JP2003328852A - 内燃機関のピストンリング - Google Patents
内燃機関のピストンリングInfo
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Abstract
もに、オイル消費性能の向上を図る。 【解決手段】 ピストンリング1の外周面は、リング中
心軸線と平行な直線部11と、その下方に連続した面取
状のテーパ部12と、上方に連続した円弧部13と、か
ら構成される。直線部11は、円弧部13の円弧に対し
接線となるので、両者の境界では、面圧は緩やかに上昇
する。テーパ部12との境界では、面圧が急激に変化す
るので、エッジ効果が得られる。ピストン上昇時にオイ
ルの通過を許容しつつピストン下降時にオイルを掻き落
とすようになるため、オイル消費が抑制される。直線部
11はシリンダ壁面4に面接触するので、耐久性が向上
し、経時的な摩耗による特性変化が小さい。
Description
自動車用ガソリン機関におけるコンプレッションリング
として用いられるピストンリングの改良に関する。
は、燃焼ガスのシールと同時に、良好なオイル消費性能
であることが要求される。実開平5−14733号公報
には、ピストンリング外周面の燃焼室側部分およびクラ
ンクケース側部分の双方を略円弧形の湾曲面とし、かつ
リング幅方向の中央部分を緩いテーパ面としたバレルフ
ェイス型のピストンリングが開示されている。なお、上
記テーパ面は、燃焼室側が小径となる方向に傾いたもの
であり、従って、クランクケース側の湾曲面との接続部
が、外周側に最も張り出している。
は、外周側に最も凸となるリング幅中央部分を含めて燃
焼室側部分をバレルフェイス型の湾曲面とし、かつクラ
ンクケース側部分に、面取り状のテーパ面を設けたピス
トンリングが開示されている。
テーパ面とクランクケース側の湾曲面との接続部付近が
線接触に近い形でシリンダ壁面に摺接し、この接触部の
すぐ上方(燃焼室側)でのテーパ面とシリンダ壁面との
なす角、および接触部のすぐ下方(クランクケース側)
での湾曲面とシリンダ壁面とのなす角は、いずれも小さ
い。従って、ピストンが下方へ動くときに、シリンダ壁
面の油膜に対する明確なエッジ効果が得られず、オイル
の掻き落とし性能が低い。特に、シリンダ壁面の油膜に
対し、ピストンが上方へ動くときも下方へ動くときも、
ほぼ同様の作用となるので、オイルを一方向へ、つまり
クランクケース側へ運ぶという機能は、殆ど得られな
い。
ルの掻き落としを図っているが、半径方向に最も凸とな
る部位は湾曲面の部分にあり、この部分が線接触に近い
形でシリンダ壁面に摺接するので、やはり明確なエッジ
効果は得られない。特に、接触部付近では、該接触部を
挟んで上下の部分がほぼ対称となっているので、オイル
を一方向へ運ぶという作用は弱い。
接触となるものでは、経時的な摩耗による形状変化が大
きく、オイル消費性能などの特性が経時的に不安定とな
る。
のピストンリングは、外周面のリング幅方向中央部分
に、リング中心軸線と平行な直線部を有している。従っ
て、この直線部は、シリンダ壁面に面接触する。直線部
の長さ(L1)は、例えば、リング幅(L)に対し、1
/5〜2/3の範囲にある。特に、トップリングとして
利用する場合は、この直線部での面圧を高めるために、
1/5〜1/3の範囲とすることが望ましく、またセカ
ンドリングとして利用する場合は、面圧を比較的低くし
てピストン下降時に油膜形成が可能なように、1/4〜
2/3の範囲とすることが望ましい。この直線部を挟ん
で一方の側には、上記リング中心軸線に対し傾斜した面
取り状のテーパ部を有している。このテーパ部の傾斜角
は、望ましくは、45°〜60°の範囲内にある。上記
テーパ部は、上記直線部から急激に折れ曲がった形とな
るので、シリンダ壁面の油膜に対しエッジ効果が得ら
れ、シリンダ壁面のオイルを効果的に掻き落とすことが
できる。そして、直線部の他方の側には、適宜な曲率の
円弧からなる円弧部を有している。この円弧部を構成す
る円弧は、上記直線部が接線として連続する。
面圧分布に着目すると、直線部から円弧部へ移行する部
分では、緩やかに面圧が変化し、他方、直線部からテー
