JP2013218043A - 透明部材、それを用いた保護カバー及びランプ並びにそれらの製造方法 - Google Patents

透明部材、それを用いた保護カバー及びランプ並びにそれらの製造方法 Download PDF

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康 浅岡
Koji Murata
浩二 村田
Sayuri Fujiwara
小百合 藤原
Shigeru Aomori
繁 青森
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Abstract

【課題】本発明は、光反射を低減できる透明部材、それを用いた保護カバー及びランプ並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ランプ1に備えられたバルブ4は、可視光を透過させる材料で形成され、凹状表面2aを有する基材2と、凹状表面2aに形成された、アルミニウムを主成分とする水和物を備えた反射防止膜6とを有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明部材、それを用いた保護カバー及びランプ並びにそれらの製造方法に関する。
光源としてフィラメントやLEDを備えたランプは、バルブと空気との界面でのフレネル反射により、バルブの光透過率が低下し、フィラメントやLEDから発せられた光の利用効率が低下してしまうという問題を有している。
特開2009−217278公報 特開2011−33892公報 特開平7−282785公報 特開平7−198938公報 特表2006−520074号公報
Kiyoharu Tadanaga、"Super−Water−Repellent Al2O3 Coating Films with High Transparency"、J.Am.Ceram.Soc.、1997年、80 [4]pp1040−42
ところで、表示装置の表示画面での光反射を防止する部材として、モスアイ構造を備えた反射防止シートが知られている(特許文献1及び2)。当該反射防止シートは、表示画面のように曲面を持たない平面上に貼付することは相対的に容易である。しかしながら、当該反射防止シートは、ランプのバルブのような内部空間に面し、曲面状を備えた内壁面上に貼付すると、当該シートにしわがよってしまい、反射防止効果を十分に発揮できない可能性がある。また、1枚の当該反射防止シートを用いてバルブ等の内壁面の全面に連続的に貼付することは困難である。特に、内壁面が角部を有する場合、当該角部に当該反射防止シートを連続的に貼付するのは困難である。この場合、反射防止シートは、切り貼りされる必要があるが、切り貼りによる屈折率の不連続変化箇所が発生してしまい、反射防止機能を十分に発揮できない可能性がある。さらに、反射防止シートは、有機樹脂フィルムで形成されているので、高温の環境下では剥離、シュリンク又は溶融する可能性がある。このため、反射防止シートはランプ等の使用時に高温となる場所に適用し難いという問題を有している。
また、従来、光学的多層膜を用いて光反射を防止することが知られている。光学的多層膜(例えば、誘電体多層膜)は蒸着によって形成される。しかしながら、反射防止機能が確保された蒸着膜をバルブの内壁に形成するのは極めて困難である。
このように、バルブの内部空間のようなほぼ閉じられた空間に面する内壁面に反射防止機能を持たせることは困難である。このため、当該内壁面と空気との界面で光反射が防止されず、バルブ等の光透過率の低下が生じてしまう。
本発明の目的は、光反射を低減できる透明部材、それを用いた保護カバー及びランプ並びにそれらの製造方法を提供することにある。
上記目的は、可視光を透過させる材料で形成され、凹状表面を有する基材と、前記凹状表面に形成された、アルミニウムを主成分とする水和物を備えた反射防止膜とを有することを特徴とする透明部材によって達成される。
上記本発明の透明部材であって、前記反射防止膜は、アルミニウムを主成分とする酸化物の表層を水和物化して形成された微細構造物を有していることを特徴とする。
上記本発明の透明部材であって、前記凹状表面は、前記基材で区切られた有限な内側の空間と前記基材との界面領域であることを特徴とする。
上記本発明の透明部材であって、前記凹状表面は、開口部を解放端とする凹空間内面であることを特徴とする。
上記本発明の透明部材であって、前記凹状表面は、開口部を解放端とする閉空間内面であることを特徴とする。
上記本発明の透明部材であって、前記凹空間又は前記閉空間は、前記基材で区切られた有限な内側の空間を任意の場所で切断した切断面の面積が前記開口部の面積よりも大きい領域を有していることを特徴とする。
また、上記目的は、開口部を解放端とする閉空間又は凹空間を有し、前記閉空間又は凹空間で保護対象物を覆う保護部材を備えた保護カバーであって、前記保護部材は、上記本発明の透明部材で形成されていることを特徴とする保護カバーによって達成される。
また、上記目的は、光源と、前記光源を覆って配置されたバルブとを備えたランプであって、前記バルブは、上記本発明の透明部材で形成されていることを特徴とするランプによって達成される。
上記本発明のランプであって、前記光源は、抵抗過熱型のフィラメントを有することを特徴とする。
上記本発明のランプであって、前記光源は、前記フィラメントの表面に形成されたマイクロキャビティを有していることを特徴とする。
上記本発明のランプであって、前記光源は、発光ダイオードを有することを特徴とする。
上記本発明のランプであって、前記バルブは、ほぼ球形状を有していることを特徴とする。
上記本発明のランプであって、前記バルブは、直線状またはリング状の円筒形状を有していることを特徴とする。
上記本発明のランプであって、前記バルブの光学的特性は、可視光の吸収がないことを特徴とする。
上記本発明のランプであって、前記バルブは、前記光源が射出した光を散乱する光散乱構造物を有することを特徴とする。
上記本発明のランプであって、前記バルブの内表面は、凹凸形状を有していることを特徴とする。
また、上記目的は、開口部を開放端とする閉空間内にアルミニウムを主成分とするゾル溶液を注入し、前記閉空間内から前記ゾル溶液を排出し、前記閉空間内面に残存する前記ゾル溶液を乾燥してアルミニウムを主成分とする酸化物を形成し、前記酸化物を温水に浸漬し、または水蒸気中にさらすことにより前記酸化物の表層に水和物からなる微細構造物を形成することを特徴とする保護カバーの製造方法によって達成される。
さらに、上記目的は、光源と、前記光源を覆って配置され、開口部を開放端とする閉空間を有するバルブとを備えたランプの製造方法であって、前記閉空間内にアルミニウムを主成分とするゾル溶液を注入し、前記閉空間内から前記ゾル溶液を排出し、前記閉空間内面に残存する前記ゾル溶液を乾燥して前記バルブ内面にアルミニウムを主成分とする酸化物を形成し、前記酸化物を温水に浸漬し、又は水蒸気中にさらすことにより前記酸化物の表層に水和物からなる微細構造物を形成することを特徴とするランプの製造方法によって達成される。
本発明によれば、光反射を低減できる透明部材それを用いた保護カバー及びランプを提供することができる。
