JP6468696B2 - 光学用部材およびその製造方法 - Google Patents

光学用部材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6468696B2
JP6468696B2 JP2013130772A JP2013130772A JP6468696B2 JP 6468696 B2 JP6468696 B2 JP 6468696B2 JP 2013130772 A JP2013130772 A JP 2013130772A JP 2013130772 A JP2013130772 A JP 2013130772A JP 6468696 B2 JP6468696 B2 JP 6468696B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum oxide
group
aluminum
optical member
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013130772A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015004871A (ja
Inventor
慶子 阿部
慶子 阿部
憲治 槇野
憲治 槇野
寛晴 中山
寛晴 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2013130772A priority Critical patent/JP6468696B2/ja
Publication of JP2015004871A publication Critical patent/JP2015004871A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6468696B2 publication Critical patent/JP6468696B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Description

本発明は、低屈折率基材に対して可視領域を含む広い領域で高い反射防止性能を有する光学用部材およびその製造方法に関する。
可視光領域の波長以下の微細構造を用いた反射防止構造体は、適切なピッチ、高さの微細構造を形成することにより、広い波長領域ですぐれた反射防止性能を示すことが知られている。微細構造を形成する方法としては、波長以下の粒径の微粒子を分散した膜の塗布などが知られている。
また、微細加工装置(電子線描画装置やレーザー干渉露光装置,半導体露光装置,エッチング装置など)によるパターン形成によって微細構造を形成する方法は、ピッチ、高さの制御が可能である。また、すぐれた反射防止性能を持つ微細構造を形成することが出来ることが知られている(特許文献1)。
それ以外の方法として、アルミニウムの水酸化酸化物であるベーマイトを基材上に成長させて反射防止効果を得ることも知られている。これらの方法では、真空成膜法あるいは液相法(ゾルゲル法)により成膜し、その後、乾燥または焼成して作製した酸化アルミニウムの膜を水蒸気処理あるいは温水浸漬処理することにより、表層をベーマイト化して微細構造を形成し、反射防止膜を得ている(特許文献2)。
温水浸漬処理することにより表層をベーマイト化して微細構造を形成する方法では、表面から酸化アルミニウムが溶出し微細構造が形成される。また基板からの束縛を受けるため、基板と微細構造の間に微細構造を支持する層が形成される。
アルミニウム化合物の微細構造を用いて反射防止膜を形成する方法では垂直入射および斜入射による反射率が極めて低く、優れた反射防止性能が得られることが知られている。しかしながら、アルミニウム化合物の微細構造を用いた反射防止膜の反射防止性能は微細構造のピッチや高さに起因する屈折率構造によって敏感に変化する。したがって、基材の屈折率に応じて微細構造のピッチや高さのみならず、微細構造を支持する層の屈折率を制御し、場合によっては無機材料もしくは有機材料からなる膜を基材と微細構造をもつ酸化アルミニウム膜との屈折率差を調整する目的で設ける必要がある。
微細構造を支持する層は堆積した酸化アルミニウム粒子からなり、膜成分が単一である場合には微細構造を支持する層の屈折率を制御することは困難であるが、液相法(ゾルゲル法)を用いる場合、アルミニウム化合物を含むコート液に他金属化合物を混合することで微細構造を支持する層の屈折率を制御することが可能である(特許文献3)。しかしながら、単純に他金属化合物を混合するだけでは微細構造を支持する層の低屈折率化に限界があるため、屈折率が1.7以下の低屈折率の基材に対しては良好な反射防止性能を得ることが困難であった。
基材と微細構造をもつ酸化アルミニウム膜との間に有機シラン化合物からなるポリマー層を設けることで、基材と微細構造をもつ酸化アルミニウム膜との屈折率差を調整することが可能である(特許文献4)。しかしながら、ポリマー層で屈折率差を調整しても、微細構造をもつ酸化アルミニウム膜そのものの屈折率、特に微細構造を支持する層の屈折率を下げなければ屈折率が1.7以下の低屈折率の基材に対しては良好な反射防止性能を得ることが困難であった。
特開昭50−70040号公報 特開平9−202649号公報 特開2005−275372号公報 特開2010−256871号公報
上記の様な酸化アルミニウム前駆体ゾルを用いて反射防止膜を形成する液相法(ゾルゲル法)において、低屈折率基材に対して可視領域を含む広い領域で高い反射防止性能を有する光学用部材と光学用部材の製造方法が望まれている。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、低屈折率基材に対し可視領域を含む広い領域で高い反射防止性能を有する光学用部材およびその製造方法を提供するものである。
上記の課題を解決する光学用部材は、基材表面に積層体が形成された光学用部材において、前記基材は、屈折率n が1.48以上1.71以下であり、前記積層体が少なくとも酸化アルミニウムを主成分とする突起および前記突起を支持する支持層を有し、前記突起を支持する支持層が下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜からなることを特徴とする。
Figure 0006468696
(式中、R1、R2は炭素数1から10のアルキル基、フッ化アルキル基、フェニル基またはアミノアルキル基を示し、それらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。mおよびnは1以上の整数である。)
上記の課題を解決する光学用部材の製造方法は、光学用部材の製造方法であって、(a)基材の少なくとも一方の面上にアルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物を加水分解して得られた重縮合物、α位に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリル基、またはアリール基を持つβジケトン化合物、溶媒及び有機シラン化合物を含有する酸化アルミニウム前駆体ゾルを供給する工程、(b)前記基材を200℃より低い温度で乾燥および/または焼成を行うことにより酸化アルミニウム膜を形成する工程、(c)前記酸化アルミニウム膜を60℃以上100℃以下の温水と接触させて、酸化アルミニウムを主成分とする突起および前記突起を支持する、下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜を形成する工程を有することを特徴とする。
あるいは、(a)基材の少なくとも一方の面上に、無機物あるいは有機物の膜を形成する工程、(b)前記膜上に、アルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物を加水分解して得られた重縮合物、α位に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリル基、またはアリール基を持つβジケトン化合物、溶媒及び有機シラン化合物を含有する酸化アルミニウム前駆体ゾルを供給する工程、(c)前記基材を200℃より低い温度で乾燥および/または焼成を行うことにより酸化アルミニウム膜を形成する工程、(d)前記酸化アルミニウム膜を60℃以上100℃以下の温水と接触させて、酸化アルミニウムを主成分とする突起および前記突起を支持する、下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜を形成する工程を有することを特徴とする。
Figure 0006468696
(式中、R1、R2は炭素数1から10のアルキル基、フッ化アルキル基、フェニル基またはアミノアルキル基を示し、それらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。mおよびnは1以上の整数である。)
本発明によれば、低屈折率基材に対し可視領域を含む広い領域で高い反射防止性能を有する光学用部材およびその製造方法を提供することができる。
本発明の光学用部材の一実施態様を示す概略図である。 本発明の光学用部材の製造方法の一実施形態を示す工程図である。 本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。 本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。 本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。 実施例1と比較例1における、光学用部材の波長400nmから700nmまでの絶対反射率を示すグラフである。 実施例12と比較例5における、光学用部材の波長400nmから700nmまでの絶対反射率を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の光学用部材の一実施態様を示す概略図である。図1において、本発明に係る光学用部材は、基材1の表面に積層体7が形成された構造からなり、前記積層体7が少なくとも酸化アルミニウムを主成分とする突起8および前記突起8を支持する支持層9を有し、前記突起を支持する支持層9が下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜からなることを特徴とする。
Figure 0006468696
(式中、R1、R2は炭素数1から10のアルキル基、フッ化アルキル基、フェニル基またはアミノアルキル基を示し、それらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。mおよびnは1以上の整数である。)
本発明の光学用部材は、低屈折率基材に対して可視領域を含む広い領域で高い反射防止性能を発揮するのに適している。
前記積層体7は、酸化アルミニウムを主成分とする結晶からなる突起8で形成されている結晶層と、酸化アルミニウムを主成分とし前記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜からなる支持層9から成ることが好ましい。
本発明における積層体7の層厚は、好ましくは20nm以上1000nm以下であり、より好ましくは50nm以上1000nm以下である。
