以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るシステムキッチン及びキッチンキャビネットを模式的に表す斜視図である。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係るシステムキッチンの一部を模式的に表す正面図及び側面図である。
図1、図2(a)及び図2(b)に表したように、システムキッチン10は、カウンタ12と、シンク14と、キャビネット部16と、を有する。システムキッチン10は、例えば、キッチン及びリビング(ダイニング)と対面して設置される対面式のシステムキッチンである。
以下、本願明細書においては、キッチン側に立ち、リビング側を向くようにシステムキッチン10と対面する使用者からみた上方、下方、前方、後方、右側方、及び左側方を、それぞれ「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「右側方」、及び「左側方」とする。
カウンタ12は、上面12aを有する。カウンタ12は、例えば、上面視において略長方形の平板状である。カウンタ12は、例えば、上面12aが略水平となるように設置される。カウンタ12の上面12aが略水平な状態とは、例えば、上面12aの高低差が2mm以内の状態である。カウンタ12の少なくとも上面12aの部分には、例えば、ステンレス、人工大理石、又は人造大理石などが用いられる。
シンク14は、カウンタ12に設けられている。シンク14は、カウンタ12の上面12aよりも下方に凹む。シンク14内、又はカウンタ12のシンク14の周辺には、水栓18が設けられる。水栓18は、システムキッチン10に取り付けて使用される。水栓18は、例えば、シンク14の前方側に設けられる。水栓18は、シンク14内に向けて湯水を吐水する。換言すれば、シンク14は、水栓18から吐水された湯水を受ける。また、シンク14は、水栓18などから受けた湯水を排水管などを介して外部に排出する。
カウンタ12は、コンロ20を取り付けるための開口部12bを有する。コンロ20は、システムキッチン10に取り付けて使用される。コンロ20は、例えば、ガスコンロ、電気コンロ、又は電磁調理器などである。
また、カウンタ12は、調理やシンク14で洗った食器の片付けなどの種々の作業を行うための作業スペース12cをさらに有する。作業スペース12cは、例えば、シンク14とコンロ20(開口部12b)との間に設けられる。すなわち、この例では、カウンタ12の右端側にシンク14が配置され、カウンタ12の左端側にコンロ20が配置され、カウンタ12の中央付近に作業スペース12cが配置されている。シンク14、コンロ20、及び作業スペース12cの配置は、上記に限ることなく、任意の配置でよい。例えば、シンク14をカウンタ12の中央付近に配置してもよいし、コンロ20をカウンタ12の中央付近に配置してもよい。
キャビネット部16は、カウンタ12を支持する。また、キャビネット部16は、例えば、コンロ20を支持する。キャビネット部16は、内部に収納空間を有し、キッチン用品などの物品を収納可能とする。キャビネット部16は、建築の床面に設置される。カウンタ12、シンク14、及びコンロ20などは、キャビネット部16を介して建築の床面に設置される。キャビネット部16は、いわゆるフロアキャビネットである。
また、システムキッチン10は、例えば、収納部22をさらに備える。収納部22は、カウンタ12の前方に設けられ、カウンタ12の上面12aよりも上方に延びる。収納部22は、例えば、背板部22aと、上板部22bと、を有する。背板部22aは、上面12aよりも上方に向かって延びる。上板部22bは、背板部22aの上端から後方に向かって延びる。これにより、背板部22a及び上板部22bは、後方側(キッチン側)を向く収納空間22cをカウンタ12の前方に形成する。収納部22は、後方側を向く収納空間22cを有する。
このように、収納部22を設けることにより、食器などの物品を収納部22の収納空間22c内に収納することができ、システムキッチン10の収納性及び使い勝手をより向上させることができる。また、キッチン側とリビング側との開放感を保ちつつ、乱雑になりがちなカウンタ12の上面12aやシンク14内などをリビング側から見え難くすることができる。さらには、水などがリビング側にこぼれてしまうことを抑制することもできる。
