JP2018157788A - 組成物の吸湿固結を防止する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の製造方法であって、下記工程(a)また
は(b)を含む、方法:
(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程;
(b)前記結晶原料AおよびBを混合する工程であって、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、工程。
[2]
前記結晶原料AおよびBが、それぞれ、25℃において55%以上の臨界相対湿度を示す、前記方法。
[3]
前記結晶原料AおよびBが、共存することにより臨界相対湿度が低下する成分の組み合わせである、前記方法。
[4]
前記結晶原料AおよびBが、共存することにより25℃において85%以下の臨界相対湿度を示す成分の組み合わせである、前記方法。
[5]
前記結晶原料AおよびBが、アミノ酸、有機酸、核酸、ペプチド、タンパク質、糖、糖アルコール、および無機塩からなる群より選択される成分の組み合わせである、前記方法。
[6]
前記結晶原料AおよびBが、アミノ酸および有機酸の組み合わせである、前記方法。
[7]
前記結晶原料AおよびBが、グリシンおよびクエン酸の組み合わせである、前記方法。[8]
少なくとも、前記結晶原料AおよびBの内の25℃においてより低い臨界相対湿度を示す結晶原料が、予め乾式コーティングに供されたものである、前記方法。
[9]
少なくとも、クエン酸が、予め乾式コーティングに供されたものである、前記方法。
[10]
前記工程(b)を含み、さらに、前記工程(b)の前に下記工程(c)を含む、前記方法:
(c)前記結晶原料AおよびBの一方または両方を乾式コーティングに供する工程。
[11]
前記工程(a)または(c)におけるバインダー液の添加量が、0%(w/w)〜0.5%(w/w)である、前記方法。
[12]
前記工程(a)または(c)において、バインダー液の添加が実施されない、前記方法。
[13]
前記工程(a)または(c)が撹拌子を備えた撹拌装置を用いて行われ、前記工程における撹拌数が、撹拌子の周速として、2.5m/s〜30m/sである、前記方法。
[14]
前記工程(a)または(c)における撹拌時間が、30秒〜120分である、前記方法。
[15]
前記工程(a)または(b)における前記結晶原料AおよびBの総使用量に対する前記結晶原料AまたはBの使用量の比率が、0.01%(w/w)〜99.99%(w/w)である、前記方法。
[16]
さらに、前記結晶原料AおよびB以外の成分が、前記組成物の原料として用いられる、前記方法。
[17]
前記結晶原料AおよびB以外の成分が、香料を含む、前記方法。
[18]
前記組成物における前記結晶原料AおよびBの含有量が、50%(w/w)〜100%(w/w)である、前記方法。
[19]
2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結耐性を向上させる方法であって、下記工程(a)または(b)を含む、方法:
(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程;
(b)前記結晶原料AおよびBを混合する工程であって、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、工程。
してもよく、予め一方または両方が乾式コーティングに供された結晶原料AおよびBを混合してもよい。
(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程;
(b)前記結晶原料AおよびBを混合する工程であって、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、工程。
本発明の方法においては、2種の結晶原料AおよびBを組成物の原料として用いる。本発明の方法においては、結晶原料AおよびBのみを組成物の原料として用いてもよく、そうでなくてもよい。すなわち、本発明の方法においては、結晶原料AおよびBに加えて、さらに他の成分を組成物の原料として用いてもよい。本発明の方法において用いられる組成物の原料、すなわち結晶原料AおよびBと他の成分(他の成分については用いられる場合のみ)、を総称して単に「原料」ともいう。また、本発明の方法に含まれる各工程においては、同工程の実施対象となる成分を総称して単に「原料」ともいう。
「結晶原料」とは、結晶構造を有する成分をいう。結晶原料の種類は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。結晶原料は、本発明の組成物の用途等の諸条件に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の組成物が経口摂取用の組成物である場合には、結晶原料としては経口摂取可能なものを選択することができる。
