<第1実施形態>
以下、本発明に係る絶縁型電源装置を給電システムに適用した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、給電システム300は、第1のモータジェネレータ10及び第2のモータジェネレータ20それぞれとの間で電力を伝達するシステムである。給電システム300は、第1のインバータ12、第2のインバータ22、昇圧コンバータ30、及び制御装置40を備えている。給電システム300の第1入力端子IN1は、高電圧バッテリ50の正極端子に接続され、第2入力端子IN2は、負極端子に接続されている。高電圧バッテリ50は、例えば、リチウムイオン蓄電池やニッケル水素蓄電池である。
第1のモータジェネレータ10は、第1のインバータ12に接続され、エンジンのクランク軸に初期回転を付与するスタータや、車載機器に給電するための発電機等の役割を果たす。一方、第2のモータジェネレータ20は、第2のインバータ22に接続され、車載主機等の役割を果たす。本実施形態では、第1のインバータ12及び第2のインバータ22は、3相インバータであり、昇圧コンバータ30を介して高電圧バッテリ50に接続されている。
昇圧コンバータ30は、コンデンサ32、リアクトル34、上アーム昇圧スイッチScp、及び下アーム昇圧スイッチScnを備えている。本実施形態では、上アーム昇圧スイッチScp及び下アーム昇圧スイッチScnは、電圧制御型の半導体スイッチが用いられ、具体的にはIGBTである。詳しくは、上アーム昇圧スイッチScpのエミッタが、下アーム昇圧スイッチScnのコレクタに接続されて直列接続体が形成されている。上アーム昇圧スイッチScpのコレクタには、コンデンサ32の第1端子が接続され、下アーム昇圧スイッチScnのエミッタには、コンデンサ32の第2端子に接続されている。これにより、各昇圧スイッチScp,Scnの直列接続体がコンデンサ32に並列接続されている。上アーム昇圧スイッチScpのエミッタと下アーム昇圧スイッチScnのコレクタとの接続点である第1接続点K1は、リアクトル34を介して第1入力端子IN1に接続され、下アーム昇圧スイッチScnのエミッタ側は低電圧配線を介して第2入力端子IN2に接続されている。昇圧コンバータ30は、これら昇圧スイッチScp,Scnのオン操作(閉操作)及びオフ操作(開操作)によって、高電圧バッテリ50の出力電圧を昇圧する。
第1のインバータ12は、第1の¥相上アームスイッチS1¥p(¥=U,V,W)、及び第1の¥相下アームスイッチS1¥nを備えている。本実施形態では、第1の¥相上アームスイッチS1¥p及び第1の¥相下アームスイッチS1¥nは、電圧制御型の半導体スイッチが用いられ、具体的にはIGBTである。
第1のU相上アームスイッチS1Upのエミッタが第1のU相下アームスイッチS1Unのコレクタに接続されることでU相直列接続体が形成されている。第1のV相上アームスイッチS1Vpのエミッタが第1のV相下アームスイッチS1Vnのコレクタに接続されることでV相直列接続体が形成されている。第1のW相上アームスイッチS1Wpのエミッタが第1のW相下アームスイッチS1Wnのコレクタに接続されることでW相直列接続体が形成されている。第1の¥相上アームスイッチS1¥pと第1の¥相下アームスイッチS1¥nとの接続点である第2,第3,第4接続点K2,K3,K4は、第1のモータジェネレータ10の¥相の各入力端子に接続されている。
第2のインバータ22は、第2の¥相上アームスイッチS2¥p及び第2の¥相下アームスイッチS2¥nを備えている。本実施形態では、第2の¥相上アームスイッチS2¥p及び第2の¥相下アームスイッチS2¥nは、電圧制御型の半導体スイッチが用いられ、具体的にはIGBTである。
第2のU相上アームスイッチS2Upのエミッタが第2のU相下アームスイッチS2Unのコレクタに接続されることでU相直列接続体が形成されている。第2のV相上アームスイッチS2Vpのエミッタが第2のV相下アームスイッチS2Vnのコレクタに接続されることでV相直列接続体が形成されている。第2のW相上アームスイッチS2Wpのエミッタが第2のW相下アームスイッチS2Wnのコレクタに接続されることでW相直列接続体が形成されている。第2の¥相上アームスイッチS2¥pと第2の¥相下アームスイッチS2¥nとの各接続点である第5,第6、第7接続点K5,K6,K7は、第2のモータジェネレータ20の¥相の各入力端子に接続されている。
本実施形態では、上記した各スイッチSc#,S1¥#,S2¥#(#=p,n)には、フリーホイールダイオードDc#,D1¥#,D2¥#が逆並列接続されている。
また、本実施形態において、上アーム昇圧スイッチScp、第1の¥相上アームスイッチS1¥p及び第2の¥相上アームスイッチS2¥pそれぞれが上アームスイッチに相当する。さらに、下アーム昇圧スイッチScn、第1の¥相下アームスイッチS1¥n及び第2の¥相下アームスイッチS2¥nそれぞれが下アームスイッチに相当する。
上アーム昇圧スイッチScp、フリーホイールダイオードDcp、下アーム昇圧スイッチScn、及びフリーホイールダイオードDcnは、昇圧モジュールMcとして、モジュール化されている。また、第1の¥相上アームスイッチS1¥p、フリーホイールダイオードD1¥p、第1の¥相下アームスイッチS1¥n、及びフリーホイールダイオードD1¥nは、第1の¥相モジュールM1¥としてモジュール化されている。
さらに、第2の¥相上アームスイッチS2¥p、フリーホイールダイオードD2¥p、第2の¥相下アームスイッチS2¥n、及びフリーホイールダイオードD2¥nは、第2の¥相モジュールM2¥としてモジュール化されている。
昇圧モジュールMc、第1の¥相モジュールM1¥及び第2の¥相モジュールM2¥それぞれのコレクタ端子TC同士は接続されている。また、昇圧モジュールMc、第1の¥相モジュールM1¥及び第2の¥相モジュールM2¥それぞれのエミッタ端子TEは、低圧側配線を介して第2入力端子IN2に接続されている。
制御装置40は、直流電源としての低電圧バッテリ42から供給される電力により駆動するマイクロコンピュータである。制御装置40は、第1,第2のモータジェネレータ10,20のトルクを指令トルクTrq*に制御すべく、第1,第2のインバータ12,22や昇圧コンバータ30を操作する。詳しくは、制御装置40は、第1のインバータ12を構成する各スイッチS1¥#をオンオフ操作すべく、操作信号g1¥#を生成して各スイッチS1¥#の駆動回路に対して出力する。また、制御装置40は、第2のインバータ22を構成する各スイッチS2¥#をオンオフ操作すべく、操作信号g2¥#を生成して各スイッチS2¥#の駆動回路に対して出力する。さらに、制御装置40は、昇圧コンバータ30を構成する各スイッチSc#をオンオフ操作すべく、操作信号gc#を生成してスイッチSc#の駆動回路に対して出力する。
