JP7052157B1 - ピストンリングの組合せ、及びピストンとピストンリングとの組合せ構造 - Google Patents

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Abstract

ピストンに組付けられるピストンリングの組合せは、第1コンプレッションリングと第2コンプレッションリングと第3コンプレッションリングとオイルリングと、を含み、第1コンプレッションリングの軸方向幅をh1(1)とし、第2コンプレッションリングの軸方向幅をh1(2)とし、前記第3コンプレッションリングの軸方向幅をh1(3)とし、オイルリングの軸方向幅をh1(4)としたとき、h1(1)≧h1(2)、且つ、h1(1)≧h1(3)であり、h1(TOTAL)=h1(1)+h1(2)+h1(3)+h1(4)としたとき、h1(TOTAL)≧3.9mmである。

Description

特許法第30条第2項適用 ウェブサイトのアドレス https://www.tpr.co.jp/assets/pdf/products/powertrain/pistonring/cm_3.pdf ウェブサイトの掲載日 令和2年10月13日
本発明は、ディーゼル機関に代表される圧縮着火機関においてピストンに組付けられるピストンリングの組合せ、及びピストンとピストンリングとの組合せ構造に関する。
一般的な自動車に搭載される内燃機関は、コンプレッションリング(圧力リング)とオイルリングとを含むピストンリングの組合せをピストンに形成されたリング溝に装着した構成を採用している。ピストンの軸方向において、コンプレッションリングが燃焼室側に設けられ、オイルリングがクランク室側に設けられ、これらがシリンダの内壁面を摺動することで能力を発揮する。燃焼室から最も遠いオイルリングは、シリンダの内壁面に付着した余分なエンジンオイル(潤滑油)をクランク室側に掻き落とすことでオイルの燃焼室側への流出(オイル上がり)を抑制するオイルシール機能や、潤滑油膜がシリンダの内壁面に適切に保持されるようにオイル量を調整することで内燃機関の運転に伴うコンプレッションリングやピストンの焼き付きを防止する機能を有する。コンプレッションリングは、気密を保持することで燃焼室側からクランク室側への燃焼ガスの流出(ブローバイ)を抑制するガスシール機能や、オイルリングが掻き落とし切れなかった余分なオイルを掻き落とすことでオイル上がりを抑制するオイルシール機能を有する。一般的な自動車に搭載されるディーゼルエンジンに例示される圧縮着火機関は、2本のコンプレッションリングと1本のオイルリングを用いることが一般的である。
これに関連して、特許文献1には、複数本のピストンリングをピストンに組み付けた内燃機関において、ピストンリングの合口隙間の幅を最上段のピストンリングにおいて最大とし、下段のピストンリングになるに従って小さくする構造が開示されている。これによると、各リングがシリンダライナに押し付けられる力が等しくなり、各リングの摩耗量を同程度とすることができる。
実開昭62-063460号公報 特公平05-025024号公報
近年の内燃機関の高出力化に伴い、環境性能における対策が急務であり、特に、ブローバイガスの低減が重要な課題となっている。ディーゼルエンジンに例示される圧縮着火機関では特に大型ディーゼルエンジンにおいて、目的は異なるがコンプレッションリングを3本以上用いることでいずれかのリングに摩耗等が生じてもコンプレッションリングとしての機能を長く維持することを可能とし、メンテナンス頻度を少なくすることが行われている。しかしながら、3本以上のコンプレッションリングをピストンに組み付けるためにはピストンの軸方向長さを長くする必要があることから、ピストンの重量は増加し、エンジン本体の重量も増加する。特に圧縮比の高いディーゼルエンジンにおいて気密性を向上させるためにコンプレッションリングを3本以上用いることは、ピストンの重量増加やフリクション増大につながり、乗用自動車等に搭載される小型のディーゼルエンジンについては、ピストンの軽量化と低フリクションが重視されることから、コンプレッションリングの本数を増やすことは困難であった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ディーゼルエンジンに例示される圧縮着火機関において、フリクションの増加やピストンの重量増加を抑えつつもブローバイガスを低減可能な技術を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、ピストンに3本のコンプレッションリングと1本のオイルリングを組み付ける構成としたが、これに伴うフリクションの増大やピストン重量の増加を抑えるために、各コンプレッションリング、特にサードリング(第3コンプレッションリング)の機能に着目した。具体的には、各コンプレッションリングの強度を確保しつつも薄幅化し、軸方向幅の適切な組み合わせと加えて張力の適正な配分を考えることによりフリクションの増大を押さえつつブローバイガスの低減を可能とした。更に、各ピストンランド部の軸方向長さに加えてランド空間の容積配分も考慮することで、ピストンの重量増加を抑えつつもブローバイガスの低減を可能とした。
