JP7043774B2 - エアロゾル成膜装置、及びエアロゾル成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エアロゾル成膜装置、及びエアロゾル成膜方法に関するものである。
エアロゾル成膜方法は、固体粒子を気体と混合してエアロゾル化し、減圧チャンバー内で基板に向けて噴射、堆積する方法であり、セラミックスのような脆性があり焼結温度が高い材料であっても常温で固体皮膜が形成できるという特徴がある。
従来のエアロゾル成膜装置の代表的な構成について図7を参照して説明する。エアロゾル成膜装置100は、原料粉末102を収容したエアロゾル化室104と、エアロゾル化室104に媒体ガスを供給するガス供給部106と、エアロゾル化室104に接続されたノズル114と、ノズル114に基板140を対向して配置した成膜室138とを備える。ガス供給部106は、巻き上げガス供給口108と、調整ガス供給口110を通じて、媒体ガスをエアロゾル化室104に供給する。エアロゾル化室104において原料粉末は、巻き上げガス供給口108から供給される媒体ガスによって舞い上がる。原料粉末に含まれる固体粒子の一部がエアロゾルとして浮遊する。効率的に原料粉末を舞い上がらせると共に、固体粒子の凝集を抑制するため、原料粉末は予め乾燥処理される場合が多い。本図に示すエアロゾル成膜装置100は、加熱して原料粉末に含まれる水分を減らすため、エアロゾル化室104を加熱するヒータ150を備える。またエアロゾル成膜装置100は、原料粉末を効率的に舞い上がらせるため、エアロゾル化室104を振動させる振動手段を備える場合がある。本図に示すエアロゾル成膜装置100は、調整ガス供給口110から供給される媒体ガスにより、エアロゾルの濃度と流量とを調整することができる。
エアロゾルは、真空ポンプ143で減圧された成膜室138とエアロゾル化室104の差圧により搬送管144に吸引され、ノズル114から噴射される。ノズル114から噴射されたエアロゾルは、基板140に衝突し、固体粒子が堆積することにより固体皮膜154が成膜される。基板ホルダ142が平面方向(図7中X,Y方向)に移動することにより、固体皮膜154はノズル口より大きな面積で均一に形成される。
上記固体皮膜が形成されるメカニズムは、種々の説がある。例えば、特許文献1には、「超微粒子脆性材料の破壊強度以上の大きさの機械的衝撃力を負荷して粉砕して前記超微粒子脆性材料同士を接合させる」衝撃固化現象が開示されている。固体粒子を粉砕するのに十分な速さを得るために、成膜室は減圧されている必要がある。成膜室が減圧されていることによってノズルから噴射されるエアロゾル中の固体粒子は減速が抑制され、衝撃により破壊、変形がおこり、新生面が出来て成膜されると考えられている。
特許文献2には、原料粉末粒子の帯電が重要な役割を果たしていると記載されている。一方、特許文献3には、粒子の帯電は、粒子同士の凝集を助長し成膜を阻害するため、エアロゾルを除電することによって、1次粒子を高い割合で含むエアロゾルを安定して生成及び供給することができ、緻密且つ強固で、欠損部分の少ない高品質な固体皮膜を安定して形成することが可能になると記載されている。
エアロゾル成膜方法は、上述した長所がある一方、成膜効率が低いという課題があり、応用は極めて限定されている。
成膜に寄与する固体粒子の直径は、概ね1μm以下とされている。本明細書では、粒径が1μm以下の成膜に寄与する固体粒子を皮膜形成粒子、粒径が1μm超の固体粒子を粗大粒子と呼ぶ。粗大粒子のうち、1次粒子を粗大1次粒子、ファンデルワールス力、水分による水素結合、静電気による静電力によって凝集して粗大化した固体粒子を凝集粒子と呼ぶ。1次粒子とは、金属結合、共有結合、イオン結合などで強固に結合した粒子の単位である。
原料粉末は、皮膜形成粒子の割合が高い方が好ましい。ところがこのような微細な固体粒子を多く含む原料粉末は、水分や静電力によって凝集し凝集粒子になり易い。凝集粒子は、大きな粒子として振る舞い、エアロゾルが形成できなかったり、基板に到達しても成膜されなかったりする等、原料歩留まりが低下する傾向にある。また凝集粒子は、高速で基板に衝突することにより、固体皮膜の膜厚を超える大きさの凹凸を形成し、基板に損傷を与える。さらに凝集粒子が巻き込まれた固体皮膜は、局所的に強度の小さい領域や、周囲に空隙を生じさせて強度や密度が低下した領域などができ、膜の機械的特性や電気的特性が低下する。
このような問題に対し、特許文献4には、原料粉末に振動を与えたり、巻上ガスの噴射口と原料粉末の相対的位置を変えるなどしたエアロゾル成膜装置が開示されている。
特許文献5には、回転テーブルの溝に位置する原料粉末にガスを吹き付ける導入口と、エアロゾルを導出する導出口とを有するエアロゾル発生装置が開示されている。
特許文献6には、固体粒子が柱状に積み重なった原料粉末をピストンで送り出す原料供給部と、原料供給部より供給された原料粉末を掻き取る回転ブラシ部と、回転ブラシ部に媒体ガスを供給するガス供給部とを備えたエアロゾル発生装置が開示されている。
特許第3265481号公報 特許第5669328号公報 特許第4920912号公報 特許第4526162号公報 特許第4115145号公報 米国特許第4764057号明細書
図7のエアロゾル成膜装置100は、舞い上がり易い微粒子からエアロゾルが形成されるため、次第に凝集粒子の割合が増え、原料粉末の凝集も著しくなる。そうするとエアロゾル成膜装置100は、エアロゾル中の皮膜形成粒子の割合が減少し、時間的に成膜効率が劣化し、長時間安定的にエアロゾルを生成することができないという問題がある。またエアロゾル成膜装置100は、原料粉末に含まれる皮膜形成粒子の一部しかエアロゾル化できないので、原料歩留まりが悪いという問題がある。
上記特許文献4の場合、原料粉末に振動を与えるなどだけでは、十分に凝集粒子を排除することができない、という問題があった。
上記特許文献5の場合、圧縮ガスによって原料粉末を舞い上げエアロゾルを生成するため、凝集粒子を十分に解砕することができず、原料歩留まりや膜質が低下する、という問題がある。
本発明は、より均一な固体皮膜を形成することができるエアロゾル成膜装置、及びエアロゾル成膜方法を提供することを目的とする。
本発明に係るエアロゾル成膜装置は、固体粒子が媒体ガス中に分散したエアロゾルを生成するエアロゾル生成器と、前記エアロゾルを噴射するノズルとを備え、前記エアロゾル生成器は、円筒内面形状の内周面を有するエアロゾル化室と、原料粉末を前記エアロゾル化室内に供給する原料供給部と、前記媒体ガスを前記エアロゾル化室にガス導入口を通じて供給する第1ガス供給管と、前記エアロゾルを前記エアロゾル化室より排出するエアロゾル排出口とを備え、前記第1ガス供給管から供給する前記媒体ガスが前記エアロゾル化室内で旋回流を生成するように、前記ガス導入口の向きが前記エアロゾル化室の内周面に沿うように配置される構造、及び、前記内周面に沿って回転する回転体を有する構造、の少なくとも一方を備え、前記エアロゾル排出口と前記ノズルの間に、前記媒体ガスの一部を排気する排気部、及び前記媒体ガスを供給する第2ガス供給管の、少なくとも一方を備えることを特徴とする。
