JP7052204B2 - 組成物の吸湿固結を防止する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2種の結晶原料を含有する組成物の吸湿固結を防止する方法に関する。
粉末飲食品の中には、保存容器や大気中の水分を吸収し固結するものがある。そのため、粉末飲食品の吸湿固結を防止する方法が検討されている。例えば、エキスを含有する粒子(母粒子)の表面にグルタミン酸ナトリウムを含有する粒子(子粒子)を付着させることにより、エキスを含有する粒子の吸湿固結を防止できることが知られている(特許文献1)。また、例えば、グルタミン酸塩とカリウム塩を含有する調味料において、グルタミン酸塩とカリウム塩の一方または両方をコーティング剤でコーティングすることにより、該調味料の吸湿固結を防止できることが知られている(特許文献2)。
粉末飲食品の吸湿現象については、非特許文献1に詳しい。結晶原料やアモルファス原料等の粉末飲食品の原料は、それぞれ固有の臨界相対湿度(critical relative humidity;CRH)を有する。結晶原料の場合、相対湿度(relative humidity;RH)がCRHに近づくまでは水分量の増加はほとんど認められないが、RHがCRHに近づくと水分量が急増し潮解する。また、2種またはそれ以上の結晶原料の混合物の場合、混合物のCRHは、典型的にはそれら結晶原料のCRHの積と一致する。すなわち、2種またはそれ以上の結晶原料が共存することにより、典型的には吸湿現象が生じやすくなる。また、食塩とグラニュー糖の混合物において、それらの粒子が接触している箇所で潮解が起こることが報告されている。
しかしながら、乾式コーティングを利用することにより、2種の結晶原料を含有する組成物の吸湿固結を防止できることは知られていない。
WO2011/105460 特開平1-309656
粉調味料の吸湿現象, 粉体技術 8(3), pp.210-215, 2016.
本発明は、2種の結晶原料を含有する組成物の吸湿固結を効果的に防止する技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、2種の結晶原料をまとめて乾式コーティングに供することにより、あるいは2種の結晶原料の一方または両方を乾式コーティングに供してから混合することにより、それら結晶原料を含有する組成物の吸湿固結を効果的に防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通り例示できる。
[1]
2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の製造方法であって、下記工程(a)また
は(b)を含む、方法:
(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程;
(b)前記結晶原料AおよびBを混合する工程であって、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、工程。
[2]
前記結晶原料AおよびBが、それぞれ、25℃において55%以上の臨界相対湿度を示す、前記方法。
[3]
前記結晶原料AおよびBが、共存することにより臨界相対湿度が低下する成分の組み合わせである、前記方法。
[4]
前記結晶原料AおよびBが、共存することにより25℃において85%以下の臨界相対湿度を示す成分の組み合わせである、前記方法。
[5]
前記結晶原料AおよびBが、アミノ酸、有機酸、核酸、ペプチド、タンパク質、糖、糖アルコール、および無機塩からなる群より選択される成分の組み合わせである、前記方法。
[6]
前記結晶原料AおよびBが、アミノ酸および有機酸の組み合わせである、前記方法。
[7]
前記結晶原料AおよびBが、グリシンおよびクエン酸の組み合わせである、前記方法。[8]
少なくとも、前記結晶原料AおよびBの内の25℃においてより低い臨界相対湿度を示す結晶原料が、予め乾式コーティングに供されたものである、前記方法。
[9]
少なくとも、クエン酸が、予め乾式コーティングに供されたものである、前記方法。
[10]
前記工程(b)を含み、さらに、前記工程(b)の前に下記工程(c)を含む、前記方法:
(c)前記結晶原料AおよびBの一方または両方を乾式コーティングに供する工程。
[11]
前記工程(a)または(c)におけるバインダー液の添加量が、0%(w/w)~0.5%(w/w)である、前記方法。
[12]
前記工程(a)または(c)において、バインダー液の添加が実施されない、前記方法。
[13]
前記工程(a)または(c)が撹拌子を備えた撹拌装置を用いて行われ、前記工程における撹拌数が、撹拌子の周速として、2.5m/s~30m/sである、前記方法。
[14]
前記工程(a)または(c)における撹拌時間が、30秒~120分である、前記方法。
[15]
前記工程(a)または(b)における前記結晶原料AおよびBの総使用量に対する前記結晶原料AまたはBの使用量の比率が、0.01%(w/w)~99.99%(w/w)である、前記方法。
[16]
さらに、前記結晶原料AおよびB以外の成分が、前記組成物の原料として用いられる、前記方法。
[17]
前記結晶原料AおよびB以外の成分が、香料を含む、前記方法。
[18]
前記組成物における前記結晶原料AおよびBの含有量が、50%(w/w)~100%(w/w)である、前記方法。
[19]
2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結耐性を向上させる方法であって、下記工程(a)または(b)を含む、方法:
(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程;
(b)前記結晶原料AおよびBを混合する工程であって、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、工程。
本発明により、2種の結晶原料を含有する組成物の吸湿固結を効果的に防止できる。
グリシンとクエン酸の乾式コーティング品(撹拌時間60 min)と単純MIX品について、電子顕微鏡による観察の結果を示す図(写真)。 グリシンとクエン酸の乾式コーティング品(撹拌時間60 min)と単純MIX品について、吸湿性の評価結果を示す図。 グリシンとクエン酸の乾式コーティング品と単純MIX品について、水分量と固結割合を示す図。 吸湿固結した部位の電子顕微鏡による観察の結果を示す図(写真)。 グリシンとクエン酸の乾式コーティング品(種々の撹拌時間で乾式コーティングを実施して得られたもの)と単純MIX品について、吸湿性の評価結果を示す図。 グリシンとクエン酸の乾式コーティング品(種々の撹拌周速で乾式コーティングを実施して得られたもの)と単純MIX品について、吸湿性の評価結果を示す図。 グリシンとクエン酸の乾式コーティング品(種々の粒径のグリシンを用いて乾式コーティングを実施して得られたもの)と単純MIX品について、吸湿性の評価結果を示す図。 グリシンとクエン酸の乾式コーティング品(グリシンとクエン酸を種々の配合比で用いて乾式コーティングを実施して得られたもの)について、吸湿性の評価結果を示す図。 グリシンとクエン酸の単純MIX品(グリシンとクエン酸を種々の配合比で混合して得られたもの)について、吸湿性の評価結果を示す図。 グリシン、クエン酸、および香料の乾式コーティング品(種々の撹拌周速で乾式コーティングを実施して得られたもの)と単純MIX品について、吸湿性の評価結果を示す図。 グリシン、クエン酸、および香料の乾式コーティング品(種々の撹拌周速で乾式コーティングを実施して得られたもの)について、電子顕微鏡による観察の結果を示す図(写真)。 グリシン、クエン酸、および香料の乾式コーティング品(種々の撹拌時間で乾式コーティングを実施して得られたもの)と単純MIX品について、吸湿性の評価結果を示す図。 グリシン、クエン酸、および香料の乾式コーティング品について、撹拌周速とb値(褐変の程度)を示す図。 グリシンとクエン酸の乾式コーティング品と単純MIX品、グリシン単品、およびクエン酸単品について、吸湿性の評価結果を示す図。 グリシンとクエン酸の単純MIX品、グリシン単品、およびクエン酸単品について、電子顕微鏡による観察の結果を示す図(写真)。 スクロースと塩化ナトリウムの乾式コーティング品と単純MIX品について、電子顕微鏡による観察の結果を示す図(写真)。 スクロースと塩化ナトリウムの乾式コーティング品と単純MIX品について、吸湿性の評価結果を示す図。 グリシンの乾式コーティング品およびクエン酸の乾式コーティング品について、電子顕微鏡による観察の結果を示す図(写真)。 グリシンの乾式コーティング品または未コーティング品とクエン酸の乾式コーティング品または未コーティング品との単純MIX品について、吸湿性の評価結果を示す図。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、乾式コーティングを利用した、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結を防止する方法である。
本発明の方法においては、組成物(具体的には、結晶原料AおよびBを含有する組成物)が結果物として得られる。よって、本発明の方法は、言い換えると、乾式コーティングを利用した、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の製造方法でもある。本発明の方法により得られる組成物を「本発明の組成物」ともいう。本発明の組成物は、吸湿固結耐性が向上した組成物(具体的には、結晶原料AおよびBを含有する、吸湿固結耐性が向上した組成物)であってよい。本発明の組成物の用途は特に制限されない。本発明の組成物は、例えば、飲食品(調味料も含む)、医薬品、化粧品、または農薬として用いられる組成物、すなわち、飲食品組成物、医薬品組成物、化粧品組成物、または農薬組成物であってよい。
