JP7073650B2 - コイル部品 - Google Patents

コイル部品 Download PDF

Info

Publication number
JP7073650B2
JP7073650B2 JP2017162496A JP2017162496A JP7073650B2 JP 7073650 B2 JP7073650 B2 JP 7073650B2 JP 2017162496 A JP2017162496 A JP 2017162496A JP 2017162496 A JP2017162496 A JP 2017162496A JP 7073650 B2 JP7073650 B2 JP 7073650B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin layer
coil
layer
insulating resin
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017162496A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019041017A (ja
Inventor
将典 鈴木
直明 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2017162496A priority Critical patent/JP7073650B2/ja
Publication of JP2019041017A publication Critical patent/JP2019041017A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7073650B2 publication Critical patent/JP7073650B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、コイル部品に関する。
スイッチング電源等に搭載されるトランス等のインダクタンス素子において、所望のインダクタンスを実現するために、コア同士の突合せ端部のギャップの大きさを変化させること等が検討されている(例えば、特許文献1,2参照)
特開2010-212271号公報 特開平11-340064号公報
しかしながら、特許文献1,2等に記載のコア間のギャップによるインダクタンスの制御を、平面導体及び磁性部材により構成されたコイル部品に適用することは困難である。平面導体を利用したコイル部品では、従来のインダクタンス素子と比較して低背化されていて、ギャップの調整を精度よく行うことが困難である。そのため、より精度良くインダクタンスの調整を行うための手法が求められている。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、特性の制御を高い精度で行うことが可能なコイル部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るコイル部品は、第1磁性樹脂層と、前記第1磁性樹脂層上に積層される第1絶縁性樹脂層と、前記第1絶縁性樹脂層の上に積層されたコイル層と、コイル層を被覆する第2絶縁性樹脂層と、を含むコイル部と、前記第1絶縁性樹脂層及び前記コイル部上に積層される第2磁性樹脂層と、を有し、前記第1絶縁性樹脂層は、積層方向に沿って前記第1磁性樹脂層及び前記第2磁性樹脂層により挟まれる領域において貫通孔を有し、前記第1磁性樹脂層又は前記第2磁性樹脂層の磁性樹脂が前記貫通孔内に充填される。
上記のコイル部品によれば、第1絶縁性樹脂層において、第1磁性樹脂層及び第2磁性樹脂層に挟まれた領域において貫通孔が設けられていることで、この貫通孔の大きさや配置等を用いて、コイル部品の特性を制御することができる。したがって、コイル部品の特性の制御を高い精度で行うことが可能となる。
ここで、前記第1磁性樹脂層及び前記第2磁性樹脂層は同一材料により構成される態様とすることができる。
上記のように、第1磁性樹脂層及び第2磁性樹脂層が同一材料により構成される場合、貫通孔に充填される磁性樹脂によって第1磁性樹脂層と第2磁性樹脂層とが一体化される。したがって、磁性樹脂層の剥離等が防がれ、コイル部品としての破損が防止される。
また、前記貫通孔は、前記貫通孔内に充填される前記磁性樹脂のフィラーの平均粒径よりも大きい態様とすることができる。
上記のように、磁性樹脂のフィラーの平均粒径よりも大きい貫通孔とすることで、貫通孔内へフィラーが入り込みやすくなり、磁性樹脂におけるフィラーの分散が好適に行われる。
本発明によれば、特性の制御を高い精度で行うことが可能なコイル部品が提供される。
本実施形態に係るコイル部品の平面図である。 コイル部品の一部構成部材の分解斜視図である。 コイル部品の内部構造を模式的に示した断面図である。 コイル部品の製造方法を説明する図である。 コイル部品の製造方法を説明する図である。 評価に用いたコイル部品の第1絶縁性樹脂層を説明する図である。 コイル部品の特性評価結果を示す図である。 評価に用いたコイル部品の第1絶縁性樹脂層を説明する図である。 コイル部品の特性評価結果を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本発明の一実施形態に係るコイル部品の概略構成を図1~図3を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るコイル部品の平面図であり、図2は、コイル部品の一部構成部材の分解斜視図であり、図3は、内部構造を模式的に示した断面図である。なお、図2では、コイル部品に含まれる磁性樹脂層を省略している。
