JP7046544B2 - 光学素子、光学機器、光学素子の製造方法および塗料 - Google Patents

光学素子、光学機器、光学素子の製造方法および塗料 Download PDF

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Description

本発明は、広帯域で反射防止効果の高い光学素子、それを用いた光学機器、光学素子の製造方法および塗料に関する。
光学系に用いるレンズ等の光学素子で、酸化アルミニウムの微細凹凸構造を有する反射防止膜を有し、可視領域から近赤外領域で高い反射防止性能を有する光学素子が知られている(特許文献1)。
また、中空粒子を有する反射防止膜を有し、耐摩耗性や透明性が優れた光学素子が知られている(特許文献2)。
特開2008-233880号公報 特開2012-108320号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている反射防止膜は可視域から近赤外領域では高い反射防止性能を有するが、1000nm以上~1600nm以下の赤外域においては反射率が高くなってしまう。
また、特許文献2に開示されている反射防止膜も、可視域での反射防止性能は優れているが、1000nm以上~1600nm以下の赤外域においては反射率が高くなってしまう。
本発明の光学素子は、基材上に、複数の粒子を含む粒子層を有する光学素子であって、前記粒子層は、前記複数の粒子間に空隙を有し、表面および前記空隙内に酸化アルミニウムを主成分とする微細構造を有することを特徴とする。
本発明の光学機器は、上記の光学素子を有することを特徴とする。
本発明によれば、可視域から赤外域まで高い反射防止性能を有する光学素子およびその光学素子の製造方法を提供することができる。
本発明の反射防止膜の一実施形態を示す模式図である。 本発明の反射防止膜の製造方法の一実施形態を示す工程図である。 本発明の反射防止膜の走査型透過電子顕微鏡による断面の観察写真(倍率20万倍)である。 実施例1、比較例1、比較例2で作製した光学用部材の光の波長(nm)に対する反射率(%)の関係を示す図である。 実施例2で作製した光学用部材の光の波長(nm)に対する反射率(%)の関係を示す図である。 実施例1、比較例1、比較例2で作製した光学用部材の光の波長(nm)に対する反射率(%)の関係を示す図である。 実施例3、実施例4で作製した光学用部材の光の波長(nm)に対する反射率(%)の関係を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(光学機器)
本実施の形態の光学機器は、光学素子を有する望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡、カメラ、内視鏡等に用いることができる。
以下に、カメラの例を用いて、本実施形態の光学機器について説明する。カメラのレンズユニット101には、図1に示すように、光軸O上に複数の光学素子(レンズ)121~129が設けられている。本実施形態の光学機器では、1又は複数の光学素子121~129に下記に記載する光学素子を用いることができる。
(光学素子)
本実施形態の光学素子は、レンズ、プリズム、鏡、回折格子、偏光素子に用いることができる。以下に、レンズを用いて、本実施形態の光学素子について説明する。
図2は、本実施形態の光学素子の一実施形態を示す模式図である。
光学素子10は、基材11上に、粒子を有する粒子層12と、粒子層12の表面に酸化アルミニウムを主成分とする微細凹凸構造13とを有する。粒子層12は、粒子14の間に空隙(ボイド)15を有する、また、粒子層12は、粒子14間に酸化アルミニウムを主成分とする微細構造16を有する。
基材11は、プラスチック基材やガラス基材や樹脂基材を用いることができる。またその形状は限定されることはなく、平面、曲面、凹面、凸面、フィルム状であっても良い。
粒子層12は、厚みが100nm以上145nm以下であることが好ましい。粒子層の厚みが100nmより薄いと可視域の反射率は低くなるが赤外域の反射率が高くなるためである。また、粒子層12の厚みが145nmより厚いと赤外域の反射率は低くなるが可視域の反射率が高くなるためである。
粒子層12の表面の微細凹凸構造13は、酸化アルミニウムを主成分とすることが好ましい。本明細書において、酸化アルミニウムを主成分とするとは、酸化アルミニウムを60質量%以上含有することを言う。微細凹凸構造13は、酸化アルミニウムを80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することが更に好ましい。微細凹凸構造13は、アルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物の結晶から形成される。特に好ましい結晶としてはベーマイトである。本明細書においては、アルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物を酸化アルミニウムと称することとする。
