JP2018112276A - オイルリング - Google Patents
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Abstract
【課題】オイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させる。
【解決手段】ピストンの外周面に凹状に設けられたオイルリング溝に取り付けられるオイルリングであって、板状の環形に形成された上サイドレール16及び下サイドレールと、上サイドレール16及び下サイドレールの間に配置されたエキスパンダとを備え、上サイドレール16及び下サイドレールには、バレルフェース型の外周面16Cがそれぞれ形成され、上サイドレール16の外周面において所定の軸方向幅を有する第1領域16Caのバレル量が、下サイドレールの外周面において軸方向幅を有する第2領域のバレル量よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】図3A
【解決手段】ピストンの外周面に凹状に設けられたオイルリング溝に取り付けられるオイルリングであって、板状の環形に形成された上サイドレール16及び下サイドレールと、上サイドレール16及び下サイドレールの間に配置されたエキスパンダとを備え、上サイドレール16及び下サイドレールには、バレルフェース型の外周面16Cがそれぞれ形成され、上サイドレール16の外周面において所定の軸方向幅を有する第1領域16Caのバレル量が、下サイドレールの外周面において軸方向幅を有する第2領域のバレル量よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】図3A
Description
本発明は、ピストンのオイルリングに関し、詳細には上下一対のサイドレールとエキスパンダとを有する3ピースの組合せオイルリングに関する。
レシプロ内燃機関のピストンに装着されるオイルリングにおいて、上下一対のサイドレールと、両サイドレールの間に介装されるスペーサエキスパンダとからなる3ピースの組合せオイルリングが普及している。このようなオイルリングには、燃焼室への潤滑油の侵入を防止すると共に、シリンダ壁面に適切な厚みの油膜を形成するオイル制御機能が要求されている。
従来の3ピースの組合せオイルリングに関し、例えば、スペーサエキスパンダが、上側及び下側サイドレールを外方に押圧する上側耳部及び下側耳部を備え、上側サイドレールの軸方向幅を0.3〜0.6mmとし、下側サイドレールの軸方向幅を上側サイドレール軸方向幅より厚く(0.6〜0.8mm)したものが知られている(例えば、特許文献1)。
近年、この種のオイルリングでは、オイル消費量の低減及び燃費改善を両立させる観点から、必要なオイル制御機能を達成しつつ、摩擦抵抗を低減することが求められている。しかしながら、上記従来技術のように上下のサイドレールの軸方向幅を調整する技術では、両サイドレールの剛性の差が大きくなるため、スペーサエキスパンダから両サイドレールに付与される張力のばらつきが大きくなり、必要なオイル制御機能を達成できない場合がある。
本発明は、以上の背景を鑑み、オイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることを課題とする。
上記課題を解決するために本発明は、ピストン(4)の外周面に凹状に設けられたオイルリング溝(8)に取り付けられるオイルリング(13)であって、板状の環形に形成された上サイドレール(16)及び下サイドレール(17)と、前記上サイドレール及び前記下サイドレールの間に配置されたエキスパンダ(18)とを備え、前記上サイドレール及び前記下サイドレールには、バレルフェース型の外周面(16C、17C)がそれぞれ形成され、前記上サイドレールの外周面において所定の軸方向幅を有する第1領域(16Ca)のバレル量が、前記下サイドレールの外周面において前記軸方向幅を有する第2領域(17Ca)のバレル量よりも大きいことを特徴とする。
この態様によれば、上サイドレールのバレル量を、下サイドレールのバレル量よりも大きく設定することにより、上サイドレールにおけるオイル制御機能を高めつつ、下サイドレールにおける摩擦抵抗を低減することができる。その結果、オイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることが可能となる。
また、上記の態様において、前記軸方向幅は、0.15mmであるとよい。
この態様によれば、バレル量を設定する領域の軸方向の基準幅を適切に設定することにより、種々のサイズの上サイドレール及び下サイドレールを有するオイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることが可能となる。
また、上記の態様において、前記第1領域のバレル量は、12μm以上であるとよい。
この態様によれば、第1領域のバレル量を適切に設定することにより、オイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることがより確実に達成される。
