JP7057869B1 - めっき装置 - Google Patents

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Abstract

膜の下面に全体的に滞留した気泡に起因して基板のめっき品質が悪化することを抑制できる技術を提供する。めっき装置1000は、めっき槽10と、基板ホルダ20と、膜モジュール40と、を備え、膜モジュールは、第1膜41と、第2膜42と、を備え、第2膜は、第2膜よりも下方の第1領域R1のめっき液が第2膜よりも上方且つ第1膜よりも下方の第2領域R2に流入するための流入口42cと、水平方向に対して傾斜するとともに、アノード室の中央側からアノード室の外縁側に向かうに従って上方に位置するように傾斜する傾斜部位42bと、を有する。

Description

本発明はめっき装置に関する。
従来、基板にめっき処理を施すめっき装置として、いわゆるカップ式のめっき装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。このようなめっき装置は、アノードが配置されためっき槽と、アノードよりも上方に配置されて、カソードとしての基板を、基板のめっき面がアノードに対向するように保持する基板ホルダと、を備えている。また、このようなめっき装置は、めっき槽の内部におけるアノードよりも上方且つ基板よりも下方の箇所に、イオン交換膜等の膜を有している。この膜は、めっき槽の内部を、膜よりも下方のアノード室と、膜よりも上方のカソード室とに区画している。上述したアノードはアノード室に配置されている。基板へのめっき処理時において、基板はカソード室に配置されている。
特開2008-19496号公報 米国特許第6821407号明細書
上述したような、膜を有するカップ式のめっき装置において、何らかの原因により、アノード室に気泡が発生することがある。このようにアノード室に気泡が発生して、この気泡が膜の下面に全体的に滞留した場合、この気泡に起因して基板のめっき品質が悪化するおそれがある。
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、膜の下面に全体的に滞留した気泡に起因して基板のめっき品質が悪化することを抑制できる技術を提供することを目的の一つとする。
(態様1)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るめっき装置は、底壁と前記底壁の外縁から上方に延在する外周壁とを有し、めっき液を貯留するとともに、アノードが配置されためっき槽と、前記アノードよりも上方に配置されて、カソードとしての基板を当該基板が前記アノードに対向するように保持する基板ホルダと、前記アノードよりも上方且つ前記基板よりも下方に配置された膜モジュールと、を備え、前記膜モジュールは、前記めっき槽の内部をアノード室と当該アノード室よりも下方のカソード室とに区画する第1膜と、前記第1膜に接触しない態様で前記第1膜よりも下方且つ前記アノードよりも上方の箇所に配置された第2膜と、を備え、前記第2膜は、前記第2膜よりも下方の第1領域のめっき液が前記第2膜よりも上方且つ前記第1膜よりも下方の第2領域に流入するための流入口と、水平方向に対して傾斜するとともに、前記アノード室の中央側から前記アノード室の外縁側に向かうに従って上方に位置するように傾斜する傾斜部位と、を有する。
この態様によれば、上記のような第2膜を備えているので、アノード室に気泡が発生した場合であっても、この気泡を、浮力を利用して第2膜の傾斜部位に沿って移動させて第2膜の傾斜部位の外縁に移動させることができる。これにより、アノード室に発生した気泡が第1膜及び第2膜の下面に全体的に滞留することを抑制できる。この結果、第1膜及び第2膜の下面に全体的に滞留した気泡に起因して、基板のめっき品質が悪化することを抑制できる。
(態様2)
上記の態様1において、前記第1膜は、水平方向に延在する延在部位と、当該延在部位を起点として当該延在部位から離れる方向で一方側及び他方側に延在するとともに当該延在部位から離れるに従って上方に位置するように傾斜する傾斜部位を備えていてもよい。
(態様3)
上記の態様2は、前記めっき槽の前記外周壁には、前記カソード室のめっき液を前記カソード室から排出するためのドレイン口が設けられ、前記ドレイン口は、前記第1膜の前記延在部位から前記ドレイン口までの高さが20mm以内になるように設けられていてもよい。
この態様によれば、カソード室のめっき液をカソード室から容易に排出できる。
(態様4)
上記の態様1~3のいずれか1態様において、前記膜モジュールは、前記第2膜を支持する第2膜用サポート部材をさらに備えていてもよい。
(態様5)
上記の態様1~4のいずれか1態様において、前記膜モジュールは、前記第1膜を支持する第1膜用サポート部材をさらに備えていてもよい。
(態様6)
上記の態様1~5のいずれか1態様は、前記第2膜の前記傾斜部位の外縁に沿うように、前記めっき槽の前記外周壁に形成された、収容溝をさらに備え、前記収容溝は、前記第2膜の前記傾斜部位の外縁に移動した気泡を一時的に収容するように構成されるとともに、前記第1領域のめっき液及び前記第2領域のめっき液が前記収容溝において合流するように構成され、前記収容溝に連通して、前記収容溝に収容された気泡を前記収容溝を流動するめっき液とともに吸い込んで前記めっき槽の外部に排出するように構成されたアノード室用排出口を、さらに備えていてもよい。
この態様によれば、第2膜の傾斜部位の外縁に移動した気泡を収容溝に一時的に収容させて、この収容された気泡を、第1領域及び第2領域のめっき液とともに、アノード室用排出口を介して、めっき槽の外部に排出することができる。これにより、第2膜の下面に気泡が滞留することを効果的に抑制できる。また、収容溝に気泡が一時的に収容されることで、この収容溝において、複数の小さな気泡が結合して大きな気泡になることができる。これにより、アノード室用排出口から、気泡を排出させ易くすることができる。
(態様7)
上記の態様1~6のいずれか1態様において、前記カソード室における前記基板よりも下方にはイオン抵抗体が配置され、前記カソード室における前記イオン抵抗体よりも下方且つ前記膜モジュールよりも上方には、前記カソード室における電場を調整するための、リング状の電場調整ブロックが配置され、前記イオン抵抗体には、前記イオン抵抗体の下面と上面とを貫通するように設けられた貫通孔が複数設けられ、前記電場調整ブロックの内径は、前記イオン抵抗体における複数の前記貫通孔が設けられているエリアであるパンチングエリアの外径よりも小さくてもよい。
この態様によれば、イオン抵抗体によって、基板に形成されるめっき皮膜の膜厚の均一化を図ることができる。また、電場調整ブロックによって、カソード室における電場を調整できるので、めっき皮膜の膜厚の均一化を効果的に図ることができる。
(態様8)
上記の態様1~7のいずれか1態様は、前記第1領域の気泡が前記流入口に流入することを抑制するように構成された抑制部材をさらに備えていてもよい。
この態様によれば、第1領域の気泡が流入口から第2領域に流入することを抑制できる。
(態様9)
上記の態様8において、前記抑制部材は、前記第2膜の前記流入口よりも下方に配置されて、水平方向に延在する抑制板を備えていてもよい。
(態様10)
