JP7037987B2 - ヒドロキシアルカン酸エステル及びそれを含む樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、樹脂の結晶化促進剤として有用な3-ヒドロキシ酪酸セチルエステルなどの3-ヒドロキシアルカン酸アルキルエステルとその製造方法、及び少なくとも結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂(ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)などの生分解性樹脂)に前記結晶化促進剤を添加した樹脂組成物、並びに樹脂の結晶化を促進する方法に関する。
環境保全や持続可能な社会の構築などの観点から、プラスチック原料の一部又は全部に、微生物と酵素の働きによって、最終的に水と二酸化炭素又はメタンなどのバイオガスとにまで分解される生分解性プラスチック(生分解性樹脂)を利用することが検討されている。生分解性樹脂としては、ポリ乳酸(PLA)などのポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)などが知られている。生分解性樹脂の中でも、カーボンニュートラルの観点から、PLAやPHAに代表されるバイオマス由来の原料のみから製造されるバイオベースプラスチックが注目され、検討されている。
しかし、生分解性樹脂の多くは、結晶化速度が遅く、引張伸度などの力学特性が低いという課題がある。そのため、特開2000-17163号公報(特許文献1)には、成形加工性を改善するため、L-乳酸単位を主たる単位とする非晶性ポリマー(A)と、D-乳酸単位を主たる単位とする非晶性ポリマー(B)とを溶融ブレンドし、高結晶性のポリ乳酸ステレオコンプレックスポリマー組成物を得ることが記載されている。しかし、特許文献1の方法では、L-乳酸単位を主たる単位とする非晶性ポリマー(A)と、D-乳酸単位を主たる単位とする非晶性ポリマー(B)とを別々に合成した上で混練する必要があるため、製造工程が複雑である。
一方、生分解性樹脂の多くが、好気性条件でしか有効に分解されないのに対し、PHAの中でも、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)は、湖沼の底泥などのような嫌気性条件下でも、速やかに分解されるという特徴がある。しかし、PHBは結晶化速度が遅く、成形後も経時的に結晶化が進み、硬くて脆い高結晶体となる性質があるため、実用化には至っていない。
そのため、PHA(特に、PHB)に結晶化促進剤を添加し、結晶化速度及び結晶性を改善する方法も検討されている。例えば、特開2017-101256号公報(特許文献2)には、PHAにペンタエリスリトールを核剤として添加し、結晶化速度を改善して成形加工速度を向上させるとともに、結晶を微小化して成形品の機械物性の経時変化を抑制することが記載されている。しかし、特許文献2では、石油由来のペンタエリスリトールを添加するため、100%バイオマス由来の生分解性樹脂を得ることはできない。
特開2015-29484号公報(特許文献3)には、アルコールの存在下、所定の微生物を培養し、重量平均分子量が5000~40000と低く、カルボキシル基末端がC1-6アルキルエステルとして修飾されたポリヒドロキシアルカン酸を、PHAの結晶核剤として使用することが記載されている。この文献には、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸-co-3-ヒドロキシヘキサン酸)(PHBH)100重量部に対して、低分子量(数平均分子量9000、重量平均分子量20000)であり、かつカルボキシル基末端がエチルエステル化されたポリ(3-ヒドロキシ酪酸)(sPHB)1重量部を溶融混合した組成物において、結晶化速度が向上したことが記載されている。しかし、前記結晶核剤は高分子(ポリマー)であり、前記結晶核剤を得るには、特定の発現ベクターを形質転換して、sPHB生産株を作製し、アルコール添加培地にて前記sPHB生産株を培養する必要がある。そのため、製造工程が煩雑であり、結晶核剤の調製に長時間を要する。
さらに、PHAの結晶化促進剤としては、窒化ホウ素、酸化チタン、タルク、層状ケイ酸塩、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、金属リン酸塩などが知られているが、これらの結晶化促進剤を添加して得られた樹脂組成物は、引張伸びの低下が生じ、結晶性と靭性とを両立できない。また、樹脂組成物に含まれる非バイオマス由来成分が増加する。
特開2000-17163号公報(特許請求の範囲、[0016]) 特開2017-101256号公報(特許請求の範囲、[0017]、実施例) 特開2015-29484号公報(特許請求の範囲、[0019]、実施例、表3)
