JP6100058B2 - 酸化アルミニウム前駆体ゾル、その製造法、光学用部材の製造方法 - Google Patents

酸化アルミニウム前駆体ゾル、その製造法、光学用部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化アルミニウム前駆体ゾル、その製造方法、光学用部材の製造方法、光学用部材及び光学系に関する。詳しくは、本発明は、可視領域を含む広い領域で高い反射防止性能を有す光学膜を作製可能で、かつ成膜後にクラック(亀裂)の発生を抑制した酸化アルミニウム前駆体ゾル、その製造方法、光学用部材の製造方法、光学用部材及び光学系に関する。
可視光領域の波長以下の微細構造を用いた反射防止構造体は、適切なピッチ、高さの微細構造を形成することにより、広い波長領域ですぐれた反射防止性能を示すことが知られている。微細構造を形成する方法としては、微細構造が100nmから250nmの周期をもつ波長以下の粒径の微粒子を分散した膜の塗布などが知られている。
また、電子線描画装置やレーザー干渉露光装置,半導体露光装置,エッチング装置などの微細加工装置によるパターン形成によって微細構造を形成する方法は、ピッチ、高さの制御が可能である。また、すぐれた反射防止性能を持つ微細構造を形成することが出来ることが知られている(特許文献1)。
それ以外の方法として、アルミニウムの水酸化酸化物であるベーマイトを基材上に成長させて反射防止効果を得ることも知られている。これらの方法では、真空成膜法あるいは液相法(ゾルゲル法)により成膜し、その後、乾燥または焼成して作成した酸化アルミニウムの膜を水蒸気処理あるいは温水浸漬処理することにより、表層をベーマイト化して微細構造を形成し、反射防止膜を得ている(特許文献2)。
アルミニウム化合物の微細構造を用いて反射防止膜を形成する方法では垂直入射および斜入射による反射率が極めて低く、優れた反射防止性能が得られることが知られている。しかしながらアルミニウム化合物の微細構造を用いた反射防止膜の反射防止性能は、微細構造のピッチ、高さによって敏感に変化する。
特に斜入射した光に対する反射防止性能は微細構造のピッチ、高さによって敏感に変化する。微細構造のピッチが同じであれば、高くすることで斜入射した光に対する反射防止性能は向上するが、そのためには酸化アルミニウムの膜を厚くする必要があり、厚くすると、膜にクラックが発生してしまう。
液相法(ゾルゲル法)を用いる場合、成膜後の乾燥または焼成においてかかる熱と膜に含まれる有機溶剤が揮発することにより引っ張り応力が発生する。この引っ張り応力は膜が厚く、また、表面に近いほど大きくなる。そのため、一般的な酸化アルミニウム前駆体ゾルは基材上に厚く成膜し、乾燥または焼成すると膜にクラックが入り易く、基材上に厚く成膜することが困難であった。
特開昭50−70040号公報 特開平9−202649号公報
上記の様な酸化アルミニウム前駆体ゾルを用いて反射防止膜を形成する液相法(ゾルゲル法)において、基材上に厚く成膜した場合にクラックの発生がない酸化アルミニウム前駆体ゾルと、酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造法、及びそれを用いた光学用部材の製造方法が望まれている。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、成膜後の乾燥または焼成の際に発生する引っ張り応力を緩和し、厚く成膜した場合であってもクラックの発生を抑制した酸化アルミニウム前駆体ゾルおよびその製造方法を提供するものである。また、本発明は、前記酸化アルミニウム前駆体ゾルを用いた光学用部材の製造方法、光学用部材及び光学系を提供するものである。
上記の課題を解決する酸化アルミニウム前駆体ゾルは、アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子と、溶媒と、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物とを含有する酸化アルミニウム前駆体ゾルであって、前記酸化アルミニウム前駆体ゾルのパルスNMR測定によって得られたH核のT緩和曲線が、異なるT緩和時間を持つ二つの緩和曲線の成分に分離され、そのうちより長いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、より短いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、下記式(1)によって求められるCの割合をRCS(%)と定義した場合、RCSが23.5%以上50.0%以下であることを特徴とする。
(式中、R、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基もしくはアリール基を表す。nは1以上3以下の整数である。)
上記の課題を解決する酸化アルミニウム前駆体ゾルを製造する方法は、(A)溶媒に、β−ジケトン化合物と、アルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物を添加し、混合して、アルミニウム化合物を含有する溶液を作製する工程と、
(B)前記(A)の工程で得られた溶液に水、または触媒を含む水を添加し、混合して、前記アルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物の縮合物及び下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を形成する工程と、
(C)前記(B)の工程で得られた溶液を60℃以上150℃以下に加熱して酸化アルミニウム前駆体ゾルを得る工程と、
を有する、アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子と、溶媒と、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を含む酸化アルミニウム前駆体ゾルを製造する方法であって、
前記酸化アルミニウム前駆体ゾルのパルスNMR測定によって得られたH核のT緩和曲線が、異なるT緩和時間を持つ二つの緩和曲線の成分に分離され、そのうちより長いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、より短いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、下記式(1)によって求められるCの割合をRCS(%)と定義した場合、RCSが23.5%以上50.0%以下となるように、前記β−ジケトン化合物の添加量、前記水、または触媒を含む水に含まれる水の添加量、または前記(B)の工程で得られた溶液を加熱する温度と、を調整することを特徴とする。
(式中、R、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基もしくはアリール基を表す。nは1以上3以下の整数である)
上記の課題を解決する光学用部材の製造方法は、(a)基材の少なくとも一方の面上に、上記の酸化アルミニウム前駆体ゾルを供給する工程、(b)前記基材上に供給した酸化アルミニウム前駆体ゾルの乾燥および/または焼成を行うことにより酸化アルミニウム膜を形成する工程、(c)前記酸化アルミニウム膜を60℃以上100℃以下の温水または水蒸気と接触させて酸化アルミニウムを含む結晶を析出させ酸化アルミニウムの結晶を含む凹凸構造を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、成膜後の乾燥または焼成の際に発生する引っ張り応力を緩和し、厚く成膜した場合であってもクラックの発生を抑制した酸化アルミニウム前駆体ゾルおよびその製造方法を提供することができる。また、本発明は、前記酸化アルミニウム前駆体ゾルを用いた光学用部材の製造方法、光学用部材および光学系を提供することができる。
