以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は歩行車10を斜め前方から見た斜視図である。なお、以下の説明では、歩行車10を移動させる際の移動方向を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向とする。
図1に示すように、歩行車10は、左右方向に離間して設けられた一対の脚体部11と、それら脚体部11の間に設けられた座部12と、各脚体部11にそれぞれ連結され背もたれを形成する背もたれ部13とを備える。
各脚体部11はそれぞれ、前脚フレーム15と後脚フレーム16とを有している。これら各脚フレーム15,16は、アルミニウム等の軽金属により形成されている。前脚フレーム15の下端部には前輪17が取り付けられ、後脚フレーム16の下端部には後輪18が取り付けられている。
前脚フレーム15と後脚フレーム16とは、互いの上端部において回動軸22を介して回動可能に連結されている。これにより、これら各脚フレーム15,16は回動軸22を中心として前後に回動可能とされている。この場合、前脚フレーム15と後脚フレーム16とを互いに接近する側に回動させることで、各脚フレーム15,16を前後に折り畳むことが可能となっている。
後脚フレーム16は筒状をなしており、その後脚フレーム16には支柱フレーム23が上方から挿入されている。支柱フレーム23は上下方向に延びており、その一部が後脚フレーム16よりも上方に突出した状態で挿入されている。支柱フレーム23は、かかる挿入状態において、上下方向に位置調整が可能となっている。そして、支柱フレーム23は、その位置調整された位置で後脚フレーム16にねじ部材24を用いて固定されるようになっている。
支柱フレーム23の上端側には操作部20が設けられている。操作部20は、支柱フレーム23の上端部に取り付けられた本体部25と、その本体部25に取り付けられたハンドル26及びブレーキレバー27とを備える。ハンドル26は、使用者が歩行車10を移動させる際に把持する部分である。ハンドル26は、支柱フレーム23の上下位置調整により、その高さ位置(ハンドル高さ)を調整することが可能となっている。
ブレーキレバー27は、後輪18に対して制動力を付与する際に操作されるブレーキ操作部である。ブレーキレバー27は、本体部25の内部でブレーキワイヤ28(図6等参照)と接続され、そのブレーキワイヤ28は後脚フレーム16の下端側に設けられたブレーキ作動部48と接続されている。ブレーキ作動部48は、ブレーキレバー27によるブレーキ操作により作動し、後輪18に対して制動力を付与する。なお、ブレーキワイヤ28は、その大部分において軟質樹脂製のチューブ34内に挿通されている。
座部12は、前後に離間して設けられた2つの座部フレーム31,32により支持されている。各座部フレーム31,32は、左右方向に延びる金属製のパイプ材からなり、前側の座部フレーム31が各脚体部11の前脚フレーム15に固定され、後側の座部フレーム32が各脚体部11の後脚フレーム16に固定されている。座部12は、樹脂製のシート材からなり、各座部フレーム31,32にそれぞれ固定されている。
背もたれ部13は、各脚体部11の上端部にそれぞれ連結され、前方に向けて凸となるアーチ状(略コ字状)に形成されている。背もたれ部13は、その前端部が背もたれとして用いられるようになっている。
次に、本歩行車10のブレーキ構造について説明する。ブレーキ構造は、大きく分けて、ブレーキ操作を行うための操作機構と、ブレーキ操作に基づき後輪18に制動力を付与する制動機構とを備える。そこで、以下においては、まず操作機構側の構成について図2及び図3に基づいて説明する。なお、図2は操作部20周辺を示す側面図であり、図3は操作部20周辺を斜め後方から見た斜視図である。また、図2及び図3では、左右の各操作部20のうち、左側の操作部20周辺を示している。また、図2では、操作部20周辺を左側から見ており、換言すると操作部20周辺を左右方向の外側から見ている。ちなみに、左右方向の内側とは、左右の操作部20の間となる側のことをいい、左右方向の外側とは、その反対側のことをいう。
図2及び図3に示すように、操作部20において、本体部25は、全体として前後方向及び上下方向に拡がる扁平形状を有して形成され、左右方向に所定の厚みを有している。本体部25は、左右方向(換言すると本体部25の厚み方向)に分割された一対のカバー部材36,37を備える。本体部25は、それらカバー部材36,37が組み合わせられることにより構成されている。
各カバー部材36,37はいずれも同じ硬質樹脂により形成されている。各カバー部材36,37は左右方向に互いに対向する側面カバー部36a,37aを有する。これら側面カバー部36a,37aのうち、側面カバー部36aは左右方向の内側に配置され、側面カバー部37aは左右方向の外側に配置されている。各側面カバー部36a,37aはねじ等の締結具38により複数箇所で固定され、それにより各カバー部材36,37が互いに組み合わせられ本体部25が構成されている。