本発明の一実施の形態によるランプ1の概略構成を示す部分断面図である。 本発明の一実施の形態によるランプ1に備えられた反射防止膜6のSEM像を示す図である。 本発明の一実施の形態によるランプ1を説明する図であって、反射防止膜付ガラス基板及び比較例としての単体ガラス基板の直線透過率の入射角度依存性を示すグラフである。 本発明の一実施の形態によるランプ1を説明する図であって、反射防止膜付ガラス基板の厚さ方向の屈折率特性の仮定を示すグラフである。 本発明の一実施の形態によるランプ1を説明する図であって、図4に示す屈折率特性を用いて、反射防止膜付ガラス基板に形成される反射防止膜の厚さに対する反射率の計算結果を示すグラフである。 本発明の一実施の形態によるランプ1を説明する図であって、反射防止膜付ガラス基板の焼成前後における入射光の波長に対する反射率の測定結果を示すグラフである。 比較例としての従来のランプ101の概略構成を示す部分断面図である。 本発明の一実施の形態によるランプ1の製造方法の流れを説明する図である。 本発明の一実施の形態によるランプ1の製造工程を模式的に示す図である。 本発明の一実施の形態によるランプ1の製造工程を説明する図であって、ゲル化工程において形成されたアモルファスアルミナ膜22の表面SEM像である。 本発明の一実施の形態の変形例1によるランプ3のバルブ18の部分断面を模式的に示す図である。 本発明の一実施の形態の変形例1によるランプ3の反射防止膜6の表層に形成された疑似ベーマイトナノ構造物6bの平面SEM像である。 本発明の一実施の形態の変形例1によるランプ3の製造方法を声明する図である。 本発明の一実施の形態の変形例2によるランプのフィラメント26表面を拡大して示す模式図である。 本発明の一実施の形態の変形例3によるランプ5のバルブ44の部分断面を示す模式図である。 本発明の一実施の形態の変形例4によるランプ7の概略構成を示す部分断面図である。 本発明の一実施の形態による保護カバー11の概略構成を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態による保護カバー11の断面図である。 本発明の一実施の形態による透明部材13の概略構成を例示する図である。 本発明の一実施の形態による透明部材13の概略構成を例示する図である。
本発明の一実施の形態による透明部材、それを用いた保護カバー及びランプ並びにそれらの製造方法について図1から図20を用いて説明する。まず、本実施の形態による透明部材及びそれを用いたランプ並びにランプの製造方法について図1から図10を用いて説明する。図1は、本実施の形態によるランプ1の概略構成を示す部分断面図(バルブ4以外は切断せずに示している)である。図1に示すように、ランプ1は、光源12と、光源12を覆って配置されたバルブ4と、バルブ4に接続された口金16とを有している。
バルブ4は、例えば中空の球形状を有し、一端部を開口する開口部10と、開口部10を開放端とする内部空間8とを有している。口金16は、一端部を開口する開口部21を備え、中空の円筒形状を有している。バルブ4の開口部10は口金16の開口部21よりも一回り小さく形成されている。バルブ4の開口部10は口金16の開口部21に嵌め込まれて接合されている。バルブ4の内部空間8のほぼ中央には、光源12が配置されている。光源12は抵抗過熱型のフィラメント12aと、フィラメント12aの一端部に接続された内部導線12bと、当該フィラメントの他端部に接続された内部導線12cとを有している。内部導線12bは、口金16に形成され、開口部21の反対側に設けられた中心電極16aに接続されている。内部導線12cは口金16の周囲に設けられた外部電極16bに接続されている。外部電極16bは所定のソケットに螺合できるように所定ピッチのネジ山が設けられている。口金16は、中心電極16aと外部電極16bとの間に設けられて両電極16a、16bの短絡を防止する絶縁部16cを有している。内部空間8には、高温になったフィラメント12aの蒸発や燃焼を防ぐために、1気圧以上の不活性ガスが保持されている。バルブ4と口金16とは接合されている。バルブ4と口金16との接合部の面積は小さいため、内部空間8は密閉空間となるので、ランプ1は当該不活性ガスの漏洩を防止できる。
バルブ4は、本実施の形態による透明部材に相当する。バルブ4は、可視光を透過させる材料で形成され、凹状表面2aを有する基材2と、凹状表面2aに形成された、アルミニウムを主成分とする水和物を備えた反射防止膜6とを有している。バルブ4は、可視光の吸収がない光学的特性を有している。
基材2は可視光の吸収がない光学的特性を有する材料で形成されている。基材2は例えば透明なガラス材料で形成されている。可視光の吸収がない光学的特性を有する材料であれば、基材2はガラス材料の他に例えば透明な有機樹脂材料で形成されていてもよい。基材2は、開口部10を開放端とする閉空間内面である凹状表面2aと、凹状表面2aの裏面側であって外壁面である外表面2bとを有している。外表面2bは凹状表面2aの形状に倣う形状を有している。基材2はほぼ均一の厚さを有している。凹状表面2aは光源12側に配置されている。外表面2bは、ランプ1が配置される所定の空間側に配置されている。凹状表面2aは光源12が発する光の光入射面である。外表面2bは凹状表面2aに入射して基材2を透過した光を射出する光射出面である。「射出」には、光源が光を発することの他に、光が所定部分(例えば、反射防止膜6、基材2あるいはバルブ4など)を通過して当該所定部分から外部に出ていくことも含まれる。
バルブ4の内表面である基材2の凹状表面2aは滑らかな平坦形状を有している。基材2の凹状表面2aは、反射防止膜6を取り除くと、基材2で区切られた有限な内側の内部空間8と基材2との界面領域である。凹状表面2aは、開口部10を開放端とする閉空間内面である。開口部10は、外表面2bの一部から突出して形成されている。このため、バルブ4は、基材2で区切られた有限な内側の空間である内部空間8を任意の場所で切断した切断面の面積が開口部10の面積よりも大きい領域を有する。例えば、バルブ4の中心を含む平面で切断した切断面の面積は、開口部10の面積よりも大きくなる。
バルブ4に備えられた反射防止膜6はアルミナ支持層6aと疑似ベーマイトナノ構造物6bとを有している。アルミナ支持層6aは例えばアルミニウムを主成分とする酸化物である。疑似ベーマイトナノ構造物6bはアルミナ支持層6aの表層を水和物化して形成された微細構造物である。アルミナ支持層6a及び疑似ベーマイトナノ構造物6bはいずれも、アルミニウムを主成分とする形成物である。疑似ベーマイトは、ベーマイトと類似した結晶構造を有しているものの、ベーマイトの組成や化学量論比からずれた組成や化学量論比を有し、ベーマイトの格子状数からずれた格子状数を有しているため、「疑似」と呼ばれる。
図2は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて撮影した反射防止膜6のSEM像を示している。図2(a)は、反射防止膜6の断面SEM像を示し、図2(b)は、反射防止膜6の表層に形成された疑似ベーマイトナノ構造物6bの平面SEM像を示している。図2(a)に示すように、反射防止膜6は、アルミナ支持層6aから成長して形成された疑似ベーマイトナノ構造物6bを有している。反射防止膜6の膜厚は約400nmであり、疑似ベーマイトナノ構造物6bの厚さは100nmから250nmである。
疑似ベーマイトナノ構造物6bは、アルミナ支持層6aから内部空間8に向かって延伸する複数の柱状構造物が集合して構成されている。当該柱状構造物の高さは不均一であるため、疑似ベーマイトナノ構造物6bは、アルミナ支持層6a側で密であり表層側(内部空間8側)で疎になっている。疑似ベーマイトナノ構造物6bは、表層側が相対的に疎になっている。図2(b)に示すように、疑似ベーマイトナノ構造物6bの表層側は、複数の柱状構造物が寄り集まった表面形状となっている。疑似ベーマイトナノ構造物6bの高さは不均一ではあるが、疑似ベーマイトナノ構造物6bの密度はアルミナ支持層6a側から表面側に向かって徐々に低くなる。このため、反射防止膜6の屈折率は、アルミナ支持層6a側から表層側に向かって基材2の屈折率1.5から空気の屈折率1.0に徐々に単調に変化するため反射防止機能が発現する。これにより、反射防止膜6は、反射防止膜6と内部空間8の空気との界面及び反射防止膜6と基材2との界面(凹状表面2a)での反射を防止して、光の利用効率の向上を図ることができる(詳細は後述する)。
次に、反射防止膜6の光学特性等について図3から図6を用いて説明する。図3は、基材2と同様の材料で形成されたガラス基板の片面に形成されて反射防止膜6と同様の構成を有する反射防止膜を備えた反射防止膜付ガラス基板と、比較例としての反射防止膜の形成されていない当該ガラス基板(以下、図3及び図4の説明において、「単体ガラス基板」と称する)との直線透過率の入射角度依存性を示すグラフである。横軸は光の入射角度(°)を示し、縦軸は直線透過率(%)を示している。▲印を結ぶ曲線C1は、反射防止膜付ガラス基板の直線透過率の特性を表し、◆印を結ぶ曲線C2は、単体ガラス基板の直線透過率の特性を表している。反射防止膜付ガラス基板の直進透過率は、反射防止膜側から入射した入射光が反射防止膜付ガラス基板を直進して透過する割合である。単体ガラス基板の直線透過率は、単体ガラス基板の片面側から入射した入射光が単体ガラス基板を直進して透過する割合である。なお、直線透過率はLCD5200(大塚電子社製)を用いて測定された。
