JP6630890B2 - 吸気弁 - Google Patents
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Description
この満水管の状態では、排水性能が向上する一方で、騒音の発生がより一層大きくなる。
具体的には、配管内が満水となることでサイホン効果が発生し、上流側から下流側に負圧による引き込みが生じる。この引き込みにより、単純な勾配での自然排水以上の速さで排水が排出されるため、排水性能が向上する。一方で、上記のように負圧が生じているため、排水がほぼ完了し、満水管状態が終了する際に、排水口やオーバーフロー配管などから排水の代わりに空気の引き込みが発生する。この引き込みは、排水の流出量と同じだけ空気を引き込むこととなり、上記のように排水性能が向上していることから、引き込む空気の量・勢いも相当大きくなり、排水口やオーバーフロー配管から「ズルズル」といった大きな騒音が発生する原因となっていた。
このため、開口部には、排水配管の配管外から配管内へ通気を行うことは可能とする一方で、排水配管の配管内から配管外へ排水が漏れたり通気が生じることを防止する弁構造を備えて、いわゆる吸気弁とする場合が多い。
特許文献1に記載の吸気弁は、以下に説明する、ケーシング体、弁部材、及び弁部材を弁座部に付勢する弾性体であるバネ部材から構成される。
弁部材は、円形の板材からなる弁体部と、該弁体部の中心を貫通して溶接されて取り付けられるガイド軸と、から構成される。
ケーシング体は筒形状であって、一端に排水配管など流体配管に接続される接続口を、他端は大気に開放される開口部を備えてなる。また、ケーシング体の途中部分には、接続口側を向いて、弁部材の弁体部が当接して接続口から開口部への流体の流れを閉塞する弁座部と、該弁座部の接続口側及び開口部側のそれぞれに、ガイド軸を内部に収納して弁部材の弁座部への進退をガイドするガイド筒を備えてなる。
使用時において、弁部材は、弁体部が弁座部より接続口側となるようにして、ガイド軸の一方が接続口側ガイド筒に、他方が開口部側ガイド筒に、それぞれ進退自在に挿通された状態で配置される。
更に、バネ部材を、弁部材部を弁座部に付勢するようにして配置する。
上記のように構成した吸気弁は、通常時はバネ部材の作用により弁部材の弁体部が弁座部に当接して開口部への流路を閉塞するため、接続口側から排水や気体などが開口部側に向かって逆流を生じても、弁部材によって逆流がせき止められ、開口部を介して配管の外部に排水や気体が漏れることは無い。
また、排水時には、上記のように、排水配管内が満水管状態に近くなることによって、排水配管内に負圧が発生するが、この発生した負圧の作用によって、吸気弁のケーシング体内は排水配管外に比べて負圧となる。
この負圧により、弁部材がバネ部材による付勢に抗して弁部材が接続口側に移動し、弁体部と弁座部が離間するため、開口部から接続口側に大気が通気し、生じた負圧を解消する。
上記した排水配管の排水時の場合、排水配管内に大気(空気)が供給されることで、満水管状態となる前に負圧が解消され、サイホン現象が発生しなくなるため、上記した「ズルズル」と言った大きな騒音の発生を防止することができる。
上記従来例の場合、弁部材の弁体部とガイド軸を溶接によって接続してなるが、この溶接は単なる固定だけではなく、流体の漏れを防止する必要性から、ガイド軸と弁体部の当接箇所全体に渡って溶接を行わねばならず、溶接作業が不適切だったり、また溶接個所が不十分だと隙間部分から流体の漏れが発生する。
また、通常、弁体部の素材には、ゴムやエラストマー樹脂など、軟質の樹脂素材が使用される。しかしながら、このような軟質の樹脂素材は、溶接のような高温を利用しての取り付け方法では容易に溶けて流れ出してしまうか、あるいは加硫したゴムのように加熱しても溶融を生じない場合もある。