る。無機塩として、具体的には、例えば、塩化ナトリウムや塩化カリウムが挙げられる。アミノ酸(ペプチドやタンパク質を構成するものも含む)は、いずれも、L体、D体、またはそれらの混合物であってよい。また、結晶原料は、塩の形態を取り得るものは、塩の形態で利用されてもよい。すなわち、本発明において、「結晶原料」という用語は、特記しない限り、フリー体の結晶原料、その塩、またはそれらの混合物を意味してよい。また、これらの成分は、水和物の形態を取り得るものは、水和物の形態で利用されてもよい。すなわち、本発明において、「結晶原料」という用語は、特記しない限り、結晶原料の無水物(例えば、フリー体や塩の無水物)、結晶原料の水和物(例えば、フリー体や塩の水和物)、またはそれらの混合物を意味してよい。また、結晶原料は、単一の成分の結晶であってもよく、2種またはそれ以上の成分の共結晶であってもよい。
に結晶原料AおよびBを共存させた(混合した)状態をいう。結晶原料AおよびBの組み合わせとして、具体的には、アミノ酸と有機酸の組み合わせが挙げられる。結晶原料AおよびBの組み合わせとして、より具体的には、グリシンとクエン酸の組み合わせが挙げられる。
他の成分(結晶原料AおよびB以外の成分)の種類は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。他の成分は、本発明の組成物の用途等の諸条件に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の組成物が経口摂取用の組成物である場合には、結晶原料としては経口摂取可能なものを選択することができる。他の成分は、結晶原料であってもよく、そうでなくてもよい。他の成分としては、飲食品(調味料も含む)、医薬品、化粧品、または農薬に配合される成分が挙げられる。他の成分として、具体的には、上記のような結晶原料、食物繊維、pH緩衝剤、賦形剤、増量剤、香料(フレーバー成分)、食用油が挙げられる。他の成分としては、特に、香料が挙げられる。他の成分としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
本発明の方法の第1の態様は、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結を防止する方法であって、(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程を含む、方法である。また、本発明の方法の第1の態様は、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の製造方法であって、(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程を含む、方法でもある。本発明の方法の第1の態様においては、同工程(a)を「乾式コーティング工程」ともいう。
本発明の方法の第1の態様は、乾式コーティング工程(すなわち、結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程)を含む。「結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する」とは、結晶原料AおよびBが共存した状態でそれらに対して乾式コーティングを実施することをいう。本発明において、「乾式コーティング」とは、バインダー液を添加せずに、あるいはバインダー液を微量のみ添加して、実施するコーティング手法をいう。バインダー液の添加を、説明の便宜上、「加湿」ともいう。すなわち、乾式コーティング工程においては、加湿を実施してもよく、しなくてもよい。乾式コーティング工程は、具体的には、原料を撹拌することにより実施できる。乾式コーティング工程は、より具体的には、原料を加湿せずに撹拌することにより、あるいは原料を加湿および撹拌することにより、実施できる。乾式コーティング工程に用いられる「原料」とは、組成物の原料の一部または全部をいい、少なくとも結晶原料AおよびBを含み、さらに他の成分を含んでいてもよい。すなわち、本発明の方法の第1の態様においては、少なくとも結晶原料AおよびBを乾式コーティングに供する。また、結晶原料AおよびBに加えて他の成分を用いる場合、他の成分は、結晶原料AおよびBとまとめて乾式コーティングに供してもよいし、供しなくてもよい。他の成分は、例えば、乾式コーティング工程の後に混合されてもよい。乾式コーティング工程は、バッチ式で行われてもよく、連続式で行われてもよい。