この例において、システムキッチン10は、いわゆるハイステップ型の対面式のシステムキッチンである。キャビネット部16は、カウンタ12を支持するとともに、収納部22を支持する。但し、収納部22は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
キャビネット部16は、例えば、6つのキッチンキャビネット101~106を有する。キッチンキャビネット101~106は、システムキッチン10に組み込まれて使用される。キッチンキャビネット101~103は、前方(リビング側)に向けて設けられる。本願明細書において、「前方」は、換言すれば、キッチンキャビネット101~103の向く方向である。キッチンキャビネット104~106は、後方(キッチン側)に向けて設けられる。
なお、図2(a)及び図2(b)では、便宜的に前方側のキッチンキャビネット101~103の図示を省略している。また、以下では、簡単化のため、キッチンキャビネット101~106をキャビネット101~106と称す。
このように、対面式のシステムキッチン10において、キッチン側及びリビング側のそれぞれにキャビネット101~106を設けることにより、キッチン側からもリビング側からも物品を収納できるようになり、システムキッチン10の使い勝手を向上させることができる。
また、例えば、キッチン側のみにキャビネットを設けた場合には、キャビネットの奥側の空間が利用し辛くなってしまう可能性がある。これに対して、キッチン側及びリビング側のそれぞれにキャビネット101~106を設け、各キャビネット101~106の前後方向の長さを短くすることで、各キャビネット101~106において奥まった空間を少なくし、キャビネット部16の収納空間を有効活用し易くすることができる。
キャビネット104~106は、カウンタ12を支持する。キャビネット104は、コンロ20の下方に設けられる。キャビネット104は、コンロ20を支持する。キャビネット104は、例えば、コンロ20を取り付けるためのコンロ台を有する。キャビネット104は、換言すれば、コンロ用キャビネットである。
キャビネット105は、作業スペース12cの下方に設けられる。キャビネット105は、カウンタ12の作業スペース12cの下方を支持する。キャビネット105は、換言すれば、作業スペース用キャビネットである。
キャビネット106は、シンク14の下方に設けられる。カウンタ12の上面12aよりも下方に凹むシンク14の一部は、キャビネット106内に収納される。キャビネット106は、シンク14の一部を内部に収納しつつ、カウンタ12を支持する。キャビネット106は、換言すれば、シンク用キャビネットである。
キャビネット101~103は、収納部22を支持する。例えば、収納部22を省略した場合には、各キャビネット101~106のそれぞれでカウンタ12を支持してもよい。また、収納部22は、キャビネット104~106で支持してもよい。
キャビネット101は、コンロ20用のキャビネット104と背中合わせに、キャビネット104の前方に設けられる。キャビネット102は、作業スペース12c用のキャビネット105と背中合わせに、キャビネット105の前方に設けられる。キャビネット103は、シンク14用のキャビネット106と背中合わせに、キャビネット106の前方に設けられる。
このように、前方側のキャビネット101~103は、後方側のキャビネット104~106のそれぞれに対応して設けられる。但し、キャビネット部16の構成は、上記の構成に限定されるものではない。例えば、前方側に設けられるキャビネットの数は、後方側に設けられるキャビネットの数と異なってもよい。また、キャビネット部16は、複数のキャビネット101~106を組み合わせる構成に限ることなく、例えば、各キャビネット101~106を一体的にした1つのキャビネットで構成してもよい。換言すれば、キャビネット部16自体を1つのキッチンキャビネットとしてもよい。
前方側のキャビネット101~103の前後方向の長さL1は、後方側のキャビネット104~106の前後方向の長さL2よりも短い。これにより、例えば、システムキッチン10の収納性や使い勝手を向上させつつ、システムキッチン10の前後方向の長さが、過度に長くなってしまうことを抑制することができる。
前方側のキャビネット101~103と後方側のキャビネット104~106との間には、例えば、ガス管40、排水管42、給水管44、及び給湯管46などの複数の配管が設けられる。キャビネット101~103とキャビネット104~106との間には、僅かに隙間が設けられ、各配管の少なくとも一部は、この隙間に設けられる。これにより、例えば、各配管が、キャビネット101~106の収納空間内に露出してしまうことを抑制し、システムキッチン10の見栄えを向上させることができる。
