以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同装置の機構部の平面説明図、図2は同じく要部側面説明図である。
この液体を吐出する装置1000は、シリアル型装置である。両側板91A、91B間に架け渡した主ガイド部材1などのガイド機構でキャリッジ3を主走査方向に移動可能に保持している。キャリッジ3は、背板91Cにて保持される主走査移動機構を構成する、主走査モータ6によって駆動プーリ7と従動プーリ8間に架け渡したタイミングベルト9を介して主走査方向に往復移動される。
キャリッジ3には、2つの液体吐出ユニット40(40A、40B)を搭載している。液体吐出ユニット40は、液体吐出手段としての液体吐出ヘッド(以下、「ヘッド」という。)41と、ヘッド41に液体を供給するサブタンク42とを一体化して構成している。
装置本体側には、各色の液体を収容したメインタンク(液体カートリッジ)50が交換可能に装着されるカートリッジホルダ51が配置されている。このカートリッジホルダ51には送液ポンプ部52が設けられ、メインタンク50から送液ポンプ部52によって各色の供給チューブで構成した液体経路56を介して各サブタンク42に各色の液体が供給される。
また、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板91A、91B間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール12を張り渡し、キャリッジ3にはエンコーダスケール12のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ13を設けている。これらのエンコーダスケール12とエンコーダセンサ13によってキャリッジ3の移動を検知するリニアエンコーダ14を構成している。
一方、シート材10を搬送方向に搬送するために、シート材10を吸着してヘッド41に対向して搬送する搬送手段20を備えている。
搬送手段20は、搬送ローラ21と、搬送ローラ21に加圧されて接触する加圧ローラ22と、ヘッド41に対向するプラテン部材23と、プラテン部材23の吸引孔23aを介してシート材10を吸着する吸引機構部24などで構成される。なお、図1では吸引孔23aは部分的に図示しているが、プラテン部材23の全体に配置される。
また、キャリッジ3の主走査方向の一方側にはヘッド41の維持回復(メンテナンス)を行う維持回復機構30が配置されている。維持回復機構30は、メンテナンス手段であり、例えばヘッド41のノズル面(ノズルが形成された面)41aをキャッピングするキャップ31(31A、31B)、ノズル面を払拭清掃する払拭手段33を備えている。
この装置1000においては、シート材10を搬送ローラ21及び加圧ローラ22によってプラテン部材23上を吸着しながら搬送方向に搬送する。
そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら印刷信号に応じてヘッド41を駆動することにより、停止しているシート材10に所要の色の液体を吐出して1行分を印刷し、シート材10を所定量搬送後、次の行の印刷を行うことを繰り返して印刷し、シート材10を排出する。
次に、この液体を吐出する装置におけるヘッドに対する液体の供給排出系の概要について図3を参照して説明する。図3は同液体の供給排出系に係る部分の模式的説明図である。
ヘッド41に対して液体を供給する液体供給系は、ヘッド41に供給する液体を一時的に貯留するサブタンク42と、サブタンク42に供給する液体を貯留収容するメインタンク50と、メインタンク50とサブタンク42との間の液体経路56とを備えている。
そして、液体経路56には、サブタンク42に対して液体を供給する送液と、サブタンク42から液体を液体経路56側(メインタンク50側を含む。)に戻す逆送とが可能な可逆型送液手段である送液ポンプ54を備えている。
ヘッド41から液体を排出する液体排出系は、ヘッド41のノズル面41aをキャッピングするキャップ31と、廃液を収容する廃液タンク35と、キャップ31から廃液タンク35に通じる廃液経路36と、キャップ31内を吸引する吸引ポンプ34とを備えている。
次に、サブタンクの一例について図4及び図5を参照して説明する。図4は同サブタンクの模式的上面説明図、図5は同じく模式的正面説明図である。