図3に示すように、反射防止膜付ガラス基板の直線透過率は、光入射角度によらず、単体ガラス基板の直線透過率よりも高くなっている。詳細は後述するが、反射防止膜は屈折率変化層としての機能を発揮するので、反射防止膜と空気との界面での光反射と、反射防止膜とガラス基板との界面での光反射とを防止することができる。これに対し、単体ガラス基板は、単体ガラス基板の光入射面と空気との界面で光を反射する。このため、反射防止膜付ガラス基板の直線透過率は、単体ガラス基板の直線透過率よりも高くなる。
反射防止膜付ガラス基板は、単体ガラス基板と比較して、広範囲の光入射角度で高い直線透過率を維持することができる。本実施の形態によるランプ1に備えられたバルブ4は、反射防止膜付ガラス基板と同様の構成を有しているので、反射防止膜を有していない場合と比較して、広範囲の光入射角度で高い直線透過率を維持することができる。
ここで、反射防止膜付ガラス基板が単体ガラス基板よりも直線透過率が高くなる理由について図4を用いて説明する。図4は、反射防止膜付ガラス基板の厚さ方向の屈折率特性の仮定を示すグラフである。横軸は屈折率を示し、縦軸は反射防止膜付ガラス基板の厚さ方向の所定位置を示している。位置P0はガラス基板内部の所定位置を表し、位置P1はガラス基板とアルミナ支持層との界面近傍のアルミナ支持層の所定位置を表し、位置P2は疑似ベーマイトナノ構造物と空気との界面近傍の疑似ベーマナイトナノ構造物の所定位置を表している。
ところで、屈折率変化層を構成するナノ構造物と、当該ナノ構造物が形成された基材との界面に平行な当該ナノ構造物の大きさ(横方向のナノ構造物の大きさ)は数十nmと光の波長に比べて十分に小さい。このため、屈折率変化層の屈折率は、面内方向(膜厚方向に直交する方向)で平均化することが可能である。また、ナノ構造物が高さ方向に分布を持っている場合、ナノ構造物の密度は基板側の方が高く、表面に近づくにつれて低くなる。これにより、屈折率変化層の屈折率は、表面から基材に向けて徐々に高くなっていく。
反射防止膜6を構成する疑似ベーマイトナノ構造物6bの凹状表面2aに平行な大きさは数十nmである。また、疑似ベーマイトナノ構造物6bは高さ方向に分布を有しており、疑似ベーマイトナノ構造物6bの密度は基材2側の方が高く、表面に近づくにつれて低くなる。このため、疑似ベーマイトナノ構造物6bの密度は、表面からアルミナ支持層6aに向けて徐々に高くなっていく。このため、アルミナ支持層6aと疑似ベーマイトナノ構造物6bとの2層構造を有する反射防止膜6は、表面から基材2に向けて屈折率が徐々に高くなる屈折率変化層としての機能を発揮する。また、反射防止膜付ガラス基板の反射防止膜は反射防止膜6と同様の構成を有しているので、屈折率変化層としての機能を発揮する。
そこで、反射防止膜付ガラス基板の反射防止膜内の屈折率が表面からガラス基板まで線形に変化すると仮定して、反射防止膜の厚さに対する反射率の変化について特性マトリクスを用いて計算した。その計算結果が図5に示すグラフである。特性マトリクスは、反射防止膜を30層に分割した多層膜と仮定し、それぞれの薄膜の特性行列(薄膜の前後での電界と磁界の横方向成分の関係を表す2×2行列)から求めることができる。各特性行列は薄膜の屈折率及び厚さ並びに光の波長から求めることができる(Max Born著“Principles of Optics: Electromagnetic Theory of Propagation, Interference and Diffraction of Light,出版社:Cambridge University Press; 7版 (2000/2/28) 第58頁以降参照)。
図4に示すように、反射防止膜付ガラス基板の反射防止膜側の表面の位置P2よりも高い位置は空気中であるため、屈折率は空気の屈折率である1.0となる。位置P2では疑似ベーマイトナノ構造物の密度が低いので、疑似ベーマイトの屈折率よりも空気の屈折率の方が支配的となる。このため、位置P2での反射防止膜付ガラス基板の屈折率は空気の屈折率とほぼ同じ値となって1.0となる。位置P2から位置P1の間では、疑似ベーマイトナノ構造物の密度が徐々に高くなるので、空気の屈折率よりも疑似ベーマイトの屈折率の方が徐々に支配的となるため、反射防止膜付ガラス基板の屈折率は、空気の屈折率よりも疑似ベーマイトの屈折率に徐々に近づいていく。これにより、図4に示すように、反射防止膜付ガラス基板の屈折率は1.0から1.5まで単調に増加する。位置P1から位置P0の間は、ガラス基板の内部であるため、反射防止膜付ガラス基板の屈折率はガラス基板の屈折率である1.5となる。
図4に示すように、反射防止膜の屈折率は、空気の屈折率とほぼ同じ値からガラス基板の屈折率とほぼ同じ値まで単調に変化する。このため、反射防止膜側から反射防止膜付ガラス基板に入射した入射光は、空気と反射防止膜との界面及び反射防止膜とガラス基板との界面で反射せずにガラス基板に進入する。ガラス基板に進入した光は、ガラス基板と空気との屈折率の差により、ガラス基板と空気との界面で一部が反射するとともに残余がガラス基板から射出する。これに対し、単体ガラス基板に入射する光は、単体ガラス基板への入射時及び射出時に、単体ガラス基板と空気との界面で反射する。
このように、反射防止膜付ガラス基板では入射光が1回だけ反射するのに対し、単体ガラス基板では入射光が2回反射する。このため、図3に示すように、反射防止膜付ガラス基板の直線透過率は単体ガラス基板の直線透過率よりも高くなる。反射防止膜付ガラス基板は、単体ガラス基板よりも直線透過率が高くなるので、入射光の利用効率の向上を図ることができる。
図5は、反射防止膜付ガラス基板に形成される反射防止膜の厚さに対する反射率の計算結果を示すグラフである。横軸は反射防止膜の厚さ(nm)を示し、縦軸は反射率(%)を示している。人の目は波長550nm付近の光を最も敏感に感じる。そこで、反射防止膜付ガラス基板の反射防止膜とガラス基板と界面での、表面に垂直な方向を0°として、550nmの波長の光の70°入射の正反射の強度を反射防止膜の厚さを変えて計算した。なお、当該正反射の強度は、反射防止膜付ガラス基板での可視光の吸収を0として計算されている。
図5に示すように、反射防止膜の厚さが300nmより薄い範囲では、膜厚が変化すると波長550nmの光の反射率も大きく変化する。反射率は、反射防止膜の膜厚が0nm、すなわち反射防止膜が形成されていない場合には、約17%となり、当該膜厚が100nmでは約15%となり、当該膜厚が200nmでは約9.5%となる。このように、膜厚が300nmよりも薄い反射防止膜は、反射防止膜とガラス基板との界面での反射率を十分に小さくすることができない。
これに対し、反射防止膜の膜厚が300nm以上の範囲では、反射防止膜とガラス基板との界面での反射率を6%以下に抑えることができる。反射防止膜付ガラス基板の反射率は、反射防止膜の膜厚が300nmでは約6%となり、当該膜厚が350nm又は400nmでは約5%となる。このように、反射防止膜の膜厚は300nm以上であることが望ましい。また、反射防止膜を厚くするために、後述のゲル膜の厚さを厚くしすぎると、ゲル膜の乾燥工程におけるゲル膜の体積収縮が大きくなるので、ゲル膜に多くの亀裂が発生してしまう。これにより、反射防止膜の強度が弱くなってしまうという問題が生じる可能性がある。このため、反射防止膜の膜厚は1000nm以下にすることが望ましい。