従って、本発明の目的は、樹脂の結晶化促進剤(又は、結晶核剤)として有用である新規エステル化合物、及びこの化合物を含む樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、バイオマス由来の結晶化促進剤、及びこの結晶化促進剤を含む樹脂組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、樹脂の結晶化促進と機械物性(靭性)の維持とを両立できる結晶化促進剤、及びこの結晶化促進剤を含む樹脂組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、簡便な方法で、効率良く調製可能な結晶化促進剤、及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、嫌気性条件下で生分解性の高い樹脂組成物、及びその成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を構成する3-ヒドロキシアルカン酸と、アルキルアルコール(特に、天然由来の高級アルコール)とから得られるエステル化合物(3-ヒドロキシアルカン酸アルキルエステル)が、樹脂(特に、生分解性プラスチック及び/又はバイオベースプラスチック)の靭性を維持しつつ、結晶化を促進する結晶化促進剤として有用であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の化合物は、下記式(1)で表される。
Figure 0007037987000001
(式中、Rはアルキル基、RはC8-22アルキル基を表す。)
式(1)において、RはC1-4アルキル基であってもよく、RはC12-20アルキル基、好ましくはC14-18アルキル基であってもよい。また、前記式(1)で表される化合物(以下、単に化合物(1)と称する場合がある)は、R体であってもよい。本発明は、化合物(1)の製造方法も包含する。化合物(1)は、3-ヒドロキシアルカン酸(3-HA)又はその反応性誘導体とアルキルアルコール又はその反応性誘導体とを反応させて製造してもよく、アルキルアルコールは炭素数8以上のアルキルアルコールであってもよい。また、本発明は、樹脂の結晶化を促進するための結晶化促進剤(又は、結晶核剤)であって、化合物(1)を含む結晶化促進剤も包含する。本発明は、少なくとも結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂と、前記結晶化促進剤とを含む樹脂組成物も包含する。前記熱可塑性樹脂は、生分解性樹脂を含んでいてもよく、好ましくはバイオマス由来の生分解性樹脂、さらに好ましくはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、特に好ましくは3-ヒドロキシブタン酸(3-ヒドロキシ酪酸、3-HB)の単独又は共重合体を含んでいてもよい。前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対して前記結晶化促進剤を0.1~20質量部の割合で含んでいてもよい。本発明は、前記樹脂組成物から形成された成形体も包含する。また、本発明は、少なくとも結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂に前記結晶化促進剤を添加して、熱可塑性樹脂の結晶化を促進する方法も包含する。
本発明の化合物(1)は、熱可塑性樹脂への添加に伴って、樹脂の結晶化を促進するため、結晶化促進剤(又は結晶核剤)として有用である。また、前記式(1)においてRが高級(又は長鎖)アルキル基の場合、バイオマス(天然)由来の結晶化促進剤が得られる。また、本発明では、結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂に、結晶化促進剤を添加することにより、樹脂の結晶化促進と機械物性(靭性)の維持とを両立できる。さらに、3-ヒドロキシブタン酸の単独又は共重合体などの熱可塑性樹脂に、本発明の結晶化促進剤を添加すると、嫌気性条件下においても生分解性の高い生分解性樹脂組成物を調製できる。また、本発明の結晶化促進剤は、エステル化という簡便な方法で、効率良く調製できる。
図1は、合成例で得られた化合物のH NMRスペクトルである。
[3-ヒドロキシアルカン酸アルキルエステル(化合物(1))及び結晶化促進剤]
本発明の3-ヒドロキシアルカン酸アルキルエステル(化合物(1))は、樹脂の結晶化(又は結晶性)を促進(又は向上)する結晶化促進剤(結晶性向上剤、結晶核剤)として有用な化合物である。
前記式(1)において、Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基(イソプロピル基)、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1-4アルキル基が挙げられる。これらのアルキル基は、好ましくは直鎖状C1-4アルキル基、さらに好ましくはC1-2アルキル基、特にメチル基であってよい。Rがメチル基などの低級(短鎖)アルキル基であると、化合物(1)は生分解性に優れ、嫌気性条件下においても高い生分解性を有する。