上記の態様8において、前記抑制部材は、前記第2膜の前記流入口よりも下方に配置されて、水平方向に延在する筒部材と、前記筒部材の内部と、前記流入口とを連結する連結部材と、を備えていてもよい。
(態様11)
上記の態様1~10のいずれか1態様は、前記基板へのめっき処理の実行時に、前記アノード室とアノード室用のリザーバータンクとの間でめっき液を流通させるとともに、前記カソード室とカソード室用のリザーバータンクとの間でめっき液を流通させるように構成された、めっき液流通モジュールをさらに備えていてもよい。
(態様12)
上記の態様11において、前記めっき液流通モジュールは、前記アノード室のめっき液を前記アノード室用のリザーバータンクに流通させる流路に配置されて、前記アノード室の圧力が前記カソード室の圧力と同じ値になるように前記アノード室の圧力を調整する圧力調整バルブを備えていてもよい。
この態様によれば、シンプルな構成で、アノード室の圧力をカソード室の圧力と同じ値に制御できる。
実施形態1に係るめっき装置の全体構成を示す斜視図である。 実施形態1に係るめっき装置の全体構成を示す上面図である。 実施形態1に係るめっきモジュールの構成を模式的に示す図である。 実施形態1に係る供給・ドレイン口の詳細を説明するための模式図である。 実施形態1に係る膜モジュールの模式的な分解斜視図である。 図3のA1部分の模式的な拡大断面図である。 実施形態1に係る第1膜の模式的な上面図である。 実施形態1に係る第1サポート部材の模式的な上面図である。 実施形態1に係る第2膜及び第2サポート部材の模式的な上面図である。 図9のB1-B1線断面を模式的に示す断面図である。 実施形態1に係る第1シール部材の模式的な上面図である。 実施形態1に係る第2シール部材又は第3シール部材の模式的な上面図である。 図3のA2部分の模式的な拡大断面図である。 図13のA4部分の模式的な拡大図である。 実施形態2に係るめっき装置の第2膜の周辺構成を模式的に示す断面図である。 実施形態2の変形例に係るめっき装置の第2膜の周辺構成を模式的に示す断面図である。 実施形態3に係るめっき液流通モジュールを説明するための模式図である。
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面は、特徴の理解を容易にするために模式的に図示されており、各構成要素の寸法比率等は実際のものと同じであるとは限らない。また、いくつかの図面には、参考用として、X-Y-Zの直交座標が図示されている。この直交座標のうち、Z方向は上方に相当し、-Z方向は下方(重力が作用する方向)に相当する。
図1は、本実施形態のめっき装置1000の全体構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態のめっき装置1000の全体構成を示す上面図である。図1及び図2に示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、プリソークモジュール300、めっきモジュール400、洗浄モジュール500、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、及び、制御モジュール800を備える。
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収容された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出するためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数及び配置は任意である。搬送ロボット110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、プリウェットモジュール200、及び、スピンリンスドライヤ600の間で基板を受け渡すように構成される。搬送ロボット110及び搬送装置700は、搬送ロボット110と搬送装置700との間で基板を受け渡す際には、仮置き台(図示せず)を介して基板の受け渡しを行うことができる。
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では2台のアライナ120が水平方向に並べて配置されているが、アライナ120の数及び配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数及び配置は任意である。
プリソークモジュール300は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸等の処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリソークモジュール300が上下方向に並べて配置されているが、プリソークモジュール300の数及び配置は任意である。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。本実施形態では、上下方向に3台かつ水平方向に4台並べて配置された12台のめっきモジュール400のセットが2つあり、合計24台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数及び配置は任意である。
洗浄モジュール500は、めっき処理後の基板に残るめっき液等を除去するために基板に洗浄処理を施すように構成される。本実施形態では2台の洗浄モジュール500が上下方向に並べて配置されているが、洗浄モジュール500の数及び配置は任意である。スピンリンスドライヤ600は、洗浄処理後の基板を高速回転させて乾燥させるためのモジュールである。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤ600が上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤ600の数及び配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収容された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板をプリウェットモジュール200へ受け渡す。
プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をプリソークモジュール300へ搬送する。プリソークモジュール300は、基板にプリソーク処理を施す。搬送装置700は、プリソーク処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を洗浄モジュール500へ搬送する。洗浄モジュール500は、基板に洗浄処理を施す。搬送装置700は、洗浄処理が施された基板をスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に乾燥処理を施す。搬送ロボット110は、スピンリンスドライヤ600から基板を受け取り、乾燥処理を施した基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収容したカセットが搬出される。
なお、図1や図2で説明しためっき装置1000の構成は、一例に過ぎず、めっき装置1000の構成は、図1や図2の構成に限定されるものではない。