図6は、反射防止膜付ガラス基板の焼成前後における入射光の波長に対する反射率の測定結果を示すグラフである。横軸は入射光の波長(nm)を示し、縦軸は反射防止膜を有したガラス基板の表面での70°入射の正反射の反射率(%)を示している。曲線C3は焼成前の反射率特性を表し、曲線C4は焼成後の反射率特性を表している。焼成温度は250℃であり、焼成時間は60分間である。反射率はLCD5200(大塚電子社製)を用いて測定された。図6に示すように、反射防止膜付ガラス基板の反射率特性は、焼成前後でほぼ同じである。このため、反射防止膜付ガラス基板とほぼ同様の構成を有するバルブ4は、フィラメント12aの通電による発光かつ発熱によって高温状態になっても、反射防止膜6と基材2との界面での反射を抑えて反射防止機能を維持できる。これにより、ランプ1は光源12で発生した光の利用効率の低下を防止することができる。
次に、本実施の形態によるランプ1の動作について図1及び図7を用いて説明する。図7は、比較例としての従来のランプ101の概略構成を示す部分断面図(バルブ104以外は切断せずに示している)である。なお、図7において、ランプ1の構成要素と同一の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。図7に示すように、従来のランプ101は、バルブ104が反射防止膜6を有していない点を除いて、本実施の形態によるランプ1と同様の構成を有している。基材2は可視光をほとんど吸収しない材料で形成されているので、基材2での光吸収を無視すると、図7の図中に太矢印で示すように、光源12から射出してバルブ104に入射する入射光Liの一部は基材2の凹状表面2aで反射して反射光Lriとなり、残余の一部はランプ101が配置された周囲の空気と基材2との界面で反射して反射光Lroとなり、残余の入射光Liはバルブ104を透過して透過光Ltとなる。透過光Ltは照明光等として利用される。図3に示す反射防止膜付ガラスの直線透過率と単体ガラスの直線透過率との差より、例えば、凹状表面2a及び当該周囲の空気と基材2との界面でのそれぞれの平均の反射率を4%とすると、従来のランプ101では、照明光等に利用される透過光Ltの強度は光源12で発生した光の強度の92%となる。
これに対し、本実施の形態によるランプ1は、基材2の凹状表面2a上に形成された反射防止膜6を有している。図4を用いて説明したように、内部空間8側から反射防止膜6に入射した光は、内部空間8の空気と反射防止膜6との界面と、反射防止膜6と基材2との界面である凹状表面2aとで反射しない。このため、図1の図中に太矢印で示すように、光源12から射出してバルブ4に入射する入射光Liは、基材2の凹状表面2aでは反射せずに基材2内に進入し、一部はランプ1が配置された周囲の空気と基材2との界面で反射する反射光Lroとなり、残余はバルブ4を透過して透過光Ltとなる。透過光Ltは照明光等として利用される。当該周囲の空気と基材2との界面の平均の反射率を4%とすると、ランプ1では、照明光等に利用できる透過光Ltの強度は光源12で発生した光の強度の96%となる。このように、本実施の形態によるランプ1は、従来のランプ101と比較して、光源12で発生した光の利用効率の向上を図ることができる。
次に、本実施の形態によるランプ1の製造方法について図8から図10を用いて説明する。図8は、本実施の形態によるランプ1の製造工程の流れを説明する図である。図8(a)はゾル化工程の流れを示し、図8(b)はゲル化工程の流れを示し、図8(c)は表面形状の形成工程、すなわち疑似ベーマイトナノ構造物の形成工程の流れを示している。図9は、ランプ1の製造工程を模式的に示している。図9(a)及び図9(b)はゲル化工程を模式的に示し、図9(c)は表面形状の形成工程を模式的に示している。図10は、ゲル化工程において形成されたアモルファスアルミナ膜22の表面SEM像を示している。
図8(a)に示すように、ゾル化工程において、まずアルミニウム−sec−ブトキシド(Al(o−sec−Bu)(Tri−sec−butoxide))にイソフロピルアルコ−ル(IPA)を混合し、室温で約1時間攪拌する。次に、撹拌して得られた溶液中に安定化剤としてアセト酢酸エチル(Etyl−aceto−acetate(EAcAc))を添加して約3時間攪拌し、その後、モル比がAl(O−sec−Bu):IPA:EAcAc:HO=1:20:1:4の割合となるように、水(HO)及びIPAを注意深く少量ずつ滴下してアルミナ(Al)ゾル溶液を調製する。
次に、図8(b)に示すように、ゲル化工程において、まずバルブ4の凹状表面2aを洗浄する。次に、図9(a)に示すように、ゾル化工程において調製されたアルミナゾル溶液20をバルブ4の開口部10から内部空間8内に注入し、内部空間8内をアルミナゾル溶液20で満たす。次に、図9(b)に示すように、バルブ4を傾けて開口部10を介して内部空間8からアルミナゾル溶液20を排出する。もしくは、開口部10より注射器状のノズルを内部空間8に挿入し、アルミナゾル溶液20をこのノズルを介して吸いだし、排出しても良い。これにより、凹状表面2aのほぼ全面にアルミナゾル溶液20が塗布される。アルミナゾル溶液20を排出する速度を調節することにより、凹状表面2a上に塗布されるアルミナゾル溶液20の膜厚を調整できる。次に、図8(b)及び図9(b)に示すように、凹状表面2a上に塗布されて内部空間8に残存するアルミナゾル溶液20を乾燥して凹状表面2aのほぼ全面に、図10に示すように、アルミニウムを主成分とする酸化物であるアモルファスアルミナ膜22(ゲル膜)を形成する。アルミナゾル溶液20を乾燥する際に、アルミナゾル溶液20を例えば室温で10時間又は400℃で10分間焼成してもよい。
次に、図8(c)及び図9(c)に示すように、表面形状の形成工程において、まずアモルファスアルミナ膜22が形成されたバルブ4を100℃の温水である沸騰水23に10分間から30分間(本例では、10分間)浸漬して温水処理することにより、アモルファスアルミナ膜22の表層に水和物からなる微細構造物である疑似ベーマイトナノ構造物を形成する。その後、表層に水和物からなる微細構造物が形成されたアモルファスアルミナ膜22を乾燥することにより、凹状表面2aのほぼ全面にアルミナ支持層6aと花弁状の疑似ベーマイトナノ構造物6bとの2層構造の反射防止膜6が形成される(図2参照)。
図示は省略するが、光源12が接続された口金16を準備し、光源12を反射防止膜6が形成されたバルブ4の開口部10から内部空間8に挿入するとともに開口部21に開口部10を嵌め込み、次いでバルブ4と口金16とを接合してランプ1が完成する。
以上説明したように、本実施の形態よるランプの製造方法によれば、基材2の凹状表面2aのように開口部10を開口端とする閉空間に容易に反射防止膜6を形成することができる。また、本実施の形態よるランプの製造方法によれば、凹状表面2aのような曲面形状の表面に均一な膜厚の反射防止膜6を容易に形成することができる。これにより、光源12から射出した光の利用効率を向上させたランプ1を容易に製造することができる。
次に、本実施の形態の変形例1によるランプ及びその製造方法について図11から図13を用いて説明する。本変形例によるランプ3は、反射防止膜6内に設けられたビーズ24を備えている点に特徴を有している。図11は、本変形例によるランプ3のバルブ18の部分断面を模式的に示している。図12は、反射防止膜6の表層に形成された疑似ベーマイトナノ構造物6bの平面SEM像を示している。なお、本変形例及び後述する変形例2〜4において、ランプ1の構成要素と同一の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
本変形例によるランプ3の概略構成は、ランプ1と同様であるためその説明は省略し、異なる点のみを簡述する。図11に示すように、本変形例によるランプ3は、反射防止膜6内に設けられて入射光を散乱する複数のビーズ24を有している。ビーズ24は例えばシリカ微粒子である。ビーズ24は例えば直径500nmのほぼ球形状を有している。反射防止膜6の外形形状は、ビーズ24が存在する領域ではビーズ24の外形形状に倣い、ビーズ24が存在しない領域では基材2の凹状表面2aの形状に倣う。内部空間8側の反射防止膜6の表面は凹凸形状に形成される。図12の図中に破線の円Aで囲んで示すように、反射防止膜6の当該表面には、ビーズ24の外形形状に応じた凸構造物が形成される。疑似ベーマイトナノ構造物6bは、ビーズ24の存在しない基材2の凹状表面2a(図12では不図示)上だけでなく、当該凸構造物上にも形成される。当該凸構造物はビーズ24の外形に倣う半球形状を有しているため、当該凸構造物に形成された疑似ベーマイトナノ構造物6bはビーズ24の中心から放射状に延びて形成されている。
