JP7052952B2 - 柱の接合構造 - Google Patents

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Description

本発明は、柱の接合構造に関する。
特許文献1には、超高強度のプレキャストコンクリート柱を、このプレキャストコンクリート柱よりも強度が低い柱支持構造体に接合する接合構造に関する技術が開示されている。この先行技術では、柱支持構造体から上方に延出するアンカー筋がプレキャストコンクリート柱内に挿入されている。
特許文献2には、建物が水平変形した際に、軸力柱の柱頭部及び柱脚部やその接続部にひび割れや圧壊が生じないようにした技術が開示されている。この先行技術では、柱頭部及び柱脚部と水平部材との間に水平移動防止筋を介在させて、柱頭部及び柱脚部と水平部材とを接合している。
特開2009-114738号公報 特開2016-121472号公報
しかし、特許文献1及び特許文献2の柱の接合技術では、水平部材や柱支持構造体等の構造部材と、柱とに鉄筋を跨って配筋する必要があるので、施工性の観点から改善の余地がある。
本発明は、上記事実を鑑み、構造部材と柱とに跨って鉄筋を配筋することなく、構造部材と柱とを接合することが目的である。
第一態様は、上下の構造部材間に設置された柱と、前記柱の上下の端部の少なくとも一方と前記構造部材との間に充填された充填材が固化することで形成された接合部と、前記端部と前記接合部との間でせん断力を伝達する第一せん断力伝達手段と、前記構造部材と前記接合部との間でせん断力を伝達する第二せん断力伝達手段と、を備えた柱の接合構造である。
第一態様では、柱と構造部材との間に形成された接合部を介して、柱と構造部材との間で軸力が伝達される。柱と接合部との間は第一せん断力伝達手段によってせん断力が伝達され、接合部と構造部材との間は第二せん断力伝達手段によってせん断力が伝達される。よって、柱と構造部材との間は、接合部、第一せん断力伝達手段及び第二せん断力伝達手段を介して、せん断力が伝達される、このように、構造部材と柱とに跨って鉄筋を配筋することなく、構造部材と柱とを接合することができる。
第二態様は、前記第一せん断力伝達手段は、前記端部及び前記接合部の一方に設けられた第一凸部と、前記端部及び前記接合部の他方に設けられ、前記第一凸部が係合した第一凹部と、で構成されている、第一態様に記載の柱の接合構造である。
第二態様では、柱と接合部との間は第一凸部及び第一凹部でせん断力が伝達される。
第三態様は、前記第二せん断力伝達手段は、前記構造部材及び前記接合部の一方に設けられた第二凸部と、前記構造部材及び前記接合部の他方に設けられ、前記第二凸部が係合した第二凹部と、で構成されている、第一態様又は第二態様に記載の柱の接合構造である。
第三態様では、構造部材及び接合部との間は第二凸部及び第二凹部でせん断力が伝達される。
本発明によれば、構造部材と柱とに跨って鉄筋を配筋することなく、構造部材と柱とを接合することができる。
第一実施形態の柱の接合構造が適用されて間柱が設置された架構を一部断面で示す正面図である。 図1における間柱の下側の端部と下側の梁との接合部位の拡大断面図である。 図1の架構に後から間柱を設置する施工手順を(A)~(C)へと順番に示す工程図である。 第二実施形態の柱の接合構造が適用されて間柱が設置された架構の要部を一部断面で示す正面図である。 (A)は第二実施形態の間柱の軸方向の中央部の拡大正面図であり、(B)は第二実施形態の間柱の下側の端部の拡大断面図である。 図4の架構に後から間柱を設置する施工手順を(A)~(C)へと順番に示す工程図である。
<第一実施形態>
本実施形態の第一実施形態の柱の接合構造及び施工方法について説明する。
[構造]
先ず、本実施形態の構造について説明する。
図1に示すように、本実施形態の柱の接合構造100は、間柱110、下側の接合部120L、上側の接合部120U、下側の第一せん断力伝達機構150L、上側の第一せん断力伝達機構150U、下側の第二せん断力伝達機構170L及び上側の第二せん断力伝達機構170Uを有している。