低電圧バッテリ42は、出力電圧が高電圧バッテリ50の出力電圧よりも低い蓄電池であり、例えば、鉛蓄電池である。
なお、以下の説明において、上,下アーム昇圧スイッチScp,Scnを駆動する駆動回路を上,下アーム昇圧駆動回路Drc#と称し、第1の¥相上,下アームスイッチS1¥#を駆動する駆動回路を第1の¥相上,下アーム駆動回路Dr1¥#と称する。また、第2の¥相上,下アームスイッチS2¥#を駆動する駆動回路を第2の¥相上,下アーム駆動回路Dr2¥#と称する。
本実施形態において、各駆動回路Drcp,Dr1¥p,Dr2¥pそれぞれが上側駆動回路に相当し、各駆動回路Drcn,Dr1¥n,Dr2¥nそれぞれが下側駆動回路に相当する。
インターフェース44は、高電圧バッテリ50、第1,第2のインバータ12,22、昇圧コンバータ30及び第1,第2のモータジェネレータ10,20を備える高電圧システムと、低電圧バッテリ42及び制御装置40を備える低電圧システムとの間を電気的に絶縁しつつ、これらシステム間の信号の伝達を行う機能を有する。
続いて、図2,図3を用いて、各スイッチSc#,S1¥#,S2¥#を駆動する駆動回路Drc#,Dr1¥#,Dr2¥#に対して駆動用電圧を供給する絶縁型電源装置について説明する。
本実施形態では、第1のインバータ12、第2のインバータ22及び昇圧コンバータ30を、第1のインバータ12及び昇圧コンバータ30の組と、第2のインバータ22とに分ける。そして、第1のインバータ12及び昇圧コンバータ30の組と、第2のインバータ22とのそれぞれに対応して別々の第1,第2電源IC52,54を設ける。そして、第1,第2電源IC52,54によって、上,下アーム昇圧駆動回路Drc#と、第1の¥相上,下アーム駆動回路Dr1¥#とに供給される駆動用電圧と、第2の¥相上,下アーム駆動回路Dr2¥#に供給される駆動用電圧とを制御する。第1,第2電源IC52,54が電圧制御部に相当する。
まず、図2に、絶縁型電源装置のうち、上,下アーム昇圧駆動回路Drc#と、第1の¥相上,下アーム駆動回路Dr1¥#とに供給される駆動用電圧を制御する第1の電源装置100を示す。
第1の電源装置100は、第1電源IC52に加えて、第1~第4配線LP1~LP4、第1の上アームトランス60、第1の下アームトランス67、第1~第5の出力側回路71~75、第1制御用スイッチ80、及びフィードバック回路82を備える。本実施形態では、第1制御用スイッチ80は、電圧制御型の半導体スイッチであり、具体的には、NチャネルMOSFETである。
第1の電源装置100では、第1の上アームトランス60を、第1給電対象に相当する上アーム昇圧駆動回路Drcp、及び第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pに対して共通のトランスとしている。また、第1の下アームトランス67を、第2給電対象に相当する下アーム昇圧駆動回路Drcn、及び第1の¥相下アーム駆動回路Dr1¥nについての共通のトランスとしている。本実施形態では、第1の上アームトランス60が第1トランスに相当し、第1の下アームトランス67が第2トランスに相当する。
ここで、上アーム昇圧駆動回路Drcp、及び第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pの負荷電流が変動する場合がある。負荷電流の変動は、第1の上アームトランス60から上アーム昇圧駆動回路Drcp、及び第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pに供給される出力電圧のばらつきの原因となる。
本実施形態では、第1の上アームトランス60は、第1入力巻線61と、第1~第4出力巻線62~65と、帰還巻線66と、これら巻線61~66が巻回された共通のコアC1とを備え、各巻線61~66が1つのコアC1により磁気結合する構成となっている。第1入力巻線61が第1入力側巻線に相当し、第1~第4出力巻線62~65が第1出力側巻線に相当する。
第1入力巻線61の第1トランス端子Ta1は、第1配線LP1を介して低電圧バッテリ42の正極端子に接続されている。第1入力巻線61の第2トランス端子Ta2は、第2配線LP2を介して第1制御用スイッチ80のドレインに接続されている。第1制御用スイッチ80のソースは、図示しない抵抗を介してグランドに接続されている。これにより、第1制御用スイッチ80がオン操作されることで、低電圧バッテリ42と、第1入力巻線61と、第1制御用スイッチ80とを含む第1閉回路が形成され、この第1閉回路に電流が流れる。第1配線LP1が第1電源側配線に相当し、第2配線LP2が第1スイッチ側配線に相当する。
第1の上アームトランス60を構成する第1~第4出力巻線62~65は、上アーム昇圧駆動回路Drcp,及び第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pに対して駆動電力を供給する。
帰還巻線66には、第3,第4トランス端子Ta3,Ta4が設けられている。第3,第4トランス端子Ta3,Ta4と、第1,第2トランス端子Ta1,Ta2とは、第1の上アームトランス60の端子台の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。
第3,第4トランス端子Ta3,Ta4は、フィードバック回路82を介して第1電源IC52に接続されている。フィードバック回路82は、検出用ダイオード82aと、検出用コンデンサ82bと、第1,第2抵抗82c,82dとを備えている。検出用ダイオード82aは、アノード側が第3トランス端子Ta3に接続されており、カソード側が第1抵抗82cに接続されている。検出用ダイオード82aのカソード側と第1抵抗82cとを接続する配線と、第4トランス端子Ta4とは、検出用コンデンサ82bにより接続されている。第4トランス端子Ta4と検出用ダイオード82aとを接続する配線は、グランドに接続されている。第1抵抗82cは、グランドに接続された第2抵抗82dに直列接続されることで分圧回路を形成しており、第1,第2抵抗82c,82dの接続点が第1電源IC52に接続されている。
上記構成のフィードバック回路82では、帰還巻線66から供給される出力電圧は、第1抵抗82cと第2抵抗82dとの分圧比に応じて分圧される。そのため、第1電源IC52には、分圧された帰還巻線66の出力電圧がフィードバック電圧Vfb1として入力される。
