JP7049693B2 - ルーメンバイパス製剤の製造方法とこれにより得られた顆粒剤 - Google Patents
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Description
(1)ルーメンバイパス製剤を製造する方法であって、
ルーメンバイパス製剤用の被覆剤と、ルーメンをバイパスさせる栄養素との溶融物が含まれている、少なくとも1つの噴射口を有するダイヘッドまたはダイヘッドに含まれる前記溶融物に振動を加え、これにより、溶融物を噴射口から噴射させることを含む、方法。(2)振動が1000Hz~10000Hzの範囲の振動である、上記(1)に記載の方法。
(3)振動が3000Hz~7000Hzの範囲の振動である、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)振動が、ダイヘッド内腔に露出し溶融物に直接接触する振動子を介して溶融物に与えられる、上記(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)被覆剤が硬化油である、上記(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)硬化油がパーム硬化油および菜種硬化油からなる群から選択される1以上の硬化油である、上記(5)に記載の方法。
(7)被覆剤が脂肪酸およびレシチンからなる群から選択される1以上をさらに含む、上記(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
(8)栄養素が、アミノ酸またはビタミンである、上記(1)~(7)のいずれかに記載の方法。
(9)栄養素が、リジン、メチオニン、ビタミンBおよびビタミンDからなる群から選択される1以上の栄養素である上記(1)~(8)のいずれかに記載の方法。
(10)ルーメンをバイパスする成分とルーメンバイパス用の担体とを含み、全顆粒の40%重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有する顆粒剤である、ルーメンバイパス製剤。
(11)ルーメンをバイパスする成分とルーメンバイパス製剤用の被覆剤とを含み、全顆粒の50%重量/重量%以上が、700~1500μmの粒径を有する顆粒剤である、ルーメンバイパス製剤。
(12)5μL/g以上の孔容量を有する、上記(10)または(11)に記載のルーメンバイバス製剤。
(13)上記(1)~(9)のいずれかに記載の方法により得られる、ルーメンバイバス製剤。
護剤」または「ルーメンバイパス用の保護剤」と同義であり、相互互換的に用いられ得る。
ルーメンバイパス用の担体と、ルーメンをバイパスさせる成分との溶融物が含まれている、少なくとも1つの噴射口を有するダイヘッドまたは前記溶融物に振動を加え、これにより、溶融物を噴射口から噴射させることを含む方法が提供される。
このようなルーメンバイパス用の担体の具体的な例としては、特に限定されないが、ロウ、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセロリン脂質および硬化油が挙げられる。硬化油としては、ヒマシ硬化油、パーム硬化油および菜種硬化油が挙げられる。グリセロリン脂質としては、レシチンが挙げられる。
本明細書で、「溶融物」と述べた場合には、ルーメンをバイパスさせる成分が担体に完全に溶解したものだけではなく、ルーメンをバイパスさせる成分が顆粒形態で担体の溶融物中に分散しているものも含んだ意味で用いられる。通常は、ルーメンバイパス用の担体は、脂溶性であるので、脂溶性成分を有効成分として用いる場合には、有効成分は担体に溶解させることができ、水溶性成分を有効成分として用いる場合には、水溶成分を含有する固形粒子を担体に分散させることができる。
ヘッドから溶融物を噴射させ、顆粒剤を得ることができる。振動を加える際には、ダイヘッドは全体を振動させることもできるし、ダイヘッドの内腔に振動子を露出させ、露出した振動子と溶融物とを直接的に接触させて振動子を振動させてもよい。
