端部には、軸部16の本体部分16aよりも拡径された拡径部分17aが形成されている。軸部16における拡径部分17aから下側の外周面は、下側ほど縮径されたテーパ状をなしている。
弁体15が上方に向けて変位する際に、上記拡径部分17aが支持筒部27の内周面に形成された段差部27bに係止されることにより、軸部16の最大変位量が規制される。本実施形態では、上記拡径部分17aが規制部17として機能する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、圧力調整弁10においては、通常、弁体15が自重により弁座23に当接されていて連通孔22を閉塞している。これにより、排水管内の臭気が連通孔22を通じて外部に漏れることが阻止されている。
一方、排水管に連通する弁室12内の圧力が外部の圧力よりも低くなると、まずは、図5に示すように、外部の圧力と弁室12内の圧力との圧力差により弁部18が上方に反り返るように撓む。これにより、弁部18の一部が弁座23から離間する。
外部の圧力と弁室12内の圧力との圧力差が大きく、弁部18が上方に反り返るだけでは上記圧力差が解消されない場合には、図6に示すように、上記圧力差により弁体15全体が押し上げられて弁座23から離間する。これにより、連通孔22全体が開放され、連通孔22を通じてハウジング11内に外気が導入されることで上記圧力差が解消される。
本実施形態の圧力調整弁10では、弁体15の軸部16及び弁部18が軟質樹脂により一体成形されていることから、弁部18が弁体15と弁座23との間をシールするシール部材、所謂パッキンとしても機能する。このため、軟質樹脂により形成されたシール部材を、硬質樹脂により一体に形成された軸部及び弁部とは別体として備える弁体に比べて、弁体15を軽量化することができる。これにより、例えば弁体15が弁座23に着座する際の衝撃を緩和することができ、異音の発生を抑制することができる。また、仮に異音が発生したとしてもその音圧レベルを低減することができる。
ここで、図6に示すように、弁体15が押し上げられて開弁する際に、軸部16に設けられた拡径部分17aが支持筒部27の段差部27bに係止されることで、軸部16の最大変位量が規制される。このため、支持筒部27の上端から軸部16が過度に突出することを抑制することができ、弁部18の重みにより軸部16が折れ曲がることを抑制することができる。
ところで、上記のように軸部16の最大変位量が規制されると、開弁時における弁座23から弁部18までの距離、すなわち弁体15の開度を確保することが難しくなり、圧力調整弁10の通気量を確保することが難しくなるおそれがある。
この点、本実施形態によれば、弁部18がエラストマ(軟質樹脂)により形成されているため、軸部16が最大変位量となるまで押し上げられた後は、図7に示すように、弁部18が上方に反り返るように撓む。これにより、弁体15の開度を拡大することができ、圧力調整弁10の通気量を確保することができる。
他方、図4に示すように、外部の圧力と弁室12内の圧力との圧力差が解消されると、弁体15が自重により降下して弁座23に当接されて閉弁状態となる。このとき、弁部18の下面と支持筒部27の上面との間には隙間が形成されているため、軸部16の自重により弁部18の中心部分が下方に引き下げられる。これにより、弁部18が上方に向けて反り返るように緩やかに撓むこととなり、弁座23に対して外周部18aが適切に押し付けられる。
以上説明した本実施形態に係る排水管用圧力調整弁によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)圧力調整弁10は、排水管から分岐して延びる通気管100に連通する弁室12と外部とを連通する連通孔22の周囲に形成された弁座23及び連通孔22内に配置された支持筒部27を有するハウジング11を備えている。また、圧力調整弁10は、支持筒部27内をその軸線方向に沿って変位可能な軸部16、及び重力により弁座23に当接されて連通孔22を閉塞する一方、弁室12内の圧力と外部の圧力との差圧によって弁座23から離間するように変位する弁部18を有し、軟質樹脂により一体成形された弁体15を備えている。軸部16には、支持筒部27に係止されることで軸部16の最大変位量を規制する規制部17が設けられている。