続いて、めっきモジュール400について説明する。なお、本実施形態に係るめっき装置1000が有する複数のめっきモジュール400は同様の構成を有しているので、1つのめっきモジュール400について説明する。
図3は、本実施形態に係るめっき装置1000における一つのめっきモジュール400の構成を模式的に示す図である。本実施形態に係るめっき装置1000は、カップ式のめっき装置である。本実施形態に係るめっき装置1000のめっきモジュール400は、めっき槽10と、基板ホルダ20と、回転機構22と、昇降機構24と、電場調整ブロック30と、膜モジュール40と、を備えている。
めっき槽10は、上方に開口を有する有底の容器によって構成されている。具体的には、めっき槽10は、底壁10aと、この底壁10aの外縁から上方に延在する外周壁10bとを有しており、この外周壁10bの上部が開口している。なお、めっき槽10の外周壁10bの形状は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る外周壁10bは、一例として円筒形状を有している。めっき槽10の内部には、めっき液Psが貯留されている。めっき槽10の外周壁10bの外側には、外周壁10bの上端からオーバーフローしためっき液Psを貯留するためのオーバーフロー槽19が配置されている。
めっき液Psとしては、めっき皮膜を構成する金属元素のイオンを含む溶液であればよく、その具体例は特に限定されるものではない。本実施形態においては、めっき処理の一例として、銅めっき処理を用いており、めっき液Psの一例として、硫酸銅溶液を用いている。
また、本実施形態において、めっき液Psには所定のめっき添加剤が含まれている。この所定のめっき添加剤の具体例として、本実施形態では、「非イオン系のめっき添加剤」が用いられている。なお、非イオン系のめっき添加剤とは、めっき液Ps中においてイオン性を示さない添加剤を意味している。
めっき槽10の内部には、アノード13が配置されている。また、アノード13は、水平方向に延在するように配置されている。アノード13の具体的な種類は特に限定されるものではなく、不溶解アノードであってもよく、溶解アノードであってもよい。本実施形態では、アノード13の一例として、不溶解アノードを用いている。この不溶解アノードの具体的な種類は、特に限定されるものではなく、白金や酸化イリジウム等を用いることができる。なお、アノード13と、後述する膜モジュール40の第2膜42との間には、アノードマスクが配置されていてもよい。
めっき槽10の内部における後述するカソード室12には、イオン抵抗体14が配置されている。具体的には、イオン抵抗体14は、カソード室12における膜モジュール40よりも上方且つ基板Wfよりも下方の箇所に設けられている。イオン抵抗体14は、カソード室12におけるイオンの移動の抵抗となり得る部材であり、アノード13と基板Wfとの間に形成される電場の均一化を図るために設けられている。
イオン抵抗体14は、イオン抵抗体14の下面と上面とを貫通するように設けられた複数の貫通孔15を有する板部材によって構成されている。この複数の貫通孔15は、イオン抵抗体14のパンチングエリアPA(上面視で円形のエリアである)の部分に設けられている。イオン抵抗体14の具体的な材質は特に限定されるものではないが、本実施形態においては一例として、ポリエーテルエーテルケトン等の樹脂を用いている。
めっきモジュール400がイオン抵抗体14を有することで、基板Wfに形成されるめっき皮膜(めっき層)の膜厚の均一化を図ることができる。
電場調整ブロック30は、リング状の部材によって構成されている。また、電場調整ブロック30は、カソード室12におけるイオン抵抗体14よりも下方、且つ、膜モジュール40よりも上方に配置されている。具体的には、本実施形態に係る電場調整ブロックは、後述する第1サポート部材43の上面に配置されている。
後述する図13に示すように、電場調整ブロック30の内周壁の内径D2は、イオン抵抗体14のパンチングエリアPAの外径D1よりも小さい値になっている。換言すると、電場調整ブロック30の内周壁は、イオン抵抗体14の径方向で最も外側に配置されている貫通孔15よりも、イオン抵抗体14の径方向で内側に位置している。
電場調整ブロック30は、カソード室12における電場を調整する機能を有している。具体的には、電場調整ブロック30は、基板Wfの外縁に電場が集中することを抑制して、基板Wfに形成されるめっき皮膜の膜厚が均一になるように、カソード室12の電場を調整している。電場調整ブロック30の具体的な材質は特に限定されるものではないが、本実施形態においては一例として、ポリエーテルエーテルケトン等の樹脂を用いている。
めっきモジュール400が電場調整ブロック30を備えることで、カソード室12における電場を調整できるので、めっき皮膜の膜厚の均一化を効果的に図ることができる。
なお、異なる内径D2を有する複数種類の電場調整ブロック30を予め準備しておくことが好ましい。この場合、この複数種類の電場調整ブロック30の中から所望の内径D2を有する電場調整ブロック30を選択し、この選択された電場調整ブロック30をめっき槽10に配置すればよい。
上述したイオン抵抗体14や電場調整ブロック30は、本実施形態に必須の部材ではなく、めっきモジュール400は、これらの部材を備えていない構成とすることもできる。
図3を参照して、膜モジュール40は、めっき槽10の内部において、アノード13と基板Wf(カソード)との間の箇所(具体的には、本実施形態では、アノード13とイオン抵抗体14との間の箇所)に配置されている。めっき槽10の内部において、膜モジュール40の後述する第1膜41よりも下方の領域をアノード室11と称し、第1膜41よりも上方の領域をカソード室12と称する。前述したアノード13はアノード室11に配置されている。この膜モジュール40の詳細は後述する。
基板ホルダ20は、カソードとしての基板Wfを、基板Wfの被めっき面(下面)がアノード13に対向するように保持している。基板ホルダ20は、回転機構22に接続されている。回転機構22は、基板ホルダ20を回転させるための機構である。回転機構22は、昇降機構24に接続されている。昇降機構24は、上下方向に延在する支柱26によって支持されている。昇降機構24は、基板ホルダ20及び回転機構22を昇降させるための機構である。なお、基板Wf及びアノード13は、通電装置(図示せず)と電気的に接続されている。通電装置は、めっき処理の実行時に、基板Wfとアノード13との間に電気を流すための装置である。
めっき槽10には、アノード室11にめっき液Psを供給するためのアノード室用供給口16と、アノード室11からめっき液Psをめっき槽10の外部に排出するためのアノード室用排出口17と、が設けられている。本実施形態に係るアノード室用供給口16は、一例として、めっき槽10の底壁10aに配置されている。アノード室用排出口17は、一例として、めっき槽10の外周壁10bに配置されている。また、アノード室用排出口17は、めっき槽10の2箇所に設けられている。なお、アノード室用排出口17の詳細は、後述する。
アノード室用排出口17から排出されためっき液Psは、アノード室用のリザーバータンクに一時的に貯留された後に、再びアノード室用供給口16からアノード室11に供給される。このめっき液Psの流通態様の詳細については、後述する他の実施形態(実施形態3)において説明する。