第1電源IC52は、フィードバック電圧Vfb1を目標電圧Vtgtにフィードバック制御すべく、第1制御用スイッチ80を操作する操作信号を出力する。第1電源IC52は、フィードバック電圧Vfb1を検出するフィードバック端子52aと、操作信号を出力する信号出力端子52bとを備えている。フィードバック端子52aは、フィードバック回路82の各抵抗82c,82dの接続点に接続されている。また、信号出力端子52bは、第1制御用スイッチ80のゲートに接続されている。第1電源IC52は、フィードバック端子52aで検出されたフィードバック電圧Vfb1と第1の上アームトランス60の目標出力電圧に応じた指令値V*との偏差に基づいて、第1制御用スイッチ80における1スイッチング周期Tswに対するオン操作期間Tonの時比率Dr(=Ton/Tsw)を設定する。そして、設定したオン操作期間Tonの時比率Drに応じた操作信号を第1制御用スイッチ80のゲートに出力する。
時比率Drに応じた操作信号により、第1制御用スイッチ80が操作される。第1制御用スイッチ80がオン操作されることにより、第1の上,下アームトランス60,67それぞれに磁気エネルギが蓄積される。その後、第1制御用スイッチ80がオフ操作されることにより、第1~第5出力巻線62~65、及び第5出力巻線69に電圧が発生する。
本実施形態では、フィードバック回路82と、第1電源IC52とは、第1の電源制御部CT1としてモジュール化されている。
第1の上アームトランス60を構成する第1~第4出力巻線62~65には、第1,第2出力側トランス端子TaA,TaBが設けられている。なお、図2では、第1出力巻線62の第1,第2出力側トランス端子TaA,TaBのみを図示し、第2~第4出力巻線63~65の第1,第2出力側トランス端子TaA,TaBについては図示を省略している。
第1出力巻線62の第1,第2出力側トランス端子TaA,TaBには、上アーム昇圧駆動回路Drcpが接続されている。また、第1出力巻線62と、上アーム昇圧駆動回路Drcpとの間には、第1出力巻線62に流れる電流を第2出力側トランス端子TaBから第1出力側トランス端子TaAの向きに規制する第1の出力側回路71が接続されている。本実施形態では、第1の出力側回路71は、第1のダイオード71aと第1のコンデンサ71bとを備えている。
第2出力巻線63は、第2のダイオード72a及び第2のコンデンサ72bを備える第2の出力側回路72を介して、第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upに接続されている。第3出力巻線64は、第3のダイオード73a及び第3のコンデンサ73bを備える第3の出力側回路73を介して、第1のV相上アーム駆動回路Dr1Vpに接続されている。第4出力巻線65は、第4のダイオード74a及び第4のコンデンサ74bを備える第4の出力側回路74を介して、第1のW相上アーム駆動回路Dr1Wpに接続されている。なお、第2~第4の出力側回路72~74における各素子の接続態様は、第1の出力側回路71と同様である。
本実施形態において、第1~第4出力巻線62~65の各巻数N2~N5は同じ値となっている。そのため、第1~第4出力巻線62~65の巻数N2~N5に対する第1入力巻線61の巻数N1の巻数比(=N1/N2,N1/N3,N1/N4,N1/N5)は同じ値となっている。以下では、第1の上アームトランス60の巻数比をNr1(=N1/N2,N1/N3,N1/N4,N1/N5)と称する。
次に第1の下アームトランス67の構成を説明する。第1の下アームトランス67は、第2入力巻線68と、この第2入力巻線68と1つのコアC2により磁気結合する第5出力巻線69とを備えている。第2入力巻線68の第5トランス端子Ta5は、第1配線LP1から分岐する第3配線LP3と、第1配線LP1とを介して低電圧バッテリ42の正極端子に接続されている。また、第2入力巻線68の第6トランス端子Ta6は、第2配線LP2から分岐する第4配線LP4と、第2配線LP2とを介して第1制御用スイッチ80のドレインに接続されている。そのため、第1制御用スイッチ80がオン操作されることで、低電圧バッテリ42と、第2入力巻線68と、第1制御用スイッチ80とを含む第2閉回路が形成され、この第2閉回路に電流が流れる。第2入力巻線68が第2入力側巻線に相当し、第5出力巻線69が第2出力側巻線に相当する。第3配線LP3が第2電源側配線に相当し、第4配線LP4が第2スイッチ側配線に相当する。
第5出力巻線69には、第5の出力側回路75を介して、下アーム昇圧駆動回路Drcn、及び第1の¥相下アーム駆動回路Dr1¥nが並列接続されている。第5の出力側回路75は、第5のダイオード75aと、第5のコンデンサ75bと、を備えている。なお、第5の出力側回路75の各素子の接続態様は、第1の出力側回路71と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態では、上,下アーム昇圧駆動回路Drc#の負荷電流をI1とし、第1の¥相上,下アーム駆動回路Dr1¥#の負荷電流をI2として示す。なお、負荷電流I1と負荷電流I2とは異なる値である。
ここで、第5出力巻線69には、各下側駆動回路Drcn,Dr1¥nが並列接続されており、第5出力巻線69には、各下側駆動回路Drcn,Dr1¥nの負荷電流の合計値であるI3(=I1+3×I2)が流れる。そのため、第1~第4出力巻線62~65に流れる各電流I1,I2よりも、第5出力巻線69に流れる電流I3の方が大きくなる。このため、第5出力巻線69の電圧降下分が、第1~第4出力巻線62~65の各電圧降下分よりも大きくなり、下側駆動回路Drcn,Dr1¥nへの出力電圧が、各上側駆動回路Drcp,Dr1¥pへの出力電圧よりも低くなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、第1の下アームトランス67の巻数比Nr2を第1の上アームトランス60の巻数比Nr1よりも大きくすることで、各上側駆動回路Drcp,Dr1¥pと、各下側駆動回路Drcn,Dr1¥nに供給される出力電圧のばらつきを小さくしている。具体的には、第5出力巻線69の巻数をN12と称し、第2入力巻線68の巻数をN11とすると、第1の下アームトランス67の巻数比Nr2(=N11/N12)が、第1の上アームトランス60の巻数比Nr1よりも大きな値となっている。
次に、絶縁型電源装置のうち、第2の¥相上,下アーム駆動回路Dr2¥#に供給される駆動用電圧を制御する第2の電源装置101について、第1の電源装置100との違いを中心に説明する。
第2の電源装置101は、第2の上アームトランス90と、第2の下アームトランス97とを備えている。第2の電源装置101では、第2の上アームトランス90を、第2の¥相上アーム駆動回路Dr2¥pに対して共通のトランスとしている。また、第2の下アームトランス97を、第2の¥相下アーム駆動回路Dr2¥nについての共通のトランスとしている。