突起はアルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物の結晶から形成される。特に好ましい結晶としてはベーマイトである。本発明では、アルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物を酸化アルミニウムと称することとする。また、前記酸化アルミニウムを主成分とする突起の微細構造がナノ構造であって、酸化アルミニウム固有の屈折率より低い見かけの屈折率が積層体の厚さ方向に変化していることが好ましい。
本発明の光学用部材は、酸化アルミニウムの突起8を有するナノ構造であって、酸化アルミニウムの突起を有するナノ構造と基材の間には突起を支持する支持層9が存在する。
基材の屈折率が、前記突起を支持する支持層の屈折率とマッチングが悪い場合は、基材と支持層界面で好ましくない反射が起こり得るため、任意の基材に対して大きな反射防止効果は望めない場合がある。したがって、光学用部材が可視領域を含む広い領域で高い反射防止性能を発揮するためには、基材の屈折率に応じて微細構造のピッチや高さのみならず、前記突起を支持する支持層の屈折率を制御しなければならない。しかしながら、膜成分が単一である場合には前記突起を支持する支持層の屈折率を制御することは困難である。また、アルミニウム化合物を含むコート液に屈折率の異なる他金属化合物を混合することで膜の屈折率を制御することが可能であるが、特に基材の屈折率が酸化アルミニウム膜の屈折率より低い場合は、他金属化合物の選択性が乏しく、前記突起を支持する支持層を低屈折率化することは困難である。したがって、特に低屈折率の基材に対して良好な反射防止性能を得ることが困難であった。また、他金属種とアルミニウムが結合を形成することで、温水浸漬処理の際の微細構造の形成に影響を与えると考えられるため、混合量によって微細構造のピッチや高さが良好な反射防止性能を発揮するのに適した構造から変化してしまい、良好な反射防止性能を得ることができない場合がある。
そこで、低屈折率基材に対して高い反射防止性能を発揮するために、本発明の光学用部材では、酸化アルミニウムを主成分とする突起と前記突起を支持する支持層として下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜を用いる。
Figure 0006468696
式中、R1、R2は炭素数1から10のアルキル基、フッ化アルキル基、フェニル基またはアミノアルキル基を示し、それらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。mおよびnは1以上の整数である。
前記支持層の中に一般式(1)で表わされる繰り返し構造を含有する場合は、層中にSi−O−Si結合によるネットワークが形成されることで、Siが持つ低屈折率効果が期待される。しかし、前記支持層の中にSiが持つ4価の基のうち1価が前述の一般式(1)に示すような有機基R1を持つ構造を含有すると、Siが持つ低屈折率効果に加えて側鎖の有機基が分子サイズでのスペーサー効果を発揮すると考えられる。そのため、支持層の密度を相対的に低下させることができるので、支持層の屈折率を低下させることが出来る。このとき、Siが持つ4価の基のうち有機基を2種類以上持つと、主鎖であるSi−O−Si結合の数が減りネットワークが弱くなって支持層の安定性が損なわれてしまうため、好ましくない。
本発明における支持層の厚さは、好ましくは10nm以上500nm以下である。
本発明に係る光学用部材を表面から基材に向けてX線光電子分光分析(XPS)による深さ方向の分析を行ったところ、Siが突起を支持する支持層には存在しており、突起部分には存在していないことを確認した。かつ、支持層部分の任意の点における元素分析の結果、Siピークの中でも有機シラン化合物の存在を示すSi−C結合を示すピークの存在を確認した。このSi−C結合の量が支持層における主成分であるAlに対して過剰であると、主鎖であるSi−O−Si結合の数が減りネットワークが弱くなることを意味する。そのため、本発明の突起を支持する支持層においては、前記突起を支持する支持層において検出されたAl含有量(A)に対するSiピーク中のSi−C基の含有量(S)の比[(S/A)×100]が0.01%以上10%以下、好ましくは0.01%以上5%以下であることが望ましい。
次に、本発明の光学用部材の製造方法について説明する。
本発明の光学用部材の製造方法は、(a)基材の少なくとも一方の面上にアルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物を加水分解して得られた重縮合物、溶媒及び有機シラン化合物を含有する酸化アルミニウム前駆体ゾルを供給する工程、(b)前記基材を乾燥および/または焼成を行うことにより酸化アルミニウム膜を形成する工程、(c)前記酸化アルミニウム膜を60℃以上100℃以下の温水中に浸漬して、酸化アルミニウムを主成分とする突起および前記突起を支持する、上記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜を形成する工程を有することを特徴とする。
図2は本発明の光学用部材の製造方法の一実施形態を示す工程図である。図2(a)は、工程(a)において、基材1の少なくとも一方の面上にアルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物を加水分解して得られた重縮合物、溶媒及び有機シラン化合物を含有する酸化アルミニウム前駆体ゾル2を供給する。酸化アルミニウム前駆体ゾル2は、アルミニウムアルコキシドを加水分解して得られた重縮合物、溶媒を含み、さらに有機シラン化合物として、R1−Si(OR3)で表わされる構造を有する化合物、またはこれらを加水分解して得られた重縮合物を含有する。
前記酸化アルミニウム前駆体ゾルに含まれる有機シラン化合物のR1−Si(OR3)において、R1は炭素数1から10のアルキル基、フッ化アルキル基、フェニル基またはアミノアルキル基を示し、それらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。R3は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
基材1に酸化アルミニウム前駆体ゾル2を供給する方法には、細管や一個または複数の細孔から酸化アルミニウム前駆体ゾル2を滴下するなどによって供給する方法がある。また、スリットを介して基材1上に酸化アルミニウム前駆体ゾル2を付着させる方法、あるいは版に一旦酸化アルミニウム前駆体ゾル2を付着させてから基材1に転写させる方法などが挙げられる。また、基材1を酸化アルミニウム前駆体ゾル2に浸漬することで、基材1に酸化アルミニウム前駆体ゾル2を供給することができる。
図1(b)は、工程(a)で供給された酸化アルミニウム前駆体ゾル2が基材1上に広げられた状態を表す。酸化アルミニウム前駆体ゾル2を基材1上に広げる方法としては、基材1を回転することによって滴下した酸化アルミニウム前駆体ゾル2を広げるスピンコート法、基材1上をブレードやロールを移動させて滴下した酸化アルミニウム前駆体ゾル2を広げるブレードコート法やロールコート法などが挙げられる。また、酸化アルミニウム前駆体ゾル2を供給しながら広げることも可能である。スリットから酸化アルミニウム前駆体ゾル2を供給しながらスリットまたは基材1を移動させて酸化アルミニウム前駆体ゾル2を広げるスリットコート法や、一旦版に付着させた酸化アルミニウム前駆体ゾル2を版または基材1を移動させながら転写する印刷法などである。
基材1を酸化アルミニウム前駆体ゾル2に一旦浸漬してから基材1を等速で引き上げるディップコート法なども一例である。凹面などの立体的に複雑な形状を有する光学用部材を製造する場合、酸化アルミニウム前駆体ゾル2の供給源を接近することが困難であるためスピンコート法が好ましい。
図1(c)は、工程(b)において処理された基材を乾燥および/または焼成を行うことにより酸化アルミニウム膜3を形成する工程を示す。基材1の加熱乾燥を行うと,工程(a)で基材1上に広げた酸化アルミニウム前駆体ゾル2は溶媒が揮発して、酸化アルミニウム前駆体ゾル2中の粒子が堆積した酸化アルミニウム膜3が形成される。さらに加熱すると未反応のアルコキシドや水酸基の縮合反応が進行する。加熱温度は溶媒の揮散に必要な120℃以上が好ましく、基材やその他の周辺部材への影響を考慮に入れると200℃以下が好ましい。加熱方法としては熱風循環オーブン、マッフル炉、IH炉中で加熱する方法、IRランプで加熱する方法などが挙げられる。
図1(d)は、工程(c)において、基材1上に突起5を有する積層体4が、形成された状態を表す。突起5を有する積層体4は、突起5と突起5を支持する支持層6から成る。突起5を有する積層体4は工程(b)で得られた酸化アルミニウム膜3を60℃以上100℃以下の温水に接触し一度に形成される。突起5はアルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物の結晶から形成される。特に好ましい結晶としてはベーマイトである。積層体4は、酸化アルミニウムを主成分とする突起5および前記突起を支持する、上記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜からなる支持層6から形成される。
酸化アルミニウム膜3を温水に接触する方法は、基材1を温水に浸漬する方法、温水を流水もしくは霧状にして酸化アルミニウム膜3に接触させる方法などが挙げられる。
次に、本発明の光学用部材の他の実施態様について説明する。図3から図5は、本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。図3は、基材1の表面が平板、フィルムないしシートなどの平面の場合を示す。突起8は基材1の表面に対して、すなわち突起8の傾斜方向10と基材表面との間の角度θ1の平均角度が45°以上90°以下、となるように配置されることが望ましい。さらに好ましくは60°以上90°以下となるように配置されることが望ましい。
図4は、基材1の表面が二次元あるいは三次元の曲面を有する場合を示す。突起8の傾斜方向10と基材表面の接線11との間の角度θ2の平均角度が45°以上90°以下、好ましくは60°以上90°以下となるように配置されることが望ましい。なお、上記の角度θ1およびθ2の値は、突起8の傾きにより90°をこえる場合があるが、この場合は鋭角側を測定した値とする。
微細構造を有する積層体7の層厚は、好ましくは20nm以上1000nm以下であり、より好ましくは50nm以上1000nm以下である。微細構造を有する層7の層厚が20nm以上1000nm以下では、突起8による反射防止性能が効果的であり、また突起8の機械的強度が損なわれる恐れが無くなり、突起8の製造コストも有利になる。また、積層体7の層厚が50nm以上1000nm以下とすることにより、反射防止性能をさらに高めることとなり、より好ましい。
本発明における突起8の面密度も重要であり、これに対応する中心線平均粗さを面拡張した平均面粗さRa’値が5nm以上、より好ましく10nm以上、さらに好ましくは15nm以上100nm以下、また表面積比Srが1.1以上である。より好ましくは1.15以上、さらに好ましくは1.2以上3.5以下である。