本発明に係るエアロゾル成膜方法は、固体粒子を含む原料粉末と媒体ガスを供給して、これを円筒空間内で旋回して、エアロゾルを生成する工程と、前記エアロゾル中の媒体ガスの流量を調整し、エアロゾル中の固体粒子の粒度分布、及び濃度とエアロゾルの流量を調整する工程と、調整されたエアロゾルを噴射して基材上に前記固体粒子を堆積させる工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、原料粉末と媒体ガスを強制的に旋回させてエアロゾルを形成し、原料粉末の固体粒子の濃度、及びエアロゾルの流量を制御することにより、より多くの良質なエアロゾルを連続的に生成することができるので、より均一な固体皮膜を形成することができる。
第1実施形態に係るエアロゾル生成器の系統図である。 第2実施形態に係るエアロゾル成膜装置の全体構成を示す模式図である。 第2実施形態の変形例に係るエアロゾル成膜装置の全体構成を示す模式図である。 第3実施形態に係るエアロゾル成膜装置の全体構成を示す模式図である。 実施例1におけるアルミナジルコニア皮膜断面の反射電子像であり、図5Aは実施例、図5Bは比較例である。 実施例2における銅皮膜断面の反射電子像であり、図6Aは実施例、図6Bは比較例である。 従来のエアロゾル成膜装置の全体構成を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.第1実施形態
図1に第1実施形態に係るエアロゾル生成装置におけるエアロゾル生成器の系統図を示す。図1は必要最小限の構成を示す系統図の一例であって、以下に示す要件を満たすものであれば大きさ、上下、左右の位置関係はこれに限定されるものではない。
本実施形態のエアロゾル成膜装置10Aにおけるエアロゾル生成器12Aは、円筒形状のエアロゾル化室18Aと、固体粒子を連続的に供給する原料供給部16Aと、前記媒体ガスを供給する第1ガス供給管24と、前記エアロゾルを排出するエアロゾル排出口25とを備える。エアロゾル化室18Aの内部空間15は、内部に粉体とガスを強制的に旋回させるために円筒内面形状の内周面13と、円盤形状の上面及び下面で形成されている。
エアロゾル化室18Aは、原料粉末22に含まれる固体粒子と第1ガス供給管24から供給された媒体ガスを強制的に高速旋回させ、撹拌することによって、固体粒子を粉砕、解砕、分散させる。本実施形態の場合、エアロゾル化室18Aは、媒体ガスをエアロゾル化室104の内部空間15の中心軸と垂直な内周円の接線方向に噴射供給することによって、高速旋回流を発生させる。すなわちより効率的に粉砕、解砕、分散効果を起こすため、第1ガス供給管24のエアロゾル化室18A内へのガス導入口23の向きは、内周面13に沿うように配置されている。本実施形態の場合、ガス導入口23は、内周面13に設けられ、円筒軸と垂直な接線方向を向いている。
エアロゾル排出口25の位置と向きは目的によって任意に選択することができる。例えば、粉砕、解砕された遠心力のおよび難い微細な粒子のみを取り出したい場合は円筒軸上にエアロゾル排出口25を設けるのが好ましい。全ての粒子を強制的に排出させる場合は、内周面13の接線方向にエアロゾル排出口25を設けるのが好ましい。
原料供給部16Aは、原料粉末22を収容する容器としての貯蔵容器19Aと、原料供給部16Aを通じてエアロゾル化室18Aに連続的に原料粉末22を供給する機構(図示しない)とを有する。貯蔵容器19Aの形態は限定されるものではないが、ホッパーに設けたテープルフィーダーから原料粉末22を取り出してもよい。水分による原料粉末22の凝集を避けるため、貯蔵容器19Aは常に乾燥ガスで満たされていることが望ましい。乾燥ガスは原料粉末22と一緒にエアロゾル化室18Aに流入するため、特段の目的がない限り、第1ガス供給管24から供給される媒体ガスと同じガスであるのが好ましい。固体粒子がより効率的に分散されるよう原料供給部16Aの原料供給口17は第1ガス供給管24のガス導入口23の近くに配置されることが望ましい。ガス導入口23直前で管の口径を絞るベンチュリー管とすることがより望ましい。
第1ガス供給管24から供給される媒体ガス流量は、固体粒子の粉砕、解砕、分散効果とコストの点から最適範囲がある。媒体ガスをエアロゾル化室18Aの内周面13の接線方向に噴射することによって、エアロゾル化室18A内に旋回流を発生させ、固体粒子を粉砕させる方式の場合、特に大きな流量と圧力が必要になる。一方、ノズル14から噴射されるエアロゾル流量もノズル口の大きさや成膜室の排気量によって最適範囲がある。これらの2つのガス流量は一致しない場合が大半であるから、本実施形態のエアロゾル生成装置では、エアロゾル排出口25と前記ノズル14の間に、媒体ガスの一部を排気する排気部30、及び媒体ガスを供給する第2ガス供給管(図示しない)の少なくとも一方を備えることが不可欠である。特にこの実施形態の場合は、排気部30が必要になる場合が多い。排気部30及び第2ガス供給管の位置はエアロゾル化室18Aとノズル14の間であれば、目的に応じてどこにあっても構わず、エアロゾル化室18Aに設けられていても良い。本図では、排気部30をエアロゾル化室18Aに設けた場合を示している。
本実施形態のエアロゾル成膜装置10Aでは、膜の品質を高品位に安定させるために、特にノズル14から排出される流量を制御することが重要であることから、第1ガス供給管24、排気部30を流れるガスを制御するためのマスフローコントローラー等の流量制御器(図示しない)が設けられていることが望ましい。また、排気部30ではエアロゾルからガス成分のみを排出する必要からフィルタが設けられていることが望ましい。ただし、排気部30から第1ガス供給管24や貯蔵容器19Aに戻す配管が設けられる場合は、その限りではない。
本実施形態のエアロゾル成膜装置10Aは、原料粉末22と媒体ガスを旋回させてエアロゾルを形成し、原料粉末22の粒子の性状、濃度、粒度分布、及びエアロゾルの流量が制御されたので、より均一な固体皮膜を形成することができる。
2.第2実施形態
(全体構成)
図2を参照して第2実施形態に係るエアロゾル成膜装置10Bについて説明する。第2実施形態は、ガス導入口の向きが前記エアロガス化室の内周面に沿うように配置される構造と内周面に沿って回転する回転体を有する構造によって旋回流を発生させ、良質なエアロゾルを発生させる形態である。上記実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。図2に示すエアロゾル成膜装置10Bは、固体粒子と媒体ガスを混合しエアロゾルを生成するエアロゾル生成器12Bと、エアロゾル生成器12Bで生成したエアロゾルを噴射するノズル14とを備える。エアロゾル成膜装置10Bは、ノズル14から基材としての基板40に向かってエアロゾルを噴射することにより、基板40上に固体皮膜54を形成する。基材は、平板に限らず、立方体、円筒、円柱などの立体形状を有する部材にも適用できる。
エアロゾル生成器12Bは、原料供給部16Bと、エアロゾル化室18Bと、ガス供給部28とを有する。エアロゾル生成器12Bは、原料供給部16Bから供給される原料粉末22と、ガス供給部28から供給される媒体ガスを混合し、エアロゾルを生成する。