なお、以降、下側の部材には符号の後にLを付し、上側の部材には符号の後にUを付し、これらを区別しないで説明する場合は、符号の後のL及びUを省略する。後述する間柱110の下側の端部112Lと下側の梁12Lとの接合部位を図示している図2を用いて説明する場合でも、上下の区別をしないで、つまり符号の後のL及びUを省略して説明することがある。
柱の一例としての間柱110は、梁12L、12Uと柱14とで構成された架構16内に設置されている。本実施形態の間柱110は、超高強度のコンクリート(一例としてFc300のAPC(登録商標))を材料とする極細柱(ペンカラム)である。
なお、図2に示すように、本実施形態の間柱110には、内部に軸方向に沿って柱主筋114が配筋されている。
図1に示すように、接合部120L、120Uは、間柱110の端部112L、112Uと梁12L、12Uとの間に充填されたグラウト材G(図2参照)が固化することで形成されている。
なお、本実施形態の接合部120L、120Uを構成するグラウト材Gは、間柱110と同じ超高強度のコンクリート(一例としてFc300のAPC(登録商標))を材料としている。
第一せん断力伝達機構150L、150Uは、間柱110の端部112L、112Uと接合部120L、120Uとの間でせん断力を伝達する機構である。同様に、第二せん断力伝達機構170L、170Lは、接合部120L、120Uと梁12L、12Uとの間でせん断力を伝達する機構である。
なお、下側の接合部120Lと上側の接合部120Uとは、上下対称である以外は、同様の構造である。同様に、下側の第一せん断力伝達機構150Lと上側の第一せん断力伝達機構150Uとは上下対称である以外は同様の構造であり、下側の第二せん断力伝達機構170Lと上側の第二せん断力伝達機構170Uとは上下対称である以外は同様の構造である。
図2に示すように、第一せん断力伝達機構150は、間柱110の端部112から突出する第一凸部152と、接合部120に形成され第一凸部152が係合した第一凹部154と、で構成されている。なお、前述したように、図2は、間柱110の下側の端部112Lと下側の梁12Lとの接合部位を図示しているが、このように、上下の区別をしないで、つまり符号の後のL及びUを省略して説明する。
第二せん断力伝達機構170は、接合部120に形成された第二凸部172と、梁12に形成され第二凸部172が係合した第二凹部174と、で構成されている。なお、本実施形態では、接合部120に形成された第二凸部172は間柱110の外形よりも大きく、横方向外側に張り出している。また、梁12に形成された第二凹部174は、間柱110の外形よりも大きい。
本実施形態では、接合部120は、第一凹部154が形成された接合部本体122と、横方向外側に張り出した第二凸部172と、で構成されている。第二凸部172の張出部位の梁12Lから露出した上面124L(又は下面124U)は、梁12Lの上面13L(又は下面13U(図1参照))と面一又は略面一になっている。また、接合部本体122における第二凸部172と境界部分には、横方向内側に凹んだ切欠部126が形成され、切欠部126にはシリコーン樹脂等を材料とするシール剤128が充填されている。
なお、接合部120には、間柱110を後から設置する際に仮固定するための棒状の梁側仮固定部材25と、ひび割れ防止の鉄筋部材20と、が埋設されている。
棒状の梁側仮固定部材25は梁12に仮固定されている。また、間柱110の端部112には、柱側仮固定部材119が設けられている。そして、柱側仮固定部材119の仮固定用穴117に棒状の梁側仮固定部材25を挿入することで、間柱110が仮固定される。なお、仮固定の方法は、このような方法に限定されない。どのような方法で仮固定してもよい。
また、本実施形態では、接合部120内にニクロム線等で構成された図示していないヒータ線が埋設されている。本実施形態におけるヒータ線の配置パターンは、平面視において面上で折り返されて蛇行し、一定の間隔となるように配置されている。そして、ヒータ線の両端部を図示していない電源装置に繋いでヒータ線に電気を通すことで、ヒータ線が発熱し、グラウト材Gが加熱されるようになっている。
[施工方法]