突起8の面密度は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて評価できる。SPM観察により突起を有する層7の中心線平均粗さRaを面拡張した平均面粗さRa’値と表面積比Srが求められる。すなわち、平均面粗さRa’値(nm)は、JIS B 0601で定義されている中心線平均粗さRaを、測定面に対し適用し三次元に拡張したもので、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現し、下記式(1)で与えられる。
Figure 0006468696
Ra’:平均面粗さ値(nm)、
:測定面が理想的にフラットであるとした時の面積、|X−X|×|Y−Y|、F(X,Y):測定点(X,Y)における高さ、XはX座標、YはY座標、
からX:測定面のX座標の範囲、
からY:測定面のY座標の範囲、
:測定面内の平均の高さ。
また、表面積比Srは、Sr=S/S〔S:測定面が理想的にフラットであるときの面積。S:実際の測定面の表面積。〕で求められる。なお、実際の測定面の表面積は次のようにして求める。先ず、最も近接した3つのデータ点(A,B,C)より成る微小三角形に分割し、次いで各微小三角形の面積△Sを、ベクトル積を用いて求める。△S(△ABC)=[s(s−AB)(s−BC)(s−AC)]0.5〔但し、AB、BCおよびACは各辺の長さで、s≡0.5(AB+BC+AC)〕となり、この△Sの総和が求める表面積Sになる。突起状構造の面密度がRa’が5nm以上で、Srが1.1以上になると、突起8による反射防止を発現することができる。また、Ra’が10nm以上で、Srが1.15以上であると、その反射防止効果は前者に比べ高いものとなる。そしてRa’が15nm以上で、Srが1.2以上になると実際の使用に耐えうる性能となる。しかしRa’が100nm以上で、Srが3.5以上になると反射防止効果よりも突起8による散乱の効果が勝り十分な反射防止性能を得ることが出来ない。
場合によってはさらに基材1と酸化アルミニウムの突起5と支持層6を有する層4との間に酸化アルミニウム以外を主成分とする層を設けることができる。
図5は基材1上に酸化アルミニウム以外を主成分とする層12、さらにその上に酸化アルミニウムの突起5と支持層6を有する積層体4が形成された光学用部材の例である。
酸化アルミニウム以外を主成分とする層12は、主に基材1と酸化アルミニウムの突起5と支持層6を有する積層体4との屈折率差を調整する目的で設けられる。そのため酸化アルミニウム以外を主成分とする層12は無機材料もしくは有機材料からなる透明膜であることが好ましい。
酸化アルミニウム以外を主成分とする層12に用いられる無機材料の例としては、SiO、TiO、ZrO、ZnO、Taなどの金属酸化物が挙げられる。無機材料からなる酸化アルミニウム以外を主成分とする層12を形成する方法は蒸着やスパッタなどの真空製膜法、金属酸化物前駆体ゾルの塗布によるゾルゲル法などが挙げられる。
一方、酸化アルミニウム以外を主成分とする層12に用いられる有機材料の例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、レゾール樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリケトン、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリキシリレン、ポリシクロオレフィンなどの有機ポリマーが挙げられる。有機材料からなる酸化アルミニウム以外を主成分とする層12を形成する方法は、主にその溶液を塗布により形成するウェットコート法などが挙げられる。
その他、酸化アルミニウムの突起5の表面に、反射防止性を損なわない程度に処理を施すことができる。耐擦傷性や防汚性を付与するためにSiO薄膜、FAS(フッ素化アルキルシラン)やフッ素樹脂の極めて薄い層を設ける例を挙げることができる。
本発明に係る光学用部材の製造方法に用いる酸化アルミニウム前駆体ゾルは、アルミニウム化合物を溶媒中で水と接触させて得られるアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を主成分として含んでいる。アルミニウム化合物をAl−X(Xはアルコキシル基、アシロキシル基、ハロゲン基、硝酸イオンを表す)とした時に、その加水分解物とはAl−X(OH)、Al−X(OH)、あるいはAl−(OH)で表される化合物である。前記加水分解物はその−OH基同士あるいは−X基と−OH基が反応してHOあるいはXHの脱離を伴いながらAl−O−Al結合を形成する。その結果得られる1個以上のAl−O−Al結合を有し、直鎖構造または枝分かれ構造を持った化合物がアルミニウム化合物の縮合物である。
前記酸化アルミニウム前駆体ゾルに含有されるアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子の含有量は、金属酸化物に換算して1重量%以上7重量%以下、好ましくは2.5重量%以上6重量%以下が望ましい。多すぎるとゾルの粘度が高くなり、1回のコーティング操作において、膜厚が厚く不均一になり易く所望の反射防止性能を得ることができない。少なすぎると1回のコーティング操作における膜厚が薄くなりすぎて、複数回塗布と加熱を繰り返すことになるため、工程数と外観不良発生の可能性を増加させることになる。
アルミニウム化合物などの金属化合物の具体例は以下に例示する。
アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−sec−ブトキシド、アルミニウム−tert−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、またこれらのオリゴマー、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
上記の金属化合物の中でもアルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−sec−ブトキシドなどの金属アルコキシドを原材料に用いることが好ましい。
前記アルミニウムアルコキシドは水に対する反応性が高く、空気中の水分や水の添加により急激に加水分解され溶液の白濁、沈殿を生じる。また、アルミニウム塩化合物は有機溶媒のみでは溶解が困難で、溶液の安定性が低い。これらを防止するために安定化剤を添加し、溶液の安定化を図る。
安定化剤にはβ−ジケトン化合物もしくはβ−ケトエステル化合物を用いる。
安定化剤は溶媒中でケト−エノール互変異性によりエノラートとなる。エノラートは金属アルコキシドのアルコール脱離を伴ってアルミニウム原子に配位し、有機金属化合物を生成する。数量体になっている金属アルコキシドに安定化剤が配位することで金属アルコキシドの急激な加水分解を抑制する。金属アルコキシドが加水分解され粒子が成長すると、遊離したエノラートはすでにエノラートが配位している金属アルコキシドにさらに配位する。
このようにして安定化剤はアルミニウムアルコシキドとともにキレートを形成する。酸化アルミニウム前駆体ゾル中に生成した有機アルミニウム化合物は、その化学構造によっては凝集を起こす場合がある。有機アルミニウム化合物が凝集すると、焼成成膜時に光学膜中のアルミニウムアルコキシドを加水分解して得られる粒子間の結合形成を阻害することが推測される。粒子間の結合形成が不十分であると酸化アルミニウムの突起が十分に形成されず、反射防止性能が悪化する。また、有機アルミニウム化合物は150℃以上の昇華点を有することもあるため、200℃より低い焼成温度においては、焼成により酸化アルミニウム膜中から有機アルミニウム化合物を完全に除去しきれない。特にβ−ケトエステル化合物においてはエステル交換反応が起こるため、150℃以上の昇華点を有する有機アルミニウム化合物が生成し易い。
加えて、少なくともアルミニウムを含有する金属アルコキシドと安定化剤を原料に使用したゾルを光学部品上に塗布し膜を形成すると、膜を形成する過程で有機アルミニウム化合物の凝集が起こるため、膜ムラなどの外観不良を招く場合がある。
そのため、酸化アルミニウム前駆体ゾル中で凝集により沈殿した有機アルミニウム化合物を除去する、もしくは有機アルミニウム化合物を分解し、低い焼成温度においても膜中にできるだけ残存させないことが好ましい。これにより、200℃より低い焼成温度においても反射防止性能が悪化することはない。
したがって、本発明に係る酸化アルミニウム前駆体ゾルには、安定化剤として一般的なβ−ジケトン化合物もしくはβ−ケトエステル化合物を用いることができるが、好ましくはα位に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリル基、またはアリール基を持つβ−ジケトン化合物を用いる。また、さらに、γ位に、炭素数1以上6以下のアルキル基、パーフルオロアルキル基、またはアリル基もつβ−ジケトン化合物を用いることができる。
このような安定化剤としては、ジピロバイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ−ジケトン化合物類。アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸−iso−プロピル、アセト酢酸−tert−ブチル、アセト酢酸−iso−ブチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル、3−ケト−n−バレリック酸メチルなどの、β−ケトエステル化合物類。さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの、アルカノールアミン類等を挙げることができる。
好ましくは、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−ブチル−2,4−ペンタンジオン、3−ペンチル−2,4−ペンタンジオン、3−ヘキシル−2,4−ペンタンジオン、3−イソプロピル−2,4−ペンタンジオン、3−イソブチル−2,4−ペンタンジオン、3−イソペンチル−2,4−ペンタンジオン、3−イソヘキシル−2,4−ペンタンジオン、3−フェニル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロアセチルアセトン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオンなどを挙げることができる。
特に、有機アルミニウム化合物の凝集を抑制するためには、立体的に嵩高い置換基をもつβ−ジケトン化合物を使用することがより好ましい。しかし、立体的に嵩高い置換基をγ位にもつβ−ジケトン化合物を用いた場合、アルミニウムアルコキシドに対するβ−ジケトン化合物の配位も阻害することになり、アルミニウムアルコシキドを安定に保つことができない。そこで、α位に置換基を設けることで、有機アルミニウム化合物の凝集を抑制する。α位はケトン基とは対極に位置するため、アルミニウムアルコキシドに対するβ−ジケトン化合物の配位を立体的に阻害せず、有機アルミニウム化合物同士の凝集のみを抑える。しかしながら、長鎖アルキル基のような置換基自体に、相互作用がある場合には凝集抑制効果が減ずると考えられる。さらにα位に電子供与性の官能基があるβ−ジケトン化合物から成る有機アルミニウム化合物はα炭素に求電子反応が起こりやすい状態になる。従って、α位に電子供与性の官能基があるβ−ジケトン化合物から成る有機アルミニウム化合物は分解し、より低沸点の化合物になるため、焼成成膜時に膜中から有機アルミニウム化合物を取り除くにはさらにより好ましい。