図1~図3に示すように、コイル部品1は、後述するコイル11が内部に設けられた素体10(磁性素体)と、素体10の主面10a上に設けられた絶縁層30とを備えている。また、絶縁層30上には、端子電極16A,16Bが設けられている。コイル部品1は、平面視では短辺が0.2mm~0.7mm程度であり、長辺が0.8mm~1.2mm程度の略長方形状であって、厚さが30μm~500μm程度である。なお、平面視の形状は特に限定されない。
なお、本明細書中において「積層方向」とは、素体10及び絶縁層30が順次重なる方向である。また、以下の説明では、積層方向に沿って端子電極16A,16B側を「上」、積層方向に沿って素体10側を「下」として説明する場合がある。
素体10は、直方体形状の外形を有している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体10の主面10aは長辺および短辺を有する矩形状をなしている。矩形状には、角部が丸められている矩形が含まれる。
素体10の主面10aには、絶縁層30を介して端子電極16A、16Bが設けられている。端子電極16Aは、主面10aにおける一方の短辺側に設けられると共に、端子電極16Bは、主面10aにおける他方の短辺側に設けられる。また、端子電極16A、16Bは、主面10aにおける長辺に沿った方向に互いに離間している。
素体10は、例えば磁性材料で構成されている。具体的には、素体10は、第1磁性樹脂層21と、第2磁性樹脂層22と、第1磁性樹脂層及び第2磁性樹脂層22の間の第2磁性樹脂層22の内部に設けられる、コイル11、被覆部17及び引出導体15A,15Bと、を有する。被覆部17は、第1絶縁性樹脂層17aと第2絶縁性樹脂層17bとを含んで構成される。コイル11及び第2絶縁性樹脂層17bによりコイル部20が形成される。
コイル11は、例えば銅(Cu)等の導電性を有する金属材料で構成されており、その軸心が主面10aに直交する方向に沿って延びている。コイル11は、二層のコイル導体層を有していて、コイル導体層としての第1コイル層12及び第2コイル層13と、第1コイル層12及び第2コイル層13を連結する連結部14と、引出導体15A,15Bとを有する。
第1コイル層12と第2コイル層13とは、素体10の主面10aに直交する方向(コイル部20の軸心方向)に並んでおり、第2コイル層13が第1コイル層12よりも主面10a側(図示上方)に位置している。第1コイル層12と第2コイル層13とは、巻回方向が同じである。連結部14は、第1コイル層12と第2コイル層13との間に介在して、第1コイル層12の内側の端部と第2コイル層13の内側の端部とを連結している。なお、第1コイル層12及び第2コイル層13が、それぞれ複数ターンのコイルである場合について説明するが、コイル層の数及び各コイル層でのターン数は限定されない。
上記のコイル11は、第1コイル層12及び第2コイル層13の厚さがそれぞれ30μm~80μm程度であり、全体としての厚さが70μm~180μm程度である。
コイル11は、被覆部17により覆われている。被覆部17は、絶縁性を有し、絶縁性樹脂で構成されている。被覆部17に用いられる絶縁性樹脂としては、例えばポリイミド、又はポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
被覆部17は、素体10内において、第1コイル層12及び第2コイル層13を一体的に覆うと共に、被覆部17は、隣接する導体層間に挟まれる。被覆部17は、被覆部17は、第1コイル層12の下方(主面10aとは逆側)に設けられる第1絶縁性樹脂層17aと、第1絶縁性樹脂層17aの上方(主面10a側)に第1コイル層12及び第2コイル層と共に積層される第2絶縁性樹脂層17bと、を有する。
第1絶縁性樹脂層17aは、第1コイル層12の下側(主面10aとは逆側)に位置し、平面視における素体10の主面10aと略同一形状に形成される。また、第1絶縁性樹脂層17aは、第1コイル層12及び第2コイル層13の内側に設けられる開口に対応する領域に、上記の開口よりも小さな貫通孔171を有する。貫通孔171は、図3では、2つの貫通孔171が設けられている例を示しているが、貫通孔171の数や大きさは適宜変更することができる。この点については後述する。
また、第2絶縁性樹脂層17bは、第1コイル層12及び第2コイル層13と同一層内の周囲及び巻回部分の間を埋めている。また、第2絶縁性樹脂層17bは第1コイル層12及び第2コイル層13の間、及び、第2コイル層13の上方(主面10a側)を覆うように設けられる。また、第2絶縁性樹脂層17bには、第1コイル層12及び第2コイル層13の内形よりも内側の領域(第1コイル層12及び第2コイル層13により開口が形成されている領域)に開口が形成されている。このように、コイル11は、第2絶縁性樹脂層17bにより被覆された状態となる。本実施形態では、第2絶縁性樹脂層17bが第1コイル層12の周囲及びその上方のみを覆い、コイル層のうち第1絶縁性樹脂層17a側の主面が露出している場合であっても、コイル11は、第2絶縁性樹脂層17bにより被覆されているという。