次に、本変形例によるランプ3の動作について図9を用いて説明する。内部空間8からバルブ18に入射した入射光Liは、ビーズ24によって散乱して散乱光Lsとなる。散乱光Lsは凹状表面2aで反射せずに反射防止膜6から基材2に進入する。基材2に進入した散乱光Lsの一部は、ランプ3が配置された外部環境の空気と基材2との界面で反射して反射光Lrとして反射防止膜6側に戻り、残余の散乱光Lsは当該外部環境に射出する。
本変形例によるランプ3は、バルブ18の内壁に形成されて界面反射のない凹凸形状の反射防止膜6を有している。このため、本変形例によれば、光の透過率の高い散乱構造を有するので、光源12の形状がぼかされて均一に光る明るいランプ3を提供することが可能となる。
次に、本変形例によるランプ3の製造方法について図13を用いて簡述する。本変形例によるランプ3の製造方法は、ゾル化工程におけるアルミナゾル溶液の調製時にビーズ24を混入する点を除いて、ランプ1の製造方法と同様である。ビーズ24が混入されたアルミナゾル溶液を用いて図8(b)、図9(a)及び図9(b)を用いて説明したのと同様の方法により凹状表面2a上にアモルファスアルミナ膜22を形成すると、図13に示すように、凹状表面2a上にビーズ24が散布される。また、アモルファスアルミナ膜22は、ビーズ24を覆って凹状表面2aのほぼ全面に形成される。その後、ランプ1と同様の表面形状の形成工程を経て、図9に示すように、アルミナ支持層6aと疑似ベーマイトナノ構造物6bとの2層構造の反射防止膜6が形成される。
以上説明したように、本変形例よるランプの製造方法によれば、基材2の凹状表面2aのように開口部10を開口端とする閉空間に容易に光の透過率の高い散乱構造を有する反射防止膜6を形成することができる。これにより、光源12から射出した光の利用効率を向上させるとともに、光源12の形状をぼかして均一に光る明るいランプを容易に製造することができる。
次に、本実施の形態の変形例2によるランプについて図14を用いて説明する。本変形例によるランプは、光源に備えられたフィラメントの表面に形成されたマイクロキャビティを備えている点に特徴を有している。図14は、本変形例における光源に備えられたフィラメント26の表面を模式的に示す拡大図である。
本変形例によるランプの概略構成は、ランプ1と同様であるためその説明は省略し、異なる点のみを簡述する。図14に示すように、本変形例におけるフィラメント26は、周期的に並んで配置された複数のマイクロキャビティ28を有している。マイクロキャビティ28は、フィラメント26の表面を開口して形成されている。マイクロキャビティ28の一辺の長さl1は例えば3μmであり、深さは3.7μmである。マイクロキャビティ28の周期l2は例えば5μmである。
フィラメントは電気を通すことにより発熱して可視光を輻射する。フィラメントの反射率は可視光よりも近赤外や赤外が高くなっている。このため、可視光の輻射効率を高くできる。さらに、フィラメント26にマイクロキャビティ28を形成することにより輻射波長を制御して、光源が射出する光に含まれる可視光の輻射率を上昇させ、赤外線の輻射率を低減させることができる。このように、本変形例によるランプは、光源から発する光に含まれる可視光の輻射率を相対的に上昇させて照明光として利用する可視光の利用効率の向上を図ることができる。
次に、本実施の形態の変形例3によるランプ5について図15を用いて説明する。本変形例によるランプは、光源が射出した光を散乱する光散乱構造物をバルブが備えている点に特徴を有している。図15は、本変形例によるランプ5に備えられたバルブ35の部分断面を模式的に示す拡大図である。
本変形例によるランプ5の概略構成は、ランプ1と同様であるためその説明は省略し、異なる点のみを簡述する。図15に示すように、バルブ35に備えられた基材30は、光源(図15では不図示)が射出した光を散乱する複数の光散乱構造物32を有している。バルブ44は、内部空間8側に反射防止膜6を有している。このため、光源が射出して反射防止膜6に入射する入射光Liは、反射防止膜6と基材30との界面で反射せずに効率よく基材30内に進入する。基材30内に進入した入射光Liは光散乱構造物32により効率的に前方散乱されて散乱光Lsとなる。散乱光Lsの一部は基材30と、ランプ5が配置された外部環境の空気との界面で反射して反射光(不図示)として反射防止膜6側に戻り、残余の散乱光Lsは当該外部環境に射出する。
このように、本変形例によれば、ランプ5はバルブ35に設けられた反射防止膜6を有しているので、光源から発せられた光は高い透過率でバルブ35に設けられた基材30内に入射し、基材30内の光散乱構造物32で散乱されて均一に光る明るいランプ5を提供することが可能となる。また、本変形例によれば、ランプ5は光源12の形状をぼかすことができるので、光源の形状に依存しない均一で明るい光を照射することが可能になる。
次に、本実施の形態の変形例4によるランプについて図16を用いて説明する。本変形例によるランプは、発光ダイオードを有する光源を備えた点に特徴を有している。図16は、本変形例によるランプ7の概略構成を示す部分断面図(バルブ44以外は切断せずに示している)である。図16に示すように、本変形例によるランプ7は、発光ダイオード34aを備えた光源34と、光源34を保持する光源保持部40と、光源34を覆って光源保持部40上に配置されたバルブ44と、光源保持部40の下方に設けられたヒートシンク38と、ヒートシンク38の下方に設けられた口金16とを有している。
バルブ44は、例えば中空の半球状を有し、一端部を開口する開口部50と、開口部50を開放端とする内部空間48とを有している。バルブ44は、本実施の形態による透明部材に相当する。バルブ44は、可視光を透過させる材料で形成され、凹状表面42aを有する基材42と、凹状表面42aに形成された、アルミニウムを主成分とする水和物を備えた反射防止膜46とを有している。基材42は、図1に示すランプ1に備えられた基材2と同様の材料で形成されている。
基材42は、開口部50を開放端とする閉空間内面である凹状表面42aと、凹状表面42aの裏面側であって外壁面である外表面42bとを有している。外表面42bは凹状表面42aの形状に倣う形状を有している。基材42はほぼ均一の厚さを有している。凹状表面42aは光源34側に配置されている。外表面42bは、ランプ7が配置される所定の空間側に配置されている。凹状表面42aは光源34が発する光の光入射面である。外表面42bは凹状表面42aに入射して基材42を透過した光を射出する光射出面である。
バルブ44の内表面である基材42の凹状表面42aは平坦形状を有している。基材42の凹状表面42aは、反射防止膜46を取り除くと、基材42で区切られた有限な内側の内部空間48と基材42との界面領域である。凹状表面42aは、開口部50を開放端とする閉空間内面である。開口部50の面内方向と同方向に基材42を切断した場合に、開口部50の面積は、基材42のいずれの領域の切断面であっても当該切断面の面積よりも大きくなっている。
凹状表面42a上に形成された反射防止膜46は、凹状表面42a上に形成されたアルミナ支持層46aと、アルミナ支持層46a上から成長して形成された疑似ベーマイトナノ構造物46bとを有している。アルミナ支持層46aは図1に示すランプ1のアルミナ支持層6aと同様の材料で同様の方法により形成されている。疑似ベーマイトナノ構造物46bは疑似ベーマイトナノ構造物6bと同様の材料で同様の方法で形成されている。反射防止膜46は反射防止膜6と同様の構成を有し、同様の機能を発揮するようになっているので、詳細な説明は省略する。
