JP6467222B2 - 組合せオイルリング - Google Patents

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Description

本発明は、レシプロエンジン(往復動内燃機関)のピストンに用いられる組合せオイルリングに関し、特に、合口部を備えた割りリング形状に形成されたオイルリング本体の径方向内側部分にコイルエキスパンダーが装着されてなる2ピースタイプの組合せオイルリングに関する。
従来から、レシプロエンジンのピストンには、燃焼ガスをシールするためのコンプレッションリングに加えて、潤滑用のオイルをシールするためのオイルリングが装着されている。
オイルリングには、主としてガソリンエンジンに用いられる3ピースタイプの組合せオイルリングと、主としてディーゼルエンジンに用いられる2ピースタイプの組合せオイルリングとがあるが、低燃費化等の要請から、ガソリンエンジンにおいても、より軸方向幅を薄型化することが可能な2ピースタイプの組合せオイルリングが用いられるようになってきている。
このような2ピースタイプの組合せオイルリングとしては、オイル逃がし孔を有するウェブ部とこのウェブ部の軸方向両側(上下)に一体に設けられる一対のレール部とを有するオイルリング本体と、このオイルリング本体の径方向内側部分に装着されてオイルリング本体を径方向外側に向けて付勢するコイルエキスパンダーの2つのパーツで構成されたものが知られている。この場合、オイルリング本体は合口部を備えた割りリング形状に形成され、コイルエキスパンダーにより径方向外側に向けて付勢されることで拡張(拡径)できるようになっている。そして、オイルリング本体がコイルエキスパンダーにより付勢されて拡張し、各レール部の径方向外側を向く摺接面がシリンダの内周面に一定の接触圧力(面圧)で接触することにより、ピストンが往復動したときに、一対のレール部の間に滞留するオイルをシリンダの内周面に塗布するとともに余分なオイルをレール部により掻き落としつつオイル逃がし孔を通してクランク室へ戻し、シリンダの内周面に適切な厚みの油膜を形成するようになっている。
近年、低燃費や低オイル消費などの市場要求による内燃機関用エンジンの性能向上に伴い、組合せオイルリングにも、ピストン上昇行程時のオイル掻きあげ作用の制御やオイル掻き落とし作用の増幅により、シリンダの内周面に対するフリクションを低減させつつオイル消費量を低減させ得る性能を有したものが求められている。このような要求に対応するために、径方向外側を向く外周面を種々の形状とした組合せオイルリングが提案されている。
例えば特許文献1には、上下のレール部の外周面を、その燃焼室側の一部に該燃焼室の側に向けて徐々に縮径するテーパ状の部分を設けた形状とした組合せオイルリングが記載されている。
特開平9−144881号公報
しかしながら、上記した従来の組合せオイルリングでは、上下両方のレール部の外周端をシリンダの内周面に摺接させるようにしているので、これら上下のレール部を所定の面圧でシリンダの内周面に摺接させるためには大きな張力が必要となり、当該レール部がシリンダの内周面に対して生じるフリクションが大きくなって、この組合せオイルリングが用いられるエンジンの燃費を悪化させることになる。
また、上記した従来の組合せオイルリングでは、オイルリング本体の軸方向に垂直な側面全体をピストンのリング溝の軸方向を向く内面に当接させるようにしているので、当該リング溝の内面とオイルリング本体の側面との間の面圧が低く、また、オイルリング本体がシリンダの内周面に追従する際に捩じれを生じると当該リング溝の内面とオイルリング本体の側面との間のシール性が低下するなど、そのオイル消費量が増加することになる。
本発明は、このような点を解決することを課題とするものであり、その目的は、長期間に亘ってオイル消費量を低減しつつエンジンの燃費を低減することができるオイルリングを提供することにある。
本発明の組合せオイルリングは、ウェブ部と該ウェブ部の軸方向の一方側に一体に設けられる第1レール部と前記ウェブ部の軸方向の他方側に一体に設けられる第2レール部とを備えるとともに合口部を備えた割りリング形状に形成されたオイルリング本体と、該オイルリング本体の径方向内側部分に装着されて前記オイルリング本体を径方向外側に向けて付勢するコイルエキスパンダーと、を有し、ピストンの外周面に形成されたリング溝に装着されて使用されるオイルリングであって、前記第1レール部の外周端が前記第2レール部の外周端よりも径方向外側に突出し、該第1レール部の外周端にシリンダの内周面との摺接面が設けられるとともに、前記第2レール部の外周端に前記シリンダの内周面から離れて該シリンダの内周面との間にオイル流路を形成する離間面が設けられ、前記オイルリング本体の軸方向両側には、それぞれ軸方向に垂直で平坦な側面シール部が設けられるとともに該側面シール部の径方向外側に連ねて該側面シール部に対して軸方向内側に向けて傾斜するテーパ部が設けられ、前記テーパ部は、前記オイルリング本体が前記シリンダの内周面に追従する際に捩じれを生じたときに前記リング溝の内面に当接するように構成されていることを特徴とする。
