JP2023097976A - ピストンリング及びピストンリングセット - Google Patents

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Abstract

Figure 2023097976000001
【課題】ピストンリングの使用開始の初期において更なる低フリクション化を図る。
【解決手段】ピストンリング1は、内周面2c及び外周面2dと、内周面2cに略直交する側面2a及び側面2bとを有する環状の本体部2を備える。ピストンリング1は、外周面2dの側面2a側において本体部2の径方向外側に向かって凸状に湾曲する第1湾曲面21と、外周面2dの側面2b側において本体部2の径方向外側に向かって凸状に湾曲する第2湾曲面22と、第1湾曲面21と第2湾曲面22とを接続するように側面2aと側面2bとを結ぶ方向に沿って延在する中間面23と、を備える。中間面23は、少なくとも一部に平坦部23aを有し、幅方向Aに沿う中間面23の幅は、0.05mm以上且つ0.30mm以下である。
【選択図】図2

Description

本開示は、内燃機関等に使用されるピストンリング及びピストンリングセットに関する。
自動車等の内燃機関に用いられるピストンリングは、例えばピストン外周面のリング溝に設けられてシリンダ内壁と摺動する。ピストンリングは、燃焼室側とクランク室側との間のガスシール機能、及び、オイル消費量の低減機能を有する。このようなピストンリングとして、例えば特許文献1に記載のピストンリングが知られている。特許文献1に記載の技術では、ピストンリングの外周表面粗さが所定値以下となるように研摩されており、初期運転でのオイル消費の低減が図られている。
特開平06-011038号公報
内燃機関の燃費改善を図るため、ピストンリングとシリンダとの間の摩擦損失を低減させる低フリクション化の検討が重ねられている。低フリクション化では、オイル消費への影響を考慮しつつピストンリングの外周面の形状を工夫することが重要となるところ、ピストンリングの使用開始の初期において、更なる低フリクション化を図る余地があった。
本開示は、ピストンリングの使用開始の初期において更なる低フリクション化を図ることができるピストンリング及びピストンリングセットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者は、ピストンリングとシリンダとの間に形成される微小なくさび形状の空間がピストンリングの使用開始の初期の低フリクション化に重要であることを見出し、好適に更なる低フリクション化が図られるピストンリングの外周面の形状を見出した。
本開示の一態様に係るピストンリングは、内周面及び外周面と、内周面に略直交する一側面及び他側面とを有する環状の本体部を備えたピストンリングであって、外周面の一側面側において本体部の径方向外側に向かって凸状に湾曲する第1湾曲面と、外周面の他側面側において本体部の径方向外側に向かって凸状に湾曲する第2湾曲面と、第1湾曲面と第2湾曲面とを接続するように一側面と他側面とを結ぶ方向に沿って延在する中間面と、を備え、中間面は、少なくとも一部に平坦部を有し、一側面と他側面とを結ぶ方向に沿う中間面の幅は、0.05mm以上且つ0.30mm以下である。
本開示の一態様に係るピストンリングでは、第1湾曲面と第2湾曲面とを接続するように、少なくとも一部に平坦部を有する中間面が形成されている。一側面と他側面とを結ぶ方向に沿う中間面の幅は、0.05mm以上且つ0.30mm以下である。この構成では、ピストンリングにおける中間面近傍の第1湾曲面とシリンダとの間、及び、ピストンリングにおける中間面近傍の第2湾曲面とシリンダとの間に、微小なくさび形状の空間が形成される。0.05mm以上且つ0.30mm以下となるような中間面を設けることで、ピストンリングの使用開始の初期のなじみ摺動による摩擦損失の低減が促進され、好適な微小なくさび形状の空間が容易に形成されることとなる。その結果、ピストンリングの使用開始の初期において更なる低フリクション化を図ることができる。
一実施形態において、平坦部は、方向に沿って中間面の幅の50%以上の幅寸法を有してもよい。
一実施形態において、第1湾曲面と中間面との第1境界において第1湾曲面に接する第1仮想線が中間面となす角度である第1くさび角度、及び、第2湾曲面と中間面との第2境界において第2湾曲面に接する第2仮想線が中間面となす角度である第2くさび角度、の少なくともいずれかは、1.5°以下であってもよい。
一実施形態において、中間面のうち最も径方向外側に位置する最外部は、中間面の方向における中央部よりも一側面側に配置されていてもよい。
一実施形態において、中間面のうち最も径方向外側に位置する最外部は、中間面の方向における中央部よりも他側面側に配置されていてもよい。
一実施形態において、一側面と内周面とを接続するように方向に対して傾斜して延在するインナーカット面を備えてもよい。
一実施形態において、所定のシリンダ装着状態におけるピストンリングのねじれ角は、5′~90′であってもよい。
本開示の他の態様に係るピストンリングセットは、上記のピストンリングと、一対のサイドレールと一対のサイドレールの間に配置されるスペーサエキスパンダとで構成されたオイルコントロールリングと、を備えるピストンリングセットであって、サイドレールは、外周面と、内周面と、第1の側面と、第2の側面とを有し、内周面は、軸方向の断面において上下対称の形状を有しており、軸方向の断面において、サイドレールの内周面が以下の条件A1を満たす内側先端部を有する。
条件A1: 0.7≦R1/Lh0≦1.1
但し、式中、R1は内側先端部を構成する曲線の曲率半径(単位:mm)を示し、Lh0はサイドレールの高さ(単位:mm)を示す。なお、サイドレールの輪郭形状(内周面及び外周面等の形状)は輪郭形状測定機(例えば、ACCRETECH(東京精密)製)を使用して計測することができる。
本開示の他の態様に係るピストンリングセットでは、内周面が軸方向の断面において上下対称の形状を有しており、サイドレールの内周面の内側先端部が条件A1を満たしている。本発明者らの検討によると、サイドレールの内周面の内側先端部が条件A1を満たすことで、内燃機関が高い回転数で作動しているときであってもオイル消費量を十分に抑制できる。これは、高速運転時におけるサイドレールの挙動が安定化し、ピストン溝の内面にサイドレールの側面が当接しやすくなりシール性を向上させるためと推察される。サイドレールの挙動は、シリンダとの摩擦力と、往復動に伴う慣性力の影響を受ける。往復動の高速化はオイルコントロールリングに加わる慣性力を増大させるため、摩擦力の影響よりも慣性力の影響の方が支配的になると推察される。内側先端部が条件A1を満たすことで、従来のサイドレールと比較して重心が内周面側にシフトするとともに、スペーサエキスパンダの耳部に当接する位置がシフトする。これらの事項がサイドレールの挙動の安定化に寄与していると推察される。したがって、ピストンリングによりピストンリングの使用開始の初期において更なる低フリクション化を図りつつ、オイルコントロールリングにより内燃機関が高い回転数で作動しているときであってもオイル消費量の増大を十分に抑制できる。
一実施形態において、スペーサエキスパンダは、サイドレールの内周面が当接する複数の耳部と、耳部と隣接して設けられており、サイドレールの側面と対面する複数のレール対面部とを有し、複数の耳部の全部又は少なくとも一部が以下の条件B1を満たしてもよい。
条件B1: W/H≧1.5
但し、式中、Wは耳部の最も高い位置からレール対面部の方向に0.05mm移動した位置における耳部の幅(単位:mm)を示し、Hはレール対面部における耳部と隣接する領域の最も高い位置と耳部の最も高い位置の高低差(単位:mm)を示す。この場合、W/Hの値が1.5以上の耳部を有するスペーサエキスパンダは、W/Hの値が1.5未満のものと比較して耳部の摩耗量を抑制できる。また、耳部の幅に比して耳部の高さを制限した寸法比になっているため、耳部の強度や加工性の観点からも好適である。W/Hの値の上限値は、スペーサエキスパンダで発生させる張力の観点から、例えば、5.0である。
本開示の更に他の態様に係るピストンリングセットによれば、ピストンリングによりピストンリングの使用開始の初期において更なる低フリクション化を図りつつ、オイルコントロールリングによりオイル消費量の増大を抑制することができる。
本開示によれば、ピストンリングの使用開始の初期において更なる低フリクション化を図ることができる。