こうした構成によれば、前述した作用を奏することから、圧力調整弁10の機能が損なわれることを抑制しつつ、弁体15の着座に伴って異音が発生することを抑制できる。
(2)軸部16は、支持筒部27の上端開口から挿入されている。規制部17は、軸部16の挿入方向の先端部に設けられるとともに軸部16の本体部分16aよりも拡径された拡径部分17aを有しており、拡径部分17aから先端側の外周面は、先端側ほど縮径されたテーパ状をなしており、支持筒部27の内周面には、規制部17の拡径部分17aが係止される段差部27bが設けられている。
こうした構成によれば、規制部17の外周面が軸部16の挿入方向の先端側(下側)ほど縮径されたテーパ状をなしているため、支持筒部27の内部に対して軸部16の先端、すなわち規制部17の先端を容易に挿入するとともに支持筒部27に対して軸部16を容易に押し込むことができる。したがって、支持筒部27に対して弁体15を容易に組み付けることができる。
(3)弁部18のうち外周部18aと軸部16との間に介在する円環状の部分が、下面側から肉盗みされており、外周部18aよりも板厚の薄い薄肉部18bとされている。
こうした構成によれば、薄肉部18bの剛性が外周部18aに比べて低くされているため、軸部16が最大変位量となるまで押し上げられた後、弁部18が上方に反り返るように撓みやすくなる。これにより、弁体15の開度を容易に拡大することができ、圧力調整弁10の通気量を確実に確保することができる。
(4)支持筒部27の内周面には、上側に向けて縮径されたテーパ面27aが形成されている。
こうした構成によれば、弁体15の軸部16と支持筒部27のテーパ面27aとの接触を抑制できるため、弁体15の上下動、すなわち開閉を円滑に行うことができる。
(5)弁体15は、弁部18を挟んで軸部16とは反対側に向けて突出する頭部19を有している。
こうした構成によれば、作業者は指先などで頭部19を摘むことができるため、支持筒部27に対して軸部16を挿入する作業を容易に行うことができる。
(6)弁部18のうち外周部18aが、同外周部18aと軸部16との間に介在する円環状の部分である薄肉部18bよりも厚肉とされている。
こうした構成によれば、弁部18全体の厚さが薄肉部18bの厚さに設定される構成に比べて、外周部18aの剛性が高くなって変形しにくくなる。このため、閉弁時に、弁座23に対して外周部18aが適切に当接されることとなり、弁体15によるシール性能を安定して発揮することができる。
(7)閉弁状態において、弁部18の下面と支持筒部27の上面との間には隙間が形成されている。
こうした構成によれば、上記隙間が形成されているため、閉弁状態において、軸部16の自重により弁部18の中心部分が下方に引き下げられる。これにより、弁部18が上方に向けて反り返るように撓むこととなり、弁座23に対して外周部18aが適切に押し付けられる。したがって、弁体15によるシール性能を向上させることができる。
また、弁室12内の圧力が外部の圧力よりも高くなった場合には、弁部18の中心部分の下方への弾性変形が上記隙間によって許容される。これにより、外部の圧力と弁室12内の圧力との圧力差を緩和することができる。
<第2実施形態>
以下、図8~図12を参照して、第2実施形態について説明する。
図8に示すように、圧力調整弁40は、建物などの排水管(図示略)内の圧力を調整するものであり、ハウジング41を備えている。
ハウジング41は、上下に延びる円筒状のベース部材50、ベース部材50の上部開口に取り付けられる下側キャップ60、及び下側キャップ60の上部に取り付けられる上側キャップ70により構成されている。
<ベース部材50>
図8及び図9に示すように、ベース部材50は、上下に延びる外筒部51、外筒部51の上側に連なるとともに下側ほど内周側に位置するように延びており、外筒部51と二重管をなす内筒部52、及び外筒部51の上側に連なるとともに上側ほど外周側に位置するように拡径された拡径部54を有している。
図9に示すように、外筒部51と内筒部52との間には、下側に向けて開放された環状凹部53が形成されている。
同図に二点鎖線にて示す通気管100の上端部に対して、外筒部51を外嵌することにより、通気管100の上端部が環状凹部53に挿入される。なお、ベース部材50の外筒部51の内周面と通気管100の上端部の外周面との間に接着剤が塗布されることにより、通気管100に対してベース部材50が固定される。