で表されるアルキル基としては、前記C1-4アルキル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基などの低級(短鎖)アルキル基でもよいが、通常、炭素数8~22の高級(又は長鎖)アルキル基が好ましく、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基(ドデシル基)、トリデシル基、ミリスチル基(テトラデシル基)、ペンタデシル基、セチル基(ヘキサデシル基)、ヘプタデシル基、ステアリル基(オクタデシル基)、ノナデシル基、エイコシル基(アラキル基)、ドコシル基などの直鎖状又は分岐鎖状C8-22アルキル基が挙げられる。これらのアルキル基は、好ましくは、C10-20アルキル基(例えば、C12-20アルキル基)、さらに好ましくは直鎖状C14-18アルキル基(例えば、n-ミリスチル基、n-セチル基、n-ステアリル基)、特に好ましくは直鎖状C16-18アルキル基(例えば、n-セチル基)であってもよい。さらに、環境保全の観点から、高級(長鎖)アルキル基(例えば、セチル基などの、対応するアルコールが天然由来であるアルキル基)であることが好ましい。
とRとの組み合わせは、特に制限されず、例えば、C1-4アルキル基とC8-22アルキル基との組み合わせ、好ましくは直鎖状C1-4アルキル基とC10-20アルキル基(例えば、直鎖状C12-20アルキル基)との組み合わせ、さらに好ましくはC1-2アルキル基(例えば、メチル基)と直鎖状C14-18アルキル基(例えば、n-セチル基などのC16-18アルキル基)との組み合わせであってもよい。
化合物(1)は、光学異性体(R体、S体)、ラセミ体のいずれであってもよく、通常、R体であることが好ましい。
(化合物(1)の製造方法)
本発明の化合物(1)は、3-ヒドロキシアルカン酸(3-HA)又はその反応性誘導体とアルキルアルコール(例えば、天然由来の高級アルコール)又はその反応性誘導体とを反応させ、エステル化することにより調製できる。
(原料)
3-ヒドロキシアルカン酸(3-HA)としては、例えば、3-ヒドロキシブタン酸(3-ヒドロキシ酪酸、3-HB)、3-ヒドロキシペンタン酸(3-ヒドロキシ吉草酸)、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタン酸(3-ヒドロキシイソ吉草酸)、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシへプタン酸などの3-ヒドロキシC4-7アルカン酸などが挙げられる。特に、嫌気性条件下における生分解性を有する点から、3-ヒドロキシブタン酸であることが好ましい。
3-HAの反応性誘導体としては、例えば、3-ヒドロキシアルカン酸ハライド(例えば、3-ヒドロキシアルカン酸クロライド)などが挙げられる。3-ヒドロキシアルカン酸ハライドは、3-HAとハロゲン化剤(例えば、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リンなど)などとを反応させることにより調製できる。なお、強酸性条件下にて加熱すると、3-HAが脱水して不活性化する虞があるため、低温で反応させることが好ましい。
3-ヒドロキシアルカン酸又はその反応性誘導体は、光学異性体(R体、S体)、ラセミ体のいずれであってもよく、通常、R体であることが好ましい。
アルキルアルコールは特に制限されず、メタノール、エタノールなどの低級アルコール(C1-7アルコール)であってもよいが、通常、天然由来の高級アルコール(例えば、炭素数8~22のアルキルアルコール)であることが好ましく、例えば、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール(ドデシルアルコール)、ミリスチルアルコール(テトラデシルアルコール)、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール(オクタデシルアルコール)、アラキルアルコールなどの直鎖状又は分岐鎖状C8-22アルコールが挙げられる。アルキルアルコールは、好ましくは前記Rのアルキル基に対応して、C10-20アルコール(例えば、C12-20アルコール)、さらに好ましくは直鎖状C14-18アルコール(例えば、n-ミリスチルアルコール、n-セチルアルコール、n-ステアリルアルコール)、特に直鎖状C16-18アルコール(例えば、n-セチルアルコール(セタノール))であってもよい。
上述の高級アルコールの融点は、100℃未満であってもよく、例えば、-55~90℃、好ましくは-20~80℃、さらに好ましくは20~60℃、特に40~55℃であってもよい。