なお、第1コイル層12の下方(主面10aとは逆側)にも第2絶縁性樹脂層17bが設けられていてもよい。
平面視において、第2絶縁性樹脂層17bの外形は第1コイル層12及び第2コイル層13の外形に対応している。したがって、平面視において、素体10の主面10aに対応する形状を有する第1絶縁性樹脂層17aは、第2絶縁性樹脂層17bよりも大きくなる。また、第2絶縁性樹脂層17bの内側の開口は、第1コイル層12及び第2コイル層13の開口に対応しているが、第1絶縁性樹脂層17aに設けられる貫通孔171は、この第2絶縁性樹脂層17bの開口よりも小さい。したがって、平面視において、第2絶縁性樹脂層17bの内側の開口において、第1絶縁性樹脂層17aを確認できる状態となっている。
第1絶縁性樹脂層17aの厚さは、例えば、3μm~30μmとすることができる。また、第2絶縁性樹脂層17bの厚さは、コイル11の厚さ等に基づいて設定され、例えば、3μm~30μm程度である。
第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22は、第1絶縁性樹脂層17aを挟んで設けられる。具体的には、第1絶縁性樹脂層17a上には、第2絶縁性樹脂層17b及びコイル11を含むコイル部20が積層されるが、コイル部20が積層される領域とは異なる領域において、第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22により挟み込まれる。第1磁性樹脂層21は、第1絶縁性樹脂層17aのうち第1コイル層12が形成される側の主面とは逆側の主面に対して(すなわち、下方に)積層される。また、第2磁性樹脂層22は、第1絶縁性樹脂層17aのうち第1コイル層12が形成される側の主面に対して(すなわち、上方に)積層される。第2磁性樹脂層22は、コイル11及び被覆部17のうち第2絶縁性樹脂層17bを内部に備えた状態で、第1絶縁性樹脂層17a上に形成される。
第1絶縁性樹脂層17aの貫通孔171は、第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22により挟み込まれる領域に形成される。
第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22は、それぞれ、磁性粉とバインダ樹脂との混合物である。磁性粉の構成材料は例えば鉄、カルボニル鉄、ケイ素、コバルト、クロム、ニッケル、又はホウ素等であり、磁性体のフィラーとして、層内に分散する。フィラーの平均粒径は特に限定されないが、例えば、1μm~30μm程度とすることができる。バインダ樹脂の構成材料は例えばエポキシ樹脂である。第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22のそれぞれにおいて、例えば、全体の90%以上が磁性粉で構成されていてもよい。なお、第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22は、同一材料で構成されていてもよいが、互いに異なる材料で構成されていてもよい。
なお、第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22の何れかは第1絶縁性樹脂層17aに設けられた貫通孔171内にも導入される。そして、この貫通孔171内の絶縁性樹脂によって、第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22によって一体化される。
引出導体15A,15Bは、それぞれコイル11の端部を構成する。引出導体15Aは、第1コイル層12の外側端部E1から主面10aに直交する方向に沿って延びる。また、引出導体15Bは、第2コイル層13の外側端部E2から主面10aに直交する方向に沿って延びる。引出導体15A,15Bは、いずれも被覆部17及び第2磁性樹脂層22を貫通して上方に延びる。
引出導体15A,15Bの端部、すなわち、コイル11の両端部は、それぞれコイル部品1の素体10の主面10aに設けられた端子電極16A,16Bと接続される。端子電極16A,16Bは、それぞれ内部のコイル11の端部と接続される。端子電極16A,16Bは、いずれも膜状であり、平面視で略正方形形状を呈している。また、端子電極16A,16Bは、例えばCu等の導電性材料によって構成されている。端子電極16A,16Bは、単層構造でも複数層構造でもよい。
