JP7065490B2 - 単結晶AlNの製造方法、及び、単結晶AlN - Google Patents

単結晶AlNの製造方法、及び、単結晶AlN Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 公益社団法人 応用物理学会、第64回応用物理学会春季学術講演会 予稿集(DVD)、平成29年3月1日、第64回応用物理学会春季学術講演会、平成29年3月17日
本発明は、主として、単結晶AlNの製造方法に関する。
AlNはバンドギャップが大きい材料であるため、光デバイス及びパワーデバイス等の半導体デバイスへの応用が期待されている。特許文献1から5及び非特許文献1は、半導体デバイス等を作製するための単結晶AlNを製造する方法、特に、単結晶AlNを2段階に分けて成長させる方法を開示する。
特許文献1及び2の方法では、初めに単結晶AlNを横方向(口径方向)に成長させて、次に単結晶AlNを厚み方向に成長させることで、大口径の単結晶AlNを製造する。特に、特許文献2では、不純物を添加することにより横方向の成長が優先的に行われることが記載されている。
特許文献3の方法では、初めに単結晶AlNを低速で成長させることで、種基板であるSiC種基板の熱分解を抑制する。次に、単結晶AlNを高速で成長させて所望の厚みの単結晶AlNを製造する。また、特許文献4の方法では、初めに圧力が低い状態で単結晶AlNを成長させることで、単結晶AlNに孔が形成されることを抑制する。次に、単結晶AlNを高速で成長させて所望の厚みの単結晶AlNを製造する。
特許文献5の方法では、初めに低温で単結晶AlN等を成長させることで、単結晶AlN等にピットを形成する。ピットを形成することで、ピットの底部に転位を集中させることができる。その後に、高温で単結晶AlN等を成長させることで、ピットを充填させることができるので、低い転位密度の単結晶AlNが実現される。
非特許文献1の方法では、初めに低温で単結晶AlNを成長させることで、種基板であるSiC種基板の熱分解を抑制しつつ単結晶AlNを横方向に成長させる。次に、単結晶AlNを高速で厚み方向に成長させて所望の厚みの単結晶AlNを製造する。
特開2005-343715号公報 特開2009-274945号公報 特開2010-150109号公報 特開2011-121835号公報 特表2007-519591号公報
R. Dalmau, Ph.D. Thesis,「Aluminum Nitride Bulk Crystal Growth in a Resistively Heated Reactor」 North Carolina State University, 米国, 2005
ここで、AlNを半導体デバイスとして利用するためには、例えば転位密度が低い単結晶AlNを成長させる技術が必要となる。しかし、特許文献1から4及び非特許文献1には、種基板に形成された転位が単結晶AlNに伝播されることを防止するための技術が示されていない。
また、特許文献5には、ピットを形成することで種基板に形成された転位が単結晶AlN等に伝播されることを防止する技術が開示されている。しかし、ピットは深さ方向が基板の厚み方向と同じになるように形成される孔である。従って、1つのピットで転位の伝播が抑制されるのは僅かである。従って、特許文献5にも記載されているように基板表面の大部分にピットを形成する必要がある。そのため、ピットを形成するための成長条件の制御に高い精度が要求されるため、十分に低い転位密度を有する単結晶AlNの製造は困難であった。
また、特許文献5では、HVPE法(ハイドライド気相成長法)を用いて単結晶AlNを製造する方法は詳細に記載されているが、昇華法を用いて単結晶AlNを製造する方法(特にピットを大面積に形成する方法)は十分には記載されていない。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、昇華法を用いて、転位密度が低い単結晶AlNを簡単な工程で製造する方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、AlN原料及び種基板を配置し、少なくともN原子を含む気体である窒素系ガス下で加熱を行うことで、AlN原料を昇華させて前記種基板上に単結晶AlNを少なくとも2段階に分けて成長させる単結晶AlNの製造方法において、以下の工程を含む方法が提供される。この単結晶AlNの製造方法は、第1成長層形成工程と、第2成長層形成工程と、を含む。前記第1成長層形成工程では、結晶のc軸方向の成長よりもa軸方向の成長が優先的に行われることで長手方向がa軸方向に沿う形状の隙間であるボイド層が形成されたAlNを含む第1成長層を形成する。前記第2成長層形成工程では、前記第1成長層形成工程の処理条件から、前記窒素系ガスの分圧を下げるか、温度を上げるかの少なくとも何れかの処理を行うことで、a軸方向の成長よりもc軸方向の成長が優先的に行われるようにして成長させられた単結晶AlNを含む第2成長層を前記第1成長層上に形成する。a軸方向の成長よりもc軸方向の成長が優先的に行われるようにして単結晶AlNを成長させる成長方法には、単結晶AlNに多数のピットが含まれるピット有成長モードと、単結晶AlNにピットが形成されないピット無成長モードと、が存在する。前記第2成長層形成工程では、前記ピット無成長モードが実行される。前記第2成長層形成工程では、AlN原料の温度が1800℃以上であり、窒素系ガスの分圧が20kPa以上である。
これにより、第1成長層形成工程を行うことで形成されたボイド層は、第1成長層に存在する貫通転位(具体的には、種基板から伝播された貫通転位、第1成長層の形成時に発生した貫通転位)が第2成長層に伝播することを抑制できる。従って、転位密度が低い単結晶AlNを製造できる。また、窒素系ガスの分圧及び温度の少なくとも一方を変更するだけで、第1成長層形成工程から第2成長層形成工程に移行できるので、簡単な方法で転位密度が低い単結晶AlNを製造できる。また、第2成長層にピットが形成されないため、高品質な単結晶AlNを製造できる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、前記第1成長層形成工程では、複数の前記ボイド層がc軸方向に並べて形成されることが好ましい。