サブタンク42は、液体を保持するための液体収容部202を形成する一側部が開口したタンクケース(容器本体)201を有している。
そして、タンクケース201の開口を変形可能な部材であるフィルム部材などからなる可撓性部材203で密閉して、壁面が変形可能な部材で形成された液体収容部202を形成している。ここで、タンクケース201内に配置した弾性部材としての負圧形成バネ204の復元力によって可撓性部材203を常時外方に押している。なお、可撓性部材203には負圧形成バネ204の一端部を受ける補強部材211を固定している。
このように、タンクケース201の変形可能な壁面を形成する可撓性部材203に負圧形成バネ204の復元力が作用していることで、液体収容部202内(以下、単に「サブタンク42内」ともいう。)の液体残量が減少することによって負圧が発生する。
また、タンクケース201の外側には、一端部側を軸206で揺動可能なように支持された変位部材205を有している。
変位部材205は、スプリング210によってタンクケース201側の可撓性部材203に押し付けられている。これにより、可撓性部材203の動きに連動して、つまり、残存液体量の変化に応じて変位部材205が変位する。
この変位部材205を装置本体側に配置された本体側検知手段で検知することでサブタンク42内の液体残量や負圧などを検知することができる。
また、タンクケース201の上部には、メインタンク50から液体を供給するための供給口部209が保持され、液体経路56としての例えば供給チューブが接続される。
また、タンクケース201の側部には、サブタンク42の液体収容部202を大気に開放する開閉可能な大気開放手段である大気開放機構207が設けられている。
この大気開放機構207は、サブタンク42内に通じる大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態になるように付勢するスプリング207cなどを備えている。
そして、装置本体側の開閉手段である大気開放ソレノイド16を駆動し、開閉部材17を移動させてピン部材17aによって弁体207bを押すことで、大気開放機構207が開かれ、サブタンク42の液体収容部202が大気開放状態(大気に通じた状態)になる。また、大気開放ソレノイド16を非駆動にしたときには、スプリング207cの付勢力によって弁体207bが押されて閉弁し、大気開放機構207は閉じた状態になる。
また、サブタンク42の液体収容部202の液面を検出するための電極ピン208(208aと208b)が取り付けられている。
液体は電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所まで液面が到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化することから、液面高さが所定高さ以下になったこと、液体収容部202内の空気量が所定量以上になったことなどを検出することができる。
次に、本発明の第1実施形態における液体の供給排出系に対する制御を行う部分について図6を参照して説明する。図6は同説明に供する説明図である。
制御部500は、大気開放ソレノイド16を駆動する大気開放駆動部551と、送液ポンプ54を駆動する送液手段駆動部552とを有している。
そして、制御部500の撹拌制御手段560は、サブタンク42に対する撹拌を行うとき、大気開放機構207を閉じた状態(大気開放ソレノイド16を非駆動状態にしたまま)で、送液手段駆動部552によって送液ポンプ54を逆転駆動して、サブタンク42の液体を液体経路56側に逆送する。
その後、撹拌制御手段560は、大気開放駆動部551を駆動して大気開放ソレノイド16を駆動し、大気開放機構207を開弁状態にする。
これにより、サブタンク42の液体収容部202内は大気に開放されて、液体収容部202内に空気が流入し、負圧形成バネ204の復元力によって可撓性部材203が外方に押され、液体収容部202の容積が拡大し、液面が低下する。
その後、撹拌制御手段560は、大気開放駆動部551を駆動制御して大気開放機構207を閉じる。そして、撹拌制御手段560は、大気開放機構207を閉じた状態で、送液ポンプ54を逆転駆動してサブタンク42内の液体を逆送した後、送液ポンプ54を正転駆動して液体経路56側からサブタンク42に送液する。