粒子層12の表面の酸化アルミニウムの微細凹凸構造13は、基材11側の屈折率と比較して基板11と反対側の屈折率が小さくなっている。これにより表面からの光の反射を防止することができる。微細凹凸構造13があることにより、反射率を低減することが可能であるが、好ましくは、150nm以上280nmの厚さであることが好ましい。150nm以上の厚さがあることによって、赤外域の反射率を効果的に低減することが可能となる。微細凹凸構造13の厚みは厚いほど光学的には好ましいが、微細凹凸構造は酸化アルミニウムの溶解と再析出を繰り返して突起が成長するため、280nmの高さになると溶解と再析出が平衡に達する。そのため突起成長が停止し、微細凹凸構造の厚みを厚くすることが困難であるため280nm以下が好ましい。
粒子層12中の粒子14は、中空粒子であることが好ましい。微細凹凸構造13の屈折率は、粒子層12の屈折率より低くなっていることが好ましい。そのため、粒子層12の屈折率が微細凹凸構造13の屈折率より高くなると、反射防止性能が低下する。したがって、粒子層12の屈折率が、酸化アルミニウムの微細凹凸構造13の屈折率より低くするために、粒子14として中空粒子を用いることが好ましい。
中空粒子は、粒子の内部に空孔を有し、空孔の外側の周囲にシェルを有する。空孔に含まれる空気(屈折率1.0)によって粒子層12の屈折率を小さくすることができる。空孔は単孔、多孔どちらでも良く適宜選択することができる。中空粒子を構成する材質としては、低屈折率のものが好ましく、SiO、MgF、フッ素の如き無機材料や、シリコーン樹脂の如き有機樹脂を用いることができる。これらの中で、SiO、MgFを用いることが好ましく、中空粒子の製造が容易であるSiOを用いることがより好ましい。SiOからなる中空粒子の製造方法としては、例えば、特開2001-233611号公報や、特開2008-139581号公報に記載されている方法で作製することが可能である。
中空粒子の平均粒子径は、15nm以上100nm以下、好ましくは15nm以上60nm以下が好ましい。中空粒子の平均粒子径が15nm未満の場合、コアとなる粒子を安定的に作ることが難しい。また、100nmを超える場合、中空粒子の大きさに伴う散乱が発生するため好ましくない。
中空粒子の平均粒子径とは、平均フェレ径である。平均フェレ径は透過電子顕微鏡像によって観察したものを画像処理によって測定することができる。画像処理方法としては、image Pro PLUS(メディアサイバネティクス社製)など市販の画像解析ソフトによる処理方法を用いることができる。中空粒子の平均粒子径は、所定の画像領域において、必要であれば適宜コントラスト調整を行い、30個程度測定した各中空粒子のフェレ径から平均値を算出し求める。
中空粒子のシェルの厚みは、中空粒子の平均粒子径の10%以上50%以下、20%以上35%以下がより好ましい。シェルの厚みが10%未満であると中空粒子の強度が不足するため好ましくない。また、50%を超えると屈折率が大きくなり反射防止性能が低下する。
中空粒子である粒子14が積み重なることにより形成された粒子層12には、粒子14と粒子14との間に空隙15が存在する。すなわち、図2で示すように、球状粒子の場合は完全に充填することなく空隙15ができる。この空隙15を利用することによりこの粒子層12の屈折率を下げることができる。
表層の酸化アルミニウムの微細凹凸構造13の基材11側(根元部分)の屈折率は、その構造により酸化アルミニウム固有の屈折率より低くなっている。そのため、酸化アルミニウムの微細凹凸構造13の下に存在する(基材11側の)層の屈折率が高いと、酸化アルミニウムの微細凹凸構造13との屈折率差により、滑らかな屈折率差を得ることができず、広帯域の反射防止特性を得られ難くなる。したがって、みかけの屈折率が低くなっている酸化アルミニウムの微細凹凸構造13の下に存在する層として、粒子層12に中空粒子である粒子14を用いることが好ましい。中空粒子である粒子14を用いることにより、両層間の屈折率を更に近づけることができるため、全体として広帯域の反射防止特性を得ることが出来るようになる。
空隙15は、中空粒子14の積み重なりにより構成されているため、粒子層12の最表面と空隙15は、空隙15によって空間的につながっている。
粒子層12内の粒子14の間(空隙15)内には酸化アルミニウムの微細構造16が存在する。この酸化アルミニウムの微細構造16は、最表層にある酸化アルミニウムの微細凹凸構造13と同様のものであり、粒子層12内の粒子14の間の(空隙15)に形成される。本明細書における酸化アルミニウムの微細構造16とは、酸化アルミニウムの溶解、析出により、粒子層内の粒子の間(空隙15)内に形成される結晶構造体のことを言う。