ガス管40は、コンロ用のキャビネット104とキャビネット101との間に設けられる。ガス管40は、金属材料などからなる硬質な配管である。ガス管40は、少なくとも自重では実質的に変形しない。ガス管40は、例えば、鋼管である。ガス管40は、鉛直方向(上下方向)に延びる。ガス管40は、例えば、鉛直方向に延びる第1部分40aと、第1部分40aの上端から後方に延びる第2部分40bと、を有し、第2部分40bにおいてキャビネット104内に入り込み、コンロ20と接続される。これにより、ガス管40は、コンロ20にガスを供給する。ガス管40は、コンロ20をガスコンロとした場合に必要となる。コンロ20を電気コンロ又は電磁調理器とした場合には、ガス管40は、省略可能である。
なお、「鉛直方向に延びる」とは、厳密に鉛直方向と平行に延びるものに限定されるものではない。本願明細書において、「鉛直方向に延びる」には、鉛直方向と非平行な状態で鉛直方向に延びる成分を有するものも含まれるものとする。第1部分40aは、少なくとも鉛直方向に延びる成分を有していればよい。すなわち、第1部分40aは、水平方向と平行な方向のみに延びるものでなければよい。
図3(a)~図3(c)は、実施形態に係るキッチンキャビネットを模式的に表す斜視図である。
図3(a)~図3(c)に表したように、キャビネット101は、キャビネット本体110と、棚板120と、配管カバー130と、扉140と、を備える。なお、図3(b)は、扉140を取り外した状態を便宜的に表している。図3(c)は、棚板120及び配管カバー130を斜め下方から見た状態を模式的に表している。
キャビネット本体110は、一対の側板111、112を有する。キャビネット本体110は、一対の側板111、112の間に設けられた収納空間SSを有し、収納空間SS内にキッチン用品などの物品を収納可能とする。
キャビネット本体110は、例えば、背板113と、底板114と、上板115と、をさらに有する。背板113は、側板111、112の後端に取り付けられ、収納空間SSの後方を塞ぐ。底板114は、側板111、112の下端に取り付けられ、収納空間SSの下方を塞ぐ。上板115は、側板111、112の上端に取り付けられ、収納空間SSの上方を塞ぐ。
このように、キャビネット本体110は、前方のみに開放された矩形状の収納空間SSを形成する。これにより、底板114の上にも物品を載置することが可能となり、キャビネット101の収納性を向上させることができる。また、例えば、収納空間SSに物品を収納する際に、後方に配置されたキャビネット104や上方に配置された収納部22などが視認されてしまうことを抑制することができ、キャビネット101の見栄えを向上させることもできる。背板113、底板114、及び上板115は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
棚板120は、一対の側板111、112に支持された状態で収納空間SS内に取り付けられる。棚板120は、収納空間SS内に取り付けられた状態において、上面に物品を載置可能とする。これにより、収納空間SS内の上下方向の空間を有効的に活用することができ、キャビネット101の収納性を向上させることができる。棚板120の形状は、収納空間SSの形状に対応する。例えば、上記のように収納空間SSが矩形状である場合、棚板120は、上面視において略長方形の平板状に形成される。
この例において、キャビネット101は、2つの棚板120を有する。キャビネット101に設けられる棚板120の数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
棚板120は、第1板部121と、第2板部122と、連結部124と、を有する。第2板部122は、第1板部121の後方に設けられる。連結部124は、第1板部121と第2板部122とを連結する。棚板120は、例えば、複数の連結部124を有し、複数の連結部124によって第1板部121と第2板部122とを連結する。
このように、棚板120は、第1板部121及び第2板部122を前後方向に分割可能である。各連結部124は、例えば、第1板部121の底面及び第2板部122の底面に取り付けられる板状である。各連結部124は、例えば、第1板部121の底面にネジ止めされるとともに、第2板部122の底面にネジ止めされる。これにより、第1板部121と第2板部122とが、各連結部124を介して互いに連結される。各連結部124の構成は、上記に限ることなく、第1板部121と第2板部122とを連結可能な任意の構成でよい。また、連結部124の数は、第1板部121と第2板部122とを適切に連結することができる任意の数でよい。連結部124の数は、1つでもよい。