具体的には、本発明は、圧縮着火機関のシリンダに装着されるピストンに組み付けられる複数のピストンリングの組合せであって、燃焼室に最も近い位置に組み付けられる第1コンプレッションリングと、前記第1コンプレッションリングの次に燃焼室に近い位置に組み付けられる第2コンプレッションリングと、前記燃焼室から最も遠い位置に組み付けられるオイルリングと、前記第2コンプレッションリングと前記オイルリングとの間の位置に組み付けられる第3コンプレッションリングと、を含み、前記第1コンプレッションリングの軸方向幅をh1(1)とし、前記第2コンプレッションリングの軸方向幅をh1(2)とし、前記第3コンプレッションリングの軸方向幅をh1(3)とし、前記オイルリングの軸方向幅をh1(4)としたとき、h1(1)≧h1(2)、且つ、h1(1)≧h1(3)であり、h1(TOTAL)=h1(1)+h1(2)+h1(3)+h1(4)としたとき、h1(TOTAL)≧3.9mmである、ピストンリングの組合せである。
本発明において、前記第1コンプレッションリングの張力をFt(1)とし、前記第2コンプレッションリングの張力をFt(2)とし、前記第3コンプレッションリングの張力をFt(3)とし、前記オイルリングの張力をFt(4)とし、前記圧縮着火機関のシリンダボアの直径をd1としたとき、Ft(1)>Ft(3)であって、Ft(TOTAL)=Ft(1)+Ft(2)+Ft(3)+Ft(4)としたとき、0.68N/mm≧Ft(TOTAL)/d1であってもよい。
本発明において、前記第3コンプレッションリングの捩れ角度は、前記第3コンプレッションリングを前記ピストンに組付け、且つ、前記ピストンを前記シリンダに装着した状態で、20′±40′であってもよい。
本発明において、前記第3コンプレッションリングの外周面は、テーパ形状又はテーパアンダーカット形状に形成されていてもよい。
本発明において、2.0mm≧h1(1)、2.0mm≧h1(2)、1.5mm≧h1(3)であってもよい。
本発明において、前記オイルリングは、径方向外側へ突出する一対のレール部が軸方向両側に設けられたリング本体と、前記リング本体を径方向外側へ付勢するエキスパンダと、を含む、所謂2ピースのオイルリングであってもよい。
また、本発明は、前記ピストンと前記ピストンリングの組合せとを備える、圧縮着火機関のピストンとピストンリングとの組合せ構造であってよく、前記ピストンの外周面には、前記第1コンプレッションリングが装着される第1リング溝と、前記第2コンプレッションリングが装着される第2リング溝と、前記第3コンプレッションリングが装着される第3リング溝と、前記オイルリングが装着されるオイルリング溝と、が形成され、前記ピストンの軸方向における、前記第1リング溝の燃焼室側の端面から前記オイルリング溝のクランク室側の端面までの長さをLpとしたとき、Lp≧6.3mmであり、前記ピストンの外周面のうち前記第1リング溝と前記第2リング溝とによって画定される領域である第2ランド部の前記ピストンの軸方向における長さをLp2とし、前記第3リング溝と前記オイルリング溝とによって画定される領域である第4ランドの前記ピストンの軸方向における長さをLp4としたとき、Lp2>Lp4であってもよい。
本発明において、前記ピストンの外周面のうち前記第2リング溝と前記第3リング溝とによって画定される領域である第3ランド部の前記ピストンの軸方向における長さをLp3としたとき、Lp3≧Lp4、Lp3≧0.7mm、Lp4≧0.6mmであってもよい。
本発明において、前記ピストンと前記シリンダと前記第1コンプレッションリングと前記第2コンプレッションリングとによって囲まれた空間である第2空間の容積をV2とし、前記ピストンと前記シリンダと前記第3コンプレッションリングと前記オイルリングとによって囲まれた空間である第4空間の容積をV4としたとき、V2>V4であってもよい。
本発明において、前記圧縮着火機関のシリンダボアの直径をd1とし、Vp=(d1/2)×π×Lpとしたとき、V4/Vp≧0.00027であってもよい。
本発明によれば、圧縮着火機関において、ピストンの重量増加を抑えつつもブローバイガスを低減することが可能となる。
実施形態に係るピストン構造を備える圧縮着火機関の一部を示す図である。 実施形態に係るピストン構造を備える圧縮着火機関の部分断面図である。 実施形態に係るピストンの部分断面図である。 比較例に係るピストン構造を備える圧縮着火機関の部分断面図である。 実施例に係るピストン構造と比較例に係るピストン構造のブローバイ量を比較したグラフである。 サードリングの捩れ角度とブローバイ量との関係を示すグラフである。 サードリングの捩れ角度とオイル消費量との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明に係るピストンとピストンリングとの組合せ構造をディーゼルエンジンに例示される圧縮着火機関に適用したものである。なお、以下の実施形態に記載されている構成は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[全体構成]