次に、本実施形態の施工方法の一例について説明する。
図3(A)に示すように、下側の梁12Lの上面13L及び上側の梁12Uの下面13Uを斫り、第二凹部174L、174Uを形成する。また、第二凹部174L、174Uの両側にジャッキ50を設置し、上側の梁12Uをジャッキアップする(上下の梁12間を広くする)。なお、下階にジャッキ50の反力を受ける支持部材52を設置してもよい。
図3(B)に示すように、梁12Lの第二凹部174Lと梁12Uの第二凹部174Uの間に梁側仮固定部材25を仮固定する。梁12Lの第二凹部174Lと梁12Uの第二凹部174Uの間に間柱110を設置すると共に、柱側仮固定部材119の仮固定用穴117に棒状の梁側仮固定部材25を挿入することで、間柱110が仮固定される。
第二凹部174L、174Uにひび割れ防止の鉄筋部材20L、20Uを設置し、図示していない型枠を間柱110の端部112L、112Uと梁12L、12Uの第二凹部174L、174Uとの間の周囲に設ける。また、形枠内に図示してないヒータ線を配線する。
なお、梁12Lの第二凹部174Lと梁12Uの第二凹部174Uとの間に間柱110を設置したのち、上側の梁12Uをジャッキアップしてもよい。
図3(C)に示すように、図示してない形枠内に充填材の一例としてのグラウト材G(図2参照)を充填する。なお、型枠には、切欠部126(図2参照)が形成される突起部が設けられている。そして、グラウト材G(図2参照)が固化することで、第一凹部154及び第二凹部174(図2参照)が形成された接合部120L、120Uが構築される。図示していない型枠を除去し、切欠部126にシール剤128(図2参照)を充填する。
なお、グラウト材Gの充填が完了すると、ヒータ線の端部を図示していない電源装置に繋いで通電することでヒータ線を発熱させ、これによりグラウト材Gを加熱する。そして、グラウト材Gが加熱され、グラウト材Gの温度が上昇することで、水和反応(固化)を促進させる。ヒータ線は、施工後も接合部120に埋設されたままである(埋め殺しとなる)が、強度上は問題ない。
また、ジャッキ50(図3(B))をジャッキンダウンして撤去する。下階に支持部材52(図3(B)参照)を設置している場合は、支持部材52も撤去する。そして、ジャッキ50(図3(B)参照)をジャッキンダウンして撤去することで、間柱110に鉛直荷重がかかる。
[作用及び効果]
次に、作用及び効果について説明する。
間柱110の端部112L、112Uと梁12L、12Uとの間に形成された接合部120L、120Uを介して、間柱110と梁12L、12Uとの間で軸力が伝達される。
また、間柱110の端部112L、112Uと接合部120L、120Uとの間は、第一せん断力伝達機構150L、150U(第一凸部152L、152U及び第一凹部154L、154U)によってせん断力が伝達される。
そして、接合部120L、120Uと梁12L、12Uとの間は、第二せん断力伝達機構170L、170U(第二凸部172L、172U及び第二凹部174L、174U)によってせん断力が伝達される。
このように、間柱110と梁12L、12Uとの間は、接合部120L、120U、第一せん断力伝達機構150L、150U及び第二せん断力伝達機構170L、170Uを介して、軸力及びせん断力が伝達される。よって、間柱110と梁12L、12Uとに跨って鉄筋等を配筋することなく、後から設置する間柱110と梁12L、12Uとを容易に接合することができる。
また、梁12Uをジャッキアップした状態で上下の梁12L、12Uの間に間柱110を設置し、第一凸部152L、152Uが形成された間柱110の端部112L、112Uと、第二凹部174L、174Uが形成された梁12L、12Uと、の間にグラウト材Gを充填し固化させることで、軸力とせん断力との両方を伝達可能な接合部120L、120Uが容易に形成される。
そして、ジャッキ50をジャッキダウンして撤去することで、後から設置する間柱110に鉛直荷重を確実に且つ常時負担させることができる。よって、後から設置する間柱110によって、効果的に架構16を補強することができる。