50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、80%(w/w)以上、90%(w/w)以上、95%(w/w)以上、または97%(w/w)以上であってよく、99.99%(w/w)以下、99.9%(w/w)以下、99.5%(w/w)以下、99%(w/w)以下、97%(w/w)以下、95%(w/w)以下、90%(w/w)以下、80%(w/w)以下、または70%(w/w)以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。乾式コーティング工程において、結晶原料AおよびBの総使用量に対する結晶原料AまたはBの使用量の比率(結晶原料AまたはBの使用量/結晶原料AおよびBの総使用量)は、具体的には、例えば、0.01%(w/w)〜99.99%(w/w)、0.5%(w/w)〜99.5%(w/w)、または1%(w/w)〜99%(w/w)であってよい。
おける撹拌時間として例示される数値範囲の、1%以上、5%以上、10%以上、または20%以上の時間であってもよく、100%以下、50%以下、20%以下、または10%以下の時間であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。予備混合工程の時間(混合時間)は、具体的には、例えば、10秒〜1分であってもよい。予備混合工程と乾式コーティング工程は、同一の容器内で行われてもよく、そうでなくてもよい。
ンダー液を原料に噴霧することができる。加湿は、適当な容器内で行うことができる。例えば、加湿は、後述する撹拌槽内で行うことができる。また、加湿は、容器外で行うこともできる。例えば、フィーダーを用いて原料を移送する場合には、移送中にバインダー液を添加してもよい。また、例えば、原料を適当な容器、例えば後述する撹拌槽、に投入する際にバインダー液を添加してもよい。バインダー液の供給口は、加湿の態様に応じて設けることができる。例えば、加湿および撹拌を同一の容器(後述する撹拌槽)内で行う場合は、撹拌装置がバインダー液の供給口を備える。バインダー液の供給口は、例えば、1つのみ設けられてよく、2つまたはそれ以上設けられてもよい。
せにより行ってもよい。撹拌は、撹拌子(撹拌羽根ともいう)を回転させることにより行うのが好ましい。撹拌子の形状、サイズ、設置数、設置位置、設置方向等の態様は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。撹拌子の形状は、例えば、棒状、板状、プロペラ状、らせん状、またはそれらの組み合わせであってよい。撹拌子のサイズは、例えば、回転軸から撹拌子の先端までの長さ(すなわち撹拌子の先端の回転半径)として、0.1m以上、0.2m以上、0.3m以上、または0.5m以上であってもよく、2m以下、1.5m以下、1m以下、0.7m以下、0.5m以下、または0.3m以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。撹拌子のサイズは、具体的には、例えば、回転軸から撹拌子の先端までの長さとして、0.2m〜1mであってもよい。撹拌子は、所定の回転軸を中心に回転可能に設置することができる。撹拌子は、例えば、回転軸上の1箇所のみに設けられてよく、回転軸上の2またはそれ以上の箇所に設けられてもよい。また、回転軸は、1つのみ設けられてよく、2つまたはそれ以上設けられてもよい。回転軸は撹拌槽内のいずれの位置に設けられてもよい。回転軸は、例えば、撹拌槽の中央部に設けられてよい。例えば、縦型の撹拌槽を用いる場合、撹拌槽の中央部に垂直方向に回転軸を設け、撹拌槽の上部より原料を供給することにより、原料が撹拌されながら下方向に移動し、撹拌槽の下部から形成されたコーティング品を回収できる。撹拌には、例えば、チョッパーを利用してもよい。チョッパーは、例えば、撹拌子と併用することができる。チョッパーの形状、サイズ、設置数、設置位置、設置方向等の態様は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。
度)として、2.5m/s以上、3m/s以上、4m/s以上、5m/s以上、6m/s以上、7m/s以上、8m/s以上、9m/s以上、または10m/s以上であってもよく、30m/s以下、20m/s以下、15m/s以下、11m/s以下、8m/s以下、または5m/s以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。乾式コーティング工程における撹拌数は、具体的には、例えば、主軸の周速として、2.5m/s〜30m/s、6m/s〜20m/s、9m/s〜15m/s、2.5m/s〜15m/s、2.5m/s〜8m/s、または2.5m/s〜5m/sであってもよい。一態様においては、撹拌速度が高い程、組成物の異味を低減する効果が高まる場合があり得る。また、一態様においては、撹拌速度が低い程、組成物の褐変の進行が抑制される場合があり得る。