アルキルアルコールの反応性誘導体としては、アルキルアルコールに脱離基が導入され、反応性(脱離能)が向上した反応性中間体であってもよい。脱離基は、容易に脱離可能な弱塩基性の脱離基であればよく、例えば、スルホニル基、ヒドロキシル基を置換するハロゲン原子などが挙げられ、立体化学を保持できる観点から、通常、スルホニル基が使用される。スルホニル基としては、トシル基(p-トルエンスルホニル基、Ts基)などのアリールスルホニル基、ブロシル基(p-ブロモベンゼンスルホニル基、Bs基)などのハロゲン原子が置換しているアリールスルホニル基、メシル基(メタンスルホニル基、Ms基)などのアルキルスルホニル基、トリフィル基(トリフルオロメタンスルホニル基、Tf基)などのハロゲン原子が置換しているアルキルスルホニル基などが挙げられ、通常、トシル基などのアリールスルホニル基が使用される。以下、脱離基としてスルホニル基を導入したアルキルアルコールの反応性誘導体(スルホン酸アルキルエステル)の調製方法について詳述する。
スルホン酸アルキルエステルは、アルキルアルコールとスルホン酸ハライド(例えば、p-トルエンスルホニルクロライドなどのスルホン酸クロライド)とを反応させ、アルキルアルコールをスルホニルエステル化することにより調製できる。アルキルアルコールとスルホン酸ハライドの割合は、アルキルアルコール1モルに対して、スルホン酸ハライド0.5~5モルの範囲から選択でき、例えば、0.7~3モル(例えば、0.7~2.5モル)、好ましくは0.8~2モル(例えば、1.0~1.4モル)、さらに好ましくは0.9~1.5モル(例えば、1.1~1.3モル)程度であってもよい。
アルキルアルコールの反応性誘導体の調製は、必要により、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、スルホン類(スルホラン(テトラメチレンスルホン)などの環状スルホン類)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、ニトロベンゼン類などの非プロトン性溶媒(特に、非プロトン性極性溶媒)が挙げられる。これらの溶媒は単独で、又は二種類以上組み合わせて使用してもよく、通常、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン)などが単独で使用される。
アルキルアルコールの反応性誘導体の調製は、触媒の存在下又は非存在下で行ってもよい。触媒としては、酸触媒[無機酸(硫酸、塩酸、リン酸など)、固体酸触媒(カチオン交換樹脂触媒、固体リン酸触媒など)]であってもよく、通常、塩基性触媒が使用される。塩基性触媒としては、例えば、第三級アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアニリンなど)、複素環アミン類(ピリジン、ピリミジンなど)、固体塩基触媒(アニオン交換樹脂触媒など)、金属触媒[アルカリ金属(ナトリウムなど)又はアルカリ土類金属(マグネシウムなど)などの炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなど)、水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)など]が挙げられる。これらの触媒は単独で、又は二種類以上組み合わせて使用してもよい。触媒として、通常、複素環アミン類(例えば、ピリジン)が使用できる。
反応温度は、例えば、10~50℃、好ましくは15~30℃、さらに好ましくは18~28℃程度であってよく、通常、室温(20~25℃)程度であってもよい。反応時間は特に制限されず、例えば、0.5~48時間程度の範囲で行ってもよく、好ましくは1~36時間、より好ましくは2~26時間程度であってもよい。
反応は、空気中又は不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの希ガスなど)中で行ってもよく、不活性ガス雰囲気中で行われることが好ましく、通常、窒素雰囲気下で行われる。また、反応は、常圧下、加圧下又は減圧下で行ってもよく、通常、常圧下で行われる。
反応終了後、反応生成物は、洗浄、抽出、濃縮、ろ過、再沈殿、遠心分離、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの慣用の分離精製手段や、これらを組み合わせた方法により、分離精製してもよい。
(エステル化反応)
化合物(1)は、慣用の方法で3-ヒドロキシアルカン酸又はその反応性誘導体とアルキルアルコール又はその反応性誘導体とを反応させ、エステル化することにより調製できる。前記エステル化反応は、化学反応であっても、酵素反応であってもよい。
例えば、3-HAとアルキルアルコールとを酸触媒(例えば、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸)存在下、加熱して、化学反応により直接エステル化してもよく、常温にて酵素反応により直接エステル化してもよい。また、微生物の発酵により得られる3-HAは、通常、複雑な精製工程を経て単離されるが、本発明の化合物(1)を製造するに当たっては、3-HAの純度を高度に高めてから使用する必要はなく、発酵生産に由来する不純物(例えば有機酸や糖類、無機塩)を含んでいてもよい。なお、化学反応において、強酸性条件下で加熱すると、3-HAが脱水して不活性化する虞があるため、低温で反応させる方が有利である。そのため、3-HAとアルキルアルコールとは、酵素反応により直接エステル化することが好ましい。また、化合物(1)は、3-HAの反応性誘導体(例えば、3-HAクロライド)とアルキルアルコールとを反応させて調製してもよい。なお、この反応では強酸が副生するため、3-HAの反応性誘導体は3-HAと同様に不活性化しやすくなる。