次に、コイル部品1の製造方法について、図4及び図5を参照しながら説明する。まず、図4(A)に示すように、基材50上に、コイル11、被覆部17(第1絶縁性樹脂層17a及び第2絶縁性樹脂層17b)及び引出導体15A,15Bを形成する。第1絶縁性樹脂層17a、コイル11及び第2絶縁性樹脂層17bの製造方法は公知の方法を利用することができる。以下は一例について説明する。まず、第1絶縁性樹脂層17a上に、隣接する第1コイル層12間の絶縁性樹脂層を形成すると共に第1コイル層12となる領域に下地金属層を設け、めっきにより第1コイル層12を形成する。その後、第1コイル層12と第2コイル層13との間の絶縁性樹脂層を設けると共に、連結部14及び引出導体15Aを形成する。同様の処理を繰り返すことで、第2コイル層13及びその上方の絶縁性樹脂層を形成して、コイル11、被覆部17(第1絶縁性樹脂層17a及び第2絶縁性樹脂層17b)及び引出導体15A,15Bが形成される。なお、引出導体15A,15Bの形成の際には、周囲に成形用の絶縁材料が設けられるが、引出導体15A,15Bの形成後にこれらは除去される。
次に、図4(B)に示すように、被覆部17及び引出導体15A,15Bの周囲に第2磁性樹脂層22を形成する。第2磁性樹脂層22は、例えば、材料を塗布して硬化させることで形成される。
次に、図5(A)に示すように、基材50を除去して、第1絶縁性樹脂層17aを露出させる。その後、下面側(第1絶縁性樹脂層17aの露出面側)から第1絶縁性樹脂層17aに貫通孔171を形成する。
その後、図5(B)に示すように、第1絶縁性樹脂層17aの下面側に第1磁性樹脂層21を積層する。この際に、貫通孔171内にも第1磁性樹脂層21の磁性樹脂が充填される。これにより、素体10が形成される。その後、素体10の主面10aに絶縁層30及び端子電極16A,16Bを形成することで、図1~図3に示すコイル部品1が得られる。
なお、貫通孔171の形成は、図5(A)で示したタイミングに代えて、例えば、第2磁性樹脂層22を形成する前に行ってもよい。この場合、貫通孔171には、第2磁性樹脂層22の磁性樹脂が充填されることになる。貫通孔171内には、第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22のいずれの磁性樹脂が充填されていてもよい。
本実施形態に係るコイル部品1では、第1絶縁性樹脂層17aに貫通孔171が設けられていることで、この貫通孔171により、コイル部品1のインダクタンス(L値)を調整可能であることを特徴とする。
コイル部品1のようなコイルを有する電子部品の特性を制御する要素としては、巻数、幅(断面積の大きさ)等のコイル層の構成のほかに、コイル部の周囲の磁性樹脂層のような磁性材料での磁束の大きさが知られている。そこで、従来から、磁性材料としてのコア材を含むコイル部品においては、コア間のギャップを調整することで特性(インダクタンス(L)及び飽和磁束密度(Bs))の制御を行うことが行われている。しかしながら、コア間のギャップの制御は容易に行うことができるが、本実施形態に係るコイル部品1のような薄膜の電子部品においては同様の制御は困難である。コイル部品1の場合、第1絶縁性樹脂層17aの厚さを制御することで、従来のコイル部品におけるコア間のギャップの制御と同等のことが実現できるものの、第1絶縁性樹脂層17aの厚さを精度よく制御することは難しいという問題があった。
一方、本実施形態に係るコイル部品1では、貫通孔171の大きさや配置を調整することで、コア間ギャップによる制御と同等にインダクタンス及び飽和磁束密度の制御を行うことができる。したがって、薄膜のコイル部品1においても、特性の制御を好適に行うことが可能となる。
なお、第1絶縁性樹脂層17aの貫通孔171は、第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22により挟み込まれる領域(第1絶縁性樹脂層17aが一方の主面で第1磁性樹脂層21と接し、他方の主面で第2磁性樹脂層22と接している領域)に形成される。この第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22により挟み込まれる領域は、第1絶縁性樹脂層17aにおいて、コイル部20が積層される領域よりも内側(コイル11の軸心周辺の開口部)と、コイル部20が積層される領域よりも外側と、である。第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22により挟み込まれる領域は、磁性樹脂層による磁路が形成される領域である。当該領域に貫通孔171を設けることで、磁束の制御を行うことができ、コイル部品1の電気的特性の制御を行うことが可能となる。
ここで、貫通孔171の大きさ及び配置を変更することよるコイル部品1の特性の制御について、図6~図9を参照しながら説明する。
まず、図6及び図7を参照しながら、貫通孔171の開口率とインダクタンス(L)及び定格電流(Isat)との関係について評価した結果を示す。ここでは貫通孔171による第1絶縁性樹脂層17aの開口率が互いに異なる3種類のコイル部品1を準備した。図6(A)~(C)は、3種類のコイル部品における貫通孔171の配置を説明する図である。図6(A)は、第1絶縁性樹脂層17aにおいて貫通孔171が設けられていない状態を示している。なお、図6(及び後述の図8)では、第2絶縁性樹脂層17bが積層される領域R1と、第2絶縁性樹脂層17bが積層されない領域R2を区別して示している。第2絶縁性樹脂層17bが積層される領域R1とは、上方にコイル11が設けられる領域であるため、第1磁性樹脂層21と第2磁性樹脂層22とに挟まれる状態とはならない。したがって、この領域R1には貫通孔171が設けられない。したがって、ここでの「開口率」とは、第2絶縁性樹脂層17bが上方に積層されない領域R2の面積に対して、貫通孔171が設けられる面積の割合を示したものである。