塗工液に含まれる酸化アルミニウムゾルは塗工後粒子と粒子の間に形成される。酸化アルミニウムの微細構造16は、粒子の間に形成された酸化アルミニウムゾルからの酸化アルミニウムの溶解と、空隙15内への該酸化アルミニウムの析出により形成される。上記の通り、粒子層12内の粒子14の間(空隙15)は、粒子層12の表層まで空間的につながっている。そのため、酸化アルミニウムの微細構造16は酸化アルミニウムゾルからアルミニウムイオンの供給を受けながら、粒子層12内の粒子14の間、空隙15内で溶解と析出を繰り返す。最終的には粒子層12上の表面に析出することによって酸化アルミニウムの微細凹凸構造13を形成する。さらに微細凹凸構造13は粒子層内で発生するアルミニウムイオンの供給を受けながら、アルミニウムゾルの溶解と再析出が平衡に到達するまで成長することができる。このようなメカニズムに基づき酸化アルミニウムの微細構造16が形成されるため、粒子層12内の酸化アルミニウムの微細構造16は、アルミニウムイオンが供給される側である粒子層12の表面に近い部位に、より多く存在する。そのため、粒子層内の屈折率を滑らかに変化させることができ、本実施形態の光学用部材は広帯域の反射防止特性を得ることができると考えられる。
(塗料)
次に、本実施形態の塗料について説明する。本実施形態の塗料によって作製した膜は、高い反射防止性能を有する。
本実施形態の塗料は、アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する酸化アルミニウム前駆体ゾルと、粒子と、溶媒とを含む。更に、前記酸化アルミニウム前駆体ゾルと、粒子の乾燥固形分の質量比が60:40~30:70であることを特徴とする。
塗料に含まれる酸化アルミニウム前駆体ゾルは、基材11上に塗布、乾燥してから温水中に浸漬すると酸化アルミニウムの微細凹凸構造13及び微細構造16を形成することができ、後述する光学素子の製造方法に用いることができる。
酸化アルミニウム前駆体ゾルは、アルミニウム化合物を溶媒中で水と接触させて得られるアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を主成分として含んでいる。アルミニウム化合物をAl-X(Xはアルコキシル基、アシロキシル基、ハロゲン基、硝酸イオンを表す)とした時に、その加水分解物とはAl-X(OH)、Al-X(OH)、或いはAl-(OH)で表される化合物である。前記加水分解物はその-OH基同士又は-X基と-OH基とが反応してHO又はXHの脱離を伴いながらAl-O-Al結合を形成する。その結果得られる1個以上のAl-O-Al結合を有し、直鎖構造または枝分かれ構造を持った化合物がアルミニウム化合物の縮合物である。アルミニウム化合物の縮合物は非晶質であることが好ましい。
酸化アルミニウム前駆体ゾルには、アルミニウム化合物とともに少量のZr、Si、Ti、Zn、Mgの各々の化合物の少なくとも1種からなる金属化合物とを用いることができる。これらの金属化合物としては各々の金属アルコキシドや塩化物や硝酸塩などの金属塩化合物を用いることができる。ゾルを調製時の副生成物がコーティングの際の成膜性に与える影響が小さいなどの理由から、特に金属アルコキシドを用いるのが好ましい。また、金属化合物の総量100モル%中のアルミニウム化合物の含まれる量は90モル%以上が好ましい。
アルミニウム化合物などの金属化合物の具体例を以下に例示する。
アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム-n-ブトキシド、アルミニウム-sec-ブトキシド、アルミニウム-tert-ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、またこれらのオリゴマー、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
ジルコニウムアルコキシドの具体例として、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn-ブトキシド、ジルコニウムテトラt-ブトキシド等などが挙げられる。
シリコンアルコキシドとしては、一般式Si(OR)4で表される各種のものを使用することができる。Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の同一または別異の低級アルキル基が挙げられる。
チタニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn-プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等が挙げられる。
亜鉛化合物としては、例えば酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛などが挙げられ、特に酢酸亜鉛、塩化亜鉛が好ましい。
マグネシウム化合物としてはジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム等のマグネシウムアルコキシド、マグネシウムアセチルアセトネート、塩化マグネシウム等が挙げられる。
上記の金属化合物の中でもアルミニウム-n-ブトキシド、アルミニウム-sec-ブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn-ブトキシド、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウムなどの金属アルコキシドを原材料に用いることが好ましい。
