JP2018112275A - ピストンリングの取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピストンリングの取付構造において、オイル消費量を低減しつつ、摩擦抵抗を低減させる。
【解決手段】内燃機関1のピストン4の外周面4Aに凹状に設けられたピストンリング溝6に対するピストンリング11の取付構造であって、ピストンリング溝6は、軸方向に直交する面に対する第1の傾斜角θ1をもって、ピストン4の径方向外方に向かって軸方向下方側に傾斜する下壁面6Cを有し、ピストンリング11は、下壁面6Cに対向する下面11B及び当該下面11Bの外周縁に連なる外周面11Dを有し、外周面11Dは、下面11Bと直交する第1周面11Daと、第1周面11Daに対する第2の傾斜角θ2をもって、第1周面11Daの上端縁側から軸方向上方に向かって径方向内方側に傾斜する第2周面11Dbとを含み、第2の傾斜角θ2が第1の傾斜角θ1よりも大きく設定されたことを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】内燃機関1のピストン4の外周面4Aに凹状に設けられたピストンリング溝6に対するピストンリング11の取付構造であって、ピストンリング溝6は、軸方向に直交する面に対する第1の傾斜角θ1をもって、ピストン4の径方向外方に向かって軸方向下方側に傾斜する下壁面6Cを有し、ピストンリング11は、下壁面6Cに対向する下面11B及び当該下面11Bの外周縁に連なる外周面11Dを有し、外周面11Dは、下面11Bと直交する第1周面11Daと、第1周面11Daに対する第2の傾斜角θ2をもって、第1周面11Daの上端縁側から軸方向上方に向かって径方向内方側に傾斜する第2周面11Dbとを含み、第2の傾斜角θ2が第1の傾斜角θ1よりも大きく設定されたことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関のピストンの外周面に凹状に設けられたピストンリング溝に対するピストンリングの取付構造に関する。
従来、レシプロ内燃機関におけるピストンリングの取付構造に関し、ピストンリング溝の下面のピストン中心に対する角度、及びピストンリングの下面の水平面に対する角度の組み合わせを所定の関係を満たすように設定することにより、ピストンリング摺動面の磨耗角度をコントロールする技術が知られている(特許文献1参照)。この従来技術は、ピストンリングの摺動面の磨耗角度を適正に確保することにより、オイル消費量を節減することを目的としている。
ところで、上記従来技術では、ピストンリングの磨耗角度はピストンリング溝の前記下壁面に対向する下面及びピストンリングの下面の配置によって定められるため、適正な摩耗角度は明確ではなく、また、ピストンの表面処理等の影響によって適正な摩耗角度が達成されない場合もあり得る。
したがって、そのような従来のピストンリングの取付構造では、例えば圧縮行程でのピストンの上昇時において、ピストンリングの下面がピストンリング溝の下面に当接したときに、ピストンリングの摺動面の上部がシリンダの壁面と密着することによってシリンダの壁面のオイルが燃焼室側に過度に掻き上げられると、内燃機関のオイル消費量が悪化する可能性がある。また、ピストンリングの摺動面において、シリンダの壁面と平行になる領域が増大すると、摺動部位のオイルせん断力が増大することにより摩擦抵抗の増大を招く可能性もある。
本発明は、以上の背景を鑑み、オイル消費量を低減しつつ、摩擦抵抗を低減させるピストンリングの取付構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明は、内燃機関(1)のピストン(4)の外周面(4A)に凹状に設けられたピストンリング溝(6)に対するピストンリング(11)の取付構造であって、前記ピストンリング溝は、軸方向に直交する面に対する第1の傾斜角(θ1)をもって、前記ピストンの径方向外方に向かって軸方向下方側に傾斜する下壁面(6C)を有し、前記ピストンリングは、前記下壁面に対向する下面(11B)及び当該下面の外周縁に連なる外周面(11D)を有し、前記外周面は、前記下面と直交する第1周面(11Da)と、前記第1周面に対する第2の傾斜角(θ2)をもって、前記第1周面の上端縁側から軸方向上方に向かって径方向内方側に傾斜する第2周面(11Db)とを含み、前記第2の傾斜角が前記第1の傾斜角よりも大きく設定されたことを特徴とする。