本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルを用いた光学用部材の光の波長(nm)に対する反射率(%)の関係を示す図である。 CPMG法により得られた信号の一例を示す説明図である。 本発明の光学用部材の製造方法の一実施形態を示す工程図である。 本発明の光学用部材の一実施態様を示す概略図である。 本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。 本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。 本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。 本発明の光学用部材の一実施態様を示す表面拡大電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係る酸化アルミニウム前駆体ゾルは、アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子と、溶媒と、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物とを含有する酸化アルミニウム前駆体ゾルであって、前記酸化アルミニウム前駆体ゾルのパルスNMR測定によって得られたH核のT緩和曲線が、異なるT緩和時間を持つ二つの緩和曲線の成分に分離され、そのうちより長いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、より短いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、下記式(1)によって求められるCの割合をRCS(%)と定義した場合、RCSが23.5%以上50.0%以下であることを特徴とする。
(式中、R、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基、パーフルオロアルキル基またはアリル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリル基またはアリール基を表す。nは1以上3以下の整数である。)
また、本発明に係る酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造方法は、
(1)溶媒に、β−ジケトン化合物と、アルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物を添加し、混合して、アルミニウム化合物を含有する溶液を作製する工程と、
(2)前記(1)の工程で得られた溶液に水、または触媒を含む水を添加し、混合して、前記アルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物の縮合物及び下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を形成する工程と、
(3)前記(2)の工程で得られた溶液を60℃以上150℃以下に加熱して酸化アルミニウム前駆体ゾルを得る工程と、
を有する、アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子と、溶媒と、上記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を含む酸化アルミニウム前駆体ゾルを製造する方法であって、
前記酸化アルミニウム前駆体ゾルのパルスNMR測定によって得られたH核のT緩和曲線が、異なるT緩和時間を持つ二つの緩和曲線の成分に分離され、そのうちより長いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、より短いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、上記式(1)によって求められるCの割合をRCS(%)と定義した場合、RCSが23.5%以上50.0%以下となるように、前記β−ジケトン化合物の添加量、前記水、または触媒を含む水に含まれる水の添加量、または前記溶液を加熱する温度と、を調整することを特徴とする。
本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルは、基材上に塗布、乾燥する際に膜が厚い場合においてもクラックを抑制し、さらに温水または水蒸気に接触させると酸化アルミニウムの結晶を含む突起(構造)が形成され、空間と複数の突起(構造)とにより凹凸構造を形成することができ、後述する本発明の光学用部材の製造方法に用いるのに適している。
本明細書において、酸化アルミニウムの結晶とは、アルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物を50wt%以上含む結晶のことを言う。特に好ましい結晶としてはベーマイトである。本明細書では、アルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物を酸化アルミニウムと称することとする。また、前記酸化アルミニウムの結晶を含む凹凸構造とは、空間と、酸化アルミニウムの結晶を50wt%以上含む構造(突起)とによる凹凸構造のことを言う。また、酸化アルミニウム膜とは、酸化アルミニウムを50wt%以上含む膜のことを言う。
図1は、本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルを用いた光学用部材の光の波長(nm)に対する反射率(%)の関係を示す図である。図1には、n=1.62の膜を施したn=1.80の基材上に、本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルを用いた二種類の膜厚の異なる酸化アルミニウム膜を温水または水蒸気と接触させて酸化アルミニウムの結晶を含む構造(突起)により凹凸構造を形成した光学用部材の可視光領域での光学シミュレーションから算出した反射率を示す。図中、厚膜の、温水と接触させる(温水中に浸漬する)前の酸化アルミニウム膜の膜厚は160nm、薄膜の、温水と接触させる(温水中に浸漬する)前の酸化アルミニウム膜の膜厚は130nmである。酸化アルミニウム膜を厚くすることで酸化アルミニウムの結晶を含む突起状構造が変化し、斜入射光に対する反射率が低下することがわかる。斜入射光に対する反射率が低下するには、酸化アルミニウム膜は140nm以上の厚みが好ましい。
しかしながら、曲率の高いレンズの周辺部などの形状依存や、コート法の原理によって基材上に成膜した場合に膜の一部が厚くなることもあるため、光学素子として高い反射防止性能を有するには160nm以上の厚みでクラックが発生しないことが望まれる。
クラックの発生する原因は、膜に働く引っ張り応力にある。引っ張り応力と膜内部の体積を保とうとする力の差が大きくなり、引っ張り強度を超えたときにクラックが発生する。
引っ張り応力の一つは基材を乾燥および/または焼成する際に溶媒が揮発することで発生する。この引っ張り応力は毛管力に起因するため、膜を構成するアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子間の細孔を大きくすることでクラックを抑制できる。また、乾燥および/または焼成時にかかる熱による、基材と膜との熱膨張率の差によって起こる引っ張り応力もある。この引っ張り応力は加熱温度と冷却温度の差が大きいほど大きくなるため、乾燥および/または焼成時の温度はより低い方が好ましい。
膜中のアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子間の細孔を大きくするためにはアルミニウムアルコキシドの加水分解反応と縮合反応進めて粒子を大きくするか、もしくは粒子の周囲に他の分子を配位させてスペーサーとする方法がある。しかしながら、前者は加水分解反応と縮合反応を過度に進めると粒子が急激に成長し、ゲル化が起こるためコート時に膜ムラが発生する。そのためコート液として不適当となる。一方、後者では粒子自体の成長は必要ないため、ゲル化が起こりにくい。
本発明は酸化アルミニウム前駆体ゾル中の溶媒分子がアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子に配位した状態を形成する。本発明に係る酸化アルミニウム前駆体ゾルを基材上に塗布した後の乾燥および/または焼成における膜中の溶媒の揮発の過程は、まず配位していない状態で残っている溶媒分子が粒子間の細孔を通して揮発し、次に粒子に配位した溶媒分子が揮発すると考えられる。そのため、粒子間の細孔を維持したまま溶媒が揮発し、引っ張り応力が緩和されると考えられる。粒子の周囲に他の分子を配位させてスペーサーとする場合においても溶媒分子を配位させるために加水分解反応をある程度進め、アルミニウム化合物の反応活性点を増やす必要がある。
ところが、粒子に溶媒分子が配位しているため、動的光散乱法などで平均粒子径を測定した場合、見かけ上平均粒子径が大きくなったようにみえ、単に粒子が大きくなっているのか、粒子に溶媒分子が配位しクラックの発生しにくい酸化アルミニウム前駆体ゾルであるのかを区別し、評価することは困難である。