化合物(1)は、3-HAとアルキルアルコールの反応性誘導体(スルホン酸アルキルエステル)とを反応させて調製してもよい。この場合、アルキルアルコールの反応性誘導体の反応性が高いため、化学反応であっても温和な条件下でエステル化反応を行うことができる。このようにアルキルアルコールの反応性誘導体を経由し、温和な条件で反応させることにより、3-HAの脱水などの副反応を抑制でき、高収率で効率よく、目的の化合物(1)を調製できる。
3-HAの割合は、アルキルアルコールの反応性誘導体1モルに対して、0.5~5モルの範囲から選択でき、例えば、0.7~4モル(例えば、0.7~3.5モル)、好ましくは0.8~1.5モル(例えば、0.9~1.3モル)程度であってもよく、通常1.8~3モル(例えば、2~2.8モル)程度であってもよい。
アルキルアルコールの反応性誘導体と3-HAとの反応は、必要により、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、上述と同様の溶媒が挙げられ、これらの溶媒は単独又は二種類以上組み合わせて使用してもよい。溶媒としては、通常、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド)などが使用される。また前記反応は、触媒の存在下又は非存在下で行ってもよい。触媒としては、上述と同様の触媒が挙げられ、これらの触媒は単独又は二種類以上組み合わせて使用してもよい。触媒としては、通常、塩基性触媒(例えば、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩)などが使用される。
反応温度は、例えば、15~70℃、好ましくは20~60℃、さらに好ましくは25~50℃程度であってもよい。また、室温又は低温(例えば、20~25℃程度)で反応を開始し、途中で昇温(例えば、30~60℃、好ましくは40~50℃程度)し、反応を行ってもよい。
反応時間は特に制限されず、例えば、0.5~48時間程度、好ましくは1~36時間、より好ましくは2~27時間程度であってもよく、室温又は低温で10~20時間反応させ、昇温後にさらに1~10時間程度反応させてもよい。
反応は、空気中又は不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの希ガスなど)中で行ってもよく、不活性ガス雰囲気中であることが好ましく、通常、窒素雰囲気下で行われる。また、反応は、常圧下、加圧下又は減圧下で行ってもよく、通常、常圧下で行われる。
反応終了後、反応生成物は、上述の慣用の分離精製手段や、これらを組み合わせた方法により、分離精製してもよい。
[結晶化促進剤]
本発明の化合物(1)は、樹脂の結晶化を促進(又は改善)させるための結晶化促進剤(結晶化改善剤、結晶核剤)として使用できる。すなわち、化合物(1)を樹脂に添加又は混合(配合)することにより、樹脂の結晶性を向上させることができる。本発明の化合物(1)は、樹脂の結晶化速度の向上、結晶化温度の低下、結晶化温度におけるエンタルピー増大、微結晶化などに起因して、樹脂の結晶化を促進又は結晶性を改善できる。
本発明の結晶化促進剤は、前記式(1)に表される化合物単独で構成してもよく、化合物(1)と3-HAのオリゴマー(例えば、3-HAの二量体(ダイマー)、三量体(トリマー)など)とを含んでいてもよい。3-HAのオリゴマーは、カルボキシ末端がアルキルエステル化されていてもよい。3-HAのオリゴマーの量的割合は、化合物(1)100質量部に対して、30質量部以下(例えば、20質量部以下)、好ましくは10質量部以下(例えば、5質量部以下)、さらに好ましくは1質量部以下(例えば、0.1質量部以下)であってもよい。通常、結晶化促進剤は、3-HAのオリゴマーを含まず化合物(1)のみから構成されていることが好ましい。
[樹脂組成物]
樹脂組成物は、少なくとも結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂と、化合物(1)を含む結晶化促進剤とを含んでいればよい。
