しかしながら、従来においては、床やテーブルや台等に落ちている注射針等の医療廃棄物を安全かつ容易に回収することができない、という課題があった。例えば、上記のような容器に、床等に落ちている注射針等の医療廃棄物を入れようとする場合、この医療廃棄物をユーザが一旦、拾う必要があるが、この時、手で拾うと、誤って注射針等で指を刺したり、汚染された医療廃棄物に直接接触してしまう恐れがある、という問題点があった。また、これを避けるために、ピンセットやトング等の用具を用いて拾う場合、医療廃棄物が小さい時には特に、非常に時間がかかり、作業効率が悪く、また、挟む際の力の加え方が難しく、一旦拾った医療廃棄物を落としてしまい易い、という問題点があった。
本発明は、上記のような課題を解消するためになされたものであり、医療廃棄物を安全かつ容易に回収することができる医療廃棄物回収具を提供することを目的とする。
本発明の医療廃棄物回収具は、基材と、基材の下面に設けられた粘着材と、粘着材に対して剥離可能に貼り付けられた剥離材と、を備えた医療廃棄物処理具である。
かかる構成により、剥離材の前端側を剥がした状態で、基材の前端側の下面に露出した粘着材に医療廃棄物を貼り付けることにより、医療廃棄物を安全かつ容易に回収することができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具は、前記医療廃棄物回収具において、基材および剥離材の左右に、それぞれ内側方向に伸びる切り込みを有するようにしてもよい。
かかる構成により、剥離材の切り込みよりも前端側を剥がした状態で、基材と剥離材の切り込みよりも後端側の左右を、中心側が下方向に凸となるよう曲がるように挟んで、基材の切り込みよりも前端側の下面に露出した粘着材に医療廃棄物を貼り付けることにより、医療廃棄物を安全かつ容易に回収することができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具は、前記医療廃棄物回収具において、切り込みは、基材の左右の側端部の、前後方向の中心よりも前端側の位置から、内側に向かうに従って連続的または段階的に後端方向に伸びるよう設けられており、切り込みの内側の端部の前後方向の位置が、基材の前後方向の中心よりも後端側に位置しているようにしてもよい。
かかる構成により、医療廃棄物を貼り付ける部分の広さを確保できるとともに、基材の切り込みよりも後方の左右の長さを長くして指で挟みやすくすることができ、操作性を向上させることができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具は、前記医療廃棄物回収具において、剥離材には、剥離材の切り込みよりも前端側の部分を粘着材から剥離して切り離し可能となるよう切れ目が設けられている医療廃棄物回収具としてもよい。
かかる構成により、基材の前端側から剥がした剥離材を容易に除去することができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具では、前記医療廃棄物回収具において、基材は光透過性を有しているようにしてもよい。
かかる構成により、医療廃棄物を回収する際に、基材を介して医療廃棄物の位置を確認することができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具では、前記医療廃棄物回収具において、基材は樹脂製のフィルムまたはシートであるようにしてもよい。
かかる構成により、医療廃棄物が回収時に基材を突き破ったりすることを回避ことができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具では、前記医療廃棄物回収具において、基材は透明なフィルムまたはシートとしてもよい。
かかる構成により、医療廃棄物を回収する際に、基材を介して医療廃棄物の位置を明瞭に確認することができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具では、前記医療廃棄物回収具において、基材はカード形状を有しており、カード形状の長手方向を前後方向とした場合の左右となる位置に切り込みがそれぞれ設けられている医療廃棄物回収具としてもよい。
かかる構成により、医療廃棄物回収具を、例えば、ポケット等に収容可能とすることができ、持ち運びを容易にすることができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具では、前記医療廃棄物回収具において、基材は、クレジットカードまたは名刺と形状およびサイズが同一または略同一としてもよい。
かかる構成により、医療廃棄物回収具を、例えば、一般的なクレジットカードや名刺等と同様にポケット等に収容可能とすることができ、持ち運びを容易にすることができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具では、前記医療廃棄物回収具において、基材の後端側の左右には、後端側の左右を内側に向けて曲げることを指示する印が配置されているようにしてもよい。