なお、上記構成において、「合口部を備えた割りリング形状」とは、オイルリング本体が、その周方向の一部分において切断されて当該切断部分が合口部となったC字形状に形成されていることを意味する。また、「軸方向」とは割リング形状のオイルリング本体の軸心に沿う方向である。
本発明は、上記構成において、前記第1レール部の外周端と前記第2レール部の外周端との径方向段差が60μm以上であるのが好ましい。
本発明は、上記構成において、前記側面シール部の径方向長さが前記オイルリング本体の径方向長さの4%以上であるのが好ましい。
本発明は、上記構成において、前記側面シール部と前記テーパ部とが成す角度が13.5°以下であるのが好ましい。
本発明は、上記構成において、前記摺接面の軸方向長さが0.2mm以下であるのが好ましい。
本発明は、上記構成において、前記オイルリング本体はスチール製であり、前記摺接面に窒化処理層、PVD処理層、硬質クロムめっき処理層およびDLC層のうちの少なくとも1種の硬質層が設けられているのが好ましい。
本発明によれば、第1レール部の外周端にのみシリンダの内周面と摺接する摺接面を設け、第2レール部の外周端を、使用初期から製品寿命を全うするまで、シリンダの内周面に摺接しない離間面に構成したので、このオイルリング本体の摺接面を小さな張力によって所定の面圧でシリンダの内周面に摺接させることができる。これにより、当該摺接面のシリンダの内周面に対するフリクションを低減させて、この組合せオイルリングが用いられるエンジンの燃費を低減することができる。
また、本発明によれば、オイルリング本体の軸方向両側の側面に平坦な側面シール部とテーパ部とを設けた構成としたので、側面シール部を高い面圧でピストンのリング溝の軸方向を向く内面に当接させてリング溝の当該内面とオイルリング本体の側面との間のシール性を高めるとともに、オイルリング本体がシリンダの内周面に追従する際に捩じれを生じたときにはテーパ部をリング溝の当該内面に当接させてリング溝の当該内面とオイルリング本体の側面との間のシール性を高めることができる。これにより、この組合せオイルリングが用いられるエンジンのオイル消費量を低減することができる。
したがって、本発明によれば、長期間に亘ってオイル消費量を低減しつつエンジンの燃費を低減することができる組合せオイルリングを提供することができる。
本発明の一実施の形態である組合せオイルリングの平面図である。 図1におけるA−A線に沿う断面図である。 図1に示す組合せオイルリングの使用状態を示す縦断面図である。
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
図1に示す本発明の一実施の形態である組合せオイルリング1はオイルコントロールリングとも呼ばれるものであり、例えばディーゼルエンジンのピストンの外周面に形成されたリング溝に装着されて使用される。この組合せオイルリング1は2ピースタイプとなっており、オイルリング本体10とコイルエキスパンダー20とを有している。
図1に示すように、オイルリング本体10は、合口部10aを備えた割リング形状に形成されている。つまり、オイルリング本体10は、周方向の一部分が切断されて当該切断部分が合口部10aとなったC字形状に形成されている。オイルリング本体10は、例えばステンレススチール等のスチール(鋼材)製とすることができる。オイルリング本体10は、合口部10aが形成されることにより、この合口部10aを周方向に離間させるように弾性変形して、径方向外側に向けて拡張(拡径)することができる。また、オイルリング本体10は、ピストンに装着された状態でシリンダ内に配置されると、合口部10aが閉じた略円環状となり、ピストンの全周に亘ってオイルをシールすることができる。
図2に示すように、オイルリング本体10はウェブ部11、第1レール部(上レール部)12および第2レール部(下レール部)13を有し、その断面は略M字形状となっている。