前記金属化合物の内、特にアルミニウム、ジルコニウム、チタニウムのアルコキシドは水に対する反応性が高く、空気中の水分や水の添加により急激に加水分解され溶液の白濁、沈殿を生じる。また、アルミニウム塩化合物、亜鉛塩化合物、マグネシウム塩化合物は有機溶媒のみでは溶解が困難で、溶液の安定性が低い。これらを防止するために安定化剤を添加し、溶液の安定化を図ることが好ましい。
安定化剤としては、例えば、アセチルアセトン、ジピロバイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ-ジケトン化合物類。アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸-iso-プロピル、アセト酢酸-tert-ブチル、アセト酢酸-iso-ブチル、アセト酢酸-2-メトキシエチル、3-ケト-n-バレリック酸メチルなどの、β-ケトエステル化合物類。さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの、アルカノールアミン類等を挙げることができる。
安定化剤の添加量は金属化合物の種類によって異なるが、アルミニウムアルコキシド1モルに対して0.2モル以上2モル以下が好ましい。また、安定化剤は水を加える前に、一定時間アルコキシドと混合することによって効果を発揮する。
加水分解を引き起こすためには、水を適量添加する必要がある。水の添加量は溶媒や濃度によって適量が変化する。水の添加量は、アルミニウム化合物1モルに対し1.2モル以上2モル未満であることが好ましい。
また、安定化剤の添加後には、加水分解反応の一部を促進する目的で水に触媒を加えることができる。触媒としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、アンモニア等を例示することができ、0.1mol/L以下の濃度で用いることで定的に加水分解縮合を進めることができる。
本実施形態の塗料に含まれる粒子は、表面がメチル基などによって表面修飾されているものがスラリー時に粘度が低くなるため好ましい。そのため、中空シリカ粒子の場合においては、中空粒子の壁を形成するための前駆体としてはメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどのメチル基が修飾された3官能シランを用いることが好ましい。また、前駆体に用いる材料としては上記3官能シランとテトラエトキシシランなどの4官能シランを混合して用いても良く、安定した粒子製造を実現できる組成を選択することが好ましい。
前記酸化アルミニウム前駆体ゾルと、シリカ粒子の乾燥固形分質量比が60:40~30:70であることが好ましい。シリカ粒子の比率がこの範囲より少ないと、粒子層を形成することができず、結果として屈折率が滑らかに変化する層の厚みを厚くすることができないため、広帯域の反射防止構造体を形成することが困難である。また、シリカ粒子の比率がこの範囲を超える場合には、塗工後に粒子間に含まれる酸化アルミニウム前駆体ゾルの量が少なくなり粒子層上の酸化アルミニウム微細構造の高さが低くなり、広帯域の反射防止構造体を形成することが困難である。
反射防止用塗料の乾燥固形分質量は、金属酸化物に換算して1質量%以上7質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上6質量%以下であることがより好ましい。
溶媒としては、アルミニウム化合物などの原料が均一に溶解し、かつアルミナ前駆体ゾル、シリカ粒子が凝集などしない有機溶媒であれば良い。例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチルプロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、シクロペンタノール、2-メチルブタノール、3-メチルブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、4-メチル-2―ペンタノール、2-メチル-1―ペンタノール、2-エチルブタノール、2,4-ジメチル-3―ペンタノール、3-エチルブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノールなどの1価のアルコール類:エチレングリコール、トリエチレングリコールなどの2価以上のアルコール類:メトキシエタノール(沸点125℃)、エトキシエタノール(沸点136℃)、プロポキシエタノール(沸点151℃)、イソプロポキシエタノール(沸点141℃)、ブトキシエタノール(沸点170℃)、1-メトキシ-2-プロパノール(沸点120℃)、1―エトキシ-2-プロパノール(沸点132℃)、1-プロポキシ-2-プロパノール(沸点140から160℃)などのグリコールエーテル類:ジメトキシエタン、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルのようなエーテル類:ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類:n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類:トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類:クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラクロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類:N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