かかる構成により、印によって視覚的に使い方をサポートすることができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具は、前記医療廃棄物回収具において、基材の前端側の中央近傍には、医療用廃棄物を貼り付ける位置を示す目印が配置されているようにしてもよい。
かかる構成により、医療廃棄物の貼り付け時に、貼り付け位置を確認しやすく、操作性を向上させることができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具は、前記医療廃棄物回収具において、切り込みは左右対称に設けられているようにしてもよい。
かかる構成により、後端側の左右を挟む際の操作性を向上させることができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具は、前記医療廃棄物回収具において、基材には、前記基材の後端側を、左右方向において下方向に凸となるよう折り曲げるための1以上の折り筋が設けられているようにしてもよい。
かかる構成により、基材および剥離材の後端側を左右方向において下方向に凸となるよう容易に曲げることができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具は、前記医療廃棄物回収具において、1以上の折り筋は、それぞれ基材の後端側において、基材の前後方向に伸びている部分を有しているようにしてもよい。
かかる構成により、基材および剥離材の後端側を左右方向において容易に曲げることができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具は、前記医療廃棄物回収具において、前記折り筋は、前記基材の左右の側端部から内側方向に向かって、内側に向かうに従って連続的または段階的に後端方向に伸びる部分を有しているようにしてもよい。
かかる構成により、基材および剥離材の後端側を左右方向において容易に曲げることができるとともに、基材の折り筋よりも前端側をできるだけ平坦に保つことができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具は、前記医療廃棄物回収具において、基材の切り込みよりも前端側の粘着材が設けられた下面側は、基材の後端側を、左右方向において下方向に凸となるように曲げるようユーザが挟んだ状態であって、剥離材の前端側を剥離した状態において、医療廃棄物の回収面としてもよい。
かかる構成により、基材の前端側の粘着材が設けられた下面側において医療廃棄物を貼り付けて回収することができる。また、医療廃棄物を貼り付ける位置と、ユーザが医療廃棄物回収具を挟んで持つ位置との距離を離して、回収時の安全性を保つことができる。また、後端側を下方向に凸となるよう曲げて挟んで持つことで、前端側が弾性変形しにくくして、医療廃棄物を貼り付ける際の力を加えやすくすることができる。
また、本発明の医療廃棄物回収具は、前記医療廃棄物回収具において、医療廃棄物回収具が回収する医療廃棄物を、注射針としてもよい。
かかる構成により、注射針を安全かつ容易に回収ことができる。
本発明による医療廃棄物回収具によれば、医療廃棄物を安全かつ容易に回収することができることができる。
以下、医療廃棄物回収具等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態の医療廃棄物回収具1の上面図(図1(a))、下面図(図1(b))、および、剥離材の一部を剥がして除去した状態の下面図(図1(c))を示している。
図2は、本実施の形態の医療廃棄物回収具1の斜視図(図2(a))、および図2(a)のIIb-IIb線による断面図(図2(b))を示している。なお、図においては、説明の便宜上、厚さ方向のサイズと、他の方向のサイズとの比率は、実際の比率とは必ずしも一致していない。
医療廃棄物回収具1は、基材101と、基材101の下面101bに設けられた粘着材102と、粘着材102に対して剥離可能に貼り付けられた剥離材103とを有している。
医療廃棄物とは、例えば、医療行為に関連して排出される廃棄物や、医療現場で排出される廃棄物のことを指す。医療廃棄物は、例えば、感染性廃棄物である。医療廃棄物は、例えば、使用済の注射針、刃、アンプル、ガーゼ等である。
基材101は、カード形状を有する。基材101は、前端1011、後端1012、左側端1013、および右側端1014を有している。基材101は、前後方向、例えば、後端1012から前端1011に向かう方向が長手方向である平面形状が角丸長方形のカード形状を有している。カード形状とは、例えば、クレジットカードやICカード等のカードや、名刺、トランプ等の、一般的なカードと同様の平面形状を有し、厚さも、一般的なカードと同じ、もしくはそれ以下の厚さを有する形状である。基材101の平面形状は、角が丸められた形状であることが、取り出しやすさの点から好ましいが、角は丸められていなくてもよい。基材101の平面形状のサイズは、スーツ、シャツ、白衣、作業着等のポケット(例えば、胸ポケット等)に入る形状およびサイズであることが好ましい。例えば、基材101の平面形状のサイズは、幅90mm以下で、長さが140mm以下であることが好ましい。