バルブ44に覆われて配置された光源34は、発光ダイオード34aと、発光ダイオードを載置する基体34bとを有している。発光ダイオード34aの光射出領域(不図示)は内部空間48に向けて配置され、基体34bは光源保持部40上に配置されている。これにより、発光ダイオード34aは内部空間48側に光を射出できるようになっている。光源保持部40は円板形状を有している。光源保持部40は、アルミニウムなどの熱伝導性が相対的に高い材料で形成されている。光源保持部40は、バルブ44を取り付けるためのバルブ取付穴部(不図示)と、ヒートシンク38を取り付けるためのヒートシンク取付穴部(不図示)とを有している。バルブ44は光源保持部40との当接面にバルブ取付穴部に嵌合する突起部(不図示)を有している。バルブ44は、バルブ取付穴部に当該突起部を嵌合することにより光源保持部40に取り付けられるようになっている。
ヒートシンク38は例えば中空の円錐台形状を有している。ヒートシンク38は、例えば、アルミニウムなどの熱伝導性が相対的に高い材料で形成されている。ヒートシンク38は、両端のうちの一方に設けられて面積の大きい開口端から突出して形成された突起部を有している。ヒートシンク38は、光源保持部40に設けられたヒートシンク取付穴部に当該突起部を嵌合することにより光源保持部40に取り付けられるようになっている。ヒートシンク38は光源保持部40を介して光源34と熱的に接続されている。これにより、光源34で発生した熱は光源保持部40を介してヒートシンク38で放熱されるようになっている。
ヒートシンク38の他方に設けられて面積の小さい開口端は口金16に嵌め込まれて固定されている。口金16はランプ1に設けられた口金16と同様の構成を有しているため説明は省略する。図示は省略するが、ヒートシンク38の内部には、口金16に接続され、光源14を駆動する光源駆動回路が配置されている。光源駆動回路は口金16を介して供給される商用電源を電源として光源34を駆動するようになっている。
ランプ7の動作及び製造方法は、ランプ1と同様であるため説明は省略する。
このように、本変形例によるランプ7は、バルブ44に備えられた反射防止膜46を有しているので、光源34に備えられた発光ダイオード34aから射出した光は、凹状表面42aで反射せずに基材42に進入できる。これにより、本変形例によるランプ7は、発光ダイオード34aが射出した光を高効率にバルブ44の外部に取り出すことができるので、ランプ1と同様の効果が得られる。
本実施の形態及び変形例1から4によるランプ1、3、5、7は、バルブの外表面上に形成されて多層構造の可視光透過膜やモスアイ構造の可視光透過膜を有していてもよい。また、本実施の形態及び変形例1から3によるランプ1、3、5は、バルブの外表面上に形成されて多層構造の赤外線反射膜を有していてもよい。発光ダイオードの発光スペクトルには赤外線や近赤外線が含まれないので、発光ダイオードを備えた光源を有する上記変形例4によるランプ7は、バルブの外表面42bに赤外線反射膜を設ける必要はない。むしろ、バルブ44内の内部空間48に熱がこもると発光ダイオード34aの発光特性が悪化するので、ランプ7はバルブ44の赤外線の透過率を高める方がよい。また、本実施の形態によるランプは、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた光源を有していてもよい。
また、上記変形例1によるランプ3では、平坦形状を有する凹状表面2a上にビーズ24を混入したゾル溶液を塗布して凹凸形状を有する反射防止膜6が形成されているが、これに限られない。例えば、本実施の形態によるランプは、凹凸形状を有する凹状表面上にビーズが混入されていないゾル溶液を塗布し、当該凹凸形状にならう反射防止膜を形成してもよい。凹凸形状に倣う反射防止膜は入射する光を散乱することができるので、当該ランプは、上記変形例1によるランプ3と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態によるランプに備えられたバルブの形状は、中空の球形状や中空の半球状に限られず、中空の直線状又は中空の円環状であってもよい。図8及び図9を用いて説明したランプの製造方法によれば、このような形状のバルブであっても中空部の内壁面に反射防止膜を形成できるので、上記実施の形態によるランプと同様の効果が得られる。
次に、本発明の一実施の形態による透明部材並びにそれを用いた保護カバー及びその製造方法について図17及び図18を用いて説明する。図17は、本実施の形態による保護カバー11の概略構成を示す図である。図17(a)は、保護カバー11の外観斜視図である、図17(b)は、保護カバー11に備えられた開口部60の中心軸を含む仮想面で切断した保護カバー11の断面図である。図17(a)及び図17(b)に示すように、保護カバー11は、開口部60と、開口部60を解放端とする閉空間である内部空間58を有し、内部空間58で保護対象物を覆う保護部材54とを有している。
保護部材54は、本実施の形態による透明部材に相当する。保護部材54は、例えば中空の球形状を有している。保護部材54は、可視光を透過させる材料で形成され、凹状表面52aを有する基材52と、凹状表面52aに形成された、アルミニウムを主成分とする水和物を備えた反射防止膜56とを有している。保護部材54は可視光の吸収がない光学的特性を有している。
基材52は可視光の吸収がない光学的特性を有する材料で形成されている。基材52は例えば透明なガラス材料で形成されている。可視光の吸収がない光学的特性を有する材料であれば、基材52はガラス材料の他に例えば透明な有機樹脂材料で形成されていてもよい。基材52は、開口部60を開放端とする閉空間内面である凹状表面52aと、凹状表面52aの裏面側であって外壁面である外表面52bとを有している。外表面52bは凹状表面52aの形状に倣う形状を有している。基材52はほぼ均一の厚さを有している。凹状表面52aは、保護カバー11が保護する保護対象物側に配置される。外表面52bは、保護カバー11が配置される所定の空間側に配置される。外表面52bは外光が入射する光入射面である。凹状表面52aは外表面52bに入射して基材52を透過した光を射出する光射出面である。
保護部材54の内表面である基材52の凹状表面52aは滑らかな平坦形状を有している。基材52の凹状表面52aは、反射防止膜56を取り除くと、基材52で区切られた有限な内側の内部空間58と基材52との界面領域である。凹状表面52aは、開口部60を開放端とする閉空間内面である。開口部60は、中空の球形状を有する保護部材54の基材52の一部を切断して形成されている。このため、保護部材54は、基材52で区切られた有限な内側の空間である内部空間58を任意の場所で切断した切断面の面積が開口部60の面積よりも大きい領域を有している。例えば、保護部材54の中心を含む平面で切断した切断面の面積は、開口部60の面積よりも大きくなる。
保護部材54に備えられた反射防止膜56はアルミナ支持層56aと疑似ベーマイトナノ構造物56bとを有している。アルミナ支持層56aは、例えばアルミニウムを主成分とする酸化物である。疑似ベーマイトナノ構造物56bはアルミナ支持層56aの表層を水和物化して形成された微細構造物である。アルミナ支持層56a及び疑似ベーマイトナノ構造物56bはいずれも、アルミニウムを主成分とする形成物である。アルミナ支持層56aの屈折率は基材52の屈折率とほぼ等しく、疑似ベーマイトナノ構造物56bの表層側の屈折率は空気の屈折率とほぼ等しい。さらに、反射防止膜56の屈折率は、反射防止膜6と同様に、基材52の屈折率とほぼ同じ値から空気の屈折率とほぼ同じ値まで単調に変化するようになっている。このように、反射防止膜56は、ランプ1に設けられた反射防止膜6と同様の構成を有し、同様の機能を発揮するようになっている。
次に、保護カバー11の動作について図18を用いて説明する。図18は、保護カバー11に備えられた開口部60の中心軸を含む仮想面で切断した保護カバー11と、内部空間58に収容された保護対象物9との断面図である。図18に示すように、基材52の外表面52b側から保護部材54に入射した入射光Liは、基材52と空気との屈折率の差により、基材52と空気との界面である外表面52bで一部が反射して反射光Lrとなり、残余が基材52に進入する。基材52とアルミナ支持層56aとに屈折率の差がほとんどないため、基材52に進入した入射光Liは、基材52と反射防止膜56との界面で反射せずに反射防止膜56に進入する。疑似ベーマイトナノ構造物56bの表層側の屈折率は空気の屈折率とほぼ等しいので、反射防止膜56に進入した入射光Liは反射防止膜56と内部空間58内の空気との界面で反射せずに透過光Ltとして内部空間58に進入して保護対象物9を照射する。