これにより、転位の伝播をより確実に抑制できる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、前記第1成長層形成工程では、AlNが単結晶性を維持した状態で前記ボイド層が形成されることが好ましい。
これにより、第1成長層に多結晶AlNが含まれる場合と比較して、高品質な単結晶AlNを有する第2成長層を形成できる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、前記第1成長層形成工程では、複数の針状の結晶から構成される針状結晶の成長がa軸方向の成長よりも優先的となる前に処理を終了することが好ましい。
これにより、第1成長層に針状結晶が含まれる場合と比較して、高品質な単結晶AlNを有する第2成長層を形成できる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、前記第1成長層形成工程では、前記第1成長層の厚みが3μm以下となるように処理を行うことが好ましい。
これにより、針状結晶等の多結晶AlNが第1成長層に含まれにくくなるので、高品質な単結晶AlNを有する第2成長層を形成できる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、c軸方向の成長よりもa軸方向の成長が優先的に行われるようにして前記ボイド層を含む単結晶AlNを成長させた後に、a軸方向の成長よりもc軸方向の成長が優先的に行われるようにして単結晶AlNを成長させる。その後に、c軸方向の成長よりもa軸方向の成長が優先的に行われるようにして再び前記ボイド層を含む単結晶AlNを成長させる処理を含む。
これにより、針状結晶等が成長することを防止しつつ、ボイド層が形成される範囲を広くすることができる。従って、転位の伝播をより確実に抑制できる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、前記種基板がAlNとは異なる組成で構成されることも可能である。
これにより、様々な組成の種基板を用いて単結晶AlNを製造できる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、前記第2成長層形成工程の後に、前記種基板から、単結晶AlNの少なくとも一部を分離する分離工程を行うことが好ましい。
これにより、ボイド層が形成されている部分は剛性が低いため、上記の熱応力又は外力が掛かった場合に、強い応力が単結晶AlNに生じる前に、ボイド層が形成されている部分で破壊が生じて分離を行うことができる。このように、強い応力が単結晶AlNに生じないため、単結晶AlNのクラック密度を低くすることができる。更に、分離工程時に種基板が割れることなく分離工程を行うことができるので、種基板を再利用することができる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、前記種基板に単結晶AlNを成長させ始める段階において、前記AlN原料から前記種基板までの空間の温度勾配、全圧、及び、窒素系ガスの分圧の少なくとも何れかを調整することで、単結晶AlNが成長し始める前の前記種基板の表面形状を維持した状態で当該種基板に単結晶AlNを形成することが好ましい。
これにより、単結晶AlNが局所的に成長する場合と比較して、傾斜境界が生じることを抑制できるので、高品質な単結晶AlNを形成できる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、前記種基板に単結晶AlNを成長させ始める段階において、前記温度勾配が6.7℃/mm以上であることが好ましい。
これにより、単結晶AlNが成長し始める前の種基板の表面形状を維持した状態で単結晶AlNが形成され易くなる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、前記種基板に単結晶AlNを成長させ始める段階において、分圧と全圧の和が55kPa以下となるように圧力条件を設定することが好ましい。
これにより、単結晶AlNが成長し始める前の種基板の表面形状を維持した状態で単結晶AlNが形成され易くなる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、温度を常温に戻すことなく、前記第1成長層形成工程から前記第2成長層形成工程へ移行させることが好ましい。
これにより、第1成長層形成工程と第2成長層形成工程の間に熱応力が発生することを防止できる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、前記第1成長層形成工程及び前記第2成長層形成工程では、加熱炉に形成された処理空間に前記種基板を配置して処理が行われる。前記処理空間を構成する構成部材が全て金属製である。
これにより、単結晶AlNの不純物となる元素が構成部材に含まれないので、高品質な単結晶AlNを製造できる。
前記の単結晶AlNの製造方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、前記第1成長層形成工程及び前記第2成長層形成工程では、加熱炉に形成された処理空間に配置された収容容器の内部に前記種基板を配置して処理が行われる。前記収容容器が全て金属製である。
これにより、単結晶AlNの不純物となる元素が種基板の周囲に存在しなくなるため、高品質な単結晶AlNを製造できる。