また、上記の態様において、前記第1領域の曲率半径は、0.17mm以上かつ0.24mm以下であるとよい。
この態様によれば、第1領域の曲率半径を適切に設定することにより、オイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることがより確実に達成される。
また、上記の態様において、前記第2領域のバレル量は、4μm以上かつ10μm以下であるとよい。
この態様によれば、第2領域のバレル量を適切に設定することにより、オイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることがより確実に達成される。
また、上記の態様において、前記第2領域の曲率半径は、0.29mm以上かつ0.71mm以下であるとよい。
この態様によれば、第2領域の曲率半径を適切に設定することにより、オイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることがより確実に達成される。
また、上記の態様において、前記上サイドレール及び前記下サイドレールは、互いの軸方向幅及び周方向幅がそれぞれ同一であるとよい。
この態様によれば、上サイドレール及び下サイドレールの剛性の差を低減して、両サイドレールの張力のばらつきを抑制することが可能となり、オイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることがより確実に達成される。
以上の構成によれば、オイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るオイルリングの実施形態について説明する。
図1に示すように、内燃機関1のシリンダブロック2には、軸方向(図1中の上下方向)に沿って延びる断面円形のシリンダ3が形成されている。シリンダ3には、軸方向(図1の上下方向)に沿って往復動可能にピストン4が受容されている。シリンダ3の上端部とピストン4の上端部の冠面とは、協働して燃焼室(不図示)を形成する。ピストン4の外周部には、上側から順に、それぞれ周方向に延びて環状をなす第1リング溝6、第2リング溝7、第3リング溝8が形成されている。第1リング溝6には第1圧力リング11が装着され、第2リング溝7には第2圧力リング12が装着されている。第3リング溝8にはオイルリング13が装着されている。
第3リング溝8は、ピストン4の軸線を中心とした円周面に形成され、ピストン4の軸方向に所定の幅を有する底部8Aと、底部8Aの上端縁からピストン4の外周面に延びる円環状の上壁部8Bと、底部8Aの下端縁からピストン4の外周面に延びる円環状の下壁部8Cとを有する。上壁部8B及び下壁部8Cは、それぞれピストン4の軸方向に直交する平面に形成されている。これにより、横断面における第3リング溝8の内部スペースは、長方形に形成されている。ピストン4には、第3リング溝8の下壁部8C及び底部8Aからピストン4の裏面に延びるオイル排出通路14が形成されている。
内燃機関1が自動車用エンジンである場合、シリンダ3の直径は例えば68mm〜92mmの範囲内で設定することができ、また、ピストン4のストロークは例えば60mm〜100mmの範囲内で設定することができる。
図1及び図2に示すように、オイルリング13は、上サイドレール16と、下サイドレール17と、上サイドレール16及び下サイドレール17の間に介装されたエキスパンダ18(スペーサエキスパンダ)とを有する3ピースの組合せオイルリングである。
図2に示すように、エキスパンダ18は、公知のエキスパンダと同様に合口(不図示)を有して環状に形成された本体部18Aを有する。本体部18Aは、上方に向けて突出する上側突出部18Bと、下方に向けて突出する下側突出部18Cとを周方向に交互に有して波形に形成されている。また、本体部18Aは、その内周縁であって、上側突出部18Bに対応する部分に上側突出部18Bよりも更に上方に突出した上側耳部18Dを有し、下側突出部18Cに対応する部分に下側突出部18Cよりも更に下方に突出した下側耳部18Eを有する。
各サイドレール16、17は、それぞれ板状の環形に形成された部材であり、周方向における一部に公知のサイドレールと同様に合口(不図示)を有している。各サイドレール16、17は、それぞれ環形の中心軸方向(図2の上下方向)に対して直交する平面に形成された互いに平行な上端面16A、17A及び下端面16B、17Bと、軸線を中心とした外周面16C、17C及び内周面16D、17Dとを備えている。各サイドレール16、17は、外周面16C、17Cの形状を除き、他の部分が同一の形状に形成されている。
また、上サイドレール16、下サイドレール17、及びエキスパンダ18は、それぞれの中心軸線が同軸となるように互いに組合されている。上サイドレール16は、下端面16Bにおいて複数の上側突出部18Bの上端に当接し、内周面16Dにおいて上側耳部18Dの外側面に当接する。下サイドレール17は、上端面17Aにおいて複数の下側突出部18Cの下端に当接し、内周面17Dにおいて下側耳部18Eの外側面に当接する。図2に示すように、各サイドレール16、17の各上端面16A、17Aが互いに平行になり、オイルリング13の上下幅(上サイドレール16の上端面16Aと下サイドレール17の下端面17Bとの距離)が最小となるときの状態を、オイルリング13の初期状態とする。