また、詳しくは、カバー部材36は、側面カバー部36aに加え、その側面カバー部36aの上方に上側部分36bを有している。上側部分36bは、側面カバー部37aの上方に跨がっており、この上側部分36bにより本体部25の上側部分が構成されている。また、上側部分36bには後方に向けて開口する筒状部が形成されている。
なお、本実施形態では、左右の各本体部25が左右方向に互いに対称となる構成を有している。また、本実施形態では、さらに左右の各操作部20が左右方向に互いに対称となる構成を有している。
本体部25は、支柱フレーム23の上端部に取り付けられている。本体部25の内部には、その下方から支柱フレーム23の上端部が入り込んでおり、その入り込み状態で本体部25が支柱フレーム23の上端部にねじ等の締結具43により固定されている。なお、本実施形態では、締結具43が左右方向の内側から本体部25にねじ込まれている。
本体部25には、上述したように、ハンドル26とブレーキレバー27とが取り付けられている。ハンドル26は、金属材料又は樹脂材料により棒状に形成されている。ハンドル26は、その基端側がカバー部材36の上側部分36bの筒状部に差し込まれ、その差し込み状態でカバー部材36にねじ等の締結具39により固定されている。これにより、ハンドル26は、本体部25から後方に延びるように当該本体部25に取り付けられている。また、ハンドル26には、使用者がつかみやすいように軟質樹脂のカバーが取り付けられている。
ブレーキレバー27は、ハンドル26の下方に設けられている。ブレーキレバー27は、硬質樹脂により棒状に形成されている。ブレーキレバー27は、その基端側が各カバー部材36,37の間に後方から挿し入れられており、その挿し入れ状態で当該基端側が各カバー部材36,37(詳しくは側面カバー部36a,37a)の間に挟まれるようにして取り付けられている。これにより、ブレーキレバー27は、ハンドル26と同じく、本体部25から後方に延びるようにして当該本体部25に取り付けられている。また、ブレーキレバー27は、かかる取付状態において、各カバー部材36,37(ひいては本体部25)に対し上下に回動可能(揺動可能)とされている。
ここで、本歩行車10には、ブレーキレバー27の操作により後輪18に対して制動力(ブレーキ力)を付与するブレーキ機能に加え、同じくブレーキレバー27の操作により後輪18の回転を禁止させるロック機能が設けられている。ブレーキレバー27は、上述したように、本体部25に対して上下方向に回動可能とされており、通常時においては所定の待機位置(図2の実線参照)に保持されるようになっている。そして、ブレーキレバー27を待機位置から上方へ移動させると後輪18に制動力が付与される制動状態となり、ブレーキレバー27を待機位置から下方へ移動させると後輪18の回転が禁止されるロック状態となるようになっている。すなわち、ブレーキレバー27は、その回動により、待機位置(図2の実線参照)と、待機位置よりも上方の位置であって後輪18に制動力が付与されるブレーキ位置(図2の一点鎖線参照)と、待機位置よりも下方の位置であって後輪18の回転が禁止されるロック位置(図2の二点鎖線参照)との間で変位可能とされている。
続いて、後輪18に制動力を付与したり後輪18の回転を禁止させたり(ロックしたり)する制動機構側の構成について図4及び図5に基づいて説明する。図4は、制動機構の周辺を示す側面図である。図5は、制動機構の作用を説明するための側面図である。なお、図4及び図5では、制動機構周辺を左右方向の内側から見ている。また、図4では、説明の便宜上、後脚フレーム16を仮想線で示している。
図4に示すように、後脚フレーム16には、その下端部に後輪18の回転軸18aが設けられている。回転軸18aは、左右方向に延びており、その回転軸18aを介して後輪18が後脚フレーム16に取り付けられている。これにより、後輪18は、この回転軸18aを中心として回転可能とされている。
後脚フレーム16には、後輪18の回転軸18aよりも上方にブレーキ作動部48が取り付けられている。ブレーキ作動部48は、鋼板を折り曲げることにより形成され、後脚フレーム16に取り付けられた取付板部48aを有する。取付板部48aは、矩形板状(長方形板状)をなし、左右に延びる回動軸51を介して後脚フレーム16に取り付けられている。これにより、ブレーキ作動部48は、回動軸51を中心として回動可能とされている。また、取付板部48aは、後方に向かうにつれ上方に傾斜するように配置され、左右方向において後輪18と後脚フレーム16との間に位置している。
ブレーキ作動部48(取付板部48a)には、その長手方向の一端側(前方)に、左右方向の外側に突出するよう折り曲げられた突出片48bが設けられ、長手方向の他端側(後方)に、左右方向の内側に突出するよう折り曲げられた突出片48cが設けられている。これら各突出片48b,48cは、ブレーキ作動部48の長手方向において回動軸51を挟んだ両側に配置されている。
突出片48bは、後輪18の上方に配置されている。突出片48bは、ブレーキ作動部48の回動により、後輪18の外周部から離間する位置と、後輪18の外周部に当接する位置との間で変位可能となっている。突出片48bが後輪18の外周部に当接すると、突出片48bにより後輪18に対して制動力(摩擦力)が付与される(図5の一点鎖線参照)。そして、その付与された制動力により後輪18の回転が規制される。