図8及び図9に示すように、拡径部54は、上部開口端58に向けて上側ほど内径が拡大された傾斜面55を有している。傾斜面55によって囲まれた内部空間は逆円錐台形状をなしている。
傾斜面55には、都合6つのリブ57が周方向において等角度(60度)間隔にて突設されている。
図8に示すように、互いに隣り合うリブ57の間には、ベース部材50の内外を連通する複数(本実施形態では3つ)の弁口56が周方向に間隔をおいてそれぞれ形成されている。
図8及び図9に示すように、ベース部材50の上部開口端58の外周縁には、フランジ部58aが全周にわたって形成されている。フランジ部58aの外周面には、複数(本実施形態では3つ)の係合凸部59が周方向において等角度(120度)間隔にて形成されている。
ベース部材50は硬質の合成樹脂により一体成形されている。
<下側キャップ60>
図8及び図9に示すように、下側キャップ60は、有底円筒状をなしており、円板状の頂壁60a及び頂壁60aの周縁から下方に向けて延びる円筒状の周壁60bを有している。
図9に示すように、周壁60bの内周面には、ベース部材50の複数の係合凸部59にそれぞれ係合する複数(本実施形態では3つ)の係合凹部69が形成されている。
図8に示すように、下側キャップ60の外周面には、3つの係合凹部69の形成位置の目印としての3つの突条65が形成されている。
図8及び図9に示すように、頂壁60aの中心部には、平面視円形状の連通孔62が上下に貫通して形成されている。
頂壁60aにおける連通孔62の内周縁には、上下に突出する円筒部64が形成されている。円筒部64の上端部には、上側ほど外径が縮径された縮径部64aが形成されている(図8参照)。
縮径部64aの上端が、後述する第1の弁体45が着座する弁座63として機能する。すなわち、弁座63は、通気管100(排水管)と外部とを連通する連通孔62を形成している。
円筒部64の中心部には、その中心軸線に沿って上下に延びる支持筒部67が設けられている。支持筒部67は、円筒部64の内周面と支持筒部67の外周面との間に介在する複数(本実施形態では6つ)の連結リブ66を介して連結されている。複数の連結リブ66は、円筒部64の径方向に沿って延在するとともに周方向に等間隔にて設けられている。
図9に示すように、支持筒部67の内周面には、支持筒部67の下端から上側に向けて縮径されたテーパ面67aが形成されている。また、支持筒部67の内周面におけるテーパ面67aの上側には、テーパ面67aの上端に対して内径が縮径された段差部67bが隣接して形成されている。
図8及び図9に示すように、頂壁60aの上面には、上方に向けて突出する複数(本実施形態では4つ)の係合爪部68が周方向に等間隔にて設けられている。
下側キャップ60は硬質の合成樹脂により一体成形されている。
<上側キャップ70>
図8及び図9に示すように、上側キャップ70は、ドーム形状をなしている。上側キャップ70には、下側キャップ60の係合爪部68がそれぞれ係合する複数(本実施形態では4つ)の係合孔71が形成されている。
上側キャップ70の周縁には、複数(本実施形態では4つ)の通気凹部72が周方向に等間隔にて形成されている。各通気凹部72は、各係合孔71に対応する位置に形成されている。
上側キャップ70は硬質の合成樹脂により一体成形されている。
<第1の弁体45>
図8及び図9に示すように、下側キャップ60と上側キャップ70とにより形成される空間には、連通孔62を開閉する第1の弁体45が設けられている。
第1の弁体45は、第1実施形態の弁体15と同一の構成を有している。したがって、以降においては、第1実施形態の弁体15の各部位の符号に対して「30」を加算した符号を付すことにより重複する説明を省略する。
図9に示すように、第1の弁体45は、軸部46の先端部(下端部)を支持筒部67の上端開口から挿入することにより組み付けられている。
第1の弁体45が上方に向けて変位する際に、拡径部分47aが支持筒部67の内周面に形成された段差部67bに係止されることにより、第1の弁体45の軸部46の最大変位量が規制される。本実施形態では、上記拡径部分47aが規制部47として機能する。
<第2の弁体80>