第2の上アームトランス90は、1つの入力巻線と、3つの出力巻線と、帰還巻線とが1つのコアにより磁気結合するトランスである。そして、第2の上アームトランス90は、不図示のフィードバック回路を介して第2電源IC54に接続されている。第2の下アームトランス97は、1つの入力巻線と、1つの出力巻線とが1つのコアにより磁気結合するトランスである。
次に、駆動回路Drc#,Dr1¥#,Dr2¥#について説明する。本実施形態では、各駆動回路Drc#,Dr1¥#,Dr2¥#の構成が同一である。このため、駆動回路の構成について、第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upを例にして説明する。第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upは、制御装置40からインターフェース44を介して入力される操作信号g1Upに基づき、第1のU相上アームスイッチS1Upのオンオフを制御する。
続いて、図3を用いて、給電システム300を構成する基板200におけるトランス等の配置状態について説明する。図3では、フィードバック回路82の図示を省略している。
図示されるように、基板200は、矩形状をなす多層基板であり、第1面及び第1面の裏面である第2面で構成された一対の外層と、一対の外層で挟まれた複数の内層とを有している。基板200の外層面には、昇圧モジュールMc,及び第1,第2の¥相モジュールM1¥,M2¥を基板200に接続する複数の上アーム用接続部、及び複数の下アーム用接続部が設けられている。上アーム用接続部は、昇圧モジュールMc及び第1,第2の¥相モジュールM1¥,M2¥を構成する上アーム用スイッチScp,S1¥p,S2¥pを基板200に接続する接続部である。下アーム用接続部は、昇圧モジュールMc及び第1,第2の¥相モジュールM1¥,M2¥を構成する下アーム用スイッチScn,S2¥n,S2¥nを基板200に接続する接続部である。
上アーム用接続部のうち、上アーム昇圧スイッチScpを基板200に接続するものを昇圧上アーム接続部Tcpと称し、第1の¥相上アームスイッチS1¥pを基板200に接続するものを第1の¥相上アーム接続部T1¥pと称する。また、下アーム用接続部のうち、下アーム昇圧スイッチScnを基板200に接続するものを昇圧下アーム接続部Tcnと称し、第1の¥相下アームスイッチS1¥nを基板200に接続するものを第1の¥相下アーム接続部T1¥nと称する。上アーム用接続部のうち、第2の¥相上アームスイッチS2¥pを基板200に接続するものを第2の¥相上アーム接続部T2¥pと称する。また、下アーム用接続部のうち、第2の¥相下アームスイッチS2¥nを基板200に接続するものを第2の¥相下アーム接続部T2¥nと称する。
昇圧上アーム接続部Tcp及び第1の¥相上アーム接続部T1¥p(以下、第1の上アーム用接続部)は、基板200の第1面の正面視において、一列に並ぶように基板200に設けられている。本実施形態では、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pは、基板200の板面に平行な面において延びる方向であって、これら接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向と直交する方向における基板200の中央部に設けられている。
昇圧下アーム接続部Tcn及び第1の¥相下アーム接続部T1¥n(以下、第1の下アーム用接続部)は、基板200の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。また、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nは、基板200の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pと並列に設けられている。
第2の¥相上アーム接続部T2¥p(以下、第2の上アーム用接続部)は、基板200の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向に一列に並ぶように基板200に設けられている。また、第2の¥相下アーム接続部T2¥n(以下、第2の下アーム用接続部)は、基板200の第1面の正面視において、第2の¥相上アーム接続部T2¥pが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。
昇圧上,下アーム接続部Tcp,Tcnには、基板200の第2面側から昇圧モジュールMcが取り付けられることにより、上,下アーム昇圧スイッチScp,Scnのゲートが接続されている。また、第1の¥相上,下アーム接続部T1¥p,T1¥nには、基板200の第2面側から第1の¥相モジュールM1¥が取り付けられることにより、第1の¥相上,下アームスイッチS1¥p,S1¥nのゲートが接続されている。さらに、第2の¥相上,下アーム接続部T2¥p,T2¥nには、基板200の第2面側から第2の¥相モジュールM2¥が取り付けられることにより、第2の¥相上,下アームスイッチS2¥p,S2¥nのゲートが接続されている。これにより、各スイッチSc#,S1¥#,S2¥#のゲート,エミッタと、対応する各駆動回路Drc#,Dr1¥#の端子とが接続されることとなる。
第1の上アームトランス60は、基板200の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pに対して、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nとは反対側の領域に設けられている。第1の上アームトランス60は、第1~第4トランス端子Ta1~Ta4が並ぶ方向が、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向に沿って並ぶように基板200に設けられている。
第1の電源制御部CT1は、基板200の第1面の正面視において、第1の上アームトランス60に対して、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pとは反対側の領域に設けられている。本実施形態では、第1の上アームトランス60は、第1~第4のトランス端子Ta1~Ta4が第1の電源制御部CT1と隣り合うように設けられている。