ウェブ部11は薄肉の円筒状に形成され、その軸方向の中央位置には、このウェブ部11を径方向に貫通する複数のオイル逃がし孔14が周方向に間隔を空けて並べて設けられている。これらのオイル逃がし孔14は、例えば長孔や円形孔に形成することができる。なお、ウェブ部11は、オイル逃がし孔14が設けられない構成とすることもできる。
第1レール部12はウェブ部11の軸方向の一方側(上側)に該ウェブ部11と一体に設けられており、第2レール部13はウェブ部11の軸方向の他方側(下側)に該ウェブ部11と一体に設けられている。第1レール部12および第2レール部13は、それぞれ径方向厚み寸法がウェブ部11の径方向厚み寸法よりも大きくされており、ウェブ部11はこれらのレール部12、13の径方向の略中間部位において当該レール部12、13に連ねられている。
オイルリング本体10の径方向内側部分(内周面)には、コイルエキスパンダー20を装着するための装着溝10bが設けられている。この装着溝10bは、ウェブ部11から両レール部12、13にまで達するV字形の凹断面を有し、周方向に沿ってオイルリング本体10の全周に亘って延びている。なお、装着溝10bはV字形の凹断面に限らず、半円形の凹断面に形成することもできる。
図1においては簡略化して示すが、コイルエキスパンダー20は、鋼材等により形成された線材をコイル状に巻いたものを、その両端を接続して円環状に形成して構成されている。このコイルエキスパンダー20は径方向内外方向に向けて弾性変形自在となっており、その自然状態における外径寸法はオイルリング本体10の内径寸法よりも大きくなっている。そして、コイルエキスパンダー20は、図2に示すように、縮径方向に弾性変形した状態でオイルリング本体10の装着溝10bに装着され、オイルリング本体10を径方向外側に向けて付勢する。
本発明の組合せオイルリング1では、第1レール部12のウェブ部11に対する径方向外側へ向けた突出量は、第2レール部13のウェブ部11に対する径方向外側へ向けた突出量よりも大きくされている。つまり、第1レール部12の径方向外側を向く外周端12aは第2レール部13の径方向外側を向く外周端13aよりも径方向外側に突出している。なお、第1レール部12の外周端12aと第2レール部13の外周端13aは、それぞれオイルリング本体10の径方向に垂直な円筒面(ストレートフェース)に形成されている。なお、第1レール部12の外周端12aと第2レール部13の外周端13aは、上記した円筒面に限らず、傾斜面(テーパフェース)や湾曲面(バレルフェース)等とすることもできる。
第1レール部12の外周端12aと第2レール部13の外周端13aとの間の径方向段差Dは、この組合せオイルリング1の使用初期からその寿命を全うするまでの間、図3に示すように、第2レール部13の外周端13aをシリンダCの内周面に摺接させない値に設定されるが、特に、径方向段差Dを60μm以上とするのが好ましい。組合せオイルリング1が装着されるピストンPは、通常、運転時にシリンダCの内部で最大2°程度の角度で傾動するが、径方向段差Dを60μm以上とすることにより、ピストンPがシリンダCの内部で傾動しても第2レール部13の外周端をシリンダCの内周面から離間させておくことができる。なお、第1レール部12の外周端12aと第2レール部13の外周端13aを傾斜面(テーパフェース)や湾曲面(バレルフェース)等とした場合には、第1レール部12の外周端12aと第2レール部13の外周端13aとの間の径方向段差Dは、外周端12a、13aの最も径方向外側に突出した部分の間で測定される。
第1レール部12の径方向外側を向く外周端12aはシリンダCの内周面に摺接する摺接面15となっている。つまり、図3に示すように、この組合せオイルリング1がピストンPに装着されてシリンダCに組み込まれると、オイルリング本体10は第1レール部12の外周端12aに設けられた摺接面15においてシリンダCの内周面に摺接する。
第1レール部12の摺接面15の軸方向長さL1は種々の値に設定可能であるが、特に、軸方向長さL1を0.2mm以下とするのが好ましい。摺接面15の軸方向長さL1を0.2mm以下とすることにより、小さな張力で当該摺接面15を所定の面圧でシリンダCの内周面に摺接させることができるので、当該摺接面15のシリンダCの内周面に対するフリクションを低減させて、この組合せオイルリング1が用いられるエンジンの燃費を低減することができる。