この態様によれば、ピストンリングの外周面における第1周面に対する第2周面の傾斜角(第2の傾斜角)を、軸方向に直交する面に対するピストンリング溝の底面の傾斜角(第1の傾斜角)よりも大きく設定したため、ピストンの上昇時にシリンダの壁面に対する第2周面の角度(油膜が形成される隙間)を適切に保持することができる。その結果、ピストンリングの外周面の上部によってシリンダの壁面のオイルが過度に掻き上げられることを回避してオイル(潤滑油)消費量を低減しつつ、オイルせん断力を低減して摩擦抵抗を低減させることが可能となる。
また、上記の態様において、前記第2の傾斜角と前記第1の傾斜角との差が、1°以上かつ2°以下であるとよい。
この態様によれば、ピストンの上昇時におけるシリンダの壁面に対する第2周面の角度を適切な値(1°〜2°の範囲)に保持することが可能となる。
また、上記の態様において、前記第1の傾斜角は、1°−15′以上かつ1°+15′以下であるとよい。
この態様によれば、ピストンリング溝の加工精度を考慮して第1の傾斜角を設定することにより、ピストンの上昇時におけるシリンダの壁面に対する第2周面の適正な角度を安定的に実現することが可能となる。
また、上記の態様において、前記第2の傾斜角は、2°以上かつ3°以下であるとよい。
この態様によれば、ピストンリングの加工精度を考慮して第2の傾斜角を設定することにより、ピストンの上昇時におけるシリンダの壁面に対する第2周面の適正な角度を安定的に実現することが可能となる。
また、上記の態様において、前記ピストンリングが前記ピストンリング溝に取り付けられた初期状態において、前記ピストンリングの下面は、軸方向に直交する面に対する第3の傾斜角(θ3)をもって、前記ピストンの径方向内方に向かって軸方向下方側に傾斜するとよい。
この態様によれば、吸気行程におけるピストンの下降時にピストンリングの外方下端のエッジ部をシリンダの壁面に対して安定的に当接させることができ、その結果、シリンダの壁面のオイル厚を低減する(すなわち、効果的にオイルを掻き取る)ことが可能となる。
また、上記の態様において、前記ピストンリングの外周面において、前記第1周面と前記第2周面とが接続される境界部は、前記外周面の軸方向高さの中間位置よりも軸方向下方側に位置するとよい。
この態様によれば、膨張工程において燃焼室側の内圧が作用する第2周面の領域をより大きく確保することにより、ピストンリングの径方向内側(すなわち、シリンダの壁面と離反する側)に向けて第2周面を押圧する力をより大きく確保することが可能となり、その結果、ピストンリングの摩擦抵抗を低減することが可能となる。
また、上記の態様において、前記ピストンリングの下面は、前記内燃機関の圧縮行程及び膨張行程の少なくとも一方において、前記ピストンリング溝の下壁面に当接するとよい。
この態様によれば、圧縮行程や膨張行程におけるシリンダの壁面に対する第2周面の角度をより確実に保持することが可能となる。
また、上記の態様において、前記ピストンリングは、前記ピストンに取り付けられた複数のコンプレッションリングにおけるトップリングであるとよい。
この態様によれば、トップリングによってシリンダの壁面のオイルが過度に掻き上げられることを回避してより効果的にオイル消費量を低減しつつ、オイルせん断力を低減して摩擦抵抗を低減させることが可能となる。
以上の構成によれば、オイル消費量を低減しつつ、摩擦抵抗を低減させるピストンリングの取付構造を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るピストンリングの取付構造の実施形態について説明する。
図1に示すように、内燃機関1のシリンダブロック2には、軸方向(図1中の上下方向)に沿って延びる断面円形のシリンダ3が形成されている。シリンダ3には、軸方向に沿って往復動可能にピストン4が受容されている。シリンダ3の上端部とピストン4の上端部の冠面とは、協働して燃焼室(不図示)を形成する。ピストン4の外周部には、上側(燃焼室側)から順に、それぞれ周方向に延びて環状をなす第1リング溝6及び第2リング溝7が形成されている。第1リング溝6にはピストンリング(ここでは、コンプレッションリング)として第1圧力リング(トップリング)11が装着され、同様に第2リング溝7には第2圧力リング(セカンドリング)12が装着されている。