図8及び図9に示すように、第2の弁体80は、円環状をなす基端部81と、基端部81の内周縁に連なるとともに略筒状をなし、下側ほど縮径された傾斜部83とを有している。
図9に示すように、基端部81は、ベース部材50の上部開口端58と下側キャップ60の頂壁60aの下面とによって挟持されている。傾斜部83は、ベース部材50の傾斜面55上に配置されている。
第2の弁体80は、合成ゴムなどの弾性材により形成されている。なお、第2の弁体80を形成する合成ゴムとしては、例えばエチレン・プロピレン・ジエン共重ゴム(EPDM)や、シリコーンゴムなどが好ましい。
図8及び図9に示すように、基端部81の外周縁には、ベース部材50のフランジ部58aを外周側から囲む環状の折り返し部82が連なって形成されている。
傾斜部83には、その先端縁86から基端側に向けて延びる複数(本実施形態では6つ)の切欠部88が周方向に等間隔にて形成されている。各切欠部88の周方向の幅は、同一に設定されており、リブ57の周方向の幅よりも大きくされている。
各切欠部88によって、傾斜部83が、周方向に複数(本実施形態では6つ)の分割部84に分割されている。
図9に示すように、各リブ57は各切欠部88を通じて分割部84よりも内周側に突出しており、ベース部材50に対する第2の弁体80の位置決めをしている。
各分割部84は、周方向において互いに隣り合うリブ57の間にそれぞれ位置する3つの弁口56を内周側から閉塞している。
ベース部材50の内周面、第2の弁体80の内周面、下側キャップ60の頂壁60aの下面、円筒部64の内周面、及び第1の弁体45によって弁室42が形成されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図9に示すように、圧力調整弁40においては、通常、第1の弁体45が自重により弁座63に当接されていて連通孔62を閉塞している。また、第2の弁体80が傾斜面55に当接されていて弁口56を閉塞している。これにより、排水管内の臭気が連通孔62や弁口56を通じて外部に漏れることが阻止されている。
一方、排水管に連通する弁室42内の圧力が外部の圧力よりも高くなると、まずは、外部の圧力と弁室42内の圧力との圧力差により弁部48が上方に反り返るように撓む(図示略)。これにより、弁部48の一部が弁座63から離間する。
外部の圧力と弁室42内の圧力との圧力差が大きく、弁部48が上方に反り返るだけでは上記圧力差が解消されない場合には、図10に示すように、上記圧力差により第1の弁体45全体が押し上げられて弁座63から離間する。これにより、連通孔62が開放され、連通孔62を通じて弁室42内の圧力が外部に解放されることで上記圧力差が解消される。
ここで、図10に示すように、第1の弁体45が押し上げられて開弁する際に、軸部46に設けられた拡径部分47aが支持筒部67の段差部67bに係止されることで、第1の弁体45の軸部46の最大変位量が規制される。このため、支持筒部67の上端から軸部46が過度に突出することを抑制することができ、弁部48の重みにより軸部46が折れ曲がることを抑制することができる。
ところで、上記のように第1の弁体45の軸部46の最大変位量が規制されると、開弁時における弁座63から弁部48までの距離、すなわち第1の弁体45の開度を確保することが難しくなり、圧力調整弁40の通気量を確保することが難しくなるおそれがある。
この点、本実施形態によれば、弁部48がエラストマ(軟質樹脂)により形成されているため、軸部46が最大変位量となるまで押し上げられた後は、図11に示すように、弁部48が上方に反り返るように撓む。これにより、第1の弁体45の開度を拡大することができ、圧力調整弁40の通気量を確保することができる。
他方、排水管に連通する弁室42内の圧力が外部の圧力よりも低くなると、図12に示すように、弁口56を通じて作用する外部の圧力と弁室42内の圧力との圧力差により、第2の弁体80の分割部84(傾斜部83)の角部87が持ち上げられるように弾性変形し、弁口56が開放される。これにより、上記圧力差が解消される。このように、第2の弁体80の先端縁86全体が持ち上げられるのではなく、角部87が持ち上げられるため、傾斜部83のうち弾性変形される部位が小さくて済む。したがって、開弁動作が速やかに行なわれる。