原料供給部16Bは、原料粉末22を収容する容器としてのシリンダー19Bと、当該シリンダー19B内を軸方向に移動可能なピストン20とを含む。原料供給部16Bは、シリンダー19B内に収容された原料粉末22をピストン20でシリンダー19Bの一端の原料供給口17へ送り出す。シリンダー19B内の原料粉末22は、柱状に積み重ねられ、ピストン20で押し出されてシリンダー19Bの原料供給口17から露出したときに自然に崩壊せず、かつ、後述するブラシとの接触で容易に解砕される程度に圧縮されていることが好ましい。原料粉末22の供給量は、図示しない制御機構により、ピストン20の移動量を変えることにより制御される。例えば、原料供給部16Bは、基板40上に形成される固体皮膜54の膜厚をモニタリングしながら、原料粉末22の供給量を制御してもよい。上記の原料供給構造は回転体によって旋回流を発生させる構造に適しているが、原料供給は第1実施形態に示した構造でも構わない。
原料粉末22は、酸化物、窒化物、炭化物等のセラミックスや、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属、樹脂の固体粒子が含まれる。原料粉末22は、単一の物質である場合に限られず、複数の物質を含んでいてもよい。固体粒子の粒径は、材質によるが、1次粒子径が最大で10μm以下、好ましくは5μm以下であり、中心径が1μm以下であるのが好ましい。
エアロゾル化室18Bは、シリンダー19Bの原料供給口17側に配置されており、図示しない電気モータと、当該電気モータの回転軸に接続された回転体としてのブラシ21とを有し、回転体の作る旋回流によってエアロゾル化室18Bの内周面13内を旋回しながら回転体と衝突し、凝集粒子を効率よく解砕する。回転体は、弾性変形可能な線状の部材の集合体からなるブラシ21に限定されず、剛性を有する翼状の部材からなる回転羽を用いてもよい。回転体は、回転体の表面積が大きく、粒子との衝突回数が多くなるので、線状の部材の集合体であるブラシ21の方がより望ましい。
エアロゾル化室18Bは、ブラシ21と衝突せず、かつ内周面13との隙間が小さい方が粉砕、解砕、分散効果が大きいため円筒形状をしていることを要するが、ガス導入口23や原料供給口17との関係で必ずしも完全な円筒形状でなくても良い。
ブラシ21は、ステンレスなどの金属、樹脂被覆された金属、樹脂などで形成することができる。ブラシ21は、原料粉末22と同じ材質の場合、固体粒子の帯電を防止できる。ブラシ21は先端部が原料供給部16Bから送り出される原料粉末22の一部に接触する。ガス導入口23には、第1ガス供給管24の先端が接続されている。第1ガス供給管24の基端は、ガス供給部28に接続されている。ガス導入口23は、媒体ガスを旋回させるために円筒軸に垂直な内周円の接線方向を向いていることが望ましいがその限りではない。図2ではブラシ21の回転方向は、媒体ガスの流入方向と同じ向きになっているが、図3に示すエアロゾル製膜装置10Cのように、逆方向に回転させてもよい。エアロゾル製膜装置10Cのエアロゾル化室18Cは、ブラシ21の先端部と原料粉末22が接触する位置の近傍に、ガス導入口23を有する。図2のようにブラシ21の回転方向と第1ガス供給管24から供給されるガスの向きが同じ方向であればより強い旋回流が発生する。一方、図3に示したエアロゾル化室18Cのように、逆である場合は異なる旋回流の界面にある原料粉末22にはせん断力が発生し、解砕、粉砕が加速する。この効果を効率的にするため、図3に示したように第1ガス供給管24は原料供給口17の近くに配置することが望ましい。図2と図3の形態のどちらが好ましいかは、原料紛体22の材質、構造、粒度分布による。
ガス供給部28は、媒体ガスが充填されており、当該媒体ガスを第1ガス供給管24へ送り出す。ブラシ21と原料粉末22粒子が強くかつ旋回しながら多数回衝突することによって、ブラシ21と原料粉末22が帯電する場合があるため、媒体ガスは、不燃性ガスであるのが好ましい。媒体ガスは、例えば、窒素、ヘリウム、二酸化炭素などのガスや、空気など助燃性のガスであってもよい。ガス供給部28は、圧縮ガスボンベや、制御された圧力の媒体ガスを生成するコンプレッサーと当該媒体ガスを供給する工場配管とからなるガス供給システムでもよい。第1ガス供給管24には、流量制御器36、例えばマスフローコントローラーを設けるのが好ましい。
エアロゾル化室18Bは、エアロゾル排出口25を有する。エアロゾル排出口25には、エアロゾル生成器12Bとノズル14を繋ぐエアロゾル供給管26の基端が接続されている。
エアロゾル排出口25とノズル14までの距離は、短い方が望ましい。エアロゾル排出口25から排出されたエアロゾルは、エアロゾル供給管26において、水分や静電気の影響で帯電し再凝集する可能性がある。エアロゾル供給管26の長さは、直径にもよるが、2m以下が好ましく、1m以下であるのがより好ましい。
原料粉末22、及び媒体ガスの水分量は、低い方が好ましいが、従来のエアロゾル成膜装置の場合に比べ高くてもよく、0.5質量%程度であってもよい。
この実施形態では旋回流の発生は回転体の回転によって生じるため、第1ガス供給管24から供給するガス流量には自由度があるが最適範囲はあるため、エアロゾル排出口25と前記ノズル14の間に、媒体ガスの一部を排気する排気部30、及び媒体ガスを供給する第2ガス供給管29の少なくとも一方を備えることが不可欠である。良質なエアロゾルを形成する為に媒体ガスの流量が、ノズル14の大きさや排気量に応じたエアロゾルの流量に対して大きい場合は、エアロゾル供給管26は、媒体ガスの一部を排気する排気部30を有する必要がある。排気部30は、エアロゾル供給管26から分岐した分岐管32に設けられている。排気部30は、排気ポンプを用いることができ、排気量を可変、制御できるのが好ましい。分岐管32には、分岐点33と排気部30の間に、フィルタ34及び上記のような流量制御器36が設けられているのが好ましい。フィルタ34は、媒体ガスのみを通過させ、固体粒子が排気部30に付着するのを防ぐと共に、固体粒子が大気中に排気されるのを防ぐ。排気部30は滞留容器46に設けられても良い。
ノズル14の大きさや成膜室の排気量で決まるエアロゾルの流量に対して媒体ガスの流量が足りない場合やエアロゾル内の原料粉末濃度が大きすぎる場合は、エアロゾル供給管26は、途中に第2ガス供給管29の先端が接続されている必要がある。第2ガス供給管29の基端は、ガス供給部28に接続されている。第2ガス供給管29には、上記のような流量制御器36を設けるのが好ましい。
エアロゾル供給管26は、途中に分級器31を有するのが好ましい。分級器31は、原料粉末22に含まれる粗大1次粒子がノズル14から噴射されるのを防ぐ。分級器31は、皮膜形成粒子のみを通過させ、粗大1次粒子を捕集して除去する。
分級器31は、例えば、エアロゾル供給管26の内径よりも大きい内径を有する大径管を用いることができる。大径管は、エアロゾル供給管26を流れてきたエアロゾルの流速を低下させる。エアロゾルに含まれる粗大1次粒子は、重力によって落下し、大径管に滞留する。
