以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。各図の上下左右を示す矢印は、車両搭載状態での方向を示している。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態のユニット10は、空調ケース12と、フィルタ14とを備える。なお、図1は、フィルタ14を挿入する前の空調ケース12と、フィルタ14とを示している。
ユニット10は、車両用空調装置の一部を構成する。ユニット10は、車室内のうち車両前方側に配置される。ユニット10は、車両左右方向の中央部に配置されるセンタ置きユニットである。
図示しないが、空調ケース12の内部には、送風機、蒸発器、ヒータコア等が配置されている。送風機は、車室内に向かう空気流れを形成する。蒸発器は、冷凍サイクル装置の冷媒との熱交換によって、車室内に向かう空気を冷却する冷却用熱交換器である。冷凍サイクル装置は、車両用空調装置の一部を構成している。ヒータコアは、エンジン冷却水との熱交換によって、車室内に向かう空気を加熱する加熱用熱交換器である。
フィルタ14は、空気をろ過して清浄するものである。フィルタ14は、空調ケース12の内部に配置される。フィルタ14は、例えば、送風機と蒸発器との間に配置されたり、送風機よりも空気流れの上流側に配置されたりする。
図1に示すように、空調ケース12は、車両左右方向の一方側の第1壁16と、車両左右方向の他方側の第2壁18とを有する。第1壁16と第2壁18とは車両左右方向で対向している。本実施形態では、第1壁16は車両右側に位置し、第2壁18は車両左側に位置する。車両左右方向が一方向に対応している。
第1壁16にフィルタ14の挿入および取出しのための第1開口部20が形成されている。第2壁18にフィルタ14の挿入および取出しのための第2開口部22が形成されている。第1開口部20および第2開口部22は、空間であり、車両左右方向で対向している。このように、本実施形態では、フィルタ14の挿入等のための開口部20、22が空調ケース12の左右両側にそれぞれ形成されている。
図2は、フィルタ14が配置されていない状態の空調ケース12の断面図である。なお、図2中の一点鎖線は、フィルタ14の設置予定位置を示している。図2に示すように、第1壁16は、第1開口部20を形成する第1開口形成部24を有する。第1開口形成部24は、第1開口部20の周囲に位置する。第1開口形成部24は、筒状であって、第1壁16から空調ケース12の内側に突出するとともに、第1壁16から空調ケース12の外側に突出している。したがって、第1開口形成部24は、第1壁16よりも空調ケース12の内側に位置する内側部分242と、第1壁16よりも空調ケース12の外側に位置する外側部分244とを有する。
内側部分242の第1開口部20に面する表面242aは、空調ケース12の外側から内側に向かうにつれて、第1開口部20の開口幅が広がるように傾斜している。外側部分244の第1開口部20に面する表面244aは、空調ケース12の内側から外側に向かうにつれて、第1開口部20の開口幅が広がるように傾斜している。
第1壁16と同様に、第2壁18は、第2開口部22を形成する第2開口形成部26を有する。第2開口形成部26は、第2開口部22の周囲に位置する。第2開口形成部26は、筒状であって、第2壁18よりも空調ケース12の内側に位置する内側部分262と、第2壁18よりも空調ケース12の外側に位置する外側部分264とを有する。内側部分262の第2開口部22に面する表面262aは、空調ケース12の外側から内側に向かうにつれて、第2開口部22の開口幅が広がるように傾斜している。外側部分264の第2開口部22に面する表面264aは、空調ケース12の内側から外側に向かうにつれて、第2開口部22の開口幅が広がるように傾斜している。
図3、4に示すように、フィルタ14は、フィルタ本体部141と、フィルタケース142と、右側シール部143と、左側シール部144とを備える。図4に示すように、フィルタ本体部141は、ヒダ状に折り曲げられた濾材145と、枠体146とを含む。枠体146は、濾材145のヒダ状を保つように、濾材145を支持する第1支持部材である。
図3に示すように、フィルタケース142は、四角い筒状であり、フィルタ本体部141の4つの側面を覆っている。フィルタケース142は、濾材145の第2支持部材である。フィルタケース142は、右側に位置する右側側面部142aと、左側に位置する左側側面部142bと、上側に位置する上面部142cと、下側に位置する下面部142dとを有する。右側側面部142aと左側側面部142bは、同じ形状および大きさである。上面部142cと下面部142dは、同じ形状および大きさである。
本実施形態では、右側側面部142aと左側側面部142bの一方が、フィルタ14のうち一方向の一方側に位置する一方側側面部を構成している。右側側面部142aと左側側面部142bの他方が、フィルタ14のうち一方向の他方側に位置する他方側側面部を構成している。
右側シール部143は、右側側面部142aの周囲に設けられている。左側シール部144は、左側側面部142bの周囲に設けられている。右側シール部143と左側シール部144は、同じ形状および大きさである。右側側面部142aおよび左側側面部142bは、長方形である。右側シール部143は、右側側面部142aの4辺のそれぞれに連なっている。左側シール部144は、左側側面部142bの4辺のそれぞれに連なっている。