実施形態に係るピストンリングの斜視図である。 図1のII-IIに線に沿っての断面図である。 図2の断面の要部拡大図である。 中間面幅とくさび角度との関係を例示する表である。 図4の中間面幅とくさび角度との関係を図示するグラフである。 図2の変形例に係るピストンリングの断面図である。 実施例及び比較例に係るピストンリングの摩擦計測結果を示す表である。 (a)横軸をくさび角度として図7の摩擦計測結果を図示するグラフである。(b)横軸を中間面幅として図7の摩擦計測結果を図示するグラフである。 実施例及び比較例に係るピストンリングの摩擦の時系列変化を図示するグラフである。 3ピースオイルコントロールリングの一例がピストン溝に装着された状態を模式的に示す断面図である。 (a)は、図10のサイドレールの斜視図である。(b)は、(a)のb-b線に沿っての断面図である。 図11のサイドレールの内周側を拡大して示す断面図である。 図11のサイドレールの外周側を拡大して示す断面図である。 サイドレールの内周面の他の例を拡大して示す断面図である。 スペーサエキスパンダの第1の例を示す平面図である。 図15に示す一点鎖線で囲った領域を拡大して示す斜視図である。 スペーサエキスパンダの第2の例を部分的に示す斜視図である。 スペーサエキスパンダの第3の例を部分的に示す斜視図である。 (a)及び(b)は、図18に示すスペーサエキスパンダ及びこれに装着されたサイドレールの断面図であって、スペーサエキスパンダの互いに異なる態様を示した断面図である。 スペーサエキスパンダの第4の例を部分的に示す斜視図である。 スペーサエキスパンダの第5の例を部分的に示す斜視図である。 スペーサエキスパンダの第6の例を部分的に示す斜視図である。 (a)は、サイドレールの内周面が当接する面に凸部を有する耳部の一例を示す図である。(b)は、(a)におけるA-A断面図であって凸部が高い態様を示す断面図である。(c)は、(a)におけるA-A断面図であって(c)は凸部が低い態様を示す断面図である。 (a)は、本開示の耳部の幅Wを示す図である。(b)は、比較例の耳部の幅Wを示す図である。 (a)は、図16に示す耳部の高さHを示す図である。(b)は、図17に示す耳部の高さHを示す図である。(c)は、図18に示す耳部の高さHを示す図である。(d)は、図20に示す耳部の高さHを示す図である。(e)は、図21に示す耳部の高さHを示す図である。(f)は、図22に示す耳部の高さHを示す図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
図1は、実施形態に係るピストンリングの斜視図である。図1に示されるピストンリング1は、例えば自動車の内燃機関においてピストン外周面のリング溝に設けられるセカンドリングとして用いられる。このピストンリング1は、シリンダ内壁に対して摺動することで、燃焼室側とクランク室側との間のガスシール機能、及び、オイル消費量の低減機能を奏するようになっている。
ピストンリング1は、環状の本体部2と、本体部2の一部に形成された合口部3とを有している。本体部2は、一対の側面(一側面)2a及び側面(他側面)2bと、内周面2c及び外周面2dとを有している。側面2a,2bは、内周面2cに略直交している。以下の説明では、側面2aと側面2bとを結ぶ方向をピストンリング1の幅方向とし、内周面2cと外周面2dとを結ぶ方向をピストンリング1の厚さ方向とする。ピストンリング1の幅方向は、ピストンリング1の軸方向に相当する。
本体部2は、厚さ方向が長辺かつ幅方向が短辺となる断面略長方形状をなしている。本体部2は、例えば複数の金属元素を含有する鋳鉄或いは鋼(スチール)を用い、十分な強度、耐熱性、及び弾性をもって形成されている。
本体部2の表面には、表面改質が施されて硬質膜が形成されてもよい。硬質膜は、例えば、物理気相成長法(PVD法)を用いて形成される物理気相成長膜(PVD膜)である。これにより、硬質膜を十分な硬度で形成できる。硬質膜は、チタン(Ti)及びクロム(Cr)の少なくとも一種と、炭素(C)、窒素(N)、及び酸素の少なくとも一種とを含むイオンプレーティング膜、若しくはダイヤモンドライクカーボン膜である。具体例としては、硬質膜は、窒化チタン膜、窒化クロム膜、炭窒化チタン膜、炭窒化クロム膜、酸窒化クロム膜、クロム膜、又はチタン膜である。この中でも、耐摩耗性及び耐スカッフ性を重視する場合には、窒化クロム膜を用いることが好ましい。なお、硬質膜は積層体であってもよく、例えば窒化クロム膜及びダイヤモンドライクカーボン膜等を含んでもよい。
合口部3は、本体部2の一部が分断された部分であり、互いに対向する一対の合口端部4,5によって形成されている。一対の合口端部4,5は、それぞれ本体部2の自由端となっている部分である。合口部3の隙間(合口隙間)は、例えばピストンリング1が加熱されて熱膨張したときに狭まるようになっている。合口部3は、ピストンリング1の使用時において、ピストンリング1とシリンダとの間の温度差に起因する本体部2の熱膨張分の逃げ部として機能する。
次に、本体部2の外周面2dについて更に詳細に説明する。図2は、図1のII-IIに線に沿っての断面図である。以下の説明での線の形状は、特に特定しない場合、図2の断面視での線の形状を意味する。
図2及び図3に示されるように、外周面2dには、一例として、第1湾曲面21と、第2湾曲面22と、中間面23と、第1接続面24と、第2接続面25と、が設けられている。
第1湾曲面21は、外周面2dの側面2a側において本体部2の径方向外側に向かって凸状に湾曲する湾曲面である。ここでの第1湾曲面21は、後述の中間面23の側面2a側の端部から側面2aに向かって、後述の第1接続面24の側面2b側の端部まで延びている。第1湾曲面21は、例えば第1接続面24が省略される場合、側面2aの径方向外側の端部まで延びていてもよい。第1湾曲面21は、例えば円弧状に湾曲している。第1湾曲面21の形状は、この例に限定されず、円弧とは異なる形状に湾曲していてもよいし、一部に直線を含んでいてもよい。
第2湾曲面22は、外周面2dの側面2b側において本体部2の径方向外側に向かって凸状に湾曲する湾曲面である。ここでの第2湾曲面22は、後述の中間面23の側面2b側の端部から側面2bに向かって、後述の第2接続面25の側面2a側の端部まで延びている。第2湾曲面22は、例えば第2接続面25が省略される場合、側面2bの径方向外側の端部まで延びていてもよい。第2湾曲面22は、例えば円弧状に湾曲している。第2湾曲面22の形状は、この例に限定されず、円弧とは異なる形状に湾曲していてもよいし、一部に直線を含んでいてもよい。
第1湾曲面21及び第2湾曲面22は、それぞれ円弧状に湾曲しており、共通の仮想円の一部に重なる円弧であってもよい。仮想円は、例えば、その中心が側面2aと側面2bとの中間に位置してもよい。この場合、ピストンリング1の径方向において仮想円の最外部となる仮想最外部OM1は、ピストンリング1の側面2aと側面2bとを結ぶ幅方向(方向)Aの中央に位置する。第1湾曲面21及び第2湾曲面22は、仮想円の最外点を境に幅方向Aに対称な対称バレル形状の一部分となっている。
なお、バレル形状は、ピストンリング1の径方向外側に向かって凸状に湾曲する湾曲面であって、ピストンリング1の径方向の最外部を含む湾曲面を意味する。バレル形状には、対称バレル形状及び偏心バレル形状が含まれる。対称バレル形状は、バレル形状であって、ピストンリング1の径方向の最外部が外周面2dの幅方向Aにおける中央に位置している湾曲面を意味する。偏心バレル形状は、バレル形状であって、ピストンリング1の径方向の最外部が外周面2dの幅方向Aにおける中央よりも下側(クランク室寄り)に位置している湾曲面を意味する。
共通の仮想円の大きさは、幅方向Aに仮想最外部OM1から一定距離離れた点(例えば上下に0.25mmずつ離れた各1点)と、仮想最外部OM1の位置との間の、ピストンリング1の径方向における仮想的な落差寸法(仮想的なダレ量)で規定することができる。仮想的なダレ量は、例えば、0.001mm以上且つ0.008mm以下であってもよい。仮想的なダレ量は、後述の中間面23の幅に応じて設定されてもよい。
ここで、外周面2dは、第1湾曲面21と第2湾曲面22との間に中間面23が設けられている。中間面23は、外周面2dのうち径方向外側に最も張り出している部分を含むシリンダ内壁との当たり面である。中間面23は、ピストンリング1をピストンのリング溝に装着した際に、シリンダ内壁に接して摺動する。中間面23は、第1湾曲面21と第2湾曲面22とを接続するように幅方向Aに沿って延在する。中間面23は、上端が第1湾曲面21に連なり、下端が第2湾曲面22に連なっている。ここでの中間面23は、側面2a,2bと略直交し、且つ内周面2cと略平行になっている。なお、中間面23は、本体部2の周方向については、周方向全体に亘って延在している。