めっき槽10には、カソード室12用の供給・ドレイン口18が設けられている。供給・ドレイン口18は、「カソード室12用のめっき液Psの供給口」と「カソード室12用のめっき液Psのドレイン口」とが合体したものである。
すなわち、カソード室12にめっき液Psを供給する際には、この供給・ドレイン口18は「カソード室12用のめっき液Psの供給口」として機能して、この供給・ドレイン口18からめっき液Psがカソード室12に供給される。一方、カソード室12からめっき液Psを排出する際には、この供給・ドレイン口18は、「カソード室12用のめっき液Psのドレイン口」として機能して、この供給・ドレイン口18からカソード室12のめっき液Psが排出される。
具体的には、本実施形態に係る供給・ドレイン口18には、流路切り替えバルブ(図示せず)が接続されている。この流路切り替えバルブによる流路の切り替えによって、供給・ドレイン口18は、カソード室12にめっき液Psを供給することと、カソード室12のめっき液Psをめっき槽10の外部に排出することと、を選択的に行う。
図4は、供給・ドレイン口18の詳細を説明するための模式図である。具体的には、図4には、めっき槽10の模式的な上面図が図示されているとともに、図4の一部(A3部分)には、供給・ドレイン口18の周辺構成の模式的な正面図も図示されている。なお、図4において、イオン抵抗体14、電場調整ブロック30、後述する第1サポート部材43及び第1シール部材45の図示は省略されている。
図4に示すように、本実施形態に係る供給・ドレイン口18は、めっき槽10の外周壁10bに設けられている。また、供給・ドレイン口18は、後述する第1膜41の延在部位41aから供給・ドレイン口18までの高さ(H)が、20mm以内になるように、設けられている。すなわち、この高さ(H)は、0mmであってもよく(この場合、供給・ドレイン口18は第1膜41の延在部位41aの直上に配置される)、あるいは20mmであってもよく、あるいは0mmよりも大きく20mmよりも小さい範囲から選択された任意の値であってもよい。
この構成によれば、カソード室12のめっき液Psをカソード室12から容易に排出できる。
なお、供給・ドレイン口18の構成は上記の構成に限定されるものではない。他の一例を挙げると、めっきモジュール400は、供給・ドレイン口18に代えて、「カソード室12用のめっき液Psの供給口」、及び、「カソード室12用のめっき液Psのドレイン口」を、個別に備えていてもよい。
基板Wfへのめっき処理を実行する際には、まず、回転機構22が基板ホルダ20を回転させるとともに、昇降機構24が基板ホルダ20を下方に移動させて、基板Wfをめっき槽10のめっき液Ps(カソード室12のめっき液Ps)に浸漬させる。次いで、通電装置によって、アノード13と基板Wfとの間に電気が流される。これにより、基板Wfの被めっき面に、めっき皮膜が形成される。
なお、基板Wfへのめっき処理の実行時に、供給・ドレイン口18は「カソード室12用のめっき液Psのドレイン口」としての機能を発揮しないようになっている。具体的には、めっき処理の実行時において、カソード室12のめっき液Psは、めっき槽10の外周壁10bの上端からオーバーフローしてオーバーフロー槽19に一時的に貯留される。めっき処理の終了後に、カソード室12のめっき液Psをカソード室12から排出して、カソード室12のめっき液Psを空にする場合に、供給・ドレイン口18は開弁状態になって「カソード室12用のめっき液Psのドレイン口」として機能して、めっき液Psが供給・ドレイン口18から排出される。
ところで、本実施形態のようなカップ式のめっき装置1000において、何らかの原因により、アノード室11に気泡Bu(この符号は、後述する図13に記載されている)が発生することがある。具体的には、本実施形態のように、アノード13として不溶解アノードを用いる場合、めっき処理の実行時(通電時)に、アノード室11には以下の反応式に基づいて酸素(O)が発生する。この場合、この発生した酸素が気泡Buとなる。
2HO→O+4H++4e-
また、仮に、アノード13として溶解アノードを用いる場合には、上記のような反応式は生じないが、例えば、アノード室11にめっき液Psを最初に供給する際に、空気がめっき液Psとともにアノード室11に流入するおそれがある。したがって、アノード13として溶解アノードを用いる場合においても、アノード室11に気泡Buが発生する可能性がある。
上述したように、アノード室11に気泡Buが発生した場合において、仮に、この気泡Buが膜モジュール40の下面(具体的には、後述する第2膜42の下面)に全体的に滞留した場合、この気泡Buが電場を遮断するおそれがある。この場合、基板Wfのめっき品質が悪化するおそれがある。そこで、本実施形態では、このような問題に対処するために、以下に説明する技術を用いている。
図5は、膜モジュール40の模式的な分解斜視図である。図6は、図3のA1部分の模式的な拡大断面図である。本実施形態に係る膜モジュール40は、第1膜41と、第2膜42と、第1サポート部材43(すなわち「第1膜用サポート部材」)と、第2サポート部材44(すなわち「第2膜用サポート部材」)と、第1シール部材45と、第2シール部材46と、第3シール部材47と、を備えている。膜モジュール40のこれらの構成部材は、ボルト等の締結部材を用いてめっき槽10の外周壁10bの所定箇所(すなわち、膜モジュール40が固定される被固定箇所)に固定されている。
図7は、第1膜41の模式的な上面図である。図8は、第1サポート部材43の模式的な上面図である。図9は、第2膜42及び第2サポート部材44の模式的な上面図である。図10は、図9のB1-B1線断面を模式的に示す断面図である。図11は、第1シール部材45の模式的な上面図である。図12は、第2シール部材46(又は第3シール部材47)の模式的な上面図である。図13は、図3のA2部分の模式的な拡大断面図である。
第1膜41は、めっき液Psに含まれるイオン種(これは金属イオンを含んでいる)が第1膜41を通過することを許容しつつ、めっき液Psに含まれる非イオン系のめっき添加剤が第1膜41を通過することを抑制するように構成された膜である。具体的には、第1膜41は、複数の微細な孔(微細孔)を有している(この微細孔の図示は省略されている)。この複数の孔の平均的な直径はナノメートルサイズ(すなわち、1nm以上999nm以下のサイズ)である。これにより、金属イオンを含むイオン種(これはナノメートルサイズである)が第1膜41の複数の微細孔を通過することは許容される一方で、非イオン系のめっき添加剤(これは、ナノメートルサイズよりも大きい)が第1膜41の複数の微細孔を通過することは抑制されている。このような第1膜41としては、例えば、イオン交換膜を用いることができる。第1膜41の具体的な製品名を挙げると、例えば、ケマーズ社製のナフィオン膜(Nafion膜)等が挙げられる。
本実施形態のように、めっきモジュール400が第1膜41を備えることで、カソード室12のめっき液Psに含まれる非イオン系のめっき添加剤がアノード室11へ移動することを抑制できる。これにより、カソード室12のめっき添加剤の消耗量の低減を図ることができる。