一方、第2レール部13の径方向外側を向く外周端13aは離間面16となっている。図3に示すように、離間面16は、この組合せオイルリング1がピストンPに装着されてシリンダCに組み込まれたときに、シリンダCの内周面には摺接せず、シリンダCの内周面から離れて配置されてシリンダCの内周面との間に環状のオイル流路17を形成する。オイル流路17は、ピストンPが上死点から下死点へ向けて移動したときに、シリンダCの内周面に付着しているオイルを所定量に絞って第1レール部12と第2レール部13との間に流入させる。したがって、このようなオイル流路17を設けることにより、第1レール部12と第2レール部13との間に過度のオイルが流入することを防止して、摺接面15とシリンダCの内周面との摺接部分を通したオイル上がりを抑制することができる。
このように、本発明の組合せオイルリング1では、第1レール部12の外周端に設けた摺接面15のみをシリンダCの内周面と摺接させ、第2レール部13の外周端を、使用初期から製品寿命を全うするまで、シリンダCの内周面に摺接しない離間面16に構成したので、オイルリング本体10の摺接面15を小さな張力によって所定の面圧でシリンダCの内周面に摺接させることができ、これにより、当該摺接面15のシリンダCの内周面に対するフリクションを低減させて、この組合せオイルリング1が用いられるエンジンの燃費を低減することができる。
第1レール部12の外周端は、摺接面15に加えて、この摺接面15の軸方向外側(図2、図3中において上側)に連ねてテーパ面15aを備えた構成とすることもできる。テーパ面15aと摺接面15とが成す角度αは、0.5°〜5.0°の範囲に設定するのが好ましい。このようなテーパ面15aを設けることにより、圧縮工程等においてピストンPが下死点から上死点へ向けて移動する際に、シリンダCの内周面に付着している潤滑油をテーパ面15aのくさび効果により摺接面15とシリンダCの内周面との間に効果的に供給して、摺接面15とシリンダCの内周面との間のフリクションを低減することができる。
オイルリング本体10の軸方向両側つまり第1レール部12の軸方向外側(ウェブ部11とは反対側)を向く側面と第2レール部13の軸方向外側(ウェブ部11とは反対側)を向く側面には、それぞれ側面シール部18とテーパ部19とが設けられている。
側面シール部18は軸方向に垂直で平坦な面に形成されており、ピストンPのリング溝21の軸方向を向く内面21aに当接して、オイルリング本体10と当該内面21aとの間からのオイルの漏れ出しをシールする。オイルリング本体10の軸方向両側の側面は、側面シール部18とテーパ部19とを備えた構成とされているので、当該側面が側面シール部18のみを備える場合に比べて、側面シール部18の径方向長さL2を小さくして、当該側面シール部18を高い面圧でピストンPのリング溝21の内面21aに当接させることができる。これにより、リング溝21内面21aとオイルリング本体10の側面との間のシール性を高めて、この組合せオイルリング1が用いられるエンジンのオイル消費量を低減することができる。
オイルリング本体10の側面シール部18の径方向長さL2は、オイルリング本体10の径方向長さL3の4%以上とするのが好ましい。これにより、側面シール部18を確実にピストンPのリング溝21の内面21aに当接させて、リング溝21内面21aとオイルリング本体10の側面との間のシール性を高めることができる。
テーパ部19は側面シール部18の径方向外側に連ねて設けられ、側面シール部18とともにオイルリング本体10の側面を構成している。テーパ部19は側面シール部18に対して軸方向内側に向けて傾斜しており、したがって、オイルリング本体10の側面シール部18よりも径方向外側の部分は径方向外側に向かうにつれて徐々に軸方向厚みが薄くなる形状となっている。側面シール部18とテーパ部19とが成す角度βは、13.5°以下とするのが好ましい。このようなテーパ部19を設けることにより、オイルリング本体10がシリンダCの内周面に追従する際に捩じれを生じたときに、テーパ部19をリング溝21の内面21aに当接させてリング溝21の内面21aとオイルリング本体10の側面との間のシール性を高めることができるので、この組合せオイルリング1が用いられるエンジンのオイル消費量を低減することができる。
オイルリング本体10は、摺接面15の表面に、硬質層(硬質皮膜)を設けた構成とすることもできる。硬質層としては、例えば、窒化処理層、PVD処理層、硬質クロムめっき処理層およびDLC層のうちの少なくとも何れか1種の硬質層を備えた構成を採用することができる。このような硬質層を設けることにより、摺接面15の摩耗による消失を長期間に亘って防止して、長期間に亘ってオイル消費量を低減しつつエンジンの燃費を低減する効果を得ることができる。
なお、「PVD処理層」とは「物理気相成長(Physical Vapor Deposition)により形成された層」を意味し、「DLC(Diamond Like Carbon)層」とは主として炭化水素や炭素の同素体から成る非晶質の硬質炭素膜を意味する。