幅方向Aに沿う中間面23の幅(中間面幅MW)は、0.05mm以上且つ0.30mm以下である。幅方向Aに沿う中間面幅MWは、0.05mm以上且つ0.30mm以下である。幅方向Aに沿う中間面幅MWは、好ましくは、0.05mm以上且つ0.25mm以下であってもよい。幅方向Aに沿う中間面幅MWは、更に好ましくは、0.05mm以上且つ0.20mm以下であってもよい。
中間面23は、少なくとも一部に平坦部23aを有している。平坦部23aは、中間面23のうち、本体部2の周方向に直交する断面視で直線状となる部分である。ここでの平坦部23aは、側面2a,2bと直交し、且つ内周面2cと平行になっており、本体部2の周方向に直交する断面視でピストンリング1の軸方向(幅方向A)と平行な直線となっている。平坦部23aは、ピストンリング1の周方向については、周方向全体に亘って設けられ、合口部3が互いに近接した状態で全体として仮想的な円筒状をなしている。
このような平坦部23aでは、中間面23のうち最も径方向外側に位置する中間最外部(最外部)OM2は、平坦部23a全体となっている。中間最外部OM2は、第1湾曲面21及び第2湾曲面22を径方向外側に仮想的に延長してなる仮想形状よりも径方向内側に位置している。ここでの中間最外部OM2は、上述の仮想円の仮想最外部OM1よりも径方向内側に位置している。そのため、外周面2dは、一般的な対称バレル形状とは異なり、新品のピストンリング1の使用開始の初期において湾曲面の頂部が断面視で点接触(周方向には線接触)する程度が緩和され、むしろピストンリング1とシリンダ内壁との間に微小なくさび形状が形成され易い形状となっている。
平坦部23aは、幅方向Aに沿って中間面幅MWの50%以上の平坦部幅寸法を有する。平坦部幅寸法は、好ましくは中間面幅MWの70%以上であってもよい。平坦部幅寸法は、更に好ましくは中間面幅MWの80%以上であってもよい。ここでの平坦部23aは、例えば、中間面幅MWの全体において幅方向Aに平行な直線状に延びている。つまり、ここでの平坦部幅寸法は、100%である。この場合、平坦部幅寸法は、幅方向Aに沿う中間面幅MWと等しく、0.05mm以上且つ0.30mm以下である。平坦部幅寸法は、好ましくは、0.05mm以上且つ0.25mm以下であってもよい。平坦部幅寸法は、更に好ましくは、0.05mm以上且つ0.20mm以下であってもよい。
上述の仮想的な落差寸法、中間面幅MW、及び平坦部幅寸法は、市販の輪郭形状測定機を用いたピストンリング1の外周面2dの形状を測定することで得ることができる。輪郭形状測定機としては、例えば、ACCRETECH(東京精密)サーフコム1900DX3)を用いることができる。
図3は、図2の断面の要部拡大図である。中間面幅MWの寸法の指標として、中間面23の幅方向Aの両端部におけるくさび角度を用いることができる。くさび角度は、中間面23の幅方向Aの両端部において外周面2dの接線と中間面23とがなす角度である。具体的な一例として、くさび角度は、第1湾曲面21と中間面23との第1境界21aにおいて第1湾曲面21に接する第1仮想線21bが中間面23となす角度である第1くさび角度φ1と、第2湾曲面22と中間面23との第2境界22aにおいて第2湾曲面22に接する第2仮想線22bが中間面23となす角度である第2くさび角度φ2と、が挙げられる。くさび角度は、ピストンリング1とシリンダ内壁との間のオイル導入角度に相当する。
くさび角度は、設計上の寸法から幾何学的計算により算出されてもよい。くさび角度は、輪郭形状測定機の測定結果を用いて算出されてもよい。輪郭形状測定機を用いる場合、測定結果を拡大して得られた寸法から幾何学的計算により算出されてもよいし、輪郭形状測定機に備わる輪郭画像上の寸法等の演算ソフトを用いて算出されてもよい。演算ソフトを用いる場合、上述の仮想円の曲率半径と中間面23との接線角度から算出可能である。くさび角度の算出手法は、特に限定されない。
ここでは、中間面23が幅方向Aにおける外周面2dの中央部に配置されており、幅方向Aにおいて中間面23の中央部が外周面2dの中央部に位置している。中間面23は、幅方向Aにおける外周面2dの中央部を境に幅方向Aに対称となっている。そのため、第1くさび角度φ1と第2くさび角度φ2とは、互いに等しくなっている。なお、「互いに等しい」とは、部品公差及び計測誤差に起因する寸法の相違は含めなくてもよく、幾何学的に互いに等しければよい。
上述のような平坦部23aの構成では、第1くさび角度φ1及び第2くさび角度φ2は、1.5°以下である。図4は、中間面幅とくさび角度との関係を例示する表である。図5は、図4の中間面幅とくさび角度との関係を図示するグラフである。図4には、12種類の中間面幅MWを有するピストンリング1において算出されたくさび角度がそれぞれ表として示されている。図5では、横軸は中間面幅MWを示し、縦軸はくさび角度を示す。図5に示されるように、中間面幅MWが大きくなるほどくさび角度が大きくなる傾向があることがわかる。このため、中間面幅MWの寸法の指標として、くさび角度を用いることが可能であることがわかる。
例えば、ピストンリング1の幅方向Aに沿う中間面幅MWは、0.05mm以上且つ0.30mm以下であることから、図4及び図5によれば、くさび角度(第1くさび角度φ1及び第2くさび角度φ2)は、例えば0.6以上且つ1.5°以下であってもよい。くさび角度は、好ましくは、0.6以上且つ1.4°以下であってもよい。くさび角度は、更に好ましくは、0.6以上且つ1.3°以下であってもよい。
第1接続面24は、側面2aと外周面2dとがなす角部が面取りされた部分であり、側面2aと第1湾曲面21とを接続する傾斜面である。第1接続面24は、第1湾曲面21と共に本体部2の周方向の全体に亘って延在している。第1接続面24は、側面2aから側面2bに向かうにつれて本体部2の径方向に張り出すように傾斜している。第1接続面24は、R加工等によって形成された断面円弧状の曲面を介して滑らかに接続されてもよく、曲面がなくてもよい。なお、第1接続面24は省略されてもよく、側面2aと第1湾曲面21とが直接連なっていてもよい。
第2接続面25は、側面2bと外周面2dとがなす角部が面取りされた部分であり、側面2bと第2湾曲面22とを接続する傾斜面である。第2接続面25は、第2湾曲面22と共に本体部2の周方向の全体に亘って延在している。第2接続面25は、側面2bから側面2aに向かうにつれて本体部2の径方向に張り出すように傾斜している。第2接続面25は、R加工等によって形成された断面円弧状の曲面を介して滑らかに接続されてもよく、曲面がなくてもよい。なお、第2接続面25は省略されてもよく、側面2bと第2湾曲面22とが直接連なっていてもよい。
以上説明したピストンリングでは、第1湾曲面21と第2湾曲面22とを接続するように、少なくとも一部に平坦部23aを有する中間面23が形成されている。側面2aと側面2bとを結ぶ幅方向Aに沿う中間面幅MWは、0.05mm以上且つ0.30mm以下である。この構成では、ピストンリング1における中間面23近傍の第1湾曲面21とシリンダ内壁との間、及び、ピストンリング1における中間面23近傍の第2湾曲面22とシリンダ内壁との間に、微小なくさび形状の空間が形成される。0.05mm以上且つ0.30mm以下となるような中間面23を設けることで、ピストンリング1の使用開始の初期のなじみ摺動による摩擦損失の低減が促進され、好適な微小なくさび形状の空間が容易に形成されることとなる。その結果、ピストンリング1の使用開始の初期において更なる低フリクション化を図ることができる。
[ピストンリングの変形例]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述した実施形態に限定されるものではない。本開示は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
上記実施形態では、第1湾曲面21及び第2湾曲面22の円弧形状を規定する共通の仮想円は、対称バレル形状の一部分となっていたが、この例に限定されない。例えば、第1湾曲面21及び第2湾曲面22の形状は、共通の仮想的な偏心バレル形状の一部分となっていてもよい。また、第1湾曲面21及び第2湾曲面22の形状は、バレル形状の一部分でなくてもよい。第1湾曲面21及び第2湾曲面22の形状は、仮想楕円の一部分となっていてもよい。要は、第1湾曲面21及び第2湾曲面22の形状は、本体部2の径方向外側に向かって凸状に湾曲していればよい。
中間面23は、中間面幅MWの全体において幅方向Aに平行な直線状に延びる平坦部23aとして構成されていたが、これに限定されない。平坦部23aは、幅方向Aに沿って中間面幅MWの50%未満の平坦部幅寸法を有していてもよい。中間面23は、幅方向Aに対して傾斜した直線状(テーパ状)であってもよい。この場合、上記実施形態では、実質的に中間面23の延びる幅方向Aと外周面2dの接線とがなす角度としてくさび角度が算出されたが、中間面23の傾斜方向と外周面2dの接線とがなす角度として算出されてもよい。