そこで本発明では、酸化アルミニウム前駆体ゾル中のアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子の状態を評価する方法として、パルスNMR法(Nuclear Magnetic Resonance、核磁気共鳴)を用いたH核のT緩和時間を測定する。パルスNMR法としては、例えば、CPMG(Carr Purcell Meiboom Gill)法を用いることができる。酸化アルミニウム前駆体ゾルを対象として測定する際には、一定の温度条件下で、前記T緩和時間を測定する。
酸化アルミニウム前駆体ゾル中に運動性に差がある複数の成分が存在すれば、成分ごとにT緩和時間が異なるため、この違いを利用して、運動性の異なる各成分の量を求めることができる。
測定結果は、下記式(2)に示す多成分のカーブフィッティングにより解析を行う。
M(t)=C・exp(−t/T2A)+C・exp(−t/T2B)+ ・・・・(2)
式(2)において、MはNMR信号(磁化)を示し測定時間tの関数である。Cは系内に含まれる成分Aの存在比(%)、Cは系内に含まれる成分Bの存在比(%)、T2Aは成分Aの緩和時間(ms)、T2Bは成分Bの緩和時間(ms)を示す。
酸化アルミニウム前駆体ゾル中のアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子に溶媒分子が配位すると、その運動性は配位していない状態よりも小さくなるため、上記測定の結果得られるT緩和時間は小さくなる。
本発明に係る酸化アルミニウム前駆体ゾルを対象として、CPMG法により得られた信号と式(2)に示す多成分のカーブフィッティングにより求めた二成分の緩和曲線の一例を図2に示す。酸化アルミニウム前駆体ゾルを対象としてCPMG法によるパルスNMR測定を行うと、NMR信号、測定にかかった時間tmax、長いT緩和時間T2L、短いT緩和時間T2Sを求めることができる。式(2)を用いた二成分のカーブフィッティングによる測定結果の解析から、T緩和時間が短い成分(運動性が低い成分)Cと、T緩和時間が長い成分(運動性が高い成分)Cの二成分の存在比が得られる。三成分以上にするとフィッティングの自由度が高くなり、成分比が一意的に求められない。本発明に係る酸化アルミニウム前駆体ゾルには二成分のカーブフィッティングが適している。
具体的には、本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルは、パルスNMR測定によって得られたH核のT緩和曲線が、異なるT緩和時間を持つ二つの緩和曲線の成分に分離され、そのうちより長いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、より短いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、下記式(1)によって求められるCの割合をRCS(%)と定義した場合、RCSが23.5%以上50.0%以下、好ましくは30.0%以上45.0%以下であることが望ましい。
このようにパルスNMR法を用いることによって、T緩和時間が短い成分の存在比、つまり、溶媒分子が配位したアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子の存在比を評価することができる。
本発明に係る酸化アルミニウム前駆体ゾルは、アルミニウムアルコキシドを加水分解して得られた縮合物、溶媒を含み、さらに下記の一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を含むことを特徴とする。一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物はβ−ジケトン化合物がアルミニウムに配位した化合物である。
(式中、R、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基もしくはアリール基を表す。nは1以上3以下の整数である。)
本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルは、アルミニウム化合物を溶媒中で水と接触させて得られるアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を主成分として含有している。アルミニウム化合物をAl−X(Xはアルコキシル基、アシロキシル基、ハロゲン基、硝酸イオンを表す)とした時に、その加水分解物とはAl−X(OH)、Al−X(OH)、あるいはAl−(OH)で表される化合物である。前記加水分解物はその−OH基同士あるいは−X基と−OH基が反応してHOあるいはXHの脱離を伴いながらAl−O−Al結合を形成する。その結果得られる1個以上のAl−O−Al結合を有し、直鎖構造または枝分かれ構造を持った化合物がアルミニウム化合物の縮合物である。前記粒子が非晶質であることが好ましい。
本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルに含有されるアルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子の含有量は、金属酸化物に換算して1重量%以上7重量%以下、好ましくは2.5重量%以上6重量%以下が望ましい。7重量%を越えて多すぎるとゾルの粘度が高くなり、1回のコーティング操作において、膜厚が厚く不均一になり易く所望の反射防止性能を得ることができない。1重量%未満で少なすぎると、1回のコーティング操作における膜厚が薄くなりすぎて、複数回塗布と加熱を繰り返すことになるため、工程数と外観不良発生の可能性を増加させることになる。
また、前記アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子の平均粒子径は7.5nm以上35nm以下、好ましくは7.5nm以上25nm以下であることが望ましい。平均粒子径が7.5nm未満では成膜後の乾燥または焼成の際に発生する引っ張り応力が大きくなり、クラック発生し易くなり好ましくなく、35nmを越えると塗布時に粒子が凝集し外観不良が起こり易くなり好ましくない。
アルミニウム化合物などの金属化合物の具体例は以下に例示する。
アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−sec−ブトキシド、アルミニウム−tert−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、またこれらのオリゴマー、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
上記の金属化合物の中でもアルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−sec−ブトキシドなどの金属アルコキシドを原材料に用いることが好ましい。
前記アルミニウムアルコキシドは水に対する反応性が高く、空気中の水分や水の添加により急激に加水分解され溶液の白濁、沈殿を生じる。また、アルミニウム塩化合物は有機溶媒のみでは溶解が困難で、溶液の安定性が低い。これらを防止するために安定化剤を添加し、溶液の安定化を図る。
安定化剤にはβ−ジケトン化合物もしくはβ−ケトエステル化合物を用いる。安定化剤は溶媒中でケト−エノール互変異性によりエノラートとなる。エノラートは金属アルコキシドのアルコール脱離を伴ってアルミニウム原子に配位し、有機金属化合物を生成する。数量体になっている金属アルコキシドに安定化剤が配位することで金属アルコキシドの急激な加水分解を抑制する。金属アルコキシドが加水分解され粒子が成長すると、遊離したエノラートはすでにエノラートが配位している金属アルコキシドにさらに配位する。
このようにして安定化剤はアルミニウムアルコシキドとともにキレートを形成する。酸化アルミニウム前駆体ゾル中に生成した有機アルミニウム化合物は、その化学構造によっては凝集を起こす場合がある。有機アルミニウム化合物が凝集すると、焼成成膜時に光学膜中のアルミニウムアルコキシドを加水分解して得られる粒子間の結合形成を阻害することが推測される。粒子間の結合形成が不十分であると酸化アルミニウムの突起が十分に形成されず、反射防止性能が悪化する。また、有機アルミニウム化合物は150℃以上の昇華点を有することもあるため、200℃より低い焼成温度においては、焼成により酸化アルミニウム膜中から有機アルミニウム化合物を完全に除去しきれない。特にβ−ケトエステル化合物においてはエステル交換反応が起こるため、150℃以上の昇華点を有する有機アルミニウム化合物が生成し易い。