上記溶媒の中でもアルミニウム化合物の溶解性が高く、吸湿し難い点で炭素数5以上8以下の一価のアルコールが好ましい。溶媒の吸湿によりアルミニウム化合物の加水分解が進行すると粒径の制御が困難になる。また塗工時の吸湿は粒子の凝集を招き、光学特性の安定性を損なう。さらに、一般的な低沸点アルコールを用いると溶媒の揮発が早く、前述した安定化剤が膜中に残存するため光学特性に影響を与える。しかし、炭素数5以上8以下の一価のアルコールは用いると乾燥および/または焼成時に溶媒が安定化剤を伴って揮発するため安定化剤が残存し難い。一方、前記炭素数5以上8以下の一価のアルコールは疎水性が高く、加水分解に必要な水を均一に混合できず粒径を一定にすることが困難である。そのため炭素数5以上8以下の一価のアルコールに対し水溶性溶媒を併用することが好ましい。ここで述べる水溶性溶媒とは23℃の溶媒に対する水の溶解度が80質量%以上である溶媒を指す。
溶媒の混合比としては、炭素数5以上8以下の一価のアルコールを50質量%以上90質量%以下、沸点110℃以上170℃以下の水溶性溶媒を10質量%以上50質量%以下の割合で含有することが好ましい。沸点110℃未満の水溶性溶媒を用いると、揮発による吸湿や白化が起こり易い。沸点170℃を超える水溶性溶媒を用いると、乾燥後も塗工後の膜中に残存して反射率のばらつきを生じる。水溶性溶媒としてはグリコールエーテルを用いることが好ましい。
本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルを調製するにあたり、アルミニウムアルコキシドの加水分解と縮合反応を促進するために加熱することができる。加熱温度は溶媒の沸点にも依るが60℃以上150℃以下が好ましく、加熱することによって粒子が成長し粒子性が向上する。
(光学素子の製造方法)
次に、本実施形態の光学素子の製造方法について説明する。図3は、本発明の光学素子の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
本発明の光学素子の製造方法は、以下に示す通りである。
上記の塗料を成膜することによって、基材21上には、塗料に含まれる粒子23を有する粒子層22が形成される。粒子層22には、粒子23と粒子23の間の一部には空隙24が形成され、粒子23と粒子23の間の一部に塗料に含まれる酸化アルミニウム前駆体ゾル25が形成される(図3(a))。
基材21は、ガラス基材、プラスチック基材、樹脂基材などを用いることが可能である。また、その形状は限定されることはなく、平面、曲面、凹面、凸面、フィルム状であっても良い。
上記の塗料を基材21に塗布する方法としては、例えばディッピング法、スピンコート法、スプレー法、印刷法、フローコート法、ならびにこれらの併用等、既知の塗布方法を採用することができる。これらのなかで、粒子層を能率よく生成することができるのでスピンコート法を用いることが好ましい。
その後、乾燥および/または焼成を行うことにより、酸化アルミニウム前駆体ゾル25から溶媒が揮発して、ゾル中の粒子が堆積した酸化アルミニウム26が形成される(図3(b))。さらに加熱すると安定化剤の揮散、未反応のアルコキシドや水酸基の縮合反応が進行する。
乾燥および/または焼成の温度としては、120℃以上230℃以下の範囲が好ましい。熱処理温度が高いほど膜は高密度化しやすくなるが、熱処理温度が230℃を超えると基材21に変形などのダメージが生じ易い。乾燥および/または焼成の温度としては、140℃以上210℃以下の範囲が好ましい。140℃以上で加熱することで安定化剤を用いた場合でも安定化剤等の不純物が残り難く、210℃以下で加熱することで基材への影響を少なくできる。加熱時間は加熱温度にもよるが、10分以上が好ましい。加熱方法としては熱風循環オーブン、マッフル炉、IH炉中で加熱する方法、IRランプで加熱する方法などが挙げられる。
その後、50℃以上の温水に浸漬する/或いは水蒸気に曝露することにより、粒子層22内の空隙23を通じて、温水或いは水蒸気が酸化アルミニウムを水和、溶解し、該酸化アルミニウムが再析出する。酸化アルミニウムの再析出により、粒子層22内の空隙24に酸化アルミニウムの微細構造27を形成しながら、表面に酸化アルミニウムの微細凹凸構造28を形成する(図3(c))。酸化アルミニウムの溶解および析出は平衡反応であるため、溶解および析出が平衡に達した状態で酸化アルミニウムの微細構造および微細凹凸構造の形成は完了して、光学素子が形成される。