β−ジケトン化合物の添加量は金属化合物の種類によって異なるが、アルミニウムアルコキシド1モルに対して0.5モル以上2モル以下が好ましい。また、β−ジケトン化合物は水を加える前に、一定時間アルコキシドと混合することによって効果を発揮する。
加水分解を引き起こすためには、水を適量添加する必要がある。水の添加量は溶媒や濃度によって適量が変化する。水の添加量は、アルミニウム化合物1モルに対し0.5モル以上2モル未満であることが好ましい。アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子に溶媒分子を配位させるには、アルミニウム化合物1モルに対し1.5モル以上2モル未満であることがより好ましい。
また、加水分解反応の一部を促進する目的で水に触媒を加えることができる。触媒として塩酸、リン酸などの酸または塩基触媒を0.1mol/L以下の濃度で用いることが好ましい。
酸または塩基触媒を加えることでアルミニウムアルコキシドを加水分解して得られる粒子の形状を制御することができる。また、アルミニウム前駆体ゾル中に酸または塩基触媒を0.001重量%以上0.06重量%未満含むことでアルミニウム前駆体ゾルの安定性がより向上する。アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子に溶媒分子を配位させるためには酸または塩基触媒の含有量は0.02重量%以上0.06重量%未満が好ましい。
溶媒としては、アルミニウム化合物などの原料が均一に溶解し、かつ粒子が凝集などしない有機溶媒であれば良い。例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、シクロペンタノール、2−メチルブタノール、3−メチルブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルブタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、3−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノールなどの1価のアルコール類:エチレングリコール、トリエチレングリコールなどの2価以上のアルコール類:メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1―エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノールなどのエーテルアルコール類:ジメトキシエタン、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルのようなエーテル類:ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類:n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類:トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類:クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラクロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類:N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
上記溶媒の中でもアルミニウム化合物の溶解性が高く、吸湿し難い点で炭素数5以上8以下の一価のアルコールが好ましい。溶媒の吸湿によりアルミニウム化合物の加水分解が進行すると粒径の制御が困難になる。また塗工時の吸湿は粒子の凝集を招き、光学特性の安定性を損なう。さらに、一般的な低沸点アルコールを用いると溶媒の揮発が早く、前述した安定化剤が膜中に残存するため光学特性に影響を与えるが、炭素数5以上8以下の一価のアルコールは用いると乾燥および/または焼成時に溶媒が安定化剤を伴って揮発するため安定化剤が残存し難い。一方、前記炭素数5以上8以下の一価のアルコールは疎水性が高く、加水分解に必要な水を均一に混合できず粒径を一定にすることが困難である。そのため炭素数5以上8以下の一価のアルコールに対し水溶性溶媒を併用することが好ましい。ここで述べる水溶性溶媒とは23℃の溶媒に対する水の溶解度が80重量%以上である溶媒を指す。
本発明に係る光学用部材の製造方法に用いる酸化アルミニウム前駆体ゾルに含有される溶媒の含有量は、50重量%以上98重量%以下、好ましくは60重量%以上93重量%以下が望ましい。
前記溶媒の混合比としては、炭素数5以上8以下の一価のアルコールを50重量%以上90重量%以下、沸点110℃以上170℃以下の水溶性溶媒を10重量%以上50重量%以下の割合で含有することが好ましい。炭素数5以上8以下の一価のアルコールが少なすぎる場合はコーティング時に膜厚が不均一になり外観が悪化する。炭素数5以上8以下の一価のアルコールが多すぎる場合は溶媒の疎水性が高くなり、水が均一に分散しない。
水溶性溶媒は110℃以上170℃以下の沸点を有する水溶性溶媒である。沸点110℃未満の水溶性溶媒を用いると、揮発による吸湿や白化が起こり易い。沸点170℃を超える水溶性溶媒を用いると、乾燥後も酸化アルミニウム膜中に残存して反射率のばらつきを生じる。前記水溶性溶媒がグリコールエーテルであることが好ましい。
本発明に係る光学用部材の製造方法に用いる酸化アルミニウム前駆体ゾルを調製するにあたり、アルミニウムアルコキシドの加水分解と縮合反応を促進するために加熱することができる。加熱温度は溶媒の沸点にも依るが60℃以上150℃以下が好ましく、加熱することによって粒子が成長し粒子性が向上する。
本発明に係る光学用部材の製造方法に用いる酸化アルミニウム前駆体ゾルには、アルミニウム化合物とともに、有機シラン化合物としてR1−Si(OR3)で表わされる化合物を含有する。
R1−Si(OR3)で表わされる化合物の具体例として、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
前記酸化アルミニウム前駆体ゾルに含有される有機シラン化合物の含有量は、酸化アルミニウム前駆体ゾルに対して0.5重量%以上15重量%以下が望ましい。0.5重量%未満では有機シラン化合物が持つ効果が十分に発揮されず、逆に15重量%を越えると絶対反射率値が高くなってしまうので好ましくない。
酸化アルミニウム前駆体ゾルに前記有機シラン化合物を加えて本発明に係る光学用部材の製造工程を経ると、本発明に係る光学用部材は加水分解反応と脱水縮合反応によって、酸化アルミニウムを主成分とする突起および前記突起を支持する、下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜からなる支持層が形成される。
Figure 0006468696
(式中、R1、R2は炭素数1から10のアルキル基、フッ化アルキル基、フェニル基またはアミノアルキル基を示し、それらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。mおよびnは1以上の整数である。)
本発明で使用される基材としては、SiO、BaO、La、TiO、Nb、ZrO、ZnO、Bなどを構成成分に含むガラス基材が挙げられる。前記基材がBaO、La、TiOの内、少なくとも1種類以上を含むことが好ましい。
本発明に用いられる光学用部材は、「ある材料のナノ構造であって、その材料固有の屈折率より低い見かけの屈折率が膜の厚さ方向に変化している反射防止膜」である。
具体的には、この反射防止膜が用いられる光学部品の使用波長より短い寸法を有する微細構造によって実現される。この微細構造はその内部に、外部雰囲気から閉じられた閉空間又は外部雰囲気に解放された開空間を複数有する。これにより、反射防止膜を構成している材料の屈折率(材料固有の屈折率)より、低い屈折率を有することになり、反射防止膜としての見かけの屈折率を低くすることができる。換言すれば、材料固有の屈折率とはその材料の非多孔質の薄膜又はバルクの屈折率であり、見かけの屈折率とは空間を有することにより低くなった微細構造の膜の屈折率である。
そして、膜における空間の占有率又は固体部分の占有率を膜厚方向に変化させることにより、見かけの屈折率を変化させることができる。よって、光の入射側から光の進行方向に沿って、見かけの屈折率が断続的又は連続的に低下させることが好ましい。特に外部雰囲気に接する反射防止膜の最表面は屈折率が1に近く、当該最表面から反射防止膜の膜厚方向に深くなるに従って屈折率が、反射防止膜を構成している材料固有の屈折率(例えば、1.4乃至3.0)に近づくように、徐々に屈折率が低下する光学的特性を有することが好ましいものである。
互いに空間又は固体部分の占有率が異なる少なくとも2層の微細構造を積層したり、空間又は固体部分の占有率が異なるように分布を持たせた構造であってもよい。そして、反射防止膜の最表面側においては空間が外部雰囲気と連通することにより、平滑ではない微細な凹凸構造を有しており、その凸部分の突起の厚さは使用波長より小さく、具体的にはナノメーターオーダーのサイズである。
このような微細な突起からなる凹凸構造は、モスアイ、SWS(サブ波長構造)、花弁状、織物状、棘状、髭状などと表現される。
固体部分に用いられる材料としては、酸化シリコン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、フッ化マグネシウムなどの金属フッ化物、金属フッ化酸化物、金属水酸化物などの金属化合物であってもよい。また、金属元素は1種類に限らず、2元系又は3元系とよばれる多元素系の金属化合物であってもよい。更には、これら固体材料は、リン、ホウ素などを含むものであってもよい。
固体部分の結晶構造は特に限定されるものではなく、非晶質、微結晶、多結晶、単結晶、あるいは非晶質中にそれらの結晶が混在したものであってもよい。
反射防止膜の製造方法としては、具体的には、真空蒸着、スパッタリング、CVDなどに代表される気相法、又はゾルゲル法、塗布法、スプレー法などの液相法により形成された固体膜に、熱処理、温水処理などの表面処理を施して、表面に微細な凹凸構造を形成する。
例えば、ゾルゲル法により基材の表面上に形成された、非晶質の酸化アルミニウムの膜を温水に浸すことにより、ベーマイトとも呼ばれる水酸化アルミニウムの板状の結晶を成長させると、花弁状の微細な凹凸構造を得ることができる。
また、このような微細な凹凸構造の反射防止膜と基体との間に、別の中間層を形成することもできる。このような中間層としては、反射防止膜の見かけの屈折率と基体の屈折率の中間の屈折率を有する固体膜が好ましく用いられる。具体的には、反射防止膜の材料として列挙した金属化合物のような無機物、或いは、ポリイミドに代表される樹脂のような有機物であり得る。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものではない。各実施例、比較例で得られた、表面に突起を有する光学膜について、下記の方法で評価を行った。
(1)酸化アルミニウム前駆体ゾル1から10の調製