図1は、実施形態に係るピストンとピストンリングとの組合せ構造(以下、ピストン構造)110を備える圧縮着火機関100の一部を示す図である。図2は、実施形態に係るピストン構造110を備える圧縮着火機関100の部分断面図である。図3は、実施形態に係るピストン20の部分断面図である。図2及び図3では、ピストンの中心軸に沿う断面が図示されている。図1に示すように、実施形態に係る圧縮着火機関100は、シリンダ10と、シリンダ10に装着されたピストン20と、ピストン20に組み付けられた複数のピストンリングからなるピストンリングの組合せ120と、を備える。図2に示すように、圧縮着火機関100では、ピストン20の外周面20aとシリンダ10の内壁面10aとの間に所定の離間距離D1が確保されることにより、ピストン隙間PC1が形成されている。圧縮着火機関100において、符号30で示す燃焼室側を上側とし、符号40で示すクランク室側を下側とする。圧縮着火機関100のうち、ピストン20とピストンリングの組合せ120とを含む構成がピストン構造110である。以下、ピストン構造110について説明する。
[ピストン]
図3に示すように、ピストン20の外周面20aには、ピストン20の軸方向に所定の間隔を空けて上側(燃焼室30側)から順に第1リング溝201と第2リング溝202と第3リング溝203と第4リング溝204とが形成されている。以下、第1リング溝201、第2リング溝202、第3リング溝203、及び第4リング溝204を区別せずに説明する場合には、単に「リング溝」と称する。
リング溝は、ピストン20の軸回りに環状に延びる溝として外周面20aの全周に形成されている。図2に示すように、各リング溝は、上下に対向配置された一対の溝壁(内壁)を含んで形成されている。一対の溝壁のうち、上側の溝壁を上壁W1と称し、下側の溝壁を下壁W2と称する。また、各リング溝における、上壁W1の内周縁と下壁W2の内周縁とを接続する溝壁を底壁W3と称する。なお、第4リング溝204の底壁W3には、第4リング溝204内に流れたオイルをクランク室40へ排出するためのドレーンホールH1が形成されている。但し、第4リング溝204にドレーンホールH1が形成されていなくともよい。
図3に示すように、ピストン20にリング溝が形成されることで、ピストン20には、燃焼室側から順に、第1ランド部L1、第2ランド部L2、第3ランド部L3、第4ランド部L4、及びスカート部PS1が画定されている。第1ランド部L1は、第1リング溝201よりも燃焼室30側の部位である。第2ランド部L2は、第1リング溝201と第2リング溝202との間の部位である。第3ランド部L3は、第2リング溝202と第3リング溝203との間の部位である。第4ランド部L4は、第3リング溝203と第4リング溝204との間の部位である。スカート部PS1は、第4リング溝204よりもクランク室40側の部位である。以下、第2ランド部L2のピストン20の軸方向における長さ(軸方向長さ)をLp2とし、第3ランド部L3の軸方向長さをLp3とし、第4ランド部L4の軸方向長さをLp4とする。また、第2ランド部L2におけるピストン20の直径をφ2とし、第3ランド部L3におけるピストン20の直径をφ3とし、第4ランド部L4におけるピストン20の直径をφ4とする。そして、図3に示すように、ピストン20において、第1リング溝201の燃焼室30側の端面である上壁W1から第4リング溝204のクランク室40側の端面である下壁W2までの領域をリング装着領域20bとする。また、リング装着領域20bの軸方向長さをLpとする。
[ピストンリング]
図2に示すように、実施形態に係るピストン構造110では、トップリング1、セカンドリング2、サードリング3を含む3本のコンプレッションリング(圧力リング)と1本のオイルリング4とを含む計4本のピストンリングの組合せ120がピストン20に組み付けられている。本明細書では、トップリング1、セカンドリング2、サードリング3、及びオイルリング4を区別しないで説明するときは、単に「ピストンリング」と称する。ピストンリングは、内燃機関のシリンダに装着されたピストンに組み付けられ、ピストンの往復運動に伴ってシリンダの内壁面を摺動する摺動部材である。実施形態では、第1リング溝201にトップリング1が装着され、第2リング溝202にセカンドリング2が装着され、第3リング溝203にサードリング3が装着され、第4リング溝204にオイルリング4が装着されている。以下、図2に示すように各ピストンリングがピストン20に組み付けられ、且つ、ピストン20がシリンダ10に装着された状態を、「使用状態」と称する。また、図2に示すように、ピストンリングの中心軸に沿う方向(軸方向)をピストンリングの「上下方向」と定義する。また、ピストンリングの軸方向のうち、圧縮着火機関100における燃焼室30側(図2における上側)を「上側」と定義し、その反対側、即ち、クランク室側(図2における下側)を「下側」と定義する。また、本明細書において、「バレル形状」とは、ピストンリングにおいて最大径となる頂部を含んで径方向外側に凸状となるように湾曲した外周面形状のことを指し、頂部が上下中央に位置する対称バレル形状や頂部が上下中央より上下どちらかにオフセットする偏心バレル形状を含むものとする。
トップリング1は、ピストンリングの組合せ120を構成する複数のピストンリングの中で燃焼室30に最も近い位置に組み付けられるコンプレッションリングである。トップリング1は、本発明に係る「第1コンプレッションリング」の一例に相当する。