中間面23のうち平坦部23a以外の部分は、径方向外側に張り出す凸部であってもよいし、径方向内側に窪む溝又は凹部であってもよい。この場合の凸部、溝、又は凹部は、断面視で曲線状であってもよいし、断面視で複数の直線で形成されていてもよい。
第1くさび角度φ1及び第2くさび角度φ2の両方が1.5°以下であったが、この例に限定されない。例えば、第1くさび角度φ1と第2くさび角度φ2とは、互いに異なっていてもよく、第1くさび角度φ1及び第2くさび角度φ2の何れか一方が1.5°以下であってもよい。
上記実施形態では、側面2a,2bは、内周面3cに略直交していたが、例えば図6に示されるピストンリング1Aのように、側面2aと内周面3cとを接続するように幅方向Aに対して傾斜して延在するインナーカット面2eを備える態様(いわゆるインナーベベル形状)であってもよい。インナーカット面2eは、ピストンリング1において側面2aと内周面3cとがなす角部が切り欠かれた部分であり、本体部2の周方向の全体に亘って延在している。切欠き部分はインナーステップ形状であってもよい。ピストンリング1Aがピストン外周面のリング溝に設けられた状態のピストンがシリンダに取り付けられた場合に相当する所定のシリンダ装着状態におけるピストンリングのねじれ角は、5′~90′であってもよい。このようなインナーカット面2eによれば、第2境界22aがシリンダ内壁と強く接触するようになるため、初期のなじみ摺動によるオイル消費量の低減効果が増大し易くなる。
上記実施形態及び上記変形例に係るピストンリングは、セカンドリング以外に、例えばトップリング、又は、ディーゼルエンジンにおけるサードリングとして用いることができる。
また、上記実施形態及び上記変形例では、合口端部4の端面4a及び合口端部5の端面5aが、本体部2の周方向に対して直角に形成された直角合口を例示しているが、合口端部の形状はこれに限られない。例えば端面4a,5aが上記周方向に対して傾斜して形成された傾斜合口であってもよく、端面4aの側面2a側と端面5aの側面2b側とが互いに相手側に突出するように形成された段付合口であってもよい。
本開示を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の手順で、実施例1のセカンドリングを作製した。まず、外周面に第1湾曲面、第2湾曲面、及び中間面が設けられた本体部を有するセカンドリングを作製した。本体部としては、SWOSC-V材を線材に用い、当該線材に圧延ロール成形及び引き抜き成形を施した。本体部の呼称径は73mmに設定した。本体部の幅は1.0mmに設定し、本体部の厚さは2.1mmに設定した。第1湾曲面及び第2湾曲面の円弧を規定する対称バレル形状に相当する仮想円の曲率半径は、R30とした。仮想円の仮想的なダレ量は、0.002mm以上且つ0.006mm以下であった。また、インナーベベル形状とし、ねじれ角は、5′~90′とした。表面には、CrNイオンプレーティング被膜を施した。輪郭形状測定機としてACCRETECH(東京精密)製サーフコム1900DX3を用い、中間面幅MWの測定及びくさび角度を算出した。くさび角度の算出は、輪郭形状測定機に備わる輪郭画像上の寸法等の演算ソフトを用いて行った。以上のようにして製作したセカンドリングを用いて、摩擦の測定を行った。摩擦の測定は、セカンドリングを含むピストンリングセットを組み込んだピストンをシリンダに取り付け、エンジン回転数は2000rpmにてモータリング運転し、摩擦を測定した。また、同様にして製作した複数のセカンドリングの外周形状の条件を変えて、図7に示されるように実施例2~30のセカンドリングを準備し、中間面幅MWの測定及びくさび角度の算出、並びに、摩擦の測定を行った。
図7は、実施例及び比較例に係るピストンリングの摩擦計測結果を示す表である。図8(a)は、横軸をくさび角度として図7の摩擦計測結果を図示するグラフである。図8(b)は、横軸を中間面幅として図7の摩擦計測結果を図示するグラフである。
図8において、比較例1は外周面がテーパ形状のピストンリングであり、一番右に位置する白丸のプロットは比較例2を示す。白丸のプロットの左に並ぶ黒丸のプロッロ群は実施例1~30を示す。図8に示されるように、比較例1の摩擦は13.5と大きく、縦軸のスケール外である。比較例2の摩擦は8.2と比較例1の摩擦よりも小さいが、黒丸のプロット群と比べて摩擦が大きい。
黒丸のプロット群において、中間面幅MWが0.050mmのプロット(実施例5)よりも、例えば、中間面幅MWが0.078mmのプロット(実施例1)、0.100mmのプロット(実施例2)、及び0.150mmのプロット(実施例3)の方が、摩擦が小さいことがわかる。このような、中間面幅MWが0.050mmのプロット(実施例5)よりも摩擦が小さい傾向は、中間面幅MWが0.050mm以上であって0.200mm以下の範囲で見られる。
図9は、実施例及び比較例に係るピストンリングの摩擦の時系列変化を図示するグラフである。図9では、中間面幅MWがそれぞれ「無し」、0.1mm、0.2mm、及び0.25mmのピストンリングを用いた場合の、摩擦の測定の評価時間に対する摩擦の大きさの時間的変化が示されている。中間面幅MWが「無し」とは、外周面2dに中間面を設けない通常のバレル形状に対応する。なお、図9の原点Oは評価時間が0(評価開始時点)である。
図9に示されるように、中間面幅MWが無しの白丸プロットは、中間面幅MWが0.1mm、0.2mm、及び0.25mmのプロットと比べて大きい摩擦の大きさを初期値として、評価時間が経過するにつれて、摩擦が徐々に低下していくことを表している。この摩擦の時間変化は、ピストンリングの使用開始の初期のなじみ摺動による摩擦損失の低減に対応するものと考えられる。一方、中間面幅MWが0.1mm、0.2mm、及び0.25mmの各プロットは、中間面幅MWが無しの白丸プロットと比べて小さい摩擦の大きさを初期値として、評価時間が経過するにつれて摩擦が徐々に低下していくものの、その低下の変化率は、中間面幅MWが無しの白丸プロットと比べて小さい。このような摩擦の時間変化の推移の仕方から、外周面に中間面を設けることで、摩擦が初期値の段階(新品のピストンリングの使用開始の時点)ですでに、外周面に中間面を設けない場合よりも初期のなじみ摺動による摩擦損失の低減の効果が得られており、摩擦損失の低減が促進されているものと考えられる。
図8に戻り、図8において中間面幅MWが0.050mm以上であって0.200mm以下の範囲では、図9のような初期のなじみ摺動による摩擦損失の低減の効果が特に顕著に得られているといえる。また、図9のような初期のなじみ摺動による摩擦損失の低減があることから逆算することで、図8に中間面幅MWが0.050mm未満のプロットがどのような位置になるかを推測することができる。中間面幅MWが0.050mm未満のプロットは、例えば、中間面幅MWが0.050mmのプロットよりも摩擦が大きい値となると推測され、比較例2の摩擦の値に近づくものと推測される。この推測に基づけば、外周面に中間面を設けることで、中間面幅MWが0.050mm以上であって0.300mm以下の範囲、すなわち図8における黒丸プロット群は初期のなじみ摺動による摩擦損失の低減の効果が得られるものと考えることができる。
[3ピースのオイルコントロールリング]
図10は、3ピースオイルコントロールリングの一例がピストンPの溝Paに装着された状態を模式的に示す断面図である。この断面図は、オイルコントロールリングの軸方向(ピストンPの往復動方向A)における断面を示すものである。往復動方向Aは、幅方向Aと同じ方向であってもよい。
図10に示されるように、オイルコントロールリング150は、一対のサイドレール101,102と、一対のサイドレール101,102の間に配置されるスペーサエキスパンダ110Aとを備える。サイドレール101,102の外周面101a,102aがシリンダボアBの内面Baに接している。サイドレール101,102の内周面101b,102bがスペーサエキスパンダ110Aの耳部105に接している。
[サイドレール]
サイドレール101,102の材質は、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼である。サイドレール101,102は、少なくとも外周面101a,102aを覆うように設けられた硬質皮膜(不図示)を備えてもよい。硬質皮膜の材質として、例えば、非晶質炭素、窒化クロム(CrN)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、窒化アルミチタン(TiAlN)、窒化クロム(CrN)、TiCN、AlCrN、TiC、又はニッケル(Ni)やニッケルリン(NiP)などのニッケル合金が挙げられる。図10に示すように、本実施形態において、サイドレール101,102は同じ形状である。以下、サイドレール101の形状について説明し、サイドレール102の形状の説明は省略する。