加えて、少なくともアルミニウムを含有する金属アルコキシドと安定化剤を原料に使用したゾルを光学部品上に塗布し膜を形成すると、膜を形成する過程で有機アルミニウム化合物の凝集が起こるため、膜ムラなどの外観不良を招く場合がある。そのため、酸化アルミニウム前駆体ゾル中で凝集により沈殿した有機アルミニウム化合物を除去する、もしくは有機アルミニウム化合物を分解し、低い焼成温度においても膜中にできるだけ残存させないことが好ましい。これにより、200℃より低い焼成温度においても反射防止性能が悪化することはない。
そこで本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルでは、安定化剤としてα位に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基もしくはアリール基を持つβ−ジケトン化合物を用いる。また、さらに、γ位に、炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基もつβ−ジケトン化合物を用いる。
具体的には、β−ジケトン化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(2)
COCHRCOR
(式中、R、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基もしくはアリール基を表す。)
このようなβ−ジケトン化合物の具体例は以下に例示する。
β−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−ブチル−2,4−ペンタンジオン、3−ペンチル−2,4−ペンタンジオン、3−ヘキシル−2,4−ペンタンジオン、3−イソプロピル−2,4−ペンタンジオン、3−イソブチル−2,4−ペンタンジオン、3−イソペンチル−2,4−ペンタンジオン、3−イソヘキシル−2,4−ペンタンジオン、3−フェニル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロアセチルアセトン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオンなどを挙げることができる。
特に、有機アルミニウム化合物の凝集を抑制するためには、立体的に嵩高い置換基をもつβ−ジケトン化合物を使用することが好ましい。しかし、立体的に嵩高い置換基をγ位にもつβ−ジケトン化合物を用いた場合、アルミニウムアルコキシドに対するβ−ジケトン化合物の配位も阻害することになり、アルミニウムアルコシキドを安定に保つことができない。そこで、α位に置換基を設けることで、有機アルミニウム化合物の凝集を抑制する。α位はケトン基とは対極に位置するため、アルミニウムアルコキシドに対するβ−ジケトン化合物の配位を立体的に阻害せず、有機アルミニウム化合物同士の凝集のみを抑える。しかしながら、長鎖アルキル基のような置換基自体に、相互作用がある場合には凝集抑制効果が減ずると考えられる。さらにα位に電子供与性の官能基があるβ−ジケトン化合物から成る有機アルミニウム化合物はα炭素に求電子反応が起こりやすい状態になる。従って、α位に電子供与性の官能基があるβ−ジケトン化合物から成る有機アルミニウム化合物は分解し、より低沸点の化合物になるため、焼成成膜時に膜中から有機アルミニウム化合物を取り除くにはより好ましい。
β−ジケトン化合物の添加量は金属化合物の種類によって異なるが、アルミニウムアルコキシド1モルに対して0.3モル以上2モル以下が好ましい。また、β−ジケトン化合物は水を加える前に、一定時間アルコキシドと混合することによって効果を発揮する。
加水分解を引き起こすためには、水を適量添加する必要がある。水の添加量は溶媒や濃度によって適量が変化する。水、または触媒を含む水に含まれる水の添加量は、アルミニウムアルコキシド1モルに対し一般的に0.5モル以上2モル未満である。しかしながら、アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子に溶媒分子を配位させるには、添加するβ−ジケトン化合物の種類によっても異なるが、アルミニウム化合物1モルに対し1.5モル以上2モル未満であることが好ましい。さらに、1.65モル以上2モル未満であることがより好ましい。特に、β−ジケトン化合物が3−メチル−2,4−ペンタンジオンあるいは3−エチル−2,4−ペンタンジオンである場合においては、水、または触媒を含む水に含まれる水の添加量は、1.65モル以上2モル未満であることが好ましい。
また、加水分解反応の一部を促進する目的で水に触媒を加えることができる。触媒として塩酸、リン酸などの酸または塩基触媒を用いることが好ましい。触媒は0.1mol/L以下の濃度で用いることが好ましい。
酸または塩基触媒を加えることでアルミニウムアルコキシドを加水分解して得られる粒子の形状を制御することができる。また、酸化アルミニウム前駆体ゾル中に酸または塩基を0.001重量%以上0.06重量%未満含むことで酸化アルミニウム前駆体ゾルの安定性がより向上する。アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子に溶媒分子を配位させるためには0.02重量%以上0.06重量%未満が好ましい。
溶媒としては、アルミニウム化合物などの原料が均一に溶解し、かつ粒子が凝集などしない有機溶媒であれば良い。例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、シクロペンタノール、2−メチルブタノール、3−メチルブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルブタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、3−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノールなどの1価のアルコール類:エチレングリコール、トリエチレングリコールなどの2価以上のアルコール類:メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1―エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノールなどのエーテルアルコール類:ジメトキシエタン、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルのようなエーテル類:ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類:n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類:トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類:クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラクロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類:N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
上記溶媒の中でもアルミニウム化合物の溶解性が高く、吸湿し難い点で炭素数5以上8以下の一価のアルコールが好ましい。溶媒の吸湿によりアルミニウム化合物の加水分解が進行すると粒径の制御が困難になる。また塗布時の吸湿は粒子の凝集を招き、光学特性の安定性を損なう。さらに、一般的な低沸点アルコールを用いると溶媒の揮発が早く、前述した安定化剤が膜中に残存するため光学特性に影響を与えるが、炭素数5以上8以下の一価のアルコールは用いると乾燥および/または焼成時に溶媒が安定化剤を伴って揮発するため安定化剤が残存し難い。一方、前記炭素数5以上8以下の一価のアルコールは疎水性が高く、加水分解に必要な水を均一に混合できず粒径を一定にすることが困難である。そのため炭素数5以上8以下の一価のアルコールに対し水溶性溶媒を併用することが好ましい。
本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルに含有される溶媒の含有量は、50重量%以上98重量%以下、好ましくは60重量%以上93重量%以下が望ましい。