本発明の一実施形態に係る単結晶AlNの製造方法で用いる加熱炉の構成を示す模式図。 収容容器の構成及び昇華法を説明する図。 単結晶AlNの製造工程を説明する模式図。 種基板、第1成長層、及び第2成長層のSEM像。 単結晶AlNの成長膜厚と転位密度の関係を示すグラフ。 第1成長層の膜厚と転位密度の関係を示すグラフ。 成長モードと、それを実現するための温度条件及び窒素分圧条件を示すグラフ。 第1成長層の膜厚と、針状結晶とボイド層の何れか形成されるかを示すグラフ。 温度勾配と、単結晶AlNの成長と、の関係を示すグラフ。 窒素分圧及び全圧と、単結晶AlNの成長と、の関係を示すグラフ。
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1を参照して、本実施形態の加熱処理で用いる加熱炉20について説明する。
図1に示すように、加熱炉20には、加熱処理を行うための空間である処理空間21が形成されている。被処理物である種基板は、収容容器50に収容された状態で処理空間21に配置されて加熱される。
処理空間21の内部には、ヒータ22と、熱反射金属板23と、放射温度計29と、が配置されている。ヒータ22は、処理空間21(収容容器50)の外周を囲むように配置されている。ヒータ22は、例えば、抵抗加熱式のヒータや高周波誘導加熱式のヒータであり、図略の制御装置の設定に応じて出力を変更可能に構成されている。特に、本実施形態では、ヒータ22は、上下方向(種基板41の厚み方向、成長させる単結晶AlNのc軸方向)での出力を変更可能に構成されている。従って、例えば上方に近づくに従って温度が低くなるような温度勾配を実現できる。放射温度計29は、処理空間21内の温度を測定する。
熱反射金属板23は、ヒータ22が発生させた熱を反射可能な材料で構成されている。熱反射金属板23は、ヒータ22が発生させた熱を反射することで、処理空間21内を均等に(温度勾配を付けた場合は温度勾配を維持しつつ)加熱することができる。熱反射金属板23は、処理空間21の水平方向の外側だけでなく、処理空間21の鉛直方向の上側及び下側にも配置されている。また、処理空間21の上側に配置される熱反射金属板23には、開口部28が形成されている。
処理空間21には、窒素ガス注入用バルブ24と、不活性ガス注入用バルブ25と、真空排気用バルブ30と、圧力計31と、が接続されている。窒素ガス注入用バルブ24を操作することで、処理空間21へ供給する窒素ガスの流量が変更されるため、処理空間21内の窒素ガスの圧力を調整することができる。不活性ガス注入用バルブ25を操作することで、処理空間21へ供給する不活性ガスの流量が変更されるため、処理空間21内の不活性ガスの圧力を調整することができる。真空排気用バルブ30を調整することで処理空間21内の圧力(真空度)を調整することができる。圧力計31は処理空間21内の圧力を測定する。


窒素ガス注入用バルブ24、不活性ガス注入用バルブ25、及び真空排気用バルブ30は、手動で操作して開度を調整する構成であってもよいし、制御装置等が状況(例えば圧力計31が測定した圧力)及び設定等に応じて開度を自動的に調整する構成であってもよい。
また、収容容器50は、適宜の支持台26等に載せられており、この支持台26には駆動伝達部材27が接続されている。駆動伝達部材27は、処理空間21の内外にわたって設けられており、処理空間21の外側から駆動伝達部材27を上下に移動させることで、収容容器50を上下に移動させることができる。また、本実施形態では、収容容器50を上端まで移動させることで、収容容器50と上側の熱反射金属板23とを接触させることができる(図1の鎖線を参照)。これにより、収容容器50の熱を熱反射金属板23を介して処理空間21の外部に排出することができる。その結果、上記の温度勾配を更に大きくすることが可能となる。加えて、上側の熱反射金属板23の一部に開口部28が形成されているので、種基板41からの輻射熱を逃がし、より効率的に種基板41の温度を低下させることもできる。
本実施形態では、処理空間21を構成する構成部材(言い換えれば、処理空間21を実現するための内壁部分、例えば熱反射金属板23)及び処理空間21内に配置されている部材(収容容器50を含む)が全て金属製であり、黒鉛を含んでいない。ここで、処理空間21は高温で加熱されるため、融点が高い金属材料を用いることが好ましい。具体的には、タンタル、タンタルカーバイド、タングステン、又はモリブデンである。また、本実施形態で用いる収容容器50は、図2に示すように、タンタル基材50aの内部空間側にタンタルカーバイドが形成されている。具体的には、タンタル基材50aの内部空間側にTa2C層50bが形成されており、Ta2C層50bの更に内部空間側にTaC層50cが形成されている。また、収容容器50は、上方に開口部が形成された容器部51と、容器部51の上方の開口部を閉鎖する蓋部52と、を備えている。
次に、図2及び図3を参照して、単結晶AlNを製造する工程の流れについて簡単に説明する。図3は、単結晶AlNの製造工程を説明する模式図である。
種基板41としては、成長させるAlNと同じ組成であってもよいし、異なっていても良い。また、種基板41は、六方晶系の結晶構造を有することが好ましい。組成がAlN以外の種基板としては、例えば、SiC又はAl23を挙げることができる。以下では、種基板41としてSiC基板を用いた例について説明する。
初めに、図2を参照して昇華法について簡単に説明する。昇華法とは、種基板及び原料を配置し、原料が1400℃以上2400℃以下、好ましくは1600℃以上2000℃以下となるように加熱する。また、種基板よりも原料が高温となるように温度勾配(例えば1℃/mm以上、好ましくは6.7℃/mm以上)を付ける。以上により、高温で昇華した原料が温度勾配を駆動力として種基板上に析出する(結晶化させる)処理である。また、雰囲気としては、窒素ガスを含むことが好ましく、窒素ガスに加えて不活性ガス(例えばAr等の希ガス元素のガス)が含まれていてもよい。なお、窒素ガスは不活性ガスとして扱われることもあるが、窒素ガスは以下の式に示すようにSiCに対して反応性を有しているため、本実施形態では不活性ガスとして取り扱わない。