分級器31は、パーティクルフィルタ、インパクター、サイクロン分級器などを用いることができる。また分級器31は、エンジンなどの内燃機関の排気ガスや、大気中の粒子数の計測に用いられるパーティクルカウンターなどを用いることができる。本実施形態の場合、エアロゾルに含まれる固体粒子の濃度は非常に高いことから、フィルタの目詰まりなどによる経時劣化が少なく、大きい補足量及び流量に対応可能であることから、分級器31は、サイクロン分級器が最も好ましい。
エアロゾル成膜装置10Bは、エアロゾル供給管26とノズル14の間に、滞留容器46を備えるのが好ましい。図2に示す滞留容器46は、高さが100mm以上1000mm以下の鉛直方向を長手方向とする容器である。滞留容器46の材質は、特に限定されないが、固体粒子の帯電を防ぐ場合には、金属製とし、接地するのが好ましい。滞留容器46には、エアロゾル供給管26の先端と、搬送管44の基端が接続されている。
滞留容器46は、ノズル14に近い位置に設けるのが望ましい。搬送管44の先端は、ノズル14が設けられている。エアロゾル供給管26の先端にはエアロゾル供給管26より内径の小さなオリフィス48が設けられていることが望ましい。オリフィス48の出口の近傍に、オリフィス48によって加速されたエアロゾルが衝突する衝突壁を配置することが望ましい。衝突壁は、オリフィス48に対向して配置されるのがより好ましい。衝突壁は、滞留容器46の内壁を利用した形態でもよい。本図の場合、衝突壁は、後述する底部51である。
滞留容器46は、上記の大きさを有するので、エアロゾル供給管26から供給されたエアロゾルを貯留しておくことができる。エアロゾルに含まれる上記粗大1次粒子や、エアロゾル供給管26を通過する中で皮膜形成粒子が再凝集した凝集粒子は、重力によって落下し、滞留容器46の底に沈降する。
エアロゾル成膜装置10Bは、滞留容器46を加熱する加熱部50を備えるのが好ましい。加熱部50は、本図の場合、底部に近い側面を加熱するように配置されている。加熱部50は、特に限定されないが、電気ヒータが好適である。滞留容器46は、エアロゾルの水分を蒸発させるため、加熱部50によって100℃以上800℃以下の範囲で加熱されるのが好ましい。滞留容器46の耐熱性の観点から、上記温度の上限は、400℃以下であるのがより好ましい。
オリフィス48は、エアロゾル供給管26の内径より小さい吐出口を有し、滞留容器46内にエアロゾルを高速で吹き付ける。オリフィス48は、滞留容器46の底部51に向かってエアロゾルを吹き付けるように配置されるのが好ましい。本図の場合、オリフィス48は、滞留容器46の底部51に向かって配置されている。
ノズル14は、成膜室38に設置された基板40に対向して配置されている。基板40は、成膜室38に固定された基板ホルダ42に保持されている。成膜室38は、フィルタ41を挟んで排気ポンプ43に接続されている。成膜室38は、排気ポンプ43で負圧に維持されることにより、滞留容器46との間に差圧が生じる。滞留容器46内のエアロゾルは、上記差圧により、ノズル14から基板40に向かって噴射される。噴射されたエアロゾルに含まれる固体粒子が、十分かつ適度な速度で基板40に到達して堆積するには、成膜室38の圧力は10~1000Paであるのが好ましい。
ノズル14は、スリット状の開口を有するのが好ましい。本図の場合、ノズル14は、図中Y方向に長いスリット状の開口を有する。ノズル14に供給されるエアロゾルは、ノズル14の開口面積にもよるが、一般的には1~2000L/min.であり、ノズル14の開口面積が0.15mmの場合、1~15L/min.であることが望ましい。エアロゾルに含まれる固体粒子の濃度は0.002~0.2g/Lであることが望ましい。第1ガス供給管24と第2ガス供給管29に供給される媒体ガス流量、排気部30から排気される媒体ガス流量、及び原料粉末22の供給量は、ノズル14に供給されるエアロゾル流量、濃度が上記の範囲になるよう調整することが望ましい。
(動作及び効果)
次にエアロゾル成膜装置10Bの動作及び効果について説明する。まず媒体ガスが、ガス供給部28から第1ガス供給管24及びガス導入口23を通じて、エアロゾル化室18Bに供給される。原料供給部16Bは、ピストン20で原料粉末22を押し出し、シリンダー19Bから原料粉末22の一部を露出させる。エアロゾル化室18Bは、ブラシ21が原料粉末22の一部に接触し、原料粉末22を掻き取る。エアロゾル化室18Bは、掻き取った原料粉末22と媒体ガスとを混合し、エアロゾルを生成する。生成されたエアロゾルは、エアロゾル排出口25、エアロゾル供給管26内を流れ、ノズル14から基板40に向かって噴射される。噴射されたエアロゾルに含まれる固体粒子が基板40に堆積する。エアロゾル成膜装置10Bは、上記のようにして固体粒子を基板40に堆積し、固体皮膜54を形成する。
エアロゾル生成器12Bは、ブラシ21で原料粉末22を機械的に強く掻き取り、高速で回転するブラシ21と第1ガス供給管24から流入するガスによって形成される旋回流に乗って旋回する原料粉末22が多数回衝突することにより、粗大粒子を解砕し、より多くの良質なエアロゾルを連続的に生成することができる。したがってエアロゾル成膜装置10Bは、原料歩留まりを向上すると共に、長時間に渡って安定的にエアロゾルが供給できるので、膜厚や膜質がより均一な固体皮膜54を形成することができる。
エアロゾル生成器12Bで生成するエアロゾルの原料粉末濃度と流量は、成膜に適した値に合致しない場合が多い。エアロゾル生成器12Bは、原料粉末22を効率的に解砕するため、一定量以上の媒体ガス流量が必要となる。エアロゾルの流量は、ノズル14の開口面積と排気ポンプ43の排気量に対して過大になる場合がある。エアロゾル成膜装置10Bは、エアロゾルの流量が過大である場合、媒体ガスのみを排気部30から排気することにより、媒体ガス流量を抑制し、濃度の高いエアロゾルをノズル14から噴射することができる。
エアロゾル成膜装置10Bは、第2ガス供給管29からエアロゾル供給管26に媒体ガスを供給することにより、媒体ガス流量が不足している場合、又はエアロゾル中の原料粉体濃度が高すぎる場合には、媒体ガス流量を増加させることができる。
上記のようにエアロゾル成膜装置10Bは、排気部30を備えることにより、ノズル14に到達する媒体ガスの流量を抑制することができる。
分級器31は、原料粉末22中に粗大1次粒子が混入していても、粗大1次粒子をエアロゾルから取り除くことができる。エアロゾル成膜装置10Bは、分級器31を備えることにより、ノズル14に粗大1次粒子が到達することを防ぐことができる。
エアロゾル成膜装置10Bは、滞留容器46を備えることにより、成膜初期の安定性を向上することができる。滞留容器46がないエアロゾル成膜装置は、エアロゾルの生成を開始後、ノズル14から噴射されるエアロゾルの濃度が安定するまで、一定の時間が必要である。本実施形態の場合、エアロゾル成膜装置10Bは、滞留容器46にエアロゾルを貯留しておくことで、成膜初期において、濃度が安定したエアロゾルをノズル14から噴射することができる。したがってエアロゾル成膜装置10Bは、ノズル14から噴射されるエアロゾルの濃度が安定するまで待つ時間を省略することができる。