より詳細には、右側シール部143と左側シール部144のそれぞれは、弾性部材147、148と、パッキン149、150とによって構成されている。弾性部材147、148は、弾性変形によって反力が生じる部材であって、弾性変形による反力によって、パッキン149、150を空調ケース12に押し付ける部材である。パッキン149、150は、空調ケース12と接触して、第1、第2開口部20、22を密閉する部材である。パッキン149、150は、弾性部材147、148よりも弾性変形による反力が小さい部材である。
弾性部材147、148としては、パッキン149、150よりも弾性変形による反力が大きなゴム材料が用いられる。弾性部材147、148として、樹脂材料が用いられてもよい。この場合の樹脂材料は、フィルタケース142と同じ樹脂材料、異なる樹脂材料のどちらであってもよい。パッキン149、150としては、弾性部材147、148よりも反力が小さなゴム材料が用いられる。
弾性部材147、148は、平板状である。パッキン149、150は、平板状である。パッキン149は、弾性部材147を介して、右側側面部142aの各辺に連なっている。同様に、パッキン150は、弾性部材148を介して、左側側面部142bの各辺に連なっている。なお、弾性部材147、148およびパッキン149、150の形状は、図に示す形状でなくてもよい。
また、パッキン149、150のうち右側、左側側面部142a、142bの上辺側と下辺側とに設けられたパッキン149a、150aの両側には、さらに弾性部材147b、148bを介してパッキン149b、150bが連なっている。パッキン149b、150bが無くても、開口部をシールすることができれば、パッキン149b、150bを設けなくてもよい。
本実施形態では、右側側面部142aと、弾性部材147と、パッキン149とによって、右側蓋部151が構成されている。左側側面部142bと、弾性部材148と、パッキン150とによって、左側蓋部152が構成されている。図1に示すように、フィルタ14が空調ケース12の外部に位置するときに、右側、左側蓋部151、152と第1、第2開口部20、22との大きさを比較すると、右側、左側蓋部151、152の外形は、第1、第2開口部20、22よりも大きい。フィルタ14が空調ケース12の外部に位置するときは、右側、左側蓋部151、152に外力が作用していない状態のときである。
次に、空調ケース12へのフィルタ14の取付けおよび取出しについて説明する。
右ハンドル車に搭載されるユニット10では、助手席側からのフィルタの交換を可能とするために、ユニット10の製造時に、図1中の矢印のように、空調ケース12の左側の第2開口部22からフィルタ14が挿入される。フィルタ14の挿入方向は、第1壁16と第2壁18とが対向する左右方向である。このとき、フィルタ14の右側蓋部151側がフィルタ14の挿入方向での先端側となるように、フィルタ14が挿入される。この場合では、フィルタ14の挿入時にフィルタ14の挿入方向での先端側に位置する右側蓋部151が、蓋部、第1蓋部に相当する。フィルタ14の挿入時にフィルタ14の挿入方向での後端側に位置する左側蓋部152が、第2蓋部に相当する。
フィルタ14の挿入時では、図5に示すように、右側蓋部151の弾性部材147およびパッキン149が第2開口形成部26の表面に沿って、空調ケース12の外側に向かって曲げ変形する。弾性部材147とパッキン149とのうち特に弾性部材147が曲げ変形する。このとき、右側蓋部151が第2開口部22を通過するように、フィルタ14が押し込まれる。弾性部材147は、右側蓋部151が第2開口部22を通過できる大きさになるまで変形する。このため、右側蓋部151は、第2開口部22を通過することができる。なお、このとき、図6、7に示すように、パッキン149a、弾性部材147bおよびパッキン149bは、折りたたまれた状態とされる。
さらに、図8に示すように、フィルタ14の設置予定位置まで、フィルタ14が挿入される。このとき、第1開口部20側では、右側蓋部151のパッキン149が第1開口形成部24の内側部分242の表面242aに当接した状態で、右側蓋部151が第1開口部20に押し込まれる。このため、右側蓋部151の弾性部材147が空調ケース12の内側に向かって曲げ変形する。換言すると、パッキン149が濾材145に近づく側に、弾性部材147が曲げ変形する。この弾性部材147には、弾性部材147を曲げ変形させる応力に対する反力が発生する。この弾性部材147に発生する反力によって、パッキン149が内側部分242の表面242aに押し当てられる。この反力には、挿入方向に平行な成分の力が含まれる。これにより、フィルタ14と第1壁16との間がシールされる。
同様に、第2開口部22側では、左側蓋部152のパッキン150が第2開口形成部26の外側部分264の表面264aに当接した状態で、左側蓋部152が第2開口部22に押し込まれる。このため、左側蓋部152の弾性部材148が空調ケース12の外側に向かって曲げ変形する。換言すると、パッキン150が濾材145から離れる側に、弾性部材148が曲げ変形する。この弾性部材148には、弾性部材148を曲げ変形させる応力に対する反力が発生する。この弾性部材148に発生する反力によって、パッキン150が外側部分264の表面264aに押し当てられる。この反力には、挿入方向に平行な成分の力が含まれる。これにより、フィルタ14と第2壁18との間がシールされるとともに、第1開口部20からのフィルタ14の抜けを防止することができる。