3SiC+2N2→Si34+3C
Si34+3C→3SiC+2N2
種基板41は蓋部52の内壁面に主面(単結晶AlN44を形成する面、Si面又はC面)を下側に向けて固定される。種基板41は、オフ角を有するオフ基板であることが好ましい。オフ角としては、例えば、<11-20>方向又は<1-100>方向に対するオフ角が8°以下であることが好ましい。なお、種基板41としては、オフ角が0°のオン基板を用いることもできる。また、種基板41の主面は平坦であってもよいし、溝等を形成することで種基板41と単結晶AlN44の接触面積を低減させる構成であってもよい。
また、種基板41は、例えば単結晶SiCのインゴットから切り出すことで作製される。この場合、切出し時及びその後の研磨時に種基板41に強い力が掛かることで、種基板41の内部に(研磨傷よりも更に内部側に)加工変質層が形成される可能性がある。加工変質層は、研磨傷とは異なり顕微鏡等を用いても視認できないことがあるが、加熱時等において表面荒れが発生する原因となる。従って、例えば熱化学エッチング(水素エッチング、Si蒸気圧エッチング)で加工変質層が除去された種基板41を用いることが好ましい。
また、本実施形態では単結晶AlN44を製造することが目的であるため、原料としてAlN原料46を用いる。AlN原料46は、焼結した粉末のAlN又はAlNの焼結板を用いることが好ましく、この焼結が1800℃以上で行われていることが更に好ましい。AlN原料46は収容容器50の容器部51に収容されている。従って、本実施形態では、AlN原料46から種基板41までの温度差を、AlN原料46から種基板41までの距離で除した値が「温度勾配」となる。
図3に示すように、本実施形態では、初めに第1成長層42を形成する第1成長層形成工程を行う。なお、図3以降においては、図面を分かり易くするために、図2とは上下方向を反転させて記載している。第1成長層形成工程は、結晶のc軸方向(厚み方向、種基板の表面に垂直な方向)の成長よりもa軸方向(径方向、種基板の表面に沿う方向)の成長が優先的に行われる成長工程である。また、第1成長層形成工程では、長手方向がa軸方向に沿う形状の隙間であるボイド層42aが複数形成されたAlNである第1成長層42を形成する。また、ボイド層42aは、c軸方向に並べて複数形成されている。
ここで、第1成長層42にはボイド層42aが形成されており、ボイド層42aは隙間(空隙)であるため、貫通転位はボイド層42aを介して伝播されない(ボイド層42aを通過するように伝搬されない)。従って、第1成長層42に生じている貫通転位(具体的には、種基板41から伝播された貫通転位、種基板-AlN成長基板との界面で生じた貫通転位、第1成長層42の形成時に生じた貫通転位等)が以下の第2成長層43に伝播することを抑制できる。なお、特許文献1から4及び非特許文献1には、上記の3通りの貫通転位の伝播を防止することは記載されていない。
次に、第2成長層43を形成する第2成長層形成工程を行う。第2成長層形成工程では、第1成長層形成工程の処理条件から、窒素ガスの分圧を下げるか、温度(具体的には、AlN原料46、種基板41、又は処理空間21内の雰囲気の温度であって、制御に用いている温度)を上げるかの少なくとも何れかの処理を行うことで、a軸方向の成長よりもc軸方向の成長が優先的に行われるようにして成長させられた単結晶AlNである第2成長層43を形成する。また、第2成長層43は第1成長層42よりも厚みが大きい。図4には、種基板41に形成した第1成長層42及び第2成長層43がSEM像にて示されている。上述のように第1成長層42にボイド層42aが形成されていることで、第1成長層42から第2成長層43に貫通転位が伝播しにくくなるため、転位密度が低い単結晶AlNを製造できる。
また、第1成長層形成工程及び第2成長層形成工程は、ともにAlNを原料とした昇華法であるため、AlNが昇華する温度以上で行われる。また、第1成長層形成工程と第2成長層形成工程とでは、窒素ガスの分圧及び温度の少なくとも一方が異なる。ここで、窒素ガスの分圧は窒素ガス注入用バルブ24を操作するだけで変更することができる。また、温度もヒータ22の制御装置を操作するだけで変更することができる。従って、本実施形態では、種基板41を加熱炉20から取り出すことなく、第1成長層形成工程から第2成長層形成工程へ移行される。
次に、第2成長層43を形成した後に、主として第2成長層43を種基板41等から分離する分離工程を行う。半導体デバイスとして用いられるのは第2成長層43であるため、第2成長層43を種基板41から分離できれば、第1成長層42が種基板41側に残ってもよいし、第1成長層42が第2成長層43に残ってもよいし、第1成長層42が種基板41と第2成長層43の両方に残ってもよい。
ここで、種基板41と単結晶AlN44とは熱膨張係数が異なるため、温度(例えば雰囲気の温度)を常温(室温、例えば20℃以上30℃以下)に戻す際に熱応力が生じる。本実施形態では、第1成長層42にボイド層42aが形成されているため、この熱応力はボイド層42aに集中する。ボイド層42aが形成されている部分は剛性が低いため、熱応力が掛かることで破壊される可能性がある。これにより、ボイド層42aが形成されている部分で、単結晶AlN44を分離できる。また、常温に戻す際の熱応力で分離されなかった場合でも、ボイド層42aは剛性が低いため、弱い外力を加えるだけで分離を行うことができる。また、種基板41がAlN基板である場合、種基板と成長層の熱膨張係数の違いに起因する熱応力は発生しないため降温だけによる分離は発生しにくいが、弱い外力を加えるだけで単結晶AlN44を分離できるという効果は発揮させることができる。従って、単結晶AlN44に強い応力が発生する前に分離が生じるため、クラックの発生を抑制できる(クラックを少なくすることができる)。