滞留容器46は、原料供給部16Bにおける原料粉末22が部分的に不均一な箇所があった場合など、一時的な攪乱が生じた場合でも、バッファとして機能し、均一なエアロゾルをノズル14から噴射することを可能にするので、均質な膜をより安定的に形成することができる。
滞留容器46は、粗大粒子をエアロゾルから除去することができる。エアロゾル中の粗大粒子は、ノズル14から噴射された後、基板40との間で一部は破砕されるが、大量に噴射されると破砕されず、成膜されなかったり、基板40に巻き込まれて固体皮膜54の膜質を低下させたり、基板40に過度な損傷を与える。原料粉末22に10μm以上の粗大1次粒子が含まれている場合は特に、ノズル14に到達する前にエアロゾルから分離しておく必要がある。エアロゾル成膜装置10Bは、滞留容器46で粗大粒子を除去することによりノズル14から粗大粒子が噴射されるのを防ぐことができるので、粗大粒子とその周りで生じやすい空隙による強度等の機械的特性や、絶縁性、導電性などの電気的特性の欠損を防止することができる。
以上のバッファ機能と粗大粒子の沈降機能とが有効に機能するために、滞留容器46の長さは鉛直方向に、100mm以上であるのが望ましい。バッファ機能が大きすぎると原料粉末の供給量、搬送ガス流量等のエアロゾル濃度の制御に対し、ノズル14から噴射するエアロゾルの濃度の追従に時間がかかるため、滞留容器46の容積にもよるが滞留容器46の長さは1000mm以下が望ましい。
因みに図7に示したエアロゾル化室104は、全量の原料粉末102が一度に投入される点において、エアロゾルが導入される滞留容器46とは機能が全く異なる。滞留容器46は、図7に示したエアロゾル成膜装置100におけるエアロゾル化室104における問題、特にエアロゾル中の皮膜形成粒子を増やすために巻上ガス量を増やすことにより、粗大粒子がノズル14に到達して、成膜効率の低下、基板の損傷、膜質の低下などの問題が生じるのを抑制できる。
滞留容器46内のエアロゾル供給管26の先端に設けられたオリフィス48によってエアロゾルを加速し、底部51に衝突させることによって、凝集粒子を解砕することができる。
エアロゾル成膜装置10Bは、滞留容器46を加熱部50で加熱することにより、エアロゾルの水分の脱離を促すことで、エアロゾル搬送中に発生した凝集粒子の解砕を促進することができる。滞留容器46の加熱と滞留容器46内でのオリフィス48と衝突壁を組み合わせることにより、より成膜に適したエアロゾルをノズル14に供給することができる。滞留容器46とノズル14との距離は短い方が望ましい。
エアロゾル生成器12Bは、ブラシ21と原料粉末22が強く、かつ旋回流に乗って旋回しているうちに多数回衝突することにより、エアロゾル中の固体粒子が帯電しやすい。したがってエアロゾル成膜装置10Bは、固体粒子が帯電していることが成膜に寄与する場合において、より有効である。
エアロゾル成膜装置10Bは、従来に比較して原料粉末22や媒体ガスの水分の影響を受け難く、粉末管理の手間とコストを低減でき、安価なガスが使用できる。エアロゾル生成器12Bは、ブラシ21と原料粉末の衝突摩擦により、エアロゾル中の固体粒子が強く帯電される場合があるが、結果的に固体粒子同士の凝集は抑制されており、皮膜形成粒子を多く含むエアロゾルを形成できる。
3.第3実施形態
図4を参照して第3実施形態に係るエアロゾル成膜装置10Dについて説明する。上記実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。図4に示すエアロゾル成膜装置10Dは、サイクロン分級器56を備える点が上記第2実施形態と異なる。滞留容器55は、サイクロン分級器56と粗大粒沈降容器57とを有する。これらは分割できた方が洗浄等のメンテナンス上望ましい。
図7に示した従来のエアロゾル成膜装置は、ガス流と振動によって舞い上がる固体粒子のみをノズルに供給する。これに対し、本発明のエアロゾル成膜装置は、円筒形状のエアロゾル化室18B内に投入した固体粒子のほぼ全量をエアロゾル化して送り出す。したがって、エアロゾル化室18Bから排出されるエアロゾルに含まれる固体粒子のほぼ全量が成膜に適した粒径範囲にあるものの、エアロゾル化室18B容器内の旋回によって、全て解砕できればよいが、そのように原料を調整することは紛体製造コストの面で難しい場合がある。
本実施形態に係るエアロゾル成膜装置10Dは、サイクロン分級器56により、ノズル14の直前で分級する。サイクロン分級器56は、円筒部と漏斗部とが軸方向に一体化されてなり、内周面の接線方向にエアロゾル供給管26が接続されている。搬送管44の基端は、サイクロン分級器の中心軸の上部に配置される。エアロゾル供給管26から供給されたエアロゾルによってサイクロン分級器56内に旋回流が発生し、エアロゾルはサイクロン分級器56内を旋回する。エアロゾル化室18Bの旋回流によって粉砕、解砕、分散された粒子はノズル14まで到達する間に再凝集する場合があるが、エアロゾル内の固体粒子のうち微細な粒子は差圧によって中心軸近傍に配置された搬送管44を通じてノズル14から噴射される。粗大粒子は遠心力によってサイクロン分級器56の内周面近傍を旋回し、重力によって下方に落ち、最終的に沈降粉として粗大粒沈降容器57に沈降する。
このとき、媒体ガス流量がノズル14で必要なガス流量より小さい場合、もしくはエアロゾル濃度が高すぎる場合は、第2ガス供給管29を通じて媒体ガスが供給される。第2ガス供給管29を粗大粒沈降容器57内部まで延ばし、流量に応じて適度な高さ、方向に排出されるようにすれば、粗大粒沈降容器57に入った微細粒は、一定の確率で媒体ガスの流れに乗って再度上方に送ることができる。
媒体ガス流量がノズルで必要なガス流量より大きい場合は、粗大粒沈降容器57下部に図2に示したような排気部30(図4では図示していない)を設け、フィルタ、流量制御器を介し外部に排出してもよい。
図2~図4で示したエアロゾル化室は、ガス圧のみによって旋回流を発生させエアロゾルを形成するエアロゾル化室に比較してエアロゾルを生成するための媒体ガスとノズル14から噴射されるエアロゾル流量を合わせやすいが、物質ごとに異なる固体粒子の最適粒度、最適濃度のエアロゾルを形成するためのガス流量と良質な膜を得るためのエアロゾル流量を始めとする成膜条件を完全に一致させることは難しく、媒体ガスの一部を排気する排気部、及び媒体ガスを供給する第2ガス供給管の少なくとも一方を備えることが必要である。またエアロゾル化室とノズルの間に一定の容積を有する滞留槽がある方がエアロゾルの安定性の点で望ましい。特に以下に示す変形例では必要性は高まる。
4.変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