アルミニウム−sec−ブトキシド(ASBD、川研ファインケミカル製)24gと、アルミニウム−sec−ブトキシドに対して0.5当量の安定化剤と、2−エチルブタノールとを均一になるまで混合攪拌した。アルミニウム−sec−ブトキシドに対して1.5当量の0.01M希塩酸を2−エチルブタノール/1−エトキシ−2−プロパノールの混合溶媒に溶解してから、前記アルミニウム−sec−ブトキシドの溶液にゆっくり加え、60分間攪拌した。溶媒は最終的に2−エチルブタノールと1−エトキシ−2−プロパノールの混合比が重量比で7/3の混合溶媒になるように調整した。
さらに110℃に加熱したオイルバス中で2から3時間以上攪拌した。その後、有機シラン化合物もしくはシリコンアルコキシド(Xモル)をアルミニウム−sec−ブトキシド(Yモル)に対するモル比(X/Y)が0.25になるよう混合することによって酸化アルミニウム前駆体ゾル1から10を調製した。調製に用いた安定化剤と添加剤の種類は表1に示した。
(2)中間層溶液1の調製
14.6gのケイ酸エチルに、3.15gの0.01M希塩酸と、29.5gの1−ブタノール/2−プロパノールの1/1(wt.)混合溶媒をゆっくり加えてから、室温で撹拌した、6時間撹拌した後、94.6gの1−ブタノール/2−プロパノールの1/1(wt.)混合溶媒で希釈して中間層溶液1を調製した。
(3)基材の洗浄
片面だけ研磨され、もう一方の面がスリガラス状の直径約φ30mm、厚さ約1mmの円盤状ガラス基板をアルカリ洗剤中で超音波洗浄した後、オーブン中で乾燥した。
(4)反射率測定
絶対反射率測定装置(USPM−RU、オリンパス製)を用い、波長400nmから700nmの範囲の入射角0°時の反射率測定を行った。測定範囲の反射率の平均値と、比視感度が高い領域である波長530nmから570nmにおける反射率の平均値と、測定範囲の最低反射率を求めた。
(5)支持層のケイ素含有量測定
X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ製、Quantera SXM)を用い、酸化アルミニウムの突起を有する層を大きさ約φ30mm、厚さ約1mmのL−BAL42円盤状ガラス基板上に形成し、表面から深さ方向分析を行った。測定光源はAl(モノクロメータ)、ビーム径は100μm、スペクトル測定はNarrowモードを選択し、測定元素にはAl、Si、C、O、F、Baを指定した。検出領域は500μm×500μmとした。スパッタはArイオンビームを用いて加速電圧2kVでおこなった。
スペクトルの結果より、酸化アルミニウムの突起を支持する支持層部分の任意の点においてSiピークの有無を確認し、バックグラウンドレベル以上存在する場合は有、存在しない場合は無とした。次いで、Siピークが確認できた場合は同じ点におけるAlピークとSiピークの化学シフト解析より得られるSi−C結合を示すピークから、Al含有量(A)に対するSiピーク中のSi−C基の含有量(S)の比[(S/A)×100]を算出した。
Figure 0006468696
(実施例1)
前記の方法で洗浄したL−BAL42(OHARA社製)(n=1.583)円盤状ガラス基板に酸化アルミニウム前駆体ゾル1を適量滴下し、スピンコートによって反射率を下げるのに適した膜厚になるように塗布を行った後、140℃の熱風循環オーブンで30分加熱処理し、非晶性酸化アルミニウム膜を被膜した。その後、非晶性酸化アルミニウム膜を75℃の温水に浸漬することにより、平板ガラス上に酸化アルミニウムからなる突起を有する層を形成した。
(実施例2から6)
酸化アルミニウム前駆体ゾル1の代わりに酸化アルミニウムゾル2から6を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
(実施例7)
基材にS−LAL8(OHARA社製)(n=1.713)円盤状ガラス基板を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
(実施例8)
基材にS−TIM25(OHARA社製)(n=1.673)円盤状ガラス基板を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
(実施例9)
基材にS−TIM3(OHARA社製)(n=1.613)円盤状ガラス基板を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
(実施例10)
基材にS−FSL5(OHARA社製)(n=1.488)円盤状ガラス基板を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
(比較例1、3、4)
酸化アルミニウム前駆体ゾル1の代わりに酸化アルミニウム前駆体ゾル7、9、10を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
(比較例2)
酸化アルミニウム前駆体ゾル1の代わりに酸化アルミニウム前駆体ゾル8を用い、成膜条件を温度200℃2時間焼成にし、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
実施例1から10ならびに比較例1から4について、波長400nmから700nmの範囲の入射角0°時の反射率測定を行い、その結果を表2に示した。
Figure 0006468696
(注1)*平均反射率1(%)は、光の波長400nmから700nmの範囲の入射角0°時における絶対反射率の平均値を示す。
(注2)*平均反射率2(%)は、光の波長530nmから570nmの範囲の入射角0°時における絶対反射率の平均値を示す。
(注3)*最低反射率(%)は、光の波長400nmから700nmの範囲の入射角0°時における反射率の最低反射率を示す。
実施例1、実施例3、比較例1、比較例4について、X線光電子分光分析法による酸化アルミニウムからなる突起を支持する支持層のケイ素含有量の測定を行い、その結果を表3に示した。
Figure 0006468696
(注4)*平均反射率1(%)は、光の波長400nmから700nmの範囲の入射角0°時における絶対反射率の平均値を示す。
(注5)*平均反射率2(%)は、光の波長530nmから570nmの範囲の入射角0°時における絶対反射率の平均値を示す。
(注6)*最低反射率(%)は、光の波長400nmから700nmの範囲の入射角0°時における反射率の最低反射率を示す。
図6に実施例1と比較例1の反射率実測値の比較を示した。
(性能評価)
実施例1から6と比較例1から4の平均反射率1、平均反射率2、最低反射率の結果を比較すると、本発明に係る光学用部材はすべての項目において良好な反射率特性を示すことが確認された。特に、比視感度が高い領域である波長530nmから570nmにおける反射率の平均値と、測定範囲の最低反射率の特性に優れていた。
実施例7から10の結果から、屈折率(n)が1.488から1.713までの基材に対して良好な反射率特性を発揮することが確認された。
実施例1から6と比較例4の比較から、低屈折率化合物を含むのみの膜よりも有機シラン化合物を含む本件に係る光学用部材はより反射率特性が優れていることが確認された。
実施例1から6と比較例3の比較から、有機シラン化合物の中でも2価の有機基を持つ有機シラン化合物を含む膜よりも1価の有機基を持つ有機シラン化合物を含む本件に係る光学用部材はより反射率特性が優れていることが確認された。
実施例1、実施例3、比較例1、比較例4の酸化アルミニウムの突起を支持する支持層の中のXPS分析の結果、実施例1、実施例3、比較例4からは酸化アルミニウムの突起を支持する支持層においてSiが検出されたが、比較例1からは検出されなかった。比較例4においては酸化アルミニウムの突起を支持する支持層の中にSi−C結合が確認されなかった。
(実施例11)
前記の方法で洗浄したL−BAL42(OHARA社製)(n=1.583)円盤状ガラス基板に中間層溶液1を適量滴下し、スピンコートによって反射率を下げるのに適した膜厚になるように塗布を行った後、200℃の熱風循環オーブンで60分加熱処理し、中間層膜を被膜した。
中間層膜付基板の上に酸化アルミニウム前駆体ゾル1を適量滴下し、スピンコートによって反射率を下げるのに適した膜厚になるように塗布を行った後、140℃の熱風循環オーブンで30分加熱処理し、非晶性酸化アルミニウム膜を被膜した。その後、非晶性酸化アルミニウム膜を75℃の温水に浸漬することにより、平板ガラス上に酸化アルミニウムからなる突起を有する層を形成した。
(実施例12)
酸化アルミニウム前駆体ゾル1の代わりに酸化アルミニウム前駆体ゾル3を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例11と同様の操作を行った。
(比較例5)
酸化アルミニウム前駆体ゾル1の代わりに酸化アルミニウム前駆体ゾル7を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例11と同様の操作を行った。
(比較例6)
酸化アルミニウム前駆体ゾル1の代わりに酸化アルミニウム前駆体ゾル10を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例11と同様の操作を行った。
実施例11から12ならびに比較例5から6について、波長400nmから700nmの範囲の入射角0°時の反射率測定を行い、その結果を表4に示した。
Figure 0006468696
(注7)*平均反射率1(%)は、光の波長400nmから700nmの範囲の入射角0°時における絶対反射率の平均値を示す。
(注8)*平均反射率2(%)は、光の波長530nmから570nmの範囲の入射角0°時における絶対反射率の平均値を示す。
(注9)*最低反射率(%)は、光の波長400nmから700nmの範囲の入射角0°時における反射率の最低反射率を示す。
図7に実施例12と比較例5の反射率実測値の比較を示した。
(性能評価)
実施例11から12と比較例5から6の平均反射率1、平均反射率2、最低反射率の結果を比較すると、本発明に係る光学用部材は低屈折率硝材に対応した中間層と組み合わせることでも良好な反射率特性を示すことが確認された。特に、比視感度が高い領域である530nmから570nmにおける反射率の平均値と、測定範囲の最低反射率の特性に優れていた。
本発明の光学用部材は、低屈折率を有する透明基材に対応でき、可視光に対して優れた反射防止効果を示すとともに、長期的な耐候性を有する。よって、ワープロ、コンピュータ、テレビ、プラズマディスプレイパネル等の各種ディスプレイなどの光学部材に利用することができる。また、液晶表示装置に用いる偏光板、各種光学硝材及び透明プラスチック類からなるサングラスレンズ、度付メガネレンズ、カメラ用ファインダーレンズ、プリズム、フライアイレンズ、トーリックレンズ、各種光学フィルター、センサーなどの光学部材に利用することができる。さらにはそれらを用いた撮影光学系、双眼鏡などの観察光学系、液晶プロジェクタなどに用いる投射光学系:レーザービームプリンターなどに用いる走査光学系等の各種光学レンズ:各種計器のカバー、自動車、電車等の窓ガラスなどの光学部材に利用することができる。
1 基材
2 酸化アルミニウム前駆体ゾル
3 酸化アルミニウム膜
4 積層体
5 突起
6 支持層
7 積層体
8 突起
9 支持層
10 傾斜方向
11 基材表面の接線
12 酸化アルミニウム以外を主成分とする層