図7に示すように、第1膜41は、延在部位41aと、傾斜部位41bと、を備えている。延在部位41aは、水平方向に延在している。具体的には、延在部位41aは、アノード室11の中心を通過しつつ、水平方向(一例としてY方向)に延在している。また、延在部位41aは、所定の幅(X方向の長さ)を有する面によって構成されている。
傾斜部位41bは、延在部位41aを起点として延在部位41aから離れる方向で一方側(X方向側)及び他方側(-X方向側)に延在するとともに、延在部位41aから離れるに従って上方に位置するように傾斜している。この結果、本実施形態に係る第1膜41は、正面視で(Y方向から視認した場合に)、「V字状」の外観形状を有している。なお、本実施形態に係る傾斜部位41bの外縁は円弧状になっている。具体的には、傾斜部位41bの外縁は、この外縁の一部が延在部位41aの両端(Y方向側の端部及び-Y方向側の端部)に接続した、円弧状になっている。この結果、第1膜41は、上面視で略円形になっている。
なお、第1膜41の傾斜部位41bの水平方向に対する傾斜角度の一例を挙げると、この傾斜角度として、例えば2度以上の値を用いることができ、具体的には、2度以上45度以下の値を用いることができる。
図8に示すように、第1サポート部材43は、第1膜41を支持するための部材である。具体的には、第1サポート部材43は、第1膜41の延在部位41aを支持する第1部位43aと、第1膜41の傾斜部位41bの外縁を支持する第2部位43bとを備えている。第1部位43aは水平方向に延在している。具体的には、第1部位43aは、アノード室11の中心を通過しつつ、水平方向(一例としてY方向)に延在している。また、第2部位43bは、環状の部材によって構成されているとともに、第1部位43aから離れるに従って上方に位置するように傾斜している。
また、本実施形態に係る第1部位43aは、第1膜41の上方に位置しており、第1膜41を上方側から支持している。
図5に示すように、第1シール部材45は、第1膜41と第1サポート部材43との間に挟持されているシール部材である。このように、第1膜41と第1サポート部材43との間に第1シール部材45が配置されていることで、第1膜41と第1サポート部材43とは、互いに非接触の状態になっている。
図11に示すように、第1シール部材45は、延在シール部位45aと、外縁シール部位45bとを備えている。延在シール部位45aは、水平方向に延在しており、第1膜41の延在部位41aと、第1サポート部材43の第1部位43aとの間に挟持される。外縁シール部位45bは、第1膜41の傾斜部位41bの外縁と第1サポート部材43の第2部位43bとの間に挟持される。
図5及び図6を参照して、第2膜42は、第1膜41に接触しない態様で、第1膜41よりも下方且つアノード13よりも上方の箇所に配置されている。第2膜42よりも下方の領域を「第1領域R1」と称し、第2膜42よりも上方且つ第1膜41よりも下方の領域(第2膜42と第1膜41との間の領域)を「第2領域R2」と称する。第2領域R2は、この領域をめっき液Psが流通できるようになっている。
図5、図6、図9及び図10を参照して、本実施形態に係る第2膜42は、第2サポート部材44に接合されている。具体的には、本実施形態に係る第2膜42は、一例として、第2サポート部材44の下面に接合されている。
第2膜42は、めっき液Psに含まれるイオン種(金属イオンを含むイオン種)が第2膜42を通過することを許容しつつ、気泡Buが第2膜42を通過することを抑制するように構成された膜である。具体的には、第2膜42は、複数の微細孔を有している(この微細孔の図示は省略されている)。この複数の微細孔の平均的な直径はナノメートルサイズである。これにより、金属イオンを含むイオン種が第2膜42の微細孔を通過することは許容される一方で、気泡Bu(これは、ナノメートルサイズよりも大きい)が第2膜42の微細孔を通過することは抑制される。
第2膜42は、第1膜41と異なる種類の膜を用いることが望ましい。たとえば、第2膜42は、材質、表面特性(疎水性、親水性など)、表面粗さ、微細孔の寸法や密度などが第1膜41と異なるものとすることができる。一実施形態として、第1膜41として、めっき液Psに含まれ得るめっき添加剤の移動を抑制する性能が優れた膜を使用し、第2膜42として、気泡Buが付着し難い気泡Buの流れ特性の優れた膜を使用することができる。なお、この第2膜42の微細孔の平均的な直径の大きさは、第1膜41の微細孔の平均的な直径よりも大きくてもよい。
なお、第2膜42の微細孔の平均的な直径の大きさの一例を挙げると、数十nm~数百nmの範囲から選択された値(この一例を挙げると、例えば10nm~300nmの範囲から選択された値)が挙げられる。また、第2膜42の表面粗さは小さい方が、気泡Buが付着し難くなる点で好ましい。また、第2膜42の表面が親水性である場合の方が、疎水性である場合よりも、気泡Buが付着し難くなる点で好ましい(一般に、気泡Buは疎水性である)。第2膜42の具体的な製品名を挙げると、例えば、株式会社ユアサメンブレンシステム製の「めっき用電解隔膜」等が挙げられる。
本実施形態によるめっきモジュール400は、第1膜41および第2膜42の2種類のイオン透過性の膜を使用している。膜の種類によっては、イオン透過性、添加剤の透過性、気泡の付着性などがそれぞれ異なり、1種類の膜のみではめっきモジュール400に望ましい機能を発揮することが難しい場合がある。そのため、本実施形態によるめっきモジュール400では、性質が異なる2種類のイオン透過性の膜を使うことでめっきモジュール400の全体の機能の向上を図ることができる。
図3、図9及び図10を参照して、第2膜42は、水平方向に対して傾斜するとともに、アノード室11の中央側からアノード室11の外縁側に向かうに従って上方に位置するように傾斜する傾斜部位42bを備えている。
具体的には、本実施形態に係る第2膜42は、上記の傾斜部位42bと、水平方向に延在する延在部位42aと、を備えている。傾斜部位42bは、延在部位42aを起点として延在部位42aから離れる方向で一方側(X方向側)及び他方側(-X方向側)に延在するとともに、延在部位42aから離れるに従って上方に位置するように傾斜している。この結果、本実施形態に係る第2膜42は、正面視で(Y方向から視認した場合に)、「V字状」の外観形状を有している。
なお、第2膜42の傾斜部位42bの水平方向に対する傾斜角度の一例を挙げると、この傾斜角度として、例えば2度以上の値を用いることができ、具体的には、2度以上45度以下の値を用いることができる。
なお、本実施形態に係る傾斜部位42bの外縁は円弧状になっている。具体的には、傾斜部位42bの外縁は、この外縁の一部が延在部位42aの両端(Y方向側の端部及び-Y方向側の端部)に接続した、円弧状になっている。この結果、第2膜42は、上面視で略円形になっている。また、本実施形態に係る第2膜42の傾斜部位42bは、第1膜41の傾斜部位41bと略平行になっている。
延在部位42aは、アノード室11の中心を通過しつつ、水平方向(一例としてY方向)に延在している。また、延在部位42aは、所定の幅(X方向の長さ)を有する面によって構成されている。延在部位42aは、第2サポート部材44の後述する第1部位44aの下面に接合されている。