また、本実施形態では、グラウト材Gを固化させる際に、ヒータ線を発熱させ、グラウト材Gの温度を上昇させ、グラウト材Gの水和反応を促進させている。よって、グラウト材Gの強度の向上や養生期間の短縮がなされる。
ここで、本実施形態では、圧縮強度が高強度のグラウト材Gを用いている。接合部120は、断面寸法が小さい為、水和熱反応による温度上昇が少なく、結果として強度発現は小さく、また、施工現場で充填する為、加熱養生による高温履歴を殆ど受けない。よって、何も行わない場合は、グラウト材Gの水和反応が充分に進行せずに、高い強度が得られないことがある。したがって、接合部120にヒータ線を埋設させていない施工現場では、例えば、対応する建物階の周囲をシート等で覆いジェットヒータで間接的に周辺を加温し、所定の強度が得られるようにしている。しかし、このような方法は、施工に手間を要するばかりか、水和反応の反応速度が遅く、所定の強度を得る為に、長期に亘る養生期間が必要となる。
しかし、本実施形態では、ヒータ線を接合部120に埋設し、発熱させることで、グラウト材Gの温度を上昇させ、水和反応を促進させているので、高い強度を得ることができる。
また、グラウト材Gが高い強度を必要としない場合でも、寒冷地や冬季の施工においては、水和反応の反応速度が遅く、所定の強度を得る為に、長期に亘る養生期間が必要な場合がある。しかし、同様にグラウト材Gを加熱して水和反応を促進させることで、養生期間を短縮することができる。
<第二実施形態>
本実施形態の第二実施形態の柱の接合構造及び施工方法について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
[構造]
先ず、本実施形態の構造について説明する。
図4に示すように、本実施形態の柱の接合構造100は、間柱210、下側の接合部220L、上側の接合部120U、下側の第一せん断力伝達機構250L、上側の第一せん断力伝達機構150U、下側の第二せん断力伝達機構170L及び上側の第二せん断力伝達機構170Uを有している。
なお、上側の接合部120U、上側の第一せん断力伝達機構150U、下側の第二せん断力伝達機構170L及び上側の第二せん断力伝達機構170Uは、第一実施形態と同様の構造であるので、説明を省略する。
柱の一例としての間柱210は、軸方向の中央部に鋼菅230が設けられている。なお、設置状態での間柱210における鋼菅230の上側を上側柱本体232Uとし、鋼菅230の下側を下側柱本体232Lとする(図5(A)も参照)。なお、本実施形態の間柱210を構成する上側柱本体232U及び下側柱本体232Lは、第一実施形態の超高強度のコンクリート(一例としてFc300のAPC(登録商標))を材料としている。
間柱210(上側柱本体232U)の上側の端部212Uには、上側の第一せん断力伝達機構150Uを構成する第一凸部152Uが設けられている。
また、間柱210には、自己圧着機構300が内蔵されている。自己圧着機構300は、前述の鋼菅230、PC鋼線302及び伸張機構310を有している。
下側柱本体232Lには、軸方向に貫通する貫通孔233(図5(B)参照)が形成され、両端部はネジが切られた螺子部304L、304UとなったPC鋼線302が挿通している。
図4及び図5(B)に示すように、伸張機構310は、間柱210(下側柱本体232L)の下側の端部212Lに設けられている。図5(B)に示すように、伸張機構310は、本体部312と可動板部320とを有している。本体部312は、筒部314と底部316とを有している。底部316は下側柱本体232Lに固定されている。また、底部316及び可動板部320には貫通孔317、322が形成されている。そして、前述したPC鋼線302が貫通孔317、322に挿通している。
図5(A)及び図5(B)に示すように、PC鋼線302の両端の螺子部304L、304Uにはナット306、307が螺合されている。
図5(B)に示すように、本体部312の筒部314の内部には、弾性部材の一例としての皿バネ330が設けられている。よって、可動板部320は、皿バネ330によって、下側方向に付勢されている。そして、上側のナット307(図5(A)参照)のねじ込み量で可動板部320と筒部314との間隔を調整することができる。なお、図における実線で図示した可動板部320は、筒部314と近接又は接触した状態であり、二点破線(想像線)で図示した可動板部320は、筒部314から離間した状態である。