前記溶媒を混合して用いる場合、溶媒の混合比としては、例えば炭素数5以上8以下の一価のアルコールを50重量%以上90重量%以下、沸点110℃以上170℃以下の水溶性溶媒を10重量%以上50重量%以下の割合で含有することが好ましい。炭素数5以上8以下の一価のアルコールが少なすぎる場合はコーティング時に膜厚が不均一になり外観が悪化する。炭素数5以上8以下の一価のアルコールが多すぎる場合は溶媒の疎水性が高くなり、水が均一に分散しない。
ここで述べる水溶性溶媒とは23℃における水への溶解度が80重量%以上である溶媒を指す。また、水溶性溶媒は110℃以上170℃以下の沸点を有する水溶性溶媒である。沸点110℃未満の水溶性溶媒を用いると、揮発による吸湿や白化が起こり易い。沸点170℃を超える水溶性溶媒を用いると、乾燥後も酸化アルミニウム膜中に残存して反射率のばらつきを生じる。前記水溶性溶媒がグリコールエーテルであることが好ましい。
本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルを調製するにあたり、アルミニウムアルコキシドの加水分解と縮合反応を促進するためにゾルを加熱することができる。加熱温度は溶媒の沸点やβ−ジケトン化合物の種類によっても異なるが60℃以上150℃以下が好ましく、75℃以上130℃以下の温度とすることがより好ましい。特に、β−ジケトン化合物が3−メチル−2,4−ペンタンジオンである場合においては、75℃以上130℃以下の温度とすることがより好ましい。このように加熱することによって粒子が成長し粒子性が向上する。
酸化アルミニウム前駆体ゾルには、アルミニウム化合物とともに、少量のZr、Si、Ti、Zn、Mgの各々の化合物の少なくとも1種からなる金属化合物を用いることができる。これらの金属化合物としては各々の金属アルコキシドや塩化物や硝酸塩などの金属塩化合物を用いることができる。ゾルを調製時の副生成物がコーティングの際の製膜性に与える影響が小さいなどの理由から、特に金属アルコキシドを用いるのが好ましい。また、金属化合物の使用量は、アルミニウム化合物100モル%に対して10モル%以下が好ましい。
ジルコニウムアルコキシドの具体例として、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラt−ブトキシジルコニウム等などが挙げられる。
シリコンアルコキシドとしては、一般式Si(OR)(Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の同一または別異の低級アルキル基を表す。)で表される各種のものを使用することができる。
チタニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等が挙げられる。
亜鉛化合物としては、例えば酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛などが挙げられ、特に酢酸亜鉛、塩化亜鉛が好ましい。
マグネシウム化合物としてはジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム等のマグネシウムアルコキシド、マグネシウムアセチルアセトネート、塩化マグネシウム等が挙げられる。
上記の金属化合物の中でもジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウムなどの金属アルコキシドを原材料に用いることが好ましい。
次に、本発明の光学用部材の製造方法について詳細を説明する。
本発明に係る光学用部材の製造方法は、(a)基材の少なくとも一方の面上に、上記の酸化アルミニウム前駆体ゾルを供給する工程、(b)前記基材上に供給した酸化アルミニウム前駆体ゾルの乾燥および/または焼成を行うことにより酸化アルミニウム膜を形成する工程、(c)前記酸化アルミニウム膜を60℃以上100℃以下の温水または水蒸気と接触させて酸化アルミニウムを含む結晶を析出させ酸化アルミニウムの結晶を含む凹凸構造を形成する工程を有することを特徴とする。
また、本発明は、上記の光学用部材の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする光学用部材である。上記の製造方法を用いて製造された光学用部材は、酸化アルミニウムのナノ構造であって、酸化アルミニウム固有の屈折率より低い見かけの屈折率がコーティングの厚さ方向に変化している反射防止コーティングを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の光学用部材を有することを特徴とする光学系である。
前記光学用部材が、基材の少なくとも一方の面上に酸化アルミニウムを成分として含有する結晶から形成される結晶層からなる反射防止膜を有することが好ましい。
図3は本発明の光学用部材の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
図3(a)、図3(b)は、工程(a)において、基材1に前述の酸化アルミニウム前駆体ゾル2が供給された状態を表す。前述の酸化アルミニウム前駆体ゾル2は、アルミニウムアルコキシドを加水分解して得られた縮合物、溶媒を含み、さらに前述の一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を含む。一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物はβ−ジケトン化合物がアルミニウムに配位した化合物である。
酸化アルミニウム前駆体ゾル2を供給する方法は、図3(a)に示すように、まず、細管や一個または複数の細孔から酸化アルミニウム前駆体ゾル2を滴下し、これを基材上1に広げて図3(b)に示すような状態にする方法がある。また、スリットを介して基材1上に酸化アルミニウム前駆体ゾル2を付着させて、これを基材上1に広げる方法、あるいは版に一旦酸化アルミニウム前駆体ゾル2を付着させてから基材1に転写させる方法などが挙げられる。また、基材1を酸化アルミニウム前駆体ゾル2(以降、ゾル2とも記す。)に浸漬することで、基材1にゾル2を供給することができる。
図3(b)に示すように、酸化アルミニウム前駆体ゾル2が基材1上に広げられた状態にする方法としては、基材1を回転することによって滴下したゾル2を広げるスピンコート法、基材1上をブレードやロールを移動させて滴下したゾル2を広げるブレードコート法やロールコート法などが挙げられる。また、酸化アルミニウム前駆体ゾル2を供給しながら広げることも可能である。スリットから酸化アルミニウム前駆体ゾル2を供給しながらスリットまたは基材1を移動させてゾル2を広げるスリットコート法や、一旦版に付着させたゾル2を版または基材1を移動させながら転写する印刷法などである。
基材1を酸化アルミニウム前駆体ゾル2に一旦浸漬してから基材1を等速で引き上げるディップコート法なども一例である。凹面などの立体的に複雑な形状を有する光学用部材を製造する場合、酸化アルミニウム前駆体ゾル2の供給源を接近することが困難であるためスピンコート法が好ましい。
図3(c)は、工程(b)において、基材1上に供給した酸化アルミニウム前駆体ゾルの乾燥および/または焼成を行うことにより酸化アルミニウム膜3を形成した状態を表す。基材1の加熱乾燥を行うと,工程(b)で基材1上に広げた酸化アルミニウム前駆体ゾル2は溶媒が揮発して、ゾル2中の粒子が堆積した酸化アルミニウム膜3が形成される。さらに加熱すると未反応のアルコキシドや水酸基の縮合反応が進行する。加熱温度は140℃以上200℃以下が好ましい。溶媒の揮散に必要なために140℃以上が好ましく、また基材やその他の周辺部材への影響を考慮に入れると200℃以下が好ましい。加熱方法としては熱風循環オーブン、マッフル炉、IH炉中で加熱する方法、IRランプで加熱する方法などが挙げられる。
図3(d)は、工程(c)において、基材1上に構造(突起)5による凹凸構造を有する層4が形成された状態を表す。凹凸構造を有する層4は工程(b)で得られた酸化アルミニウム膜3を60℃以上100℃以下の温水に接触し形成される。構造(突起)5はアルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物を含む結晶から形成される。特に好ましい結晶としてはベーマイトである。
酸化アルミニウム膜3を温水に接触する方法は、酸化アルミニウム膜が形成された基材1を温水に浸漬する方法、温水を流水もしくは霧状にして酸化アルミニウム膜3に接触させる方法などが挙げられる。
本発明に用いられる凹凸構造を有する層は、ある材料のナノ構造であって、その材料固有の屈折率より低い見かけの屈折率が膜の厚さ方向に変化している、反射防止膜である。