また、第2膜42の延在部位42aには、第2膜42よりも下方のめっき液Psを第2膜42よりも上方且つ第1膜41よりも下方の領域に流入させるための流入口42c(これは、例えば図6や図10に図示されている)が設けられている。具体的には、本実施形態に係る流入口42cは、第2膜42の延在部位42aの延在方向に、複数個、設けられている。
なお、流入口42cの寸法(すなわち開口寸法)は、最短寸法が2mm以上で最長寸法が15mm以下であることが好ましい。具体的には、流入口42cが例えば円形の場合は、直径が2mm以上15mm以下であることが好ましい。流入口42cが例えば矩形の場合は、矩形の辺の長さが2mm以上15mm以下であることが好ましい。また、このような好適な寸法を有する流入口42cの個数は、1個でもよく、複数個でもよい。アノード室11の第1領域R1と第2領域R2とは、流入口42cにより流体接続される。
なお、第2膜42の傾斜部位42bの下面は、第1膜41の傾斜部位41bの下面よりも平滑であることが好ましい。換言すると、第2膜42の傾斜部位42bの下面の表面粗さ(Ra)は、第1膜41の傾斜部位41bの下面の表面粗さ(Ra)よりも小さいことが好ましい。この構成によれば、気泡Buを第2膜42の傾斜部位42bの下面に沿って効果的に移動させることができる。これにより、気泡Buに起因して基板Wfのめっき品質が悪化することを効果的に抑制できる。
第2サポート部材44は、第2膜42を支持するための部材である。具体的には、第2サポート部材44は、第2膜42の延在部位42aを支持する第1部位44aと、第2膜42の傾斜部位42bの外縁を支持する第2部位44bとを備えている。第1部位44aは、水平方向に延在している。具体的には、第1部位44aは、アノード室11の中心を通過しつつ、水平方向(一例としてY方向)に延在している。第2部位44bは、環状の部材によって構成されているとともに、第1部位44aから離れるに従って上方に位置するように傾斜している。
また、第1部位44aにおける第2膜42の流入口42cに対応する位置には、流入口42cに連通するように配置された孔44cが設けられている。これにより、流入口42cが第1部位44aによって閉塞しないようになっている。
図5及び図12に示すように、第2シール部材46は、第1膜41と第2サポート部材44との間に挟持されるように配置されたシール部材である。第3シール部材47は、第2サポート部材44と、めっき槽10の外周壁10bの被固定箇所と、の間に挟持されるように配置されたシール部材である。
本実施形態において、第2シール部材46及び第3シール部材47の形状は同様である。具体的には、図12に示すように、第2シール部材46及び第3シール部材47は、上面視で、全体的に円環状の形状を有している。第2シール部材46は、第1膜41の傾斜部位41bの外縁と第2サポート部材44の第2部位44bとの間に挟持される。また、第3シール部材47は、第2サポート部材44の第2部位44bとめっき槽10の外周壁10bの被固定箇所との間に挟持される。
以上説明したような本実施形態によれば、前述したような第2膜42を備えているので、図13に示すように、アノード室11に気泡Buが発生した場合であっても、この気泡Buを、浮力を利用して第2膜42の傾斜部位42bに沿って移動させて、第2膜42の外縁に移動させることができる。これにより、アノード室11に発生した気泡Buが第1膜41及び第2膜42の下面に全体的に滞留することを抑制できる。この結果、第1膜41及び第2膜42の下面に全体的に滞留した気泡Buに起因して、基板Wfのめっき品質が悪化することを抑制できる。
図14は、図13のA4部分の模式的な拡大図である。図13及び図14を参照して、めっき槽10の外周壁10bには、収容溝50が設けられている。収容溝50は、第2膜42の傾斜部位42bの外縁に沿うように、めっき槽10の外周壁10bに形成されている。具体的には、本実施形態に係る収容溝50は、第2膜42の傾斜部位42bの外縁に沿うように、外周壁10bの周方向の全周に形成されている。
この収容溝50は、第2膜42の傾斜部位42bの外縁に移動した気泡Buを一時的に収容するように構成されるとともに、第1領域R1のめっき液Ps及び第2領域R2のめっき液Psが収容溝50において合流するように構成されている。
具体的には、図14に示すように、本実施形態に係る収容溝50は、上側溝壁50aが第2膜42よりも上方に位置し、上側溝壁50aに対向する下側溝壁50bが第2膜42よりも下方に位置するように形成されている。これにより、収容溝50は、第2膜42の傾斜部位42bに沿って、この傾斜部位42bの外縁に移動した気泡Buを効果的に収容することができるとともに、第1領域R1及び第2領域R2のめっき液Psを、収容溝50において合流することが容易にできる。
なお、上側溝壁50aと下側溝壁50bとの間隔(すなわち、溝幅W1)は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、一例として、2mm以上30mm以下の範囲から選択された値になっている。
図13を参照して、収容溝50と後述するアノード室用排出口17とは、連通路51によって連通されている。具体的には、連通路51は、収容溝50の上端とアノード室用排出口17の上流端とを連通している。
アノード室用排出口17は、めっき槽10の外周壁10bに設けられた連通路51を介して、収容溝50に連通している。アノード室用排出口17は、第1領域R1のめっき液Ps、及び、第2領域R2のめっき液Psを、収容溝50に収容された気泡Buとともに吸い込んで、めっき槽10の外部に排出するように構成されている。
具体的には、本実施形態に係るアノード室用排出口17は、めっき槽10の外周壁10bに設けられた連通路51を介して、収容溝50の最も上方に位置する部分に連通している。また、第2サポート部材44の第2部位44bの一部には、第2膜42の上面に沿って流動した第2領域R2のめっき液Psが連通路51に流入するための溝44d(又は孔でもよい)が設けられている。第1領域R1のめっき液Psと第2領域R2のめっき液Psは、第2膜42に沿って流動した後に、合流して連通路51に流入し、次いで、アノード室用排出口17から排出される。なお、本実施形態に係るアノード室用排出口17は、合計で2つ設けられている。
本実施形態によれば、第2膜42の傾斜部位42bの外縁に移動した気泡Buを収容溝50に一時的に収容させて、この収容された気泡Buを、第1領域R1及び第2領域R2のめっき液Psとともに、アノード室用排出口17からめっき槽10の外部に排出することができる。これにより、第2膜42の下面に気泡Buが滞留することを効果的に抑制できる。
また、本実施形態によれば、収容溝50に気泡Buが一時的に収容されることで、この収容溝50において、複数の小さな気泡Buが結合して大きな気泡Buになることができる。これにより、アノード室用排出口17から、気泡Buを排出させ易くすることができる。
なお、図13に示すように、連通路51は、その断面積が下流側に向かうほど小さくなるように構成されていてもよい。この構成によれば、気泡Buが収容溝50に一時的に滞留し易くなるので、収容溝50において、複数の小さい気泡Buを効果的に結合させて大きな気泡Buにすることができる。これにより、アノード室用排出口17から、気泡Buを効果的に排出させることができる。
(実施形態2)