図11(a)はサイドレール101の斜視図であり、図11(b)は図11(a)に示すb-b線における断面図である。サイドレール101は軸方向の断面において、図11(b)に一点鎖線で示す中心線Lを中心として上下対称の形状を有する。サイドレール101は、外周面101aと、内周面101bと、第1及び第2の側面101c,101dと、外周面101aと第1の側面101cの間の第1の傾斜面101eと、外周面101aと第2の側面101dの間の第2の傾斜面101fとを有する。図11(b)に示す断面において、サイドレール101の重心Gは、中心線L上にあり且つサイドレール101の厚さ方向の中心位置よりも内周面101b側に位置している。内周面101bは、軸方向の断面において上下対称の形状を有している。外周面101a、第1の傾斜面101e、及び、第2の傾斜面101f(サイドレール101の外周側の面)は、一例として、軸方向の断面において上下対称の形状を有している。サイドレール101の外周側の断面形状は、この例に限定されず、軸方向の断面において上下非対称の形状を有していてもよい。例えば、外周面101aが中心線Lに対して第1及び第2の側面101c,101dの何れか一方側に片寄った断面形状であってもよい。
図11(a)に示すように、サイドレール101は環状であり、例えば、外径が60~120mmであり、内径が56~114mmである。サイドレール101の厚さT(=(外径-内径)/2)は、例えば、1.0~3.0mmであり、1.2~2.7mm又は1.4~2.5mmであってもよい。サイドレール101の高さLh0は、例えば、0.2~0.7mmであり、0.25~0.55mm又は0.30~0.45mmであってもよい。なお、ここでいう「環状」とは、必ずしも閉じた円を意味するものではなく、サイドレール101は合口部を有していてもよい。また、サイドレール101は、平面視で真円状でもよいし、楕円状でもよい。なお、サイドレールの輪郭形状(内周面及び外周面等の形状)は輪郭形状測定機(例えば、ACCRETECH(東京精密)製)を使用して計測することができる。
図12はサイドレール101の内周側を拡大して示す断面図である。サイドレール101の内周面101bは、図12に示すように、軸方向の断面において、サイドレール101の高さ方向の中央部に位置する内側先端部101gを備える。内側先端部101gは以下の条件A1を満たしている。
条件A1:0.7≦R1/Lh0≦1.1
式中、R1は内側先端部101gを構成する曲線の曲率半径(単位:mm)を示し、Lh0はサイドレールの高さ(単位:mm)を示す。R1/Lh0の値が0.7~1.1の範囲であることで、ピストンの往復動の平均速度が秒速20mを超える場合であっても、オイル消費量の増大を十分に抑制することができる。
サイドレール101の高さLh0に対する内側先端部101gの高さLh2(図12における高さLh2)の比率Lh2/Lh0は、1以下であればよく、好ましくは0.5~0.75であり、0.5~0.7又は0.5~0.65であってもよい。高さLh2は、軸方向の断面において、一方の変曲点(凸状湾曲部C1の頂点)から他方の変曲点(凸状湾曲部C2の頂点)までの距離を意味する(図12参照)。Lh2/Lh0の値が上記範囲であることで、ピストンの往復動の平均速度が秒速20mを超える場合であっても、オイル消費量の増大をより一層確実に抑制することができる。
内周面101bは、図12に示すように、内側先端部101gを挟むように位置する周縁部P1,P2を更に備えてもよい。内側先端部101gと周縁部P1によって凸状湾曲部C1が構成され、内側先端部101gと周縁部P2によって凸状湾曲部C2が構成されていることが好ましい。周縁部P1,P2は以下の条件A2を満たすことが好ましい。
条件A2:0.2≦R2/Lh0≦0.5
式中、R2は周縁部P1,P2を構成する曲線の曲率半径(単位:mm)を示し、Lh0はサイドレールの高さ(単位:mm)を示す。R2/Lh0の値が0.2~0.5の範囲であることで、ピストンの往復動の平均速度が秒速20mを超える場合であっても、オイル消費量の増大を十分に抑制することができる。
図13はサイドレール101の外周側を拡大して示す断面図である。図13に示すように、サイドレール101の外周面101aは、軸方向の断面において、以下の条件A3を満たす外側先端部101hを有することが好ましい。
条件A3:0.1≦R0/Lh0≦0.23
式中、R0は外側先端部101hを構成する曲線の曲率半径(単位:mm)を示し、Lh0はサイドレール101の高さ(単位:mm)を示す。
第1及び第2の傾斜面101e,101fの角度θは30~50°であることが好ましい。なお、角度θは軸方向と直交する面と傾斜面101e,101fなす角度を意味する。軸方向の断面において、外周面101aの先端から、側面101cと傾斜面101eとの境界までの径方向の距離a(単位:mm)が以下の条件A4を満たすことが好ましい。
条件A4:0.1≦a/T≦0.2
式中、Tは軸方向の断面におけるサイドレール101の厚さ(単位:mm)を示す(図11(b)参照)。
ところで、近年、自動車エンジンに代表される内燃機関は、環境保護の観点から、高出力化、燃費の向上及び低エミッション化が図られている。例えば、高出力化の観点から、内燃機関は従来と比較して高い回転数で作動する傾向にある。この往復動の平均速度が秒速20mを超える場合、オイル消費量が増大する現象が観測される。従来の内周面が半円状の丸みを帯びているサイドレールと比べて、本開示に係るサイドレール101の内周面は、丸みを帯びていない。つまり、内周面の内側先端部が条件A1を満たしている。なお、内周面が半円状である場合、R1/Lh0の値は0.5である。内周面の内側先端部が条件A1を満たすことで、内燃機関が高い回転数で作動しているときであってもオイル消費量を十分に抑制できる。これは、高速運転時におけるサイドレールの挙動が安定化し、ピストン溝の内面にサイドレールの側面が当接しやすくなりシール性を向上したためと推察される。サイドレールの挙動は、シリンダとの摩擦力と、往復動に伴う慣性力の影響を受ける。往復動の高速化はオイルコントロールリングに加わる慣性力を増大させるため、摩擦力の影響よりも慣性力の影響の方が支配的になると推察される。内側先端部が条件A1を満たすことで、従来のサイドレールと比較して重心が内周面側にシフトするとともに、スペーサエキスパンダの耳部に当接する位置がシフトする。これらの事項がサイドレールの挙動の安定化に寄与していると推察される。すなわち、上記のようなサイドレール101及びこれを適用したオイルコントロールリングによれば、内燃機関が高い回転数で作動しているときであってもオイル消費量の増大を十分に抑制することができる。
本開示のサイドレールは、上記サイドレール101に限定されるものではない。例えば、上記サイドレール101においては、サイドレール101の内周面が軸方向の断面において曲率半径が異なる2つの円弧で構成されている場合を例示したが、サイドレールの内周面は軸方向の断面において曲率半径が異なる3つ以上の円弧で構成されていてもよい。例えば、図14に示すサイドレール103は曲率半径が異なる3つの円弧で構成されている。すなわち、サイドレール103の内周面103bは、曲率半径R1の内側先端部103gと、これを挟むように形成されている曲率半径R2の第1の周縁部P1,P2と、これらの外側に形成されている曲率半径R3の第2の周縁部Q1,Q2とによって構成されている。内周面103bは以下の条件A1a~A3aを満たすことが好ましい。なお、式中、Lh0はサイドレール103の高さを示し、Lh2は内側先端部(曲率半径R1の部分)の高さ(図14における高さLh2)を示す。
条件A1a:0.7≦R1/Lh0≦1.1
条件A2a:0.2≦R2/Lh0≦0.5
条件A3a:Lh2/Lh0≦1.0
上記条件103aに係る比率Lh2/Lh0の値は、より好ましくは0.5~0.75であり、更に好ましくは0.5~0.7であり、0.5~0.65であってもよい。なお、図14に示すように、Lh2は、軸方向の断面において、内側先端部103gの高さ(一方の変曲点から他方の変曲点までの距離)を意味する。Lh2/Lh0の値が上記範囲であることで、ピストンの往復動の平均速度が秒速20mを超える場合であっても、オイル消費量の増大をより一層確実に抑制することができる。