この逆送と送液を少なくとも1回以上行うことで、サブタンク42内の液体収容部202に収容されている液体の撹拌を行う。
次に、液体を吐出する装置の制御部の概要について図7を参照して説明する。図7は同制御部の概要の説明に供するブロック説明図である。
この制御部500は、撹拌制御手段560を兼ね、装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501が実行する本発明に係るプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
また、制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
また、制御部500は、ヘッド41を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508を備えている。
また、制御部500は、キャリッジ3を移動走査する主走査モー65、搬送ローラ21を駆動する搬送モータ26、維持回復機構30のキャップ31や払拭手段33の移動、吸引ポンプ34の駆動などを行なう維持回復モータ526を駆動するためのモータ駆動部510を備えている。
また、制御部500は、大気開放機構207を開く大気開放ソレノイド16を駆動する大気開放駆動部551、送液ポンプ54を駆動する送液手段駆動部552を含む供給系駆動部512を備えている。
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
また、制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置などのホスト側から所要のデータをケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッド41に転送する。
印刷制御部508は、画像データ及び所要の駆動パルスを生成してヘッド41に対して出力する。ヘッド41に与える駆動パルスを選択することで、例えば、大滴、中滴、小滴などサイズの異なる液体を吐出でき、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部513は、本体側センサ15、その他装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、この装置の制御に必要な情報を抽出し、各種の制御に使用する。
次に、サブタンク42の負圧管理(液体量管理)について図8を参照して説明する。図8はサブタンク内からの液体排出量(排液量)とサブタンク内圧力の関係の一例を示す説明図である。
サブタンク42は、ヘッド41のノズルから液体が漏液しないようにするために負圧状態を保つ必要がある。サブタンク42は、内部に液体が収容された状態から液体を吐出や吸引によって排出することで、負圧形成バネ204の復元力で可撓性部材203が外方に付勢されているために、サブタンク42内に負圧が発生する。
また、可逆型送液ポンプ54によってサブタンク42内の液体を逆送することで、可撓性部材203が液体収容部202の容積を縮小する方向に引き込まれ、負圧形成バネ204が圧縮されて負圧が高まる。
この状態からサブタンク42内へ液体を供給すると、可撓性部材203がサブタンク42の外方向に押し出され、負圧形成バネ204が伸びることで負圧が弱まる。
これらを繰り返すことでサブタンク42内の負圧を一定内に保つように制御することができる。
サブタンク42内の液体量の管理は、サブタンク42内の負圧管理も兼ねている。すなわち、図8に示すように、サブタンク42内の負圧はサブタンク42からの排液量と相関関係にある。サブタンク42からの排液量が少ない(液体残量が多い)ときにはサブタンク42内の負圧は低くなる。一方、サブタンク42からの排液量が多い(液体残量が少ない)ときにはサブタンク42内の負圧は高くなる。
そこで、サブタンク42内からの排液量を、サブタンク42内の負圧が所定の負圧管理範囲A内に収まる排液量Bの範囲内になるように、サブタンク42に対する液体供給(送液)を制御する。
次に、サブタンク内の負圧管理範囲を検知する方法の一例について図9を参照して説明する。図9は同説明に供するフィラ検知の説明図である。なお、図9ではサブタンクが2つの液体収容部などを有する構成で示している。