なお、詳細な説明は省略するがピストン4における第2リング溝7の下方には、第3リング溝が設けられており、この第3リング溝には、公知のオイルリングが装着されている。また、第2圧力リング12については適宜省略することが可能である。
第1及び第2リング溝6、7は、ピストン4の外周部に形成された外周面4Aにそれぞれ開口するように凹状に設けられ、図1の横断面に示されるように、第1及び第2圧力リング11、12が収容される四角形状の内部スペースを有している。外周面4Aは、ピストン4の軸を中心とした円周面として形成されている。
第1リング溝6は、ピストン4の軸方向に所定の幅を有する円筒状の底壁面6Aと、底壁面6Aの上端縁から径方向外方(図1中の右方)に延びてピストン4の外周面4Aに連なる円環状の上壁面6Bと、底壁面6Aの下端縁から径方向外方に延びてピストン4の外周面4Aに連なる円環状の下壁面6Cとによって画定される。それらの各壁面6A〜6Cは、横断面においてそれぞれ直線状をなすように形成されている。
上壁面6Bは、ピストン4の軸方向に直交する平面として形成されている。また、下壁面6Cは、下壁ピストン4の軸方向に直交する仮想平面Aに対して傾斜角θ1(第1の傾斜角)を有するように、ピストン4の径方向外方に向かって軸方向下方側に傾斜する平面として形成されている。
内燃機関1が自動車用エンジンである場合、シリンダ3の直径は例えば68mm〜92mmの範囲内で設定することができ、また、ピストン4のストロークは例えば60mm〜100mmの範囲内で設定することができる。
第1及び第2圧力リング11、12は、それぞれ環状の部材からなり、公知のピストンリングと同様に周方向における一部に合口(不図示)を有しており、シリンダ3内において径を広げる方向に張力を生じさせる。
図2に示すように、第1圧力リング11は、その横断面において、第1リング溝6の上壁面6B及び下壁面6Cにそれぞれ対向するように配置された上面11A及び下面11Bと、上面11A及び下面11Bの内周縁同士及び外周縁同士をそれぞれ連結するように形成された内周面11C及び外周面11Dとを備える。それらの各面11A〜11D(または各面11A〜11Dを構成する部分)は、横断面においてそれぞれ直線状をなすように形成されている。図示は省略するが、第1圧力リング11には、摺動摩擦の低減等を目的とした公知の表面処理(例えば、イオンプレーティング皮膜の形成)を施すことが可能である。
上面11Aは、下壁面6Cと略平行に延在する外周側の第1面11Aaと、この第1面11Aaの内周縁と内周面11Cの上縁とを連結するように配置された第2面11Abとを含む。第2面11Abは、第1面11Aaに対して所定の傾斜角を有するように、周方向内方に向かって軸方向下方側に傾斜する。
下面11Bは、第1圧力リング11がシリンダ3内のピストン4に取り付けられシリンダ3に受容された初期状態(図2参照)において、軸方向に直交する仮想平面Aに対して傾斜角θ3(第3の傾斜角)を有するように、ピストン4の径方向内方に向かって軸方向下方側に傾斜する。つまり、第1圧力リング11では、初期状態においてその外周面側が上反り状態となるように、上反角として傾斜角θ3が設定されている。
内周面11Cは、底壁面6Aに対向するように配置され、下面11Bと略直交する方向に延在する。
外周面11Dは、下面1Bに連なり且つ下面11Bと略直交する方向に延在する下側の第1周面11Daと、この第1周面11Daの上縁と上面11A(第1面11Aa)の外縁とを連結するように配置された第2周面11Dbとを有する。第2周面11Dbは、第1周面11Daに対して傾斜角θ2(第2の傾斜角)を有するように、第1周面11Daの上端縁から軸方向上方に向かって径方向内方側に傾斜する。