ここで、フィルタ14を挿入方向へさらに進めようとすると、左側蓋部152が第2開口形成部26に引っかかる。このため、フィルタ14が第1開口部20から抜けるためには、右側蓋部151が第2開口部22を通過させるのに必要な挿入力よりも大きな挿入力が必要となる。挿入力とは、フィルタ14に対して挿入方向に加える力のことである。このため、左側蓋部152によって、第1開口部20からのフィルタ14の抜けが防止される。
続いて、図9に示すように、第2壁18にフィルタカバー28が取り付けられる。フィルタカバー28は、フィルタ14を覆うとともに、フィルタ14を押さえる部材である。フィルタカバー28は、弾性部材147、148の反力によってフィルタ14が第2開口部22から飛び出るのを防止する。
フィルタカバー28は、空調ケース12と別体の部材である。第2壁18には、フィルタカバー28の端部を、空調ケース12の外側から覆う覆い部181が設けられている。フィルタ14がフィルタカバー28を押す力を覆い部181で支持することで、フィルタカバー28は空調ケース12に固定される。なお、フィルタカバー28に替えて、空調ケース12の一部によって、フィルタ14を押さえてもよい。すなわち、フィルタ14を押さえる部材は、空調ケース12と一体でもよい。フィルタカバー28が取り付けられることで、フィルタ14の設置が完了する。
フィルタ14の取出しでは、図示しないが、フィルタカバー28を外した後、フィルタ14を第2開口部22から抜き出す。このとき、図示しないが、右側蓋部151の弾性部材147およびパッキン149が、第2開口形成部26の表面に沿って、空調ケース12の内側に向かって曲げ変形する。これにより、右側蓋部151は、第2開口部22を通過できる大きさに変形する。このため、右側蓋部151は、第2開口部22を通過することができる。このように、弾性部材147は、車両左右方向の両側への曲げ変形が可能であり、曲げ変形させる応力に対する反力を発生させる。
なお、右ハンドル車に搭載されるユニット10へのフィルタ14の取付けにおいて、フィルタ14の左側蓋部152からフィルタ14を挿入してもよい。この場合、上記の説明において、右側蓋部151と左側蓋部152とを入れ替えればよい。この場合では、フィルタ14の挿入時にフィルタ14の挿入方向での先端側に位置する左側蓋部152が、蓋部、第1蓋部に相当する。フィルタ14の挿入時にフィルタ14の挿入方向での後端側に位置する右側蓋部151が、第2蓋部に相当する。
一方、左ハンドル車に搭載されるユニット10では、助手席側からのフィルタ14の交換を可能とするために、ユニット10の製造時に、図10に示すように、空調ケース12の右側の第1開口部20からフィルタ14が挿入される。このとき、フィルタ14の左側蓋部152側がフィルタ14の挿入方向での先端側となるように、フィルタ14が挿入される。この場合では、フィルタ14の挿入時にフィルタ14の挿入方向での先端側に位置する左側蓋部152が、蓋部、第1蓋部に相当する。フィルタ14の挿入時にフィルタ14の挿入方向での後端側に位置する右側蓋部151が、第2蓋部に相当する。
フィルタ14の挿入時では、左側蓋部152の弾性部材148およびパッキン150が第1開口形成部24の表面に沿って、空調ケース12の外側に向かって曲げ変形する。弾性部材148とパッキン150とのうち特に弾性部材148が曲げ変形する。このとき、左側蓋部152が第1開口部20を通過するように、フィルタ14が押し込まれる。弾性部材148は、左側蓋部152が第1開口部20を通過できる大きさになるまで変形する。このため、左側蓋部152は、第1開口部20を通過することができる。
さらに、図11に示すように、フィルタ14の設置予定位置まで、フィルタ14が挿入される。このとき、第2開口部22側では、左側蓋部152のパッキン150が第2開口形成部26の内側部分262の表面262aに当接した状態で、左側蓋部152が第2開口部22に押し込まれる。このため、左側蓋部152の弾性部材148が空調ケース12の内側に向かって曲げ変形する。換言すると、パッキン150が濾材145に近づく側に、弾性部材148が曲げ変形する。この弾性部材148には、弾性部材148を曲げ変形させる応力に対する反力が発生する。この弾性部材148に発生する反力によって、パッキン150が内側部分262の表面262aに押し当てられる。この反力には、挿入方向に平行な成分の力が含まれる。これにより、フィルタ14と第2壁18との間がシールされる。
同様に、第1開口部20側では、右側蓋部151のパッキン149が第1開口形成部24の外側部分244の表面244aに当接した状態で、右側蓋部151が第1開口部20に押し込まれる。このため、右側蓋部151の弾性部材147が空調ケース12の外側に向かって曲げ変形する。換言すると、パッキン149が濾材145から離れる側に、弾性部材147が曲げ変形する。この弾性部材147には、弾性部材147を曲げ変形させる応力に対する反力が発生する。この弾性部材147に発生する反力によって、パッキン149が外側部分244の表面244aに押し当てられる。これにより、フィルタ14と第1壁16との間がシールされるとともに、第2開口部22からのフィルタ14の抜けを防止することができる。第2開口部22からのフィルタ14の抜けを防止できる理由は、上記した第1開口部20からのフィルタ14の抜けを防止できる理由と同じである。