また、基材101の平面形状のサイズは、後述するように、基材101の前端1011側で医療廃棄物を回収可能なサイズであることが好ましい。例えば、基材101の平面形状のサイズは、幅30mm以上で、長さが60mm以上であることが好ましい。基材101の平面形状のサイズは、クレジットカードまたは名刺と同一または略同一であることが、他のカードや名刺等と重ねて持ち運んだりできるという点や、シャツや、白衣、作業着等の医療現場に関係するユーザが通常利用する衣服のポケット(例えば、胸ポケット)等に入るサイズである点で好ましい。国際規格で定められているクレジットカードの平面形状のサイズは、53.98mm×85.60mm、名刺の一般的なサイズは、55mm×91mmであることから、基材101の幅(横方向の長さ)は、50mm以上、60mm以下であることが好ましく、53mm以上、57mm以下であることがより好ましい。また、基材101の長さ(長手方向の長さ)は、84mm以上95mm以下であることが好ましく、85mm以上、92mm以下であることがより好ましい。ここでは、基材101の平面形状のサイズは、55mm×90mmである場合について説明する。ただし、基材101の平面形状や、平面形状のサイズ等は、上記に限定されるものではない。例えば、基材101の平面形状は、カード形状でなくてもよく、矩形形状等の多角形形状、楕円形状等であってもよい。
基材101は、例えば、シート状、フィルム状、または平板状の形状を有している。基材101の厚さは問わない。基材101の厚さは、医療廃棄物回収具1としての機能を果たすような厚さ、例えば、医療廃棄物の回収時に、医療廃棄物を貼り付けるために十分な弾性力が得られるような厚さに設定される。例えば、基材101の後端1012側は、粘着材102を介して剥離材103が貼り付けられた状態で、左右方向において下方向に向かって凸となるよう曲げられる(例えば、湾曲するよう曲げられる)ことから、剥離材103は、剥離材103を貼り付けた状態で左右方向において曲げることが可能な厚さであることが好ましく、剥離材103を貼り付けた状態で左右方向に湾曲するよう曲ることが可能な厚さであることが好ましい。なお、基材101の後端1012側は、基材101の後方と考えてもよい。同様に、基材101の前端1011側は、基材101の前方と考えてもよい。
基材101の厚さは、例えば、基材101の材質や基材101のサイズ等に応じて決定される。基材101の厚さは、持ち運びの観点からは、基材101は、厚さが薄い方が好ましい。基材101の厚さは、1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましく、0.2mm以下であることがさらに好ましい。
基材101は、安全性の面からは、注射針や、刃等の鋭利な医療廃棄物が容易に突き破れない強度や厚さ、構造等を有するものであることが好ましい。また、基材101は、補強のために、内部や、表面等に金属線や金属製の網等を有する樹脂性のフィルムやシート等であってもよい。
基材101の材質は、例えば、弾性変形が可能な材質であることが好ましい。基材101としては、例えば、延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、発泡PET、延伸ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂性のフィルムまたはシートが好適である。基材101は、同一または異なる複数の樹脂性のフィルムやシートが積層されたものであってもよい。ただし、基材101は、樹脂製のフィルムやシートに限定されるものではなく、例えば、紙製やパルプ製のフィルムやシート等であってもよく、これらが樹脂製のフィルムやシート等でラミネート加工されたものであってもよい。また、基材101は、厚さの薄い金属板等であってもよい。また、基材101は、複数の異なる材質のものが積層されたものであってもよい。
基材101は、光透過性を有するものであることが好ましい。基材101が光透過性を有する、ということは、例えば、基材101が透明であることであってもよく、半透明であることであってもよい。基材101が光透過性を有するということは、基材101が、基材101を介して物体の位置や形状等を、完全であるか、不完全であるかに関わらず、確認可能なものであることと考えてもよい。基材101は、透明であることが最も好ましい。
基材101は、例えば、下面101bに粘着材102が設けられて、シール状となっている。粘着材102は、医療廃棄物を貼り付け可能なものであれば、どのような粘着材であってもよい。例えば、通常のシール等に利用可能な粘着材のうちの、医療廃棄物を貼り付け可能な強度等を有する粘着材が利用可能である。粘着材102は、強粘着性を有するものであってもよく、弱粘着性を有するものであってもよく、一度剥がした後、再度貼り付け可能なものであってもよい。また、耐水性を有するものであってもよく、耐油性を有するものであってもよく、耐熱性を有するものであってもよい。粘着材102は、光透過性を有するものであることが好ましく、透明なものであることがより好ましい。粘着材102は、例えば、基材101の下面101bに対して、剥離しないよう設けられる。