振動は、溶融物が噴射されるために十分な振動を与えることができる。振動は、例えば、周波数において1,000Hz~10,000Hzとすることができ、3,000Hz~7,000Hzとすることができ、5,000~7000Hzとすることができる。振動数は、可変であってもよいが、好ましくは一定であってもよい。
ダイヘッド100は、溶融物の導入口21と内腔30と溶融物の噴射口22を備える。図1では、噴射口を2つ備え、それぞれ22aおよび22bで示されているが、噴射口の数は1つまたは複数とすることができ、例えば8~32個とすることができ、特に限定されない。ダイヘッドは、内腔30を備え、導入口21から導入された溶融物で満たすことができる。また、内腔は、溶融物の噴射口22につながっており、溶融物は内腔30から噴射口22を介して噴射される。
ダイヘッド100は、さらに振動子11を備える振動発生装置10と連結している。振動発生装置10は、振動子11を図1の矢印方向に振動させることができる。振動子11は、ダイヘッドの内腔30に露出しており、振動子11が振動することにより、内腔30に満たされている溶融物に振動を与えることができる。溶融物は、振動を加えることにより噴射口22から噴射され、顆粒40を形成する。
噴射口22は、例えば、ダイホール径を0.5~1.0mm、例えば、0.6~0.8mm、例えば、略0.7mmとすることができる。本発明のある態様では、得たい顆粒剤の粒径の約半分程度の径を有するダイホールが好ましく用いられ得る。
ルーメンバイパス用の担体と、ルーメンをバイパスさせる成分との溶融物を、少なくとも1つの噴射口を有するダイヘッドに導入することと、
ダイヘッド内腔に充填された前記溶融物に振動を加え、これにより、溶融物を噴射口から噴射させることと、
噴射された溶融物を冷却することと、
を含む、方法が提供され得る。
ルーメンバイパス用の担体と、ルーメンをバイパスさせる成分との溶融物を、少なくとも1つの噴射口を有するダイヘッドに導入することと、
ダイヘッド内腔に充填された前記溶融物に振動を加え、これにより、溶融物を噴射口から噴射させることと、
噴射された溶融物を冷却することと、
を含み、
振動は、ダイヘッド内腔に露出し溶融物に直接接触する振動子を介して溶融物に与えられ、振動は、1000Hz~10000Hzの範囲の振動である、方法が提供される。
本発明のある態様では、本発明の方法により得られたルーメンバイパス製剤が提供される。本発明のある態様では、本発明の方法により得られたルーメンバイパス製剤は、5μL/g以上、10μL/g以上、20μL/g以上、30μL/g以上、40μL/g以上、50μL/g以上、60μL/g以上、70μL/g以上、80μL/g以上、90μL/g以上、または100μL/g以上の孔容積を有し得る。
HPO4・12H2O)6.3gとリン酸二水素カリウム(KH2PO4)6.7g/Lを含む水溶液900mL(pH6.4)を用いることができる。
本実施例では、ビタミンD3製剤を調製し、その粒度分布を示す。
する振動造粒装置に送液し、1000~10000Hzの振動を与え冷気中に噴射した。凝固したルーメンバイパスビタミンD3については、日本薬局方の粒度測定法(ふるい分
け法)に基づき粒度分布を測定した。振動は、p-p値が5mmの正弦波とした。
得られた顆粒から日本薬局方のふるい分け法に従って1000μm~1519μmの粒径を有する顆粒を得て更なる詳細の分析を行った。本実施例では、特に、細孔サイズの分布について分析した。
D=-4γCOSθ/P
{式中、Dは細孔直径、γは水銀の表面張力(すなわち、480ダイン/cm)、θは水銀と細孔壁面の接触角(すなわち、140度)である}により求めた。細孔サイズ分布は、島津製作所製ポロシメーター用データ処理ソフトPOREPLOT-PCW ver.1.02を用いて求め
た。結果は図5に示される通りであった。
た。
上記実施例1-1で得られた顆粒には、1000μm以上の粒径を有する顆粒が高い割合で含まれていた。粒径の大きい顆粒は、ルーメンでの溶出耐性が高いと考えられるので、本実施例では、疑似第一胃液を用いて、実施例1-1で得られた顆粒の耐溶出性を検討した。具体的には以下の手順で耐溶出性を確認した。