後脚フレーム16には、ブレーキ作動部48よりも上方に保持板部52が設けられている。保持板部52は、後脚フレーム16から前方に突出させて設けられ、ブレーキ作動部48の突出片48cと上下に対向して配置されている。
保持板部52には、ブレーキワイヤ28が挿入されるチューブ34の下端部が固定具54を介して固定されている。固定具54は筒状をなしており、保持板部52の上面側に固定されている。固定具54にはチューブ34の下端部が上方から差し込まれて固定されている。
ブレーキワイヤ28は、その下端側がチューブ34の下端から下方に導出され、固定具54の内部と保持板部52に形成された孔部(図示略)とを介して保持板部52よりも下方に導かれている。ブレーキワイヤ28の下端部はブレーキ作動部48の突出片48cに固定されている。これにより、ブレーキレバー27の動作によりブレーキワイヤ28が引っ張られると、それに連動してブレーキ作動部48が回動するようになっている。
保持板部52と突出片48cとの間には付勢部材56が設けられている。付勢部材56はコイルばね(スプリング)からなり、その一端部が保持板部52に固定され、他端部が突出片48cに固定されている。この場合、付勢部材56は、自然状態よりも圧縮された状態で配設されている。これにより、突出片48c(ひいてはブレーキ作動部48)は付勢部材56により常時下方へ向けて付勢されており、さらには突出片48cに固定されたブレーキワイヤ28が常時下方に向けて付勢された状態となっている。
ブレーキ作動部48には、後輪18に対して係止可能に設けられた係止部材58が固定されている。係止部材58は、金属製の棒材からなり、その一端部(上端部)がブレーキ作動部48の突出片48cに固定されている。係止部材58は、突出片48cから下方に向けて延びている。
後輪18には、係止部材58が係止される被係止部59が設けられている。被係止部59は、後輪18の内側面から突出して設けられた複数の被係止片59aを有する。各被係止片59aは、回転軸18aの軸周りに所定の間隔(詳しくは等間隔)で複数配置され、回転軸18aの径方向に延びている。したがって、各被係止片59aは、回転軸18aを中心として放射状に配置されている。
係止部材58は、その先端側(下端側)が被係止部59に向けて延びている。係止部材58は、ブレーキ作動部48の回動により、被係止部59に係止されない位置と、被係止部59に係止される位置との間で変位可能となっている。係止部材58が被係止部59に係止されると、後輪18の回転が規制(ロック)される(図5の二点鎖線参照)。
なお、上記の構成では、ブレーキ作動部48と係止部材58とを有して後輪制動部45が構成されている。そして、その後輪制動部45が回動軸51を中心として回動可能とされている。
続いて、上述した制動機構の作用について図5を参照しながら説明する。
ブレーキレバー27は、上述したように、待機位置とブレーキ位置とロック位置との間で動作可能とされている。上記制動機構では、このブレーキレバー27の動作に連動して後輪制動部45が回動するようになっており、その回動により後輪制動部45が後輪18に制動力を付与したり後輪18の回転をロックしたりするようになっている。
まず、ブレーキレバー27がロック位置(図2の二点鎖線参照)にある場合について説明すると、この場合には、図5において二点鎖線で示すように、後輪制動部45の係止部材58が後輪18の被係止部59に係止された状態となる。したがって、この場合、後輪制動部45は、その係止により後輪18の回転を禁止(ロック)するロック状態となる。このロック状態では、歩行車10の走行が不能となる。
次に、ブレーキレバー27が待機位置(図2の実線参照)に動作されると、それに伴いブレーキワイヤ28が上方に引っ張られ、後輪制動部45が回動する。この際、後輪制動部45は、付勢部材56の付勢力に抗しながら回動することになる。これにより、図5において実線で示すように、被係止部59に対する係止部材58の係止が解除された状態となる。また、この場合、ブレーキ作動部48の突出片48bが後輪18から離間した状態とされる。したがって、この場合、後輪制動部45は、後輪18の回転を許容する許容状態となる。この許容状態では、歩行車10の走行が可能となる。
次に、ブレーキレバー27がブレーキ位置(図2の一点鎖線参照)に動作されると、それに伴いブレーキワイヤ28がさらに上方に引っ張られ、それにより後輪制動部45がさらに回動する。この際にも、後輪制動部45は、付勢部材56の付勢力に抗しながら回動することになる。これにより、図5において一点鎖線で示すように、後輪制動部45のブレーキ作動部48の突出片48bが後輪18の外周部に当接した状態となる。したがって、この場合、後輪制動部45は、後輪18に対して制動力を付与するブレーキ状態となる。
以上のように、後輪制動部45は、ブレーキレバー27が待機位置にある場合には許容状態とされ、ブレーキレバー27がブレーキ位置にある場合にはブレーキ状態とされ、ブレーキレバー27がロック位置にある場合にはロック状態とされるようになっている。なお、後輪制動部45がロック状態、許容状態及びブレーキ状態のいずれにある場合にも付勢部材56は自然状態よりも圧縮された状態となっている。