本例のトップリング1の断面形状は、レクタンギュラ形状となっている。このトップリング1は、外周面11と内周面12と上面13と下面14とを有する。上面13と下面14とによって、トップリング1の軸方向における幅が規定される。外周面11は、バレル形状に形成されている。トップリング1は、圧縮着火機関100において、その軸方向における両端面の一方である上面13が上側に面すると共に他方である下面14が下側に面し、外周面11がシリンダ10の内壁面10aに摺接するように、ピストン20に組み付けられる。なお、本発明に係る第1コンプレッションリングの形状は上記に限定されない。第1コンプレッションリングとしては、種々の形状のコンプレッションリングを採用できる。例えば、第1コンプレッションリングは、その外周面がストレート形状やテーパ形状であってもよい。また、第1コンプレッションリングは、その断面形状がベベル形状やキーストン形状、ハーフキーストン形状であってもよい。
セカンドリング2は、ピストンリングの組合せ120を構成する複数のピストンリングの中でトップリング1の次に燃焼室30に近い位置に組み付けられるコンプレッションリングである。セカンドリング2は、本発明に係る「第2コンプレッションリング」の一例に相当する。
本例のセカンドリング2の断面形状は、トップリング1と同様に、レクタンギュラ形状となっている。このセカンドリング2は、外周面21と内周面22と上面23と下面24とを有する。上面23と下面24とによって、セカンドリング2の軸方向における幅が規定される。外周面21は、下側に向かうに従って拡幅するように傾斜したテーパ形状に形成されている。
サードリング3は、セカンドリング2とオイルリング4との間の位置に組み付けられるコンプレッションリングである。サードリング3は、本発明に係る「第3コンプレッションリング」の一例に相当する。このサードリング3は、外周面31と内周面32と上面33と下面34とを有する。上面33と下面34とによって、サードリング3の軸方向における幅が規定される。本例のサードリング3は、セカンドリング2と同じ形状のものが用いられている。つまり、本例のサードリング3は、断面形状がレクタンギュラ形状となっており、外周面31がテーパ形状となっている。
なお、本発明に係る第2コンプレッションリング及び第3コンプレッションリングの形状は、上記に限定されない。第2コンプレッションリング及び第3コンプレッションリングとしては、種々の形状のコンプレッションリングを採用できる。例えば、その外周面がバレル形状やテーパ形状であってもよい。また、その断面形状がベベル形状、キーストン形状、ハーフキーストン形状、スクレーパ(ステップ)形状であってもよい。また、各コンプレッションリングの形状が異なっていてもよい。
これらのトップリング1、セカンドリング2、及びサードリング3は、使用状態において外周面がシリンダ10の内壁面10aを押圧するように自己張力を有している。これにより、ガスシール機能やオイルシール機能が得られる。
図1において、符号G1はトップリング1に形成された合口隙間を示し、符号G2はセカンドリング2に形成された合口隙間を示し、符号G3はサードリング3に形成された合口隙間を示す。トップリング1の合口隙間G1の大きさをC1とし、セカンドリング2の合口隙間G2の大きさをC2とし、サードリング3の合口隙間G1の大きさをC3とする。
オイルリング4は、ピストンリングの組合せ120を構成する複数のピストンリングの中で燃焼室30から最も遠い位置に組み付けられるピストンリングである。本例のオイルリング4は、所謂2ピース型の組合せオイルリングであり、図2に示すように、一対のレール部51,51が一体化されたオイルリング本体5と、オイルリング本体5を径方向外側へ付勢するコイルエキスパンダ6と、を備える。
一対のレール部51,51は、オイルリング4の周長方向に沿うように環状に形成されており、オイルリング4の軸方向に並んで設けられている。本例に係るオイルリング4は、一対のレール部51,51を、同一の形状としている。一対のレール部51,51の夫々の外周面は、ストレート形状に形成されている。コイルエキスパンダ6は、オイルリング本体5の径方向内側に設けられており、オイルリング本体5を径方向外側へ付勢する。これにより、一対のレール部51,51がシリンダ10の内壁面10aを押圧する。これにより、オイルシール機能が得られる。
なお、本発明に係るオイルリングの形状は、上記に限定されない。実施形態では、一対のレール部51,51の形状を同一としているが、本発明は、一対のレール部の形状が異なっていてもよい。また、レール部の外周端面の形状はストレート形状に限定されず、対称バレル形状、テーパ形状、偏心バレル形状などであってもよい。また、一対のレール部の外周端面の形状が各々異なってもよい。また、実施形態では、所謂2ピース型のオイルリングとしているが、オイルリングは、コイルエキスパンダを有さず、単体の部材で機能する形態であってもよい。また、本発明は、所謂3ピース型のオイルリングであって、該オイルリングの周長方向に沿うように環状に形成されると共に互いに独立して前記オイルリングの軸方向に並んで設けられる一対のセグメントと、前記一対のセグメント同士の間に配置されるスペーサエキスパンダから構成される形態であってもよい。
ここで、図2に示すように、トップリング1の軸方向幅をh1(1)とし、セカンドリング2の軸方向幅をh1(2)とし、サードリング3の軸方向幅をh1(3)とし、オイルリング4の軸方向幅をh1(4)とする。また、コンプレッションリングの軸方向幅の合計をh1(COMP)とし、ピストンリングの軸方向幅の合計をh1(TOTAL)とする。つまり、h1(COMP)=h1(1)+h1(2)+h1(3)であり、h1(TOTAL)=h1(1)+h1(2)+h1(3)+h1(4)である。
[ランド空間]