Claims (7)

  1. 基材表面に積層体が形成された光学用部材において、
    前記基材は、屈折率nが1.48以上1.71以下であり、
    前記積層体が少なくとも酸化アルミニウムを主成分とする突起および前記突起を支持する支持層を有し、
    前記突起を支持する支持層が下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜からなることを特徴とする光学用部材。
    Figure 0006468696

    (式中、R1、R2は炭素数1から10のアルキル基、フッ化アルキル基、フェニル基またはアミノアルキル基を示し、それらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。mおよびnは1以上の整数である。)
  2. 前記突起を支持する支持層のX線分光光度分析(XPS)による深さ方向の分析によりAlとSiが検出され、前記突起を支持する支持層において検出されたAl含有量(A)に対するSiピーク中のSi−C基の含有量(S)の比[(S/A)×100]が0.01%以上10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学用部材。
  3. 前記酸化アルミニウムを主成分とする突起の微細構造がナノ構造であって、酸化アルミニウム固有の屈折率より低い見かけの屈折率が積層体の厚さ方向に変化していることを特徴とする請求項1または2に記載の光学用部材。
  4. 前記積層体は、前記基材と前記支持層との間に膜を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の光学用部材。
  5. 光学用部材の製造方法であって、(a)基材の少なくとも一方の面上にアルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物を加水分解して得られた重縮合物、α位に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリル基、またはアリール基を持つβジケトン化合物、溶媒及び有機シラン化合物を含有する酸化アルミニウム前駆体ゾルを供給する工程、(b)前記基材を200℃より低い温度で乾燥および/または焼成を行うことにより酸化アルミニウム膜を形成する工程、(c)前記酸化アルミニウム膜を60℃以上100℃以下の温水と接触させて、酸化アルミニウムを主成分とする突起および前記突起を支持する、下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜を形成する工程を有することを特徴とする光学用部材の製造方法。
    Figure 0006468696