本発明の効果を確認するために、本発明の実施例1〜4の組合せオイルリングと、本発明との比較のための比較例の組合せオイルリングとを用意し、これらの組合せオイルリングについて摩擦損失の測定試験とオイル消費量の測定試験とを行い、その試験結果を比較した。
実施例1のオイルリングは、図2に示す形状において、第1レール部の外周端と第2レール部の外周端との間の径方向段差Dを0.06mm、第1レール部の摺接面の軸方向長さL1を0.05mm、側面シール部の径方向長さL2のオイルリング本体の径方向長さL3に対する割合つまり(L2/L3)×100の値を4%、オイルリング本体の側面を構成するテーパ部と側面シール部とが成す角度βを13.5°としたものである。
実施例2のオイルリングは、図2に示す形状において、第1レール部の外周端と第2レール部の外周端との間の径方向段差Dを0.12mm、第1レール部の摺接面の軸方向長さL1を0.05mm、側面シール部の径方向長さL2のオイルリング本体の径方向長さL3に対する割合つまり(L2/L3)×100の値を4%、オイルリング本体の側面を構成するテーパ部と側面シール部とが成す角度βを13.5°としたものである。
実施例3のオイルリングは、図2に示す形状において、第1レール部の外周端と第2レール部の外周端との間の径方向段差Dを0.06mm、第1レール部の摺接面の軸方向長さL1を0.05mm、側面シール部の径方向長さL2のオイルリング本体の径方向長さL3に対する割合つまり(L2/L3)×100の値を16%、オイルリング本体の側面を構成するテーパ部と側面シール部とが成す角度βを13.5°としたものである。
実施例4のオイルリングは、図2に示す形状において、第1レール部の外周端と第2レール部の外周端との間の径方向段差Dを0.06mm、第1レール部の摺接面の軸方向長さL1を0.20mm、側面シール部の径方向長さL2のオイルリング本体の径方向長さL3に対する割合つまり(L2/L3)×100の値を4%、オイルリング本体の側面を構成するテーパ部と側面シール部とが成す角度βを13.5°としたものである。
これら実施例1〜4の組合せオイルリングに対して、比較例の組合せオイルリングは、図2に示す形状において、第1レール部の外周端と第2レール部の外周端との間に径方向の段差を設けず、当該径方向段差Dを0mmとし、第1レール部の摺接面の軸方向長さL1を0.20mm、側面シール部の径方向長さL2のオイルリング本体の径方向長さL3に対する割合つまり(L2/L3)×100の値を84%、オイルリング本体の側面を構成するテーパ部と側面シール部とが成す角度βを13.5°としたものである。
実施例1〜4および比較例の組合せオイルリングは、何れも、ディーゼルエンジンのピストンに装着して用いられるものとし、そのオイルリング本体をJIS SWRH77B相当の鋼材製とし、その呼称径をφ86とした。
摩擦損失の測定試験は、浮動ライナー式のリング単体往復動試験機(ボア径86mm、ストローク72mm)を用いて行い、摩擦平均有効圧(FMEP:Friction Mean Effective Pressure)により評価した。この試験機において、オイルリングの外周面が摺動する相手材としては、面粗度が十点平均粗さ(Rz)で2〜4μmとなる鋳鉄のシリンダライナーを用いた。
この試験機のピストンに実施例1〜4の組合せオイルリングおよび比較例の組合せオイルリングを順次装着し、ピストンが往復動するときに組合せオイルリングからシリンダライナーに加えられる摩擦力を荷重測定用センサーにより測定した。測定時の回転数は1500rpm、シリンダライナーの内面に供給するオイルの温度は25℃とした。
一方、オイル消費量の測定試験は、水冷4サイクルの自然吸気式のガソリンエンジン(4気筒、排気量2000cc)を用い、このエンジンのピストンに実施例1〜4の組合せオイルリングおよび比較例の組合せオイルリングを順次装着した実機試験により行った。試験条件は、回転数6500rpm、全負荷(WOT:Wide Open Throttle)の一定速度運転およびパターン運転の繰り返しとした。オイル消費量は、所定時間行った測定試験の前後におけるオイルの量から算出した。
表1に、摩擦損失(摩擦平均有効圧)とオイル消費量の試験結果を示す。何れの試験結果も、比較例を基準とし、当該比較例の試験結果を100とした場合における当該基準との比率で示した。
Figure 0006467222
表1から、本発明の実施例1〜4の組合せオイルリングは、何れも、比較例の組合せオイルリングよりも、摩擦損失(摩擦平均有効圧)およびオイル消費量を低減可能であることが解った。