図6(B)では、開口率が23%である状態を示している。図6(B)に示す第1絶縁性樹脂層17aに設けられる貫通孔171は、円形状であり、コイル11(図3等参照)の内側と外側との両方に設けられる。
図6(C)では、開口率が37%である状態を示している。図6(C)に示す第1絶縁性樹脂層17aに設けられる貫通孔171は、図6(B)に示す貫通孔171と同一の円形状であり、コイル11(図3等参照)の内側と外側との両方に設けられる。
この3種類の第1絶縁性樹脂層17aを有するコイル部品について、シミュレーションにより、電気的特性を評価した結果を図7に示す。図7では、第1絶縁性樹脂層17aの厚さを共通として、同一条件の電流を流した場合のインダクタンス及び定格電流を計算した結果を示している。図7に示すように、開口率を大きくすると、インダクタンス(L)が大きくなることが確認された。一方、開口率を大きくすると、定格電流(Isat)が小さくなることが確認された。したがって、開口率を変化させることで、コイル部品の特性を制御することができることが確認された。
次に、図8及び図9を参照しながら、貫通孔171の開口率を一定として貫通孔171の配置を変化させた場合のインダクタンス(L)及び定格電流(Isat)との関係について評価した結果を示す。ここでは貫通孔171による第1絶縁性樹脂層17aの開口率が37%であって貫通孔171の形状が互いに異なる3種類のコイル部品1を準備した。ひとつは、図6(C)で示したように、円形状の貫通孔171が複数設けられたものである。また、図8(A)は、第1絶縁性樹脂層17aにおいて第2絶縁性樹脂層17bが積層される領域R1の内周側に円環状の貫通孔が設けられている状態を示している。また、図8(B)は、第1絶縁性樹脂層17aにおいて第2絶縁性樹脂層17bが積層される領域R1の内周側と外周側との両方に円環状の貫通孔が設けられている状態を示している。円環状の貫通孔171の幅を調整することで、貫通孔171の開口率を全て37%となる%に調整した。
この3種類の第1絶縁性樹脂層17aを有するコイル部品について、シミュレーションにより、電気的特性を評価した結果を図9に示す。図9では、図7と同様に、第1絶縁性樹脂層17aの厚さを共通として、同一条件の電流を流した場合のインダクタンス及び定格電流を計算した結果を示している。図9に示す「穴 均等」とは、円形の貫通孔171が分散して配置された図6(C)の第1絶縁性樹脂層17aに係る結果を示す。また、図9に示す「帯 中心」とは、図8(A)の第1絶縁性樹脂層17aに係る結果を示し、「帯 均等」とは、図8(B)の第1絶縁性樹脂層17aに係る結果を示す。図9に示すように、開口率の配置に応じて、インダクタンス(L)と定格電流(Isat)とが変化することが確認された。したがって、開口率及び貫通孔171の形状・配置を変化させることで、コイル部品の特性を制御することができることが確認された。
このように、第1絶縁性樹脂層17aにおいて、第1磁性樹脂層21側と第2磁性樹脂層22側とを貫通する貫通孔171の配置や大きさ(開口率)等を制御することで、コイル部品1としての電気的特性を制御することができることが確認された。したがって、コイル部品1に求められる電気的特性に応じて、貫通孔171の配置、大きさ(開口率)等を設計することで、コイル部品1の特性を好適に制御することができる。
また、コイル部品1における第1磁性樹脂層21と第2磁性樹脂層22とが同一材料である場合、従来のコイル部品と比較して剥離等の破損を防ぐことができる。従来の薄膜のコイル部品では、フェライト基板等の磁性基板上に被覆部に覆われたコイル部を配置し、磁性材料で周囲を覆う構成を採用することが多かった。この場合、磁性樹脂層とフェライト基板との間の熱膨張係数の差に由来して、両者の間で剥離が発生することも考えられる。これに対して、コイル部品1のように第1絶縁性樹脂層17aの貫通孔171を介して両者が一体化される場合に、第1磁性樹脂層21と第2磁性樹脂層22とが同一材料であると、密着性が上昇する。したがって、コイル部品1の破損等が防がれる。
なお、貫通孔171の大きさ(内径)は特に限定されないが、第1磁性樹脂層21及び第2磁性樹脂層22の磁性樹脂のうち、貫通孔171内に充填される磁性樹脂に含まれるフィラーの径よりも大きいことが好ましい。このような構成とすることで、貫通孔171内にも磁性粉のフィラーが入り込みやすくなり、フィラーの分散が好適に行われる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、上記の実施形態では、コイル11に含まれるコイル層の数は特に限定されず、任意に変更可能である。また、コイル層の層数及び形状等に応じて、連結層及び引出導体等の配置及び形状は適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、貫通孔171の形状が円環状又は円形状である場合について説明したが、貫通孔171の形状等については適宜変更することができる。