    (式中、R1、R2は炭素数1から10のアルキル基、フッ化アルキル基、フェニル基またはアミノアルキル基を示し、それらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。mおよびnは1以上の整数である。)
  6. 光学用部材の製造方法であって、(a)基材の少なくとも一方の面上に、無機物あるいは有機物の膜を形成する工程、(b)前記膜上に、アルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物を加水分解して得られた重縮合物、α位に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリル基、またはアリール基を持つβジケトン化合物、溶媒及び有機シラン化合物を含有する酸化アルミニウム前駆体ゾルを供給する工程、(c)前記基材を200℃より低い温度で乾燥および/または焼成を行うことにより酸化アルミニウム膜を形成する工程、(d)前記酸化アルミニウム膜を60℃以上100℃以下の温水と接触させて、酸化アルミニウムを主成分とする突起および前記突起を支持する、下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造を有する酸化アルミニウム膜を形成する工程を有することを特徴とする光学用部材の製造方法。
    Figure 0006468696

    (式中、R1、R2は炭素数1から10のアルキル基、フッ化アルキル基、フェニル基またはアミノアルキル基を示し、それらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。mおよびnは1以上の整数である。)
  7. 前記酸化アルミニウム前駆体ゾルに含まれる有機シラン化合物が、R1−Si(OR3)(R1は炭素数1から10のアルキル基、フッ化アルキル基、フェニル基またはアミノアルキル基を示し、それらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。R3は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項5または6に記載の光学用部材の製造方法。
JP2013130772A 2013-06-21 2013-06-21 光学用部材およびその製造方法 Active JP6468696B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013130772A JP6468696B2 (ja) 2013-06-21 2013-06-21 光学用部材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013130772A JP6468696B2 (ja) 2013-06-21 2013-06-21 光学用部材およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015004871A JP2015004871A (ja) 2015-01-08
JP6468696B2 true JP6468696B2 (ja) 2019-02-13