る。得られたコーティング品は、本発明の組成物とみなすことができる。得られたコーティング品は、具体的には、乾式コーティングされた結晶原料AおよびBを含有する組成物であってよい。すなわち、結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供することにより、それら結晶原料が乾式コーティングされた状態となり得る。結晶原料は、乾式コーティングを実施する系(例えば撹拌槽等の容器)に存在する成分によりコーティングされ得る。よって、結晶原料AおよびB(例えば、結晶原料AおよびBのみ)をまとめて乾式コーティングに供することにより、結晶原料AおよびBは、いずれも、結晶原料Aおよび/またはB(具体的には、結晶原料Aおよび/またはBの微粉)によってコーティングされ得る。すなわち、本発明の組成物に含有される結晶原料Aは、乾式コーティングされた結晶原料A、具体的には、結晶原料Aおよび/またはBで乾式コーティングされた結晶原料A、より具体的には、その結晶表面に結晶原料Aの微粉および/または結晶原料Bの微粉が付着した構造を有する結晶原料Aであってよい。また、本発明の組成物に含有される結晶原料Bは、乾式コーティングされた結晶原料B、具体的には、結晶原料Aおよび/またはBで乾式コーティングされた結晶原料B、より具体的には、その結晶表面に結晶原料Aの微粉および/または結晶原料Bの微粉が付着した構造を有する結晶原料Bであってよい。なお、結晶表面に付着する微粉は、例えば、結晶原料にもともと含まれるもの、結晶原料から生じたもの、またはそれらの組み合わせであってよい。すなわち、結晶原料は、典型的には所定の粒度分布を有し、その微粉画分が乾式コーティングにおいて結晶表面に付着し得る。また、乾式コーティングの際に結晶原料が粉砕等されることにより微粉が生じた場合、そのような微粉も結晶表面に付着し得る。また、他の成分を併用して乾式コーティングを実施することにより、そのような他の成分も結晶表面に付着し得る。
本発明の方法の第2の態様は、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結を防止する方法であって、前記結晶原料AおよびBを混合する工程を含み、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、方法である。本発明の方法の第2の態様は、2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の製造方法であって、前記結晶原料AおよびBを混合する工程を含み、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、方法でもある。本発明の方法の第2の態様においては、同工程を「混合工程」ともいう。
ーティングに供されたものであってよい。
本発明の方法の第2の態様は、乾式コーティング工程(すなわち、結晶原料AおよびBの一方または両方を乾式コーティングに供する工程)を含んでいてよい。結晶原料AまたはBを乾式コーティングに供する場合、結晶原料AまたはBのみを原料として乾式コーティングを実施してもよいし、他の成分を併用してもよい。他の成分としては、上述したような他の成分が挙げられる。なお、結晶原料Aに対する他の成分は結晶原料Bを包含してもよく、結晶原料Bに対する他の成分は結晶原料Aを包含してもよい。乾式コーティング工程の条件は、所望の程度に乾式コーティングが実施される限り、特に制限されない。本発明の方法の第2の態様における乾式コーティング工程の条件については、結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する必要がないこと以外は、本発明の方法の第1の態様における乾式コーティング工程の条件についての記載を準用できる。
もともと含まれるもの、結晶原料から生じたもの、またはそれらの組み合わせであってよいが、乾式コーティング用に微粉を調製して用いてもよい。
本発明の方法の第2の態様は、混合工程(すなわち、結晶原料AおよびBを混合する工程)を含む。混合工程は、結晶原料AまたはB(一方または両方が予め乾式コーティングに供されたもの)のみを原料として実施してもよいし、他の成分を併用してもよい。混合工程の条件は、所望の程度に原料が混合される限り、特に制限されない。混合工程の条件については、本発明の方法の第1の態様における予備混合工程の条件についての記載を準用できる。すなわち、混合工程における撹拌数(撹拌速度)は、例えば、本発明の方法の第1の態様の乾式コーティング工程における撹拌数として例示される数値範囲であってもよく、それより低くてもよい。混合工程における撹拌数(撹拌速度)は、例えば、主軸の周速として、0.1m/s以上、0.2m/s以上、0.3m/s以上、または0.5m/s以上であってもよく、10m/s以下、5m/s以下、3m/s以下、2m/s以下、または1m/s以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。混合工程における撹拌数は、具体的には、例えば、主軸の周速として、0.1m/s〜10m/s、0.2m/s〜5m/s、0.3m/s〜2m/sであってもよい。また、混合工程における撹拌時間は、例えば、本発明の方法の第1の態様の乾式コーティング工程における撹拌時間として例示される数値範囲であってもよく、それより短くてもよい。