具体的には、反射防止膜が用いられる光学部品の使用波長より短い寸法を有する微細構造によって実現される。この微細構造はその内部に、外部雰囲気から閉じられた閉空間又は外部雰囲気に解放された開空間を複数有する。反射防止膜を構成している材料の屈折率(材料固有の屈折率)と、空間に占める(満たされる)空気等の媒質の屈折率とが平均化される。これにより、反射防止膜を構成している材料の屈折率(材料固有の屈折率)より、低い屈折率を有することになり、反射防止膜としての見かけの屈折率を低くすることができる。換言すれば、材料固有の屈折率とはその材料の非多孔質の薄膜又はバルクの屈折率であり、見かけの屈折率とは空間を有することにより低くなった微細構造の膜の屈折率である。
そして、膜における空間の占有率又は固体部分の占有率を膜厚方向に変化させることにより、見かけの屈折率を変化させることができる。
図4は本発明に用いられる反射防止膜の断面を模式的に示す図であり、固体部分7と空間11を有している。光が図4に示した矢印Aの方向から入射した場合、矢印Aの方向に見かけの屈折率を断続的又は連続的に増加させることが好ましい。
光が図4に示した矢印Bの方向から入射した場合、矢印Bの方向に見かけの屈折率を断続的又は連続的に減少させることが好ましい。特に外部雰囲気に接する反射防止膜の最表面は屈折率が1に近く、当該最表面から反射防止膜の膜厚方向に深くなるに従って屈折率が、反射防止膜を構成している材料固有の屈折率(例えば、1.4乃至3.0)に近づくように、徐々に屈折率が増加する光学的特性を有することが好ましい。
互いに空間又は固体部分の占有率が異なる少なくとも2層の微細構造を積層したり、空間又は固体部分の占有率が異なるように分布を持たせた構造であってもよい。そして、反射防止膜の最表面側においては空間が外部雰囲気と連通することにより、平滑ではない微細な凹凸構造を有しており、その凸部分(突起)の厚さ(t)は使用波長より小さく、具体的にはナノメーターオーダーのサイズである。
このような微細な凹凸構造は、モスアイ、SWS(サブ波長構造)、スポンジ状、花弁状、織物状、棘状、髭状などと表現される(図4、図8、特開平09−202649、特開2005−275372、特開2006−259711参照)。図8は、本発明の光学用部材の一実施態様を示す表面拡大電子顕微鏡写真である。
固体部分に用いられる材料としては、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、フッ化マグネシウムなどの金属フッ化物、金属フッ化酸化物、金属水酸化物などの金属化合物であってもよい。これらを含むものであってもよい。また、金属元素は1種類に限らず、2元系又は3元系とよばれる多元素系の金属化合物であってもよい。
更には、これら固体材料は、リン、ホウ素などを含むものであってもよい。
固体部分の結晶構造は特に限定されるものではなく、非晶質、微結晶、多結晶、単結晶、あるいは非晶質中にそれらの結晶が混在したものであってもよい。
反射防止膜の製造方法としては、具体的には、真空蒸着、スパッタリング、CVDなどに代表される気相法、又はゾルゲル法、塗布法、スプレー法などの液相法により形成された固体膜に、熱処理、温水処理などの表面処理を施して、表面に微細な突起による凹凸構造を形成する。
例えば、ゾルゲル法により基体の表面上に形成された、非晶質の酸化アルミニウムの膜を温水に浸すことにより、ベーマイトとも呼ばれる酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムあるいはそれらの水和物からなる板状の結晶を成長させると、花弁状の微細な突起による凹凸構造を得ることができる。
また、このような微細な凹凸構造(突起)の反射防止膜と基体との間に、別の中間層を形成することもできる。このような中間層としては、反射防止膜の見かけの屈折率と基体の屈折率の中間の屈折率を有する固体膜が好ましく用いられる。具体的には、反射防止膜の材料として列挙した金属化合物のような無機物、或いは、ポリイミドに代表される樹脂のような有機物であり得る。
図4において、本発明の製造方法によって得られる光学用部材は、基材1上に、凹凸構造を有する層6が積層されている。凹凸構造を有する層6は、酸化アルミニウムを含む結晶から形成されている結晶層であることが好ましい。凹凸構造を有する層6には大小様々な結晶がランダムに配置され、その上端部が構造(突起)7による凹凸構造を形成する。そのため構造(突起)7の高さや大きさ、角度、突起同士の間隔を変えるためには結晶の析出、成長を制御する必要がある。凹凸構造を有する層6は構造(突起)7とその下部層に分かれる場合がある。このような下部層は酸化アルミニウム単独もしくは酸化アルミニウムにZrO、SiO、TiO、ZnO、MgOの何れかを30モル%以下含む層である。
図5は本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。図5に基材1の表面が平板、フィルムないしシートなどの平面の場合を示す。突起7は基材の表面に対して、すなわち突起7の傾斜方向8と基材表面との間の角度θ1の平均角度が45°以上90°以下、となるように配置されることが望ましい。さらに好ましくは60°以上90°以下となるように配置されることが望ましい。
図6は本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。図6に、基材1の表面が二次元あるいは三次元の曲面を有する場合を示す。突起7の傾斜方向8と基材表面の接線9との間の角度θ2の平均角度が45°以上90°以下、好ましくは60°以上90°以下となるように配置されることが望ましい。なお、上記の角度θ1およびθ2の値は、突起7の傾きにより90°をこえる場合があるが、この場合は鋭角側を測定した値とする。
凹凸構造を有する層6の層厚は、好ましくは20nm以上1000nm以下であり、より好ましくは50nm以上1000nm以下である。凹凸構造を有する層6の層厚が20nm以上1000nm以下では、構造(突起)7による反射防止性能が効果的であり、また構造(突起)7の機械的強度が損なわれる恐れが無くなり、構造(突起)7の製造コストも有利になる。また、層厚が50nm以上1000nm以下とすることにより、反射防止性能をさらに高めることとなり、より好ましい。
本発明の構造(突起)7による凹凸構造の面密度も重要であり、これに対応する中心線平均粗さを面拡張した平均面粗さRa’値が5nm以上、より好ましく10nm以上、さらに好ましくは15nm以上100nm以下、また表面積比Srが1.1以上である。より好ましくは1.15以上、さらに好ましくは1.2以上3.5以下である。
構造(突起)7による凹凸構造の面密度は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて評価できる。SPM観察により突起を有する層6の中心線平均粗さRaを面拡張した平均面粗さRa’値と表面積比Srが求められる。すなわち、平均面粗さRa’値(nm)は、JISB 0601で定義されている中心線平均粗さRaを、測定面に対し適用し三次元に拡張したもので、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現し、下記式(3)で与えられる。

Ra’:平均面粗さ値(nm)、
:測定面が理想的にフラットであるとした時の面積、|X−X|×|Y−Y|、F(X,Y):測定点(X,Y)における高さ、XはX座標、YはY座標、
からX:測定面のX座標の範囲、
からY:測定面のY座標の範囲、
:測定面内の平均の高さ。
また、表面積比Srは、Sr=S/S〔S:測定面が理想的にフラットであるときの面積。S:実際の測定面の表面積。〕で求められる。なお、実際の測定面の表面積は次のようにして求める。先ず、最も近接した3つのデータ点(A,B,C)より成る微小三角形に分割し、次いで各微小三角形の面積△Sを、ベクトル積を用いて求める。△S(△ABC)=[s(s−AB)(s−BC)(s−AC)]0.5〔但し、AB、BCおよびACは各辺の長さで、s≡0.5(AB+BC+AC)〕となり、この△Sの総和が求める表面積Sになる。突起による凹凸構造の面密度がRa’が5nm以上で、Srが1.1以上になると、突起7による反射防止を発現することができる。また、Ra’が10nm以上で、Srが1.15以上であると、その反射防止効果は前者に比べ高いものとなる。そしてRa’が15nm以上で、Srが1.2以上になると実際の使用に耐えうる性能となる。しかしRa’が100nm以上で、Srが3.5以上になると反射防止効果よりも突起7による散乱の効果が勝り十分な反射防止性能を得ることが出来ない。