なお、基板200の第1面の正面視において、一列に並ぶ第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pと、第1の上アームトランス60との間の領域には、第1の電源制御部CT1に対応する上側駆動回路Drcp,Dr1¥pが、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向に一列に設けられている。
第1の下アームトランス67は、基板200の第1面の正面視において、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nのうち、これら接続部Tcn,T1¥nが並ぶ方向で基板200の一辺に最も近い昇圧下アーム接続部Tcn付近に設けられている。具体的には、第1の下アームトランス67は、基板200の第1面の正面視において、昇圧下アーム接続部Tcnに対して昇圧上アーム接続部Tcpとは反対側の領域に設けられている。ここで、第1の下アームトランス67は、第5,第6のトランス端子Ta5,Ta6が下アーム用接続部Tcnとは反対側を向くように設けられている。
本実施形態において、第1の電源制御部CT1に対応する下側駆動回路Drcn,Dr1¥nは、基板200の第1面の正面視において、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nが並ぶ方向に一列にかつ、これら接続部Tcn,T1¥nと隣り合うように設けられている。ここで、下アーム昇圧駆動回路Drcnは、基板200の第1面の正面視において、第1の下アームトランス67及び下アーム用接続部Tcnの間の領域に設けられている。
第2の電源装置101を構成する、第2の上,下アームトランス90,97、第2の電源制御部CT2、及び上,下側駆動回路Dr2¥#の基板200上での配置関係については、第1の電源装置100と同様であるため、その説明を省略する。なお、第2の電源制御部CT2には、第1制御用スイッチ80に対応する第2制御用スイッチ81が設けられている。
低電圧バッテリ42は、基板200の第1面の正面視において、第1,第2の上アーム用接続部Tcp,T1¥p,T2¥pに対して、第1,第2の下アーム用接続部Tcn,T1¥n,T2¥nとは反対側の領域に設けられている。本実施形態では、特に、第1の電源制御部CT1及び第2の電源制御部CT2の間に低電圧バッテリ42が設けられている。
第1,第3配線LP1,LP3(図中一点鎖線にて記載)は、基板200の第1面の正面視において、低電圧バッテリ42から、第1の領域及び第2の領域を通って第1の下アームトランス67の第5のトランス端子Ta5まで延びるように形成されている。ここで、第1の領域とは、基板200の第1面の正面視において、第1の電源制御部CT1と、第1の上アームトランス60とに挟まれた領域のことである。また、第2の領域とは、基板200の第1面の正面視において、第1の上,下アーム用接続部Tc#,T1¥#のうち、これら接続部Tc#,T1¥#が並ぶ方向において基板200の一辺に最も近い昇圧上,下アーム用接続部Tcp,Tcnと、上記一辺とで挟まれる領域のことである。第1の領域において、第1の上アームトランス60の第1トランス端子Ta1と低電圧バッテリ42とが第1配線LP1によって接続されている。
第3,第4配線LP3,LP4は、基板200の第1面の正面視において、第1の下アームトランス67の第6のトランス端子Ta6から、第2の領域及び第1の領域を通って第1の上アームトランス60の第2トランス端子Ta2まで延びるように形成されている。
第2の電源装置101を構成する第2の上,下アームトランス90,97は、第5,第7配線LP5,LP7を介して低電圧バッテリ42に接続され、第6,第8配線LP6,LP8を介して第2制御用スイッチ81に接続されている。第2の電源装置101において、第5配線LP5が、第1の電源装置100の第1配線LP1に対応し、第6配線LP6が、第1の電源装置100の第2配線LP2に対応している。また、第2の電源装置101において、第7配線LP7が、第1の電源装置100の第3配線LP3に対応し、第8配線LP8が、第1の電源装置100の第4配線LP4に対応している。
なお、本実施形態において、第1~第8配線LP1~LP8それぞれは、基板200の互いに異なる内層に形成されている。このため、図3において、第1~第8配線LP1~LP8の交差部分があるが、この交差部分においてこれら配線が電気的に接続されているわけではない。
次に、図4を用いて、本実施形態に係る第1の電源装置100の作用・効果を説明する。
第1の電源装置100では、第1電源IC52により、第1状態と第2状態とのいずれかに制御される。第1状態は、図4(a)に示すように、第1電源IC52から出力される操作信号がハイ状態となることで、第1制御用スイッチ80がオン操作される。そのため、低電圧バッテリ42、第1入力巻線61及び第1制御用スイッチ80を含む第1閉回路と、低電圧バッテリ42、第2入力巻線68及び第1制御用スイッチ80を含む第2閉回路とのそれぞれに電流が流れる。第1~第5出力巻線62~65,69及び帰還巻線66では、電流の向きが、第1~第5のダイオード71a~75a及び検出用ダイオード82aの順方向と逆向きとなるため、第1~第5出力巻線62~65,69及び帰還巻線66に電流が流れない。このため、第1の上アームトランス60と、第1の下アームトランス67とに磁気エネルギが蓄積される。
第2状態は、図4(b)に示すように、第1電源IC52から出力される操作信号がロー状態となることで、第1制御用スイッチ80がオフ操作される。そのため、第1の上アームトランス60及び第1の下アームトランス67では、蓄積された磁気エネルギにより、第1~第5出力巻線62~65,69及び帰還巻線66に電流が流れる。
第1の上アームトランス60では、帰還巻線66と、第1~第4出力巻線62~65とは共通のコアC1により磁気結合している。このため、第1~第4出力巻線62~65の各出力電圧は、帰還巻線66に生じる電圧に、帰還巻線66の巻数N6を基準とする第1~第4出力巻線62~65の巻数(N2~N5)の巻数比Nr3(=N2/N6,N3/N6,N4/N6,N5/N6)を乗算した値となる。そのため、第1~第4出力巻線62~65の出力電圧のばらつきが抑制される。本実施形態では、第1~第4出力巻線62~65の巻数N2~N5が同じ値となっており、第1~第4出力巻線62~65の各出力電圧は近い値となる。
また、第1の上アームトランス60の第1~第4出力巻線62~65の出力電圧は、帰還巻線66のフィードバック電圧Vfb1に応じて一括で制御される。その結果、第1~第4出力巻線62~65の出力電圧のばらつきをいっそう抑制できる。