続いて、本体部25に対するブレーキレバー27の取付構造について図6~図9に基づいて説明する。図6は、操作部20を示す側面図であり、本体部25の一方のカバー部材36を取り外した状態で示している。図7は、図6においてブレーキレバー27を取り外した状態を示す側面図である。図8は、本体部25の他方のカバー部材37をその内側から見た側面図である。なお、図7及び図8では、ブレーキレバー27を便宜上、仮想線(二点鎖線)で示している。図9は、(a)がブレーキレバー27とそのブレーキレバー27と一体で設けられた付属物とを示す斜視図であり、(b)がブレーキレバー27と付属物とを分解した状態で示す分解斜視図である。
まず、ブレーキレバー27の構成について図9に基づいて説明する。
図9(a)及び(b)に示すように、ブレーキレバー27は、棒状をなすレバー本体27aと、そのレバー本体27aの基端部(回動基端部)に設けられた回動軸27bとを有している。回動軸27bは、レバー本体27aからその左右方向の両側にそれぞれ突出して設けられている。各回動軸27bは左右に延びる円柱状をなしており、互いの軸線が同一直線上に位置するよう配置されている。
ブレーキレバー27(詳しくはレバー本体27a)には、回動軸27bよりも先端側(回動先端側)に、当該ブレーキレバー27を左右方向に貫通する貫通孔64が形成されている。貫通孔64は円形断面を有しており、この貫通孔64には金属製又は樹脂製のピン部材65が挿入されている。ピン部材65は円形断面を有しており、貫通孔64に嵌合した状態でブレーキレバー27に取り付けられている。ピン部材65は、かかる取付状態において長手方向(軸線方向)の両端側がそれぞれブレーキレバー27から突出しており、それら突出した各部分が突出部66とされている。
また、ブレーキレバー27には、回動軸27bよりも先端側(回動先端側)に、上下方向(換言すると、ブレーキレバー27の長手方向とピン部材65の軸線方向とにそれぞれ直交する方向)に貫通するスリット孔部68が形成されている。スリット孔部68は、ブレーキレバー27の長手方向に沿ったスリット状をなし、ブレーキレバー27において左右方向(幅方向)の中央部に形成されている。また、スリット孔部68は、上記貫通孔64と連通している。
スリット孔部68には、円板状に形成された金属製の回転体69が配設されている。回転体69には、その中心部に軸孔69aが形成されており、その軸孔69aにはピン部材65が挿通されている。この場合、回転体69は、ピン部材65を回転軸として回転可能とされており、それにより、回転体69とピン部材65とにより滑車部71が構成されている。また、回転体69の外周部には、その全域に亘って溝部72が形成されている。なお、ピン部材65が「軸部」に相当する。
図6~図8に示すように、ブレーキレバー27は、その基端側が各カバー部材36,37の側面カバー部36a,37aの間に配設されている。各側面カバー部36a,37aには、ブレーキレバー27の回動軸27bが挿入される軸孔部61が設けられている。これらの軸孔部61は、各側面カバー部36a,37aにおいてその内側に向けて開放された有底の孔部となっている。詳しくは、各側面カバー部36a,37aの内側面(つまり各側面カバー部37a,36aの対向面)には、軸孔部61を囲む環状の壁部62が突出して設けられ、その壁部62により囲まれた内側が軸孔部61となっている。
各側面カバー部36a,37aの軸孔部61(壁部62)は左右方向に互いに対称となる構成を有している。また、これらの軸孔部61は、前後方向に延びる長孔状とされ、詳しくは後ろ斜め上方に凸となる円弧状に延びている。
ブレーキレバー27は、各回動軸27bが各カバー部材36,37の軸孔部61に挿入された状態でこれらカバー部材36,37に取り付けられている。これにより、ブレーキレバー27は、回動軸27bを中心としてカバー部材36,37に回動可能に軸支されている。また、ブレーキレバー27は、かかる取付状態において、ピン部材65(突出部66)が回動軸27bよりも下方に位置するように配置されている。詳しくは、ブレーキレバー27は、待機位置とブレーキ位置とロック位置とを含む当該ブレーキレバー27の移動範囲のいずれにおいても、ピン部材65が回動軸27bよりも下方に位置するように配置されている。
ブレーキレバー27には、ブレーキワイヤ28を介して付勢部材56の付勢力が作用するようになっている。ブレーキワイヤ28には、その一端部(詳しくはブレーキ作動部48側とは反対側の端部)に円柱状のタイコ73が取り付けられている。タイコ73は、カバー部材37(側面カバー部37a)の内側面に設けられた筒部75に挿入され、その挿入状態でカバー部材37に取り付けられている。また、筒部75は、カバー部材37においてブレーキレバー27の滑車部71よりも前方に配置されている。なお、図8では便宜上、ブレーキワイヤ28とタイコ73とチューブ34とを二点鎖線で示している。