上記実施形態の場合、エアロゾル生成器と成膜室は、1つずつの場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、エアロゾル成膜装置は、1つの成膜室に対しエアロゾルを生成する複数のエアロゾル生成器を備えていてもよい。この場合、互いに異なる原料粉末からエアロゾルを生成するエアロゾル生成器毎にノズルを設け、各ノズルから交互に又は同時にエアロゾルを噴射することにより、1つの基板に複数種の相からなる固体皮膜を形成することができる。また同じ原料粉末からエアロゾルを生成する複数のエアロゾル生成器を有し、1つのノズルからエアロゾルを噴射することとしてもよい。複数のエアロゾル生成器から発生する各々のエアロゾルを1つの滞留容器に合流させた後、ノズルに供給することとしてもよい。
さらにエアロゾル成膜装置は、一般的にエアロゾル生成器を大型化することが可能なので、1つのエアロゾル生成器に対し複数の成膜室を備えていてもよい。この場合、1つのエアロゾル生成器から搬送管を分岐して複数のノズルにエアロゾルを供給してもよい。
なおエアロゾル生成器が2つ以上ある場合は、それぞれのエアロゾル供給管に排出機構と給気機構を設けることが望ましい。
上記実施形態の場合、排気部及び第2ガス供給管は、エアロゾル供給管26の途中に設けてもよいし、滞留容器46に設けることとしてもよい。
このように複数のエアロゾル生成器12と複数のノズル14、成膜室38を組み合わせる形態を取りやすい点は、エアロゾルの生成量を制御しやすい本発明のエアロゾル成膜装置の優位な点である。
上記実施形態の場合、原料供給部16Bは、ピストン20で原料粉末22を押し出す場合について説明したが、本発明はこれに限らず、原料粉末22の供給量を制御できるスクリューフィーダーを用いてもよい。
以下、本実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、これは本発明の例を示すものであり、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ここでは、実施例1として、従来のエアロゾル成膜装置と本発明のエアロゾル成膜装置を使用して銅基材層上に、アルミナ-ジルコニアでなる複合セラミックス層を形成してその組織を比較した。
使用したアルミナ原料粉とジルコニア原料粉は、アルミナ原料粉が純度99.5質量%、メディアン径、0.73μm、最大径、6.7μmのα-Alであり、ジルコニア原料粉が純度98質量%、メディアン径、1.7μm、最大径が15.4μmの部分安定化ジルコニア電融粉である。ここでメディアン径とは、累積個数分布図で50%の高さを与える直径であり中位径(d50)である。
これらの原料粉末をジルコニアの含有量が20質量%になるように秤量して、同じ重量で直径10mm、純度99.9質量%以上のアルミナボールと共に樹脂製ポットに入れ、更に粉体が隠れる程度のアセトンを樹脂製ポット内に入れ、湿式で6時間混練、粉砕し、乾燥させ、これをφ250μmのふるいにかけ、得られた粉末を混合原料粉とした。混合原料粉のメディアン径は0.63μm、最大径が6.7μmであった。
この混合原料粉を使用して40×40×t1mmの無酸素銅板上に複合セラミック層を形成した。
始めに比較として市販のエアロゾル成膜装置(淵田ナノ技研製GD-AE24/NS)を使用した。装置の構成は図7と同じである。エアロゾル化室104の大きさは内径約110mm、高さ約260mmである。媒体ガスは液体窒素を気化させた常温の窒素ガスである。
準備した混合原料粉100gを十分乾燥して、エアロゾル化室104に投入し、エアロゾル室内を振動させながら紛体に吹き付ける巻上ガス5L/min.、エアロゾル化室104上方に供給する調整ガス5L/min.の合計10L/min.の流量の窒素ガスでエアロゾルを形成した。形成されたエアロゾルは0.1kPaに減圧した成膜室に圧力差を使ってエアロゾルを移送し、開口サイズがX方向0.3mm、Y方向5mmのノズルから、水平駆動する基材層となる純銅板(銅基材層)に噴射し、純銅板の表面に成膜を行った。基材層の駆動速さはX方向に1mm/sで30mm駆動させた後、駆動を反転させ30mm駆動することを50往復繰り返した。すなわち成膜時間は50分である。成膜中はヒータ150によってエアロゾル化室104底部の温度を120℃に維持し、エアノッカーでエアロゾル化室を振動させた。このようにて作製した試料を試料1とした。ここで流量10L/min.はノズルの開口サイズと真空ポンプの容量から決まる最適値であり、これより流量が大きいとエアロゾル化室が陽圧になる等の問題が生じる。
次に市販の装置を改造して、図2に近い構成のエアロゾル成膜装置を製作して成膜試験を行った。エアロゾル化室としてフィルタ性能評価等に使用されているエアロゾルジェネレーター(PALAS社製RBG1000)を使用した。製作した装置は図2に示したものとほぼ同じであるが、分級器31は省略している。
比較例と異なりノズル14前段の容器はエアロゾルの生成に使用されるものではなく、滞留容器46として使用される。滞留容器46の内径は48mm、高さ260mmのステンレス製容器を使用した。滞留容器46からノズル14に向かう下流の装置構成、及び媒体ガス源は比較例と同じである。
前述したようにノズルから噴射するエアロゾル流量の最適値は10L/min.である。一方、使用したエアロゾルジェネレーターはエアロゾル成膜装置用に設計されたものではなく、粉末を解砕、分散するためには最低でも12L/min.必要であった。そこで第1ガス供給管24に供給するガスを12L/min.とし、排気部30から2L/min.の窒素ガスを排気することで、ノズル14から噴射されるエアロゾルの流量が10L/min.になるようにした。
準備した混合原料粉25gを十分乾燥して、シリンダー19Bに詰め、成膜中に一定の速さでピストン20を押し上げながら、成膜時間50分間で全量を押し出すようにした。ブラシ21はステンレス製であり、800rpmで高速回転し、第1ガス供給管24から導入される媒体窒素ガスと混合、撹拌されエアロゾルを形成し、エアロゾル排出口25から滞留容器46に送られる。真空ポンプの排気量と成膜時の駆動速さ、駆動量等の条件は比較例と同じとした。成膜中は加熱部50によって滞留容器46底部の温度を120℃に維持した。このようにして作製した試料を試料2とした。
試料1、及び試料2のいずれの試料も銅基板上におおよそ5×30mmの大きさにアルミナ-ジルコニア複合膜が形成された。膜厚は試料1が12μmであったのに対して、試料2では43μmもの膜厚があった。いずれの膜も十分緻密であると仮定すると本発明のエアロゾル成膜装置を使用した場合は、原料紛体の投入量が小さいにも関わらず比較例の4倍の成膜レートが得られたことになる。実際、試料1の成膜開示初期にはノズル14先端と基板40の間でエアロゾル流が観察されたが後半は殆ど見えなくなった。また、エアロゾル化室内に残留した原料粉末量は95g残留しており、成膜中にノズル14から排出される原料固体粒子は5gと算出される。
一方、本発明のエアロゾル装置を使用した場合は、成膜中50分間の間安定してエアロゾル流が観察された。滞留容器に取り残された固体粒子は15gであった。成膜中にノズル14から排出される原料固体粒子は10gと算出される。