図4に示すように、本実施形態では、下側の第一せん断力伝達機構250Lは、PC鋼線302における可動板部320から突出した部位である鋼線端部252L(図5(B)も参照)が、下側の接合部220Lに埋設されることで、せん断力が伝達される機構である。別の観点から説明すると、鋼線端部252Lが第一凸部として機能し、接合部220Lにおける鋼線端部252Lが埋設された部位が第一凹部254Lとして機能する。
下側の接合部220Lは、この第一凹部254L及び第一実施形態と同様の第二凸部172Lが形成されている。また、第一実施形態と同様に横方向内側に凹んだ切欠部126Lが形成され、切欠部126Lにはシリコーン樹脂等を材料とするシール剤128Lが充填されている。
なお、接合部220Lを構成するグラウト材Gも超高強度のコンクリート(一例としてFc300のAPC(登録商標))を材料としている。また、接合部220Lにもヒータ線が埋設されている。なお、接合部120U、220Lには、第一実施形態と同様に、ひび割れ防止の鉄筋部材20U,20Lが埋設されている。
[施工方法]
次に、本実施形態の施工方法について説明する。
図6(A)に示すように、下側の梁12Lの上面13L及び上側の梁12Uの下面13Uを斫り、第二凹部174L、174Uを形成する。
図6(B)に示すように、梁12Lの第二凹部174Lと梁12Uの第二凹部174Uの間に間柱210を設置する。なお、図5(B)に示すように、間柱210は、可動板部320を筒部314に近接又は接触した状態とし、皿バネ330のバネ力によって間柱210にプレストレスがかかっている状態になっている。また、第二凹部174L、174Uにひび割れ防止の鉄筋部材20を設置する。なお、間柱210を仮固定する機構を設けてもよい。
図6(C)に示すように、図示していない型枠を間柱210の端部212L、212Uと梁12L、12Uの第二凹部174L、174Uとの間の周囲に設ける。なお、型枠には、切欠部126L、128Uが形成される突起部が設けられている。また、形枠内に図示してないヒータ線を配線する。
そして、形枠内にグラウト材G(図2参照)を充填し、このグラウト材G(図2参照)が固化することで、第一凹部154U、第一凹部254L、第二凹部174L、174U(図4参照)が形成された接合部220L、120Uが構築される。図示していない型枠を除去し、切欠部126にシール剤128(図4参照)を充填する。
なお、グラウト材Gの充填が完了すると、ヒータ線の端部を図示していない電源装置に繋いで通電することでヒータ線を発熱させ、これによりグラウト材Gを加熱する。そして、グラウト材Gが加熱され、グラウト材Gの温度が上昇することで、水和反応(固化)を促進させる。
そして、図4及び図5(A)に示すように、鋼菅230内のナット307を緩めて間柱210のプレストレスを開放することで、間柱210に鉛直荷重がかかる。
[作用及び効果]
次に、作用及び効果について説明する。
間柱210の端部212L、212Uと梁12L、12Uとの間に形成された接合部220L、120Uを介して、間柱210と梁12L、12Uとの間で軸力が伝達される。
また、間柱210の端部212L、212Uと接合部220L、120Uとの間は第一せん断力伝達機構250L、150U(鋼線端部252L、第一凸部152U及び第一凹部254L、154U)によってせん断力が伝達される。
そして、接合部220L、120Lと梁12L、12Uとの間は第二せん断力伝達機構170L、170U(第二凸部172L、172U及び第二凹部174L、174U)によってせん断力が伝達される。
このように、間柱210と梁12L、12Uとの間は、接合部220L、120U、第一せん断力伝達機構250L、150U及び第二せん断力伝達機構170L、170Uを介して、軸力及びせん断力が伝達される。よって、間柱210と梁12L、12Uとに跨って鉄筋等を配筋することなく、後から設置する間柱210と梁12L、12Uとを容易に接合することができる。