続いて、図示しないが、第1壁16にフィルタカバー28が取り付けられる。フィルタカバー28の固定は、図9に示す例と同様である。これにより、フィルタ14の設置が完了する。
フィルタ14の取出しでは、図示しないが、フィルタカバー28を外した後、フィルタ14を第1開口部20から抜き出す。このとき、図示しないが、左側蓋部152の弾性部材148およびパッキン150が、第1開口形成部24の表面に沿って、空調ケース12の内側に向かって曲げ変形する。これにより、左側蓋部152は、第1開口部20を通過できる大きさに変形する。このため、左側蓋部152は、第1開口部20を通過することができる。このように、弾性部材148は、車両左右方向の両側への曲げ変形が可能であり、曲げ変形させる応力に対する反力を発生させる。
なお、左ハンドル車に搭載されるユニット10へのフィルタ14の取付けにおいて、フィルタ14の右側蓋部151からフィルタ14を挿入してもよい。この場合、上記の左ハンドル車に搭載されるユニット10へのフィルタ14の取付けの説明において、右側蓋部151と左側蓋部152とを入れ替えればよい。この場合では、フィルタ14の挿入時にフィルタ14の挿入方向での先端側に位置する右側蓋部151が、蓋部、第1蓋部に相当する。フィルタ14の挿入時にフィルタ14の挿入方向での後端側に位置する左側蓋部152が、第2蓋部に相当する。
以上の説明の通り、本実施形態のユニット10では、空調ケース12は、左右方向で対向する第1壁16と、第2壁18とを有する。第1壁16は、第1開口部20を形成する第1開口形成部24を有する。第2壁18は、第2開口部22を形成する第2開口形成部26を有する。第1開口部20と第2開口部22とは、左右方向で対向している。
フィルタ14は、濾材145と、右側蓋部151と、左側蓋部152とを有している。右側蓋部151は、濾材145の左右方向の一端側に設けられ、第1開口部20と第2開口部22との一方の開口部を塞ぐものである。左側蓋部152は、濾材145の左右方向の他端側に設けられ、第1開口部20と第2開口部22との他方の開口部を塞ぐものである。
右側蓋部151および左側蓋部152の外形は、第1開口部20および第2開口部22よりも大きい。右側蓋部151および左側蓋部152は、第1開口部20および第2開口部22を通過できる形状に変形可能である。
第1開口形成部24は、図8に示すように、右側蓋部151と左側蓋部152の一方の蓋部が空調ケース12の第1開口部20側に位置する第1状態の場合に、第1開口形成部24に対して空調ケース12の内側から一方の蓋部が当接する内側部分242を有する。内側部分242は、第1内側当接部、第1開口形成部の内側当接部に相当する。
第2開口形成部26は、第1状態の場合に、第2開口形成部26に対して空調ケース12の外側から右側蓋部151と左側蓋部152の他方の蓋部が当接する外側部分264を有する。外側部分264は、第2外側当接部、第2開口形成部の外側当接部に相当する。
また、第2開口形成部26は、図11に示すように、一方の蓋部が空調ケース12の第2開口部22側に位置する第2状態の場合に、第2開口形成部26に対して空調ケース12の内側から一方の蓋部が当接する内側部分262を有する。内側部分262は、第2内側当接部、第2開口形成部の内側当接部に相当する。
第1開口形成部24は、第2状態の場合に、第1開口形成部24に対して空調ケース12の外側から他方の蓋部が当接する外側部分244を有する。外側部分244は、第1外側当接部、第1開口形成部の外側当接部に相当する。
そして、図8、11に示すように、一方の蓋部が有する弾性部材の曲げ変形によってこの弾性部材に生じた反力により、第1開口形成部24の内側部分242と第2開口形成部26の内側部分262の一方の内側部分に対して、一方の蓋部が少なくとも挿入方向で押し当てられた状態である。
さらに、他方の蓋部が有する弾性部材の曲げ変形によってこの弾性部材に生じた反力により、第1開口形成部24の外側部分244と第2開口形成部26の外側部分264の一方の外側部分に対して、他方の蓋部が少なくとも挿入方向で押し当てられた状態である。
なお、一方の蓋部は、蓋部および第1蓋部に相当する。他方の蓋部は、第2蓋部に相当する。一方の内側部分は、一方の内側当接部に相当する。一方の外側部分は、一方の内側当接部に相当する。
これによれば、上記した空調ケース12へのフィルタ14の取付けの説明の通り、第1開口部20と第2開口部22とのどちらからでもフィルタ14を挿入することができる。このため、右ハンドル車用のユニットと左ハンドル車用のユニットとを共通化することができる。
さらに、これによれば、フィルタ14の一方の蓋部側を挿入方向での先端側として、第1開口部20と第2開口部22との一方の開口部からフィルタ14を挿入する。このとき、第1開口部20と第2開口部22との他方の開口部を、フィルタ14に設けられた一方の蓋部で塞ぐことができる。一方の開口部を、フィルタ14に設けられた他方の蓋部で塞ぐことができる。このため、空調ケース12およびフィルタ14とは別部品の蓋で、第1開口部20と第2開口部22との両方を塞ぐ必要がない。よって、空調ケース12およびフィルタ14とは別部品の蓋で、第1開口部20と第2開口部22のそれぞれを塞ぐ場合と比較して、ユニット10の部品点数およびユニット10の製造時の作業工数を減らすことができる。