本実施形態では、熱応力のみで分離工程が行われる場合であっても、熱応力に加え外力で分離工程が行われる場合であっても、ボイド層42aで分離されるため、分離工程において種基板41が割れる可能性は非常に低い。従って、種基板41に残った第1成長層42を研磨等で除去する残存AlN除去工程を行うことで、再び種基板として再利用することができる。なお、研磨により残存AlN除去工程を行った場合は、上述のように加工変質層を除去する工程を行うことが好ましい。
また、上述のように、本実施形態では、種基板41を加熱炉20から取り出すことなく、第1成長層形成工程から第2成長層形成工程へ移行される。従って、第1成長層形成工程と第2成長層形成工程との間において、常温に戻す際の熱応力の発生を防止できる。
次に、ボイド層42aを形成することで、単結晶AlN44に含まれる転位密度が減少されることを確かめた実験について図5及び図6を参照して説明する。
図5は、単結晶AlNの成長膜厚と転位密度の関係を示すグラフである。図5に示すように、本実施形態の方法では、単結晶AlNの膜厚が比較的初期の0.1mmの段階で、一般的な方法と比較して、転位密度が十分に低減されている。従って、第1成長層42のボイド層42aにより転位が低減されていると推測できる。
図6は、第1成長層の膜厚と転位密度の関係を示すグラフである。図3に模式的に示したように、ボイド層42aは貫通転位の伝搬を防止する効果を発揮できるが、ボイド層42aが新たな貫通転位の原因となることがある。しかし、図6では、第1成長層42の膜厚を大きくするに連れて転位密度が低下しているため、「ボイド層42aが貫通転位を低減する影響」>「ボイド層42aによって新たな貫通転位が生じる影響」であることが確認できる。
図7は、成長モードと、それを実現するための温度条件(AlN原料46の温度)及び窒素分圧条件を示すグラフである。本実施形態では、図7に示すように、a軸成長が優先的となるボイド層形成モードと、c軸成長が優先的となりピットが形成されにくいピット無成長モードと、c軸成長が優先的となりピットが大量に形成されるピット有成長モードと、が存在することが確かめられた。
全体的な傾向としては、窒素ガスの分圧が高くなるに連れてボイド層形成モードが生じ易い。また、c軸成長が優先的となる2つの成長モードは、AlN原料46の温度が1800℃以上の場合にのみ生じていた。また、ピット無成長モードが生じるかピット有成長モードが生じるかは、主として窒素ガスの分圧に依存しており、例えば窒素ガスの分圧が20kPa以上である場合に、ピット無成長モードが生じ易い。
また、第1成長層42を形成するためのボイド層形成モードから、第2成長層43を形成するためのピット無成長モードに移行するためには、窒素ガスの分圧を下げるか、温度を上げるかの少なくとも何れかの処理が必要となる。
図8は、第1成長層42の膜厚と、針状結晶とボイド層42aの何れが形成されるかを示すグラフである。図7に示すボイド層形成モードが実現されている場合、初めはボイド層42aが含まれた単結晶AlNが成長する。その後、針状の結晶が複数形成される針状結晶が成長する。針状結晶は多結晶であり、種基板41に針状結晶が形成された場合、第2成長層43を適切に形成することができない。従って、ボイド層形成モードから針状結晶形成モードに移行する前に第1成長層形成工程を終了することが好ましい。具体的には、AlN原料の温度には関係なく、第1成長層42の膜厚が3μm以下となるように第1成長層形成工程を行うことが好ましい。
これにより、針状結晶等が成長することを防止しつつ、多数のボイド層を形成することができる。従って、転位の伝播をより確実に抑制できる。
次に、本実施形態のようにAlNとは異なる組成の種基板41を用いる場合において、種基板41と単結晶AlN44との界面の状態を良好にするために設定する条件(以下、界面処理条件)について図9及び図10を参照して説明する。図9(a)は、温度勾配と、単結晶AlNの成長と、の関係を示すグラフであり、図9(b)は、図9(a)のグラフに記載したシンボルに対応する模式図である。図10は、窒素分圧及び全圧と、単結晶AlNの成長と、の関係を示すグラフである。
また、以下で説明する界面処理条件は、当然であるが、種基板41に単結晶AlN44を成長させ始める段階(種基板41に最初に単結晶AlN44を形成する段階)において行われる。従って、本実施形態では、第1成長層形成工程時(更に詳細には第1成長層形成工程の開始時)に界面処理条件で処理を行う。なお、第1成長層形成工程の前の種基板41に単結晶AlN44を形成する場合は、そのときに、界面処理条件で処理を行うことが好ましい。この場合、例えば膜厚が1μm以上の単結晶AlN44を形成することが好ましい。
SiCは高温状態では熱分解が生じる。従って、昇華法で種基板41に単結晶AlN44を成長させる場合、単結晶AlN44の成長だけでなく、種基板41に熱分解が生じることがある。また、単結晶AlN44が成長した部分ではSiCの熱分解が生じないため、種基板41の表面の一部に単結晶AlN44が生じ、種基板41の他の部分では熱分解が促進する可能性がある。その場合、局所的に成長した複数の単結晶AlN44がa軸方向に成長して結合される際に、隣り合う単結晶AlN44同士の結晶方位の相違等により傾斜境界(結晶粒界)が発生することがある(図9(b)の菱型のシンボルに対応する模式図)。また、単結晶AlN44の成長と種基板41の熱分解とが同時に進行することで、AlNとSiCとが混在した領域が形成されることがある(図9(b)の四角のシンボルに対応する模式図)。