また、上サイドレール16の上端面16Aが上壁部8Bに対向し、下サイドレール17の下端面17Bが下壁部8Cに対向するように、オイルリング13は第3リング溝8に装着されている。エキスパンダ18は、径が広がる方向に張力を有しており、上側耳部18Dにおいて上サイドレール16の内周面16Dを径方向外方に押圧し、下側耳部18Eにおいて下サイドレール17の内周面17Dを径方向外方に押圧する。すなわち、エキスパンダ18は各サイドレール16、17を径方向外方に向けて付勢する。エキスパンダ18に付勢された各サイドレール16、17は、外周面16C、17Cにおいてシリンダ3の壁面3Aに当接する。この状態で、各サイドレール16、17及びエキスパンダ18の軸線は、シリンダ3の軸線及びピストン4の軸線と同軸に配置される。
オイルリング13の初期状態における上下幅は第3リング溝8の上下幅よりも小さく設定されており、第3リング溝8にオイルリング13が装着された状態で、第3リング溝8とオイルリング13との間には上下方向に所定の隙間20(クリアランス)が形成される。隙間20によって、各サイドレール16、17のそれぞれは、変形して、内周側に対して外周側が上方又は下方に位置するように傾斜することができる。
図3Aの横断面に示すように、上サイドレール16の外周面16Cは、軸方向における中央部が外周方向に若干突出した曲面をなすバレルフェース型である。外周面16Cでは、所定の軸方向幅を有する第1領域16Ca(より詳細には、上サイドレール16の軸方向幅の中央30を中心とした0.15mmの軸方向幅を有する領域)のバレル量Hb1は、後に詳述するようなオイルリング13のオイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させる観点から、上サイドレール16の加工精度を考慮して12μm以上とし、より好ましくは、15μmとするとよい。このバレル量は、対象領域(ここでは、0.15mmの軸方向幅を有する領域)における径方向またはサイドレールの延在方向の最外端から最内端までの距離(高さ)に相当する。
ここで、第1領域16Caの曲率半径R1は、上サイドレール16の加工精度を考慮して0.17mm以上かつ0.24mm以下とし、より好ましくは、0.2mmとするとよい。
なお、上サイドレール16の外周面16Cにおいて、第1領域16Ca以外の曲率半径は、曲率半径R1とは異なる値に設定することが可能である。また、第1領域16Caにおける曲率半径が一定でない場合には、それらの中間値または平均値を曲率半径R1をとして設定することができる。
このように、バレル量Hb1及び曲率半径R1を、上サイドレール16の軸方向幅の中央30を中心とした0.15mmの軸方向幅を有する領域に対して定めることにより、種々のサイズの上サイドレールを有するオイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることが可能となる。ただし、第1領域16Caを画定する軸方向幅は、0.15mmに限らず、上サイドレール16(下サイドレール17の場合も同様)の軸方向幅の大きさに応じて変更することが可能である。例えば、上サイドレール16の軸方向幅が0.35mmのときに、第1領域16Caの軸方向幅を0.15mmとし、上サイドレール16の軸方向幅が0.4mmのときに、第1領域16Caの軸方向幅を0.2mmとしてもよい。また、ここでは、第1領域16Ca(すなわち、所定の軸方向幅)を上サイドレール16の軸方向幅の中央30を基準として設定したが、中央30が最大径(最外端)とならない場合には、上サイドレール16の対象領域における最大径の位置を基準として設定してもよい。
図3Bの横断面に示すように、下サイドレール17の外周面17Cは、外周面16Cと同様にバレルフェース型である。外周面17Cでは、所定の軸方向幅を有する第2領域17Ca(より詳細には、下サイドレール17の軸方向幅の中央31を中心とした0.15mmの軸方向幅を有する領域)のバレル量Hb2は、後に詳述するようなオイルリング13のオイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させる観点から、下サイドレール17の加工精度を考慮して4μm以上かつ10μm以下とし、より好ましくは、7μmとするとよい。ただし、第2領域17Caのバレル量Hb2は、第1領域16Caのバレル量Hb1よりも小さく(Hb1>Hb2)設定される。
ここで、下サイドレール17の軸方向幅及び周方向幅は、上サイドレール16の軸方向幅及び周方向幅とそれぞれ略同一となるように設定するとよい。これにより、上サイドレール16及び下サイドレール17の剛性の差が低減され(好ましくはゼロとなり)、エキスパンダ18によって付与される両サイドレール16、17の張力のばらつきを抑制することが可能となる。