第1周面11Daの上端縁及び第2周面11Dbの下端縁が接続される境界部15は、外周面11Dの上下方向幅(軸方向高さ)の中間位置よりも軸方向下方側に位置する。また、横断面において、第2周面11Dbの長さは、第1周面11Daよりも大きく設定されている。なお、境界部15には、第1周面11Daと第2周面11Dbとの稜線が形成される。ただし、第1圧力リング11を加工する便宜上、境界部15が所定の曲率を有する微少な円弧面または曲面からなる構成も可能である。
ここで、第2周面11Dbの傾斜角θ2と下壁面6Cの傾斜角θ1との差(θ2−θ1)は、1°以上かつ2°以下とし、より好ましくは1°とするとよい。傾斜角θ1は、第1リング溝6の加工精度を考慮して1°−15′以上かつ1°+15′以下とし、より好ましくは1°とするとよい。傾斜角θ2は、第1圧力リング11の加工精度を考慮して2°以上かつ3°以下とし、より好ましくは2°とするとよい。このような第1圧力リング11の構成により、後に詳述するように、内燃機関1では、ピストン4の往復動に応じて、オイル消費量を低減することや、ピストン4の摩擦抵抗を低減することが可能となる。
なお、ここでは、第1圧力リング11の横断面における上面11A、下面11B、内周面11C、及び外周面11Dは、それぞれ直線状をなす(または複数の直線状部を含む)ように形成され、かつそれら各面の端部(端縁)は隣接する他の面の端部と互いに所定の角度をもって接続されている。しかしながら、これに限らず、実用上は製作の容易さ等を考慮して、それら各面(または各面における直線状部)における少なくとも一部の端部同士が所定の面取り部(例えば、曲率半径0.09mm程度のR面)を介して接続されていてもよい。
図3では、内燃機関1の各行程(吸気行程、圧縮行程、膨張工程、排気行程)におけるクランク角の変化に応じたピストン4の往復動(上昇及び下降)の速度及び内筒圧の変化を示すグラフが示されており、そのグラフの上方には、各工程の所定のタイミングに対応する第1圧力リング11のシリンダ3の壁面(内周面)に対する摺動状態を示す模式図が示されている。それらの模式図では、便宜上、符号を省略しているため、以下の説明では必要に応じて図2を参照されたい。
図3において、状態(A)は、吸入行程前半の所定のタイミング(下方に示すグラフにおいて破線矢印で示す位置を参照。以下、(B)〜(G)も同様。)における第1圧力リング11の状態を示している。このとき、第1圧力リング11は、ピストン4と共に下降状態にあり、図4にも示すように、その上面11A(第1面11Aa)の外周縁が第1リング溝6の上壁面6Bに当接した状態となる。また、第1圧力リング11の外周面11Dでは、シリンダ3の壁面3Aに対して第1周面11Daの下端縁(すなわち、第1周面11Daと下面11Bとのエッジ部が)が所定の角度θ4をもって当接した状態で摺動することにより、シリンダ3の壁面におけるオイルの掻き下げが適切に行われることにより、オイル消費量が低減される。この場合、下面11Bと壁面3Aとの間には、比較的大きな角度の隙間が形成されるため、くさび効果による浮力は生じ難く、第1周面11Daの下端縁は、第1圧力リング11の張力によって壁面3Aに強く押し当てられることになる。
状態(B)は、吸入行程後半の所定のタイミングにおける第1圧力リング11の状態を示している。このとき、第1圧力リング11は、状態(A)と同様に下降状態にあるが、ピストン4の減速によりその下面11Bの内周縁が第1リング溝6の下壁面6Cに当接した状態となる。また、第1圧力リング11における外周面11Dのシリンダ3の壁面に対する摺動動作は、上述の状態(A)と同様である。
状態(C)は、圧縮行程前半の所定のタイミングにおける第1圧力リング11の状態を示している。このとき、第1圧力リング11は、ピストン4と共に上昇状態にあり、状態(B)と同様にその下面11Bの内周縁が第1リング溝6の下壁面6Cに当接した状態にある。また、第1圧力リング11の第1周面11Daは、状態(A)と同様に所定の角度θ4をもってシリンダ3の壁面に対して当接する。このような配置により、第1圧力リング11の上昇時には、くさび効果に基づく浮力によって第1周面11Daとシリンダ3の壁面との間隙に適切な厚みの油膜を確保することが可能となり、シリンダ3の壁面におけるオイルが過度に掻き上げられることが回避されることにより、オイル消費量が低減される。