温水に接触させることで、酸化アルミニウム26が解膠作用等を受け、一部の成分が溶出する。各種金属酸化物由来の水酸化物の温水への溶解度の違いにより、酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶が微粒子層の表層、粒子23の間の空隙24に析出、成長することにより本発明の反射防止膜を形成することができる。なお、温水の温度は40℃以上100℃以下とすることが好ましく、水蒸気の温度は100℃以上120℃以下とすることが好ましい。温水処理又は水蒸気の暴露時間としては5分間乃至24時間とすることが好ましい。
粒子層22の屈折率は、粒子23、空隙24そして酸化アルミニウムの微細構造27に依存する。水処理の後に、粒子層22の波長依存性を調整する屈折率調整や、その他汚れ防止等のために粒子23と粒子23の間の空隙24に浸透するバインダーを塗布してもよい。
バインダー又はバインダーを生成するための成分の塗工では、粒子層22の配列性を維持したまま、中空の粒子23と中空の粒子23の間の空隙24にバインダーを充填することが可能である。
バインダーの成分としては、金属アルコキシド、樹脂塗料、フッ素化合物などを成膜することができ、粒子層22の粒子23の材質と同様の性質を有するバインダーが好ましい。例えば、粒子層22中の粒子23の材質がシリカである場合、バインダーの成分としてはシランアルコキシドを用いることが好ましい。バインダー濃度としては、成膜された粒子層22の屈折率、汚れ防止等の所望の機能に対して所望の含有量となる濃度で成膜すれば良く、バインダー成分、溶媒、成膜条件によって濃度は適宜選択することが可能である。また、バインダーの塗工に用いる溶媒としては、バインダーとの親和性が良好なものを適宜選択することが好ましい。
バインダーの塗工方法は、粒子23を塗工した後に再度成膜を行うため、ディップコートのような浸漬式の場合は、付着した粒子23の欠落が発生するため好ましくない。それ以外は特に限定されることはなく、スピンコート法、スプレーコート法、など液状塗工液の一般的な塗工方法を用いることが可能である。上記した粒子23の欠落の観点、またレンズのような曲面を有する基材21へ膜厚を均一に成膜できる点から、塗料はスピンコート法により塗工することが好ましい。また、バインダーの塗工は、所望の機能発現に応じて複数の塗工液を塗工しても良い。
上記の実施形態では基材21上に粒子層22を直接設けたが、基材21と酸化アルミニウム層22の間に別の金属酸化物の層を一つ又は複数設けてもよい。金属酸化物の層を複数層設ける場合、粒子層22よりも屈折率の高い高屈折率層と中屈折率層との交互層を用いることができる。高屈折率層103には、屈折率が1.75以上2.7以下の材料を用いることができる。具体的には、高屈折率材料としては、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、窒化シリコン等を用いることができる。中屈折率層104には、屈折率が1.35以上1.75未満の低屈折率材料を用いることができる。具体的には、中屈折材料としては、酸化シリコン、酸化アルミニウム等を用いることができる。
金属酸化物の層は、蒸着法、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法などを用いて形成することが可能である。
本実施形態の製造方法によれば、塗工後に形成される粒子層12間に含まれる酸化アルミニウムゾルからイオンの供給を受ける。粒子層内に酸化アルミニウムゾルが含まれる場合、酸化アルミニウムゾルを単独で塗工することにより得られる層とは異なり、酸化アルミニウムゾルの表面積が広くなり、酸化アルミニウムゾルの溶解が起こりやすくなる。そのため、酸化アルミニウムゾル層が単独で残らないために、酸化アルミニウムの微細構造13の屈折率変化を単独で塗工する場合と比較して滑らかにすることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、以下の方法で光学素子を作製して評価をした。
(アルミナ前駆体ゾルの調整)
14.8gのアルミニウム-sec-ブトキシド(ASBD、川研ファインケミカル製)と、安定化剤として該アルミニウム-sec-ブトキシドに対して0.5モル当量の3-メチル-2,4-ペンタンジオンと、2-エチルブタノールとを均一になるまで混合攪拌した。0.01M希塩酸を2-エチルブタノール/1-エトキシ-2-プロパノールの混合溶媒に溶解してから、前記アルミニウム-sec-ブトキシドの溶液にゆっくり加え、暫く攪拌した。溶媒は最終的に2-エチルブタノールと1-エトキシ-2-プロパノールの混合比が7/3の混合溶媒が59.3gとなるように調整した。さらに120℃のオイルバス中で2時間攪拌することによって酸化アルミニウム前駆体ゾルを調製した。
この塗料を5gとり、1000℃に加熱して固形分質量濃度を測定したところ、8.0%であった。
(中空粒子分散液の調整)
1.第一工程