1…コイル部品、10…素体、11…コイル、12…第1コイル層、13…第2コイル層、14…連結部、15A,15B…引出導体、16A,16B…端子電極、17…被覆部、17a…第1絶縁性樹脂層、17b…第2絶縁性樹脂層、20…コイル部、21…第1磁性樹脂層、22…第2磁性樹脂層、171…貫通孔。

Claims (3)

  1. 第1磁性樹脂層と、
    前記第1磁性樹脂層上に積層される第1絶縁性樹脂層と、
    前記第1絶縁性樹脂層の上に積層されたコイル層と、コイル層を被覆する第2絶縁性樹脂層と、を含むコイル部と、
    前記第1絶縁性樹脂層及び前記コイル部上に積層される第2磁性樹脂層と、
    を有し、
    前記第1絶縁性樹脂層は、前記コイル部が積層される領域よりも内側と外側との両方において、積層方向に沿って前記第1磁性樹脂層及び前記第2磁性樹脂層により挟まれる領域が設けられ、前記内側と前記外側との両方において貫通孔を有し、
    前記貫通孔は、その周囲が全周にわたって前記第1絶縁性樹脂層によって囲われ、
    前記内側に設けられる前記貫通孔は複数であって、
    前記第1磁性樹脂層又は前記第2磁性樹脂層の磁性樹脂が前記貫通孔内に充填される、コイル部品。
  2. 前記第1磁性樹脂層及び前記第2磁性樹脂層は同一材料により構成される、請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記貫通孔は、前記貫通孔内に充填される前記磁性樹脂のフィラーの平均粒径よりも大きい、請求項1又は2に記載のコイル部品。
JP2017162496A 2017-08-25 2017-08-25 コイル部品 Active JP7073650B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017162496A JP7073650B2 (ja) 2017-08-25 2017-08-25 コイル部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017162496A JP7073650B2 (ja) 2017-08-25 2017-08-25 コイル部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019041017A JP2019041017A (ja) 2019-03-14
JP7073650B2 true JP7073650B2 (ja) 2022-05-24

Family

ID=65726717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017162496A Active JP7073650B2 (ja) 2017-08-25 2017-08-25 コイル部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7073650B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022172949A1 (ja) * 2021-02-12 2022-08-18 パナソニックIpマネジメント株式会社 電子部品及び電子部品の製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013251541A (ja) 2012-05-31 2013-12-12 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd チップインダクタ
JP2014022724A (ja) 2012-07-18 2014-02-03 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd パワーインダクタ用磁性体モジュール、パワーインダクタ及びその製造方法
JP2015126199A (ja) 2013-12-27 2015-07-06 東光株式会社 電子部品の製造方法、電子部品
JP2015216336A (ja) 2014-05-07 2015-12-03 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. チップ電子部品及びその製造方法
US20160218691A1 (en) 2015-01-27 2016-07-28 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Common mode filter and method of manufacturing the same
JP2017011185A (ja) 2015-06-24 2017-01-12 株式会社村田製作所 コイル部品の製造方法およびコイル部品

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013251541A (ja) 2012-05-31 2013-12-12 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd チップインダクタ