混合工程に供される原料の量比は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。混合工程に供される原料の量比については、本発明の方法の第1の態様における乾式コーティング工程へ供される原料の量比についての記載を準用できる。すなわち、例えば、本発明の方法の第1の態様の乾式コーティング工程における原料の総使用量に対する結晶原料AおよびBの総使用量の比率を、混合工程における原料の総使用量に対する結晶原料AおよびBの総使用量の比率と読み替えることができる。また、本発明の方法の第1の態様の乾式コーティング工程における結晶原料AおよびBの総使用量に対する結晶原料AまたはBの使用量の比率を、混合工程における結晶原料AおよびBの総使用量に対する結晶原料AまたはBの使用量の比率と読み替えることができる。混合工程においては、乾式コーティングが進行してもよく、しなくてもよい。乾式コーティング工程と混合工程は、同一の容器内で行われてもよく、そうでなくてもよい。
本実施例では、グリシンとクエン酸の乾式コーティング品と単純MIX品(単純混合品)について吸湿固結性の評価を行い、乾式コーティングが吸湿固結性に与える影響について検討した。なお、本実施例で用いたグリシンのD50は約250μm、クエン酸のD50は約200μmであった(特記しない限り、以降の実施例についても同じ)。
以下の条件で、グリシンとクエン酸を混合することにより、単純MIX品を製造した。
・装置:容器回転型混合機 ロッキングミキサーRM-10-2(愛知電機(株))
・撹拌時間:10 min
・撹拌周速:0.6 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計3000 g
・装置:高速せん断攪拌機 ニュースピードニーダーNSK250SJ(岡田精工(株))
・撹拌時間:5〜60 min
・撹拌周速:5.6 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計3000 g
(1)サンプルを、庫内温度25℃、湿度30%に設定した恒温恒湿槽内に入れて、2時間以上静置した(乾燥工程1)後、サンプルの重量を測定した。乾燥工程1後のサンプルを、さらに75℃で1時間乾燥させた(乾燥工程2)後、サンプルの重量を測定し、乾燥工程2前後でのサンプルの重量の減分を算出し、初期水分量とした。
(2)恒温恒湿槽の湿度を55%に設定し、乾燥工程1後のサンプルを所定の時間静置した(吸湿工程)後、サンプルの重量を測定し、吸湿工程前後でのサンプルの重量の増分を算出し、初期水分量を加算して水分量とした。水分量の増加を吸湿性の指標とした。
(3)恒温恒湿槽の湿度を30%に設定し、サンプルを2時間以上静置した(固結工程)後、以下の手順でサンプルの固結割合を算出した。すなわち、本実施例で用いたグリシン原料のD90は約300μm、クエン酸原料のD90はそれ以下であり、いずれの原料中にも粒径420μm以上の粒子は存在しなかった。そのため、固結工程後のサンプル中に粒径420μm以上の粒子が存在すれば固結が起こったと判断できると考えた。そこで、固結工程後のサンプルを目明き420μmの篩で分画し、同サンプルの総重量に対する粒径420μm以上の画分の重量の比率を算出し、固結割合とした。固結割合を固結性の指標とした。
電子顕微鏡による観察の結果を図1に示す。乾式コーティング品(撹拌時間60 min)では、結晶表面への微粒子の付着が認められた。
耐性が向上することにより官能品質を保てることが明らかとなった。
本実施例では、グリシンとクエン酸について種々の条件で乾式コーティングを実施し、乾式コーティング条件が吸湿固結性に与える影響について検討した。
以下の各セクションに記載の条件で、グリシンとクエン酸等の原料をまとめて乾式コーティングに供することにより、乾式コーティング品を製造した。乾式コーティングは、バーチカルグラニュエーターNMG-5L((株)奈良機械製作所)を用いて実施した。また、比較のため、グリシンとクエン酸等の原料の単純MIX品(特記しない限り、実施例1と同一の条件で製造されたもの)を用いた。サンプル(乾式コーティング品と単純MIX品)を、電子顕微鏡による観察および吸湿性の評価に供した。吸湿性の評価は、実施例1と同一の条件で実施した。
下記それぞれの撹拌時間で乾式コーティングを実施した。
・撹拌時間:3 min、7 min、12 min
・撹拌周速:10.4 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 g
下記それぞれの撹拌周速で乾式コーティングを実施した。
・撹拌時間:3 min
・撹拌周速:3.5 m/s、6.9 m/s、10.4 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 g
下記それぞれの粒径のグリシンを用いて乾式コーティングを実施した。それぞれの粒径のグリシンは、篩を用いて対応する粒径の画分を分取することにより得た。