本発明においては、乾式コーティングを利用することにより、結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結を防止する効果(結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結耐性が向上する効果)が得られる。同効果を「固結防止効果」ともいう。固結防止効果は、本発明の組成物の吸湿固結耐性を測定することにより確認できる。固結防止効果は、具体的には、本発明の組成物と対照品の吸湿固結耐性を測定し比較することにより確認できる。吸湿固結耐性は、例えば、対象物(本発明の組成物や対照品)を所定の湿度下に置いて吸湿および/または固結を進行させ、固結の程度または吸湿の程度を測定することにより測定できる。固結の程度と吸湿の程度は正に相関する。吸湿固結耐性の具体的な測定手順と評価基準としては、実施例に記載のものが挙げられる。本発明の組成物において、対照品と比較して、同一の条件で吸湿処理を実施した際の固結の程度または吸湿の程度が低ければ、固結防止効果が得られたと判断できる。すなわち、固結防止効果は、固結性の低減として、または吸湿性の低減として、測定できる。なお、固結性の低減を「固結耐性の向上」、吸湿性の低減を「吸湿耐性の向上」ともいう。対照品としては、乾式コーティングを利用せずに製造された、本発明の組成物と同一の組成を有する組成物(例えば、乾式コーティングされていない結晶原料AおよびB等の原料を本発明の組成物と同一の配合で単に混合して得られた混合物)が挙げられる。
また、一態様においては、乾式コーティングを利用することにより、結晶原料AおよびBを含有する組成物の呈味を改変(例えば改善)する効果が得られ得る。そのような効果としては、組成物の酸味や苦味等の異味を低減する効果が挙げられる。そのような異味は、例えば、結晶原料AおよびBのいずれか一方に由来するものであってよい。
乾式コーティングの利用態様は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。乾式コーティングは、例えば、結晶原料AおよびBの混合前、混合時、または混合後に実施されてよい。具体的には、例えば、結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供
してもよく、予め一方または両方が乾式コーティングに供された結晶原料AおよびBを混合してもよい。
すなわち、本発明の方法は、具体的には、例えば、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結を防止する方法または同組成物の製造方法であって、下記工程(a)または(b)を含む、方法であってよい:
(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程;
(b)前記結晶原料AおよびBを混合する工程であって、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、工程。
以下、本発明の方法について、前記工程(a)を含む態様を「第1の態様」、前記工程(b)を含む態様を「第2の態様」ともいう。
<1>原料
本発明の方法においては、2種の結晶原料AおよびBを組成物の原料として用いる。本発明の方法においては、結晶原料AおよびBのみを組成物の原料として用いてもよく、そうでなくてもよい。すなわち、本発明の方法においては、結晶原料AおよびBに加えて、さらに他の成分を組成物の原料として用いてもよい。本発明の方法において用いられる組成物の原料、すなわち結晶原料AおよびBと他の成分(他の成分については用いられる場合のみ)、を総称して単に「原料」ともいう。また、本発明の方法に含まれる各工程においては、同工程の実施対象となる成分を総称して単に「原料」ともいう。
<結晶原料>
「結晶原料」とは、結晶構造を有する成分をいう。結晶原料の種類は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。結晶原料は、本発明の組成物の用途等の諸条件に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の組成物が経口摂取用の組成物である場合には、結晶原料としては経口摂取可能なものを選択することができる。
結晶原料は、例えば、高い臨界相対湿度(critical relative humidity;CRH)を示すもの(すなわち、単独では吸湿しにくいもの)であってよい。結晶原料のCRHは、例えば、25℃におけるCRHとして、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、または99%以上であってよい。CRHは、常法により測定することができる。CRHは、具体的には、例えば、収着等温線から、あるいは飽和溶液の水分活性から、算出することができる(粉調味料の吸湿現象, 粉体技術 8(3), pp.210-215, 2016.)。なお、「結晶原料のCRH」とは、特記しない限り、乾式コーティングに供されていない結晶原料のCRHをいう。
結晶原料としては、アミノ酸、有機酸、核酸、ペプチド、タンパク質、糖、糖アルコール、無機塩が挙げられる。結晶原料としては、特に、アミノ酸や有機酸が挙げられる。アミノ酸として、具体的には、例えば、リジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジン、シトルリン、イソロイシン、アラニン、バリン、ロイシン、グリシン、スレオニン、セリン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、シスチン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギンが挙げられる。アミノ酸としては、特に、グリシンが挙げられる。有機酸として、具体的には、例えば、クエン酸、乳酸、酢酸、コハク酸が挙げられる。有機酸としては、特に、クエン酸が挙げられる。核酸として、具体的には、例えば、イノシン酸やグアニル酸が挙げられる。糖として、具体的には、例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、異性化糖、オリゴ糖が挙げられる。糖アルコールとして、具体的には、例えば、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトールが挙げられ
る。無機塩として、具体的には、例えば、塩化ナトリウムや塩化カリウムが挙げられる。アミノ酸(ペプチドやタンパク質を構成するものも含む)は、いずれも、L体、D体、またはそれらの混合物であってよい。また、結晶原料は、塩の形態を取り得るものは、塩の形態で利用されてもよい。すなわち、本発明において、「結晶原料」という用語は、特記しない限り、フリー体の結晶原料、その塩、またはそれらの混合物を意味してよい。また、これらの成分は、水和物の形態を取り得るものは、水和物の形態で利用されてもよい。すなわち、本発明において、「結晶原料」という用語は、特記しない限り、結晶原料の無水物(例えば、フリー体や塩の無水物)、結晶原料の水和物(例えば、フリー体や塩の水和物)、またはそれらの混合物を意味してよい。また、結晶原料は、単一の成分の結晶であってもよく、2種またはそれ以上の成分の共結晶であってもよい。
塩の種類は、特に制限されない。塩の種類は、本発明の組成物の用途等の諸条件に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の組成物が経口摂取用の組成物である場合には、塩としては経口摂取可能なものを選択することができる。例えば、カルボキシル基等の酸性基に対する塩としては、具体的には、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。また、例えば、アミノ基等の塩基性基に対する塩としては、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸との塩、酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、酪酸、ヒベンズ酸、パモ酸、エナント酸、デカン酸、テオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸、メチルマロン酸、アジピン酸等の有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩が挙げられる。なお、塩としては、1種の塩を用いてもよく、2種またはそれ以上の塩を組み合わせて用いてもよい。
結晶原料AおよびBの組み合わせは、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。結晶原料AおよびBは、共存することによりCRHが低下する(すなわち、吸湿性が高まる)成分の組み合わせであってよい。「結晶原料AおよびBが共存することによりCRHが低下する」とは、結晶原料AおよびBの共存時のCRHが、それらのCRHのどちらよりも低いことをいう。結晶原料AおよびBの共存時のCRHは、例えば、25℃において、それらのCRHの低い方よりも、1パーセンテージポイント以上、2パーセンテージポイント以上、5パーセンテージポイント以上、7パーセンテージポイント以上、10パーセンテージポイント以上、15パーセンテージポイント以上、20パーセンテージポイント以上、25パーセンテージポイント以上、30パーセンテージポイント以上、35パーセンテージポイント以上、または40パーセンテージポイント以上低くてよい。結晶原料AおよびBは、特に、共存することによりそれらのCRHの積より低いCRHを示す成分の組み合わせであってよい。結晶原料AおよびBの共存時のCRHは、例えば、25℃において、それらのCRHの積よりも、1パーセンテージポイント以上、2パーセンテージポイント以上、5パーセンテージポイント以上、7パーセンテージポイント以上、10パーセンテージポイント以上、15パーセンテージポイント以上、20パーセンテージポイント以上、25パーセンテージポイント以上、30パーセンテージポイント以上、35パーセンテージポイント以上、または40パーセンテージポイント以上低くてよい。また、結晶原料AおよびBの共存時のCRHは、例えば、25℃におけるCRHとして、85%以下、80%以下、70%以下、60%以下、または55%以下であってもよく、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、または50%以上であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。結晶原料AおよびBの共存時のCRHは、具体的には、例えば、25℃におけるCRHとして、10%~85%、20%~70%、または30%~55%であってよい。なお、ここでいう「共存時」とは、乾式コーティングを利用せず
に結晶原料AおよびBを共存させた(混合した)状態をいう。結晶原料AおよびBの組み合わせとして、具体的には、アミノ酸と有機酸の組み合わせが挙げられる。結晶原料AおよびBの組み合わせとして、より具体的には、グリシンとクエン酸の組み合わせが挙げられる。
結晶原料としては、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。