また、第2領域17Caの形状は、バレル量Hb2のみならず、上述の曲率半径R1と同様の式に基づき曲率半径R2によっても定めることができる。
ここで、第2領域17Caの曲率半径R2は、上サイドレール16の加工精度を考慮して0.29mm以上かつ0.71mm以下とし、より好ましくは、0.4mmとするとよい。
なお、下サイドレール17の外周面17Cにおいて、第2領域17Ca以外の曲率半径は、曲率半径R2とは異なる値に設定することが可能である。また、第2領域17Caにおける曲率半径が一定でない場合には、それらの中間値または平均値を曲率半径R2をとして設定することができる。
このように、バレル量Hb2及び曲率半径R2を、下サイドレール17の軸方向幅の中央31を中心とした0.15mmの軸方向幅を有する領域に対して定めることにより、種々のサイズの下サイドレールを有するオイルリングにおいて、オイル制御機能を損なうことなく摩擦抵抗を低減させることが可能となる。ここでは、第2領域17Ca(すなわち、所定の軸方向幅)を下サイドレール17の軸方向幅の中央31を基準として設定したが、中央31が最大径とならない場合には、上サイドレール17の対象領域における最大径の位置を基準として設定してもよい。
図4に示すように、ピストン4がシリンダ3内を上死点に向けて上昇するとき、ピストン4の外周面16C、17Cとシリンダ3の壁面3Aとの間に存在するオイル(潤滑油)に各サイドレール16、17が下方に押される。これにより、下サイドレール17は、下端面17Bにおいて下壁部8Cと面接触し、下サイドレール17の上端面17A及び下端面17Bが、シリンダ3(ピストン4)の軸線と直交する面と平行な水平状態になる。エキスパンダ18は、上サイドレール16によって下方に押されることによって、各下側突出部18Cにおいて下サイドレール17の上端面17Aと接触する位置に配置される。上サイドレール16は、エキスパンダ18と上壁部8Bとの間に形成される隙間20によって、外周側が内周側に対して下方に位置するように傾動する。このとき、上サイドレール16の下端面16Bがシリンダ3(ピストン4)の軸方向と直交する面に対して傾動する。この場合、上述のように上サイドレール16では下サイドレール17に比べてバレル量が高く設定されているため、その傾動の影響(すなわち、シリンダ3の壁面3Aに対する上サイドレール16の外周面16Cの接点(最接近点)の位置の変化、延いては、シリンダ3の壁面3Aと上サイドレール16の外周面16Cとの隙間の変化)は下サイドレール17に比べて小さい。
そこで、下サイドレール17は水平状態で摺動し、その外周面17Cの上部とシリンダ3の壁面3Aとの間には、上述のようなバレル量(または曲率半径)の設定により適切な隙間が確保され、図6に示すように、エキスパンダ18の各張力(7N、10N、15N)において、くさび効果に基づく浮力により適度なオイルの厚さ(例えば、1μm前後の掻き残し量)が確保される。
このように、下サイドレール17では、シリンダ3の壁面3Aにおけるオイルが過度に掻き上げられることが回避され、オイル消費量が低減される。なお、ピストン4のオイル制御機能については上サイドレール16に比較的大きく依存するため、下サイドレール17については、掻き残しオイルの厚さを過度に小さくする必要はない。下サイドレール17では、オイルが過度に掻き上げられることを回避する観点からは、掻き残しオイルの厚さが上サイドレール16よりも大きくなる(クランク室側に通過させるオイル量がより大きくなる)ようにバレル量を設定することが好ましく、これにより摩擦抵抗も低減されるという利点がある。
また、図7に示すように、エキスパンダ18の各張力(7N、10N、15N)において、下サイドレール17のFMEP(Friction Mean Effective Pressure:摩擦平均有効圧)が低減され、これにより、オイルリング13の摩擦抵抗が低減される。
図5に示すように、ピストン4がシリンダ3内を下死点に向けて下降するとき、各サイドレール16、17はオイルによって上方に押される。これにより、上サイドレール16は、上端面16Aにおいて上壁部8Bと面接触し、上サイドレール16の上端面16A及び下端面16Bがシリンダ3(ピストン4)の軸方向と直交する面と平行な水平状態になる。エキスパンダ18は、下サイドレール17によって上方に押されることによって、各上側突出部18Bにおいて上サイドレール16の下端面16Bと接触する位置に配置される。下サイドレール17は、エキスパンダ18と下壁部8Cとの間に形成される隙間20によって、外周側が内周側に対して上方に位置するように傾動する。このとき、下サイドレール17の下端面17Bがシリンダ3(ピストン4)の軸線と直交する面に対して傾動する。
そこで、上サイドレール16は水平状態で摺動し、その外周面16Cの下部とシリンダ3の壁面3Aとの間の間隙は、上述のようなバレル量(または曲率半径)の設定により、上述の下サイドレール17の場合と比べて非常に小さくなり、図6に示すように、エキスパンダ18の各張力(7N、10N、15N)において、オイルの厚さは非常に小さくなる(少なくとも1μm未満の掻き残し量となる。)。