ブレーキワイヤ28は、タイコ73が取り付けられた一端部から後方に延びているとともに、その後端側において滑車部71を介して前方に折り返されている。この場合、ブレーキワイヤ28の上記折り返し部分は滑車部71(回転体69)の溝部72に配設されている。また、ブレーキワイヤ28において滑車部71を介して前方に折り返された部分は、カバー部材37(側面カバー部37a)の内側面に設けられたワイヤ支持部74の挿通孔(図示略)に挿通されている(図8参照)。ワイヤ支持部74には、チューブ34の一端部が取り付けられており、そのチューブ34内にブレーキワイヤ28がワイヤ支持部74の挿通孔より入り込んでいる。そして、ブレーキワイヤ28はチューブ34とともに導出孔41を通じて本体部25の外部に導出されている。なお、図6では便宜上、ワイヤ支持部74を仮想線(二点鎖線)で示している。
ブレーキワイヤ28において本体部25の外部に導出された導出先の端部はブレーキ作動部48に接続されている(図4,図5参照)。上述したように、ブレーキワイヤ28はブレーキ作動部48(突出片48c)とともに付勢部材56により常時付勢されている。この場合、滑車部71には、ブレーキワイヤ28を介して付勢部材56の付勢力が作用する。そして、その付勢力により滑車部71ひいてはブレーキレバー27が前方に向けて常時付勢される。詳しくは、ブレーキレバー27がブレーキ位置からロック位置までのいずれの位置にある場合にも付勢部材56により前方に向けて付勢される。
各カバー部材36,37の側面カバー部36a,37aには、ブレーキレバー27に取り付けられたピン部材65の突出部66を案内する案内通路80が設けられている。本歩行車10のブレーキ構造では、ブレーキレバー27が待機位置、ブレーキ位置及びロック位置にそれぞれ移動する際、その移動に伴って突出部66が案内通路80に沿って案内されるようになっている。そこで、以下においては、この案内通路80に関する構成について説明する。
図6~図8に示すように、案内通路80は、各側面カバー部36a,37aの内側において概ね上下方向に延びるように形成されている。案内通路80は、上記内側に向けて開放された溝状の通路となっている。詳しくは、各側面カバー部36a,37aの内側面には案内通路80を囲むように通路壁部81が突出して設けられ、その通路壁部81により囲まれた内側空間が案内通路80となっている。
各側面カバー部36a,37aの案内通路80は、左右方向に互いに対称となる構成を有している。そこで、以下では、各側面カバー部36a,37aの案内通路80について同じ符号(つまり80)を付すこととし、また、以下に説明する案内通路80の各部についても両側面カバー部36a,37aで同じ符号を付すこととする。
案内通路80は、上下方向の途中で前後に屈曲しており、上下方向の中間に位置する所定位置Kから上方に向けて後方に傾斜して延びる第1通路部82と、上記所定位置Kから下方に向けて後方に傾斜して延びる第2通路部83と、第2通路部83の下端部から下方に向けて前方に傾斜して延びる第3通路部84とを有している。
第1通路部82と第2通路部83とは前後方向(水平方向)に対する傾斜角度が同じ又は略同じとなっている。また、第1通路部82と第2通路部83とがなす角度は鈍角とされている。第3通路部84は、前後方向に対する傾斜角度が第1通路部82及び第2通路部83よりも小さくなっている。また、第2通路部83と第3通路部84とがなす角度は略直角とされている。なお、上記の傾斜角度はいずれも鋭角側の角度をいう。
また、以下の説明では、案内通路80における第1通路部82と第2通路部83との境界部を境界位置86といい、第2通路部83と第3通路部84との境界部を境界位置87という。案内通路80は、これら各境界位置86,87にてそれぞれ屈曲されている。なお、境界位置86が上記所定位置Kに相当する。
各側面カバー部36a,37aの案内通路80には、ブレーキレバー27の各突出部66がそれぞれ入り込んでいる。これら突出部66は、ブレーキレバー27の上下移動に伴い案内通路80に沿って変位するようになっている。突出部66は、ブレーキレバー27が待機位置にある場合には案内通路80において境界位置86に位置し(図7や図10(a)参照)、ブレーキレバー27がブレーキ位置にある場合には案内通路80の上端部(つまり第1通路部82の上端部)に位置し(図10(b)参照)、ブレーキレバー27がロック位置にある場合には案内通路80の下端部(つまり第3通路部84の下端部)に位置するようになっている(図11(b)参照)。
ブレーキレバー27は待機位置において保持されるようになっている。図6及び図7では、ブレーキレバー27が待機位置にて保持された状態を示している。ブレーキレバー27が待機位置にある場合には、上述したように、突出部66が境界位置86に位置する。この境界位置86からは第1通路部82と第2通路部83とがそれぞれ後方に向けて上側、下側に傾斜して延びている。この場合、これら各通路部82,83は略V字状をなしており、そのV字の谷位置に境界位置86が位置している。
ブレーキレバー27(詳しくは滑車部71)は、上述したように付勢部材56によりブレーキワイヤ28を介して前方に付勢されている。この場合、突出部66が第1通路部82及び第2通路部83の谷部(境界位置86)に位置しているため、ブレーキレバー27が前方に付勢されている構成にあって突出部66を境界位置86に安定した状態で保持することが可能となる。また、それにより、ブレーキレバー27を待機位置に安定した状態で保持することが可能となっている。