続いて、本発明の実施形態2について説明する。なお、以下の説明において、前述した実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付して、説明を省略する(これは、後述する実施形態3でも同様である)。図15は、本実施形態に係るめっき装置1000Aの第2膜42の周辺構成を模式的に示す断面図である。なお、図15において、第2サポート部材44、等の図示は省略されている。
本実施形態に係るめっき装置1000Aは、アノード室11の第1領域R1に存在する気泡Buが第2膜42の流入口42cに流入することを抑制するように構成された抑制部材60を、さらに備えている点において、前述した実施形態1に係るめっき装置1000と異なっている。
具体的には、本実施形態に係る抑制部材60は、第2膜42の流入口42cよりも下方に配置されて、水平方向に延在する板部材によって構成された抑制板61を備えている。本実施形態に係る抑制板61は、流入口42cよりも大きな面積を有する板部材によって構成されている。これにより、抑制板61を下方側から視認した場合に、流入口42cが全体的に抑制板61に隠れるようになっている。なお、抑制板61は、例えば、接続部材(図示せず)を介して第2サポート部材44に接続されることで、その位置が固定されていてもよい。
本実施形態によれば、上述した抑制部材60によって、第1領域R1の気泡Buが流入口42cに流入することを抑制できる。具体的には、流入口42cに向かって上昇した気泡Buが、抑制板61の下面に当たることで、この気泡Buが流入口42cに流入することを抑制できる。これにより、第1領域R1の気泡Buが流入口42cから第2領域R2に流入することを抑制できる。
(実施形態2の変形例)
図16は、実施形態2の変形例に係るめっき装置1000Bの第2膜42の周辺構成を模式的に示す断面図である。なお、図16において、第2サポート部材44、等の図示は省略されている。本変形例に係るめっき装置1000Bは、抑制部材60に代えて、抑制部材60Bを備えている。
抑制部材60Bは、筒部材62と連結部材63とを備えている。筒部材62は、第2膜42の流入口42cよりも下方に配置されて、水平方向(図16ではX軸の方向)に延在する筒状の部材によって構成されている。連結部材63は、筒部材62の内部と流入口42cとを連結するように構成された筒状の部材である。図16に例示するように、連結部材63の下端が筒部材62の筒側壁を貫通して筒部材62の内部に突出していてもよい。なお、アノード室11のめっき液Psは、筒部材62の内部及び連結部材63の内部をこの順に通過した後に、流入口42cに流入する。
本変形例によれば、流入口42cに向かって上昇した気泡Buが、筒部材62の下面(筒外壁の下面)や筒内壁の上面に当たることで、この気泡Buが流入口42cに流入することを抑制できる。これにより、第1領域R1の気泡Buが流入口42cから第2領域R2に流入することを抑制できる。
また、本変形例によれば、上述したように、連結部材63の下端が筒部材62の内部に突出しているので、仮に気泡Buが筒部材62の内部に侵入した場合であっても、この気泡Buが連結部材63における筒部材62の内部に突出した部分に当たることで、この気泡Buが連結部材63の内部に侵入することを抑制することができる。これにより、筒部材62の内部の気泡Buが第2領域R2に流入することを効果的に抑制することができる。
(実施形態3)
続いて、本発明の実施形態3に係るめっき装置1000Cについて説明する。図17は、本実施形態に係るめっき装置1000Cが備えるめっき液流通モジュール70を説明するための模式図である。なお、図17のめっき液流通モジュール70は、実施形態1に係るめっきモジュール400に適用されてもよく、実施形態2に係るめっきモジュール400に適用されてもよい。
本実施形態に係るめっき液流通モジュール70は、主として、リザーバータンク72a,72b、ポンプ73a,73b、圧力計74a,74b、圧力調整バルブ75、流路80a,80b,80c,80d等を備えている。めっき液流通モジュール70の動作は、制御モジュール800が制御している。なお、本実施形態において、制御モジュール800の制御機能のうち、めっき液流通モジュール70を制御する機能部分は、めっき液流通モジュール70の構成要素の一部に含まれている。
めっき液流通モジュール70を制御する制御モジュール800は、プロセッサ801と、非一時的な記憶装置802とを備えている。記憶装置802には、プログラムやデータ等が記憶されている。制御モジュール800においては、プロセッサ801が記憶装置802に記憶されたプログラムの指令に基づいて、めっき液流通モジュール70を制御する。
リザーバータンク72aは、アノード室11用のめっき液Psを一時的に貯留するためのタンクである。すなわち、リザーバータンク72aは、「アノード室11用のリザーバータンク」である。リザーバータンク72bは、カソード室12用のめっき液Psを一時的に貯留するように構成されたタンクである。すなわち、リザーバータンク72bは、「カソード室12用のリザーバータンク」である。
流路80aは、リザーバータンク72aのめっき液Psをアノード室11に流通させるための流路である。流路80bは、アノード室11のめっき液Psをリザーバータンク72aに流通させる(戻す)ための流路である。流路80cは、リザーバータンク72bのめっき液Psをカソード室12に流通させるための流路である。流路80dは、カソード室12からオーバーフローしてオーバーフロー槽19に流入しためっき液Psをオーバーフロー槽19からリザーバータンク72bに戻すための流路である。
ポンプ73aは、リザーバータンク72aのめっき液Psをアノード室11に向けて圧送するためのポンプである。本実施形態に係るポンプ73aは、流路80aの途中箇所に配置されている。ポンプ73bは、リザーバータンク72bのめっき液Psをカソード室12に向けて圧送するためのポンプである。本実施形態に係るポンプ73bは、流路80cの途中箇所に配置されている。ポンプ73b及びポンプ73aの動作は、制御モジュール800によって制御されている。
圧力計74aは、アノード室11の圧力(具体的には、アノード室11のめっき液Psの圧力)を検出して、検出結果を制御モジュール800に伝える。圧力計74bは、カソード室12の圧力(具体的には、カソード室12のめっき液Psの圧力)を検出して、検出結果を制御モジュール800に伝える。
少なくとも基板Wfへのめっき処理の実行時において、めっき液流通モジュール70は、アノード室11とリザーバータンク72aとの間でめっき液Psを流通させるとともに、カソード室12とリザーバータンク72bとの間でめっき液Psを流通させる。
具体的には、本実施形態に係る制御モジュール800は、少なくともめっき処理の実行時に、ポンプ73a及びポンプ73bを稼働させる。ポンプ73aが稼働することで、リザーバータンク72aのめっき液Psは、流路80aを流通してアノード室11に供給される。アノード室11から排出されためっき液Psは、流路80bを流通してリザーバータンク72aに戻る。また、ポンプ73bが稼働することで、リザーバータンク72bのめっき液Psは、流路80cを流通してカソード室12に供給される。カソード室12からオーバーフローしてオーバーフロー槽19に流入しためっき液Psは、流路80dを流通してリザーバータンク72bに戻る。