サブタンク42は、液体収容部202内の液体量が変化して可撓性部材203が変位するとき、変位部材205が変位する。したがって、変位部材205の位置(フィラ位置という。)を検知することで、可撓性部材203の状態が把握でき、サブタンク内負圧管理の範囲を正確に把握することができる。
ここで、変位部材205の位置を検知する方法としては、図9に示すように、リニアエンコーダ14によって検知されるキャリッジ3の位置(キャリッジ位置)を使用する。つまり、本体側センサ15が変位部材205を検知したときのキャリッジ位置をフィラ位置とする。
そこで、サブタンク42内の液体充填上限位置で変位部材205を検知したときのキャリッジ位置と、液体消費下限位置で変位部材205を検知したときのキャリッジ位置を記憶しておき、変位部材205の位置を検知しながら、送液ポンプ54にて送液、逆送の液体量を調整することで、サブタンク42内の負圧状態を管理、制御することができる。
次に、サブタンク内の液体量を充填満タン状態に設定する方法について図10を参照して説明する。図10は同方法の説明に供する模式的側面説明図である。
まず、図10(a)に示すように、大気開放機構207が閉じている状態から、図10(b)に示すように、大気開放機構207を開状態にすることで、サブタンク42内の負圧が開放され、サブタンク42の液体300の液面300aが下がる。
そして、負圧が開放され液面300aが下がった後、液体を送液する。液体を供給することによって、図10(c)に示すように、液面300aが上昇し、電極ピン208が液面300aを検知したときに、送液を停止する。その後、再び、大気開放機構207を閉状態にし、液体を所定量吸引排出することで所定の負圧値となり、サブタンク42内の負圧を考慮した充填満タン状態に設定することができる。
次に、この液体を吐出する装置におけるサブタンクの撹拌動作について説明する。まず、第1撹拌動作について図11を参照して説明する。図11は同第1撹拌動作の説明に供する模式的側面説明図である。
サブタンク42内の液体、液体経路56内の液体は、経時的に液体内の成分が沈降、分離してしまうことがある。液体成分が分離してしまった液体は、ヘッド41に供給して吐出しても、液体の有する機能を十分に発揮することができないおそれがある。そこで、サブタンク42への送液が行われない期間が継続したときなどには、サブタンク42内の液体を撹拌する必要が生じる。
第1撹拌動作では、サブタンク42の液体収容部202を大気開放することなく、逆送と送液を行う。ただし、第1撹拌動作を行うときには、サブタンク42内の液体量を上限にしておくのが好ましいので、逆送を行う前に、サブタンク42内を一度大気開放してから電極ピン208による検知にて満タンにすることもできる。これにより、サブタンク42内の負圧を考慮した最大量の液体を送液ポンプ54にて逆送、送液可能となる。
まず、図11(a)に示すように、サブタンク42の大気開放機構207を閉じた状態で、送液ポンプ54を逆転して、サブタンク42内の液体300を逆送する。このときの逆送量は、サブタンク42の負圧下限値までとする。これにより、サブタンク42内の供給口部209の供給口209a付近の液体が液体経路56内に吸引される。
その後、図11(b)に示すように、送液ポンプ54を正転して、液体経路56内に引逆送された液体300をサブタンク42に送液する。
このとき、サブタンク42内に送液された液体300によって、サブタンク42の供給口209aから矢印で示すような送液流が発生して、供給口209a付近の液体300が撹拌される。
ここで、送液ポンプ54によってサブタンク42から逆送できる液体量は、負圧下限値(液体消費下限値)に達するまでの量(負圧下限値未満になるとノズルから気泡を吸い込むおそれがある。)である。この逆送できる液体量が、再度、送液ポンプ54でサブタンク42に送液できる送液量となる。
このとき、逆送、送液できる液体量はサブタンク42内の液体量に対して比率的に小さく、影響性も小さいため、送液によってサブタンク42内全体の液体300を送液流により撹拌することは限界がある。
つまり、第1撹拌動作による撹拌では、図11(a)に示す供給口209a付近の領域部分(C)の液体300が吸引逆送され、図11(b)に示すように、送液によって供給口209a付近の領域部分(C)の液体300が撹拌される。しかしながら、液体収容部202の上部領域(D)や底部領域(E)の撹拌が不十分になる。