反射防止膜56を有していない保護カバーの場合には、基材52の外表面52b側から保護カバーに入射した入射光は、外表面52bの他に、基材52と内部空間58との界面でも反射する。このため、当該保護カバーでは、基材52での反射光の強度が強くなるとともに、保護対象物9を照射する透過光の強度が弱くなるので、保護対象物9は視認し難くなる。
これに対し、上述の通り、本実施の形態による保護カバー11は、基材52と内部空間58との界面での入射光の反射を防止できるので、基材52での反射光の強度を低減できるとともに、保護対象物9を照射する透過光の強度の向上が図れるので、保護対象物9は視認し易くなる。
次に、本実施の形態による保護カバー11の製造方法について簡述する。保護カバー11に備えられた保護部材54の製造方法は、上記実施の形態におけるバルブ4と同様である。まず、図8(a)を用いて説明したのと同様のゾル化工程によりゾル溶液を調製し、図8(b)、図9(a)及び図9(b)を用いて説明したのと同様に、開口部60を開放端とする閉空間である内部空間58内に当該ゾル溶液を注入して内部空間58内を当該ゾル溶液で満たし、次いで、内部空間58から当該ゾル溶液を排出し、内部空間58の内面である凹状表面52aに残存する当該ゾル溶液を乾燥してアルミニウムを主成分とする酸化物(アモルファスアルミナ膜)を形成し、次いで、図8(c)及び図9(c)を用いて説明したのと同様に、当該酸化物を温水に浸漬し、または水蒸気中にさらすことにより当該酸化物の表層に水和物からなる微細構造物(疑似ベーマイトナノ構造物)を形成する。これにより、凹状表面52a上に反射防止膜56が形成された保護部材54が形成される。
以上説明したように、本実施の形態よる保護カバーの製造方法によれば、基材52の凹状表面52aのように開口部60を開口端とする閉空間に容易に反射防止膜56を形成することができる。また、本実施の形態よる保護カバーの製造方法によれば、凹状表面52aのような曲面形状の表面に均一な膜厚の反射防止膜56を容易に形成することができる。これにより、保護部材54に入射する外光の反射を低減できる保護カバー11を容易に製造することができる。
次に、本実施の形態による透明部材について図19および図20を用いて説明する。上記実施の形態ではバルブ4、18又は保護部材54としての透明部材は中空の球形状を有し、バルブ44は中空の半球状を有しているが、本実施の形態による透明部材は当該形状に限られない。図19及び図20は、透明部材の種々の形状を例示している。本実施の形態による透明部材13は、凹状表面62a上に形成され、上記実施の形態における反射防止膜6、46、56と同様の構成を有し、同様の機能を発揮する反射防止膜を有しているが、図19及び図20では、当該反射防止膜の図示は省略している。
図19(a)から図19(f)及び図20(a)から図20(g)に示すように、透明部材13は、可視光を透過させる材料で形成され、内壁面である凹状表面62aと、外壁面である外表面62bとを有する基材62を有している。本実施の形態における凹状表面は、基材が屈曲して形成される内側の屈曲面である。当該屈曲面には、基材を反らせて形成される湾曲面や基材を折り曲げて形成される凹状角部表面が含まれる。また、当該屈曲面には、基材の一部を除去することにより、基材の除去部に形成される湾曲面や凹状角部表面が含まれる。さらに、当該屈曲面には、所定形状の部材を繋ぎ合わせて基材を形成する場合に、当該部材同士の繋ぎ目に形成される凹状角部表面が含まれる。
図19(a)に例示された透明部材13は、2つの開口部70a、70bを備え、中空の球形状に形成された基材62を有している。基材62の内側には、2つの開口部70a、70bを開放端とする凹空間である内部空間68が設けられている。開口部70a、70bは、中空の球形状を有する基材62の一部を切断して形成されている。このため、透明部材13は、基材62で区切られた有限な内側の凹空間である内部空間68を任意の場所で切断した切断面の面積が開口部70a又は開口部70bの面積よりも大きい領域を有している。例えば、基材62の中心を含む平面で切断した切断面の面積は、開口部70a及び開口部70bの面積よりも大きくなる。凹状表面62aは、内部空間68の内面である。本例における凹状表面62aは、基材62を反らせた湾曲状の屈曲面である。
図19(b)に例示された透明部材13は、中央がくぼんだ皿形状に形成された基材62を有している。中央がくぼむことによって形成される空間が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、開口部70から中央のくぼみに向かって反らされた湾曲状の屈曲面である。
図19(c)に例示された透明部材13は、中空の浅い円筒形状を有する基材62を有している。基材62は、一端を開口する開口部70と、他端を塞ぎ当該一端とは反対側に突出する突出部64とを有している。突出部64は、中央がくぼんだ皿形状を有している。基材62の円筒部側壁及び突出部64で囲まれた空間が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、基材62の円筒部側壁及び突出部64で囲まれた湾曲状の屈曲面である。
図19(d)に例示された透明部材13は、中空の浅い円筒形状を有する基材62を有している。基材62は、一端を開口する開口部70と、他端を塞ぎ平板形状の平板部72とを有している。円筒部側壁と平板部72とで囲まれた空間が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、基材62の円筒部側壁及び平板部72で囲まれた湾曲状の屈曲面である。当該屈曲面には、円筒部側壁と平板部72との繋ぎ目に形成される凹状角部表面が含まれている。
図19(e)に例示された透明部材13は、中空の浅い円筒形状を有する基材62を有している。基材62は、一端を開口する開口部70aと、他端を開口する開口部70bとを有している。円筒部側壁で囲まれた空間が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、基材62の円筒部側壁の湾曲した屈曲面である。
図19(f)に例示された透明部材13は、中空の円錐台形状を有する基材62を有している。基材62は、一端を開口する開口部70aと、他端を開口する開口部70bとを有している。開口部70aから開口部70bに向かって傾斜する側壁で囲まれた空間が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、開口部70aから開口部70bに向かって傾斜する側壁の湾曲した屈曲面である。図示は省略するが、開口部70a又は開口部70bのいずれか一方を塞いだ中空の円錐台形状及び中空の円錐形状であっても本実施の形態の透明部材に適用できる。
図20(a)に例示する透明部材13は、薄板長方形状の部材を両短辺間に所定の間隙を設けて湾曲させて形成された基材62を有している。基材62で囲まれた空間が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、薄板長方形状の部材を反らせることにより形成された湾曲した屈曲面である。
図20(b)に例示する透明部材13は、一短辺が内周側に配置され、他端辺が外周側に配置されるように薄板長方形状の部材を巻き回して形成されたスパイラル状の基材62を有している。基材62の内周側に設けられた空間が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、薄板長方形状の部材を反らせながら巻き回すことにより形成された湾曲した屈曲面である。