更には、サイドレール101を上述のピストンリング1と組み合わせて用いると、ピストンリング1と、サイドレール101と、一対のサイドレールの間に配置されるスペーサエキスパンダとで構成されたオイルコントロールリングと、を備えるピストンリングセットとして構成することができる。このようなピストンリングセットによれば、ピストンリング1によって、ピストンリング1の使用開始の初期のなじみ摺動による摩擦損失の低減が促進され、好適な微小なくさび形状の空間が容易に形成されることとなる。その結果、ピストンリング1の使用開始の初期において更なる低フリクション化を図ることができる。この作用効果に加えて、サイドレール101によって、内燃機関が高い回転数で作動しているときであってもオイル消費量の増大を十分に抑制することができる。したがって、例えばピストンリング1の使用開始の初期を経過した後に内燃機関が高い回転数で作動しているときのオイル消費量についての機能をピストンリング1に分担させる程度を抑えることができ、ピストンリング1をより一層ピストンリング1の使用開始の初期での低フリクション化を狙った構成とすることが可能となる。
[スペーサエキスパンダ]
<第1の例>
図15はスペーサエキスパンダの第1の例の平面図である。同図に示されるように、スペーサエキスパンダ110Aは環状であり、二つの端面110a,110bによって構成される合口部110cを有する。スペーサエキスパンダ110Aは、例えば、鋼板をプレス加工(切り曲げ加工及び打ち抜き加工)することによって、あるいは、バネ鋼からなる線材を複数の歯車によりかみ合わせながら塑性変形させることによって製造される。
スペーサエキスパンダ110Aは、耐摩耗性、耐凝着性等の向上の観点から、表面処理が施されたものであってもよい。例えば、無電解めっき及び電解めっき、硬質塗料コーティング、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、スパッタ法により、スペーサエキスパンダ110Aの表面に膜を形成してもよい。膜の材質としては、非晶質炭素膜、窒化クロム膜(CrN)、窒化チタン膜(TiN)、炭化チタン(TiC)、窒化アルミチタン(TiAlN)、窒化クロム(CrN)、TiCN、AlCrN、TiC、又はニッケル(Ni)やニッケルリン(NiP)などのニッケル合金からなるメッキ等が挙げられる。また、無機材料による皮膜以外にもポリイミド等の高分子皮膜を形成することでもよい。なお、高分子皮膜にはカーボンファイバーやグラスファイバーなどのフィラーを混入させたものであっても構わない。
図16は図15に示す一点鎖線で囲った領域を拡大して示す斜視図である。図10に示されるように、オイルコントロールリング150は、一対のサイドレール101,102と、一対のサイドレール101,102の間に配置されるスペーサエキスパンダ110Aとを備える。サイドレール101,102の外周部がシリンダボアBの内面Baに接している。図10においてハッチングで示した部分の厚さ(スペーサエキスパンダの板厚)は、例えば、0.1mm~0.7mmである。この部分をなるべく厚くすることで、より高い張力が得られるとともに、サイドレール101,102との接触面積を確保できるので、より優れた摩耗低減効果が得られる。また、スペーサエキスパンダ110Aの後述する各部の剛性も増強できる。なお、サイドレール101,102としては従来公知のものを使用することができる。サイドレールの外周面形状や内周面形状はサイドレール101,102と異なるものであってもよく、例えば、必ずしも対称性を有する断面形状でなくてもよい。
スペーサエキスパンダ110Aは、サイドレール101,102の内周面101b,102bがそれぞれ当接する複数の耳部105と、サイドレール101,102の側面101d,102cとそれぞれ対面する複数のレール対面部107とを有する。レール対面部107は、耳部105よりも外周側であって耳部105と隣接した位置に形成されている。スペーサエキスパンダ110Aにサイドレール101,102が組み合わされた状態において、耳部105にサイドレール101,102の内周面101b,102bが当接し且つレール対面部107とサイドレール101,102の側面101d,102cが対面するため、耳部105はレール対面部107よりも高く形成されている。スペーサエキスパンダ110Aは、耳部105と、レール対面部107とによって構成される開口105hを有する。
耳部105におけるサイドレール101,102が当接する面は軸方向に対して傾斜している。図10に示す傾斜角αは、好ましくは5~30°であり、より好ましくは10~25°である。
スペーサエキスパンダ110Aは、例えば、作業台に置かれたときに、山部110Mと谷部110Vが交互に連なる形状を有する。スペーサエキスパンダ110Aの山部110M(図16における上側)に位置する耳部105と、谷部110V(図16における下側)に位置する耳部105は実質的に同じ形状である。また、スペーサエキスパンダ110Aの山部110M(図16における上側)に位置するレール対面部107と、谷部110V(図16における下側)に位置するレール対面部107も実質的に同じ形状である。よって、作業台の上に置かれたスペーサエキスパンダ110Aの上下を逆さにすれば、図16に示す山部110Mが谷部110Vとなり、谷部110Vが山部110Mとなる。
以下、スペーサエキスパンダ110Aの山部110Mに位置する耳部105及びレール対面部107について説明し、谷部110Vに位置する耳部105及びレール対面部107の説明は省略する。なお、以下でいう耳部105及びレール対面部107における「最も高い位置」等の高さに関する記述はスペーサエキスパンダ110Aを作業台に置いた状態において、上側に位置する山部110Mの耳部105及びレール対面部107を対象としたものである。この状態において、下側に位置する谷部110Vの耳部105及びレール対面部107については、厳密には、例えば、耳部105及びレール対面部107における「最も低い位置」と称すべきとも言えるが、上述のとおり、スペーサエキスパンダ110Aの上下を単に逆さすれば、谷部110Vは山部110Mとなることから、本開示において「最も高い位置」等の表現は谷部110Vの耳部105及びレール対面部107に対しても適用されるものである。
耳部105はサイドレール101の内周面101bが当接する部分である。耳部105の形状は、不等式(1)で表される条件B1を満たすことが好ましく、不等式(2)で表される条件B2を満たすことがより好ましい。
W/H≧1.5…(1)
W/H≧1.7…(2)
Wは耳部105の最も高い位置からレール対面部107の方向(スペーサエキスパンダ110Aの厚さ方向)に0.05mm移動した位置における耳部105の幅(単位:mm)を示し(図24(a)参照)、Hはレール対面部107における耳部と隣接する領域の最も高い位置と耳部の最も高い位置の高低差(単位:mm)を示す(図25(a)参照)。なお、幅Wの位置を特定するにあたり、耳部105の最も高い位置からレール対面部107の方向(図24(a)のグラフにおける下方)に0.05mm移動した位置としたのは、オイルコントロールリング150の使用初期において、耳部105の当該位置にサイドレール101,102が当接する頻度が高いと推察されるからである。
W/Hの値が1.5以上である耳部105は、W/Hの値が1.5未満のものと比較して、サイドレール101との接触による摩耗量を抑制できる。W/Hの値の上限値は、スペーサエキスパンダ110Aから発生する張力の観点から、例えば、5.0である。耳部105の頂部は、平坦な部分を有していてもよい。あるいは、耳部105の頂部は平坦な部分を有していなくてもよい。すなわち、耳部105の側面の形状は連続的な曲面から形成されていてもよく、換言すれば、耳部105の側面形状は曲率の異なる曲面が連続した形状であってもよい。かかる構成を採用することで、スペーサエキスパンダの製造が容易になるとともに、塑性変形時に応力集中が発生しにくい形状にすることができる。それゆえ、折損などの発生を低減することが可能となる。
耳部105の幅Wが例えば0.7~1.8mmであるとき、耳部105の高さHは0.2~0.75であることが好ましい。幅Wが例えば1.0~1.8mmであるとき、高さHは0.2~0.65mmであることが好ましい。幅Wが例えば1.3~1.8mmであるとき、高さHは0.35~0.7mmであることが好ましい。これらの値は、スペーサエキスパンダ110Aの径、材料の強度及び耳部のピッチ等に応じて適宜設定すればよい。