また、間柱210にプレストレスを導入した状態で上下の梁12L、12Uの間に間柱110を設置し、鋼線端部252L及び第一凸部152Uが形成された間柱210の端部212L、212Uと、第二凹部174L、174Uが形成された梁12L、12Uと、の間にグラウト材Gを充填し固化させることで、軸力とせん断力との両方を伝達可能な接合部220L、120Uが容易に形成される。
そして、間柱210に導入されたプレストレスを開放することで、後から設置する間柱210に鉛直荷重を確実に且つ常時負担させることができる。よって、後から設置する間柱210によって、効果的に架構16を補強することができる。
また、本実施形態では、グラウト材Gを固化させる際に、ヒータ線を発熱させ、グラウト材Gの温度を上昇させ、グラウト材Gの水和反応を促進させている。よって、グラウト材Gの強度の向上や養生期間の短縮がなされる。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、第二実施形態の間柱210では、伸張機構310は下側に設けられていたが、これに限定されない。伸張機構310は上側に設けられていてもよい。つまり、間柱210は、上記実施形態とは上下逆に設置してもよい。また、第二実施形態の間柱210は、軸方向中央部に鋼菅230を設けた自己圧着機構であったが、これに限定されない。間柱の端部のみに自己圧着機構を有していてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、間柱110、210は、梁12Lと梁12Uとの間に設置されたが、これに限定されない。梁12L、12U以外の構造部材、例えばスラブと梁との間やスラブとスラブとの間等に間柱110、210を設置してもよい。
また、例えば、上記実施形態の接合部120L、120U、220Lを構成する充填材の一例であるグラウト材G及び間柱110、210は、超高強度のコンクリート(一例としてFc300のAPC(登録商標))を材料としていたが、これに限定されない。超高強度のコンクリート以外のコンクリートや他材料で構成されていてもよい。
また、例えば、上記実施形態の接合部120L、120U、220Lを構成する充填材の一例であるグラウト材Gは、間柱110、210と同等の強度としていたが、これに限定されない。間柱の強度と同等の強度を有していれば、他の材料からなる充填材であってもよい。或いは、間柱の強度よりも高強度の充填材でもよいし、間柱の強度よりも低強度の充填材でもよい。
また、例えば、上記実施形態では、ヒータ線を接合部120、220に埋設し、発熱させることで、グラウト材Gの温度を上昇させ、水和反応を促進させていたが、これに限定されない。ヒータ線を埋設させる方法以外で充填材の温度を上昇させてもよい。或いは、水和反応を促進させる必要がない場合は、ヒータ線等の温度上昇手段で充填材の温度を上昇させなくてもよい。
また、例えば、架構16内に間柱110、210を複数設けてもよい。複数の間柱110、210を設ける場合、複数の間柱110、210を近接又は束ねて配置してもよい。更に、複数の間柱110、210を近接又は束ねて配置する場合、接合部を一体的に構築してもよい(一つの接合部に複数の間柱110、210が接合されていてもよい)。また、一つの第二凹部に複数の接合部が設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、梁12の第二凹部174(接合部120、220の第二凸部172)は、間柱110、210の外形よりも大きかったが、これに限定されない。梁12の第二凹部174(接合部120、220の第二凸部172)は、間柱110、210の外形と同じ又はこれよりも小さくてもよい。
また、間柱110、210以外の柱に本発明を適用することがきる。また、その材料もコンクリート以外であってもよい。