続いて、ブレーキレバー27を待機位置からブレーキ位置及びロック位置にそれぞれ動作させる場合の作用について説明する。まず、ブレーキレバー27を待機位置からブレーキ位置に動作させる場合の作用について図10に基づいて説明する。図10は、かかる作用を説明するための説明図であり、(a)がブレーキレバー27が待機位置にある状態を示し、(b)がブレーキレバー27がブレーキ位置にある状態を示している。なお、図10(a)及び(b)では、便宜上、ブレーキレバー27を仮想線(二点鎖線)で示している。また、ブレーキレバー27の回動軸27b及び突出部66についてはそれらの動きを分かり易くするためドットハッチを付して示している(なお、これらの点は後述する図11(a)及び(b)も同様)。
図10(a)に示すように、ブレーキレバー27が待機位置にある場合には、ブレーキレバー27の回動軸27bは軸孔部61において前端部に位置している。ブレーキレバー27を待機位置からブレーキ位置に動作させる際には、ブレーキレバー27を上方に向けて移動させる。この場合、回動軸27bが軸孔部61の前端部に位置したまま、ブレーキレバー27が当該回動軸27bを中心として上方へ回動する。このブレーキレバー27の上方への回動に伴い、突出部66は境界位置86から第1通路部82を上方に向けて変位する。そして、図10(b)に示すように、突出部66が第1通路部82の上端部に到達すると、ブレーキレバー27がブレーキ位置に配置される。
より詳しくは、第1通路部82は、境界位置86から上方に向けて後方に傾斜しているため、突出部66が第1通路部82を上方に向けて変位する際、突出部66は後方に変位しながら上方に変位することになる。したがって、この場合、ブレーキワイヤ28を介して滑車部71に作用する付勢部材56による前方へ向けた付勢力に抗しながら、ブレーキレバー27をブレーキ位置まで移動させることになる。
続いて、ブレーキレバー27をブレーキ位置から待機位置に戻す場合について説明する。この場合、突出部66は、ブレーキレバー27の移動に伴い、第1通路部82をその上端部から境界位置86に向けて下方に変位する。詳しくは、この際、突出部66は、前方に変位しながら下方に変位する。したがって、この場合、滑車部71に作用する付勢部材56による前方へ向けた付勢力により、ブレーキレバー27が待機位置へ自ずと移動(復帰)する。
ブレーキレバー27が待機位置に復帰した場合、突出部66は境界位置86に戻り、第2通路部83の各通路側面91a,91bのうち前側に位置する通路側面91aに係合(当接)される。そして、その係合によりブレーキレバー27が待機位置にて保持される。
なお、各通路側面91a,91bは第2通路部83を挟んで前後に対向しており、通路壁部81により形成されている。また、通路側面91aが「保持部」に相当する。
続いて、ブレーキレバー27を待機位置からロック位置に動作させる場合の作用について図11に基づいて説明する。図11は、かかる作用を説明するための説明図であり、(a)がブレーキレバー27が待機位置からロック位置へ移動する移動途中の状態を示し、(b)がブレーキレバー27がロック位置にある状態を示している。
ブレーキレバー27を待機位置からロック位置に動作させる際には、ブレーキレバー27を下方に向けて移動させる。この場合、ブレーキレバー27の移動に伴い、突出部66が境界位置86から第2通路部83及び第3通路部84を通って下方に変位する。そして、図11(b)に示すように、突出部66が第3通路部84の下端部に到達すると、ブレーキレバー27がロック位置に配置される。
ブレーキレバー27を待機位置からロック位置へ移動させる際には、突出部66がまず境界位置86から第2通路部83を通って境界位置87まで変位し(図11(a)参照)、その後境界位置87から第3通路部84を通ってその下端部まで変位する(図11(b)参照)。そこで、以下では、突出部66が境界位置86から境界位置87まで変位する場合(以下、第1段階ともいう)における作用と、突出部66が境界位置87から第3通路部84の下端部まで変位する場合(以下、第2段階ともいう)における作用とを順に説明する。
まず、第1段階の作用について説明すると、第1段階では、突出部66が境界位置86から第2通路部83を下方に向けて変位する。この際、第2通路部83は、境界位置86から下方に向けて後方に傾斜しているため、突出部66は、境界位置86から後方に変位しながら下方に変位することになる。したがって、第1段階では、滑車部71に作用する前方へ向けた付勢部材56の付勢力に抗しながら、ブレーキレバー27を移動させることになる。
突出部66が境界位置87に到達すると、図11(a)に示すように、通路側面91aに対する突出部66の係合が解除される。このときのブレーキレバー27の位置を以下、解除位置という。第1段階では、ブレーキレバー27を待機位置からこの解除位置まで動作させることで、通路側面91aに対する突出部66の係合を解除する解除操作が行われるものとなっている。