結晶原料は、常法により製造できる。結晶原料は、例えば、抽出法、酵素法、発酵法、生物変換法、化学合成法、またはそれらの組み合わせにより製造できる。例えば、アミノ酸や有機酸等の結晶原料は、当該結晶原料の生産能を有する微生物を培養し、培養液または菌体から当該結晶原料を回収することで製造することができる(発酵法)。また、結晶原料は、例えば、当該結晶原料を含有する農水畜産物から回収することで製造することができる。結晶原料が結晶以外の形態(結晶構造を有さない形態)で得られる場合、適宜結晶化して用いることができる。結晶原料は、所望の程度に精製されていてよい。結晶原料の純度は、結晶構造を有する限り、特に制限されない。結晶原料の純度は、例えば、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、80%(w/w)以上、90%(w/w)以上、95%(w/w)以上、または97%(w/w)以上であってよい。
結晶原料は、例えば、そのまま、あるいは適宜加工して、用いることができる。結晶原料は、例えば、所望のサイズ(例えば、平均粒子径D50)が得られるように加工(例えば、粉砕)して用いてもよい。粉砕は、例えば、粉砕装置を用いて行うことができる。粉砕装置は、対象物を所望の程度に粉砕できるものであれば特に制限されない。粉砕装置としては、例えば、ピンミル、ジェットミル、フェザーミル、ロッドミル、ボールミル、震動ロッドミル、震動ボールミル、円盤型ミルなどの各種ミル、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、平滑ロールクラッシャー、歯付きロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャーなどの各種クラッシャー、フードカッター、ダイサーが挙げられる。ハンマークラッシャーとして、具体的には、例えば、パルベライザー(AP-1やAP-4TH等;ホソカワミクロン製)が挙げられる。
結晶原料のサイズは、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。結晶原料のサイズは、結晶原料の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。結晶原料の平均粒子径D50は、例えば、50μm以上、100μm以上、150μm以上、200μm以上、300μm以上、500μm以上、700μm以上、または1000μm以上であってもよく、5000μm以下、3000μm以下、2000μm以下、1000μm以下、700μm以下、500μm以下、または300μm以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。結晶原料の平均粒子径D50は、具体的には、例えば、100μm~2000μm、または150μm~1000μmであってもよい。なお、「平均粒子径D50」とは、レーザー回折・散乱法によって得られた粒度分布における頻度基準での積算値50%での粒径を意味する。平均粒子径D50は、例えば、MICROTRAC HRA(日機装社製)やPartica LA-960 Wet(堀場製作所製)等のレーザー回折式粒度分布測定装置(レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置)により測定することができる。
結晶原料AおよびBのサイズは、同一であってもよく、そうでなくてもよい。結晶原料AおよびBの平均粒子径D50の比率は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。結晶原料AおよびBの平均粒子径D50の比率は、小さい方の平均粒子径D50に対する大きい方の平均粒子径D50の比率(大きい方の平均粒子径D50/小さい方の平均粒子径D50)として、例えば、50以下、20以下、10以下、5以下、3以下、2以下、または1.5以下であってよい。
<他の成分>
他の成分(結晶原料AおよびB以外の成分)の種類は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。他の成分は、本発明の組成物の用途等の諸条件に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の組成物が経口摂取用の組成物である場合には、結晶原料としては経口摂取可能なものを選択することができる。他の成分は、結晶原料であってもよく、そうでなくてもよい。他の成分としては、飲食品(調味料も含む)、医薬品、化粧品、または農薬に配合される成分が挙げられる。他の成分として、具体的には、上記のような結晶原料、食物繊維、pH緩衝剤、賦形剤、増量剤、香料(フレーバー成分)、食用油が挙げられる。他の成分としては、特に、香料が挙げられる。他の成分としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
<2>本発明の方法の第1の態様
本発明の方法の第1の態様は、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結を防止する方法であって、(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程を含む、方法である。また、本発明の方法の第1の態様は、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の製造方法であって、(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程を含む、方法でもある。本発明の方法の第1の態様においては、同工程(a)を「乾式コーティング工程」ともいう。
<乾式コーティング工程>
本発明の方法の第1の態様は、乾式コーティング工程(すなわち、結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程)を含む。「結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する」とは、結晶原料AおよびBが共存した状態でそれらに対して乾式コーティングを実施することをいう。本発明において、「乾式コーティング」とは、バインダー液を添加せずに、あるいはバインダー液を微量のみ添加して、実施するコーティング手法をいう。バインダー液の添加を、説明の便宜上、「加湿」ともいう。すなわち、乾式コーティング工程においては、加湿を実施してもよく、しなくてもよい。乾式コーティング工程は、具体的には、原料を撹拌することにより実施できる。乾式コーティング工程は、より具体的には、原料を加湿せずに撹拌することにより、あるいは原料を加湿および撹拌することにより、実施できる。乾式コーティング工程に用いられる「原料」とは、組成物の原料の一部または全部をいい、少なくとも結晶原料AおよびBを含み、さらに他の成分を含んでいてもよい。すなわち、本発明の方法の第1の態様においては、少なくとも結晶原料AおよびBを乾式コーティングに供する。また、結晶原料AおよびBに加えて他の成分を用いる場合、他の成分は、結晶原料AおよびBとまとめて乾式コーティングに供してもよいし、供しなくてもよい。他の成分は、例えば、乾式コーティング工程の後に混合されてもよい。乾式コーティング工程は、バッチ式で行われてもよく、連続式で行われてもよい。
乾式コーティング工程へ供される原料の量(以下、「使用量」ともいう)は、特に制限されず、用いる撹拌装置の処理能力等の諸条件に応じて適宜設定することができる。乾式コーティング工程へ供される原料の量比は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。乾式コーティング工程へ供される原料の量比は、原料の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。
例えば、乾式コーティング工程において、結晶原料AおよびBの使用量は、同一であってもよく、そうでなくてもよい。乾式コーティング工程において、結晶原料AおよびBの総使用量に対する結晶原料AまたはBの使用量の比率(結晶原料AまたはBの使用量/結晶原料AおよびBの総使用量)は、例えば、0.01%(w/w)以上、0.1%(w/w)以上、0.5%(w/w)以上、1%(w/w)以上、3%(w/w)以上、5%(w/w)以上、10%(w/w)以上、20%(w/w)以上、30%(w/w)以上、
50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、80%(w/w)以上、90%(w/w)以上、95%(w/w)以上、または97%(w/w)以上であってよく、99.99%(w/w)以下、99.9%(w/w)以下、99.5%(w/w)以下、99%(w/w)以下、97%(w/w)以下、95%(w/w)以下、90%(w/w)以下、80%(w/w)以下、または70%(w/w)以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。乾式コーティング工程において、結晶原料AおよびBの総使用量に対する結晶原料AまたはBの使用量の比率(結晶原料AまたはBの使用量/結晶原料AおよびBの総使用量)は、具体的には、例えば、0.01%(w/w)~99.99%(w/w)、0.5%(w/w)~99.5%(w/w)、または1%(w/w)~99%(w/w)であってよい。
また、乾式コーティング工程において、原料の総使用量に対する結晶原料AおよびBの総使用量の比率(結晶原料AおよびBの総使用量/原料の総使用量)は、例えば、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、80%(w/w)以上、90%(w/w)以上、95%(w/w)以上、または97%(w/w)以上であってよく、100%(w/w)以下、97%(w/w)以下、95%(w/w)以下、90%(w/w)以下、80%(w/w)以下、または70%(w/w)以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。乾式コーティング工程において、原料の総使用量に対する結晶原料AおよびBの総使用量の比率(結晶原料AおよびBの総使用量/原料の総使用量)は、具体的には、例えば、50%(w/w)~100%(w/w)、70%(w/w)~100%(w/w)、または90%(w/w)~100%(w/w)であってよい。なお、上記使用量の比率は、例えば、他の成分を乾式コーティング工程の後に混合する場合にも準用できる。