また、実施例1と実施例2との比較から、第1レール部の外周端と第2レール部の外周端との間の径方向段差Dを0.06mmとすれば、当該径方向段差Dを0.12mmとした場合よりも一定速度運転後のオイル消費量を低減可能であることが解った。
さらに、実施例1と実施例3との比較から、側面シール部の径方向長さL2のオイルリング本体の径方向長さL3に対する割合つまり(L2/L3)×100の値を4%とすれば、当該割合を16%とした場合よりも摩擦損失およびパターン運転後のオイル消費量を低減できることが解った。
さらに、実施例1と実施例4との比較から、第1レール部の摺接面の軸方向長さL1を0.05mmとすれば、当該軸方向長さL1を0.20mmとした場合よりも摩擦損失を低減可能であることが解った。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施の形態においては、本発明の組合せオイルリング1をディーゼルエンジンのピストンに装着されるものとして説明しているが、これに限らず、ガソリンエンジンのピストンに装着される組合せオイルリングに本発明を適用することもできる。
また、オイルリング本体10の材質は鋼材に限らず他の材質とすることもできる。
1 オイルリング
10 オイルリング本体
10a 合口部
10b 装着溝
11 ウェブ部
12 第1レール部
12a 外周端
13 第2レール部
13a 外周端
14 オイル逃がし孔
15 摺接面
15a テーパ面
16 離間面
17 オイル流路
18 側面シール部
19 テーパ部
20 コイルエキスパンダー
21 リング溝
21a 内面
D 径方向段差
C シリンダ
P ピストン
L1 摺接面の軸方向長さ
L2 側面シール部の径方向長さ
L3 オイルリング本体の径方向長さ
α テーパ面と摺接面とが成す角度
β 側面シール部とテーパ部とが成す角度

Claims (6)

  1. ウェブ部と該ウェブ部の軸方向の一方側に一体に設けられる第1レール部と前記ウェブ部の軸方向の他方側に一体に設けられる第2レール部とを備えるとともに合口部を備えた割りリング形状に形成されたオイルリング本体と、該オイルリング本体の径方向内側部分に装着されて前記オイルリング本体を径方向外側に向けて付勢するコイルエキスパンダーと、を有し、ピストンの外周面に形成されたリング溝に装着されて使用されるオイルリングであって、
    前記第1レール部の外周端が前記第2レール部の外周端よりも径方向外側に突出し、
    該第1レール部の外周端にシリンダの内周面との摺接面が設けられるとともに、前記第2レール部の外周端に前記シリンダの内周面から離れて該シリンダの内周面との間にオイル流路を形成する離間面が設けられ、
    前記オイルリング本体の軸方向両側には、それぞれ軸方向に垂直で平坦な側面シール部が設けられるとともに該側面シール部の径方向外側に連ねて該側面シール部に対して軸方向内側に向けて傾斜するテーパ部が設けられ
    前記テーパ部は、前記オイルリング本体が前記シリンダの内周面に追従する際に捩じれを生じたときに前記リング溝の内面に当接するように構成されていることを特徴とする組合せオイルリング。
  2. 前記第1レール部の外周端と前記第2レール部の外周端との径方向段差が60μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の組合せオイルリング。
  3. 前記側面シール部の径方向長さが前記オイルリング本体の径方向長さの4%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の組合せオイルリング。
  4. 前記側面シール部と前記テーパ部とが成す角度が13.5°以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の組合せオイルリング。
  5. 前記摺接面の軸方向長さが0.2mm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の組合せオイルリング。
  6. 前記オイルリング本体はスチール製であり、前記摺接面に窒化処理層、PVD処理層、硬質クロムめっき処理層およびDLC層のうちの少なくとも1種の硬質層が設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の組合せオイルリング。
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