図2に示すように、シリンダ10の内壁面10aとピストン20の外周面20aとの間の空間がピストンリングによって仕切られることで、第2ランド空間50a、第3ランド空間50b、及び第4ランド空間50cが形成されている。
第2ランド空間50aは、シリンダ10とピストン20とトップリング1とセカンドリング2とによって囲まれた空間である。より詳細には、第2ランド空間50aは、シリンダ10の内壁面10aとピストン20の第2ランド部L2における外周面20aとトップリング1の下面14とセカンドリング2の上面23とによって画定されている。
第3ランド空間50bは、シリンダ10とピストン20とセカンドリング2とサードリング3とによって囲まれた空間である。より詳細には、第3ランド空間50bは、シリンダ10の内壁面10aとピストン20の第3ランド部L3における外周面20aとセカンドリング2の下面24とサードリング3の上面33とによって画定されている。
第4ランド空間50cは、シリンダ10とピストン20とサードリング3とオイルリング4とによって囲まれた空間である。より詳細には、第4ランド空間50cは、シリンダ10の内壁面10aとピストン20の第4ランド部L4における外周面20aとサードリング3の下面34とオイルリング4の上面とによって画定されている。
ここで、第2ランド空間50aの容積をV2とし、第3ランド空間50bの容積をV3とし、第4ランド空間50cの容積をV4とする。各ランド空間の容積は、シリンダ10の内径、ピストン20の外径、及び隣接するリング溝同士の間隔(各ランド部の軸方向長さ)などに基づいて導出される。具体的には、図1に示すようにシリンダボアの直径(シリンダ10の内径)をd1とすると、V2=((d1/2)-(φ2/2))×π×Lp2、V3=((d1/2)-(φ3/2))×π×Lp3、V4=((d1/2)-(φ4/2))×π×Lp4と表すことができる。なお、各ランド部には凹部や面取り部などの切り欠き部が形成されてもよい。これにより、各ランド空間の容積を調整することができる。また、各ランド空間の容積には凹部や面取り部などの切り欠き部の容積も含まれる。
図4は、比較例に係るピストン構造210を備える圧縮着火機関200の部分断面図である。比較例に係るピストン構造210は、ピストン20に第3リング溝203が形成されておらず、ピストン20に組み付けられるピストンリングの組合せ220がサードリング3を有しない点でピストン構造110と相違する。そのため、ピストン構造210の第3ランド空間50bは、セカンドリング2とオイルリング4とによって画定されている。また、ピストン構造210では、第4ランド空間50cが形成されていない。
ここで、圧縮着火機関においては、燃焼室に近い第2ランド空間の圧力の方が第3ランド空間の圧力よりも高くなる傾向があるが、その圧力差が大きいと、第2ランド空間に流入したガスがセカンドリングの合口隙間を通って第3ランド空間へ流出し易くなり、ブローバイガスの増加の要因となる。特に、高出力化を図るために筒内圧の高い圧縮着火機関において、その傾向は顕著となる。
これに対して、実施形態に係るピストン構造110では、セカンドリング2とオイルリング4との間にサードリング3が組み付けられることで、セカンドリング2とサードリング3とによって第3ランド空間50bが画定されている。そのため、実施形態では、セカンドリングとオイルリングとの間にコンプレッションリングが組み付けられていない比較例に係るピストン構造210と比較して、サードリング3がガスをシールすることによって、第3ランド空間50bの圧力を高くすることができる。これにより、比較例に係るピストン構造210と比較して、第2ランド空間50aと第3ランド空間50bとの圧力差を小さくすることができ、第2ランド空間50aから第3ランド空間50bへのガスの流出を抑えることができる。その結果、ブローバイガスを低減することができる。つまり、ピストン構造110は、トップリング1とオイルリング4との間に組み付けるコンプレッションリングの本数を1本から2本に増やして第2ランド空間50aと第3ランド空間50bとの圧力差を小さくすることで所謂ラビリンス効果を高め、ガスシール性能を向上させることができる。
更に、実施形態に係るピストン構造110では、薄型のコンプレッションリングを用いることで、リング装着領域20bの軸方向長さLpを比較例よりも長くしなくとも、3本のコンプレッションリングを組み付けることが可能となる。つまり、ピストン20の軸方向長さを長くする必要がない。これにより、ピストン20の重量の増加を抑えながらもブローバイガスを低減できる。
[実施例]
表1に、本発明の実施例1~4と比較例1~4に係るピストンとピストンリングとの組合せ構造における各ピストンリングの軸方向幅及び各ランド部の軸方向長さを示す。
Figure 0007052157000001

実施例1~実施例4は、図1~3で示したピストン構造110と同様に構成されている。比較例1~比較例4は、図4で示したピストン構造210と同様に構成されている。表1に示すように、リング装着領域20bの軸方向長さLpは、トップリング1の軸方向幅h1(1)、第2ランド部L2の軸方向長さLp2、セカンドリング2の軸方向幅h1(2)、第3ランド部L3の軸方向長さLp3、サードリング3の軸方向幅h1(3)、第4ランド部L4の軸方向長さLp4、及びオイルリング4の軸方向幅h1(4)の合計値で近似される。