・撹拌時間:3 min
・撹拌周速:6.9 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 g
・グリシン粒径:212μm以下、300μm〜355μm、425μm以上
グリシンとクエン酸を下記それぞれの配合比で用いて乾式コーティングを実施した。
・撹拌時間:3 min
・撹拌周速:3.5 m/s
・配合:クエン酸1.5%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、50%(w/w)、98.5%(w/w), 残部はグリシン, 計2000 g
グリシンとクエン酸にさらに香料を配合し、下記それぞれの撹拌時間および撹拌周速で乾式コーティングを実施した。
・撹拌時間:3 min、7 min、12 min
・撹拌周速:3.5 m/s、6.9 m/s、10.4 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 gに香料(デキストリンに倍散したもの)を1%(w/w)配合した。
サンプルについて、官能評価を以下の手順で実施した。すなわち、専門パネルが固結工程後のサンプルを摂食し、酸味について、5点:とても強い、4点:強い、3点:ふつう、2点:弱い、1点:とても弱い、の5段階で評価した(N=3)。
アミノ酸とデキストリンは、互いに反応することにより褐変することが知られている。撹拌時間7 minの乾式コーティング品をアルミスティック包材に充填し、65℃で80時間保管し、色調の変化を確認した。L*a*b*表色系のb*値を褐変の指標として採用した。
本実施例では、本実施例では、グリシンとクエン酸の乾式コーティング品と単純MIX品、グリシン単品、およびクエン酸単品について、吸湿性を評価し、吸湿固結耐性向上メカニズムを考察した。
以下の条件で、グリシンとクエン酸をまとめて乾式コーティングに供することにより、乾式コーティング品を製造した。
・装置:高速せん断攪拌機 バーチカルグラニュエーターNMG-5L((株)奈良機械製作所)
・撹拌時間:3 min
・撹拌周速:3.5 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 g
吸湿性の評価を図14に示す。グリシン単品またはクエン酸単品では、水分量の増加(吸湿)が認められなかった。一方、単純MIX品では、水分量の増加(吸湿)が認められた。また、乾式コーティング品では、水分量の増加(吸湿)が認められなかった。これらの結果より、グリシンおよびクエン酸は、共存することにより、それらの臨界相対湿度(CRH)より低いCRHを示し(すなわちCRHが低下し)、以て吸湿が進行することが明らかとなった。また、グリシンとクエン酸を乾式コーティングに供することにより、それらの共存によるCRHの低下を抑制できることが明らかとなった。
酸の共存によるCRHの低下現象を抑制することができ、以てそれらが共存した場合でもそれぞれに固有のCRHに近いCRHを示すものと考えられる。このように、乾式コーティングによる吸湿固結耐性向上は、結晶表面の物理形状の改変によるものであり得る。よって、グリシンとクエン酸の組み合わせに限られず、任意の結晶原料の組み合わせ(特に、共存することによりCRHが低下する任意の結晶原料の組み合わせ)について、乾式コーティングにより吸湿固結を防止できると考えられる。
本実施例では、グリシンとクエン酸の組み合わせ以外の結晶原料の組み合わせでも、乾式コーティングにより吸湿固結を防止できるかを検証した。
以下の条件で、スクロースと塩化ナトリウムを混合することにより、単純MIX品を製造した。
・装置:容器回転型混合機 ロッキングミキサーRM-10-2(愛知電機(株))
・撹拌条件:周速0.6 m/s, 時間10 min
・配合:スクロース50%(w/w), 塩化ナトリウム50%(w/w), 計2000 g
・装置:高速せん断攪拌機 バーチカルグラニュエーターNMG-5L((株)奈良機械製作所)
・撹拌時間:7 min
・撹拌周速:4.8 m/s、9.6 m/s
・配合:スクロース50%(w/w), 塩化ナトリウム50%(w/w), 計2000 g
電子顕微鏡による観察の結果を図16に示す。乾式コーティング品では、結晶表面への微粒子の付着が認められた。また、撹拌周速が大きい程、結晶表面への微粒子の付着量が増大する傾向が認められた。
本実施例では、予め乾式コーティングした原料を混合することでも吸湿固結を防止できるかを検証した。
以下の条件で、グリシンおよびクエン酸をそれぞれ単独で乾式コーティングに供し、乾式コーティング品を得た。
・装置:高速せん断攪拌機 バーチカルグラニュエーターNMG-5L((株)奈良機械製作所
)
・撹拌時間:7 min
・撹拌周速:3.5 m/s
・配合:グリシンまたはクエン酸100%(w/w), 計2000 g