パ部へ移行する部分では、両者の境界で面圧が急激に変
化する。そのため、ピストンが上昇する際には、上記円
弧部から直線部へとオイルが通過しやすく、逆にピスト
ンが下降する際には、テーパ部と直線部との境界でのエ
ッジ効果によってオイルが掻き落とされる。これによ
り、シリンダ壁面のオイルが、一方向へ効果的に運ばれ
るようになる。
ストンとともに上下動することにより、シリンダ壁面の
オイルをクランクケース側へ確実に運ぶことができ、オ
イル消費が低減する。また、直線部がシリンダ壁面に面
接触するので、経時的な摩耗による形状変化が小さく、
初期から長期に亘って安定した性能が得られる。
形態を図面に基づいて詳細に説明する。
的な断面形状について図1を用いて説明する。このピス
トンリング1は、コンプレッションリングとして用いら
れるものであり、ピストン2のリング溝3内に装着さ
れ、シリンダ壁面4に摺接する。なお、ピストンリング
1の全体的な構造や材質あるいは表面処理などは公知の
ものと特に変わりがない。
ンダ壁面4側の外周面と、上下の端面5,6と、内周面
7と、によって囲まれた略矩形の断面をなし、かつリン
グ幅L(図3参照)が半径方向の厚さよりも小さい偏平
な断面形状となっている。そして、上記外周面は、3つ
の部分から構成されている。第1の部分は、リング幅方
向の中央部分を構成する直線部11であり、その下方つ
まりクランクケース側に位置する第2の部分は、断面に
おいて傾斜した直線をなすテーパ部12となっている。
さらに、直線部11の上方つまり燃焼室側の第3の部分
は、断面において一定の曲率半径の円弧をなす円弧部1
3となっている。
4参照)と平行に形成されており、シリンダ壁面4と面
接触する円筒面をなしている。上記テーパ部12は、こ
の直線部11に対し、傾斜角θ(図3参照)を有するよ
うに、面取状の傾斜面となっている。上記円弧部13
は、上記直線部11が円弧の接線をなすように該直線部
11に連続しており、また上方の端面5に対しては、該
端面5の平面と円弧とが交差するようになっている。
外周面がシリンダ壁面4に圧接したときの面圧分布は、
図2に示すようなものとなり、直線部11から円弧部1
3へ移行する部分では、緩やかに面圧が変化し、他方、
直線部11からテーパ部12へ移行する部分では、両者
の境界で面圧が急激に変化する。つまり、面圧分布が上
下で非対称となり、それぞれの境界における面圧の立ち
上がりの勾配が、円弧部13側では緩く、テーパ部12
側では急峻となる。そのため、ピストン2が上昇する際
には、緩やかに面圧が変化することから、上記円弧部1
3から直線部11へとオイルが通過しやすい。逆にピス
トン2が下降する際には、面圧の急激な変化によりテー
パ部12と直線部11との境界でエッジ効果が生じ、こ
れによってオイルが掻き落とされる。そのため、このピ
ストンリング1がピストン2とともに往復動作すると、
シリンダ壁面4のオイルが、クランクケース側へ積極的
に運ばれるようになり、オイル消費が抑制される。
明する。上記直線部11の軸方向の長さL1は、好まし
くは、ピストンリング1全体のリング幅Lの1/5〜2
/3の範囲にある。このL1を小さくすると、面圧が上
昇し、形成油膜厚さがピストン上昇時および下降時の双
方について減少するため、オイル消費は減少するが、耐
摩耗性や耐焼き付き性が悪化するため、適正な範囲が存
在する。その範囲は、オイル消費性能の要求値や耐久性
の要求値、表面処理の相違による耐摩耗性や耐焼き付き
性あるいはリング張力などによって異なっているが、自
動車用内燃機関のピストンリングとしては、概ね上記の
範囲となる。特に、トップリングとして利用する場合
は、ブローバイガスシール性やリング挙動を考慮して、
この直線部11での面圧を高めるために、1/5〜1/
3の範囲とすることが望ましく、またセカンドリングと
して利用する場合は、面圧を比較的低くしてピストン下
降時に油膜形成が可能なように、1/4〜2/3の範囲
とすることが望ましい。なお、本発明では、クランクケ
ース側へ積極的にオイルを運ぶ作用が得られるので、従
来のものよりも相対的に低い面圧でもって同等のオイル
消費とすることができ、耐摩耗性や耐焼き付き性とのバ