棚板120は、例えば、複数の支持部材126によって側板111、112に支持される。各支持部材126は、例えば、棚板120の四隅に設けられる。すなわち、各支持部材126の数は、例えば、4つである。側板111、112は、各支持部材126に対応して設けられた複数の取付穴116を有する。各支持部材126は、ピン状の係合部を各取付穴116に挿通し、各取付穴116と係合することにより、棚板120を側板111、112に支持する。
また、各取付穴116は、上下方向に並べて複数設けられている。これにより、支持部材126を取り付ける取付穴116を選択することで、棚板120の取り付け高さを調整することができる。すなわち、使用者の好みの高さに棚板120を取り付けることができる。
なお、棚板120の支持方法は、上記に限ることなく、棚板120を側板111、112で適切に支持することができる任意の支持方法でよい。
キャビネット101では、鉛直方向に延びる配管であるガス管40の第1部分40aが、収納空間SS内に設けられる可能性がある。配管カバー130は、鉛直方向に延びる配管が収納空間SS内に設けられた場合に、収納空間SS内に設けられる。この例において、配管カバー130は、ガス管40の第1部分40aが収納空間SS内に設けられた場合に、収納空間SS内に設けられる。従って、ガス管40などが設けられていない場合などには、配管カバー130は省略可能である。
配管カバー130は、例えば、背板113に取り付けられる。配管カバー130は、収納空間SS内に設けられた状態において、ガス管40の第1部分40aの前方及び側方を覆う。これにより、配管カバー130は、収納空間SS内に設けられたガス管40の第1部分40aが前方側から視認されてしまうことを抑制する。
特に、前後方向の長さが比較的短い前方側のキャビネット101~103では、後方側のキャビネット104~106と比べて、収納空間SS内に設けられた配管などが視認されやすい。従って、キャビネット101~103において収納空間SS内に鉛直方向に延びる配管を設ける場合には、これを隠蔽するために配管カバー130を設けることが好ましい。これにより、キャビネット101~103の見栄えを向上させることができる。
配管カバー130は、背板113よりも前方に突出する。一方、棚板120の後端は、背板113に近接して配置される。棚板120が側板111、112に支持された状態において、棚板120の後端は、配管カバー130の前端よりも後方に位置する。棚板120の後端と背板113との間の前後方向の距離は、例えば、3mm以下である。換言すれば、棚板120の後端と背板113との間に空く隙間は、3mm以下である。
このため、収納空間SS内に配管カバー130を設けた場合には、配管カバー130を避けるための切り欠き部120aが、棚板120の後端に設けられる。これにより、配管カバー130を設けた場合にも、キャビネット101の収納性や見栄えの低下を抑制しつつ、棚板120を収納空間SS内に取り付けることができる。配管カバー130を設けない場合には、切り欠き部120aは、不要である。
配管カバー130の形状は、例えば、ガス管40の形状に対応する。このため、ガス管40が、側板111、112のそれぞれと離間して配置された場合には、配管カバー130も同様に、側板111、112のそれぞれと離間して配置される。そして、切り欠き部120aの形状は、配管カバー130の形状に対応する。従って、配管カバー130が側板111、112のそれぞれと離間して配置された場合には、切り欠き部120aも側板111、112のそれぞれと離間した位置に配置される。換言すれば、配管カバー130が側板111、112のそれぞれと離間して配置された場合、切り欠き部120aは、棚板120の両側端から離間した位置に配置される。
配管カバー130は、棚板120の荷重を受ける荷重受け部132を有する。荷重受け部132は、例えば、配管カバー130の側端から側方に突出し、棚板120の底面と係合することによって、棚板120の荷重を受ける。荷重受け部132は、例えば、第2板部122の底面と係合する。例えば、荷重受け部132を配管カバー130の前端から前方に突出させることにより、第1板部121の底面と係合させてもよい。荷重受け部132は、換言すれば、切り欠き部120aの外縁と係合する。