剥離材103は、例えば、医療廃棄物を回収しないときに、基材101の下面101bに設けられた粘着材102に物質が付着するのを防ぐために設けられている。剥離材103は、例えば、粘着材102に対して剥離可能に貼り付けられたシートや、フィルムや、紙である。剥離材103は、いわゆるセパレータと考えてもよい。例えば、剥離材103の粘着材102と接する面に、剥離可能に貼り付けが可能となるような加工が施された(例えば、ワックス等が塗布された)ものである。剥離材103の材質や厚さ等は問わない。医療廃棄物回収具1の未使用時に、基材101の強度を補強するために、剥離材103の厚さを厚くしたり、弾性率の高い材質や剛性の高い材質を用いてもよい。
剥離材103は、例えば、基材101と、同一または略同一の形状を有している。ただし、剥離材103は、例えば、基材101の下面101bに設けられた粘着材102の表面全面を少なくともカバーすることが可能なサイズおよび形状を有していればよく、基材101の下面101bよりもサイズが大きくてもよい。
剥離材103の厚さは問わない。後述するように、基材101の後端1012側は、粘着材102を介して剥離材103が貼り付けられた状態で、左右方向において下方向に向かって凸となるように曲げられる(例えば、湾曲するよう曲げられる)ことから、剥離材103は、基材101に貼り付けた状態で左右方向に曲げることが可能な厚さであることが好ましく、基材101に貼り付けた状態で左右方向に湾曲するよう曲げることが可能な厚さであることが好ましい。
剥離材103には、基材101の前端1011側の下面101b側に設けられた部分のみを剥がして、医療廃棄物回収具1から容易に除去できるように、基材101の前端1011側と後端1012側との間となる位置に、横方向に切れ目105が設けられている。ここでの、切れ目105は、剥離材103の切り込み104よりも前端1011側の部分103aをユーザの手等によって(好ましくは片手によって)容易に除去できるようにするものであれば、ミシン目等の1または2以上の部分的な切れ目であってもよい。この切れ目については、後述する。
基材101および剥離材103には、左右にそれぞれ切り込み104が設けられている。ここでの左右は、例えば、基材101を上面側または下面側から見た場合の、基材101の前後方向に対する左右である。前後方向は、例えば、基材101の長手方向である。基材101および剥離材103には、例えば、上方から見て同じ位置に切り込み104が設けられている。基材101に切り込み104が設けられていることから、基材101に設けられた粘着材102の同じ位置にも切り込みが設けられている。例えば、切り込み104は、カード形状の基材101の長手方向を前後方向とした場合の、上方から見て左右となる位置にそれぞれ設けられている。
それぞれの切り込み104は、基材101および剥離材103の内側方向に向かって伸びている。内側方向に伸びるということは、例えば、切り込み104が、それぞれ、基材101の左側端1013および右側端1014から基材101の中心を通過する基材101の前後方向に伸びる仮想の中心線1015方向に向かって伸びていることと考えてもよい。左右の切り込み104は、医療廃棄物回収具1の操作性を考えた場合、左右対称に設けられていることが好ましい。具体的には、左右の切り込み104は、中心線1015に対して左右対称に設けられていることが好ましい。
なお、左右の切り込み104同士は、基材101の内側(例えば、中心線1015近傍等)において、繋がっていないようにする。すなわち、基材101は、左右の切り込み104によって完全に前後に切り離されないようにする。なお、上述した剥離材103に設けられる切れ目105は、この切れ込み104の、基材101の内側に位置する端部1041間を繋ぐよう設けることが好ましい。ただし、この端部1041よりも前端1011側において、剥離材103の切り込み104同士を繋ぐように切れ目105を設けてもよい。
ここでは、一例として、切り込み104が、カード形状の基材101の長手方向を前後方向とした場合の、左右となる位置にそれぞれ設けられている場合について説明する。具体例としては、各切り込み104は、カード形状の基材101の左側端1013および右側端1014の前後方向の中心よりも前端1011側の位置から、一旦、中心線1015に対して垂直に直線状に伸びた後(例えば、2mm程度伸びた後)、内側に向かうに従って連続的に後端1012方向に向かうよう直線状に伸びており、各切り込み104の内側の端部1041の前後方向の位置が、基材101の前後方向の中心よりも後端側に位置している場合について説明する。これにより切り込み104は、内側に向かうに従って段階的に後端方向に伸びるよう設けられている。切り込み104が、内側に向かうに従って段階的に後端方向に伸びるよう設けられていることで、基材101の切り込み104よりも前端1011側に位置する部分の広さを広く確保できるとともに、切り込み104よりも後端1012側に位置する基材101の左右の部分の長さを長くして、後述するように、ユーザがこの部分を指で挟みやすくすることができる。