ここで、第2通路部83は、上述のように、境界位置86から下方に向けて後方に傾斜して延びている。つまり、第2通路部83は、第1通路部82の延びる方向に対して回動軸27b側とは反対側に傾斜して延びている。そのため、解除操作に際して、突出部66が第2通路部83を通って下方に変位する際には、突出部66が通路側面91aに沿って(通路側面91aに係合した状態で)案内されることで、ブレーキレバー27が回動軸27bから突出部66(ピン部材65)へと向かう側(換言すると回動軸27bの径方向外側)に変位することになる。また、この変位に際し、ブレーキレバー27の回動軸27bは軸孔部61を上記変位方向(具体的には後方)に変位する。したがって、軸孔部61は、ブレーキレバー27の上記変位を許容すべく、ブレーキレバー27(回動軸27b)の変位方向に延びている。
続いて、第2段階の作用について説明する。
第2段階では、突出部66が境界位置87から第3通路部84を下方に向けて変位する。この際、第3通路部84は、境界位置87から下方に向けて前方に傾斜しているため、突出部66は、境界位置87から前方に変位しながら下方に変位することになる。したがって、第2段階では、滑車部71に作用する前方へ向けた付勢部材56の付勢力により、ブレーキレバー27がロック位置へと自ずと移動する(図11(b)参照)。
また、ロック位置では突出部66が第3通路部84の通路端面に当接し、その当接によりブレーキレバー27がロック位置において保持される。なお、第3通路部84の通路端面は通路壁部81により形成されている。
以上より、ブレーキレバー27を待機位置からロック位置へ動作させる際には、ブレーキレバー27を待機位置から解除位置へと移動させる解除操作を行い(第1段階)、その解除操作を行うと、その後はブレーキレバー27がロック位置へと自ずと移動するようになっている(第2段階)。
次に、ブレーキレバー27をロック位置から待機位置に戻す場合の作用について説明する。
まず、ブレーキレバー27がロック位置から解除位置へ戻る際には、突出部66が第3通路部84をその下端部から境界位置87へ向けて上方に変位する。詳しくは、この際、突出部66は後方に変位しながら上方に変位する。したがって、この場合、滑車部71に作用する付勢部材56による前方へ向けた付勢力に抗しながら、ブレーキレバー27をロック位置から解除位置まで移動させることになる(図11(a)参照)。
次に、ブレーキレバー27が解除位置から待機位置へ戻る際には、突出部66が境界位置87から第2通路部83を境界位置86に向けて上方に変位する。詳しくは、この際、突出部66は前方に変位しながら上方に変位する。したがって、この場合、滑車部71に作用する付勢部材56による前方へ向けた付勢力により、ブレーキレバー27は解除位置から待機位置へと自ずと移動(復帰)する(図10(a)参照)。
また、この際、ブレーキレバー27は、突出部66(ピン部材65)から回動軸27bへと向かう側に変位することになり、その変位に際し回動軸27bが軸孔部61を上記変位方向(具体的には前方)に変位する。そして、突出部66が境界位置86に到達しブレーキレバー27が待機位置に戻ると、回動軸27bは軸孔部61において前端部に位置する(図10(a)参照)。
このように、ブレーキレバー27をロック位置から待機位置へ戻す際には、ブレーキレバー27をロック位置から解除位置まで移動させ、その後はブレーキレバー27が待機位置へと自ずと移動(復帰)するようになっている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
ブレーキレバー27をブレーキ位置側から待機位置まで動作させると、ブレーキレバー27の突出部66が第2通路部83の通路側面91aに係合し、その係合によりブレーキレバー27を待機位置において保持する構成とした。そして、ブレーキレバー27を待機位置から下方へ動作することで、通路側面91aに対する突出部66の係合を解除できる構成とした。そして、このような構成にあって、突出部66の係合解除を行う解除操作の際、突出部66が通路側面91aに沿って案内されながらブレーキレバー27が回動軸27bから突出部66(ピン部材65)へと向かう側へ変位するのを許容すべく、ブレーキレバー27の回動軸27bが挿入されている各軸孔部61を当該変位する方向に延びる長孔状とした。この場合、解除操作の際に、ブレーキレバー27が上記変位方向に変位することで突出部66と通路側面91aとの間に生じる摺動抵抗を低減させることができるため、ブレーキレバー27の操作性向上を図ることができる。
各カバー部材36,37の側面カバー部36a,37aに突出部66を案内する案内通路80を設けたため、その案内通路80に突出部66を案内させながらブレーキレバー27を移動させることができる。これにより、ブレーキレバー27が回動軸27bを中心とした回動に加え、各軸孔部61の延びる方向(換言すると回動軸27bの径方向)に変位することが許容された上述の構成にあって、ブレーキレバー27を待機位置、ブレーキ位置、ロック位置の3位置に確実に移動させることが可能となる。