上述のとおり、W/Hの値が1.5以上である(耳部105が比較的平たい)ことで、耳部の幅に比して耳部の高さが抑えられた形状となるため、スペーサエキスパンダ110Aの耳部の機械的強度を高くすることができる。このため、ピストンの往復運動に伴ってスペーサエキスパンダ110Aが外力を受けても、スペーサエキスパンダ110Aの張力をサイドレール101,102に安定して伝達することができ、スペーサエキスパンダ110Aに支持されるサイドレール101,102の姿勢を安定した状態に維持することができる。ひいては、サイドレール101,102によるオイル掻き性能が安定し、その結果、オイル消費量も安定する。また、板材や線材から塑性変形させて、スペーサエキスパンダ110Aを得るような製造方法の場合、耳部105の高さが高くなるにつれて塑性変形により形状変化をさせる体積が大きくなるので、製造上困難さを増すことになるが、耳部105は、その幅に比して高さが抑えられているため、そのような製造上の困難さについては従来のスペーサエキスパンダに比べて低い。
上述のとおり、耳部105の高さHは、レール対面部107における耳部105と隣接する領域の最も高い位置と、耳部105の最も高い位置の高低差である。レール対面部107における「最も高い位置」の探索範囲は、レール対面部107のうち耳部105に隣接する領域の範囲内となる。図25(a)は、スペーサエキスパンダ110Aのレール対面部107における耳部105に隣接する領域の最も高い位置と、耳部105の最も高い位置の高低差(耳部105の高さH)の求め方を示したものである。なお、図25(b)~図25(f)は後述のスペーサエキスパンダの耳部105の高さHの求め方を示したものである。いずれの図においても、耳部105の最も高い位置を通る直線をh2とし、レール対面部107における耳部と隣接する領域の最も高い位置を通る直線をh1として示している。直線h1,h2はいずれも、各々の山部においてスペーサエキスパンダ110Aの接線方向に平行な直線である。
なお、後述する第3の例のように、耳部105から離れた外周端にサイドレール側面に当接する凸部(平坦部107c)を設けた場合、レール対面部107のうち、凸部以外の領域において最も高い位置となる場所を探すことになる。この場合、レール対面部107における最も高い位置の探索方法は、複数の山部におけるそれぞれの耳部105の最も高い位置を概略直線でつないだ包絡線を基準に、レール対面部107の耳部105と隣接した領域における、その包絡線と最も距離が近い位置を最も高い位置としている。
レール対面部107は、図16に示されるように、平坦な面で構成されている。平坦な面にサイドレール101,102が当接し、これによりサイドレール101,102が支持される。
<第2の例>
スペーサエキスパンダ110Bは、レール対面部107が平坦な面を有する代わりに、径方向に延びるように形成された隆起部107bを有することの他は、スペーサエキスパンダ110Aと同様の構成を有する(図17参照)。レール対面部107が隆起部107bを有することで、エンジンオイルやこれに含まれる異物がレール対面部107の表面上に滞留することを十分に抑制できるとともに、レール対面部107とサイドレール101の固着を十分に抑制することができる。隆起部107bはスペーサエキスパンダ110Bの外周側の端部にまで延びている。
<第3の例>
スペーサエキスパンダ110Cは、レール対面部107が平坦な面を有する代わりに、外周側に平坦部107cを有するとともに、耳部105と平坦部107cとの間に径方向に延びるように形成された窪み107aを有することの他はスペーサエキスパンダ110Aと同様の構成を有する(図18参照)。かかる構成を採用することで、レール対面部107とサイドレール101,102の間におけるスラッジ等の燃焼生成物の滞留を防ぐことができる。また、固着の抑制にも寄与する。窪み107aの深さ(レール対面部107の最も高い位置と窪み107aの最も低い位置の高低差)は、例えば、50~500μmである。平坦部107cは、スペーサエキスパンダ110Cの外周側の縁部に沿って形成されている。平坦部107cの高さを耳部105よりも低く且つレール対面部107の他の部分よりも高く形成することで、サイドレール101が平坦部107cに当接した状態において、レール対面部107における他の部分とサイドレール101との間に隙間が形成される。なお、平坦部107cは「突起部」とも称され、レール対面部107における平坦部107c以外の領域(耳部105と平坦部107cとをつなぐ部分)は「中手部」とも称される。レール対面部107が平坦部107cを有することで、サイドレール101,102の側面101d,102cとスペーサエキスパンダ110Cとの間に空間が形成され、サイドレール101,102でシリンダボアから掻き落されたオイルが耳部105とレール対面部107の間に掻き落され、効率的にスペーサエキスパンダ110Cの内周側に流すことができるという効果が奏される。
図19(a)及び図19(b)は、図18に示すスペーサエキスパンダ110C及びこれに装着されたサイドレール101,102の断面図であり、互いに異なる態様を図示したものである。いずれの態様においても、レール対面部107において平坦部107cとその他の領域7d(中手部)に段差が設けられている。図19(a)に示す態様は、レール対面部107において平坦部107cとその他の領域7dの間が切断されておらず、部材が連続している。つまり、この部分に貫通孔は形成されていない。これに対し、図19(b)に示す態様においては、レール対面部107において平坦部107cとその他の領域7dの間が切断されており、この部分に貫通孔7hが形成されている。貫通孔7hは形成されていても、形成されていなくてもよいが、ディーゼルエンジン内のように異物が存在しやすい環境で使用される場合、異物によって貫通孔7hが閉塞されるおそれがあるとともに、貫通孔7hを設けることで張力の経年劣化の程度が大きくなる場合がある。内燃機関の環境により、これらの懸念がある場合、図19(a)に示すように、貫通孔7hが形成されていないスペーサエキスパンダを使用することが好ましい。他方、貫通孔7hを設けることで、シリンダボアから掻き落されたオイルは効率的にスペーサエキスパンダ110Cの内周側に流すことができる機会が多くなる。なお、貫通孔7hは、例えば、窪み107aの最深部と平坦部107cとによって形成されるものであってもよい。
図19(a)及び図19(b)に示す断面において、サイドレール101,102の重心Gは平坦部107cよりも内側に位置していることが好ましい。かかる構成を採用することで、高速運転時におけるサイドレール101,102の挙動の安定化が図られ、これにより、オイル消費量の増大をより一層効果的に抑制することができる。
<第4の例>
スペーサエキスパンダ110Dは、レール対面部107が平坦な面を有する代わりに、外周側に平坦部107cを有するとともに耳部105と平坦部107cとの間に径方向に延びるように形成された隆起部107bを有することの他はスペーサエキスパンダ110Aと同様の構成を有する(図20参照)。平坦部107cは、スペーサエキスパンダ110Dの外周側の縁部に沿って形成されている。スペーサエキスパンダ110Dにサイドレール101,102が組み合わされた状態において、耳部105にサイドレール101,102の内周面101b,102bが当接し且つレール対面部107の平坦部107cにサイドレール101,102の側面101d,102cが対面するため、平坦部107cは耳部105よりも低く形成されている。
<第5の例>
スペーサエキスパンダ110Eは、レール対面部107が平坦な面を有する代わりに、レール対面部107が径方向に延びる窪み107aを有することの他はスペーサエキスパンダ110Aと同様の構成を有する(図21参照)。窪み107aはスペーサエキスパンダ110Eの外周側の端部にまで延びている。かかる構成のスペーサエキスパンダ110Eは、上述のスペーサエキスパンダと比較して塑性変形による加工がしやすいというメリットがある。
<第6の例>
スペーサエキスパンダ110Fは、レール対面部107が平坦な面を有する代わりに、外周側に平坦部107cを有することの他は、スペーサエキスパンダ110Aと同様の構成を有する(図22参照)。かかる構成のスペーサエキスパンダ110Fは、上述の第6の例のスペーサエキスパンダと同様、塑性変形による加工がしやすいというメリットがある。
上記の例のスペーサエキスパンダに限定されるものではない。例えば、上記の例では、耳部105におけるサイドレール101の内周面101bが当接する面が平坦である場合を例示したが、耳部105の内周面101bが当接する面は、スペーサエキスパンダの厚さ方向(耳部105の高さ方向)に延びる複数の凸部105bを有し、これらの凸部105bが耳部105の幅方向に並ぶように形成されていてもよい。