荷重受け部132は、例えば、ピン状である。配管カバー130は、例えば、側板111、112の各取付穴116に対応して上下方向に並べて設けられた複数の取付穴を有する。これにより、棚板120の取り付け高さに応じて、荷重受け部132の位置を容易に変更することができる。荷重受け部132は、いわゆるダボである。例えば、棚板120の取り付け高さに応じた複数の荷重受け部132を配管カバー130に設けてもよい。
扉140は、キャビネット本体110の前方に設けられる。扉140は、開閉可能にキャビネット本体110に取り付けられ、収納空間SSを塞ぐ閉じ位置(図3(a)に表した位置)と、収納空間SSを前方に開放する開き位置と、に移動する。
この例において、キャビネット101は、2つの扉140を有する。各扉140は、例えば、ヒンジを介して回動可能にキャビネット本体110に取り付けられた開き戸である。換言すれば、各扉140は、いわゆる観音開き式の扉である。
各扉140を閉じ位置にすることで、収納空間SS内への虫や塵埃などの侵入を抑制することができる。また、各扉140に木材などの遮光性の材料を用いた場合には、扉140を閉じ位置にすることで、収納空間SS内に収納された物品などを覆い隠すことができる。そして、各扉140を開き位置にすることで、収納空間SS内への物品の収納、及び収納空間SSからの物品の取り出しを行うことができる。
なお、扉140は、開き戸に限ることなく、スライド式の扉などでもよい。また、キャビネット101に設けられる扉140の数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。キャビネット101は、必ずしも扉140を有しなくてもよい。扉140は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
図4(a)~図4(c)は、実施形態に係る棚板を模式的に表す斜視図及び断面図である。
図4(b)及び図4(c)は、図4(a)のA1-A2線断面を模式的に表している。また、図4(a)では、便宜的に連結部124の図示を省略している。
図4(a)に表したように、キャビネット本体110に取り付ける前の状態(例えば、工場出荷時の状態)において、第2板部122の左右方向の長さは、第1板部121の左右方向の長さと実質的に同じである。第1板部121の左右方向の長さと第2板部122の左右方向の長さとの差は、例えば、2mm以下である。第2板部122は、例えば、第1板部121の後端全体の後方に設けられる。第2板部122は、第1板部121と連結された状態において、長方形状の外形を形成する。
第2板部122の前後方向の長さは、例えば、配管カバー130の前後方向の長さと実質的に同じである(図3参照)。これにより、棚板120では、第1板部121と第2板部122との連結を解除し、第2板部122を直線状に切断するだけで、切り欠き部120aを形成することができる。
また、図3(b)及び図3(c)などに表したように、切り欠き部120aを設けた場合には、第2板部122が2つに分断される。従って、この場合には、第1板部121の後方に、2つの第2板部122が設けられているということもできる。あるいは、第1板部121の後方に、第2板部122と第3板部123(図3(b)及び図3(c)参照)とが設けられているということもできる。2つの第2板部122は、複数の連結部124によって、それぞれ第1板部121と連結される。
2つの第2板部122は、互いに離間した状態で左右方向に並べて設けられる。一方の第2板部122は、第1板部121の右端側に設けられる。他方の第2板部122(第3板部123)は、第1板部121の左端側に設けられ、一方の第2板部122との間に切り欠き部120aを設ける。一方の第2板部122の右端は、第1板部121の右端と略面一である。他方の第2板部122の左端は、第1板部121の左端と略面一である。ここで、「略面一」とは、例えば、隣接する2つの面に生じる高さの差が、2mm以下の状態である。
第2板部122の前後方向の長さから配管カバー130の前後方向の長さを差し引いた差の長さは、例えば、2mm以下である。これにより、第2板部122を切断して切り欠き部120aを形成した際に、第1板部121と配管カバー130との間に空く前後方向の隙間を2mm以下にすることができる。但し、第2板部122の前後方向の長さは、配管カバー130の前後方向の長さよりも長ければよい。これにより、上記のように、切り欠き部120aを形成し易くすることができる。