ランスをより高いレベルでとることができる。
動車用内燃機関のピストンリングとしては、好ましく
は、0.2mm〜0.4mmである。これが過度に大きい
と、テーパ部12がリング溝3内に入り込む形となって
しまい、リング溝3の内側面にテーパ部12下端のエッ
ジが干渉し、好ましくない。リング溝3にテーパ部12
が重ならない限界は、自動車用内燃機関では、一般に、
0.4mm程度となる。一方、このt2が過度に小さい
と、ピストンリング1が傾いたときや摩耗が進行したと
きに、テーパ部12下端のエッジがシリンダ壁面4に干
渉する虞がある。従って、少なくとも0.1mm程度は必
要であり、さらに加工誤差を許容するための余裕代を
0.1mm程度加えて、少なくとも0.2mmとすることが
好ましい。
〜60°とすることが好ましい。前述した面圧変化の勾
配を急激なものとしてオイル掻き落としの効果を高める
ためには、傾斜角θが大きい方が有利であるが、傾斜角
θを大きくすると、加工時に直線部11との境界のエッ
ジにバリが発生しやすくなり、また摩耗の進行により同
様にエッジにバリが生じるので、加工性や摩耗によるバ
リの発生を抑制するために、最大でも60°とする。ま
た、少なくとも45°あれば、十分なエッジ効果を得る
ことができる。
は、上記のt2と傾斜角θとを適宜に決定することによ
って、これに応じて定まる。
のt2と同様の理由により、好ましくは、0.2mm〜
0.4mmである。直線部11と円弧部13との境界にお
ける面圧変化の勾配をより緩やかなものとするために
は、直線部11が接線となる円弧部13の曲率半径Rを
なるべく大きくすることが望ましく、そのためには、t
1を小さくする必要があるが、t1を過度に小さくする
と、加工誤差が許容されなくなるので、上記の範囲内で
なるべく小さくすることが望ましい。
に、直線部11と円弧部13との境界における面圧変化
の勾配をより緩やかなものとするためには、なるべく大
きくすることが望ましい。但し、これは、リング幅Lに
対し必要なL1、L2の大きさ、および上記の半径方向
の寸法t1、を決定すると、一義的に定まる。従って、
半径方向の寸法t1をなるべく小さくしつつ、曲率半径
Rをなるべく大きく設定することが望ましい。自動車用
内燃機関のピストンリングとしては、曲率半径Rを、
0.7mm〜2.2mm程度とすることが望ましい。
は、シリンダのボア径はガソリン機関で65mm〜100
mm程度であり、大型トラック用ディーゼル機関で最大1
50mm程度である。また、ピストンリング1のリング幅
Lは、ガソリン機関では、0.8mm〜1.5mm程度、デ
ィーゼル機関では、トップリングで2.0mm〜3.9mm
程度、セカンドリングで1.5mm〜3.0mm程度とな
る。上述した各部の寸法関係は、これらの自動車用内燃
機関のピストンリングにおいて、適用可能である。
説明する。
のピストン2を示し、単一のコンプレッションリングと
なるトップリング101と、オイルリング103とを備
えている。なお、オイルリング103は、本発明が対象
とするピストンリングとは異なり、一般に上下のレール
を備えた組み合わせリングとして構成されている。ま
た、図5は、3本リング形式のガソリン機関用のピスト
ン2を示し、2本のコンプレッションリングつまりトッ
プリング101およびセカンドリング102と、オイル
リング103とを備えている。
ンドリング102として用いられるものである。なお、
この場合、トップリング101としては、一般のバレル
フェイス型ピストンリングなどを用いることができ、あ
るいは本発明のピストンリングをさらにトップリング1
01として組み合わせることも可能である。このセカン
ドリング102の例では、ボア径は95mmであり、リン
グ幅Lは1.5mmである。
図5の構成におけるトップリング101として用いられ
るものである。なお、図5の構成でトップリング101
として用いる場合に、セカンドリング102としては、
一般のテーパ型ピストンリングなどを用いることがで
き、あるいは本発明のピストンリングをさらにセカンド
リング102として組み合わせることも可能である。こ
のトップリング101の例では、ボア径は95mmであ
り、リング幅Lは1.2mmである。