表1に示すように、実施例1~4のピストン構造では、h1(1)≧h1(2)、且つ、h1(1)≧h1(3)であり、h1(TOTAL)≧3.9mmとなっている。トップリング1は、3本のコンプレッションリングのうち燃焼室に最も近い位置に組付けられるため、燃焼ガスの圧力による負荷が最も大きなコンプレッションリングとなる。実施例1~4では、各ピストンリングの軸方向幅の合計であるh1(TOTAL)を3.9mm以上としつつも、3本のコンプレッションリングの中でトップリング1の軸方向幅h1(1)を最大とすることで、トップリング1の強度を確保できる。これにより、各ピストンリングの強度を確保しつつもこれらを薄幅化することができる。また、セカンドリング2及びサードリング3をトップリング1よりも薄幅とすることで、セカンドリング2及びサードリング3を軽量化できる。なお、本発明は、実施例1,3のように、h1(1)>h1(2)としてもよい。更に、実施例2~4のピストン構造では、h1(TOTAL)≧5.4mmとすることで、各ピストンリングの強度をより高めている。但し、本発明はこれに限定されない。
また、実施例1~4のピストン構造では、10mm≧h1(TOTAL)となっている。h1(TOTAL)が10mm以下となるように各ピストンリングを薄幅とすることで、リング装着領域20bの軸方向長さLpが長くなることを抑制できる。その結果、ピストン20の重量の増加を抑制しつつも、3本のコンプレッションリングによるブローバイガスの低減が可能となる。更に、実施例1~4のピストン構造では、9.5mm≧h1(TOTAL)とすることで、ピストン20の重量増加を更に抑制している。また、実施例1~4のピストン構造では、各コンプレッションリングを薄幅にして、5.5mm≧h1(COMP)とすることで、ピストン20の重量増加の抑制を実現している。特に、実施例1~3のピストン構造では、3.9mm≧h1(COMP)とすることで、ピストン20の重量増加を更に抑制している。但し、本発明はこれに限定されない。
また、実施例1~4のピストン構造では、2.0mm≧h1(1)、2.0mm≧h1(2)、1.5mm≧h1(3)となっている。このように各コンプレッションリングを薄幅とすることで、リング装着領域20bの軸方向長さLpをより短くすることができる。また、サードリング3を薄くして軽量化することで、サードリング3の慣性力を小さくすることができる。これにより、サードリング3の浮き上がりを軽減し、サードリング3の下面34のシール性能を高めることができる。
また、実施例1~4のピストン構造では、Lp≧6.3mmであり、Lp2>Lp4となっている。リング装着領域20b全体の軸方向長さLpを6.3mm以上とし、燃焼室により近く強度が必要な第2ランド部L2の軸方向長さLp2を第4ランド部L4の軸方向長さLp4よりも長くすることで、各ランド部の強度を確保できる。また、Lp2>Lp4とすることで、後述のようにV2>V4とすることができる。なお、実施例2~4のように、Lp≧10.8mmとしてもよい。これにより、各ランド部の強度を高めることができる。但し、本発明はこれに限定されない。
また、実施例1~4のピストン構造では、30mm≧Lpとなっている。各コンプレッションリングや各ランド部を薄幅にしてLpを30mm以下とすることで、ピストン20の重量の増加を抑制できる。但し、本発明はこれに限定されない。
また、実施例1~4のピストン構造では、Lp3≧Lp4であり、Lp3≧0.7mm、Lp4≧0.6mmとなっている。第4ランド部L4よりも燃焼室に近い第3ランド部L3の軸方向長さLp3を第4ランド部L4の軸方向長さLp4よりも長くし、Lp3を0.7mm以上とし、Lp4を0.6mm以上とすることで、第3ランド部L3及び第4ランド部L4の強度を好適に確保できる。
また、上述のように、実施例1~4のピストン構造では、Lp2>Lp4とすることで、V2>V4となっている。これによると、燃焼室から遠い第4ランド空間50cの容積V4を第2ランド空間50aの容積V2よりも小さくすることで、V4がV2よりも大きい場合に比べて、隣接するランド空間同士の圧力差を小さくすることができる。これにより、第2ランド空間50aから第3ランド空間50bに流れるガスや第3ランド空間50bから第4ランド空間50cに流れるガスを低減できる。但し、本発明はこれに限定されない。
図5は、実施例に係るピストン構造と比較例に係るピストン構造のブローバイ量を比較したグラフである。図5の横軸はリング装着領域の軸方向長さLpを示し、縦軸はブローバイ量の比率を示す。図5に示すように、実施例の方が比較例よりもブローバイガスの量が少ない。
なお、実施形態において、Vp=(d1/2)×π×Lpとしたとき、V4/Vp≧0.00027とすることが好ましい。但し、本発明はこれに限定されない。Vpは、リング装着領域20bにおけるシリンダボアの容積となる。V4/Vp≧0.00027とすることで、第4ランド空間50cの圧力が過度に上昇することを抑制できる。これにより、サードリング3の浮き上がりを軽減し、サードリング3の下面34のシール性能を高めることができる。