その他の方法としては、ガイド軸側と弁体部側に凹凸を設け、両者を嵌合させることで接続させる方法であるが、この方法は、あくまでガイド軸と弁体部との位置関係を固定するだけのもので、ガイド軸と弁体部との接続箇所からの流体の漏れを確実に防ぐ、という機能は有さない。
このように、吸気弁において、動作部分である弁部材からの流体の漏れを確実に防ぐ方法が求められていた。
本発明は前記問題に鑑み発明されたものであって、吸気弁について、弁部材から流体の漏れが発生することを防ぐ吸気弁を提供することを目的とする。
配管に接続される接続部を備えたケーシング体と、ケーシング体の内外の通気を行うための、ケーシング体に設けた開口部と、該開口部を閉塞する、開口部に対して進退自在に動作する動作部分である弁部材と、弁部材の開口部への進退をガイドするガイド構造と、弁部材を開口部に向けて付勢し、通常時開口部を閉塞状態とする付勢機構と、から構成し、
動作部分である弁部材を、開口部を水密的に密閉するための弾性素材にて一体に成形すると共に、上記吸気弁のガイド構造を、弁部材又はケーシング体側のいずれか一方に設けたガイド軸と、弁部材又はケーシング体側のいずれか他方に設けた、ガイド軸を進退自在に収納するガイド筒とから構成すると共に、ガイド軸又はガイド筒に、ガイド筒内の空気をガイド筒外に通気させる通気構造を設けたことを特徴とする吸気弁である。
弁体部など弁座に当接する部分と、弁部材上のガイド構造を成す部分との間に継ぎ目が無くなり、継ぎ目部分から流体が漏れることが無くなった。
請求項1に記載の本発明では、ガイド筒とガイド軸の間に通気構造を設けたことで、弁部材の動作がガイド軸とガイド筒の間に密閉状態が生じ、空気圧によって弁部材の動作に不具合が生じる、といった問題を解決することができた。これは、ガイド軸自体が弾性部材で構成され、ガイド軸とガイド筒の間に特に密閉状態が生じ易くなった場合において好適な効果である。
請求項2に記載の本発明では、通気構造の具体的な構成を明確にできた。
請求項3に記載の本発明では、ガイド筒とガイド軸の接触面積を減少させ、弁部材の動作が摩擦によって妨げられることを生じにくくすることができた。これは、請求項1に記載の発明のように、ガイド軸自体が弾性素材で構成され、ガイド軸側の摩擦係数が例えば表面が滑らかな硬質樹脂等と比べ、高くなった場合において好適な効果である。
請求項4に記載の本発明では、弁部材を、進退方向に垂直な面を基準とした面対称形状としたことで、製品の製造時に、弁部材の軸方向への入れ間違いを防止することができた。
図1乃至図12に示した、本発明の第一実施例の吸気弁は、洗面台Sの排水配管Pに接続される部材であって、以下に記載する、ケーシング体1、弁部材7、バネ部材8、から構成される。
ケーシング体1は、以下に記載する、吸気弁本体3、及びカバー部材2より構成される。
吸気弁本体3は、略円筒形状を成す部材であって、ポリプロピレンなどの硬質樹脂素材から構成され、上端には後述するカバー部材2と螺合する雄ネジを備えた開放部分となっている。
また、吸気弁本体3の下端には洗面台Sの排水配管Pの接続箇所と螺合する雌ネジを備えた、接続部3bを備えてなる。
また、略円筒形状を成す吸気弁本体3の、雄ネジよりも上方に、円周に沿って凹部が形成され、この凹部にリング状のパッキングを配置してなる。施工完了時、このパッキングが凹部と後述するカバー部材2内面とに密接するため、吸気弁内を移動する大気や排水等に対して密閉状態となり、吸気弁本体3とカバー部材2の継ぎ目より、吸気弁内部の大気や排水が、吸気弁外に漏れることを防止する。
また、側面方向から貫通するようにして四角柱部分3aが形成されている。吸気弁本体3の円筒部分の側面に形成される、四角柱部分3aの両端部分は大気開放された開口となっている。
また、この四角柱部分3aの壁面の内、上側の壁面には平面視円形の開口部4が形成され、開口部4の上面側の周縁には突条のリブが、開口部4の周縁に沿って連続して形成されて弁座部4aを形成してなる。