する振動造粒装置に送液し、1000~10000Hzの振動を与え冷気中に噴射した。凝固したルーメンバイパスビタミンD3については、1000μm~1519μmの粒径
を有する顆粒を分取し溶出試験を行った。溶出試験では、具体的には、疑似第一胃液としては、リン酸水素二ナトリウム12水和物(Na2HPO4・12H2O)6.3gとリン
酸二水素カリウム(KH2PO4)6.7g/Lを含む水溶液(pH6.4)900mLを用い、1000μm~1519μmの粒径を有する顆粒を上記疑似第一胃液に浸漬し、40℃で16時間攪拌した。攪拌後、溶出した有効成分溶出したビタミンD3はElabscience Biotechnology社製VD3 ELISA キットを用いて定量した。なお、本実施例における検出限
界は、含有量の2.37%であった。
本実施例では、ルーメンバイパスリジン製剤を調製し、その粒度分布を示す。
上記実施例2-1において、1000Hz、3000Hz、5000Hzまたは10000Hzの振動により得られた顆粒から日本薬局方のふるい分け法に従って、それぞれ1000μm~1519μmの粒径を有する顆粒を得て更なる詳細の分析を行った。本実施例では、特に、得られた顆粒からのリジンの溶出を下記溶出試験により調べた。
g/Lを含む水溶液(pH6.4)900mLを用いた。上記により得られた1000μm~1519μmの粒径を有する顆粒を上記疑似第一胃液に浸漬し、40℃で16時間攪拌した。攪拌後、溶出した有効成分は、常法により、ニンヒドリン溶液(ニンヒドリン5mg、塩化第二銅二水和物8.5mg、クエン酸24mg、2-メトキシエタノール、375μL/mL)を溶出成分を含む溶液と反応させ、475nmの吸光を測定することにより求めた。結果は、表2-1に示される通りであった。
0.3μmの細孔が頻度高く観察された。図6の「c」の領域に含まれる細孔のデータから「b」の領域をバックグラウンドとして差し引いて、「c」に含まれるサイズを有する細孔について、顆粒中の孔の容積を計算すると、0.0182mL/g(18.2μL/g)程度の孔容積を有することが分かった。
本実施例では、ビタミンB-メチオニン製剤を調製し、その粒度分布を示す。
上記実施例3-1において、5000Hz、7000Hzまたは10000Hzの振動により得られた顆粒から日本薬局方のふるい分け法に従って、それぞれ1000μm~1519μmの粒径を有する顆粒を得て更なる詳細の分析を行った。本実施例では、特に、
得られた顆粒からのビタミン等の溶出を下記溶出試験により調べた。
1519μmの粒径を有する顆粒を上記疑似第一胃液に浸漬し、40℃で16時間攪拌した。攪拌後、溶出した有効成分を高速液体クロマトグラフィー(カラム: wakopak Handy ODS (wako pure chemical Ind.)(Φ 4.6×150 mm))により分析した。各溶出成分量は、
常法により、UV吸光度検出器(製品名:UV-970、製造者名:日本分光)を用い210nmの吸光を測定することにより測定した。結果は、表3-1~表3-3に示される通りであった。
実施例1と同様に得られた顆粒から日本薬局方のふるい分け法に従って1000μm~1519μmの粒径を有する顆粒を得て細孔サイズの分析を行った。結果は図7に示される通りであった。
本実施例では、ルーメンバイパスビタミンD3製剤の安定性を試験した。
タミンD3の含有量をp-anisaldehyde法を用いて定量した。結果は、表4
に示される通りであった。
なかった。
k=Aexp(-Ea/RT)
{式中、kは速度定数を示し、Aは温度に無関係な定数を示し、Eaは1モルあたりの活性化エネルギーを示し、Rは気体定数を示し、Tは絶対温度を示す。}
を用いて放出制御型ビタミンD3製剤の安定な期間を推定すると、710μm以上の粒径
を有する放出制御型ビタミンD3製剤は常温で少なくとも1年間安定であることがわかっ
た。以上の結果より、710μm以上の粒径、特に1000μm~1510μmの粒径を有する顆粒は保存安定性に優れることが確認できた。
本実施例では、顆粒の粒径とバイパス率(すなわち、第一胃を通過する割合)との関係を調べた。
バイパス率=(有効成分含有量-模擬第一胃液有効成分溶出量)/有効成分含有量
として計算した。