本明細書における基材とは、任意の屈折率を有する透明な部材であってもよいし、部材表面に複数の層が形成された部材であってもよい。例えば、部材と酸化アルミニウムの結晶を含む凹凸構造を有する層との間に酸化アルミニウム以外を主成分とする層を設けることができる。図7は本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。図7は、部材1´上に酸化アルミニウム以外を主成分とする層10、さらにその上に酸化アルミニウムの結晶を含む構造(突起)5を有する層4が形成された光学用部材を示す。
酸化アルミニウム以外を主成分とする層10は、主に部材1´と酸化アルミニウムの結晶を含む凹凸構造(突起)5を有する層4との屈折率差を調整する目的で設けられる。そのため酸化アルミニウム以外を主成分とする層10は無機材料もしくは有機材料からなる透明膜であることが好ましい。
酸化アルミニウム以外を主成分とする層10に用いられる無機材料の例としては、SiO、TiO、ZrO、ZnO、Taなどの金属酸化物が挙げられる。無機材料からなる酸化アルミニウム以外を主成分とする層10を形成する方法は蒸着やスパッタなどの真空製膜法、金属酸化物前駆体ゾルの塗布によるゾルゲル法などが挙げられる。
一方、酸化アルミニウム以外を主成分とする層10に用いられる有機材料の例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、レゾール樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリケトン、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリキシリレン、ポリシクロオレフィンなどの有機ポリマーが挙げられる。有機材料からなる酸化アルミニウム以外を主成分とする層10を形成する方法は、主にその溶液を塗布により形成するウェットコート法などが挙げられる。
その他、酸化アルミニウムの突起5の表面に、反射防止性を損なわない程度に処理を施すことができる。耐擦傷性や防汚性を付与するためにSiO薄膜、FAS(フッ素化アルキルシラン)やフッ素樹脂の極めて薄い層を設ける例を挙げることができる。
本発明により製造される光学用部材は、任意の屈折率を有する透明基材に対応でき、可視光に対して優れた反射防止効果を示すとともに、長期的な耐候性を有する。よって、ワープロ、コンピュータ、テレビ、プラズマディスプレイパネル等の各種ディスプレイなどの光学部材に利用することができる。また、液晶表示装置に用いる偏光板、各種光学硝材及び透明プラスチック類からなるサングラスレンズ、度付メガネレンズ、カメラ用ファインダーレンズ、プリズム、フライアイレンズ、トーリックレンズ、各種光学フィルター、センサーなどの光学部材に利用することができる。さらにはそれらを用いた撮影光学系、双眼鏡などの観察光学系、液晶プロジェクタなどに用いる投射光学系:レーザービームプリンターなどに用いる走査光学系等の各種光学レンズ:各種計器のカバー、自動車、電車等の窓ガラスなどの光学部材に利用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものではない。各実施例、比較例で得られた、表面に凹凸構造を有する光学膜について、下記の方法で評価を行った。
(1)酸化アルミニウム前駆体ゾル1から9の調製
2−エチルブタノールに、アルミニウム−sec−ブトキシド(ASBD、川研ファインケミカル製)と、β−ジケトン化合物とを添加し、均一になるまで混合攪拌した。触媒水として、0.01M希塩酸を2−エチルブタノール/1−エトキシ−2−プロパノールの混合溶媒に溶解してから、前記アルミニウム−sec−ブトキシドの溶液にゆっくり加え、暫く攪拌した。溶媒は最終的に2−エチルブタノール/1−エトキシ−2−プロパノールの混合比が7/3の混合溶媒になるように調整した。さらに加熱したオイルバス中で2から3時間以上攪拌することによって酸化アルミニウム前駆体ゾル1から9を調製した。調製に用いたβ−ジケトン化合物と各原料の使用量およびゾルの加熱温度は表1に示した。
(2)粘度測定
酸化アルミニウム前駆体ゾルの粘度は標準ローター(1°34‘、R24)を装備した回転式粘度系(東機産業社、RE80型粘度計)を用いて測定した。酸化アルミニウム前駆体ゾルが25℃になるように恒温槽を用い、酸化アルミニウム前駆体ゾルの温度が安定するまで400秒待ち、測定を行った。測定結果は表2に示した。
(3)平均粒子径測定
粒度分布計(ゼータサイザーナノS、マルバーン製)を用い、ガラス製セルに約1mlの酸化アルミニウム前駆体ゾルを入れて25℃で測定した。屈折率を1.5、吸収を0.01、溶液粘度を上記測定粘度として解析を行った。そして、平均粒子径は粒度分布の極大値から求めた。測定結果は表2に示した。
(4)パルスNMR測定
酸化アルミニウム前駆体ゾルのパルスNMR測定は、パルスNMR測定装置(minispec、ブルカーオプティクス製)でCPMG法により、27℃の温度条件下で、H核のT緩和時間を測定した。繰り返し時間は5秒、積算回数は12回とした。測定時間t、長いT緩和時間T2L、短いT緩和時間T2S、T緩和時間が短い成分C、T緩和時間が長い成分C、T緩和時間が短い成分Cの割合RCSは表2に示した。
(5)クラック評価
片面が研磨され、もう一方の面はスリ加工された大きさ約φ30mm、厚さ約1mmの円盤状ガラス基板をアルカリ洗剤中で超音波洗浄した後、オーブン中で乾燥した。酸化アルミニウム前駆体ゾルを適量滴下し、任意の回転数で20秒間スピンコートを行った後、140℃の熱風循環オーブンで30分間焼成し、非晶性酸化アルミニウム膜を被膜した。同じ酸化アルミニウム前駆体ゾルに対して、回転数を変えて20秒間スピンコートを行った後、140℃の熱風循環オーブンで30分間焼成し、膜厚が異なる非晶性酸化アルミニウム膜を被膜した。これを複数繰り返し、膜厚が異なる非晶性酸化アルミニウム膜を複数形成した。分光エリプソメトリー(J.A.Woollam EC−400)でこれらの非晶性酸化アルミニウム膜の膜厚を測定した。光学顕微鏡(OLYMPUS MX50)で20倍の対物レンズで非晶性酸化アルミニウム膜表面を観察し、クラックの発生しない最大膜厚を評価した。この膜厚が160nm以上になることが望ましい。評価結果は表2に示した。

(注1)*触媒水(モル当量)は、アルミニウム−sec−ブトキシドに対する触媒水のモル当量を示す。
(注2)*アルミニウムアルコキシド量(重量%)は、酸化アルミニウム前駆体ゾルに対する原料のアルミニウム−sec−ブトキシドの重量%を示す。
(実施例1)
前記の方法で洗浄した平板ガラス(オハラ社製、S−LAH55、n=1.83)に、酸化アルミニウム前駆体ゾル1を適量滴下し、回転数を1500rpmとして20秒間スピンコートを行った後、140℃の熱風循環オーブンで30分焼成し、非晶性酸化アルミニウム膜を被膜した。光学顕微鏡(OLYMPUS MX50)で20倍の対物レンズで非晶性酸化アルミニウム膜表面を観察し、クラックが発生しているかどうかを評価したところクラックが発生していることが分かった。次に、回転数を500rpmづつ増やし、2000rpm、2500rpm、3000rpm、3500rpm・・・に変えてそれぞれ非晶性酸化アルミニウム膜を被膜し光学顕微鏡(OLYMPUS MX50)で20倍の対物レンズで非晶性酸化アルミニウム膜表面を観察した。クラックが発生しているかどうかを評価したところ3000rpm以上の回転数でスピンコートした膜ではクラックが発生していないことが分かった。次に分光エリプソメトリー(J.A.Woollam EC−400)を用いてクラックが発生していない非晶性酸化アルミニウム膜の膜厚を測定した。クラックが発生しなかった最小の回転数およびその回転数でスピンコートを行った後、140℃の熱風循環オーブンで30分焼成して形成した非晶性酸化アルミニウム膜の膜厚(クラックの発生しない最大膜厚)を表2に示した。
(実施例2から6)
酸化アルミニウム前駆体ゾル1の代わりに酸化アルミニウム前駆体ゾル2から6を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
(比較例1から3)
酸化アルミニウム前駆体ゾル1の代わりに酸化アルミニウム前駆体ゾル7から9を用い、非晶性酸化アルミニウム膜を形成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