原料は、例えば、互いに混合してから乾式コーティング工程へ供されてもよく、それぞれ別個にあるいは任意の組み合わせで別個に乾式コーティング工程へ供され、同工程中に互いに混合されてもよい。すなわち、本発明の方法は、例えば、乾式コーティング工程の前に、予備的に原料を混合する工程(予備混合工程)を含んでいてもよい。予備混合工程は、例えば、原料を撹拌することにより実施できる。すなわち、予備混合工程は、例えば、原料を撹拌する工程であってよい。予備混合工程は、例えば、混合装置を用いて実施することができる。混合装置としては、後述するような撹拌装置が挙げられる。また、混合装置としては、容器回転型混合機が挙げられる。混合装置として、具体的には、例えば、ロッキングミキサー(RM-10-2等;愛知電機(株)製)が挙げられる。予備混合工程の条件は、所望の程度に原料が混合される限り、特に制限されない。予備混合工程においては、乾式コーティングが進行してもよく、しなくてもよい。予備混合工程における撹拌数(撹拌速度)は、乾式コーティング工程における撹拌数と同一であってもよく、そうでなくてもよい。すなわち、予備混合工程における撹拌数(撹拌速度)は、例えば、乾式コーティング工程における撹拌数として例示される数値範囲であってよい。なお、乾式コーティング工程における撹拌数について使用される「主軸の周速」とは、容器回転型混合機を用いる場合にあっては、回転する容器の周速に読み替えることができる。また、予備混合工程における撹拌数(撹拌速度)は、例えば、乾式コーティング工程における撹拌数より低くてもよい。予備混合工程における撹拌数(撹拌速度)は、例えば、乾式コーティング工程における撹拌数として例示される数値範囲の、1%以上、5%以上、10%以上、または20%以上の撹拌数であってもよく、100%以下、50%以下、20%以下、または10%以下の撹拌数であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。予備混合工程の時間(混合時間)は、乾式コーティング工程における撹拌時間と同一であってもよく、そうでなくてもよい。すなわち、予備混合工程における撹拌時間は、例えば、乾式コーティング工程における撹拌時間として例示される数値範囲であってよい。また、予備混合工程の時間(混合時間)は、例えば、乾式コーティング工程における撹拌時間より短くてもよい。予備混合工程の時間(混合時間)は、例えば、乾式コーティング工程に
おける撹拌時間として例示される数値範囲の、1%以上、5%以上、10%以上、または20%以上の時間であってもよく、100%以下、50%以下、20%以下、または10%以下の時間であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。予備混合工程の時間(混合時間)は、具体的には、例えば、10秒~1分であってもよい。予備混合工程と乾式コーティング工程は、同一の容器内で行われてもよく、そうでなくてもよい。
乾式コーティング工程において、加湿および撹拌は、一部または全部が同時に行われてもよく、それぞれ別個に行われてもよい。加湿および撹拌は、少なくとも一部が同時に行われるのが好ましい。加湿および撹拌は、同一の容器内で行われてもよく、そうでなくてもよい。加湿および撹拌は、同一の容器内で行われるのが好ましい。
加湿は、バインダー液を原料に添加することにより実施される。バインダー液の種類は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。バインダー液は、原料の組成等の諸条件に応じて適宜選択できる。バインダー液は、具体的には、液体媒体(liquid medium)を含有する液体である。液体媒体としては、水や有機溶媒等の、いわゆる液体溶媒が挙げられる。有機溶媒として、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、ジエチルエーテルが挙げられる。有機溶媒として、より具体的には、例えば、エタノールが挙げられる。液体媒体としては、1種の媒体を用いてもよく、2種またはそれ以上の媒体を組み合わせて用いてもよい。液体媒体は、具体的には、例えば、水もしくはエタノール、またはそれらの混合物であってもよい。バインダー液は、液体媒体からなるものであってもよく、液体媒体以外の成分を含有していてもよい。すなわち、バインダー液は、液体媒体そのもの(すなわち液体媒体からなる液体)であってもよく、液体媒体と液体媒体以外の成分を含有する液体(すなわち液体媒体と液体媒体以外の成分との組み合わせからなる液体)であってもよい。液体媒体と液体媒体以外の成分を含有する液体としては、例えば、溶液、コロイド液、懸濁液が挙げられる。バインダー液は、具体的には、例えば、水であってもよく、水と水以外の成分を含有する液体(水と水以外の成分との組み合わせからなる液体)であってもよい。水と水以外の成分を含有する液体としては、例えば、水溶液、水性コロイド液、水性懸濁液が挙げられる。液体媒体以外の成分は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。液体媒体以外の成分としては、例えば、上述したような、原料として用いられ得る成分(すなわち、結晶原料AおよびBやその他の成分、等)が挙げられる。すなわち、例えば、上述したような、原料として用いられ得る成分を、液体媒体に希釈、溶解、または分散等してバインダー液として用いてもよい。また、例えば、上述したような、原料として用いられ得る成分の内、液体の形状で存在する成分を、そのままバインダー液として用いてもよい。このように、本発明の組成物を構成する成分の一部をバインダー液に含有させて原料に添加することができる。バインダー液中の液体媒体以外の成分の濃度は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。バインダー液中の液体媒体以外の成分の濃度は、液体媒体以外の成分の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。バインダー液は、液体媒体以外の成分を1種のみ含有していてもよく、2種またはそれ以上含有していてもよい。また、バインダー液としては、1種のバインダー液のみを用いてもよく、2種またはそれ以上のバインダー液を組み合わせて用いてもよい。2種またはそれ以上のバインダー液を用いる場合、それらは同時に添加されてもよく、それぞれ別個にあるいは任意の組み合わせで別個に添加されてもよい。
バインダー液の添加方法は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。バインダー液の添加方法としては、例えば、公知の手法を利用することができる。バインダー液は、例えば、注入、滴下、噴霧、またはそれらの組み合わせにより添加することができる。バインダー液は、噴霧により添加されるのが好ましい。バインダー液は、例えば、添加の方式に応じた供給口から添加することができる。例えば、スプレーノズルを用いてバイ
ンダー液を原料に噴霧することができる。加湿は、適当な容器内で行うことができる。例えば、加湿は、後述する撹拌槽内で行うことができる。また、加湿は、容器外で行うこともできる。例えば、フィーダーを用いて原料を移送する場合には、移送中にバインダー液を添加してもよい。また、例えば、原料を適当な容器、例えば後述する撹拌槽、に投入する際にバインダー液を添加してもよい。バインダー液の供給口は、加湿の態様に応じて設けることができる。例えば、加湿および撹拌を同一の容器(後述する撹拌槽)内で行う場合は、撹拌装置がバインダー液の供給口を備える。バインダー液の供給口は、例えば、1つのみ設けられてよく、2つまたはそれ以上設けられてもよい。
乾式コーティング工程におけるバインダー液の添加量は、0(ゼロ)または微量である。ここでいう「0(ゼロ)または微量」とは、加液量として、0%(w/w)~0.5%(w/w)を意味する。すなわち、バインダー液の添加量は、加液量として、0%(w/w)~0.5%(w/w)である。バインダー液の添加量は、加液量として、例えば、0%(w/w)~0.3%(w/w)、0%(w/w)~0.2%(w/w)、または0%(w/w)~0.15%(w/w)であってもよい。ここでいう「加液量」とは、原料の重量に対するバインダー液の添加により添加される液体媒体の重量の比率(加液重量/原料重量)をいう。特に、液体媒体が水である場合の加液量を、「加水量」ともいう。なお、バインダー液に液体媒体以外の成分が含有される場合、当該液体媒体以外の成分の重量は、加液量を算出する際には、液体媒体の重量ではなく、原料の重量に含めるものとする。対象物における液体媒体の含有量(濃度)を「液体分含量」ともいう。特に、液体媒体が水である場合の液体分含量を、「水分含量」ともいう。また、対象物における液体媒体以外の成分の含有量(濃度)を「固形分含量」ともいう。液体分含量+固形分含量=100(%)とする。液体分含量は、対象物を乾燥させた際の乾燥減量の比率(乾燥前の重量に対する乾燥により減少した重量の比率)として算出される。乾燥条件は、液体媒体の種類等の諸条件に応じて、液体媒体が十分に蒸発する条件を採用することができる。例えば、海砂を用いて、105℃、5時間で乾燥を行った後、乾燥減量を測定することができる。
加湿は、連続的に行われてもよく、間欠的に行われてもよい。すなわち、加湿は、1回のみ行われてもよく、2回またはそれ以上行われてもよい。なお、ここでは、加湿が開始してから加湿が停止するまでを「1回」とする。連続する加湿の過程を通じて、バインダー液の添加方法、バインダー液の添加量、バインダー液の添加速度、バインダー液に含有される成分の種類、バインダー液に含有される成分の濃度等の条件は、一定であってもよく、そうでなくてもよい。また、加湿が2回またはそれ以上行われる場合、バインダー液の添加方法、バインダー液の添加量、バインダー液の添加速度、バインダー液に含有される成分の種類、バインダー液に含有される成分の濃度、加湿の継続時間等の条件は、各回で同一であってもよく、そうでなくてもよい。
加湿は、原料の一部または全部に対して実施することができる。例えば、原料の一部に対して加湿を行った後、原料の残部を追加的に添加してもよい。
撹拌方法は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。撹拌方法としては、例えば、公知の手法を利用することができる。撹拌は、適当な容器内で行うことができる。撹拌が行われる容器を、「撹拌槽」ともいう。撹拌槽の形状やサイズは、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。撹拌槽の形状は、例えば、筒状、錐状、またはそれらの組み合わせであってよい。撹拌槽は、例えば、縦型であってもよく、横型であってもよい。撹拌槽の断面形状は、例えば、円形、楕円形、または多角形であってよい。なお、ここでいう「断面」とは、縦型の撹拌槽にあっては水平断面、横型の撹拌槽にあっては垂直断面をいう。断面形状は、円形が好ましい。撹拌は、例えば、撹拌子を回転させることにより行ってもよく、撹拌槽自体を振動させることにより行ってもよく、それらの組み合わ