各切り込み104の左側端1013が設けられている位置は、ここでは、一例として、基材101の前端1011から、基材101の前後方向(ここでは長手方向)の長さの約3分の1の長さ、具体的には、略30mmだけ後端1012側となる位置となっている。また、内側の端部1041の位置は、一例として、基材101の前端1011から、基材101の前後方向(ここでは長手方向)の長さの約3分の2の長さだけ後端1012側となる位置よりも基材101の中心側となる位置、具体的には前端1011から略55mmとなる位置、となっている。また、左右の切り込み104の内側の端部1041間の距離は、ここでは、略15mmとなっている。ただし、切り込み104に関する位置や長さ等は、これらに限定されるものではない。
[0] なお、左右の切り込み104は、形状、サイズ、および設けられている位置の組み合わせが、医療廃棄物回収具1の切り込み104よりも後端1012側の左右を指等ではさんで、容易に中心線1015側が下方に凸となるよう曲げることが可能な組合せであることが好ましく、湾曲させるよう曲げることが可能となるような組合せであることがより好ましい。
なお、切り込み104は、上記以外の平面形状となるように、内側に向かうに従って段階的に後端方向に伸びるよう設けられていてもよい。また、切り込み104は、基材101の左側端1013および右側端1014の前後方向の中心よりも前端1011側の位置から、内側に向かうに従って連続的に後端方向に伸びるよう設けられていてもよい。
なお、ここでの切り込みは、切り込み104を挟んで対向する基材101および剥離材103の前端1011側となる部分と、後端1012側となる部分とが、ユーザの手等によって(好ましくは片手によって)容易に切り離し可能となるようにするものであれば、ミシン目等のように、部分的に切れていない部分が存在していてもよい。また、ユーザが手等で容易に切り離せる程度の非常に薄い薄さで、切り込み104を挟んで対向する基材101および剥離材103の前端1011側となる部分と、後端1012側となる部分とが繋がっている場合も、切り込み104が設けられているものと考えてもよい。
なお、上記で説明した左右の切り込み104は一例であり、切り込み104は上記で説明したものに限定されるものではない。例えば、各切り込み104は、左側端1013および右側端1014から中心線1015に対して垂直に伸びる切り込みであってもよい。また、左右の切り込み104は、左右対称でなくてもよい。
なお、ここでは、基材101の後端1012側の左右には、この後端1012側の左右が上側を向くよう、この後端側の左右を曲げることを指示する矢印1016がそれぞれ配置されている例を示している。この矢印1016は、左右の切り込み104よりも基材101の後端1012側の左右に設けることが好ましい。この矢印1016は、例えば、左側端1013および右側端1014から、それぞれ中心方向を指し示す矢印であって、矢柄の左側端1013側および右側端1014側が、後方に向かって曲線状に曲がっている矢印である。この矢印1016は、例えば、基材101の上面101aに印刷されている。基材101が透明である場合、矢印1016は、基材101の下面等に印刷されていてもよい。また、矢印1016を示す物体(図示せず)が、基材101に埋め込まれていてもよく、基材101に凹部や凸部を設けることで、矢印1016等の印を立体的に表示してもよい。なお、左右の切り込み104よりも後端1012側の左右を内側に向けて曲げることを指示することが可能な印であれば、矢印1016以外の印、例えば三角形等が設けられていてもよい。
また、ここでは、基材101の、左右の切り込み104よりも前端1011側の中央近傍には、医療用廃棄物を貼り付ける位置を示す目印1017が配置されている例を示している。この目印1017は、基材101の、左右の切り込み104よりも前端1011側の中央近傍に設けることが好ましい。ここでは、目印1017が、円形とその周りに円環状に配置した複数の円形とで構成されているようにしたが、この目印1017は、どのような形状であってもよく、例えば、クロスマークや、星マーク等であってもよい。この目印1017は、例えば、中心線1015上に表示することが好ましい。この目印1017は、上記の矢印1016と同様に、印刷や、埋め込み、凹凸を設けることによって、基材101に設けられる。この目印1017が設けられていることで、基材101が透明である、あるいは透明度が高い場合においては特に、医療廃棄物を貼り付ける位置を、基材101の上面側から目視で容易に確認することが可能となり、作業性を向上させることができる。
なお、上記の矢印1016や目印1017等は、適宜省略しても良い。
本実施の形態の医療廃棄物回収具1は、通常のカード状のシール等を製造する工程等と同様の工程により製造可能であるため、ここでは、詳細な説明は省略する。
図3は、本実施の形態の医療廃棄物回収具1の使い方を説明するための模式的な斜視図(図3(a)~図3(c))である。
以下、図3を用いて、医療廃棄物回収具1の使い方について説明する。ここでは、回収対象の医療廃棄物が、床に落ちた注射針200である場合を例に挙げて説明する。ただし、医療廃棄物が注射針200以外である場合においても使い方は同様である。