以上のことから、同じ成膜条件で本発明のエアロゾル成膜装置を使用した方が比較装置を使用した場合に対して成膜レートが高く、より厚い膜が得られた理由は、比較装置では、成膜初期は巻上ガスによって微細な粒子が巻き上がって効率よくエアロゾルが形成されたが、成膜時間が経過するに従い、巻き上げガスと振動だけでは、原料粉末22中の凝集体の解砕が十分できず、成膜に適した一次粒径を持つ粒子を効率よくエアロゾル化して取り出すことができなかったためである。一方、本発明の成膜装置では、原料粉末のブラシとの衝突、旋回流によるせん断力、原料粉末同士の衝突が激しく起こり、原料粉末22の粉砕、解砕、分散が強く作用し、成膜に適した一次粒径を持つ粒子を効率よくエアロゾル化して取り出すことができ、また連続的に一定の量でノズルに供給できた結果として成膜レートが高く、より厚い膜が得られた。
次に、試料1と試料2の断面を研磨して走査型電子顕微鏡で観察した反射電子像をそれぞれ図5に示した。何れの試料も緻密であり、セラミックスの一般的なプロセスである焼結体よりも微細な組織を有する皮膜であった。両者を比較すると組織を構成するアルミナ相F、ジルコニア相Gは試料2(図5B)の方が微細であり、試料1(図5A)には微細な空隙Hが観察されたのに対し、試料2では空隙は殆ど観察されなかった。これは、基板に到達するエアロゾル内の固体粒子の分散状態が違っていたためである。既存の成膜装置では単純な巻き上げであったため、原料粒子が十分に解砕されない状態で基板に衝突する粒子が多かったのに対し、本発明のエアロゾル成膜装置では、原料粉末のブラシとの衝突、旋回流によるせん断力、原料粉末同士の衝突が激しく起こり、原料粉末の粉砕、解砕、分散が強く作用し、基板に到達するエアロゾル内において成膜に適した一次粒径を持つ固体粒子の割合が多かったためである。また、滞留容器内における解砕、分級効果も寄与した。実際、成膜後、滞留容器に残留した固体粒子の粒径は原料粉末の粒径より大きかった。
次に、エアロゾルジェネレーターのエアロゾル排出口25をノズル14の搬送管44に直結して成膜を試みた。第1ガス供給管24に流す窒素ガスの流量を10L/min.として生成したエアロゾルをそのままノズル14に供給した。基板の原料粉末22の充填量と成膜時の排気条件、基板の駆動条件は試料2を成膜した時と同じにしたが、安定した成膜はできなかった。これは、エアロゾルを生成するためのガスの流量を下げたため、解砕、分散が十分でなく、成膜に適さない凝集粒子の割合が増加したことが原因の一つに挙げられる。また、今回使用した原料粉末22は大きさ1μm超の1次粒子も一定割合で含むが、これらの粒子も全てノズルを通じて基板に到達してしまい、基板、及び成膜された皮膜を削ってしまったことが挙げられる。成膜に適さない固体粒子も含めて、全ての粒子を低流量で搬送したため配管が詰まりやすくなったことも一因である。実際、エアロゾル生成装置のエアロゾル出口近傍やノズルの根本には、試料2を成膜した時より多くの粉末が付着していることが観察された。
すなわち、本発明のエアロゾル成膜装置では、エアロゾル生成器から生成するエアロゾルと成膜に必要なエアロゾル流量、濃度を調整するための機構が必要であり、エアロゾル生成装置から生成するエアロゾルの流速を落としエアロゾル中の固体粒子の濃度や粒度を調整する機構を有していた方が望ましいことがわかった。これらの機構を設けることにより、成膜に適した流量、固体濃度、分散状態の良質なエアロゾルを継続的に、安定的に噴射ノズルに供給することができ、その結果、成膜歩留が上がり、より大面積で必要な膜厚の品質の高い被膜を得ることができる。
(実施例2)
実施例2として、従来のエアロゾル成膜装置と本発明のエアロゾル成膜装置を使用して銅基材層上に、銅皮膜を形成してその組織を比較した。
使用した銅粉は、市販の純銅粉で粒径はメディアン径(d50)1.5μm、最大径6.0μmである。銅基材は40×40×t1mmの無酸素銅板を使用した。
始めに比較として市販のエアロゾル成膜装置(淵田ナノ技研製GD-AE24/NS)を使用した。装置の構成は図7と同じである。エアロゾル化室104の大きさは内径約110mm、高さ約260mmである。媒体ガスは液体窒素を気化させた常温の窒素ガスである。
原料の純銅粉250gを十分乾燥して、エアロゾル化室に投入し、エアロゾル化室内を振動させながら紛体に吹き付ける巻上ガス10L/min.、エアロゾル化室上方に供給する調整ガス19L/min.の合計29L/min.の流量の窒素ガスでエアロゾルを形成した。形成されたエアロゾルは0.3kPaに減圧した成膜室に圧力差を使って移送され、開口サイズがX方向0.3mm、Y方向15mmのノズルから、水平駆動する基板となる純銅板(銅基材層)に噴射し、純銅板の表面に成膜を行った。基板の駆動速さはX方向に1mm/sで30mm駆動させた後、駆動を反転させ30mm駆動することを3往復繰り返した。すなわち成膜時間は3分である。成膜中はヒータ150によってエアロゾル化室104底部の温度を120℃に維持し、エアノッカーでエアロゾル化室を振動させた。このようにて作製した試料を試料3とした。
ここで流量29L/min.はノズルの開口サイズと真空ポンプの容量から決まる最適値であり、これより流量が大きいとエアロゾル化室が陽圧になる等の問題が生じる。
次に市販の装置を改造して、図4に近い構成のエアロゾル成膜装置を製作して成膜試験を行った。エアロゾル化装置としてフィルター性能評価等に使用されているエアロゾルジェネレーター(PALAS社製RBG1000)を使用した。
比較例と異なりノズル14前段の容器はエアロゾルの生成に使用されるものではなく、滞留容器55として使用される。滞留容器55はステンレス製のサイクロン分級器56と粗大粒沈降容器57で構成され、サイクロン分級器56上部の円筒空間の内径はφ60mmであり、下方に向かってφ23mmまで絞られた後、φ98mmの粗大粒沈降容器57にパッキンを使用して気密構造になるように接続される。サイクロン分級器56と粗大粒沈降容器57の高さは240mmである。
サイクロン分級器56の円筒空間上部にエアロゾル化室18Bからのエアロゾル供給管26が接続されるが、接続口は円筒空間内周面近傍に設けられ、配管の軸方向は、円筒軸と垂直な内周円の接線方向を向いており、流入するエアロゾルはここでも旋回流を形成する。エアロゾル中の固体粒子の中で遠心力の作用を大きく受ける粒子径の大きな一次粒子や移送中に再凝集した粒子はサイクロン分級器56の外周近傍を旋回しながら粗大粒沈降容器57に落下し、軽い微細な粒子は中心軸近傍を旋回している間に旋回流と滞留容器55と成膜室38との間の差圧によって、上方のノズル14に移送される仕組みになっている。また本発明の装置では、第2ガス供給管29が粗大粒沈降容器57内部に入って、底部で旋回流を発生するように窒素ガスが導入され、滞留容器55中心軸近傍に発生する上昇旋回流を大きくする仕組みになっている。これにより、一定の確率で粗大粒沈降容器57に入った成膜に適した微細粒や底部で媒体ガスによって再凝集粉が再度解砕された微細粒が上方に押し上げられる。滞留容器55からノズル14に向かう下流の装置構成、及び媒体ガス源は比較例と同じである。
ノズルから噴射するエアロゾル流量の最適値は29L/min.である。本実施例では、検討の結果、第1ガス供給配管に流す窒素ガス量19L/min.、第2ガス供給配管に流す窒素量を10L/min.と配分した。