せにより行ってもよい。撹拌は、撹拌子(撹拌羽根ともいう)を回転させることにより行うのが好ましい。撹拌子の形状、サイズ、設置数、設置位置、設置方向等の態様は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。撹拌子の形状は、例えば、棒状、板状、プロペラ状、らせん状、またはそれらの組み合わせであってよい。撹拌子のサイズは、例えば、回転軸から撹拌子の先端までの長さ(すなわち撹拌子の先端の回転半径)として、0.1m以上、0.2m以上、0.3m以上、または0.5m以上であってもよく、2m以下、1.5m以下、1m以下、0.7m以下、0.5m以下、または0.3m以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。撹拌子のサイズは、具体的には、例えば、回転軸から撹拌子の先端までの長さとして、0.2m~1mであってもよい。撹拌子は、所定の回転軸を中心に回転可能に設置することができる。撹拌子は、例えば、回転軸上の1箇所のみに設けられてよく、回転軸上の2またはそれ以上の箇所に設けられてもよい。また、回転軸は、1つのみ設けられてよく、2つまたはそれ以上設けられてもよい。回転軸は撹拌槽内のいずれの位置に設けられてもよい。回転軸は、例えば、撹拌槽の中央部に設けられてよい。例えば、縦型の撹拌槽を用いる場合、撹拌槽の中央部に垂直方向に回転軸を設け、撹拌槽の上部より原料を供給することにより、原料が撹拌されながら下方向に移動し、撹拌槽の下部から形成されたコーティング品を回収できる。撹拌には、例えば、チョッパーを利用してもよい。チョッパーは、例えば、撹拌子と併用することができる。チョッパーの形状、サイズ、設置数、設置位置、設置方向等の態様は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。
撹拌は、撹拌装置を用いて行うことができる。撹拌装置は、上述したような撹拌を可能とする適当な手段(例えば、撹拌子やチョッパー)を備える。撹拌装置は、例えば、少なくとも撹拌子を備えていてよく、撹拌子に加えてさらにチョッパーを備えていてもよい。撹拌装置は、原料を撹拌槽に供給し形成されたコーティング品を撹拌槽から排出できるように構成される。撹拌装置は、例えば、原料の供給口および形成されたコーティング品の排出口を別個に有していてもよく、原料の供給口および形成されたコーティング品の排出口の両方を兼ねる開口部を有していてもよい。撹拌装置は、原料の供給口および形成されたコーティング品の排出口を別個に有しているのが好ましい。撹拌装置は、具体的には、例えば、撹拌装置の上部に設けられた供給口から原料が投入され、撹拌槽内で原料が撹拌され、撹拌装置の下部に設けられた排出口から形成されたコーティング品が排出されるように構成されていてよい。また、撹拌装置は、バインダー液の供給口を有しているのが好ましい。撹拌装置がバインダー液の供給口を有する場合、撹拌槽内の原料にバインダー液を添加することができ、以て、加湿および撹拌を同一の容器(撹拌槽)内で行うことができる。撹拌装置としては、各種バッチ式撹拌装置や各種連続式撹拌装置が挙げられる。撹拌装置として、具体的には、例えば、高速撹拌型混合造粒機(NMG-5L等;株式会社奈良機械製作所製)、ハイブリダイゼーションシステム(NHSシリーズ等;株式会社奈良機械製作所製)、ニュースピードニーダー(NSKシリーズ等;岡田精工株式会社製)、フレキソミックス(FXD-250等;ホソカワミクロン製)、バーチカル・グラニュレーター(パウレック製)が挙げられる。
乾式コーティング工程における撹拌数(撹拌速度)は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。乾式コーティング工程における撹拌数は、原料の種類、撹拌子の態様、乾式コーティング工程を連続式で実施するかバッチ式で実施するか等の諸条件に応じて適宜設定できる。乾式コーティング工程における撹拌数は、例えば、10rpm以上、50rpm以上、100rpm以上、200rpm以上、または300rpm以上であってもよく、1500rpm以下、1250rpm以下、1000rpm以下、または750rpm以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。乾式コーティング工程における撹拌数は、具体的には、例えば、50rpm~1500rpm、または300rpm~750rpmであってもよい。また、乾式コーティング工程における撹拌数は、例えば、主軸の周速(撹拌子を用いる場合は撹拌子の周速;すなわち撹拌子の先端の回転速
度)として、2.5m/s以上、3m/s以上、4m/s以上、5m/s以上、6m/s以上、7m/s以上、8m/s以上、9m/s以上、または10m/s以上であってもよく、30m/s以下、20m/s以下、15m/s以下、11m/s以下、8m/s以下、または5m/s以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。乾式コーティング工程における撹拌数は、具体的には、例えば、主軸の周速として、2.5m/s~30m/s、6m/s~20m/s、9m/s~15m/s、2.5m/s~15m/s、2.5m/s~8m/s、または2.5m/s~5m/sであってもよい。一態様においては、撹拌速度が高い程、組成物の異味を低減する効果が高まる場合があり得る。また、一態様においては、撹拌速度が低い程、組成物の褐変の進行が抑制される場合があり得る。
乾式コーティング工程におけるチョッパーの回転数(回転速度)は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。乾式コーティング工程におけるチョッパーの回転数は、原料の種類、チョッパーの態様、乾式コーティング工程を連続式で実施するかバッチ式で実施するか等の諸条件に応じて適宜設定できる。乾式コーティング工程におけるチョッパーの回転数は、例えば、200rpm以上、500rpm以上、750rpm以上、1000rpm以上、または1250rpm以上であってもよく、3000rpm以下、2000rpm以下、1500rpm以下、または1000rpm以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。乾式コーティング工程におけるチョッパーの回転数は、具体的には、例えば、500rpm~3000rpm、または1000rpm~2000rpmであってもよい。また、乾式コーティング工程におけるチョッパーの回転数は、例えば、チョッパーの周速(すなわちチョッパーの先端の回転速度)として、例えば、0m/s以上、0.5m/s以上、1m/s以上、1.5m/s以上、2.5m/s以上、または3.5m/s以上であってもよく、10m/s以下、7m/s以下、4m/s以下、または2m/s以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。乾式コーティング工程におけるチョッパーの回転数は、具体的には、例えば、チョッパーの周速として、1m/s~10m/s、または1.5m/s~7m/sであってもよい。
なお、本発明において、「乾式コーティング工程における撹拌数(撹拌速度)が或る範囲である」とは、乾式コーティング工程の全期間において撹拌数が当該範囲内である場合に限られず、乾式コーティング工程の一部の期間において撹拌数が当該範囲外となる場合も包含する。チョッパーの回転数(回転速度)についても同様である。「一部の期間」とは、乾式コーティング工程の全期間の内の、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、または1%以下の期間をいう。例えば、撹拌は一時的に停止してもよい。すなわち、撹拌は、連続的に行われてもよく、間欠的に行われてもよい。すなわち、撹拌は、1回のみ行われてもよく、2回またはそれ以上行われてもよい。なお、ここでは、撹拌が開始してから撹拌が停止するまでを「1回」とする。連続する撹拌の過程を通じて、撹拌数等の条件は、一定であってもよく、そうでなくてもよい。また、撹拌が、2回またはそれ以上行われる場合、撹拌数や撹拌の継続時間等の条件は、各回で同一であってもよく、そうでなくてもよい。撹拌は、例えば、所望の程度にコーティングが進行するまで実施することができる。撹拌時間(乾式コーティング工程の時間)は、例えば、30秒以上、1分以上、1.5分以上、2分以上、3分以上、4分以上、5分以上、6分以上、8分以上、または10分以上であってもよく、120分以下、90分以下、60分以下、30分以下、20分以下、15分以下、10分以下、8分以下、6分以下、5分以下、4分以下、3分以下、または2分以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。撹拌時間(乾式コーティング工程の時間)は、具体的には、例えば、30秒~120分、2分~20分、または6分~15分であってもよい。
このようにして乾式コーティング工程を実施することにより、コーティング品が得られ
る。得られたコーティング品は、本発明の組成物とみなすことができる。得られたコーティング品は、具体的には、乾式コーティングされた結晶原料AおよびBを含有する組成物であってよい。すなわち、結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供することにより、それら結晶原料が乾式コーティングされた状態となり得る。結晶原料は、乾式コーティングを実施する系(例えば撹拌槽等の容器)に存在する成分によりコーティングされ得る。よって、結晶原料AおよびB(例えば、結晶原料AおよびBのみ)をまとめて乾式コーティングに供することにより、結晶原料AおよびBは、いずれも、結晶原料Aおよび/またはB(具体的には、結晶原料Aおよび/またはBの微粉)によってコーティングされ得る。すなわち、本発明の組成物に含有される結晶原料Aは、乾式コーティングされた結晶原料A、具体的には、結晶原料Aおよび/またはBで乾式コーティングされた結晶原料A、より具体的には、その結晶表面に結晶原料Aの微粉および/または結晶原料Bの微粉が付着した構造を有する結晶原料Aであってよい。また、本発明の組成物に含有される結晶原料Bは、乾式コーティングされた結晶原料B、具体的には、結晶原料Aおよび/またはBで乾式コーティングされた結晶原料B、より具体的には、その結晶表面に結晶原料Aの微粉および/または結晶原料Bの微粉が付着した構造を有する結晶原料Bであってよい。なお、結晶表面に付着する微粉は、例えば、結晶原料にもともと含まれるもの、結晶原料から生じたもの、またはそれらの組み合わせであってよい。すなわち、結晶原料は、典型的には所定の粒度分布を有し、その微粉画分が乾式コーティングにおいて結晶表面に付着し得る。また、乾式コーティングの際に結晶原料が粉砕等されることにより微粉が生じた場合、そのような微粉も結晶表面に付着し得る。また、他の成分を併用して乾式コーティングを実施することにより、そのような他の成分も結晶表面に付着し得る。