また、四角柱部分3aの壁面の内、下側の壁面には円筒形状を成すガイド筒6が、開口部4の下端の高さ位置まで、即ち四角柱部分3aの上側の壁面の下端の高さ位置まで、垂立して形成されてなる。ガイド筒6の内径は約7ミリメートル程度である。
四角柱部分3aの横方向の壁面と、円筒部分の内側面の間には、通気可能な通気路Lが形成されている。
平面視において、雄ネジと開口部4とガイド筒6は、いずれも同心円となる位置関係に形成されており、その径の大きさは、図10に示したように、小径から大径となる順に、ガイド筒6、開口部4、雄ネジ、となる。
また、ガイド筒6の下端側面には、大気開放された通気穴6aが形成されてなる。
カバー部材2は、略釣鐘形状、即ち上端が閉塞され下方が開放された円筒形状を成す部材であって、ポリプロピレンなどの硬質樹脂素材から構成され、円筒形状の下方内周面に、吸気弁本体3の雄ネジと螺合する雌ネジを備えてなる。
また、カバー部材は、円筒形状を成すガイド筒6が、垂立して形成されてなる。このガイド筒6の内径も、吸気弁本体3のガイド筒6の内径と同様に、約7ミリメートル程度である。
また、上端を閉塞する上側の壁面の下面は、図11に示したように、底面視において、雌ネジとガイド筒6が、いずれも同心円となる位置関係に形成されている。
上記した吸気弁本体3とカバー部材2は、吸気弁本体3の雄ネジと、カバー部材2の雌ネジを螺合させることで、吸気弁本体3の上方の開放部分がカバー部材2によって覆われて継ぎ目が密閉状態となり、この状態にて吸気弁のケーシング体1として機能する。このケーシング体1の状態では、四角柱部分3aの上側の壁面に形成された開口部4から、通気路Lを介し、接続部3bに至る流体(空気)の流路が形成されてなる。
弁部材7は、図12に示したように、平面視弁座部4aが成す円形形状よりも若干大径を成す、厚み1ミリメートル、直径40ミリメートル程度の円盤形状の弁体部7aと、弁体部7aの中央部分から、弁体部7aに垂直を成す軸体であるガイド軸5を上下にそれぞれ同じ長さ、具体的には15ミリメートル程度ずつ垂立するようにして備えた部材であって、ゴムなどの弾性素材によって一体に成形されてなる。
上記のように構成したことによって、本実施例の弁部材7は、ガイド軸5に垂直な面、具体的には、側面視弁体部7aの上面と下面の中間部分の面を対称の基準面とした、面対称形状に構成されてなる。
また、弁部材7を構成する弾性素材の比重は1よりも大きく、吸気弁内に排水が逆流する等して吸気弁内に排水が満たされても浮力を生じることは無い。
ガイド軸5は直径6.5ミリメートル程度、長さ15ミリメートル程度の円柱の側面に、軸方向に沿って四か所縦溝である溝部5aを設け、平面視(又は軸方向視)略十字形状となるように構成してなる。略十字形状の縦棒の横幅/又は横棒の縦幅(図12(b)のAの幅)は約2ミリメートルである。
この弁部材7を構成するゴムの硬度は、本実施例の吸気弁の弁部材7程度の大きさの場合、肉厚1ミリメートル程度では自重などで若干のたわみ・弾性を生じ、肉厚2ミリメートル以上ではある程度の剛性を生じ、少なくとも吸気弁の使用において硬質の部分として扱うことができる硬度である。
ここで、「本実施例の吸気弁の弁部材7程度の大きさ」とは、最も長い部分でも40ミリメートルを超えない程度の大きさである。本実施例では前述のように弁体部7aの直径が約40ミリメートルである(「本実施例の吸気弁の弁部材7を超える程度の大きさ」の部材に、同じゴム素材を用いた場合は、肉厚が2ミリメートルを超える場合でも、寸法が大きくなる分自重も増し、自重等によるたわみを生じる場合がある)。
バネ部材8は上下方向に弾性を生じる弾性部7d材であって、吸気弁を組み上げた状態では、ガイド筒6の中であって、ガイド軸5上面とカバー部材2下面の間に配置されて、弁部材7を弁座部4a側に付勢するように機能する。