次に、白インクなどの沈降成分が含まれる液体を収容するサブタンクの液体を第1撹拌動作で撹拌することの限界について図12及び図13を参照して説明する。図12は同液体成分の分離について説明する模式的側面説明図、図13は同液体成分が分離した状態で第1撹拌動作を行ったときの撹拌状態の説明に供する模式的側面説明図である。
白インクなどの沈降成分が含まれる液体301は、図12(a)に示すように沈降を生じていない正常な液状態から経時的に沈降が進行すると、図12(b)に示すように、液体301が比重の軽い成分の上澄み液301Aと、比重の重い成分の沈降液301Bに分離する。
このように、経時的に或いは環境変化などによって、液体成分が分離して、特性の異なる成分の複数の液体(上澄み液301A,沈降液301B)に分離すると、吐出される液体の特性が変化することになり、吐出特性や印刷品質に影響を与えることになる。
そこで、沈降成分が含まれる液体を収容するサブタンク42内を撹拌するとき、図13(a)に示すように上澄み液301Aと沈降液301Bに分離し、上澄み液301Aが供給口209aより上側にある状態とする。
この状態で第1撹拌動作を行った場合、図13(b)に示すように、供給口209aより上側にある上澄み液301Aは、供給口209aからほとんど吸引逆送することができない。
また、逆送後に吸引した液体を送液しても、図13(c)に示すように、供給口209aより下側に送液流を発生させることができるが、供給口209aより上側にある上澄み液301Aまで撹拌することができない、
したがって、第1撹拌動作は、液体成分の沈降、分離の程度が比較的少ない場合に撹拌効果を発揮できるが、液体成分の沈降、分離の程度が進行したときには、第1撹拌動作では十分な撹拌を行うことが困難である。
次に、本発明における第2撹拌動作について図14を参照して説明する。図14は同第2撹拌動作の説明に供する模式的側面説明図である。
まず、図14(a)に示すように、大気開放機構207を閉じた状態で送液ポンプ54を逆転駆動してサブタンク42内の液体300を逆送する。このとき、液体経路56内に吸引される液体は、供給口209aの近傍にある液体300であり、供給口部209から離れた部分の液体300は吸引できていない。
その後、図14(b)に示すように、大気開放機構207を開放(開弁)して、液体収容部202を大気に開放する。大気開放機構207が開放されることで、液体収容部202内に大気が導入され、液体収容部202内の圧力は大気圧となる。これにより、可撓性部材203が負圧形成バネ204の復元力によって外方に変位し、液体収容部202の容積が拡大し、液体収容部202内の液面300aが低下する。
このとき、サブタンク42内の圧力は、図8における0kPaを示す大気圧であり、この状態から図14(c)に示すように、更に送液ポンプ54にて負圧下限値になるまで液体300を吸引して逆送することができる。
このように、液体収容部202を大気開放する動作を行った後、大気開放機構207を閉じた(閉弁した)状態で、図14(c)に示すようにサブタンク42内の液体300を逆送し、次いで、図14(d)に示すようにサブタンク42内に液体300を送液する。
ここで、サブタンク42から逆送するときの液体収容部202内の液体量は、上述したように大気開放前に吸引逆送を行っているので、前記第1撹拌動作を実施するときの図11(a)に示す状態に比べて少量である。したがって、逆送後送液を行ったとき、図14(d)に示すように、送液による送液流もサブタンク42内で広範囲に広がり、液体収容部202全体の液体300を撹拌することができるようになる。
なお、図14(c)と図14(d)の逆送と送液を複数回繰り返すことで、より確実にサブタンク42内の液体300を撹拌することができる。
この第2撹拌動作は、液体成分の沈降、分離の程度が進行したとき、例えば、装置の非稼働時間が長かった場合、具体的には送液ポンプの停止時間が所定時間以上であるとき、あるいは、第1撹拌動作を複数回実施したときなどに実施することが好ましい。また、この場合、第1撹拌動作と第2撹拌動作を複数回組み合わせて実施することもできる。なお、第2撹拌動作だけを行う構成でもよい。