状態(D)は、圧縮行程後半の所定のタイミングにおける第1圧力リング11の状態を示している。このとき、第1圧力リング11は、ピストン4と共に上昇状態にあり、図5にも示すように、筒内圧の上昇により(すなわち、上方からの燃焼ガスの圧力により)その下面11Bが第1リング溝6の下壁面6Cに当接した(押圧された)状態となる。また、第1圧力リング11の外周面11Dでは、第1周面11Da及び第2周面11Dbの境界部15がシリンダ3の壁面3Aに対して当接した状態となる。
このとき、第1圧力リング11の第1周面11Daに対する第2周面11Dbの傾斜角θ2が、軸方向に直交する面に対する第1圧力リング11の底面の傾斜角θ1よりも大きく設定されているため、第2周面11Dbは、それぞれシリンダ3の壁面に対して所定の角度θ5(=θ2−θ1)をもって当接する。このような配置により、第1圧力リング11の上昇時には、くさび効果に基づく浮力によって第2周面11Dbとシリンダ3の壁面との間隙に適切な厚みの油膜を確保することが可能となり、シリンダ3の壁面におけるオイルが過度に掻き上げられることが回避されることにより、オイル消費量が低減される。また、オイルせん断力が低減されることにより、摩擦抵抗が低減される。
状態(E)は、膨張工程の所定のタイミングにおける第1圧力リング11の状態を示している。このとき、第1圧力リング11は、ピストン4と共に下降状態にあるが、状態(D)と同様に、燃焼ガスの圧力によりその下面11Bが第1リング溝6の下壁面6Cに当接し、また、第1周面11Daがシリンダ3の壁面に対して、上述の下壁面6Cの傾斜角θ1と同じ角度(図5参照)をもって当接した状態にある。このような配置により、第1圧力リング11の下降時には、第1周面11Daとシリンダ3の壁面との間隙に適切な厚みの油膜を確保することが可能となり、シリンダ3の壁面におけるオイルせん断力が低減されることにより、摩擦抵抗が低減される。
この場合、シリンダ3の壁面と第2周面11Dbとの間には燃焼ガスが入り込む隙間が確保される(すなわち、燃焼室側の油膜厚さが比較的薄くなり、シリンダ3の壁面と第2周面11Dbとの隙間全体にオイルが行き渡り難くなる)。そのため、上述のように境界部15が外周面11Dの上下方向幅の中間位置よりも軸方向下方側に位置する構成では(図2参照)、燃焼室側の内圧が作用する面積(第2周面11Dbの領域)がより大きく確保され、第1圧力リング11の径方向内側(すなわち、シリンダ3の壁面と離反する側)に向けて第2周面11Dbを押圧する力をより大きく確保することが可能となり、その結果、第1圧力リング11の摩擦抵抗が低減される。
状態(F)は、排気工程前半の所定のタイミングにおける第1圧力リング11の状態を示している。このとき、第1圧力リング11は、ピストン4と共に上昇状態にあるが、状態(C)と同様に、その下面11Bの内周縁が第1リング溝6の下壁面6Cに当接した状態にあり、その第1周面11Daが所定の角度θ4をもってシリンダ3の壁面に対して当接する。このような配置により、第1圧力リング11の上昇時には、くさび効果に基づく浮力によって第1周面11Daとシリンダ3の壁面との間隙に適切な厚みの油膜を確保することが可能となり、シリンダ3の壁面におけるオイルが過度に掻き上げられることが回避されることにより、オイル消費量が低減される。
状態(G)は、排気工程後半の所定のタイミングにおける第1圧力リング11の状態を示している。このとき、第1圧力リング11は、状態(F)と同様に上昇状態にあるが、ピストン4の減速によりその上面11A(第1面11Aa)の外周縁が第1リング溝6の上壁面6Bに当接した状態となる。また、第1圧力リング11の第1周面11Daは、状態(A)と同様に所定の角度θ4をもってシリンダ3の壁面に対して当接する。このような配置により、第1圧力リング11の上昇時には、くさび効果に基づく浮力によって第1周面11Daとシリンダ3の壁面との間隙に適切な厚みの油膜を確保することが可能となり、シリンダ3の壁面におけるオイルが過度に掻き上げられることが回避されることにより、オイル消費量が低減される。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。なお、上述の本発明に係る実施形態の説明に用いた方向を示す用語(例えば、「上」、「下」)は該当する方向を厳密に示すものではなく、それらの方向は、内燃機関におけるピストン及びシリンダの実用的な配置(すなわち、ピストンまたはシリンダの軸方向の変化)によって適宜変化し得る。