ブレーキレバー27による解除操作により、突出部66が第2通路部83側から第3通路部84へ入ることで通路側面91aに対する突出部66の係合が解除されると、前方へ向けた付勢部材56の付勢力により突出部66が第3通路部84に案内されながらブレーキレバー27がロック位置へ自ずと移動するようにした。これにより、ブレーキレバー27のロック位置への操作(ロック操作)について操作性の向上を図ることができる。
第2通路部83を、その下端部から上方に向けて前方に傾斜して延びるよう形成した。この場合、ブレーキレバー27をロック位置から待機位置に戻す際に、突出部66が第2通路部83を通過するときには、前方へ向けた付勢部材56の付勢力によりブレーキレバー27が待機位置へと自ずと導かれることになる。そのため、ブレーキレバー27をロック位置から待機位置へ戻す操作について操作性向上を図ることができる。
第2通路部83と第3通路部84とがなす角度を略直角としたため、ブレーキレバー27をロック位置から待機位置に戻す際、突出部66を第2通路部83から第3通路部84に円滑に導くことができる。これにより、ブレーキレバー27をロック位置から待機位置に戻す操作について操作性の向上をより図ることができる。なお、第2通路部83と第3通路部84とがなす角度を鈍角としてもよい。その場合、突出部66を第2通路部83から第3通路部84により円滑に導くことができる。
ブレーキワイヤ28をピン部材65を介して(ピン部材65を挟んで)折り返すように配設することで、付勢部材56による付勢力をブレーキワイヤ28を介してピン部材65に作用させるようにした。この場合、突出部66を構成するピン部材65を利用してブレーキレバー27に付勢部材56の付勢力を作用させることができる。これにより、ブレーキレバー27を付勢部材56により付勢するようにした構成にあって、部品点数低減等の効果を得ることができる。
具体的には、ピン部材65に回転体69を回転可能に組み付けることで滑車部71を形成した。そして、ブレーキワイヤ28を、その滑車部71を介して(滑車部71を挟んで)折り返すように配設し、その滑車部71に付勢部材56による付勢力をブレーキワイヤ28を介して作用させるようにした。この場合、ブレーキレバー27が動作する際に、ブレーキワイヤ28を滑車部71を用いて円滑に変位させることができる。そのため、付勢部材56の付勢力をブレーキワイヤ28を介してブレーキレバー27に好適に作用させることができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、ブレーキワイヤ28を滑車部71を介して前方に折り返すように配設することで、付勢部材56による付勢力がブレーキワイヤ28を介して滑車部71(詳しくはピン部材65、回転体69)に作用するようにしたが、例えば回転体69を設けずに、ブレーキワイヤ28をピン部材65を介して前方に折り返すように配設し、それにより付勢部材56の付勢力がピン部材65に直接作用するようにしてもよい。
また、回転体69を設けない場合、ブレーキワイヤ28の一端部をピン部材65に固定(接続)するようにしてもよい。さらに、ブレーキワイヤ28の一端部をブレーキレバー27においてピン部材65以外の部分に固定するようにしてもよい。これらの場合にも、ブレーキレバー27にブレーキワイヤ28を介して付勢部材56による前方に向けた付勢力を作用させることができる。
・上記実施形態では、ピン部材65をブレーキレバー27の貫通孔64に嵌合状態で挿入したが、これを変更して、ピン部材65を貫通孔64に回転可能な状態で挿入してもよい。この場合、解除操作の際にピン部材65を回転させることができるため、突出部66と通路側面91bとの間の摺動抵抗をより一層低減させることができる。これにより、ブレーキレバー27の操作性をより高めることができる。
・上記実施形態では、案内通路80に案内される突出部66をピン部材65の一部により形成したが、かかる突出部をブレーキレバー27の一部により形成してもよい。
・上記実施形態では、各カバー部材36,37の側面カバー部36a,37aにそれぞれ案内通路80を設けたが、各側面カバー部36a,37aのうちいずれか一方にのみ案内通路80を設けてもよい。
・上記実施形態では、案内通路80の第2通路部83を境界位置86から下方に向けて後方に傾斜するように形成したが、第2通路部83を境界位置86から鉛直下向きに延びるように形成してもよい。但し、ブレーキレバー27の戻し操作について操作性向上を図る上では上記実施形態のように傾斜させて形成するのが望ましい。
・上記実施形態では、案内通路80を通路壁部81により囲まれた溝状としたため、案内通路80の両通路側面側には通路壁部81の一部となる側面壁部が設けられていたが、これら各側面壁部のうち後側に位置する側面壁部を設けず、前側に位置する側面壁部のみ設けるようにしてもよい。この場合にも、ブレーキレバー27には付勢部材56による前方に向けた付勢力が作用しているため、突出部66を前側の側面壁部に沿って案内することが可能となる。なお、この場合、前側の側面壁部に沿った通路が案内通路となる。
・上記実施形態では、左右の各操作部20にそれぞれ本発明のブレーキ構造を採用したが、いずれか一方の操作部20にのみ本発明のブレーキ構造を採用してもよい。
・上記実施形態では、後輪18に対して本発明のブレーキ構造を適用したが、前輪17に対して本発明のブレーキ構造を適用してもよい。