さらに、これによれば、フィルタ14の一方の蓋部側を挿入方向での先端側として、一方の開口部からフィルタ14を挿入したとき、他方の蓋部が一方の外側部分に引っかかる。これにより、他方の開口部からのフィルタの抜けを防止できる。
さらに、これによれば、第1開口部20と第2開口部22との一方の開口部からフィルタ14を挿入する。その後、一方の開口部にフィルタカバー28を取り付ける。このように、空調ケース12に対しての左右片側からの作業によって、フィルタ14の設置工程を完結させることができる。
さらに、これによれば、第1開口部20と第2開口部22とは、同じ形状および同じ大きさである。右側蓋部151と左側蓋部152とは、同じ形状および同じ大きさである。このため、右側蓋部151と左側蓋部152のどちら側からでもフィルタ14を挿入することができ、フィルタ14も、右ハンドル車用、左ハンドル車用で共通化することができる。なお、第1開口部20と第2開口部22とは、同じ形状、同じ大きさでなくてもよい。右側蓋部151と左側蓋部152とは、同じ形状、同じ大きさでなくてもよい。右側蓋部151、左側蓋部152のどちら側からフィルタ14を挿入しても、一方の蓋部で一方の開口部をシールでき、他方の蓋部で他方の開口部をシールできるようになっていればよい。
(第2実施形態)
第1実施形態では、右側シール部143と左側シール部144のそれぞれは、弾性部材147、148と、パッキン149、150とによって構成されている。これに対して、本実施形態では、図12に示すように、右側シール部と左側シール部のそれぞれは、弾性部材147、148と、パッキン149、150とのうち弾性部材147、148のみによって構成されている。空調ケース12およびフィルタ14の他の構成は、第1実施形態と同じである。本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
第1実施形態では、右側側面部142aの4辺のそれぞれに対して、弾性部材147を介してパッキン149が連なっている。同様に、左側側面部142bの4辺のそれぞれに対して、弾性部材148を介してパッキン150が連なっている。
これに対して、本実施形態では、図13に示すように、右側側面部142aの4辺のうち2つの短辺に対して、弾性部材147を介して、パッキン149aが連なっている。右側側面部142aの4辺のうち2つの長辺に対して、弾性部材を介さず、パッキン149bが直に連なっている。弾性部材147、パッキン149a、149bが右側シール部143を構成している。右側シール部143および右側側面部142aが右側蓋部151を構成している。
同様に、左側側面部142bの4辺のうち2つの短辺に対して、弾性部材148を介してパッキン150aが連なっている。左側側面部142bの4辺のうち2つの長辺に対して、弾性部材を介さず、パッキン150bが直に連なっている。弾性部材148、パッキン150a、150bが左側シール部144を構成している。左側シール部144および左側側面部142bが左側蓋部152を構成している。
空調ケース12およびフィルタ14の他の構成は、第1実施形態と同じである。本実施形態では、右側シール部143のうち右側側面部142aの短辺に連なる部分が曲げ変形することで反力が生じる。左側シール部144のうち左側側面部142bの短辺に連なる部分が曲げ変形することで反力が生じる。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、本実施形態では、弾性部材147は、右側側面部142aの周囲の全部ではなく、右側側面部142aの周囲の一部のみに配置されている。同様に、弾性部材148は、左側側面部142bの周囲の全部ではなく、左側側面部142bの周囲の一部のみに配置されている。このため、弾性部材147、148が右側、左側側面部142a、142bの周囲の全部に配置されている場合と比較して、フィルタ14の挿入時に右側蓋部151または左側蓋部152に発生する反力を低減できる。これにより、フィルタ14が挿入しやすくなるという効果が得られる。
なお、右側側面部142a、左側側面部142bのそれぞれの長辺と短辺との関係が、本実施形態とは反対の関係であってもよい。すなわち、右側側面部142a、左側側面部142bのそれぞれの2つの長辺に対して、弾性部材147、148を介して、パッキン149b、150bが連なっていてもよい。右側側面部142a、左側側面部142bのそれぞれの2つの短辺に対して、パッキン149a、150aが直に連なっていてもよい。この場合においても、本実施形態と同様の効果が得られる。
(第4実施形態)
第1実施形態では、右側蓋部151は、右側側面部142aと、弾性部材147と、パッキン149とによって構成されている。左側蓋部152は、左側側面部142bと、弾性部材148と、パッキン150とによって構成されている。