傾斜境界又は混在領域の発生を抑制するためには、種基板41の熱分解を防止しつつ、単結晶AlN44を成長させる必要がある。ここで、仮に温度を低下させた場合、種基板41の熱分解も抑制されるが、単結晶AlN44の成長速度も遅くなるため、傾斜境界又は混在領域の発生を抑制することはできない。従って、本実施形態では、主として温度勾配を調整することで、傾斜境界又は混在領域の発生を抑制する。
具体的には、図9のグラフに示すように、温度勾配が6.7℃/mm以上であれば、AlN原料46の温度に関係なく、傾斜境界又は混在領域の発生を抑制できる。本実施形態では、上述のように、収容容器50を熱反射金属板23に接触させて放熱させることで、このような高い温度勾配を実現している。傾斜境界又は混在領域の発生を抑制することで、単結晶AlN44と種基板41の界面が明確となる(図9(b)の丸のシンボルに対応する模式図)。具体的には、種基板41の熱分解が抑制されているため、種基板41は、昇華法を行う前の種基板41の表面形状を維持した状態で単結晶AlN44が形成される。
なお、傾斜境界又は混在領域の発生の抑制には、厳密には、温度勾配だけでなく、窒素ガスの分圧及び全圧(不活性ガスと窒素ガスの圧力の合計)も関係する。図10には、窒素ガスの分圧及び全圧が種基板41と単結晶AlN44の界面の状態に及ぼす影響を確かめた実験を示す図である。図10に示すように、全圧及び窒素分圧が低くなるほど、単結晶AlN44と種基板41の界面が明確となる状態が実現され易い。具体的には、窒素系ガスの分圧と全圧の和が55kPa以下となるように圧力条件を設定すれば、例えば温度勾配が6.7℃/mmにおいて、単結晶AlN44と種基板41の界面が明確となる状態を実現することが可能となる。
ここで、傾斜境界又は混在領域の発生を抑制できなかった場合、単結晶AlN44を成長させた際に、ボイド層形成モード、ピット無成長モード、ピット有成長モードの何れにも該当しない成長モードが発生する可能性がある。この成長モードでは、上記の針状結晶が成長したり多結晶AlNが成長したりする可能性がある。従って、傾斜境界又は混在領域の発生を抑制できなかった場合、ボイド層形成モード(第1成長層形成工程)からピット無成長モード(第2成長層形成工程)への切替えが適切に行われない(間に針状結晶等が生じる)可能性がある。この点、単結晶AlN44と種基板41の界面が明確となる状態を実現することで、ボイド層形成モード(第1成長層形成工程)からピット無成長モード(第2成長層形成工程)への切替えを適切に行うことができるので、本実施形態の方法で単結晶AlNを製造できる。
以上に説明したように、本実施形態では、AlN原料46及び種基板41を配置し、少なくともN原子を含む気体である窒素ガス下で加熱を行うことで、AlN原料46を昇華させて種基板41上に単結晶AlNを少なくとも2段階に分けて成長させる。また、この単結晶AlNの製造方法は、第1成長層形成工程と、第2成長層形成工程と、を含む。第1成長層形成工程では、結晶のc軸方向の成長よりもa軸方向の成長が優先的に行われることで長手方向がa軸方向に沿う形状の隙間であるボイド層42aが形成されたAlNを含む第1成長層42を形成する。第2成長層形成工程では、第1成長層形成工程の処理条件から、少なくともN原子を含む気体である窒素ガスの分圧を下げるか、温度を上げるかの少なくとも何れかの処理を行うことで、a軸方向の成長よりもc軸方向の成長が優先的に行われるようにして成長させられた単結晶AlNを含む第2成長層43を第1成長層42上に形成する。
これにより、第1成長層形成工程を行うことで形成されたボイド層42aは、第1成長層42に存在する貫通転位(具体的には、種基板41から伝播された貫通転位、第1成長層42の形成時に発生した貫通転位)が第2成長層43に伝播することを抑制できる。従って、転位密度が低い単結晶AlNを製造できる。また、窒素ガスの分圧及び温度の少なくとも一方を変更するだけで次の工程に移行できるので、簡単な方法で転位密度が低い単結晶AlN44を製造できる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、第1成長層形成工程では、複数のボイド層42aがc軸方向に並べて形成される。
これにより、転位の伝播をより確実に抑制できる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、第1成長層形成工程では、AlNが単結晶性を維持した状態でボイド層42aが形成される。
これにより、第1成長層42に多結晶AlNが含まれる場合と比較して、高品質な単結晶AlNを有する第2成長層43を形成できる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、第1成長層形成工程では、複数の針状の結晶から構成される針状結晶の成長がa軸方向の成長よりも優先的となる前に処理を終了する。
これにより、第1成長層42に針状結晶が含まれる場合と比較して、高品質な単結晶AlNを有する第2成長層43を形成できる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、第1成長層形成工程では、第1成長層42の厚みが3μm以下となるように処理を行う。
これにより、針状結晶等の多結晶AlNが第1成長層42に含まれにくくなるので、高品質な単結晶AlNを有する第2成長層43を形成できる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法において、a軸方向の成長よりもc軸方向の成長が優先的に行われるようにして単結晶AlNを成長させる成長方法には、単結晶AlNに多数のピットが含まれるピット有成長モードと、単結晶AlNにピットが形成されないピット無成長モードと、が存在する。第2成長層形成工程では、ピット無成長モードが実行される。
これにより、第2成長層43にピットが形成されないため、高品質な単結晶AlNを製造できる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、第2成長層形成工程では、窒素ガスの分圧が20kPa以上である。