図4(a)~図4(c)に表したように、棚板120は、第1板部121と第2板部122との連結の際などに、第1板部121と第2板部122との位置を合わせるための連結ガイド128を有する。棚板120は、例えば、左右方向に並べて設けられた複数の連結ガイド128を有する。
連結ガイド128は、例えば、係合部128aと、被係合部128bと、を有する。被係合部128bは、第1板部121の後端に設けられている。係合部128aは、第2板部122の前端に設けられ、第1板部121の後端に設けられた被係合部128bと係合する。このように、連結ガイド128は、例えば、係合部128aと被係合部128bとの係合により、第1板部121と第2板部122との位置を合わせる。連結ガイド128は、例えば、第1板部121と第2板部122との上下方向及び左右方向の位置を合わせる。
これにより、連結部124で第1板部121と第2板部122とを連結する前に、第1板部121と第2板部122との位置を合わせ易くすることができる。特に、複数の連結ガイド128を設けることにより、切り欠き部120aを設けるために第2板部122を2つに分断した場合などにも、2つの第2板部122と第1板部121とのそれぞれの位置を合わせやすくすることができる。換言すれば、第1板部121に対する第2板部122の取付位置を一義的に決めることができる。このように、連結ガイド128は、例えば、第1板部121と第2板部122との位置を合わせることにより、第1板部121に対する第2板部122の取付位置を一義的に決める。
この例において、係合部128aは、凸状であり、被係合部128bは、凹状である。係合部128aは、例えば、ダボであり、被係合部128bは、例えば、ダボ穴である。これとは反対に、係合部128aを凹状とし、被係合部128bを凸状としてもよい。連結ガイド128の構成は、第1板部121と第2板部122との位置を合わせ易くすることができる任意の構成でよい。
第1板部121は、後方に向かうに従って下降傾斜する傾斜部121aを後端上部に有する。第2板部122は、前方に向かうに従って下降傾斜する傾斜部122aを前端上部に有する。傾斜部121a、122aは、傾斜面状でもよいし、凸曲面状でもよい。傾斜部121a、122aは、いわゆるC面取りでもよいし、R面取りでもよい。
以上、説明したように、本実施形態に係るキャビネット101では、棚板120が前後方向に分割可能であるため、収納空間SS内に鉛直方向に延びる配管(例えばガス管40)が設けられている場合にも、例えば、配管の位置に合わせて第2板部122を切断し、その後連結部124によって第1板部121と第2板部122とを連結するだけで、棚板120の取り付けが可能となる。このように、第2板部122を直線状に切断するという簡単な加工で、棚板120の取り付けを行うことができ、棚板120に対して凹状の切り欠きを形成する場合などと比べて、現場での作業を簡単にすることができる。従って、棚板120を設けて収納性を向上させる場合にも、高い施工性を得ることができるキャビネット101を提供することができる。
また、キャビネット101では、棚板120が連結ガイド128を有するため、第1板部121と第2板部122とを連結する際に、第1板部121と第2板部122との位置関係がずれてしまうことを抑制することができる。従って、キッチンキャビネット101の施工性をより向上させることができる。
また、キャビネット101では、配管カバー130が棚板120の荷重を受ける荷重受け部132を有するため、例えば、配管を避けるために第2板部122の一端を切断し、第2板部122の切断された側の端部の荷重を側板111、112で受けることができない場合であっても、配管カバー130の荷重受け部132で第2板部122の荷重を受けることが可能になる。従って、棚板120が収納物の重さで落下したり、変形したりしてしまうことを抑制することができる。
また、キャビネット101では、第2板部122の前端上部に前方に向かうに従って下降傾斜する傾斜部122aを設けたことにより、第1板部121と第2板部122とを連結部124で連結した際に、第2板部122が第1板部121よりも高くなるように段差が生じた場合にも、収納物が段差に引っ掛かることを抑制し、収納物をスムーズに出し入れすることができる。