ここで、トップリング1の張力をFt(1)とし、セカンドリングの張力をFt(2)とし、サードリングの張力をFt(3)とし、オイルリング4の張力をFt(4)とし、Ft(TOTAL)=Ft(1)+Ft(2)+Ft(3)+Ft(4)とする。Ft(TOTAL)は、即ち、各ピストンリングの張力の合計である。このとき、フリクション低減の観点では、Ft(1)>Ft(3)とし、0.68N/mm≧Ft(TOTAL)/d1とすることが好ましい。但し、本発明はこれに限定されない。これによると、燃焼室30に最も近いトップリング1の張力Ft(1)をサードリング3の張力Ft(3)よりも大きくすることで、ブローバイガスの低減性能を好適に保つことができる。また、0.68N/mm≧Ft(TOTAL)/d1とすることで、4本のピストンリングを用いながらも、従来の3本のピストンリングを用いるピストン構造と同程度のフリクションとすることができる。つまり、フリクションの増加を抑制できる。なお、フリクション低減の観点では、0.57N/mm≧Ft(TOTAL)/d1とすることがより好ましく、0.54N/mm≧Ft(TOTAL)/d1とすることが更に好ましい。
また、サードリング3のシール性能の観点では、サードリング3をピストン20に組付け、且つ、ピストン20をシリンダ10に装着した使用状態において、サードリング3の捩れ角度が20′±40′であることが好ましい。捩れ角度は、水平面(ピストンの軸と直交する平面)に対するサードリング3の軸方向端面(上下面)の傾斜角度として定義される。軸方向端面が径方向外側に向かって上方(燃焼室側)傾斜する場合に正の値とし、径方向外側に向かって下方(クランク室側)傾斜する場合に負の値とする。また、捩れ角度の測定には、例えば、シリンダボアの直径d1に等しい直径の測定用リングゲージ内に合い口を閉じたサードリング3を挿入した状態で、表面粗さ計等を用いて軸方向端面を測定し、捩れ角度を算出する方法を用いてもよい。実施形態において、サードリング3が上記の範囲で捩れを有することで、サードリング3が第3ランド空間50bの圧力を受けたときに、サードリング3の下面34のシール性能を高めることができる。図6は、サードリング3の捩れ角度(捩れ量)とブローバイ量との関係を示すグラフである。図6の横軸はサードリング3の捩れ角度を示し、縦軸はブローバイ量の比率を示す。図6に示すように、捩れ角度が-20′~80′の範囲では、サードリングのガスシール性能が十分に発揮され、ブローバイガスが顕著に低減する。また、図7は、サードリング3の捩れ角度(捩れ量)とオイル消費量との関係を示すグラフである。図7の横軸はサードリング3の捩れ角度を示し、縦軸はオイル消費量の比率を示す。また、図7に示すように、捩れ角度が-20′よりもマイナス側に大きい場合や60′よりもプラス側に大きい場合には、サードリング3のオイルシール性能が十分に発揮されず、オイル消費が悪化する傾向が見られる。以上より、サードリング3の捩れ角度を20′±40′とすることで、サードリング3のシール性能を好適に高め、ブローバイガス及びオイル消費を低減できる。なお、本発明に係る第3コンプレッションリングの捩れ角度は20′±40′に限定されない。
ここで、サードリング3を設けることでサードリング3のガスシール性能によりブローバイガスが低減されるため、サードリング3よりも燃焼室側にオイルが上がると、ブローバイガスによるオイルの吹き下げ効果でオイルを吹き下げることが困難となり、オイル消費が増加する虞がある。これに対して、実施形態に係るピストン構造110では、サードリング3の外周面31の形状をオイル掻き性能の高いテーパ形状としている。これによれば、オイルがサードリング3よりも燃焼室側に上がり難くなるため、オイル消費を抑制できる。なお、オイル掻き性能の向上の観点では、サードリング3の外周面31は、下側に向かうに従って拡幅するように傾斜すると共に下部が切り欠かれたテーパアンダーカット形状であってもよい。更に、オイルリング4の一対のレール部51,51の少なくとも一方の外周面の形状をオイル掻き性能の高い偏心バレル形状としてもよい。これにより、オイルがサードリング3よりも燃焼室側に上がることが更に抑制され、オイル消費をより好適に抑制できる。但し、本発明はこれに限定されない。
また、実施形態に係るピストン構造110において、トップリング1の合口隙間G1の大きさC1とサードリング3の合口隙間G3の大きさC3を、C1≧C3としてもよい。これにより、サードリング3のガスシール性能を高めることができる。
また、サードリング3の下面34のシール性能の観点から、下面34の表面粗さRzを8μm以下としてもよい。このようにサードリング3の下面34の粗さを小さくすることで、下面34のシール性能を高めることができる。なお、Rzは、JIS B 0601で規定される最大高さである。また、サードリング3を樹脂材料により形成してもよい。サードリング3を樹脂製にして軽量化することで、サードリング3の慣性力を小さくすることができる。これにより、サードリング3の浮き上がりを軽減し、下面34のシール性能を高めることができる。
なお、上述の実施形態では、ピストン20が一体成形の鋳造や鍛造により成形されているが、ピストン20は、ランド部が別体の組み立て式により構成されてもよい。例えば、リング状の部材をピストンに組み付けてランド部としてもよい。ランド部の部材を高強度材料により形成することで、ランド部の軸方向長さを短くすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した種々の形態は、可能な限り組み合わせることができる。
100,200 :圧縮着火機関
110,210 :ピストンとピストンリングとの組合せ構造
120,220 :ピストンリングの組合せ
10 :シリンダ
20 :ピストン
30 :燃焼室
40 :クランク室
1 :トップリング(第1コンプレッションリングの一例)