これにより、第2成長層43にピットが形成されにくくなるため、高品質な単結晶AlNを製造できる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、種基板41は、AlNとは異なる組成であるSiCで構成される。
これにより、様々な組成の種基板を用いて単結晶AlNを製造できる。また、種基板41がSiCである場合、SiCはAlNと格子定数が近いため単結晶AlNに結晶欠陥が発生しにくく、またSiCはAlN種基板と比較して高品質かつ大口径な特性を有するものが入手し易いため、高品質かつ大口径な単結晶AlNが製造し易くなる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、第2成長層形成工程の後に、種基板41から、単結晶AlNの少なくとも一部を分離する分離工程を行う。
これにより、ボイド層が形成されている部分は剛性が低いため、上記の熱応力又は外力が掛かった場合に、強い応力が単結晶AlNに生じる前に、ボイド層42aが形成されている部分で破壊が生じて分離を行うことができる。このように、強い応力が単結晶AlNに生じないため、単結晶AlNのクラック密度を低くすることができる。更に、分離工程時に種基板41が割れることなく分離工程を行うことができるので、種基板41を再利用することができる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、種基板41に単結晶AlNを成長させ始める段階において、AlN原料46から種基板41までの空間の温度勾配、全圧、及び、窒素ガスの分圧の少なくとも何れかを調整することで、単結晶AlNが成長し始める前の種基板41の表面形状を維持した状態で当該種基板41に単結晶AlNを形成する。
これにより、単結晶AlNが局所的に成長する場合と比較して、傾斜境界が生じることを抑制できるので、高品質な単結晶AlNを形成できる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、種基板41に単結晶AlNを成長させ始める段階において、温度勾配が6.7℃/mm以上である。
これにより、単結晶AlNが成長し始める前の種基板41の表面形状を維持した状態で単結晶AlNが形成され易くなる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、前記種基板に単結晶AlNを成長させ始める段階において、分圧と全圧の和が55kPa以下となるように圧力条件を設定する。
これにより、単結晶AlNが成長し始める前の種基板41の表面形状を維持した状態で単結晶AlNが形成され易くなる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、温度を常温に戻すことなく、第1成長層形成工程から第2成長層形成工程へ移行させる。
これにより、第1成長層形成工程と第2成長層形成工程の間に熱応力が発生することを防止できる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、第1成長層形成工程及び第2成長層形成工程では、加熱炉20に形成された処理空間21に種基板41を配置して処理が行われる。処理空間21を構成する構成部材が全て金属製である。
これにより、単結晶AlNの不純物となる元素が構成部材に含まれないので、高品質な単結晶AlNを製造できる。
また、本実施形態の単結晶AlNの製造方法においては、第1成長層形成工程及び第2成長層形成工程では、加熱炉20に形成された処理空間21に配置された収容容器50の内部に種基板41を配置して処理が行われる。収容容器50が全て金属製である。
これにより、単結晶AlNの不純物となる元素が種基板41の周囲に存在しなくなるため、高品質な単結晶AlNを製造できる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
本実施形態では、昇華法(第1成長層形成工程及び第2成長層形成工程)を窒素ガス雰囲気下で行うが、N原子が含まれるガス(窒素系ガス)であれば他のガス(例えばアンモニアガス)雰囲気下で昇華法を行うこともできる。
本実施形態では、第1成長層形成工程においてc軸方向の成長よりもa軸方向の成長が優先的に行われるボイド層形成モードのみを行って第1成長層42を成長させる。これに代えて、c軸方向の成長よりもa軸方向の成長が優先的に行われるボイド層形成モードと、a軸方向の成長よりもc軸方向の成長が優先的に行われるようにして単結晶AlNを成長させるピット無成長モードと、を交互に複数回行うことで、第1成長層42を成長させることもできる。これにより、針状結晶等が成長することを防止しつつ、ボイド層42aが形成される範囲を広くすることができる。従って、転位の伝播をより確実に抑制できる。また、繰返しの回数は特に限定されない。
20 加熱炉
50 収容容器
41 種基板
42 第1成長層
43 第2成長層
44 単結晶AlN
46 AlN原料

Claims (14)

  1. AlN原料及び種基板を配置し、少なくともN原子を含む気体である窒素系ガス下で加熱を行うことで、AlN原料を昇華させて前記種基板上に単結晶AlNを少なくとも2段階に分けて成長させる単結晶AlNの製造方法において、
    結晶のc軸方向の成長よりもa軸方向の成長が優先的に行われることで長手方向がa軸方向に沿う形状の隙間であるボイド層が形成された単結晶AlNを含む第1成長層を形成する第1成長層形成工程と、
    前記第1成長層形成工程の処理条件から、少なくともN原子を含む気体である窒素系ガスの分圧を下げるか、温度を上げるかの少なくとも何れかの処理を行うことで、a軸方向の成長よりもc軸方向の成長が優先的に行われるようにして成長させられた単結晶AlNを含む第2成長層を前記第1成長層上に形成する第2成長層形成工程と、