また、例えば、上記実施形態では、柱(間柱110、210)の端部に第一凸部を設け、接合部に第一凹部を設けたが、これに限定されない。柱(間柱110、210)の端部に第一凹部を設け、接合部に第一凸部を設けてもよい。同様に、上記実施形態では、接合部に第二凸部を設け、構造部材(梁12L、12U)に第二凹部を設けたが、これに限定されない。接合部に第二凹部を設け、構造部材(梁12L、12U)に第二凸部を設けてもよい。また、第一凸部及び第二凸部は、目あらしによる微小凸部、鉄筋、後施工アンカー及びスタッド等でもよい。また、例えば、柱主筋114を突出させて第一凸部としてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、柱(間柱110、210)の上側の端部と下側の端部との両方に本発明の接合構造を適用したが、これに限定されない。柱(間柱110、210)の上側の端部及び下側の端部のいずれか一方にのみ本発明の接合構造を適用してもよい。
また、例えば、上記実施形態では、接合部120、220に切欠部126を形成してシール剤128を充填しているが、切欠部126及びシール剤128が無くてもよい。
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。複数の実施形態は、適宜、組み合わされて実施可能である。
12L 梁(構造部材の一例)
12U 梁(構造部材の一例)
50 ジャッキ
110 間柱
112L 端部
112U 端部
120L 接合部
120U 接合部
150L 第一せん断力伝達機構(第一せん断力伝達手段の一例)
150U 第せん断力伝達機構(第せん断力伝達手段の一例)
152L 第一凸部
152U 第一凸部
154L 第一凹部
154U 第一凹部
170L 第二せん断力伝達機構(第二せん断力伝達手段の一例)
170U 第二せん断力伝達機構(第二せん断力伝達手段の一例)
172L 第二凸部
172U 第二凸部
174L 第二凹部
174U 第二凹部
210 間柱
212L 端部
212U 端部
220L 接合部
250L 第二せん断力伝達機構(第二せん断力伝達手段の一例)
252L 鋼線端部(第一凸部の一例)
254L 第一凹部
G グラウト(充填材の一例)

Claims (6)

  1. 上下の梁又はスラブに形成された構造部材側凹部と、
    上下の前記構造部材側凹部の開口端の間に、上下の端部に形成された柱側凸部が前記開口端から離れて設置された柱と、
    前記構造部材側凹部と、前記柱の前記端部との間に充填された充填材が固化することで形成された接合部と、
    を備えた柱の接合構造。
  2. 上下の梁又はスラブに形成された構造部材側凸部と、
    上下の前記構造部材側凸部の間に、上下の端部に形成された柱側凹部の開口端が前記構造部材側凸部から離れて設置された柱と、
    前記構造部材側凸部と、前記柱の前記端部との間に充填された充填材が固化することで形成された接合部と、
    を備えた柱の接合構造。
  3. 前記柱には、伸長することで該柱に鉛直荷重がかかる自己圧着機構が設けられている、
    請求項1又は請求項2に記載の柱の接合構造。
  4. 前記柱は、上側柱本体と下側柱本体とを有し、
    前記自己圧着機構は、
    前記上側柱本体と前記下側柱本体との間に設けられた鋼管と、
    前記下側柱本体の下側の前記端部に設けられた筒部と、
    前記筒部内に設けられた複数枚の皿ばねによって軸方向の下側に付勢された可動板部と、
    前記鋼管、前記下側柱本体、前記皿ばね及び前記可動板部を貫通し、上端部が前記鋼管内でナットに締結されると共に下端部が前記可動板部の下でナットに締結されたPC鋼線と、
    を有している、
    請求項3に記載の柱の接合構造。
  5. 前記接合部には、ひび割れ防止用の鉄筋が埋設されている、
    請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の柱の接合構造。
  6. 前記接合部には、前記充填材を加熱して固化を促進させるヒータ線が埋設されている、
    請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の柱の接合構造。
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