さらに、キャビネット101では、第1板部121の後端上部に後方に向かうに従って下降傾斜する傾斜部121aを設けたことにより、第1板部121と第2板部122とを連結部124で連結した際に、第1板部121が第2板部122よりも高くなるように段差が生じた場合にも、収納物が段差に引っ掛かることを抑制し、収納物をスムーズに出し入れすることができる。
各傾斜部121a、122aの前後方向の長さ及び上下方向の長さ(面取りの寸法)は、例えば、0.3mm(0.2mm以上0.4mm以下)である。これにより、収納物の引っ掛かりを適切に抑制して収納物の出し入れをスムーズにすることができるとともに、各傾斜部121a、122aが大きくなり過ぎて棚板120の見栄えが低下してしまうことなどを適切に抑制することができる。
図5は、実施形態に係るキッチンキャビネットの変形例を模式的に表す斜視図である。 なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。
図5に表したように、この例では、配管カバー130aの一方の側端が、一方の側板112まで延びている。配管カバー130aの一方の側端は、一方の側板112に近接する。配管カバー130aの一方の側端と側板112との間の左右方向の距離は、例えば、2mm以下である。配管カバー130aの一方の側端は、例えば、側板112に接触する。
収納空間SS内に設けられる配管の位置は、ある程度決まっている場合がある。例えば、ガスコンロのガス供給口は、一般的にガスコンロの向かって左側に配置され、製造メーカや機種などが変わったとしても、ガス供給口の左右方向の位置は、あまり大きく変化しない。このため、ガス管40の位置も、収納空間SS内において左側に寄せて配置され、あまり大きく変化しない可能性がある。
このような場合には、この例で表したように、配管カバー130aの一方の側端を、一方の側板112まで延ばすようにしてもよい。すなわち、配管の位置に合わせて配管カバーの位置を調整するのではなく、キャビネット本体110に対して決まった位置に取り付けられる配管カバー130aの中で、配管の位置を変化させるようにしてもよい。
このように、配管カバー130aでは、配管カバー130aの位置調整の手間を省くことができ、キャビネット101の施工性をより向上させることができる。そして、このように構成された配管カバー130aを設けた場合でも、第2板部122を直線状に切断することにより、棚板120の取り付けを行うことができる。
また、図3などに表した配管カバー130を収納空間SS内に設ける場合には、第2板部122を2回切断し、2つに分断した第2板部122をそれぞれ第1板部121と連結する必要がある。これに対して、配管カバー130aを収納空間SS内に設けた場合には、第2板部122を1回切断し、短くした1つの第2板部122を第1板部121と連結することで棚板120の取り付けを行うことができ、キャビネット101の施工性をさらに向上させることができる。
一方で、配管の取付位置が大きく変化する可能性がある場合などには、上記の配管カバー130のように、配管に合わせて位置を調整し、配管のみを覆うようにすることが好ましい。これにより、例えば、配管カバー130aによって収納空間SSの容積を無駄に狭めてしまうことを抑制することができる。キャビネット101において、より良好な収納性を得ることができる。
配管カバー130aは、配管カバー130と同様に、棚板120の荷重を受ける荷重受け部132を有する。この例において、荷重受け部132は、配管カバー130aの側端から側方に突出し、第2板部122の底面と係合することにより、第2板部122の荷重を受ける。
配管カバー130aの一方の側端を一方の側板112まで延ばした場合には、切断した第2板部122を第1板部121と連結した後にも、棚板120の四隅に設けられる4つの支持部材126のうちの1つが取り付けられなくなってしまう。
従って、配管カバー130aを用いる場合には、配管カバー130aに荷重受け部132を設けることが好適である。これにより、1つの支持部材126が取り付けられなくなったとしても、残り3つの支持部材126と荷重受け部132との4点で棚板120の荷重を受けることができ、棚板120の落下や変形などを適切に抑制することができる。
図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る棚板の変形例を模式的に表す平面図である。
図6(a)及び図6(b)に表したように、第2板部122は、第1板部121の一部の後方に設けてもよい。