1-エトキシ-2-プロパノール(以下、1E2P)50gを500ccなすフラスコに予め入れた後、中空粒子の固形分濃度が20.5質量%、溶媒がイソプロピルアルコール(以下、IPA)の中空シリカゾル(スルーリア1110、日揮触媒化成株式会社製)を200g追加し、さらに1E2Pを136g追加した。この混合液を60hPaへ減圧し、45℃に加温することで濃縮した。30分間濃縮を継続したところ、液重量は205gとなっていた。
2.第二工程
第一工程で得られた液に、1E2P、1-ブトキシ-2-プロパノール(以下、1B2P)、2-エチル-1-ブタノール(以下、2E1B)を、各溶媒の添加量が1E2P:1B2P:2E1Bが38:31:31となるように添加した。この希釈液を30分間撹拌して成膜用の中空粒子分散液とした。この塗料を5gとり、1000℃に加熱して固形分重量濃度を測定したところ、3.80%であった。
(塗料の調整)
上記酸化アルミニウム前駆体ゾルを5gと中空粒子の分散液5gとを混合撹拌して乾燥固形分の比が中空粒子:酸化アルミニウム前駆体ゾルが32:68の本実施例の塗料を得た。
(塗料の塗工)
硝材がBK7の片面だけ研磨され、もう一方の面がスリガラス状の大きさ約φ40mm、厚さ約2mmの円盤状ガラス基板をアルカリ洗剤中で超音波洗浄した後、オーブン中で乾燥した。洗浄した円盤状ガラス基板の研磨面に前記反射防止用塗料を適量滴下し、スピンコート法により1500rpmで120秒間塗布を行った後、140℃の熱風循環オーブンで30分加熱処理し、中空シリカ粒子層中に非晶性酸化アルミニウムを含む膜を得た。得られた膜をエリプソメーターにより膜厚を測定した結果、102nmであった。この膜を75℃の温水に20分間浸漬することにより、光学素子を得た。
実施例1の光学素子の波長400nmから1600nmの範囲の入射角5°時の反射率を分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製 U-4000)により測定を行った。その際スリ面側は油性ペンで黒色に塗りつぶし、裏面反射の無い状態で測定を行った。
実施例1の光学素子の断面観察を行った。光学素子の基板と垂直方向の割断面を電子顕微鏡(商品名:XL30-SFEG;Philips社製)により、倍率800000倍の視野で観察を行った結果を図4に示す。
実施例1の光学素子は、基材上に粒子層が形成されており、粒子層内に微細構造体が形成されていることが確認された。さらに粒子層表面には微細凹凸構造が形成されていることが確認された。
(比較例1)
比較例1では、基材上に多層膜を設けた光学素子を作製した。実施例1と同様に硝材がBK7の基板上に最表層からMgF、SiO、Ta、Alの順に蒸着法により多層成膜を行うことにより、反射防止膜を形成した。蒸着法により形成された光学素子を実施例1と同様に反射率の測定を行った。
(比較例2)
比較例2では、実施例1と比較して粒子層を有しない光学素子を作製した。すなわち、塗料として酸化アルミナ前駆体ゾルを用いて成膜を行った。
実施例1と同様に基板を用意した後、酸化アルミナ前駆体ゾルをスピンコート法により4500rpmで60秒間成膜を行った。前記基板を75℃の温水に20分間浸漬することにより、比較例2の光学素子を得た。
(評価)
実施例1、比較例1、及び比較例2で作製した光学素子の反射率測定結果を図5に示す。実施例1の光学素子は、比較例1及び比較例2の光学素子と比較して可視から赤外の広帯域の波長範囲で良好な反射率特性が得られていることを確認した。
(実施例2)
本実施例2は、シリカ微粒子とアルミナ前駆体ゾルの混合比を変えた塗料を用いた以外は実施例1と同様に光学素子を作製した。
実施例2では、中空粒子分散液とアルミナ前駆体ゾルを作製した後、酸化アルミニウム前駆体ゾルを5gと中空粒子分散液15gとを混合撹拌して乾燥固形分の比が中空粒子:酸化アルミニウム前駆体ゾルが59:41の本実施例2の塗料を得た。表1に示すように、この塗料を用いて実施例2の光学素子を得た。
(比較例3)
比較例3は、シリカ微粒子とアルミナ前駆体ゾルの混合比を変えた塗料を用いた以外は実施例1と同様に光学素子を作製した。
比較例3では、中空粒子分散液とアルミナ前駆体ゾルを作製した後、酸化アルミニウム前駆体ゾルを12gと中空粒子分散液6gとを混合撹拌して乾燥固形分の比が中空粒子:酸化アルミニウム前駆体ゾルが19:81の本比較例3の塗料を得た。表1に示すように、この塗料を用いて比較例3の光学素子を得た。
(比較例4)
比較例4は、シリカ微粒子とアルミナ前駆体ゾルの混合比を変えた塗料を用いた以外は実施例1と同様に光学素子を作製した。
比較例4では、中空粒子分散液とアルミナ前駆体ゾルを作製した後、酸化アルミニウム前駆体ゾルを4gと中空粒子分散液16gとを混合撹拌して乾燥固形分の比が中空粒子:酸化アルミニウム前駆体ゾルが66:33の本比較例4の塗料を得た。表1に示すように、この塗料を用いて比較例4の光学素子を得た。
Figure 0007046544000001
(評価)