このように、上サイドレール16では、外周面16Cにくさび効果による浮力は生じ難く、シリンダ3の壁面3Aにおけるオイルの掻き下げが適切に行われることにより、オイル消費量が低減される。この場合、オイル消費量を低減する代わりに、エキスパンダ18の張力を低減する(すなわち、オイル消費量の低減効果分だけエキスパンダ18の張力を低下させる)ことも可能である。つまり、例えば図6に示したように、上サイドレール16の所定のバレル量(12μm以上かつ18μm以下)および下サイドレール17の所定のバレル量(4μm以上かつ10μm以下)の範囲において、より高い張力(例えば、15N)でオイル消費量が許容範囲内となった場合には、そのときに許容される掻き残しオイル厚さ以下のオイル厚さを確保可能な範囲でバレル量を調整しつつ、張力を低下させる(例えば、10Nまたは7Nとする)ことができる。
また、図7に示すように、各張力においてバレル量の増大とともにFMEPは増加するが、バレル量がある程度(ここでは、12μm以上)まで大きくなると、FMEPの増加率はほとんど無視できる程度まで小さくなる。つまり、バレル量がある程度まで大きくなると、上述の図6のように掻き残しオイル厚さ以下は低下し続ける一方で、FMEPはほとんど増加しなくなるため、バレル量をある程度まで大きくし、張力を下げることで摩擦抵抗を低減することが可能となる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。なお、上述の本発明に係る実施形態の説明に用いた方向を示す用語(例えば、「上」、「下」)は該当する方向を厳密に示すものではなく、それらの方向は、内燃機関におけるピストン及びシリンダの実用的な配置(すなわち、ピストンまたはシリンダの軸方向の変化)によって適宜変化し得る。
1 :内燃機関
3 :シリンダ
3A :壁面
4 :ピストン
8 :第3リング溝(オイルリング溝)
8A :底部
8B :上壁部
8C :下壁部
13 :オイルリング
16 :上サイドレール
17 :下サイドレール
16A、17A :上端面
16B、17B :下端面
16C、17C :外周面
16Ca:第1領域
17Ca:第2領域
16D、17D :内周面
18 :エキスパンダ
20 :隙間
Hb1、Hb2:バレル量
R1、R2:曲率半径
3 :シリンダ
3A :壁面
4 :ピストン
8 :第3リング溝(オイルリング溝)
8A :底部
8B :上壁部
8C :下壁部
13 :オイルリング
16 :上サイドレール
17 :下サイドレール
16A、17A :上端面
16B、17B :下端面
16C、17C :外周面
16Ca:第1領域
17Ca:第2領域
16D、17D :内周面
18 :エキスパンダ
20 :隙間
Hb1、Hb2:バレル量
R1、R2:曲率半径
Claims (7)
- ピストンの外周面に凹状に設けられたオイルリング溝に取り付けられるオイルリングであって、
板状の環形に形成された上サイドレール及び下サイドレールと、
前記上サイドレール及び前記下サイドレールの間に配置されたエキスパンダとを備え、
前記上サイドレール及び前記下サイドレールには、バレルフェース型の外周面がそれぞれ形成され、
前記上サイドレールの外周面において所定の軸方向幅を有する第1領域のバレル量が、前記下サイドレールの外周面において前記軸方向幅を有する第2領域のバレル量よりも大きいことを特徴とするオイルリング。 - 前記軸方向幅は、0.15mmであることを特徴とする請求項1に記載のオイルリング。
- 前記第1領域のバレル量は、12μm以上であることを特徴とする請求項2に記載のオイルリング。
- 前記第1領域の曲率半径は、0.17mm以上かつ0.24mm以下であることを特徴とする請求項2に記載のオイルリング。
- 前記第2領域のバレル量は、4μm以上かつ10μm以下であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のオイルリング。
- 前記第2領域の曲率半径は、0.29mm以上かつ0.71mm以下であることを特徴とする請求項2または請求項4に記載のオイルリング。
- 前記上サイドレール及び前記下サイドレールは、互いの軸方向幅及び周方向幅がそれぞれ同一であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のオイルリング。
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JP7339456B1 (ja) | 2022-12-20 | 2023-09-05 | 株式会社リケン | オイルコントロールリング |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7339456B1 (ja) | 2022-12-20 | 2023-09-05 | 株式会社リケン | オイルコントロールリング |
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