この例において、第1板部121は、第1領域R1と、第2領域R2と、を有する。第1領域R1及び第2領域R2は、矩形状である。第2領域R2は、第1領域R1と左右方向に並び、第1領域R1よりも後方に延びる。また、第2領域R2の前端は、第1領域R1の前端と面一である。第2板部122の左右方向の長さは、第1領域R1の左右方向の長さと実質的に同じである。第2板部122の前後方向の長さは、第1領域R1と第2領域R2との前後方向の長さの差と実質的に同じである。第2板部122は、第1板部121の第1領域R1の後方に設けられる。これにより、上記実施形態と同様に、第1板部121と第2板部122とを連結することで、上面視において長方形状の棚板120を形成することができる。
例えば、図5に表したように、配管カバー130aの取付位置が予め決まっている場合には、第2板部122の左右方向の長さも予め決めることができる。従って、このような場合には、第2板部122を予め配管カバー130aに対応した形状とする。
これにより、この例の棚板120では、収納空間SS内に配管カバー130aを設ける際に、第2板部122を取り外すだけで、棚板120の取り付けが可能となる。従って、キャビネット101の施工性をより向上させることができる。
また、この例において、配管カバー130aの荷重受け部132は、配管カバー130aの側端から側方に突出し、第1板部121の第2領域R2の底面と係合することにより、棚板120(第1板部121)の荷重を受ける。これにより、上記と同様に、4点で棚板120の荷重を受けることができ、棚板120の落下や変形などを適切に抑制することができる。
図7(a)及び図7(b)は、実施形態に係る連結部の変形例を模式的に表す断面図である。
図7(a)及び図7(b)に表したように、この例において、連結部124は、第1嵌合部FT1と、第2嵌合部FT2と、を有する。第1嵌合部FT1は、前方側に向けて設けられ、第1板部121を上下に挟んで第1板部121と嵌合する。第2嵌合部FT2は、後方側に向けて設けられ、第2板部122を上下に挟んで第2板部122と嵌合する。
この例において、連結部124は、第1板部121及び第2板部122のそれぞれと嵌合して第1板部121と第2板部122とを連結する断面略H字状の部材である。このように、連結部124の構成は、ダボ状のものやH字状のものなど、第1板部121と第2板部122とを連結することができる任意の構成でよい。
また、断面略H字状の部材は、例えば、連結ガイド128として用いてもよい。例えば、第1板部121と第1嵌合部FT1との嵌合、及び第2板部122と第2嵌合部FT2との嵌合をきつくすることにより、第1板部121に対する第2板部122の上下左右の位置を摩擦によって決めることができる。このように、連結ガイド128の構成もまた、第1板部121と第2板部122との位置を合わせ易くすることができる任意の構成でよい。但し、連結ガイド128は、ダボなどのように、第1板部121と第2板部122との位置を合わせることにより、第1板部121に対する第2板部122の取付位置を一義的に決めることのできる構成であることが、より好ましい。
上記各実施形態では、前後に分割可能な棚板120を設けるキッチンキャビネットの一例として、コンロ20用のキャビネット104の前方に設けられるキャビネット101を示している。棚板120を設けるキャビネットは、キャビネット101に限ることなく、例えば、前方側を向く他のキャビネット102、103でもよいし、後方側を向くキャビネット104~106でもよい。キャビネット102~106の構成は、キャビネット101と同じでもよいし、異なってもよい。棚板120を設けるキャビネットは、システムキッチン10に組み込まれて使用される任意のキャビネットでよい。
収納空間SS内に設けられる配管は、ガス管40に限ることなく、排水管42、給水管44、又は給湯管46などでもよい。収納空間SS内に設けられる配管は、システムキッチン10に用いられる任意の配管でよい。
上記各実施形態では、対面式のシステムキッチン10を示している。キャビネットの組み込まれるシステムキッチンは、対面式に限ることなく、例えば、キッチンの壁面を向くように取り付けられる、いわゆるクローズドタイプのシステムキッチンなどでもよい。キャビネットの組み込まれるシステムキッチンは、任意の構成のシステムキッチンでよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、キャビネット101などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。