1 :内燃機関
2 :シリンダブロック
3 :シリンダ
4 :ピストン
4A :外周面
6 :第1リング溝(ピストンリング溝)
6A :底壁面
6B :上壁面
6C :下壁面
7 :第2リング溝
11 :第1圧力リング(トップリング)
11A :上面
11B :下面
11C :内周面
11D :外周面
11Da:第1周面
11Db:第2周面
12 :第2圧力リング
15 :境界部
θ1 :第1の傾斜角
θ2 :第2の傾斜角
θ3 :第3の傾斜角
2 :シリンダブロック
3 :シリンダ
4 :ピストン
4A :外周面
6 :第1リング溝(ピストンリング溝)
6A :底壁面
6B :上壁面
6C :下壁面
7 :第2リング溝
11 :第1圧力リング(トップリング)
11A :上面
11B :下面
11C :内周面
11D :外周面
11Da:第1周面
11Db:第2周面
12 :第2圧力リング
15 :境界部
θ1 :第1の傾斜角
θ2 :第2の傾斜角
θ3 :第3の傾斜角
Claims (8)
- 内燃機関のピストンの外周面に凹状に設けられたピストンリング溝に対するピストンリングの取付構造であって、
前記ピストンリング溝は、軸方向に直交する面に対する第1の傾斜角をもって、前記ピストンの径方向外方に向かって軸方向下方側に傾斜する下壁面を有し、
前記ピストンリングは、前記下壁面に対向する下面及び当該下面の外周縁に連なる外周面を有し、
前記外周面は、前記下面と直交する第1周面と、前記第1周面に対する第2の傾斜角をもって、前記第1周面の上端縁側から軸方向上方に向かって径方向内方側に傾斜する第2周面とを含み、
前記第2の傾斜角が前記第1の傾斜角よりも大きく設定されたことを特徴とするピストンリングの取付構造。 - 前記第2の傾斜角と前記第1の傾斜角との差が、1°以上かつ2°以下であることを特徴とする請求項1に記載のピストンリングの取付構造。
- 前記第1の傾斜角は、1°−15′以上かつ1°+15′以下であることを特徴とする請求項2に記載のピストンリングの取付構造。
- 前記第2の傾斜角は、2°以上かつ3°以下であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のピストンリングの取付構造。
- 前記ピストンリングが前記ピストンリング溝に取り付けられた初期状態において、前記ピストンリングの下面は、軸方向に直交する面に対する第3の傾斜角をもって、前記ピストンの径方向内方に向かって軸方向下方側に傾斜することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のピストンリングの取付構造。
- 前記ピストンリングの外周面において、前記第1周面と前記第2周面とが接続される境界部は、前記外周面の軸方向高さの中間位置よりも軸方向下方側に位置することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のピストンリングの取付構造。
- 前記ピストンリングの下面は、前記内燃機関の圧縮行程及び膨張行程の少なくとも一方において、前記ピストンリング溝の下壁面に当接することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のピストンリングの取付構造。
- 前記ピストンリングは、前記ピストンに取り付けられた複数のコンプレッションリングにおけるトップリングであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のピストンリングの取付構造。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE102018215092A1 (de) * | 2018-09-05 | 2020-03-05 | Mahle International Gmbh | Kolben einer Brennkraftmaschine |
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