本実施形態では、第1の上アームトランス60と、第1の下アームトランス67との間で出力電圧にばらつきが生じている場合であっても、時間経過とともに出力電圧のばらつきが低減される。例えば、第2状態において、第1の上アームトランス60の出力電圧が、第1の下アームトランス67の出力電圧よりも高くなっている場合を例に説明する。
第2状態では、第2配線LP2、第1入力巻線61、第1配線LP1、第3配線LP3、及び第2入力巻線68を含む第3閉回路が形成される。また、第2状態では、第1入力巻線61に第1フライバック電圧Vor1が生じ、第2入力巻線68に第2フライバック電圧Vor2が生じる。第1フライバック電圧Vor1は、第1の上アームトランス60の出力電圧に巻数比Nr1を乗じた値である。また、第2フライバック電圧Vor2は、第1の下アームトランス67の出力電圧に巻数比Nr2を乗じた値である。
第2状態において、第1の上アームトランス60の出力電圧が、第1の下アームトランス67の出力電圧よりも高いと、第1入力巻線61の第1フライバック電圧Vor1が第2入力巻線68の第2フライバック電圧Vor2よりも高くなる。このため、第1フライバック電圧Vor1と第2フライバック電圧Vor2との電圧差に応じて、第3閉回路では、電流が第1入力巻線61から第2配線LP2及び第4配線LP4を介して第2入力巻線68に向けて流れる。そのため、第1の上アームトランス60の磁気エネルギが減少し、第1の上アームトランス60を構成する第1~第4出力巻線62~65の出力電圧が低下する。また、第1の下アームトランス67の磁気エネルギが増加し、第5出力巻線69の出力電圧が増加する。その結果、第1の上アームトランス60の出力電圧と、第1の下アームトランス67の出力電圧のばらつきがいっそう抑制される。この抑制効果は、第1制御用スイッチ80の操作状態にかかわらず、第3閉回路が形成される構成により実現される。なお、第1の上アームトランス60と第1の下アームトランス67の各出力電圧の電圧差がなくなることで、第1入力巻線61から第2入力巻線68へ向けて電流は流れなくなる。
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号を付した箇所は同一の箇所を示し、その説明は繰り返さない。
図5は、第2実施形態に係る第1の電源装置100を示す図である。図5では、第1の上アームトランス60の帰還巻線66には、負荷回路102が接続されている。例えば、負荷回路102は、制御用ICである。そのため、帰還巻線66に負荷回路102が接続されていない場合と比べて、第1の上アームトランス60に流れる負荷電流の総和が負荷回路102に流れる負荷電流の分だけ多くなる。その結果、第1の上アームトランス60の各出力電圧を低下させ、第1の上,下アームトランス60,67間の出力電圧にばらつきを生じさせるおそれがある。
下記式(1)に示されるように、第1状態において第1の上アームトランス60に蓄積される磁気エネルギEは、第1入力巻線61の1次側インダクタンスL1に応じて変化する。
E=(L1×I^2)/2 … (1)
なお、^2は、べき乗を示す。また、Iは、第1入力巻線61に流れる電流であり、例えば、下記式(2)により算出することができる。
I=1/L1×VL1×D … (2)
なお、VL1は、第1入力巻線61の入力電圧であり、Drは、第1制御用スイッチ80のオン操作期間Tonの時比率である。
上記式(1),(2)より、下記式(3)が算出される。
E={(VL1×Dr)^2}/(2×L1) … (3)
上記式(3)より、入力電圧VL1及びオン操作期間の時比率Drを固定した場合、1次側インダクタンスL1により、磁気エネルギEを調整することが可能となる。
この点を踏まえ、第2実施形態では、第1の上アームトランス60の1次側インダクタンスL1を、第1の下アームトランス67の1次側インダクタンスL2よりも低くしている。これにより、第1の電源装置100の第1状態において、第1の上アームトランス60に蓄積される磁気エネルギEが増加し、第1の上アームトランス60の出力電圧を増加させ、第1の上,下アームトランス60,67間の出力電圧のばらつきを抑制することができる。
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏する。
・第1の上アームトランス60に接続された給電対象の負荷電流の総和と、第1の下アームトランス67に接続された給電対象の負荷電流の総和とが異なる場合でも、第1の上アームトランス60と第1の下アームトランス67と間の出力電圧のばらつきを抑制することができる。
<第2実施形態の変形例>
第1の上アームトランス60に接続された給電対象の負荷電流の総和が、第1の下アームトランス67に接続された給電対象の負荷電流の総和よりも大きい場合において、第1の上アームトランス60の巻数比Nr1を第1の下アームトランス67の巻数比Nr2よりも大きくしてもよい。これにより、第1の上アームトランス60の出力電圧を高めることができる。
以上説明した本実施形態では、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号を付した箇所は同一の箇所を示し、その説明は繰り返さない。
本実施形態では、図1に示す給電システム300とは異なり、第1の昇圧コンバータ、及び第2の昇圧コンバータを備えている。第1のインバータ12は、第1の昇圧コンバータを介して高電圧バッテリ50に接続されている。また、第2のインバータ22は、第2の昇圧コンバータを介して高電圧バッテリ50に接続されている。
図6は、第3実施形態に係る基板200の平面図である。本実施形態では、第1の昇圧コンバータの第1の上,下アーム昇圧スイッチS1cp,S1cnは、第1の上,下アーム昇圧駆動回路Dr1cp,Dr1cnにより駆動される。また、第2の昇圧コンバータの第2の上,下アーム昇圧スイッチS2cp,S2cnは、第2の上,下アーム昇圧駆動回路Dr2cp,Dr2cnにより駆動される。
第1の上アーム昇圧駆動回路Dr1cpは、基板200の第1面の正面視において、第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。具体的には、第1の上アーム昇圧駆動回路Dr1cpは、第1のW相上アーム駆動回路Dr1Wpに対して、第1のV相上アーム駆動回路Dr1Vpが設けられている側と反対側で1列に並ぶように設けられている。第1の下アーム昇圧駆動回路Dr1cnは、基板200の第1面の正面視において、第1の¥相下アーム駆動回路Dr1¥nが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。具体的には、第1の下アーム昇圧駆動回路Dr1cnは、第1のW相下アーム駆動回路Dr1Wnに対して、第1のV相下アーム駆動回路Dr1Vnが設けられている側と反対側で1列に並ぶように設けられている。