Family

ID=52300807

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013130772A Active JP6468696B2 (ja) 2013-06-21 2013-06-21 光学用部材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6468696B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107430214B (zh) 2015-03-31 2019-08-06 富士胶片株式会社 防反射膜及其制造方法
WO2016170727A1 (ja) * 2015-04-20 2016-10-27 富士フイルム株式会社 構造物の製造方法
JP2018084140A (ja) * 2016-11-21 2018-05-31 国立研究開発法人産業技術総合研究所 窓部材、点火装置及び内燃機関
JP2020038311A (ja) * 2018-09-05 2020-03-12 ミツミ電機株式会社 撥水性反射防止構造体

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4182236B2 (ja) * 2004-02-23 2008-11-19 キヤノン株式会社 光学部材および光学部材の製造方法
JP2007183366A (ja) * 2006-01-05 2007-07-19 Pentax Corp 防塵性光透過性部材及びその用途、並びにその部材を具備する撮像装置
JP2009015077A (ja) * 2007-07-05 2009-01-22 Hoya Corp 一眼レフレックスカメラ用ファインダー光学系及び一眼レフレックスカメラ
JP5279858B2 (ja) * 2010-05-07 2013-09-04 キヤノン株式会社 酸化アルミニウム前駆体ゾル、および光学用部材の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015004871A (ja) 2015-01-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5645435B2 (ja) 酸化アルミニウム前駆体ゾル及び光学用部材の製造方法
JP5279858B2 (ja) 酸化アルミニウム前駆体ゾル、および光学用部材の製造方法
US10459125B2 (en) Optical member, method for manufacturing optical member, and optical film of optical member
JP6071318B2 (ja) 光学部材および光学部材の製造方法
JP5814512B2 (ja) 光学用部材、その製造方法及び光学系
JP4520418B2 (ja) 光学用透明部材及びそれを用いた光学系
JP4182236B2 (ja) 光学部材および光学部材の製造方法
JP4107050B2 (ja) コーティング材組成物及びそれにより形成された被膜を有する物品
JP6100058B2 (ja) 酸化アルミニウム前駆体ゾル、その製造法、光学用部材の製造方法
JP5279344B2 (ja) 光学素子の製造方法
JP6468696B2 (ja) 光学用部材およびその製造方法
JP7046544B2 (ja) 光学素子、光学機器、光学素子の製造方法および塗料
JP5653069B2 (ja) 酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造法、及び光学用部材の製造方法
JP5967604B2 (ja) 撥水性アルミナゾル、撥水性アルミナ膜及びその製造方法
JP2018049075A (ja) 光学膜、該光学膜を備えた基材、及び該基材を有する光学デバイス
WO2018198936A1 (ja) 低反射膜付き透明基板、光電変換装置、低反射膜付き透明基板の低反射膜を形成するための塗工液及び低反射膜付き透明基板の製造方法
JP2017203910A (ja) 光学膜

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160617

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170530

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170728

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20171114

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180213

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20180220

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20180316

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190115

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6468696

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151