.3gとリン酸二水素カリウム(KH2PO4)6.7g/Lを含む水溶液(pH6.4)900mLとし、40℃で16時間攪拌した。結果は表5に示される通りであった。
100:ダイヘッド全体、10:振動発生装置、11:振動子、20:ダイヘッドの外壁、21:導入口、22a,22b:噴射口、30:溶融物が充填されたダイヘッドの内腔、40a:バイパスする成分を含む粒子を含むルーメンバイパス製剤の顆粒、40b:バイパスする成分を溶解したルーメンバイパス製剤の顆粒、41:バイパスする成分を含む粒子、42:被覆剤、45:バイパスさせる成分を溶解した担体
Claims (13)
- ルーメンをバイパスする成分を溶解したルーメンバイパス用の担体を含む顆粒を含み、全顆粒の40重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有する顆粒剤である、ルーメンバイパス製剤。
- ルーメンをバイパスする成分を含む粒子と当該粒子を被覆するルーメンバイパス製剤用の被覆剤を含む被覆層とを含む顆粒を含み、被覆層は1層であり、全顆粒の40重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有する顆粒剤であり、かつ、被覆剤が、レシチンを含む、ルーメンバイパス製剤。
- 全顆粒の60重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有する顆粒剤である、請求項2に記載のルーメンバイパス製剤。
- ルーメンをバイパスする成分を含む粒子と当該粒子を被覆するルーメンバイパス製剤用の被覆剤を含む被覆層とを含む顆粒を含み、被覆層は1層であり、全顆粒の40重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有する顆粒剤であり、但し、被覆剤は、エチルセルロースを含まない、ルーメンバイパス製剤。
- 全顆粒の60重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有する顆粒剤である、請求項4に記載のルーメンバイパス製剤。
- ルーメンをバイパスする成分を含む粒子と当該粒子を被覆するルーメンバイパス製剤用の被覆剤を含む被覆層とを含む顆粒を含み、被覆層は1層であり、全顆粒の40重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有する顆粒剤であり、かつ、当該粒子の数平均粒径が500μm未満である、ルーメンバイパス製剤。
- 全顆粒の60重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有する顆粒剤である、請求項6に記載のルーメンバイパス製剤。
- ルーメンをバイパスする成分を含む粒子と当該粒子を被覆するルーメンバイパス製剤用の被覆剤を含む被覆層とを含む顆粒を含み、被覆層は1層であり、全顆粒の40重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有する顆粒剤であり、かつ、当該粒子の数平均粒径が400μm未満である、ルーメンバイパス製剤。
- 全顆粒の60重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有する顆粒剤である、請求項8に記載のルーメンバイパス製剤。
- 被覆剤が、レシチンを含む、請求項6~9のいずれか一項に記載のルーメンバイパス製剤。
- ルーメンをバイパスする成分は粒子状であるが、但し、被覆剤は、エチルセルロースを含まない、請求項2、3および6~9のいずれか一項に記載のルーメンバイパス製剤。
- 顆粒が、孔を有し、孔が5μL/g以上の孔容量を有する、請求項1に記載のルーメンバイパス製剤。
- ルーメンをバイパスする成分を含む粒子と当該粒子を被覆するルーメンバイパス製剤用の被覆剤を含む被覆層とを含む顆粒を含む、ルーメンバイパス製剤であって、
全顆粒の40重量/重量%以上が、1000~1519μmの粒径を有し、かつ、
孔を有し、孔が5μL/g以上の孔容積を有する顆粒を含む、
ルーメンバイパス製剤。
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