2 :セカンドリング(第2コンプレッションリングの一例)
3 :サードリング(第3コンプレッションリングの一例)
4 :オイルリング

Claims (9)

  1. 圧縮着火機関のシリンダに装着されるピストンと前記ピストンに組み付けられる複数のピストンリングの組合せとを備える、圧縮着火機関のピストンとピストンリングとの組合せ構造であって、
    前記複数のピストンリングの組合せは、燃焼室に最も近い位置に組み付けられる第1コンプレッションリングと、前記第1コンプレッションリングの次に燃焼室に近い位置に組み付けられる第2コンプレッションリングと、前記燃焼室から最も遠い位置に組み付けられるオイルリングと、前記第2コンプレッションリングと前記オイルリングとの間の位置に組み付けられる第3コンプレッションリングと、を含み、
    前記第1コンプレッションリングの軸方向幅をh1(1)とし、前記第2コンプレッションリングの軸方向幅をh1(2)とし、前記第3コンプレッションリングの軸方向幅をh1(3)とし、前記オイルリングの軸方向幅をh1(4)としたとき、h1(1)≧h1(2)、且つ、h1(1)≧h1(3)であり、
    h1(TOTAL)=h1(1)+h1(2)+h1(3)+h1(4)としたとき、10mm≧h1(TOTAL)≧3.9mmであり、
    前記ピストンの外周面には、前記第1コンプレッションリングが装着される第1リング溝と、前記第2コンプレッションリングが装着される第2リング溝と、前記第3コンプレッションリングが装着される第3リング溝と、前記オイルリングが装着されるオイルリング溝と、が形成され、
    前記ピストンの軸方向における、前記第1リング溝の燃焼室側の端面から前記オイルリング溝のクランク室側の端面までの長さをLpとしたとき、Lp≧6.3mmであり、
    前記ピストンの外周面のうち前記第1リング溝と前記第2リング溝とによって画定される領域である第2ランド部の前記ピストンの軸方向における長さをLp2とし、前記第3リング溝と前記オイルリング溝とによって画定される領域である第4ランド部の前記ピストンの軸方向における長さをLp4としたとき、Lp2>Lp4である、
    ピストンとピストンリングとの組合せ構造。
  2. 前記第1コンプレッションリングの張力をFt(1)とし、前記第2コンプレッションリングの張力をFt(2)とし、前記第3コンプレッションリングの張力をFt(3)とし、前記オイルリングの張力をFt(4)とし、前記圧縮着火機関のシリンダボアの直径をd1としたとき、Ft(1)>Ft(3)であって、
    Ft(TOTAL)=Ft(1)+Ft(2)+Ft(3)+Ft(4)としたとき、0.68N/mm≧Ft(TOTAL)/d1である、
    請求項1に記載のピストンとピストンリングとの組合せ構造
  3. 前記ピストンの軸と直交する平面に対する前記第3コンプレッションリングの軸方向端面の傾斜角度を捩れ角度とし、前記軸方向端面が径方向外側に向かって燃焼室側に傾斜する場合に捩れ角度を正の値とし、径方向外側に向かってクランク室側に傾斜する場合に捩れ角度を負の値としたときに、前記第3コンプレッションリングの捩れ角度は、前記第3コンプレッションリングを前記ピストンに組付け、且つ、前記ピストンを前記シリンダに装着した状態で、20′±40′である、
    請求項1又は2に記載のピストンとピストンリングとの組合せ構造
  4. 前記第3コンプレッションリングの外周面は、テーパ形状又はテーパアンダーカット形状に形成されている、
    請求項1から3の何れか一項に記載のピストンとピストンリングとの組合せ構造
  5. 2.0mm≧h1(1)、2.0mm≧h1(2)、1.5mm≧h1(3)である、
    請求項1から4の何れか一項に記載のピストンとピストンリングとの組合せ構造
  6. 前記オイルリングは、径方向外側へ突出する一対のレール部が軸方向に並んで設けられたリング本体と、前記リング本体を径方向外側へ付勢するエキスパンダと、を含む、
    請求項1から5の何れか一項に記載のピストンとピストンリングとの組合せ構造
  7. 前記ピストンの外周面のうち前記第2リング溝と前記第3リング溝とによって画定される領域である第3ランド部の前記ピストンの軸方向における長さをLp3としたとき、Lp3≧Lp4、Lp3≧0.7mm、Lp4≧0.6mmである、
    請求項1から6の何れか一項に記載のピストンとピストンリングとの組合せ構造。
  8. 前記ピストンと前記シリンダと前記第1コンプレッションリングと前記第2コンプレッションリングとによって囲まれた空間である第2空間の容積をV2とし、前記ピストンと前記シリンダと前記第3コンプレッションリングと前記オイルリングとによって囲まれた空間である第4空間の容積をV4としたとき、V2>V4である、
    請求項1から7の何れか一項に記載のピストンとピストンリングとの組合せ構造。
  9. 前記ピストンと前記シリンダと前記第3コンプレッションリングと前記オイルリングとによって囲まれた空間である第4空間の容積をV4とし、前記圧縮着火機関のシリンダボアの直径をd1とし、Vp=(d1/2)2×π×Lpとしたとき、V4/Vp≧0.00027である、
    請求項1から8の何れか一項に記載のピストンとピストンリングとの組合せ構造。
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