乾式コーティングが実施されたことは、例えば、電子顕微鏡等の測定装置を用いてコーティング品の表面を観察することにより、確認できる。また、乾式コーティングが実施されたことは、例えば、組成物の吸湿固結耐性が向上したことを確認することにより、確認できる。
本発明の組成物に含有される成分の量比(すなわち、本発明の組成物の組成)については、上記例示した乾式コーティング工程へ供される原料の量比についての記載を準用できる。すなわち、例えば、乾式コーティング工程における原料の総使用量に対する結晶原料AおよびBの総使用量の比率を、発明の組成物における結晶原料AおよびBの総含有率と読み替えることができる。また、乾式コーティング工程における結晶原料AおよびBの総使用量に対する結晶原料AまたはBの使用量の比率を、発明の組成物における結晶原料AおよびBの総含有量に対する結晶原料AまたはBの含有量の比率と読み替えることができる。
<2>本発明の方法の第2の態様
本発明の方法の第2の態様は、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結を防止する方法であって、前記結晶原料AおよびBを混合する工程を含み、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、方法である。本発明の方法の第2の態様は、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の製造方法であって、前記結晶原料AおよびBを混合する工程を含み、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、方法でもある。本発明の方法の第2の態様においては、同工程を「混合工程」ともいう。
本発明の方法の第2の態様の混合工程に用いられる結晶原料AおよびBは、結晶原料AおよびBであって、その一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである。結晶原料AおよびBのいずれについて予め乾式コーティングに供されたものを用いるかは、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。例えば、少なくとも、結晶原料AおよびBの内のより低いCRH(例えば25℃におけるCRH)を示すものが、予め乾式コ
ーティングに供されたものであってよい。
予め乾式コーティングに供された結晶原料AおよびBは、それぞれ、結晶原料AおよびBを乾式コーティングに供することにより得られる。本発明の方法の第2の態様は、混合工程の前に、さらに、(c)一方または両方が予め乾式コーティングに供された結晶原料AおよびBを得る工程、すなわち、前記結晶原料AおよびBの一方または両方を乾式コーティングに供する工程、を含んでいてもよい。本発明の方法の第2の態様においては、同工程(c)を「乾式コーティング工程」ともいう。
<乾式コーティング工程>
本発明の方法の第2の態様は、乾式コーティング工程(すなわち、結晶原料AおよびBの一方または両方を乾式コーティングに供する工程)を含んでいてよい。結晶原料AまたはBを乾式コーティングに供する場合、結晶原料AまたはBのみを原料として乾式コーティングを実施してもよいし、他の成分を併用してもよい。他の成分としては、上述したような他の成分が挙げられる。なお、結晶原料Aに対する他の成分は結晶原料Bを包含してもよく、結晶原料Bに対する他の成分は結晶原料Aを包含してもよい。乾式コーティング工程の条件は、所望の程度に乾式コーティングが実施される限り、特に制限されない。本発明の方法の第2の態様における乾式コーティング工程の条件については、結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する必要がないこと以外は、本発明の方法の第1の態様における乾式コーティング工程の条件についての記載を準用できる。
乾式コーティング工程に供される原料の量比は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。乾式コーティング工程において、原料の総使用量に対する結晶原料AまたはBの使用量の比率(結晶原料AまたはBの使用量/原料の総使用量)は、例えば、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、80%(w/w)以上、90%(w/w)以上、95%(w/w)以上、または97%(w/w)以上であってよく、100%(w/w)以下、97%(w/w)以下、95%(w/w)以下、90%(w/w)以下、80%(w/w)以下、または70%(w/w)以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。乾式コーティング工程において、原料の総使用量に対する結晶原料AまたはBの使用量の比率(結晶原料AまたはBの使用量/原料の総使用量)は、具体的には、例えば、50%(w/w)~100%(w/w)、70%(w/w)~100%(w/w)、または90%(w/w)~100%(w/w)であってよい。ここでいう「原料の総使用量」とは、結晶原料Aを乾式コーティングに供する場合には結晶原料Aの乾式コーティングに用いられる原料の総量をいい、結晶原料Bを乾式コーティングに供する場合には結晶原料Bの乾式コーティングに用いられる原料の総量をいう。
このようにして乾式コーティングを実施することにより、乾式コーティングに供された(乾式コーティングされた)結晶原料が得られる。乾式コーティングされた結晶原料とは、具体的には、その結晶表面に微粉が付着した構造を有する結晶原料であってよい。結晶原料は、乾式コーティングを実施する系(例えば撹拌槽等の容器)に存在する成分によりコーティングされ得る。よって、結晶原料AまたはB(例えば、結晶原料AまたはBのみ)を乾式コーティングに供することにより、結晶原料Aは結晶原料A(具体的には、結晶原料Aの微粉)によって、結晶原料Bは結晶原料B(具体的には、結晶原料Bの微粉)によって、コーティングされ得る。すなわち、乾式コーティングされた結晶原料Aは、結晶原料Aで乾式コーティングされた結晶原料A、具体的には、その結晶表面に結晶原料Aの微結晶が付着した構造を有する結晶原料Aであってよい。同様に、乾式コーティングされた結晶原料Bは、結晶原料Bで乾式コーティングされた結晶原料B、具体的には、その結晶表面に結晶原料Bの微結晶が付着した構造を有する結晶原料Bであってよい。また、他の成分を併用して乾式コーティングを実施することにより、そのような他の成分も結晶表面に付着し得る。また、上述した通り、結晶表面に付着する微粉は、例えば、結晶原料に
もともと含まれるもの、結晶原料から生じたもの、またはそれらの組み合わせであってよいが、乾式コーティング用に微粉を調製して用いてもよい。
<混合工程>
本発明の方法の第2の態様は、混合工程(すなわち、結晶原料AおよびBを混合する工程)を含む。混合工程は、結晶原料AまたはB(一方または両方が予め乾式コーティングに供されたもの)のみを原料として実施してもよいし、他の成分を併用してもよい。混合工程の条件は、所望の程度に原料が混合される限り、特に制限されない。混合工程の条件については、本発明の方法の第1の態様における予備混合工程の条件についての記載を準用できる。すなわち、混合工程における撹拌数(撹拌速度)は、例えば、本発明の方法の第1の態様の乾式コーティング工程における撹拌数として例示される数値範囲であってもよく、それより低くてもよい。混合工程における撹拌数(撹拌速度)は、例えば、主軸の周速として、0.1m/s以上、0.2m/s以上、0.3m/s以上、または0.5m/s以上であってもよく、10m/s以下、5m/s以下、3m/s以下、2m/s以下、または1m/s以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。混合工程における撹拌数は、具体的には、例えば、主軸の周速として、0.1m/s~10m/s、0.2m/s~5m/s、0.3m/s~2m/sであってもよい。また、混合工程における撹拌時間は、例えば、本発明の方法の第1の態様の乾式コーティング工程における撹拌時間として例示される数値範囲であってもよく、それより短くてもよい。混合工程に供される原料の量比は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。混合工程に供される原料の量比については、本発明の方法の第1の態様における乾式コーティング工程へ供される原料の量比についての記載を準用できる。すなわち、例えば、本発明の方法の第1の態様の乾式コーティング工程における原料の総使用量に対する結晶原料AおよびBの総使用量の比率を、混合工程における原料の総使用量に対する結晶原料AおよびBの総使用量の比率と読み替えることができる。また、本発明の方法の第1の態様の乾式コーティング工程における結晶原料AおよびBの総使用量に対する結晶原料AまたはBの使用量の比率を、混合工程における結晶原料AおよびBの総使用量に対する結晶原料AまたはBの使用量の比率と読み替えることができる。混合工程においては、乾式コーティングが進行してもよく、しなくてもよい。乾式コーティング工程と混合工程は、同一の容器内で行われてもよく、そうでなくてもよい。
このようにして混合工程を実施することにより、混合物が得られる。当該混合物は、本発明の組成物とみなすことができる。当該混合物は、具体的には、一方または両方が乾式コーティングされた結晶原料AおよびBを含有する組成物であってよい。本発明の方法の第2の態様における本発明の組成物の組成については、本発明の方法の第1の態様における本発明の組成物の組成についての記載を準用できる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1:グリシンとクエン酸の乾式コーティング品と単純MIX品の吸湿固結性の評価
本実施例では、グリシンとクエン酸の乾式コーティング品と単純MIX品(単純混合品)について吸湿固結性の評価を行い、乾式コーティングが吸湿固結性に与える影響について検討した。なお、本実施例で用いたグリシンのD50は約250μm、クエン酸のD50は約200μmであった(特記しない限り、以降の実施例についても同じ)。