図23(a)は、スペーサエキスパンダを外周側から見た図であり、軸方向に波形形状(山部及び谷部)を有しており、一方のサイドレール101を押圧する山部110Mの耳部105と、他方のサイドレール102を押圧する谷部110Vの耳部105が形成されている。耳部105には、凹部及び凸部が略軸方向に延長する周方向凹凸形状の凹凸部が形成されている。凸面の接触面積を小さくして接触面圧を高めることで、サイドレールの単独回転を防止することができる。図23(b)及び図23(c)は図23(a)におけるA-A断面図であって、図23(b)は凸部が高い態様を示す断面図であり、図23(c)は凸部が低い態様を示す断面図である。これらの図に示すように、凸部105bは、凹面161から突出するように形成されており、凸面162と、凸面162と凹面161とを繋ぐ側面163とからなる。
一つの耳部105において、少なくとも5本(より好ましくは7本)の凸部105bが耳部105の幅方向に並ぶように形成されていることが好ましい。凸部105bは、例えば、隣り合う二つの凸部105bの間を切削することによって凹部を形成することで形成される。
上記各例は、すべての耳部105及びレール対面部107が実質的に同じ形状である場合を想定したものであるが、これらが必ずしも実質的に同じ形状でなくてもよい。また、スペーサエキスパンダの一方の側面側に形成されている複数の耳部105のうち、すべての耳部105が不等式(1)又は不等式(2)で表される条件を満たさなくてもよい。例えば、一方の面側に形成されている複数の耳部105のうち、少なくとも半分が不等式(1)又は不等式(2)で表される条件を満たすものであってもよい。
ところで、近年、自動車エンジンに代表される内燃機関は、環境保護の観点から、高出力化、燃費の向上及び低エミッション化が図られている。これに伴い、オイルコントロールリングが使用される条件がよりシビアとなりつつある。例えば、高出力化の観点から、従来と比較してエンジンの回転数が高い傾向にあり、オイルコントロールリングがより高速でシリンダボア内を往復動する。これにより、サイドレールとの接触によって耳部が摩耗しやすい。耳部におけるサイドレールとの接触面が摩耗すると、シリンダボアの内壁に対するサイドレールの面圧が低下してオイル掻き性能が低下する。また、燃費向上の観点から、より潤滑性に優れるエンジンオイルが使用される傾向にあり、サイドレールとスペーサエキスパンダの相対的な位置が周方向にずれる現象が生じやすい。これもサイドレールによる耳部の摩耗及びオイル掻き性能の低下を招来する。
上述の本開示に関する評価試験によれば、W/Hの値が1.5以上の耳部を有するスペーサエキスパンダは、W/Hの値が1.5未満のものと比較して耳部の摩耗量を抑制できることが見出された。また、耳部の幅に比して耳部の高さを制限した寸法比になっているため、耳部の強度や加工性の観点からも好適である。W/Hの値の上限値は、スペーサエキスパンダで発生させる張力の観点から、例えば、5.0である。すなわち、上記のようなスペーサエキスパンダ110A~110F及びこれを適用したオイルコントロールリングによれば、サイドレールとの接触による耳部の摩耗を抑制することができる。
なお、本開示に係るオイルコントロールリングは、上述のとおり、耳部の摩耗を十分に抑制できることから、ディーゼルエンジンに適用可能である。従来のスリーピースオイルコントロールリングは、ガソリンエンジンに広く適用されているものの、耳部の耐摩耗性が不十分であることから、ディーゼルエンジンには一般に適用されていない。これは、ディーゼルエンジンにおいては、燃焼時に発生するカーボンなどの硬質粒子がエンジンオイル中に多く含まれた状態で潤滑されるため、各部位の摩耗がガソリンエンジンと比較して顕著であり、スペーサエキスパンダの耳部も比較的早期に摩耗して、オイル掻き性能が低下しやすいことが理由として挙げられる。
更には、スペーサエキスパンダ110A~110Fを上述のピストンリング1と組み合わせて用いると、ピストンリング1と、スペーサエキスパンダ110A~110F及びこれを適用したオイルコントロールリングと、を備えるピストンリングセットとして構成することができる。このようなピストンリングセットによれば、ピストンリング1によって、ピストンリング1の使用開始の初期のなじみ摺動による摩擦損失の低減が促進され、好適な微小なくさび形状の空間が容易に形成されることとなる。その結果、ピストンリング1の使用開始の初期において更なる低フリクション化を図ることができる。この作用効果に加えて、スペーサエキスパンダ110A~110Fによって、サイドレールとの接触による耳部の摩耗が抑制されるため、オイル掻き性能の低下を抑制することができる。したがって、例えば中長期的なオイル掻き性能の低下抑制についての機能をピストンリング1に分担させる程度を抑えることができ、ピストンリング1をより一層ピストンリング1の使用開始の初期での低フリクション化を狙った構成とすることが可能となる。
1,1A…ピストンリング、101,102,103…サイドレール、2…本体部、2a…側面(一側面)、2b…側面(他側面)、2c,3c,101b,102b,103b…内周面、2d,101a,102a…外周面、2e…インナーカット面、21…第1湾曲面、21a…第1境界、21b…第1仮想線、22…第2湾曲面、22a…第2境界、22b…第2仮想線、23…中間面、101g,103g…内側先端部、105…耳部、107…レール対面部、110A~110F…スペーサエキスパンダ、150…オイルコントロールリング、A…幅方向(方向)。

Claims (9)

  1. 内周面及び外周面と、前記内周面に略直交する一側面及び他側面とを有する環状の本体部を備えたピストンリングであって、
    前記外周面の前記一側面側において前記本体部の径方向外側に向かって凸状に湾曲する第1湾曲面と、
    前記外周面の前記他側面側において前記本体部の径方向外側に向かって凸状に湾曲する第2湾曲面と、
    前記第1湾曲面と前記第2湾曲面とを接続するように前記一側面と前記他側面とを結ぶ方向に沿って延在する中間面と、を備え、
    前記中間面は、少なくとも一部に平坦部を有し、
    前記方向に沿う前記中間面の幅は、0.05mm以上且つ0.30mm以下である、ピストンリング。
  2. 前記平坦部は、前記方向に沿って前記中間面の前記幅の50%以上の幅寸法を有する、請求項1に記載のピストンリング。
  3. 前記第1湾曲面と前記中間面との第1境界において前記第1湾曲面に接する第1仮想線が前記中間面となす角度である第1くさび角度、及び、前記第2湾曲面と前記中間面との第2境界において前記第2湾曲面に接する第2仮想線が前記中間面となす角度である第2くさび角度、の少なくともいずれかは、1.5°以下である、請求項1又は2に記載のピストンリング。
  4. 前記中間面のうち最も前記径方向外側に位置する最外部は、前記中間面の前記方向における中央部よりも前記一側面側に配置されている、請求項1~3の何れか一項に記載のピストンリング。
  5. 前記中間面のうち最も前記径方向外側に位置する最外部は、前記中間面の前記方向における中央部よりも前記他側面側に配置されている、請求項1~3の何れか一項に記載のピストンリング。
  6. 前記一側面と前記内周面とを接続するように前記方向に対して傾斜して延在するインナーカット面を備える、請求項1~5の何れか一項に記載のピストンリング。
  7. 所定のシリンダ装着状態における前記ピストンリングのねじれ角は、5′~90′である、請求項6に記載のピストンリング。
  8. 請求項1~7の何れか一項に記載のピストンリングと、
    一対のサイドレールと一対の前記サイドレールの間に配置されるスペーサエキスパンダとで構成されたオイルコントロールリングと、を備えるピストンリングセットであって、
    前記サイドレールは、
    外周面と、内周面と、第1の側面と、第2の側面とを有し、
    前記内周面は、軸方向の断面において上下対称の形状を有しており、
    前記軸方向の断面において、前記サイドレールの前記内周面が以下の条件A1を満たす内側先端部を有する、ピストンリングセット。
    条件A1: 0.7≦R1/Lh0≦1.1
    式中、R1は前記内側先端部を構成する曲線の曲率半径(単位:mm)を示し、Lh0は前記サイドレールの高さ(単位:mm)を示す。
  9. 前記スペーサエキスパンダは、前記サイドレールの内周面が当接する複数の耳部と、前記耳部と隣接して設けられており、前記サイドレールの側面と対面する複数のレール対面部とを有し、
    前記複数の耳部の全部又は少なくとも一部が以下の条件B1を満たす、請求項8に記載のピストンリングセット。
    条件B1: W/H≧1.5
    式中、Wは前記耳部の最も高い位置から前記レール対面部の方向に0.05mm移動した位置における前記耳部の幅(単位:mm)を示し、Hは前記レール対面部における前記耳部と隣接する領域の最も高い位置と前記耳部の最も高い位置の高低差(単位:mm)を示す。
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