また、第2撹拌動作を実施した後、或いは、装置の非稼働時間が第2撹拌動作を実施する閾値となる第1所定時間よりも更に長い第2所定時間以上であるときには、第2撹拌動作を行った後、キャップ31でキャッピングしてヘッド41のノズルから液体を吸引、排出する動作を行うこともできる。
これにより、第2撹拌動作でも撹拌できないヘッド41内の液体を排出し、ヘッド41内には撹拌して液体成分が沈降、分離していない液体を充填して、吐出することができる。
次に、本発明に係るプログラムによって実行される第1撹拌制御及び第2撹拌制御について図17を参照して説明する。図15は撹拌制御の選択処理の説明に供するフロー図、図16は第1撹拌制御の説明に供するフロー図、図17は第2撹拌制御の説明に供するフロー図である。
図15を参照して、撹拌制御選択処理を開始すると、送液ポンプ54の停止時間が所定時間以上であるか否かを判別する。
そして、送液ポンプ54の停止時間が所定時間未満であるときには図16の第1撹拌制御によって第1撹拌動作を行い、送液ポンプ54の停止時間が所定時間以上であるときには図17の第2撹拌制御によって第2撹拌動作を行う。
図16を参照して、第1撹拌制御では、送液ポンプ54を逆転してサブタンク42からの吸引逆送を開始する。このとき、供給口209a付近の液体が逆送される。
そして、サブタンク42の負圧管理範囲内で所定量の液体を吸引逆送した後に送液ポンプ54を停止する。
次いで、送液ポンプ54を正転駆動して、逆送された液体をサブタンク42に送液する。このとき、少なくとも液体経路56内の液体が送液される。
そして、サブタンク42の負圧管理範囲内で所定量の液体を送液した後に送液ポンプ54を停止する。
その後、所定回数、逆送と送液を繰り返したか否かを判別し、所定回数の逆送と送液を繰り返した後、第1撹拌動作の制御を終了する。
図17を参照して、第2撹拌制御では、送液ポンプ54を逆転駆動してサブタンク42からの吸引逆送を開始する。
そして、サブタンク42の負圧管理範囲内で所定量の液体を吸引逆送した後に送液ポンプ54を停止する。
次いで、大気開放機構207を開状態にして液体収容部202内を大気開放する。これにより、液体収容部202は大気状態になって可撓性部材203が外方に変位して、液体収容部202の容積が拡大し、液面が低下する。
その後、大気開放機構207を閉状態にする。
次いで、送液ポンプ54を逆転駆動してサブタンク42からの吸引逆送を開始する。
そして、サブタンク42の負圧管理範囲内で所定量の液体を吸引逆送した後に送液ポンプ54を停止する。
次いで、送液ポンプ54を正転駆動してサブタンク42に液体を送液する。このとき、少なくとも液体経路56内の液体が送液される。
そして、サブタンク42の負圧管理範囲内で所定量の液体を送液した後に送液ポンプ54を停止する。
その後、所定回数、逆送と送液を繰り返したか否かを判別し、所定回数の逆送と送液を繰り返した後、撹拌動作を終了する。
このように逆送後大気開放し、大気開放を閉じた後、逆送と送液を行うことで、前述したように、サブタンク42の液体収容部202全体の液体を撹拌することができるようになる。
次に、本発明の第2実施形態について図18を参照して説明する。図18は同実施形態におけるサブタンクの模式的側面説明図である。
サブタンク42は、可撓性部材203に、液体収容部202内の液体300を撹拌する撹拌部材231が設けられている。撹拌部材231は、可撓性部材203に設けた補強部材211に固定する支柱部231bに固定された撹拌板231aで構成している。
これにより、前述した撹拌動作でサブタンク42に対する逆送と送液を繰り返すとき、図18(a)に示すように、可撓性部材203が外方向へ変位するときには、撹拌部材231も共に変位することで、撹拌部材231により撹拌流が発生する。
また、図18(b)に示すように、可撓性部材203が内方向へ変位するときには、図18(a)とは異なる流れ方向の撹拌流が発生する。
これらの可撓性部材203の変位に伴って撹拌部材231が図18(a)と図18(b)に示す変位を繰り返すことで、サブタンク42内の液体を全体的に撹拌することができる。
なお、撹拌部材は、変位するときに液体の抵抗を受けて変形する可撓性の材質、例えばEPDMなどのゴム、PEなどのマイラーで形成することもできる。これにより、撹拌部材231が変位するときに複雑な形状変化することにより、多様な撹拌流を発生することができ、サブタンク42内の液体を撹拌する撹拌効率が高くなる。