(注3)*tmaxは測定にかかった時間を示す。
(注4)*T2Lは長いT緩和時間を示す。
(注5)*T2Sは短いT緩和時間を示す。
(注6)*CはT緩和時間が短い成分の存在比を示す。
(注7)*CはT緩和時間が長い成分の存在比を示す。
(注8)*RCSはCの割合[(C/(C+C))×100]を示す。
〔性能評価〕
実施例1から6と比較例1から3のRcsとクラックの発生しない最大膜厚の結果を比較すると、本発明に係る酸化アルミニウム前駆体ゾルをスピンコートにより基材上に塗布した後、140℃の熱風循環オーブンで30分焼成して形成した非晶性酸化アルミニウム膜の膜厚が160nm以上300nm以下であり、クラックに対してより有効であることが確認された。
また、実施例1と比較例1、実施例2と比較例3の結果から、パルスNMR法が酸化アルミニウム前駆体ゾルの特性の評価手法として有効であることがわかる。
本発明の酸化アルミニウム前駆体ゾルを用いて製造される光学用部材は、任意の屈折率を有する透明基材に対応でき、可視光に対して優れた反射防止効果を示すとともに、長期的な耐候性を有する。よって、ワープロ、コンピュータ、テレビ、プラズマディスプレイパネル等の各種ディスプレイなどの光学部材、液晶表示装置に用いる光学部材に利用することができる。
1 基材
2 酸化アルミニウム前駆体ゾル
3 酸化アルミニウム膜
4 酸化アルミニウムの突起を有する層
5 酸化アルミニウムの突起
6 酸化アルミニウムの突起を有する層6
7 突起
8 傾斜方向
9 基材表面の接線
10 酸化アルミニウム以外を主成分とする層
11 空間

Claims (14)

  1. アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子と、溶媒と、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物とを含有する酸化アルミニウム前駆体ゾルであって、前記酸化アルミニウム前駆体ゾルのパルスNMR測定によって得られたH核のT緩和曲線が、異なるT緩和時間を持つ二つの緩和曲線の成分に分離され、そのうちより長いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、より短いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、下記式(1)によって求められるCの割合をRCS(%)と定義した場合、RCSが23.5%以上50.0%以下であることを特徴とする酸化アルミニウム前駆体ゾル。

    (式中、R、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基もしくはアリール基を表す。nは1以上3以下の整数である。)
  2. 前記アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子の平均粒子径が7.5nm以上35nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化アルミニウム前駆体ゾル。
  3. (A)溶媒に、β−ジケトン化合物と、アルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物を添加し、混合して、アルミニウム化合物を含有する溶液を作製する工程と、
    (B)前記(A)の工程で得られた溶液に水、または触媒を含む水を添加し、混合して、前記アルミニウムアルコキシドまたはアルミニウム塩化合物の縮合物及び下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を形成する工程と、
    (C)前記(B)の工程で得られた溶液を60℃以上150℃以下に加熱して酸化アルミニウム前駆体ゾルを得る工程と、
    を有する、アルミニウム化合物の加水分解物および/またはその縮合物を成分として含有する粒子と、溶媒と、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を含む酸化アルミニウム前駆体ゾルを製造する方法であって、
    前記酸化アルミニウム前駆体ゾルのパルスNMR測定によって得られたH核のT緩和曲線が、異なるT緩和時間を持つ二つの緩和曲線の成分に分離され、そのうちより長いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、より短いT緩和時間を有する緩和曲線の成分をC(%)とし、下記式(1)によって求められるCの割合をRCS(%)と定義した場合、RCSが23.5%以上50.0%以下となるように、前記β−ジケトン化合物の添加量、前記水、または触媒を含む水に含まれる水の添加量、または前記(B)の工程で得られた溶液を加熱する温度、を調整することを特徴とする酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造方法。

    (式中、R、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基もしくはアリール基を表す。nは1以上3以下の整数である。)
  4. 前記β−ジケトン化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項3に記載の酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造方法。
    一般式(2)
    COCHRCOR
    (式中、R、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、またはアリル基もしくはアリール基を表す。)
  5. 前記溶液を加熱する温度を75℃以上130℃以下とすることを特徴とする請求項4に記載の酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造方法。
  6. 前記βジケトン化合物が、3−メチル−2,4−ペンタンジオンであることを特徴とする請求項5に記載の酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造方法。
  7. 前記水、または触媒を含む水に含まれる水の添加量を、前記アルミニウム化合物1モルに対し1.65モル以上2モル未満とすることを特徴とする請求項3乃至6いずれか一項に記載の酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造方法。
  8. 前記βジケトン化合物が、アセチルアセトンであることを特徴とする請求項4または5に記載の酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造方法。
  9. 前記βジケトン化合物が、3−エチル−2,4−ペンタンジオンであることを特徴とする請求項4または7に記載の酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造方法。
  10. 前記溶媒は炭素数5以上8以下の一価のアルコールであることを特徴とする請求項3乃至9いずれか一項に記載の酸化アルミニウム前駆体ゾルの製造方法。
  11. 光学用部材の製造方法であって、(a)基材の少なくとも一方の面上に、請求項1に記載の酸化アルミニウム前駆体ゾルを供給する工程、(b)前記基材上に供給した酸化アルミニウム前駆体ゾルの乾燥および/または焼成を行うことにより酸化アルミニウム膜を形成する工程、(c)前記酸化アルミニウム膜を60℃以上100℃以下の温水または水蒸気と接触させて酸化アルミニウムを含む結晶を析出させ酸化アルミニウムの結晶を含む凹凸構造を形成する工程を有することを特徴とする光学用部材の製造方法。
  12. 前記酸化アルミニウム前駆体ゾルを基材上に供給する工程は、スピンコート法を用いることを特徴とする請求項11に記載の光学用部材の製造方法。
  13. 前記酸化アルミニウム膜の膜厚は、160nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項11または12に記載の光学用部材の製造方法。
  14. 前記凹凸構造は、酸化アルミニウムのナノ構造であって、酸化アルミニウム固有の屈折率より低い見かけの屈折率がコーティングの厚さ方向に変化している反射防止膜であることを特徴とする請求項11乃至13いずれか1項に記載の光学用部材の製造方法。
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