    を含み、
    a軸方向の成長よりもc軸方向の成長が優先的に行われるようにして単結晶AlNを成長させる成長方法には、
    単結晶AlNに多数のピットが含まれるピット有成長モードと、
    単結晶AlNにピットが形成されないピット無成長モードと、
    が存在し、
    前記第2成長層形成工程では、前記ピット無成長モードが実行され、
    前記第2成長層形成工程では、AlN原料の温度が1800℃以上であり、窒素系ガスの分圧が20kPa以上であることを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  2. 請求項1に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記第1成長層形成工程では、複数の前記ボイド層がc軸方向に並べて形成されることを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記第1成長層形成工程では、AlNが単結晶性を維持した状態で前記ボイド層が形成されることを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  4. 請求項3に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記第1成長層形成工程では、複数の針状の結晶から構成される針状結晶の成長がa軸方向の成長よりも優先的となる前に処理を終了することを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記第1成長層形成工程では、前記第1成長層の厚みが3μm以下となるように処理を行うことを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記第1成長層形成工程では、
    c軸方向の成長よりもa軸方向の成長が優先的に行われるようにして前記ボイド層を含む単結晶AlNを成長させた後に、
    a軸方向の成長よりもc軸方向の成長が優先的に行われるようにして単結晶AlNを成長させ、
    その後に、c軸方向の成長よりもa軸方向の成長が優先的に行われるようにして再び前記ボイド層を含む単結晶AlNを成長させる処理を含むことを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  7. 請求項1からまでの何れか一項に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記種基板がAlNとは異なる組成で構成されることを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  8. 請求項に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記第2成長層形成工程の後に、前記種基板から、単結晶AlNの少なくとも一部を分離する分離工程を行うことを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  9. 請求項又はに記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記種基板に単結晶AlNを成長させ始める段階において、前記AlN原料から前記種基板までの空間の温度勾配、全圧、及び、窒素系ガスの分圧の少なくとも何れかを調整することで、単結晶AlNが成長し始める前の前記種基板の表面形状を維持した状態で当該種基板に単結晶AlNを形成することを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  10. 請求項に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記種基板に単結晶AlNを成長させ始める段階において、前記温度勾配が6.7℃/mm以上であることを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  11. 請求項から10までの何れか一項に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記種基板に単結晶AlNを成長させ始める段階において、窒素系ガスの分圧と全圧の和が55kPa以下となるように圧力条件を設定することを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  12. 請求項から11までの何れか一項に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    温度を常温に戻すことなく、前記第1成長層形成工程から前記第2成長層形成工程へ移行させることを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  13. 請求項1から12までの何れか一項に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記第1成長層形成工程及び前記第2成長層形成工程では、加熱炉に形成された処理空間に前記種基板を配置して処理が行われ、
    前記処理空間を構成する構成部材が全て金属製であることを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
  14. 請求項13に記載の単結晶AlNの製造方法であって、
    前記第1成長層形成工程及び前記第2成長層形成工程では、加熱炉に形成された処理空間に配置された収容容器の内部に前記種基板を配置して処理が行われ、
    前記収容容器が全て金属製であることを特徴とする単結晶AlNの製造方法。
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