US20130341758A1 (en) 2012-05-31 2013-12-26 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Chip inductor
JP2014022724A (ja) 2012-07-18 2014-02-03 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd パワーインダクタ用磁性体モジュール、パワーインダクタ及びその製造方法
JP2015126199A (ja) 2013-12-27 2015-07-06 東光株式会社 電子部品の製造方法、電子部品
JP2015216336A (ja) 2014-05-07 2015-12-03 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. チップ電子部品及びその製造方法
US20160218691A1 (en) 2015-01-27 2016-07-28 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Common mode filter and method of manufacturing the same
JP2016139783A (ja) 2015-01-27 2016-08-04 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. コモンモードフィルタ及びその製造方法
JP2017011185A (ja) 2015-06-24 2017-01-12 株式会社村田製作所 コイル部品の製造方法およびコイル部品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019041017A (ja) 2019-03-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6848734B2 (ja) コイル部品
JP5614479B2 (ja) コイル部品の製造方法
US6392525B1 (en) Magnetic element and method of manufacturing the same
JP6447369B2 (ja) コイル部品
JP5381956B2 (ja) コイル部品
KR101434351B1 (ko) 코일 부품 및 그 제조 방법
US10468184B2 (en) Coil component having resin walls and method for manufacturing the same
US20100277267A1 (en) Magnetic components and methods of manufacturing the same
US11854730B2 (en) Coil component and method of manufacturing coil component
KR102052770B1 (ko) 파워인덕터 및 그 제조방법
JP6984212B2 (ja) コイル部品
US11404205B2 (en) Magnetic coupling coil element and method of manufacturing the same
JP2007504673A (ja) フェライト高分子コアを有する端数巻き変圧器
JP7240813B2 (ja) コイル部品
US20160276096A1 (en) Power inductor
JP2017017142A (ja) コイル部品およびその製造方法
US11817248B2 (en) Surface mount inductor and method of manufacturing surface mount inductor
KR101338139B1 (ko) 파워 인덕터
JP2018170320A (ja) コイル部品およびその製造方法
JP7073650B2 (ja) コイル部品
WO2021079697A1 (ja) コイル部品及びその製造方法
JP7288288B2 (ja) 磁気結合型コイル部品
JP6893761B2 (ja) コイル部品の製造方法、コイル部品、及び電源回路ユニット
JP2003257744A (ja) 磁性素子及びその製造方法並びにそれを用いた電源モジュール
JP2018160611A (ja) コイル部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210914

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220412

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220425

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7073650

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150