原料純銅粉50gを十分乾燥して、シリンダー19Bに詰め、成膜中に一定の速さでピストン20を押し上げながら、3g/min.の供給速さでエアロゾル化室18B内に送った。ブラシ21はステンレス製であり、800rpmで高速回転し、第1ガス供給管24から導入される媒体窒素ガスと混合、撹拌されエアロゾルを形成し、エアロゾル排出口25から滞留容器55に送られる。真空ポンプの排気量と成膜時の駆動速さ、駆動量等の条件は比較例と同じとした。成膜中は加熱部50によって滞留容器55底部の温度を120℃に維持した。このようにして作製した試料を試料4とした。
試料3、及び試料4のいずれの試料も銅基板上におおよそ15×30mmの大きさに銅膜が形成された。膜厚は試料3が6~8μmであったのに対して、試料4の膜厚は15μmであり、本発明のエアロゾル装置の方が使用した原料紛体が少なくても厚い膜が形成でき成膜効率が高かった。
本発明のエアロゾル装置の原料歩留まりが高く、成膜レ-トが高かった理由は、原料粉末のブラシとの衝突、旋回流によるせん断力、原料粉末同士の衝突が激しく起こり、原料粉末の粉砕、解砕、分散が強く作用し、またサイクロン分級器による分級機構が働き、成膜に適した一次粒径を持つ分散状態の良い固体粒子の割合が多かったことに加え、媒体ガスを粗大粒沈降容器に導入したことによって原料粉末から微細な一次粒子がさらに取り出され、ノズルから噴射される最適なエアロゾル流量が確保できたためである。
次に、試料3と試料4の断面を研磨して走査型電子顕微鏡で観察した二次電子像をそれぞれ図6に示した。両者を比較すると組織には大きな違いが認められた。試料3(図6A)では皮膜を構成する銅粒子は殆ど変形しておらず、空隙も多かった。一方試料4(図6B)では空隙は認められたものの皮膜を構成する銅粒子は変形して緻密な皮膜が形成されていた。
皮膜組織の違いは、基板に到達するエアロゾル内の固体粒子の分散状態が違っていたためである。既存の成膜装置では単純な巻き上げであったため、固体粒子が十分に解砕されない状態で基板に衝突する粒子が多く、銅粒子の場合多少凝集していても基板に付着できるが凝集状態で付着するため、個々の銅粒子に衝突衝撃力が伝わり難く密度が上がらなかったと考えられる。一方、本発明のエアロゾル成膜装置では、エアロゾル化装置の機構に基づく機械的な力によって固体粒子が強く解砕、分散され、また媒体ガスを導入した粗大粒沈降容器内での分級機構、再凝集粉の再解砕機構が働き、基板に到達するエアロゾル内において一次粒径を持つ分散状態の良好な固体粒子の割合が多くなり、基板と衝突する際、衝撃力が強く作用する粒子が多く緻密に成膜されたためである。
10A,10B,10C,10D エアロゾル成膜装置
12A,12B,12C,12D エアロゾル生成器
14 ノズル
16A,16B 原料供給部
18A,18B,18C エアロゾル化室
19A,19B シリンダー(容器)
22 原料粉末
24 第1ガス供給管
25 エアロゾル排出口
26 エアロゾル供給管
29 第2ガス供給管
30 排気部
31 分級器
40 基板(基材)
46 滞留容器
48 オリフィス
50 加熱部
51 底部

Claims (8)

  1. 固体粒子が媒体ガス中に分散したエアロゾルを生成するエアロゾル生成器と、
    前記エアロゾルを噴射するノズルと
    を備え、
    前記エアロゾル生成器は、
    円筒内面形状の内周面を有するエアロゾル化室と、
    原料粉末を前記エアロゾル化室内に供給する原料供給部と、
    前記媒体ガスを前記エアロゾル化室にガス導入口を通じて供給する第1ガス供給管と、
    前記エアロゾルを前記エアロゾル化室より排出するエアロゾル排出口と
    を備え、
    前記ガス導入口の向きが前記エアロゾル化室の内周面に沿うように配置される構造を備え、前記構造により、前記第1ガス供給管から供給される前記媒体ガスが前記エアロゾル化室内で旋回流を生成し、前記旋回流により前記固体粒子が解砕され、
    前記エアロゾル排出口と前記ノズルの間、又は前記エアロゾル化室に、前記媒体ガスの一部を排気する排気部を備える
    ことを特徴とするエアロゾル成膜装置。
  2. 固体粒子が媒体ガス中に分散したエアロゾルを生成するエアロゾル生成器と、
    前記エアロゾルを噴射するノズルと、
    前記エアロゾル生成器と前記ノズルとの間に備えられた滞留容器と
    を備え、
    前記エアロゾル生成器は、
    円筒内面形状の内周面を有するエアロゾル化室と、
    原料粉末を前記エアロゾル化室内に供給する原料供給部と、
    前記媒体ガスを前記エアロゾル化室にガス導入口を通じて供給する第1ガス供給管と、
    前記エアロゾルを前記エアロゾル化室より排出するエアロゾル排出口と
    を備え、
    前記内周面に沿って回転する回転ブラシを有する構造を備え、前記構造により、前記第1ガス供給管から供給される前記媒体ガスが前記エアロゾル化室内で旋回流を生成し、前記旋回流により前記固体粒子が解砕され、
    前記エアロゾル排出口と前記ノズルの間に設けられ前記媒体ガスの一部を排気する排気部、及び、前記エアロゾル排出口と前記滞留容器との間又は前記滞留容器に設けられ前記媒体ガスを供給する第2ガス供給管の、少なくとも一方を備える
    ことを特徴とするエアロゾル成膜装置。
  3. 前記エアロゾル生成器における前記原料供給部が、前記原料粉末を収容した容器内の原料粉末を送り出し、当該原料粉末の一部を露出させるための構造を有し、前記回転ブラシにより前記露出した原料粉末の一部が掻き取られることを特徴とする請求項に記載のエアロゾル成膜装置。
  4. 前記エアロゾル排出口と前記ノズルの間に、分級器を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のエアロゾル成膜装置。
  5. 前記エアロゾル排出口と前記ノズルを繋ぐエアロゾル供給管を備え、
    前記エアロゾル供給管と前記ノズルの間に、高さが100mm以上1000mm以下の前記滞留容器を備えることを特徴とする請求項2~のいずれか1項に記載のエアロゾル成膜装置。
  6. 前記滞留容器の内部空間内の前記エアロゾル供給管の先端に前記エアロゾル供給管より内径の小さなオリフィスを有することを特徴とする請求項に記載のエアロゾル成膜装置。
  7. 固体粒子を含む原料粉末と媒体ガスを供給して、これを円筒空間内で旋回し旋回流を生成し、前記旋回流により前記固体粒子を解砕しながら、エアロゾルを生成する工程と、
    前記媒体ガスの排気及び前記媒体ガスの供給により前記エアロゾル中の媒体ガスの流量を調整し、前記エアロゾル中の前記固体粒子の粒度分布、及び濃度と前記エアロゾルの流量を調整する工程と、
    調整された前記エアロゾルを噴射して基材上に前記固体粒子を堆積させる工程と
    を備えることを特徴とするエアロゾル成膜方法。
  8. 前記エアロゾルを形成する工程が、前記固体粒子を含む原料粉末の一部を回転するブラシで掻き取りながら前記媒体ガスを供給して前記エアロゾルを生成する工程であることを特徴とする請求項に記載のエアロゾル成膜方法。
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