図20(c)に例示する透明部材13は、薄板長方形状の部材の両短辺側をほぼ90°に折り曲げて形成された基材62を有している。基材62は、当該短辺の延伸する方向に直交して切断した断面が凹形状を有している。基材62で三方を囲まれる空間が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、薄板長方形状の部材を折り曲げて形成された凹状角部表面を含む屈曲面である。
図20(d)に例示する透明部材13は、薄板長方形状の部材の両短辺側を鋭角に折り曲げて形成された基材62を有している。基材62は、当該短辺の延伸する方向に直交して切断した断面が凹形状を有している。基材62で三方を囲まれる空間が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、薄板長方形状の部材を折り曲げて形成された凹状角部表面を含む屈曲面である。
図20(e)に例示する透明部材13は、中空の三角錐形状を有する基材62を有している。当該中空部が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、3つの三角形形状の側面の内部空間68側の表面で構成される屈曲した屈曲面である。
図20(f)に例示する透明部材13は、中空の直方体形状に形成された基材62を有している。基材62は、一端を開口する開口部70と、薄板形状を備えて他端を塞ぐ平板部(不図示)とを有している。当該中空部が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、内部空間68側の直方体形状の側壁表面及び平板部表面とで構成される屈曲した屈曲面である。
図20(g)に例示する透明部材13は、半円柱形状に形成された半円柱部76aと、半円柱部76aの平面部の両端から突出して形成され、対向配置された平板部76b、76cとを備えた基材62を有している。半円柱部76aの平面部表面と、平板部76b、76cの対向面とで囲まれた領域が内部空間68となる。基材62の凹状表面62aは、半円柱部76aの平面部表面と、平板部76b、76cの対向面とで構成される屈曲した屈曲面である。
図19及び図20に例示した透明部材13は、アルミナ支持層及び疑似ベーマイトナノ構造物の2層構造を有する反射防止膜が形成される凹状表面62aと、凹状表面62aに囲まれて光源や保護対象物を配置する領域を備えた内部空間68とを有している。このため、透明部材13はバルブや保護カバーに適用されることができる。
なお、上記詳細な説明で説明した事項は組み合わせることが可能である。
本発明は、光源を覆うバルブを有するランプや保護対象物を保護する保護カバーの分野において広く利用可能である。
1、3、5、7、101 ランプ
2、30、42、52、62 基材
2a、42a、52a、62a 凹状表面
2b、42b、52b、62b 外表面
4、18、35、44、104 バルブ
6、46、56 反射防止膜
6a、46a、56a アルミナ支持層
6b、46b、56b 疑似ベーマイトナノ構造物
8、48、58、68 内部空間
9 保護対象物
10、21、50、60、70、70a、70b 開口部
11 保護カバー
12、14、34 光源
12a、26 フィラメント
12b、12c 内部導線
13 透明部材
16 口金
16a 中心電極
16b 外部電極
16c 絶縁部
20 アルミナゾル溶液
22 アモルファスアルミナ膜
23 沸騰水
24 ビーズ
28 マイクロキャビティ
32 光散乱構造物
34a 発光ダイオード
34b 基体
38 ヒートシンク
40 光源保持部
54 保護部材
64 突出部
72、76b、76c 平板部
76a 半円柱部

Claims (18)

  1. 可視光を透過させる材料で形成され、凹状表面を有する基材と、
    前記凹状表面に形成された、アルミニウムを主成分とする水和物を備えた反射防止膜と
    を有することを特徴とする透明部材。
  2. 請求項1記載の透明部材であって、
    前記反射防止膜は、アルミニウムを主成分とする酸化物の表層を水和物化して形成された微細構造物を有していること
    を特徴とする透明部材。
  3. 請求項1又は2に記載の透明部材であって、
    前記凹状表面は、前記基材で区切られた有限な内側の空間と前記基材との界面領域であること
    を特徴とする透明部材。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の透明部材であって、
    前記凹状表面は、開口部を解放端とする凹空間内面であること
    を特徴とする透明部材。
  5. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の透明部材であって、
    前記凹状表面は、開口部を解放端とする閉空間内面であること
    を特徴とする透明部材。
  6. 請求項4又は5に記載の透明部材であって、
    前記凹空間又は前記閉空間は、前記基材で区切られた有限な内側の空間を任意の場所で切断した切断面の面積が前記開口部の面積よりも大きい領域を有していること
    を特徴とする透明部材。
  7. 開口部を解放端とする閉空間又は凹空間を有し、前記閉空間又は凹空間で保護対象物を覆う保護部材を備えた保護カバーであって、
    前記保護部材は、請求項1から6までのいずれか一項に記載の透明部材で形成されていること
    を特徴とする保護カバー。
  8. 光源と、前記光源を覆って配置されたバルブとを備えたランプであって、
    前記バルブは、請求項1から6までのいずれか一項に記載の透明部材で形成されていること
    を特徴とするランプ。
  9. 請求項8記載のランプであって、
    前記光源は、抵抗過熱型のフィラメントを有すること
    を特徴とするランプ。
  10. 請求項9記載のランプであって、
    前記光源は、前記フィラメントの表面に形成されたマイクロキャビティを有していること
    を特徴とするランプ。
  11. 請求項8記載のランプであって、
    前記光源は、発光ダイオードを有すること
    を特徴とするランプ。
  12. 請求項8から11までのいずれか一項に記載のランプであって、
    前記バルブは、ほぼ球形状を有していること
    を特徴とするランプ。
  13. 請求項8から11までのいずれか一項に記載のランプであって、
    前記バルブは、直線状またはリング状の円筒形状を有していること
    を特徴とするランプ。
  14. 請求項8から13までのいずれか一項に記載のランプであって、
    前記バルブの光学的特性は、可視光の吸収がないこと
    を特徴とするランプ。
  15. 請求項8から14までのいずれか一項に記載のランプであって、
    前記バルブは、前記光源が射出した光を散乱する光散乱構造物を有すること
    を特徴とするランプ。
  16. 請求項8から15までのいずれか一項に記載のランプであって、
    前記バルブの内表面は、凹凸形状を有していること
    を特徴とするランプ。
  17. 開口部を開放端とする閉空間内にアルミニウムを主成分とするゾル溶液を注入し、
    前記閉空間内から前記ゾル溶液を排出し、
    前記閉空間内面に残存する前記ゾル溶液を乾燥してアルミニウムを主成分とする酸化物を形成し、
    前記酸化物を温水に浸漬し、または水蒸気中にさらすことにより前記酸化物の表層に水和物からなる微細構造物を形成すること
    を特徴とする保護カバーの製造方法。
  18. 光源と、前記光源を覆って配置され、開口部を開放端とする閉空間を有するバルブとを備えたランプの製造方法であって、
    前記閉空間内にアルミニウムを主成分とするゾル溶液を注入し、
    前記閉空間内から前記ゾル溶液を排出し、
    前記閉空間内面に残存する前記ゾル溶液を乾燥して前記バルブ内面にアルミニウムを主成分とする酸化物を形成し、
    前記酸化物を温水に浸漬し、又は水蒸気中にさらすことにより前記酸化物の表層に水和物からなる微細構造物を形成すること
    を特徴とするランプの製造方法。
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