まず、ユーザが、床に落ちた注射針200を発見して、医療廃棄物回収具1をポケット等から取り出したとする。剥離材103が粘着材102に貼り付けられた状態で、ユーザが片手の親指の腹と、中指または薬指の腹とで、基材101の後端1012側、ここでは、切り込み104よりも後端側の左側端1013と右側端1014とを挟み、図3(a)に示すように、基材101の切り込み104よりも後端1012側の左側端1013と右側端1014とが上方向に曲がり、基材101の、この左側端1013と右側端1014との間の内側の部分が下方向に凸となるよう曲がるように、挟んだ指で両側から軽く力を加える。これにより、基材101および剥離材103の後方側が、左右方向、すなわち横方向において下方向に凸となるよう、曲面状に反るように湾曲する。基材101および剥離材103の切り込み104よりも後方側が、左右方向において湾曲しているため、この部分を前後方向からみると、下方向に凸となるよう湾曲した形状、例えば、下方向に凸なるアーチ形状等となっている。なお、挟む際に、人差し指等で基材101の切り込み104よりも後端1012側の左側端1013と右側端1014との間の部分を、下方向に押すようにしてもよい。なお、左右方向において下方向に凸となるよう曲げる、ということは、例えば、左右方向における内側(例えば、中心側等)が、下方向に凸となるように曲げることである。
このように挟んで持った状態で、剥離材103の左右の切り込み104よりも前端1011側の部分103aであって、切れ目105よりも前端1011側に位置する部分を剥がして除去する(図3(b))。この状態で、基材101の切り込み104よりも前端101側の粘着材102が設けられた下面101b側が、医療廃棄物の回収面となる。なお、作業の邪魔にならないようであれば、前端1011側の部分103aを剥がすだけで、剥離材103の剥がした部分103aを切れ目105により剥離材103の他の部分から切り離して除去しなくてもよい。この場合、例えば、切れ目105を設けないようにしてもよい。例えば、剥がした部分103aを折曲げて、剥がしていない部分に重ねて使用するようにしてもよい。
基材101の切り込み104よりも前端1011側に位置する部分が回収したい医療廃棄物である注射針200の上方に位置するように医療廃棄物回収具1を、ユーザが移動させる。このとき、目印1017の下方に、注射針200が位置するように移動させることで、位置決めが容易になる。移動させた後、基材101の切り込み104よりも後端1012側を指で挟んで横方向において下方向に凸となるよう反るように湾曲させた状態で、基材101の切り込み104よりも前端1011の部分を、下面101bを注射針200に対向させた状態で注射針200に上から押し当てると、剥離材103を剥がしたことで露出した基材101の前端1011側の下面101bに設けられた粘着材102に注射針200が貼り付く(図3(c))。そして、医療廃棄物回収具1を持ち上げることで、医療廃棄物回収具1に貼り付けた状態で注射針200を拾い上げることができる。そして、この注射針200が貼り付いた状態の医療廃棄物回収具1を、医療廃棄物を収容する容器(図示せず)等に入れることで、医療廃棄物である注射針200を回収することができる。
この医療廃棄物回収具1においては、ユーザが直接、医療廃棄物に触れることなく、例えば、ユーザとの間を基材101で隔てて医療廃棄物を回収できるため、衛生的かつ安全に医療廃棄物を回収することができる。特に、基材101として、十分な厚さを有する樹脂性のシートやフィルム等を用いることで、基材101の下面101b側に貼り付けた注射針等の医療廃棄物が基材101を突き破ってユーザ側に出現することを防ぐことができる。
また、医療廃棄物回収具1の基材101の切り込み104よりも後端1012側の左右を指で両側から挟んだ状態で、基材101の切り込み104よりも前端1011側で医療廃棄物を貼り付けて回収できるため、医療廃棄物回収具1を持つユーザの手と、医療廃棄物との距離を離して、安全性を高めることができる。また、医療廃棄物回収具1の基材101の切り込み104よりも後端1012側の左右を指で挟んで、この後端1012側を横方向において下方向に凸となるように湾曲させた状態で、基材101の前端1011側を押し当てることで、中心線1015近傍において後端1012側と繋がっている基材101の前端1011側も、後端1012側に近い部分が下方に凸となるよう湾曲することにより、基材101の前端1011側を、医療廃棄物に押し当てた際(すなわち外力を加えた際)に前端1011側が弾性変形しにくくなり、基材101の切れ込み104よりも前端1011側を医療廃棄物に強く押し当てることが可能となる。また、この弾性変形の強さ等は、基材101の切り込み104よりも後端1012側の左右を挟む力加減で調整することも可能である。
また、基材101の下面101bに医療廃棄物を貼り付けて、医療廃棄物を回収するため、医療廃棄物を挟んで持つための道具等を用いて挟む作業等が不要となり、容易にかつ迅速に医療廃棄物を回収することが可能となる。