実施例1と同様に反射率の測定を行った。実施例2、比較例3、及び比較例4で作製した光学素子の反射率測定結果を図5に示す。実施例2では可視から赤外の広帯域の波長範囲で良好な反射率特性が得られていることを確認した。一方比較例3では、赤外域の反射率が高い光学部材となった。また、比較例4では可視域の反射率が高い光学部材となった。
(実施例3)
実施例3ではスピンコートの回転数を変えた以外は実施例1と同様に光学素子を作製した。実施例3では、表2に示すように実施例1と同じ塗料を回転数1000rpmで成膜を行った。得られた膜をエリプソメーターにより膜厚を測定した結果、122nmであった。得られた膜を実施例1と同様に75℃の温水に20分間浸漬することにより、実施例3の光学素子を得た。
(実施例4)
実施例3ではスピンコートの回転数を変えた以外は実施例1と同様に光学素子を作製した。実施例3では、表2に示すように実施例1と同じ塗料を回転数700rpmで成膜を行った。得られた膜をエリプソメーターにより膜厚を測定した結果、140nmであった。得られた膜を実施例1と同様に75℃の温水に20分間浸漬することにより、実施例4の光学素子を得た。
Figure 0007046544000002
(評価)
実施例3、実施例4で作製した光学素子の反射率測定結果を図7に示す。実施例3、実施例4ともにでは可視から赤外の広帯域の波長範囲で良好な反射率特性が得られていることを確認した。
本発明により製造される光学素子は、広帯域に優れた反射防止効果を示す。本発明の光学素子は、レンズ、プリズム、鏡、回折格子、偏光素子に用いることができる。また、本発明の光学機器は、本発明の光学素子を有する望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡、カメラ、内視鏡等に用いることができる。
10 光学素子
11 基材
12 粒子層
13 微細凹凸構造
14 粒子
15 空隙(ボイド)
16 微細構造
21 基材
22 粒子層
23 粒子
24 空隙
25 酸化アルミニウム前駆体ゾル
26 酸化アルミニウム
27 微細構造
28 微細凹凸構造
101 カメラのレンズユニット
121~129 光学素子

Claims (14)

  1. 基材上に、複数の粒子を含む粒子層を有する光学素子であって、
    前記粒子層は、前記複数の粒子間に空隙を有し、表面および前記空隙内に酸化アルミニウムを主成分とする微細構造を有することを特徴とする光学素子。
  2. 前記粒子層の厚みは、100nm以上145nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記粒子は、中空粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
  4. 前記粒子は、中空シリカ粒子であることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
  5. 前記中空粒子の平均粒子径が、15nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の光学素子
  6. 前記粒子層は、前記複数の粒子が複数段積み重なっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学素子
  7. 前記酸化アルミニウムを主成分とする微細構造が、アルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物の結晶で構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学素子
  8. 前記粒子層において、前記微細構造が表面に近い側に多く存在することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学素子
  9. 光学素子を有する光学機器であって、
    前記光学素子は、基材上に、複数の粒子を含む粒子層を有し、
    前記粒子層は、前記複数の粒子間に空隙を有し、表面および前記空隙内に、酸化アルミニウムを主成分とする微細凹凸構造を有することを特徴とする光学機器。
  10. 前記粒子層の厚みは、100nm以上145nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の光学素子
  11. 前記粒子は、中空粒子であることを特徴とする請求項9又は10に記載の光学素子
  12. 前記粒子は、中空シリカ粒子であることを特徴とする請求項11に記載の光学素子
  13. 前記酸化アルミニウムを主成分とする微細構造が、アルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物の結晶で構成されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の光学素子
  14. 前記光学機器は、複数の光学素子を有するレンズユニットであることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の光学機器。
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