また、撹拌部材231による撹拌は、第1撹拌動作よりも第2撹拌動作の方が、サブタンク42内の液体量が少ないため、撹拌効率が高くなる。
次に、本発明の第3実施形態について図19を参照して説明する。図19は同実施形態におけるサブタンクの模式的側面説明図である。
サブタンク42は、可撓性部材203に設けた補強部材211に、液体収容部202内の液体を撹拌する撹拌部材232が設けられている。撹拌部材232は、筒状部材であり、変位方向に沿った中心部の流入口となる穴部(中心穴部)232aと、中心穴部232aに連通し、補強部材211側で、変位方向と直交する方向に設けられた流出口となる穴部(側面穴部)232bとを有している。
このように構成したので、図19(a)に示すようにサブタンク42内の負圧が弱状態で負圧形成バネ204が伸長状態となっている状態から、図19(b)に示すように可撓性部材203が内方向に変位するとき、撹拌部材232も変位する。
このとき、撹拌部材232の中心穴部232aに流入した液体は、側面方向に開口する側面穴部232bから流出し、サブタンク42内の液体が移動、流れを発生することで、撹拌流ができ、サブタンク42内の液体が撹拌される。
次に、本発明の第3実施形態における撹拌部材の一例について図20を参照して説明する。図20は同撹拌部材の側面説明図である。
この撹拌部材232においては、流出口となる側面穴部232bの断面積D2は、流入口となる中心穴部232aの断面積D1に比べて小さく(D2<D1)している。断面積D1の流体抵抗が小さい中心穴部232aに流入する液体流速よりも、断面積D2の流体抵抗が大きい側面穴部232bから流出する液体流速の方が速くなる。
これにより、可撓性部材203が変位して撹拌部材232が変位するときには、側面穴部232bから流速の速い撹拌流が発生し、サブタンク42内の液体を効率的に撹拌することができる。
ここで、側面穴部232bは複数設けることもできる。例えば、撹拌部材232の中心穴部232aに対し、放射状方向に撹拌流が発生するように、複数の側面穴部232bを設ける構成とすることができる。
また、例えば第2撹拌動作を実施するときには、撹拌部材232の上側の液体量が少ない、又は、無くなることがあるので、側面穴部は上部側以外の横方向(水平方向)や下方向に開口する構成とすることもできる。
次に、本発明の第4実施形態について図21を参照して説明する。図21は同実施形態におけるサブタンクの撹拌動作の説明に供する模式的側面説明図である。
本実施形態では、液体経路56内に空気を吸引し、吸引した空気を液中に排出することで、サブタンク42内の液体中に気泡302を発生させ、気泡302の液中の移動にてサブタンク42内の液体を撹拌する。
つまり、前述した第2撹拌動作と同様に、まず、図21(a)に示すように送液ポンプ54にてサブタンク42内の液体を吸引逆送させて、サブタンク42内の液体を減少させる。
その後、図21(b)に示すように、大気開放機構207を開状態にし、サブタンク42内に空気を流入させてサブタンク42の液体収容部202内を大気圧にする。これにより、可撓性部材203が伸長方向に変位し、液体収容部202の内容積が拡大して液面300aが低下する。
このとき、図21(b)に示すように、サブタンク42内の液面300aが供給口209aより低い位置になるようにすることで、送液ポンプ54を逆転駆動したときに大気開放機構207から液体収容部202に導入された空気が液体経路56内に吸引される。
その後、図21(c)に示すように、大気開放機構207を閉じ、ヘッド41をキャップ31にてキャッピングし、吸引ポンプ34でヘッド41内及びサブタンク42内の液体を吸引する。これにより、可撓性部材203が内方向に変位し、液体収容部202の内容積が減少することで、液面300aが上昇し、供給口209aよりも液面300aが上側になる。
その後、図21(d)に示すように、大気開放機構207を開き、送液ポンプ54にて液体経路56内に混入した空気を液体収容部202内の液中に排出させる(送空気)。
これにより、液体収容部202内の液中で気泡302が発生し、気泡302が液中を移動することで液体300が撹拌される。
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。