第2の上アーム昇圧駆動回路Dr2cpは、基板200の第1面の正面視において、第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥p及び第1の上アーム昇圧駆動回路Dr1cpが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。具体的には、第2の上アーム昇圧駆動回路Dr2cpは、第1の上アーム昇圧駆動回路Dr1cpに対して、第1のW相上アーム駆動回路Dr1Wpが設けられている側と反対側で1列に並ぶように設けられている。第2の下アーム昇圧駆動回路Dr2cnは、基板200の第1面の正面視において、第1の¥相下アーム駆動回路Dr2¥n及び第1の下アーム昇圧駆動回路Dr1cnが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。具体的には、第2の下アーム昇圧駆動回路Dr2cnは、第1の下アーム昇圧駆動回路Dr1cnに対して、第1のW相下アーム駆動回路Dr1Wnが設けられている側と反対側で1列に並ぶように設けられている。
本実施形態において、第1,第2の上アーム昇圧駆動回路Dr1cp,Dr2cpの負荷電流I1と、第1,第2の¥相上アーム駆動回路Dr1¥p,Dr2¥pの負荷電流I2との差が大きくなる場合がある。負荷電流I1,I2の差が大きくなるほど、第1,第2電源IC52,54の制御により出力電圧の差を低減できない場合がある。そこで、本実施形態では、負荷電流の差を加味し、第1,第2の上アーム昇圧駆動回路Dr1cp,Dr2cpと、第1,第2の¥相上アーム駆動回路Dr1¥p,Dr2¥pとに対して、別々の上アームトランスにより出力電圧を供給している。
給電システム300は、第3の上アームトランス110と、第4の上アームトランス120と、第5の上アームトランス130と、第3の下アームトランス140と、第4の下アームトランス150と、第5の下アームトランス160と、を備えている。本実施形態では、第3の上アームトランス110が第1トランスに相当し、第3の下アームトランス140が第2トランスに相当する。
第3~第5の上アームトランス110~130は、1つの入力巻線に対して複数の出力巻線が磁気結合するトランスである。具体的には、第3の上アームトランス110は、1つの入力巻線111と、帰還巻線112と、3つの出力巻線113,114,115とが1つのコアにより磁気結合するトランスである。第4の上アームトランス120は、1つの入力巻線121と、2つの出力巻線123,124とが1つのコアにより磁気結合するトランスである。第5の上アームトランス130は、1つの入力巻線131と、3つの出力巻線133,134,135とが1つのコアにより磁気結合するトランスである。
第3の上アームトランス110の3つの出力巻線113~115それぞれには、第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pが接続されている。第3の上アームトランス110の3つの出力巻線113~115から各第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pに出力電圧が供給される。
第4の上アームトランス120の2つの出力巻線123,124それぞれには、第1,第2の上アーム昇圧駆動回路Dr1cp,Dr2cpが接続されている。第4の上アームトランス120の各出力巻線123,124から第1,第2の上アーム昇圧駆動回路Dr1cp,Dr2cpに出力電圧が供給される。
第5の上アームトランス130の3つの出力巻線133~135それぞれには、第2の¥相上アーム駆動回路Dr2¥pが接続されている。第5の上アームトランス130の各出力巻線133~135から各第2の¥相上アーム駆動回路Dr2¥pに出力電圧が供給される。
第3~第5の下アームトランス140~160は、1つの入力巻線141,151,161に対して1つの出力巻線142,152,162がそれぞれ磁気結合するトランスである。
第3の下アームトランス140の出力巻線142には、各第1の¥相下アーム駆動回路Dr1¥nが並列接続されている。第4の下アームトランス150の出力巻線152には、第1,第2の下アーム昇圧駆動回路Dr1cn,Dr2cnが並列接続されている。第5の下アームトランス160の出力巻線162には、各第2の¥相下アーム駆動回路Dr2¥nが並列接続されている。
本実施形態では、第3~第5の上,下アームトランス110~160の各入力巻線111,121,131、141,151,161の一端は、第1配線LP1及び第3配線LP3を介して低電圧バッテリ42の正極端子に接続されている。また、第3~第5の上,下アームトランス110~160の各入力巻線111,121,131、141,151,161の他端は、第2配線LP2及び第4配線LP4を介して第1制御用スイッチ80のドレインに接続されている。
第3の上アームトランス110の帰還巻線112は、不図示のフィードバック回路を介して第1電源IC52に接続されている。そのため、第3の上アームトランス110の出力電圧が目標電圧Vtgtに応じた指令値V*に制御されることで、出力電圧のばらつきが抑制される。
以上説明した第3実施形態では、以下の効果を奏する。
昇圧コンバータ30の第1,第2の昇圧上アーム駆動回路Dr1cp,Dr2cpと、第1,第2の¥相上アーム駆動回路Dr¥pとに対して別々の上アームトランス110~130から電力を供給することとした。この場合、第1,第2の昇圧上アーム駆動回路Dr1cp,Dr2cpと、第1,第2の¥相上アーム駆動回路Dr¥pとの間の負荷電流の差が大きい場合においても、各上アームトランス110~130において出力電圧のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
<第4実施形態>
第4実施形態では、第3実施形態と異なる構成を主に説明する。なお、第3実施形態と同一の符号を付した箇所は同一の箇所を示し、その説明は繰り返さない。
本実施形態では、第3実施形態と異なり、第1,第2のインバータ12,22は、1つの昇圧コンバータを介して高電圧バッテリ50に接続されている。図7に示すように、昇圧コンバータを構成する上,下アーム昇圧スイッチScp,Scnのうち、上アーム昇圧スイッチScpは上アーム昇圧駆動回路Drcpに接続されており、下アーム昇圧駆動回路Drcnは、下アーム昇圧駆動回路Drcnに接続されている。
上アーム昇圧駆動回路Drcpは、第4の上アームトランス120に接続されている。具体的には、上アーム昇圧駆動回路Drcpは、第4の上アームトランス120の出力巻線123に接続されている。本実施形態では、第3の下アームトランス140の出力巻線142には、第1の¥相下アーム駆動回路Dr1¥nに加えて、下アーム昇圧駆動回路Drcnが接続されている。