洗面台Sは、槽体としての、上方が開口し底面に排水口を備えた洗面ボウルWと、該洗面ボウルWを載架するキャビネット部Cからなる。
また、キャビネット部C内には、排水口から床下配管に向けて管体を利用した排水配管Pが施工されてなる。この排水配管Pは、排水口から、曲がり管、及びU字形状に屈曲させた管体を、組み合わせてS字形状に屈曲させた、トラップ管Tなどの各種管体を水密的に接続して構成してなる。
トラップ管Tは、上記の通り管体をS字形状に屈曲させた部材であって、排水時この管体内部に排水が溜まり、排水の流路の一部が満水状態となる部分を形成する。下流に当たる下水側から臭気や害虫類が逆流しても、このトラップ管Tの満水部分を通過することが不可能なため、下水側から屋内側に臭気や害虫類が通過することを防ぐことができる。
この排水配管Pにおいて、トラップ管Tの満水部分の溜り水、通常「封水」及ばれる溜り水よりも下流側に、吸気弁の接続部3bと接続する被接続部P1を形成してなる。
被接続部P1について詳述すると、被接続部P1は、上記封水部分よりも下流側且つ封水部分よりも下流側の配管においては最も高い位置であって、且つ流路の方向に対し垂直となる位置関係の位置に、上方を向いた枝管部分を構成し、この枝管部分の端部に接続部3bの雌ネジと螺合する雄ネジを設けて吸気弁を接続可能に構成してなる。
尚、以下の説明において、特に詳述しない場合でも、各部の接続箇所は、必要に応じて水密的、又は気密的に接続される。
吸気弁本体3のガイド筒6に、弁部材7のガイド軸5を挿通する。この時弁部材7はガイド軸5に垂直な面に対して面対称に構成されているため、2つあるガイド軸5のいずれをガイド筒6に挿通しても何ら問題は無く、入れ間違いが生じない。この時、吸気弁本体3側のガイド筒6に挿入されたガイド軸5を以下「本体側ガイド軸5」、もう一方のガイド軸5を「カバー部材2側ガイド軸5」、と呼ぶ。
この状態から、カバー部材2側のガイド軸5にバネ部材8を配置した上で、カバー部材2側ガイド軸5を、カバー部材2のガイド筒6に挿通し、吸気弁本体3の雄ネジを、カバー部材2の雌ネジに螺合させることで、吸気弁本体3とカバー部材2が組み合わされてケーシング体1となり、吸気弁が完成する。
本実施例では、上記のように構成したことで、バネ部材8及び弁部材7の自重が、弁部材7を開口部4に付勢する付勢機構として機能する。また、弁部材7に設けたガイド軸5と、このガイド軸5が挿通される吸気弁本体3及びカバー部材2のガイド筒6が、弁部材7の開口部4への進退動作をガイドするガイド構造として機能する。
更に、吸気弁本体3の接続部3bの雌ネジを、洗面台Sの排水配管Pの枝管部分の雄ネジと螺合させて、吸気弁を排水配管Pに接続し、吸気弁を備えた、洗面台Sの排水配管Pの施工が完了する。
洗面台Sを使用していない状態、即ち排水が生じていない状態では、図2乃至図5に示したように、吸気弁の弁部材7は、弁部材7の自重とバネ部材8によって付勢され、下方の弁座部4aに弁体部7aが当接して開口部4を閉塞している。このため、下水側からの臭気や害虫類が、吸気弁を介して屋内側に侵入することは無い。
また、洗面台Sの使用により、洗面ボウルW内に排水が生じると、排水は、排水配管Pを介して下水側に排出される。
この時、排水の初期に、配管内の空気が排水に押し出されて一時的に接続部3bから吸気弁のケーシング体1内に流入し、ケーシング体1内が正圧となる場合があるが、この場合も弁部材7の自重とバネ部材8、更に正圧による空気の圧力によって弁部材7が弁座部4a側に付勢され、開口部4を閉塞するため、排水配管P内の空気等が、開口部4を介して排水配管P外に逆流する、ということが無い。