これに対して、本実施形態では、図14に示すように、右側蓋部151は、枠体146の右側部分146aと、弾性部材147と、パッキン149とによって構成されている。弾性部材147は、枠体146の右側部分146aに連なっている。弾性部材147と、パッキン149とが、右側シール部143を構成している。同様に、左側蓋部152は、枠体146の左側部分146bと、弾性部材148と、パッキン150とによって構成されている。弾性部材148は、枠体146の左側部分146bに連なっている。弾性部材148およびパッキン150が、左側シール部144を構成している。
このように、右側、左側蓋部151、152は、フィルタケース142とは別の部材によって構成されていてもよい。本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。本実施形態では、枠体146の右側部分146aと左側部分146bの一方が、フィルタ14のうち一方向の一方側に位置する一方側側面部を構成している。枠体146の右側部分146aと左側部分146bの他方が、フィルタ14のうち一方向の他方側に位置する他方側側面部を構成している。
(第5実施形態)
図15は、フィルタ14が配置されていない状態の空調ケース12の断面図である。なお、図15中の一点鎖線は、フィルタ14の設置予定位置を示している。
図15に示すように、本実施形態では、第1開口部20を形成する第1開口形成部30は、筒状であって、第1壁16から空調ケース12の内側に突出している。第1開口形成部30は、第1壁16から空調ケース12の外側には突出していない。同様に、第2開口部22を形成する第2開口形成部32は、筒状であって、第2壁18から空調ケース12の内側に突出している。第2開口形成部32は、第2壁18から空調ケース12の外側に突出していない。
図16に示すように、フィルタ14は、フィルタケース142の右側側面部142aの周囲に設けられた弾性部材147を有する。弾性部材147は、板状であり、図12に示す第2実施形態と同様に、右側側面部142aの周囲の全部に配置されている。弾性部材147は、右側シール部を構成している。弾性部材147と右側側面部142aとが、右側蓋部151を構成している。
弾性部材147のうち右側側面部142aの長辺に連なる長辺部分147c、147dは、それぞれの外周端が右側側面部142aよりも車両左右方向の左側に位置するように、傾いている。換言すると、長辺部分147c、147dは、濾材145を挟んだ両側のそれぞれに、長辺部分147c、147dのそれぞれの外周端が位置するように、傾いている。
弾性部材147では、長辺部分147c、147d同士の間隔が小さくなる側に、弾性部材147を曲げ変形させると、弾性部材147に反力が発生する。長辺部分147c、147d同士の間隔が大きくなる側に、弾性部材147を曲げ変形させても、弾性部材147に反力が発生する。
同様に、フィルタ14は、フィルタケース142の左側側面部142bの周囲に設けられた弾性部材148を有する。弾性部材148は、板状であり、図12に示す第2実施形態と同様に、左側側面部142bの周囲の全部に配置されている。弾性部材148は、左側シール部を構成している。弾性部材148と左側側面部142bとが、左側蓋部152を構成している。
弾性部材148のうち左側側面部142bの長辺に連なる長辺部分148c、148dは、それぞれの外周端が左側側面部142bよりも車両左右方向の右側に位置するように、傾いている。換言すると、長辺部分148c、148dは、濾材145を挟んだ両側のそれぞれに、長辺部分148c、148dのそれぞれの外周端が位置するように、傾いている。
弾性部材148では、長辺部分148c、148d同士の間隔が小さくなる側に、弾性部材148を曲げ変形させると、弾性部材148に反力が発生する。長辺部分148c、148d同士の間隔が大きくなる側に、弾性部材148を曲げ変形させても、弾性部材148に反力が発生する。
上記以外の空調ケース12およびフィルタ14の構成は、第1実施形態と同じである。また、空調ケース12へのフィルタ14の取付けおよび取出し方法も、第1実施形態と同じである。
具体的には、図17に示すように、フィルタ14の右側蓋部151側をフィルタ14の挿入方向での先端側として、第2開口部22からフィルタ14が挿入される。この場合、右側蓋部151の弾性部材147が、右側蓋部151が第2開口部22を通過できる大きさになるまで変形する。このため、右側蓋部151は、第2開口部22を通過することができる。
図18に示すように、フィルタ14の設置予定位置まで、フィルタ14が挿入される。このとき、第1開口部20側では、右側蓋部151の弾性部材147が第1開口形成部30の内側端部302に当接した状態で、右側蓋部151が第1開口部20に押し込まれる。このため、右側蓋部151の弾性部材147が空調ケース12の内側に向かって曲げ変形する。換言すると、長辺部分147c、147d同士の間隔が小さくなる側に曲げ変形する。この弾性部材147に発生する反力によって、弾性部材147が内側端部302に押し当てられる。この反力には、挿入方向に平行な成分の力が含まれる。これにより、フィルタ14と第1壁16との間がシールされる。
第2開口部22側では、左側蓋部152の弾性部材148が第2壁18のうち第2開口形成部32の周辺部182に当接した状態で、フィルタ14が第2開口部22に押し込まれる。このため、弾性部材148が空調ケース12の外側に向かって曲げ変形する。換言すると、長辺部分148c、148d同士の間隔が大きくなる側に、弾性部材148が曲げ変形する。この弾性部材148に発生する反力によって、第2開口形成部32の外側端部324と、第2壁18のうち第2開口形成部32の周辺部182とに対して、弾性部材148が押し当てられる。この反力には、挿入方向に平行な成分の力が含まれる。これにより、フィルタ14と第2壁18との間がシールされるとともに、第1開口部20からのフィルタ14の抜けを防止することができる。