また、透明な基材101を用いることで、医療廃棄物を貼り付ける際の目視による位置決めが容易になり、確実に医療廃棄物を回収することが可能となる。さらに、基材101の前端1011の切り込み104よりも前端側の領域の中央近傍に目印1017を設けることで、医療廃棄物をどこに貼り付けることが好ましいかを適切にガイドして、作業効率を向上させることができる。
また、医療廃棄物回収具1は、使用時以外は、厚さが薄いシート状であるため、かさばらず、持ち運びが容易である。特に、医療廃棄物回収具1をカード形状としたことにより、一般的なクレジットカードや名刺等のように、胸ポケット等のポケット内にいれて、容易に持ちあることが可能となる。
また、基材101の切り込み104よりも後端1012側の左右に、矢印1016を設けることで、使い方が容易に理解できるとともに、どの部分を指等で挟めばよいかを適切にガイドして、作業効率を向上させることができる。
なお、ここでは、基材101を湾曲させた状態で、剥離材103の前端1011側を剥がすようにしたが、剥離材103の前端1011側を剥がしたあとに、基材101を湾曲させるようにしてもよい。
また、上記の医療廃棄物回収具1の使い方や持ち方等は一例であり、医療廃棄物回収具1の使い方や持ち方等は、上記の使い方や持ち方等に限定されるものではない。例えば、医療廃棄物回収具1の切り込み104よりも後端1012側を、上記のように横方向において下方に凸となるよう反らせるように湾曲させて持つことが可能であれば、上記の両側から挟むような持ち方に限定されるものではない。
なお、上記においては、基材101および剥離材103の切り込み104よりも後端1012側を、左右方向において下方向に湾曲するように曲げて持つ(例えば、挟んで持つ)ようにしたが、医療廃棄物回収具1の切り込み104よりも後端1012側は、左右方向において下方向に凸となるよう曲げて持つことができれば、必ずしも湾曲させるようにして持つ必要はなく、例えば、後端1012側を、左右方向において下方向に凸となるよう一箇所以上で折り曲げて持つようにしてもよい。例えば、特に、基材101の切り込み104よりも前端1011側の部分が、外力を加えた状態であっても、切り込み104よりも後端1012側の部分に対して弾性変形しにくい、厚さや、材質、切り込み104の形状等の組合せを有しているものである場合、上記のように、基材101の切り込み104よりも後端1012側を、上記のように横方向に向かって反らせるように曲げて持つ代わりに、医療廃棄物回収具1の切り込み104よりも後端1012側の左右を、中心線1015の近傍部分に対して上方に塑性変形させて折曲げ、この折曲げた部分を指等でつまんで持つようにしてもよい。
以上、本実施の形態によれば、医療廃棄物を安全かつ容易に回収することができる。例えば、剥離材の切り込みよりも前端側を剥がした状態で、基材と剥離材の切り込みよりも後端側の左右を、中心側が下方向に湾曲するよう挟んで持ち、基材の切り込みよりも前端側の下面に露出した粘着材に医療廃棄物を貼り付けることにより、医療廃棄物を安全かつ容易に回収することができる。
なお、基材101の厚さ、材質、切り込み104の形状等の組み合わせは、医療廃棄物回収具1を用いて医療廃棄物を回収する作業を適切に行うことが可能となるような組合せであることが好ましい。例えば、基材101の厚さ、材質、切り込み104の形状等の組み合わせは、基材101の切り込み104よりも前端1011側の部分に外力が加わらない状態で、基材101が略平面形状を保っており、基材101の切り込み104よりも前端1011側の部分に外力が加わった状態で、基材101の前端1011から切り込み104までの部分が弾性変形するような組み合わせであることが好ましい。特に、基材101の厚さ、材質、切り込み104の形状等の組み合わせは、医療廃棄物回収具1の切り込み104よりも後端1012側を横方向において下方向に凸となるよう湾曲させた状態(例えば、曲面状に曲げた状態)において、基材101の切り込み104よりも前端1011側の部分に外力が加わらない時には、基材101が略平面形状を保っており、基材101の切り込み104よりも前端1011側の部分に外力が加わった時には、基材101の前端1011から切り込み104までの部分が弾性変形するような組み合わせであることが好ましい。
なお、ここでの略平面形状を保っている状態とは、例えば、基材101の切り込み104よりも前端1011側の部分が、後端1012側の部分に対して下方に垂れ下がっていない状態と考えてもよい。また、上記の基材101の厚さ、材質、切り込み104の形状等の組み合わせには、左右の切り込み104の、基材101の内側の端部1041間の距離も含まれると考えてもよい。また、切り込み104よりも後端1012側に残される剥離材103の材質や厚さ等も、上記の組み合わせに含まれると考えてもよい。