圧力調整バルブ75は、流路80bの途中箇所に配置されている。圧力調整バルブ75は、流路80bを流通するめっき液Psの圧力(Pa)を調整することで、アノード室11の圧力(Pa)を調整する。具体的には、圧力調整バルブ75が流路80bを流通するめっき液Psの圧力を上昇させた場合、アノード室11の圧力は上昇する。一方、圧力調整バルブ75が流路80bを流通するめっき液Psの圧力を低下させた場合、アノード室11の圧力も低下する。
本実施形態に係る圧力調整バルブ75は、アノード室11の圧力がカソード室12の圧力と同じ値になるようにアノード室11の圧力を調整している。なお、この場合、ポンプ73aは、めっき処理の実行時において、アノード室11の圧力やカソード室12の圧力をフィードバックして運転するのではなく、一定の回転数でめっき液Psを圧送し続ける。
この構成によれば、圧力調整バルブ75の調整というシンプルな構成で、めっき処理の実行時にアノード室11の圧力をカソード室12の圧力と同じ値に調整することができる。
なお、通常は、めっき処理の実行時において、カソード室12の圧力は大気圧よりも若干高い圧力(一定値)になっている。このため、めっき液流通モジュール70は、圧力計74bを備えていない構成とすることもできる。具体的には、この場合、予め設定された所定圧力を、カソード室12の圧力として用いればよい。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、さらなる種々の変形・変更が可能である。
10 めっき槽
10a 底壁
10b 外周壁
11 アノード室
12 カソード室
13 アノード
14 イオン抵抗体
17 アノード室用排出口
18 供給・ドレイン口(「ドレイン口」)
20 基板ホルダ
30 電場調整ブロック
40 膜モジュール
41 第1膜
41a 延在部位
41b 傾斜部位
42 第2膜
42a 延在部位
42b 傾斜部位
42c 流入口
43 第1サポート部材(「第1膜用サポート部材」)
44 第2サポート部材(「第2膜用サポート部材」)
50 収容溝
60 抑制部材
61 抑制板
62 筒部材
63 連結部材
70 めっき液流通モジュール
72a,72b リザーバータンク
75 圧力調整バルブ
80a~80d 流路
800 制御モジュール
1000 めっき装置
Wf 基板
Ps めっき液
Bu 気泡
R1 第1領域
R2 第2領域

Claims (12)

  1. 底壁と前記底壁の外縁から上方に延在する外周壁とを有し、めっき液を貯留するとともに、アノードが配置されためっき槽と、
    前記アノードよりも上方に配置されて、カソードとしての基板を当該基板が前記アノードに対向するように保持する基板ホルダと、
    前記アノードよりも上方且つ前記基板よりも下方に配置された膜モジュールと、を備え、
    前記膜モジュールは、前記めっき槽の内部をアノード室と当該アノード室よりも下方のカソード室とに区画する第1膜と、前記第1膜に接触しない態様で前記第1膜よりも下方且つ前記アノードよりも上方の箇所に配置された第2膜と、を備え、
    前記第2膜は、前記第2膜よりも下方の第1領域のめっき液が前記第2膜よりも上方且つ前記第1膜よりも下方の第2領域に流入するための流入口と、水平方向に対して傾斜するとともに、前記アノード室の中央側から前記アノード室の外縁側に向かうに従って上方に位置するように傾斜する傾斜部位と、を有する、めっき装置。
  2. 前記第1膜は、水平方向に延在する延在部位と、当該延在部位を起点として当該延在部位から離れる方向で一方側及び他方側に延在するとともに当該延在部位から離れるに従って上方に位置するように傾斜する傾斜部位と、を備える、請求項1に記載のめっき装置。
  3. 前記めっき槽の前記外周壁には、前記カソード室のめっき液を前記カソード室から排出するためのドレイン口が設けられ、
    前記ドレイン口は、前記第1膜の前記延在部位から前記ドレイン口までの高さが20mm以内になるように設けられている、請求項2に記載のめっき装置。
  4. 前記膜モジュールは、前記第2膜を支持する第2膜用サポート部材をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のめっき装置。
  5. 前記膜モジュールは、前記第1膜を支持する第1膜用サポート部材をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のめっき装置。
  6. 前記第2膜の前記傾斜部位の外縁に沿うように、前記めっき槽の前記外周壁に形成された、収容溝をさらに備え、
    前記収容溝は、前記第2膜の前記傾斜部位の外縁に移動した気泡を一時的に収容するように構成されるとともに、前記第1領域のめっき液及び前記第2領域のめっき液が前記収容溝において合流するように構成され、
    前記収容溝に連通して、前記収容溝に収容された気泡を前記収容溝を流動するめっき液とともに吸い込んで前記めっき槽の外部に排出するように構成されたアノード室用排出口を、さらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のめっき装置。
  7. 前記カソード室における前記基板よりも下方にはイオン抵抗体が配置され、
    前記カソード室における前記イオン抵抗体よりも下方且つ前記膜モジュールよりも上方には、前記カソード室における電場を調整するための、リング状の電場調整ブロックが配置され、
    前記イオン抵抗体には、前記イオン抵抗体の下面と上面とを貫通するように設けられた貫通孔が複数設けられ、
    前記電場調整ブロックの内径は、前記イオン抵抗体における複数の前記貫通孔が設けられているエリアであるパンチングエリアの外径よりも小さい、請求項1~6のいずれか1項に記載のめっき装置。
  8. 前記第1領域の気泡が前記流入口に流入することを抑制するように構成された抑制部材をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のめっき装置。
  9. 前記抑制部材は、前記第2膜の前記流入口よりも下方に配置されて、水平方向に延在する抑制板を備える、請求項8に記載のめっき装置。
  10. 前記抑制部材は、前記第2膜の前記流入口よりも下方に配置されて、水平方向に延在する筒部材と、
    前記筒部材の内部と、前記流入口とを連結する連結部材と、を備える、請求項8に記載のめっき装置。
  11. 前記基板へのめっき処理の実行時に、前記アノード室とアノード室用のリザーバータンクとの間でめっき液を流通させるとともに、前記カソード室とカソード室用のリザーバータンクとの間でめっき液を流通させるように構成された、めっき液流通モジュールをさらに備える、請求項1~10のいずれか1項に記載のめっき装置。
  12. 前記めっき液流通モジュールは、
    前記アノード室のめっき液を前記アノード室用のリザーバータンクに流通させる流路に配置されて、前記アノード室の圧力が前記カソード室の圧力と同じ値になるように前記アノード室の圧力を調整する圧力調整バルブを備える、請求項11に記載のめっき装置。
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