次に、第4実施形態に係る第3,第4の上アームトランス110,120の負荷電流のばらつきを、第3,第4の上アームトランス110,120それぞれに流れる負荷電流の比により説明する。図8では、各上側駆動回路Dr1¥p,Drcpそれぞれの負荷電流を、各上側駆動回路Dr1¥p,Drcpの停止時に流れる負荷電流を1とする場合の相対的な値により示している。
本実施形態では、第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pが動作する際に流れる負荷電流は、上アーム昇圧駆動回路Drcpが動作する際に流れる負荷電流よりも大きい。具体的には、第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pの動作時の負荷電流を20とした場合、上アーム昇圧駆動回路Drcpの動作時の負荷電流を10としている。
第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥p及び上アーム昇圧駆動回路Drcpが共に動作する場合、第3,第4の上アームトランス110,120の負荷電流の比は、60(=20+20+20):10となる。第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pが停止し、上アーム昇圧駆動回路Drcpが動作する場合、第3,第4の上アームトランス110,120の負荷電流の比は、3(=1+1+1):10となる。第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pが動作し、上アーム昇圧駆動回路Drcpが停止する場合、第3,第4の上アームトランス110,120の負荷電流の比は、60(=20+20+20):1となる。第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥p及び上アーム昇圧駆動回路Drcpが共に停止する場合、第3,第4の上アームトランス110,120の負荷電流の比は、3(=1+1+1):1となる。
以上説明した本実施形態では、第3の実施形態と同様の効果を奏する。
<第4実施形態の変形例>
第3の上アームトランス110に、上アーム昇圧駆動回路Drcp及び第1のU,V相上アーム駆動回路Dr1Up,Dr1Vpが接続され、第4の上アームトランス120に、第1のW相上アーム駆動回路Dr1Wpが接続されてもよい。
第4実施形態の変形例に係る第3,第4の上アームトランス110,120の負荷電流のばらつきを、第3,第4の上アームトランス110,120それぞれに流れる負荷電流の比により説明する。
図9では、各上側駆動回路Dr1¥p,Drcpの負荷電流を、各上側駆動回路Dr1¥p,Drcpの停止時に流れる負荷電流を1とする場合の相対的な値により示している。上アーム昇圧駆動回路Drcp及び第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pの動作時の負荷電流は、第4実施形態で示したものと同様である。
第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥p及び上アーム昇圧駆動回路Drcpが共に動作する場合、第3,第4の上アームトランス110,120の負荷電流の比は、50(=20+20+10):20となる。第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pが停止し、かつ上アーム昇圧駆動回路Drcpが動作する場合、第3,第4の上アームトランス110,120の負荷電流の比は、12(=1+1+10):1となる。第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pが動作し、かつ上アーム昇圧駆動回路Drcpが停止する場合、第3,第4の上アームトランス110,120の負荷電流の比は、41(=20+20+1):20となる。第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥p及び上アーム昇圧駆動回路Drcpが共に停止する場合、第3,第4の上アームトランス110,120の負荷電流の比は、3(=1+1+1):1となる。
第4実施形態の変形例においても、第3実施形態と同様の効果を奏する。また、第4実施形態の変形例では、第4実施形態と比べて、第1の¥相上アーム駆動回路Dr1¥pが動作し、かつ上アーム昇圧駆動回路Drcpが停止する場合の、第3,第4の上アームトランス110,120間の負荷電流のばらつき度合いが低減されている。その結果、第3,第4の上アームトランス110,120間の出力電圧のばらつきがいっそう抑制される。
<その他の実施形態>
・給電システム300は、第1のインバータ12のみを備える構成であってもよい。この場合、給電システム300は、第1の電源装置100のみを備える構成であればよい。
・給電システム300は、昇圧コンバータ30を備えない構成であってもよい。この場合において、第1の上アームトランス60は、出力側巻線として、第1入力巻線61と磁気結合する第1~第3出力巻線62~64のみを備えていればよい。
・第1の上アームトランス60は、上側駆動回路Drcp,Dr1¥p,Dr2¥pに共通のトランスであってもよい。この場合において、第1の上アームトランス60は、1つの入力巻線、7つの出力巻線、及び帰還巻線が1つのコアにより磁気結合するトランスであればよい。そして、出力巻線それぞれに、上側駆動回路Drcp,Dr1¥p,Dr2¥pの各駆動回路が接続されていればよい。
・第3配線LP3が低電圧バッテリ42の正極端子と第2入力巻線68の第5トランス端子Ta5とを接続している場合、第1配線LP1は、第3配線LP3から分岐することで第1入力巻線61の第1トランス端子Ta1に接続されていてもよい。また、第4配線LP4が第1制御用スイッチ80と第2入力巻線68の第6トランス端子Ta6とを接続している場合、第2配線LP2は、第4配線LP4から分岐することで第1入力巻線61の第2トランス端子Ta2に接続されていてもよい。
・第1配線LP1及び第3配線LP3それぞれが低電圧バッテリ42の正極端子に接続され、第2配線LP2及び第4配線LP4それぞれが第1制御用スイッチ80のドレインに接続されることで、第3閉回路が形成されていてもよい。
・第1,第2の上アームトランス60,90が帰還巻線を備えることに代えて、第1,第2の下アームトランス67,97が帰還巻線を備えていても良い。