また、上記のように、吸気弁のケーシング体1内に空気だまりが生じることで、吸気弁のケーシング体1内に溜まった空気の圧力でケーシング体1内に排水が流入することが防止される為、排水配管P内の排水が、開口部4を介して排水配管P外に逆流する、ということが無い。仮に、何らかの理由により吸気弁のケーシング体1内に排水が流入しても、弁部材7が比重1よりも大きい素材で成形されており、浮力を生じることも無いので、弁部材7が分座部に当接して開口部4を閉塞した状態が維持され、排水配管P内の排水が、開口部4を介して排水配管P外に逆流する、ということが無い。
洗面ボウルWからの排水が進み、排水配管P内が満水管状態に近くなると、排水配管P内に負圧が発生するが、この発生した負圧の作用によって、吸気弁のケーシング体1内は排水配管P外に比べて負圧となる。
この負圧の作用によって、図6乃至図7に示したように、弁部材7が自重とバネ部材8による付勢に抗して上昇し、弁座部4aから離間して開口部4が開口されることで、開口部4から、通気路L及び接続部3bを介し、排水配管P内に排水配管P外の空気が流入し負圧を解消するため、サイホン効果が抑制されて、排水時に排水口やオーバーフロー配管から「ズルズル」といった大きな騒音が発生することを防止することができる。
尚、開口部4が開口している状態では、排水配管P内の負圧によって、排水配管P外から排水配管P内への空気の流れが発生しており、開口部4を介して空気や排水の、排水配管P内から排水配管P外への逆流は発生しない。
排水が完了し、排水配管P内の負圧の発生が終了すると、弁部材7は自重とバネ部材8の弾発による付勢によって弁座部4aに当接し、開口部4を閉塞して、排水配管P内から、排水配管P外への臭気や害虫類の逆流が防止された状態に戻る。
以降、上記のようにして洗面台Sを支障なく使用することができる。
弁部材7をゴムなど弾性素材にて一体に成形したため、ガイド軸5もまた密閉性が高いゴム部材等弾性素材によって構成されてなる。このため、ガイド軸5とガイド軸5を挿通するガイド筒6の密閉性も高くなる。このような構成において、ガイド軸5の軸方向視における外径形状と、ガイド軸5が挿通されるガイド筒6の軸方向視の内径形状とを相似形状とすると、弁部材7が動作する際に、ガイド筒6内の、ガイド軸5が移動するための隙間空間(カバー部材2側のガイド筒6であればガイド軸5よりも上方の、吸気弁本体3側のガイド筒6であればガイド軸5よりも下方の空間)の空気が、ガイド筒6外へ通気できなくなり、ガイド軸5の進退動作を困難にしてしまう場合がある。
そこで上記実施例のように、ガイド軸5の軸方向視の外径形状を、ガイド軸5が挿通されるガイド筒6の軸方向視の内径形状である円形とは非相似となる形状としたことで、両者の間に通気可能な隙間空間が形成され、これがガイド軸5とガイド筒6の通気構造となり、ガイド筒6内の、ガイド軸5が移動するための隙間空間の空気が、ガイド筒6外へ容易に通気できるようになり、ガイド軸5の進退動作が容易に行うことができるようになった。尚、上記実施例では、吸気弁本体3のガイド筒6の下端側面にも、大気開放された通気穴6aが形成されてなり、これもガイド軸5とガイド筒6の通気構造であって、ガイド軸5の進退動作が容易に行うことができるようになった。
例えば、上記各実施形態では、吸気弁本体3とカバー部材2にガイド筒6を、弁部材7にガイド軸5を、それぞれ設けて構成してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無く、図13及び図14に示したように、吸気弁のカバー部材2にガイド軸5を、吸気弁本体3にガイド軸5の先端を固定してガイド軸5が傾斜することを防止する受け部9を、それぞれ設け、このガイド軸5に挿通されて上下に進退するガイド筒6を弁部材7に備えた構成としても良い。図13及び図14に図示した受け部9は、図面の手前側及び奥側にそれぞれアーム部分を備えて吸気弁本体3の内側側面と接続する形で吸気弁本体と一体に構成されており、ガイド軸5は、上方はカバー部材2に一体に構成されて固定され、下方は受け部9に差し込まれてやはり固定されて、熱や応力などで傾くことが無い。このため、このガイド軸5にガイドされて上限に進退するガイド筒6及びそのガイド筒と一体に成形された弁部材7の弁体部7aも、弁座部4aに対して傾斜等することなく安定して当接し、密閉状態を形成する。