この場合では、第1開口形成部30の内側端部302に対して、右側蓋部151が空調ケース12の内側から当接する。このため、内側端部302が、第1開口形成部30が有する第1内側当接部、第1開口形成部の内側当接部に相当する。また、第2開口形成部32の外側端部324と、第2壁18のうち第2開口形成部32の周辺部182とに対して、左側蓋部152が空調ケース12の外側から当接する。このため、外側端部324が、第2開口形成部32が有する第2外側当接部、第2開口形成部の外側当接部に相当する。周辺部182が、第2壁18が有する第2外側当接部、第2壁の外側当接部に相当する。
続いて、第2壁18にフィルタカバー28が取り付けられる。これにより、フィルタ14の設置が完了する。
なお、図19に示すように、第2開口部22側において、第2開口形成部32の外側端部324ではなく、第2壁18のうち第2開口形成部32の周辺部182に対して、左側蓋部152が空調ケース12の外側から当接してもよい。この場合、第2開口形成部32と第2壁18のうち第2壁18のみが第2外側当接部、外側当接部を有する。
また、図示しないが、図17、18に示す場合とは反対に、フィルタ14の左側蓋部152側をフィルタ14の挿入方向での先端側として、第1開口部20からフィルタ14が挿入される場合では、第2開口形成部32の内側端部322に対して、左側蓋部152が空調ケース12の内側から当接する。このため、内側端部322が、第2開口形成部32が有する第2内側当接部、第2開口形成部の内側当接部に相当する。また、第1開口形成部30の外側端部304と、第1壁16のうち第1開口形成部30の周辺部162とに対して、右側蓋部151が空調ケース12の外側から当接する。このため、外側端部304が、第1開口形成部30が有する第1外側当接部、第1開口形成部の外側当接部に相当する。周辺部162が、第1壁16が有する第1外側当接部、第1壁の外側当接部に相当する。
なお、この場合においても、第1開口部20側において、第1開口形成部30の外側端部304ではなく、第1壁16のうち第1開口形成部30の周辺部162に対して、右側蓋部151が空調ケース12の外側から当接してもよい。この場合、第1開口形成部30と第1壁16とのうち第1壁16のみが第1外側当接部、外側当接部を有する。
また、本実施形態では、右側、左側シール部が、弾性部材147、148で構成されていた。しかしながら、右側、左側シール部は、第1実施形態のように、弾性部材147、148とパッキン149、150とによって構成されていてもよい。また、第3実施形態のように、右側、左側シール部の周囲の一部が、弾性部材147、148とパッキン149、150とによって構成され、他の一部が、パッキン149、150のみによって構成されてもよい。
(他の実施形態)
(1)右側シール部143の全部がパッキン149で構成され、かつ、左側シール部144の全部がパッキン150で構成されてもよい。この場合であっても、第1開口部20と第2開口部22とを密閉することができる。ただし、右側シール部143の少なくとも一部が弾性部材147で構成され、かつ、左側シール部144の少なくとも一部が弾性部材148で構成されることが好ましい。この場合に、右側、左側シール部143、144が第1、第2開口形成部24、26に当たって曲げ変形した際に、フィルタ14の挿入方向に沿った方向での反力が生じる。これにより、上記の通り、フィルタ14の抜けを防止することができる。
(2)フィルタ14は、右側シール部143と左側シール部144との一方のシール部のみを有していてもよい。すなわち、フィルタ14は、右側蓋部151と左側蓋部152との一方の蓋部のみを有していてもよい。この場合においても、フィルタ14の蓋部側を挿入方向での先端側として、第1開口部20と第2開口部22との一方の開口部からフィルタ14を挿入する。このとき、第1開口部20と第2開口部22との他方の開口部を、フィルタ14に設けられた蓋部で塞ぐことができる。フィルタ14が挿入される一方の開口部を、フィルタカバーで塞ぐ。これによっても、第1実施形態と同様に、右ハンドル車用の空調ユニットと左ハンドル車用の空調ユニットとを共通化することができる。ユニット10の部品点数およびユニット10の製造時の作業工数を減らすことができる。
(3)上記各実施形態では、フィルタ挿入方向を左右方向としたが、上下方向や、前後方向であってもよい。すなわち、第1壁16と第2壁18とが対向する一方向は、上下方向または前後方向であってもよい。
(4)上記各実施形態では、ユニット10は、センタ置きユニットであったが、これに限定されない。ユニット10は、ユニットのうちフィルタ14の設置部が、車両左右方向の中央部に配置されるユニットであってもよい。
(5)右側シール部143と左側シール部144とのそれぞれにおいて、第1壁16と第2壁18との対向方向の一方側(例えば、車両右側)に曲げ変形されたときの反力の大きさと、第1壁16と第2壁18との対向方向の他方側(例えば、車両左側)に曲げ変形されたときの反力の大きさとは、同じでなくてもよい。