・装置:容器回転型混合機 ロッキングミキサーRM-10-2(愛知電機(株))
・撹拌時間:10 min
・撹拌周速:0.6 m/s
・配合:グリシン98.5%(w/w), クエン酸1.5%(w/w), 計2000 g
電子顕微鏡による観察の結果を図18に示す。乾式コーティング品では、結晶表面への微粒子の付着が認められた。
Claims (19)
- 2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の製造方法であって、下記工程(a)または(b)を含む、方法:
(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程;
(b)前記結晶原料AおよびBを混合する工程であって、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、工程。 - 前記結晶原料AおよびBが、それぞれ、25℃において55%以上の臨界相対湿度を示す、請求項1に記載の方法。
- 前記結晶原料AおよびBが、共存することにより臨界相対湿度が低下する成分の組み合わせである、請求項1または2に記載の方法。
- 前記結晶原料AおよびBが、共存することにより25℃において85%以下の臨界相対湿度を示す成分の組み合わせである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記結晶原料AおよびBが、アミノ酸、有機酸、核酸、ペプチド、タンパク質、糖、糖アルコール、および無機塩からなる群より選択される成分の組み合わせである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記結晶原料AおよびBが、アミノ酸および有機酸の組み合わせである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記結晶原料AおよびBが、グリシンおよびクエン酸の組み合わせである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 少なくとも、前記結晶原料AおよびBの内の25℃においてより低い臨界相対湿度を示す結晶原料が、予め乾式コーティングに供されたものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 少なくとも、クエン酸が、予め乾式コーティングに供されたものである、請求項7に記載の方法。
- 前記工程(b)を含み、さらに、前記工程(b)の前に下記工程(c)を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法:
(c)前記結晶原料AおよびBの一方または両方を乾式コーティングに供する工程。 - 前記工程(a)または(c)におけるバインダー液の添加量が、0%(w/w)〜0.5%(w/w)である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程(a)または(c)において、バインダー液の添加が実施されない、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程(a)または(c)が撹拌子を備えた撹拌装置を用いて行われ、前記工程における撹拌数が、撹拌子の周速として、2.5m/s〜30m/sである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程(a)または(c)における撹拌時間が、30秒〜120分である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程(a)または(b)における前記結晶原料AおよびBの総使用量に対する前記結晶原料AまたはBの使用量の比率が、0.01%(w/w)〜99.99%(w/w)である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、前記結晶原料AおよびB以外の成分が、前記組成物の原料として用いられる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 前記結晶原料AおよびB以外の成分が、香料を含む、請求項16に記載の方法。
- 前記組成物における前記結晶原料AおよびBの含有量が、50%(w/w)〜100%(w/w)である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 2種の結晶原料AおよびBを含有する組成物の吸湿固結耐性を向上させる方法であって、下記工程(a)または(b)を含む、方法:
(a)前記結晶原料AおよびBをまとめて乾式コーティングに供する工程;
(b)前記結晶原料AおよびBを混合する工程であって、前記結晶原料AおよびBの一方または両方が予め乾式コーティングに供されたものである、工程。
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