図13及び図14に図示した実施例では、弁部材7の弁体部7a上であって、開口部4を覆う部分以外の複数箇所に通気用孔部7bを設けてなる。
負圧が生じていない図13の状態において、排水配管P内に負圧が発生すると、接続部3bと通気用孔部7bを介して弁部材の弁体部7aよりも上方が負圧となり、この負圧の作用によって、図14に示したように、弁部材7がバネ部材8の付勢に抗して上昇し、開口部4が開口する。開口部4が開口すると、排水配管P外の空気が排水配管P内に流入し、排水配管P内の負圧が解消され、弁部材7がバネ部材8の付勢によって降下し、開口部4を閉塞して、図13のように、排水配管P内から、排水配管P外への臭気や害虫類の逆流が防止された状態に戻る。
尚、図13及び図14に示した実施例も、第一実施例と同様に、弁部材7は、進退方向、この場合はガイド筒6の軸方向に垂直な面を基準とした面対称の形状として構成してなる。また、ガイド軸5は溝部5a備えた軸方向視略十字形状を成し、内面形状が円筒を成すガイド筒6との間に隙間空間を形成し、通気を容易に行うと共に、接触面積を小さくすることで摩擦抵抗を減らし、弁部材7の進退動作が容易となるようにしている。
3 吸気弁本体 3a 四角柱部分
3b 接続部 4 開口部
4a 弁座部 5 ガイド軸
5a 溝部 6 ガイド筒
6a 通気穴 7 弁部材
7a 弁体部 7b 通気用孔部
8 バネ部材 9 受け部
C キャビネット部 L 通気路
P 排水配管 P1 被接続部
S 洗面台 T トラップ管
W 洗面ボウル
Claims (4)
- 配管の外部から内部への通気を行い、内部から外部への逆流を防止する吸気弁であって、
配管に接続される接続部を備えたケーシング体と、
ケーシング体の内外の通気を行うための、ケーシング体に設けた開口部と、
該開口部を閉塞する、開口部に対して進退自在に動作する動作部分である弁部材と、
弁部材の開口部への進退をガイドするガイド構造と、
弁部材を開口部に向けて付勢し、通常時開口部を閉塞状態とする付勢機構と、
から構成し、
動作部分である弁部材を、開口部を水密的に密閉するための弾性素材にて一体に成形すると共に、上記吸気弁のガイド構造を、
弁部材又はケーシング体側のいずれか一方に設けたガイド軸と、
弁部材又はケーシング体側のいずれか他方に設けた、ガイド軸を進退自在に収納するガイド筒とから構成すると共に、
ガイド軸又はガイド筒に、ガイド筒内の空気をガイド筒外に通気させる通気構造を設けたことを特徴とする吸気弁。 - 上記通気構造を、
ガイド軸の外側面又はガイド筒の内側面に設けた溝部によって設けたことを特徴とする、請求項1に記載の吸気弁。 - 上記吸気弁のガイド構造を、
弁部材又は配管側のいずれか一方に設けたガイド軸と、
弁部材又は配管側の他方に設けた、ガイド筒を進退自在に収納するガイド筒とから構成すると共に、
ガイド軸外側面と、ガイド筒内側面とを、軸方向視非相似形状とすることで、ガイド軸の外側面とガイド筒の内側面との間に非接触部分を生じるようにし、相似形状の場合に比較し接触面積を減じる構造としたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の吸気弁。 - 上記吸気弁の弁部材を、
進退方向に垂直な面を基準とした面対称形状としたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の吸気弁。
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