以上説明した本実施形態に係る排水管用圧力調整弁によれば、第1実施形態の効果(1)~(7)に準じた効果が得られるようになる。
<変形例>
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・上記各実施形態では、弁体の軸部に設けられた規制部の拡径部分から先端側の外周面が、先端側ほど縮径されたテーパ状をなすものについて例示した。これに代えて、図13に示すように、規制部17を球状にすることもできる。またこの場合、支持筒部27の長さを短くするとともに、支持筒部27の下端よりも下方に規制部17を配置することにより、支持筒部27の下端にて規制部17が係止されるようにしてもよい。
・上記各実施形態及び変形例では、規制部が弁体の軸部の先端部に形成された例について説明したが、図14に示すように、軸部16の軸線方向における中間部分に規制部17を形成するようにしてもよい。またこの場合、支持筒部27に対して弁体15が組み付けられる途中の状態において、軸部16の先端が支持筒部27の下端よりも下方に突出する構成にすれば、弁体15を組み付ける際に、軸部16の先端部分を指などで摘んで先端側に向けて引っ張ることにより、支持筒部27に対して弁体15の軸部16を容易に挿入することができる。
・図15に示すように、第1実施形態のキャップ30の頂壁30aに対して、第2実施形態の圧力調整弁40を構成する連通孔62、弁座63、支持筒部67を形成するとともに、第1の弁体45を設けるようにしてもよい。この場合、頂壁30aの上面に形成された係合爪部68を介して上側キャップ70が取り付けられる。こうした圧力調整弁10によれば、第1実施形態の圧力調整弁10の作用に加えて、以下の作用を奏することができる。すなわち、排水管に連通する弁室42内の圧力が外部の圧力よりも高くなると、外部の圧力と弁室42内の圧力との圧力差により第1の弁体45が押し上げられて弁座63から離間する。これにより、連通孔62が開放され、連通孔62を通じて弁室42内の圧力が外部に解放されることで上記圧力差が緩和される。
10…圧力調整弁、11…ハウジング、12…弁室、15…弁体、16…軸部、16a…本体部分、17…規制部、17a…拡径部分、18…弁部、18a…外周部、18b…薄肉部、19…頭部、20…ベース部材、20a…底壁、20b…周壁、21…接続口、21a…接続筒部、22…連通孔、23…弁座、24…円筒部、24a…縮径部、25…案内溝、26…連結リブ、27…支持筒部、27a…テーパ面、27b…段差部、30…キャップ、30a…頂壁、30b…周壁、40…圧力調整弁、41…ハウジング、42…弁室、45…第1の弁体、46…軸部、46a…本体部分、47…規制部、47a…拡径部分、48…弁部、48a…外周部、48b…薄肉部、49…頭部、50…ベース部材、51…外筒部、52…内筒部、53…環状凹部、54…拡径部、55…傾斜面、56…弁口、57…リブ、58…上部開口端、58a…フランジ部、59…係合凸部、60…下側キャップ、60a…頂壁、60b…周壁、62…連通孔、63…弁座、64…円筒部、64a…縮径部、65…突条、66…連結リブ、67…支持筒部、67a…テーパ面、67b…段差部、68…係合爪部、69…係合凹部、70…上側キャップ、71…係合孔、72…通気凹部、80…第2の弁体、81…基端部、82…折り返し部、83…傾斜部、84…分割部、85…周方向の縁、86…先端縁、87…角部、88…切欠部、100…通気管。

Claims (1)

  1. 排水管内の圧力を調整する圧力調整弁であって、
    前記排水管と外部とを連通する連通孔の周囲に形成された弁座及び前記連通孔内に配置された支持筒部を有するハウジングと、
    前記支持筒部内をその軸線方向に沿って変位可能な軸部、及び重力により前記弁座に当接されて前記連通孔を閉塞する一方、前記排水管内の圧力と外部の圧力との圧力差によって前記弁座から離間するように変位する弁部を有し、軟質樹脂により一体成形された弁体と、を備え、
    前記軸部には、前記弁体が押し上げられて開弁する際に、前記支持筒部の内周面に係止されることで当該軸部の前記開弁方向への最大変位量を規制する規制部が設けられている、
    排水管用圧力調整弁。
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