高いレベルでバランスさせたものとして、L1=0.7
mm、t2=0.3mm、θ=45°、t1=0.2mm、R
=0.7mm、とした。その断面形状を図6に示す。な
お、L2は、t2とθとから、0.3mmとなる。従っ
て、この例では、リング幅Lの中心を跨ぐ範囲に直線部
11が設けられている。
る設定として、L1=0.4mm、t2=0.3mm、θ=
60°、t1=0.2mm、R=2.2mm、とした。その
断面形状を図7に示す。このように直線部11の長さL
1を小さく設定することで面圧が高くなり、エッジ効果
を高めるべく傾斜角θを大きく設定したことと相俟っ
て、確実にオイルの掻き落としが行える。
より高い耐久性を得るものとして、L1=0.8mm、t
2=0.2mm、θ=60°、t1=0.2mm、R=0.
7mm、とした。その断面形状を図8に示す。このように
直線部11の長さL1を大きく設定することで面圧が低
くなり、耐摩耗性や耐焼き付き性が向上する。そして、
傾斜角θを大きく設定したことで、確実にオイルの掻き
落としが行える。
ブローバイガスシール性能を考慮しつつオイル消費性能
と耐久性とを高いレベルでバランスさせたものとして、
L1=0.4mm、t2=0.3mm、θ=45°、t1=
0.2mm、R=0.9mm、とした。その断面形状を図9
に示す。なお、L2は、t2とθとから、0.3mmとな
る。従って、この例では、リング幅Lの中心を跨ぐ範囲
に直線部11が設けられている。
ガスシール性能を最大限高める設定として、L1=0.
25mm、t2=0.3mm、θ=60°、t1=0.2m
m、R=1.7mm、とした。その断面形状を図10に示
す。このように直線部11の長さL1を小さく設定する
ことで面圧が高くなり、エッジ効果を高めるべく傾斜角
θを大きく設定したことと相俟って、確実にオイルの掻
き落としが行える。また、面圧が高いことで、ブローバ
イガスシール性能も高くなる。
す断面図。
Claims (7)
- 【請求項1】 外周面のリング幅方向中央部分に、リン
グ中心軸線と平行な直線部を有し、この直線部を挟んで
一方の側に、上記リング中心軸線に対し傾斜したテーパ
部を有し、かつ他方の側に、上記直線部が接線として連
続する円弧からなる円弧部を有することを特徴とする内
燃機関のピストンリング。 - 【請求項2】 燃焼室側に上記円弧部が設けられ、クラ
ンクケース側に上記テーパ部が設けられていることを特
徴とする請求項1に記載の内燃機関のピストンリング。 - 【請求項3】 上記直線部は、リング幅の中心を跨ぐ範
囲に形成されていることを特徴とする請求項1または2
に記載の内燃機関のピストンリング。 - 【請求項4】 上記テーパ部の傾斜角が45°〜60°
の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
かに記載の内燃機関のピストンリング。 - 【請求項5】 上記直線部の長さ(L1)は、リング幅
(L)に対し、1/5〜2/3の範囲であることを特徴
とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関のピス
トンリング。 - 【請求項6】 トップリングの場合は1/5〜1/3の
範囲であり、セカンドリングの場合は1/4〜2/3の
範囲であることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関
のピストンリング。 - 【請求項7】 上記直線部の半径位置から半径方向内周
側に0.2mm〜0.4mm後退した点で、上記円弧部がピ
ストンリング端面と交わるように、上記円弧部の曲率半
径が設定されていることを特徴とする請求項1〜6のい
ずれかに記載の内燃機関のピストンリング。
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- 2002-05-15 JP JP2002139437A patent/JP4165119B2/ja not_active Expired - Fee Related
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