なお、上記実施の形態においては、基材101の左右に切り込み104が設けられている場合について説明したが、切り込み104を設ける代わりに、あるいは、切り込み104に加えて、基材101の後端1012側を、左右方向において下方向に凸となるよう容易に曲げやすくするための1以上の折り筋を設けてもよい。例えば、1以上の折り筋は、それぞれ、基材101の後端1012側において、基材101の前後方向に伸びている部分を有していてもよい。また、折り筋は、基材101の左右の側端部から内側方向に向かって、内側に向かうに従って連続的または段階的に後端1012方向に伸びる部分を有していてもよい。なお、剥離材103の、基材101と同じ位置にも、折り筋や切り込み等を設けるようにしてもよい。
図4(a)~図4(d)は、基材101に折り筋107を設けた本実施の形態の医療廃棄物回収具1の変形例を説明するための上面図である。
例えば、図4(a)に示すように、基材101の後端1012側の基材101の中心線1015上に、基材101の中心側から後端1012に達するように伸びる一本の折り筋107を設けてもよい。
また、図4(b)に示すように、基材101の後端1012側に、基材101の中心側から後端1012に達するよう、基材101の中心線1015に沿って2本の折り筋107を設けてもよい。この二本の折り筋107は、中心線1015の両側の中心線1015との距離が等距離となる位置に設けることが好ましい。ここでは、折り筋107が、例えば、中心線1015に向かって膨らむように、曲線状に伸びている場合について示している。ただし、二本の折り筋107は曲線状に伸びていなくてもよく、例えば、直線状に伸びていてもよい。なお、上記のような中心線1015に沿って伸びる折り筋107を三本以上設けるようにしてもよい。
なお、図4(a)および図4(b)において示した折り筋107は、上述した基材101の後端1012側において、基材101の前後方向に伸びている部分と考えてもよい。
また、図4(c)に示すように、図4(a)に示す折り筋107において、折り筋107の基材101の中心側に位置する端部が、2方向に分岐していてもよい。この場合、図4(c)に示すように、分岐した端部は、基材101の左右の側端部に達していてもよく、達していなくてもよい。また、折り筋107の分岐した部分は、図4(c)に示すように、y字状に分岐して、斜め前方にそれぞれ伸びていることが好ましい。図4(c)において、折り筋107の斜め前方に伸びている部分が、例えば、上述した基材101の左右の側端部から内側方向に向かって、内側に向かうに従って連続的または段階的に後端1012方向に伸びる部分に相当する。
また、図4(d)に示すように、折り筋107が、中心線1015から予め決められた位置までは、左側端1013および右側端1014から、それぞれ、内側に向かうに従って連続的または段階的に後端方向に伸びるように設けられているとともに、予め決められた位置からは、後端1012に向かって中心線1015に平行に伸びるようにしてもよい。
また、基材101が切り込み104を有する場合に、少なくともこの切り込み104よりも後端1012側となる位置に、図4(a)や、図4(b)に示すような折り筋107を設けてもよい。
上記のような折り筋107を設けた場合においても、基材101の後端1012側を左右方向において下方向に凸となるよう曲げた状態であって、剥離材103の前端1011側を剥がした状態において、基材101の前端101側の粘着材102が設けられた下面101b側が、医療廃棄物の回収面となり、この基材101の前端1011側の裏面101bに設けられた粘着材102で、医療廃棄物を貼り付けて回収することができる。
また、上記のような折り筋107を設けることで、折り筋107が設けられている部分で基材101が折れ曲がり易くなり、基材101および剥離材103を、左右方向によって曲げやすくすることができる。なお、折り筋107に沿って基材101や剥離材103を折り曲げて、折り曲げた基材および剥離材103を持つようにしてもよい。
なお、上記のように折り筋1017を設ける場合も、剥離材103の折り筋よりも前端1011側の部分だけを剥がして除去しやすいように、折り筋1017よりも前端1011側に、左右方向に伸びる切れ目を設けるようにしてもよい。
また、折り筋を設ける場合、左右の矢印1016等の印は、折り筋が設けられている部分の左右に設けるようにしてもよい。また、目印1017は、基材101の折り筋よりも前端1011側の領域、例えば、前端1011側の領域の中心近傍に設けることが好ましい。
また、折り筋が設けられている場合、ユーザは、基材101および剥離材103の、折り筋の前後方向に伸びる部分が設けられている部分の左右を持つ(例えば、挟んで持つ)ようにすることが好ましい。
なお、上記においては、基材101等に切り込み104や折り筋107が設けられている場合について説明したが、基材101には、切り込み104や折り筋107が設けられていなくてもよい。この場合においても、基材101および剥離材103の後端側1012を左右方向において下側が凸となるように曲げて持つ(例えば、左右を指で挟む)とともに、前端1011側の剥離材1013を剥がした状態とすることにより、基材101の前端1011側の下面101b側に設けられた粘着材102を回収面として、医療廃棄物を回収することが可能となる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。