(6)上記各実施形態では、フィルタ14は、枠体146とは別にフィルタケース142を有していた。しかしながら、フィルタ14は、枠体146を有さず、フィルタケース142が枠体146を兼ねていてもよい。
(7)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、車両用空調ユニットは、空調ケース(12)と、フィルタ(14)とを備える。空調ケースは、第1壁(16)と、第1壁に対して一方向で対向する第2壁(18)と、第1壁に設けられ、フィルタを挿入するための第1開口部(20)を形成する第1開口形成部(24、30)と、第2壁に設けられ、フィルタを挿入するための第2開口部(22)を形成する第2開口形成部(26、32)とを有する。第1開口部と第2開口部とは、一方向で対向している。フィルタは、空気をろ過する濾材(145)と、濾材の一方向の一端側に設けられ、第1開口部と第2開口部との一方の開口部を塞ぐ蓋部(151)とを有する。蓋部の外形は、第1開口部および第2開口部よりも大きい。蓋部は、第1開口部および第2開口部を通過できる形状に変形可能である。第1開口形成部は、フィルタの蓋部側が空調ケースの第1開口部側に位置する第1状態の場合に、第1開口形成部に対して空調ケースの内側から蓋部が当接する第1内側当接部(242、302)を有する。第2開口形成部は、フィルタの蓋部側が空調ケースの第2開口部側に位置する第2状態の場合に、第2開口形成部に対して空調ケースの内側から蓋部が当接する第2内側当接部(262、322)を有する。
また、第2の観点によれば、蓋部は、弾性部材(147)を含む。弾性部材の曲げ変形によって弾性部材に生じた反力により、第1内側当接部と第2内側当接部との一方の内側当接部に対して、蓋部が少なくとも一方向で押し当てられている。第1の観点においては、第2の観点のように構成されていることが好ましい。
また、第3の観点によれば、蓋部は、第1蓋部である。フィルタは、濾材の一方向の他端側に設けられ、第1開口部と第2開口部との他方の開口部を塞ぐ第2蓋部(152)を有する。第2蓋部の外形は、第1開口部および第2開口部よりも大きい。第1壁または第1開口形成部は、第2状態の場合に、第1壁または第1開口形成部に対して空調ケースの外側から第2蓋部が当接する第1外側当接部(244、304、162)を有する。第2壁または第2開口形成部は、第1状態の場合に、第2壁または第2開口形成部に対して空調ケースの外側から第2蓋部が当接する第2外側当接部(264、324、182)を有する。
これによれば、フィルタの第1蓋部側を挿入方向での先端側として、第1開口部と第2開口部との一方の開口部からフィルタを挿入する。このとき、第1開口部と第2開口部との他方の開口部を、フィルタに設けられた第1蓋部で塞ぐことができる。さらに、一方の開口部を、フィルタに設けられた第2蓋部で塞ぐことができる。このため、空調ケースおよびフィルタとは別部品の蓋で、両方の開口部を塞ぐ必要がない。よって、空調ケースおよびフィルタとは別部品の蓋で、第1開口部と第2開口部のそれぞれを塞ぐ場合と比較して、ユニットの部品点数およびユニットの製造時の作業工数を減らすことができる。
また、第4の観点によれば、第2蓋部は、弾性部材(148)を含む。第2蓋部の弾性部材の曲げ変形によって弾性部材に生じた反力により、第1外側当接部と第2外側当接部との一方の外側当接部に対して、第2蓋部が少なくとも一方向で押し当てられている。
これによれば、フィルタの第1蓋部側を挿入方向での先端側として、一方の開口部からフィルタを挿入したとき、第2蓋部が一方の外側部分に引っかかる。これにより、他方の開口部からのフィルタの抜けを防止できる。
また、第5の観点によれば、車両用空調ユニットは、空調ケース(12)と、フィルタ(14)とを備える。空調ケースは、第1壁(16)と、第1壁に対して一方向で対向する第2壁(18)と、第1壁に設けられ、フィルタを挿入するための第1開口部(20)を形成する第1開口形成部(24、30)と、第2壁に設けられ、フィルタを挿入するための第2開口部(22)を形成する第2開口形成部(26、32)とを有する。第1開口部と第2開口部とは、一方向で対向している。フィルタは、濾材(145)と、濾材の一方向の一端側に設けられ、第1開口部と第2開口部との一方の開口部を塞ぐ第1蓋部(151)と、濾材の一方向の他端側に設けられ、第1開口部と第2開口部との他方の開口部を塞ぐ第2蓋部(152)とを有する。第1蓋部および第2蓋部の外形は、第1開口部および第2開口部よりも大きい。第1蓋部および第2蓋部は、第1開口部および第2開口部を通過できる形状に変形可能である。フィルタの第1蓋部と第2蓋部の一方の蓋部側が空調ケースの第1開口部側に位置する第1状態の場合に、第1開口形成部の内側当接部(242、302)に対して、一方の蓋部が空調ケースの内側から当接し、かつ、第2壁または第2開口形成部の外側当接部(264、324、182)に対して、第1蓋部と第2蓋部の他方の蓋部が空調ケースの外側から当接する。フィルタの一方の蓋部側が空調ケースの第2開口部側に位置する第2状態の場合に、第2開口形成部の内側当接部(262、322)に対して、一方の蓋部が空調ケースの内側から当接し、かつ、第1壁または第1開口形成部の外側当接部(244、304、162)に対して、他方の蓋部が空調ケースの外側から当接する。