<実験方法>
以下の条件で、グリシンとクエン酸を混合することにより、単純MIX品を製造した。
・装置:容器回転型混合機 ロッキングミキサーRM-10-2(愛知電機(株))
・撹拌時間:10 min
・撹拌周速:0.6 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計3000 g
以下の条件で、グリシンとクエン酸をまとめて乾式コーティングに供することにより、乾式コーティング品を製造した。
・装置:高速せん断攪拌機 ニュースピードニーダーNSK250SJ(岡田精工(株))
・撹拌時間:5~60 min
・撹拌周速:5.6 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計3000 g
サンプル(乾式コーティング品と単純MIX品)を、電子顕微鏡による観察、吸湿固結性(吸湿性および固結性)の評価、および官能評価に供した。
吸湿固結性の評価は、以下の手順で実施した。
(1)サンプルを、庫内温度25℃、湿度30%に設定した恒温恒湿槽内に入れて、2時間以上静置した(乾燥工程1)後、サンプルの重量を測定した。乾燥工程1後のサンプルを、さらに75℃で1時間乾燥させた(乾燥工程2)後、サンプルの重量を測定し、乾燥工程2前後でのサンプルの重量の減分を算出し、初期水分量とした。
(2)恒温恒湿槽の湿度を55%に設定し、乾燥工程1後のサンプルを所定の時間静置した(吸湿工程)後、サンプルの重量を測定し、吸湿工程前後でのサンプルの重量の増分を算出し、初期水分量を加算して水分量とした。水分量の増加を吸湿性の指標とした。
(3)恒温恒湿槽の湿度を30%に設定し、サンプルを2時間以上静置した(固結工程)後、以下の手順でサンプルの固結割合を算出した。すなわち、本実施例で用いたグリシン原料のD90は約300μm、クエン酸原料のD90はそれ以下であり、いずれの原料中にも粒径420μm以上の粒子は存在しなかった。そのため、固結工程後のサンプル中に粒径420μm以上の粒子が存在すれば固結が起こったと判断できると考えた。そこで、固結工程後のサンプルを目明き420μmの篩で分画し、同サンプルの総重量に対する粒径420μm以上の画分の重量の比率を算出し、固結割合とした。固結割合を固結性の指標とした。
官能評価は、以下の手順で実施した。すなわち、専門パネルが固結工程後のサンプルを摂食し、飲み込んだあとのジャリジャリ感(ざらつき)について、5点:全く感じない、4点:ほぼ感じない、3点:やや感じる、2点:かなり感じる、1点:とても感じる、の5段階で評価した(N=3)。
<結果>
電子顕微鏡による観察の結果を図1に示す。乾式コーティング品(撹拌時間60 min)では、結晶表面への微粒子の付着が認められた。
吸湿性の評価結果を図2に示す。単純MIX品では水分量の増加(吸湿)が認められたのに対し、乾式コーティング品では水分量の増加(吸湿)が認められなかった。よって、グリシンおよびクエン酸をまとめて乾式コーティングに供することにより吸湿量を低減できる(吸湿耐性を向上できる)ことが明らかとなった。
水分量と固結割合を図3に示す。また、吸湿固結した部位の電子顕微鏡による観察の結果を図4に示す。水分値と固結割合には正の相関があることが確認された。よって、吸湿耐性が向上することにより固結割合を低減できる(固結耐性を向上できる)ことが明らかとなった。
官能評価の結果を表1に示す。固結割合とジャリジャリ感の評点に負の相関(すなわち、固結割合とじゃりじゃり感の強さに正の相関)があることが確認された。よって、固結
耐性が向上することにより官能品質を保てることが明らかとなった。
Figure 0007052204000001
実施例2:乾式コーティング条件の検討
本実施例では、グリシンとクエン酸について種々の条件で乾式コーティングを実施し、乾式コーティング条件が吸湿固結性に与える影響について検討した。
<実験方法>
以下の各セクションに記載の条件で、グリシンとクエン酸等の原料をまとめて乾式コーティングに供することにより、乾式コーティング品を製造した。乾式コーティングは、バーチカルグラニュエーターNMG-5L((株)奈良機械製作所)を用いて実施した。また、比較のため、グリシンとクエン酸等の原料の単純MIX品(特記しない限り、実施例1と同一の条件で製造されたもの)を用いた。サンプル(乾式コーティング品と単純MIX品)を、電子顕微鏡による観察および吸湿性の評価に供した。吸湿性の評価は、実施例1と同一の条件で実施した。
<1>撹拌時間の検討
下記それぞれの撹拌時間で乾式コーティングを実施した。
・撹拌時間:3 min、7 min、12 min
・撹拌周速:10.4 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 g
吸湿性の評価結果を図5に示す。乾式コーティング品では、撹拌時間によらず吸湿が認められなかった。
<2>撹拌周速
下記それぞれの撹拌周速で乾式コーティングを実施した。
・撹拌時間:3 min
・撹拌周速:3.5 m/s、6.9 m/s、10.4 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 g
吸湿性の評価結果を図6に示す。乾式コーティング品では、撹拌周速によらず吸湿が認められなかった。
<3>グリシン粒径
下記それぞれの粒径のグリシンを用いて乾式コーティングを実施した。それぞれの粒径のグリシンは、篩を用いて対応する粒径の画分を分取することにより得た。
・撹拌時間:3 min
・撹拌周速:6.9 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 g
・グリシン粒径:212μm以下、300μm~355μm、425μm以上
吸湿性の評価結果を図7に示す。乾式コーティング品では、グリシンの粒径によらず吸湿が認められなかった。
<4>グリシンとクエン酸の配合比
グリシンとクエン酸を下記それぞれの配合比で用いて乾式コーティングを実施した。
・撹拌時間:3 min
・撹拌周速:3.5 m/s
・配合:クエン酸1.5%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、50%(w/w)、98.5%(w/w), 残部はグリシン, 計2000 g
また、グリシンとクエン酸を上記それぞれの配合比で混合して単純MIX品を製造した。単純MIX品の製造は、グリシンとクエン酸の配合比以外は、実施例1と同一の条件で実施した。
乾式コーティング品の吸湿性の評価結果を図8に、単純MIX品の吸湿性の評価結果を図9に示す。単純MIX品では、特にクエン酸の配合比が低いサンプルで顕著な吸湿が認められた。一方、乾式コーティング品では、グリシンとクエン酸の配合比によらず吸湿が認められなかった。
<5>香料の配合
グリシンとクエン酸にさらに香料を配合し、下記それぞれの撹拌時間および撹拌周速で乾式コーティングを実施した。
・撹拌時間:3 min、7 min、12 min
・撹拌周速:3.5 m/s、6.9 m/s、10.4 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 gに香料(デキストリンに倍散したもの)を1%(w/w)配合した。
撹拌時間3 minで種々の撹拌周速で乾式コーティングを実施した場合の、吸湿性の評価結果を図10に、電子顕微鏡による観察の結果を図11に示す。また、撹拌周速3.5 m/sで種々の撹拌時間で乾式コーティングを実施した場合の、吸湿性の評価結果を図12に示す。乾式コーティング品では、香料を配合した場合でも、吸湿量の低減が認められた(図10および12)。特に、大きい撹拌周速または長い撹拌時間で乾式コーティングを実施した場合に、吸湿量の顕著な低減が認められた(図10および12)。また、撹拌周速が大きい程、結晶表面への微粒子の付着量が増大する傾向が認められた(図11)。粉末飲食品等の製品では、例えば官能品質を向上させるため、香料が配合されることが多い。撹拌時間および撹拌周速によって吸湿量に差が認められたのは、香料が配合されることにより、香料が滑沢剤の働きをし、以て原料の撹拌状態が変化し結晶表面への微粒子の付着量が低減したためであると考えられる。
<官能評価>
サンプルについて、官能評価を以下の手順で実施した。すなわち、専門パネルが固結工程後のサンプルを摂食し、酸味について、5点:とても強い、4点:強い、3点:ふつう、2点:弱い、1点:とても弱い、の5段階で評価した(N=3)。
結果を表2に示す。周速10.4 m/sで7 min以上乾式コーティングを実施することにより、酸味の低減が認められた。これは酸味を呈するクエン酸の結晶がグリシンの微粒子等によりコーティングされることで、口に含んだ際に酸味を感じなくなったためであると考えられる。
Figure 0007052204000002
<褐変の測定>
アミノ酸とデキストリンは、互いに反応することにより褐変することが知られている。撹拌時間7 minの乾式コーティング品をアルミスティック包材に充填し、65℃で80時間保管し、色調の変化を確認した。L*a*b*表色系のb*値を褐変の指標として採用した。
結果を図13に示す。撹拌周速とb*値(褐変の程度)は正に相関することが明らかになった。
実施例3:吸湿固結耐性向上メカニズムの考察
本実施例では、本実施例では、グリシンとクエン酸の乾式コーティング品と単純MIX品、グリシン単品、およびクエン酸単品について、吸湿性を評価し、吸湿固結耐性向上メカニズムを考察した。
<実験方法>
以下の条件で、グリシンとクエン酸をまとめて乾式コーティングに供することにより、乾式コーティング品を製造した。
・装置:高速せん断攪拌機 バーチカルグラニュエーターNMG-5L((株)奈良機械製作所)
・撹拌時間:3 min
・撹拌周速:3.5 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 g
また、比較のため、グリシンとクエン酸の単純MIX品(実施例1と同一の条件で製造されたもの)およびグリシンとクエン酸の各単品を用いた。
サンプル(乾式コーティング品、単純MIX品、および各単品)を、電子顕微鏡による観察および吸湿性の評価に供した。吸湿性の評価は、実施例1と同一の条件で実施した。
<結果>
吸湿性の評価を図14に示す。グリシン単品またはクエン酸単品では、水分量の増加(吸湿)が認められなかった。一方、単純MIX品では、水分量の増加(吸湿)が認められた。また、乾式コーティング品では、水分量の増加(吸湿)が認められなかった。これらの結果より、グリシンおよびクエン酸は、共存することにより、それらの臨界相対湿度(CRH)より低いCRHを示し(すなわちCRHが低下し)、以て吸湿が進行することが明らかとなった。また、グリシンとクエン酸を乾式コーティングに供することにより、それらの共存によるCRHの低下を抑制できることが明らかとなった。
電子顕微鏡による観察の結果を図15に示す。単純MIX品では、グリシンとクエン酸の接触した箇所が吸湿し固結している様子が認められた。ここで、グリシンとクエン酸を乾式コーティングに供することにより、それらの結晶表面が凹凸になり、以てそれらが共存した場合の接触面積を低減することができる。接触面積の低減により、グリシンとクエン
酸の共存によるCRHの低下現象を抑制することができ、以てそれらが共存した場合でもそれぞれに固有のCRHに近いCRHを示すものと考えられる。このように、乾式コーティングによる吸湿固結耐性向上は、結晶表面の物理形状の改変によるものであり得る。よって、グリシンとクエン酸の組み合わせに限られず、任意の結晶原料の組み合わせ(特に、共存することによりCRHが低下する任意の結晶原料の組み合わせ)について、乾式コーティングにより吸湿固結を防止できると考えられる。
実施例4:他の結晶原料における乾式コーティングによる吸湿固結の防止
本実施例では、グリシンとクエン酸の組み合わせ以外の結晶原料の組み合わせでも、乾式コーティングにより吸湿固結を防止できるかを検証した。
<実験方法>
以下の条件で、スクロースと塩化ナトリウムを混合することにより、単純MIX品を製造した。
・装置:容器回転型混合機 ロッキングミキサーRM-10-2(愛知電機(株))
・撹拌条件:周速0.6 m/s, 時間10 min
・配合:スクロース50%(w/w), 塩化ナトリウム50%(w/w), 計2000 g
以下の条件で、スクロースと塩化ナトリウムをまとめて乾式コーティングに供することにより、乾式コーティング品を製造した。
・装置:高速せん断攪拌機 バーチカルグラニュエーターNMG-5L((株)奈良機械製作所)
・撹拌時間:7 min
・撹拌周速:4.8 m/s、9.6 m/s
・配合:スクロース50%(w/w), 塩化ナトリウム50%(w/w), 計2000 g
サンプル(乾式コーティング品と単純MIX品)を、電子顕微鏡による観察および吸湿性の評価に供した。吸湿性の評価は、吸湿工程における恒温恒湿槽の湿度を85%に設定したこと以外は、実施例1と同一の条件で実施した。
<結果>
電子顕微鏡による観察の結果を図16に示す。乾式コーティング品では、結晶表面への微粒子の付着が認められた。また、撹拌周速が大きい程、結晶表面への微粒子の付着量が増大する傾向が認められた。
吸湿性の評価結果を図17に示す。単純MIX品と比較して、乾式コーティング品では、吸湿量の低減が認められた。
以上より、グリシンとクエン酸の組み合わせに限られず、任意の結晶原料の組み合わせ(特に、共存することによりCRHが低下する任意の結晶原料の組み合わせ)について、乾式コーティングにより吸湿固結を防止できることが明らかとなった。
実施例5:乾式コーティング品の混合による吸湿固結の防止
本実施例では、予め乾式コーティングした原料を混合することでも吸湿固結を防止できるかを検証した。
<実験方法>
以下の条件で、グリシンおよびクエン酸をそれぞれ単独で乾式コーティングに供し、乾式コーティング品を得た。
・装置:高速せん断攪拌機 バーチカルグラニュエーターNMG-5L((株)奈良機械製作所

・撹拌時間:7 min
・撹拌周速:3.5 m/s
・配合:グリシンまたはクエン酸100%(w/w), 計2000 g
以下の条件で、グリシンの乾式コーティング品または未コーティング品(乾式コーティングしていないもの)とクエン酸の乾式コーティング品または未コーティング品(乾式コーティングしていないもの)とを混合し、混合物を得た。
・装置:容器回転型混合機 ロッキングミキサーRM-10-2(愛知電機(株))
・撹拌時間:10 min
・撹拌周速:0.6 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 g
乾式コーティング品を電子顕微鏡による観察に供した。また、混合物を吸湿性の評価に供した。吸湿性の評価は、実施例1と同一の条件で実施した。
<結果>
電子顕微鏡による観察の結果を図18に示す。乾式コーティング品では、結晶表面への微粒子の付着が認められた。
吸湿性の評価結果を図19に示す。グリシンおよびクエン酸の一方または両方を予め乾式コーティングに供してから混合することにより、吸湿量を低減できることが明らかとなった。特に、少なくともクエン酸を予め乾式コーティングに供してから混合することにより、吸湿量を顕著に低減できることが明らかとなった。このことから、本条件では、クエン酸の乾式コーティングがより重要であることが明らかとなった。グリシンのCRHよりクエン酸のCRHが低いことから、少なくともCRHが低い原料を乾式コーティングに供することが吸湿固結の防止に有効であり得る。

Claims (18)

  1. 2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の製造方法であって、下記工程(a)または(b)を含み、
    該結晶原料AおよびBが、共存することにより臨界相対湿度が低下する成分の組み合わせであり、
    ただし、該結晶原料AおよびBが、エリスリトール、トレハロース及びラクトースからなる群より選ばれる成分の組み合わせである場合を除く、方法:
    (a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供することにより、該結晶原料AおよびBの結晶表面に該結晶原料Aの微粉および/または該結晶原料Bの微粉を付着させる工程;
    (b)前記結晶原料AおよびBを混合する工程であって、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたことによりその結晶表面に微粉が付着したものである、工程。
  2. 前記結晶原料AおよびBが、それぞれ、25℃において55%以上の臨界相対湿度を示す、請求項1に記載の方法。
  3. 前記結晶原料AおよびBが、共存することにより25℃において85%以下の臨界相対湿度を示す成分の組み合わせである、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 前記結晶原料AおよびBが、アミノ酸、有機酸、核酸、ペプチド、タンパク質、糖、糖アルコール、および無機塩からなる群より選択される成分の組み合わせである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記結晶原料AおよびBが、アミノ酸および有機酸の組み合わせである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記結晶原料AおよびBが、グリシンおよびクエン酸の組み合わせである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 少なくとも、前記結晶原料AおよびBの内の25℃においてより低い臨界相対湿度を示
    す結晶原料が、予め乾式コーティングに供されたものである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 少なくとも、クエン酸が、予め乾式コーティングに供されたものである、請求項6に記載の方法。
  9. 前記工程(b)を含み、さらに、前記工程(b)の前に下記工程(c)を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法:
    (c)前記結晶原料AおよびBの一方または両方を乾式コーティングに供する工程。
  10. 前記工程(a)または(c)におけるバインダー液の添加量が、0%(w/w)~0.5%(w/w)である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記工程(a)または(c)において、バインダー液の添加が実施されない、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記工程(a)または(c)が撹拌子を備えた撹拌装置を用いて行われ、前記工程における撹拌数が、撹拌子の周速として、2.5m/s~30m/sである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記工程(a)または(c)における撹拌時間が、30秒~120分である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記工程(a)または(b)における前記結晶原料AおよびBの総使用量に対する前記結晶原料AまたはBの使用量の比率が、0.01%(w/w)~99.99%(w/w)である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. さらに、前記結晶原料AおよびB以外の成分が、前記組成物の原料として用いられる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記結晶原料AおよびB以外の成分が、香料を含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記組成物における前記結晶原料AおよびBの含有量が、50%(w/w)~100%(w/w)である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結耐性を向上させる方法であって、下記工程(a)または(b)を含み、
    該結晶原料AおよびBが、共存することにより臨界相対湿度が低下する成分の組み合わせであり、
    ただし、該結晶原料AおよびBが、エリスリトール、トレハロース及びラクトースからなる群より選ばれる成分の組み合わせである場合を除く、方法:
    (a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供することにより、該結晶原料AおよびBの結晶表面に該結晶原料Aの微粉および/または該結晶原料Bの微粉を付着させる工程;
    (b)前記結晶原料AおよびBを混合する工程であって、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたことによりその結晶表面に微粉が付着したものである、工程。
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寺下雅之,粉調味料の吸湿現象,粉体技術 ,2016年03月01日,Vol8,No.3,pp.210-215

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