熱可塑性樹脂としては、結晶化の促進(改善)が必要な結晶性樹脂(以下、第1の樹脂ということがある)を少なくとも含んでいればよい。結晶性樹脂としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)など)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)などの石油由来非生分解性樹脂;バイオベースオレフィン系樹脂(バイオベースPE、バイオベースPPなど)、バイオベースポリアミド系樹脂(ポリアミド11など)などのバイオマス由来非生分解性樹脂;脂肪族ポリエステル系樹脂(PBS、PCLなど)などの石油由来生分解性樹脂;バイオベースポリエステル系樹脂[ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸などのポリヒドロキシアルカノエート(PHA)]などのバイオマス由来生分解性樹脂が挙げられる。これらの第1の樹脂(結晶性樹脂)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい第1の樹脂は、廃棄物処理の観点から、バイオマス由来生分解性樹脂、例えば、PHA(PLA、PHB、ポリヒドロキシ吉草酸など);石油由来生分解性樹脂、例えば、PBS、PCLなどである。さらに好ましくは、カーボンニュートラルの観点から、第一の樹脂は、バイオマス由来生分解性樹脂、例えば、PHA(PLA、PHB、ポリヒドロキシ吉草酸などのヒドロキシアルカン酸(3-ヒドロキシアルカン酸)の単独又は共重合体など)であってもよく、特に好ましくは嫌気性条件下においても高い生分解性を有する3-ヒドロキシブタン酸の単独又は共重合体を含む生分解性樹脂(例えば、PHB、PHBHなど)であってもよく、通常、3-HBの単独重合体であるPHB(ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシブタン酸、ポリ(3-ヒドロキシブチレート))であってもよい。
第1の樹脂の分子量は、特に制限されず、重量平均分子量(単位:×10)は、例えば、0.1~100、好ましくは1~80、さらに好ましくは2~70程度;数平均分子量(単位:×10)は、例えば、0.1~100、好ましくは1~80、さらに好ましくは、2~70程度であってもよく、分散度(M/M)は、例えば、1~5、好ましくは1~3、さらに好ましくは1~2、特に1~1.5であってもよい。なお、樹脂の重量平均分子量(M)及び数平均分子量(M)は、GPC(Gel Permeation Chromatography、ゲル浸透クロマトグラフィー)によりポリスチレン換算で測定できる。
熱可塑性樹脂への結晶化促進剤の添加割合(使用割合、配合割合)は、例えば、熱可塑性樹脂(又は第1の樹脂)100質量部に対して、0.1~20質量部(例えば、0.5~15質量部)、好ましくは1~10質量部(例えば、2~8質量部)、さらに好ましくは3~7質量部(例えば、4~6質量部)程度であってもよい。結晶化促進剤の添加割合が少なすぎると樹脂の結晶化促進効果が低下し、多すぎると樹脂の機械的強度(引張強度など)が低下する虞がある。
樹脂組成物は、本発明の効果を害しない範囲であれば、第1の樹脂の他に第2の樹脂を含んでいてもよい。第2の樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの第2の樹脂(非晶性樹脂)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、第2の樹脂の割合は、第1の樹脂100質量部に対して、50質量部以下(例えば、0.1~40質量部)、好ましくは30質量部以下(例えば、0.1~20質量部以下)、さらに好ましくは10質量部以下(例えば、0.1~5質量部以下)程度であってもよい。通常、熱可塑性樹脂は、第2の樹脂を含まず、第1の樹脂単独で形成できる。
また、樹脂組成物は、必要に応じて、各種添加剤[例えば、可塑剤、難燃剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、着色剤(顔料など)、充填材、帯電防止剤、滑剤、離形剤、抗菌剤、防カビ剤など]を含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。これら添加剤の添加量は、添加剤の種類に応じて選択でき、添加剤の総量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001~100質量部の範囲から選択でき、例えば、100質量部以下(例えば、0.01~80質量部)、好ましくは70質量部以下(例えば、0.1~60質量部)、さらに好ましくは50質量部以下(例えば、0.1~40質量部)であってもよい。
樹脂組成物の結晶化度は、所望の諸物性(例えば、引張強度などの機械的物性、融点などの熱的物性)を満たす範囲であればよく、例えば、1~90%、好ましくは5~80%(例えば、10~70%)、さらに好ましくは20~60%程度であってもよい。結晶形状は、特に限定されず、例えば、ラメラ(板状)結晶、球晶、折りたたみ結晶などの形状であってもよい。
本発明の結晶化促進剤は、結晶の微結晶化にも寄与するためか、結晶化の促進効果だけでなく、靭性(引張伸び、引張強度など)向上効果も有する。そのため、本発明の結晶化促進剤を樹脂に添加すると、樹脂組成物の成形加工性が向上(改善)できる。さらに、成形体の機械的性質が安定するため、成形後の製品品質を安定させる効果も期待できる。
結晶のサイズ(大きさ)は、特に限定されないが、樹脂組成物において、靭性が経時的に変化することを抑制するため、微結晶であることが好ましい。成形直後に微結晶が生成する(結晶が微結晶化又は微細化する)ことにより、成形後に結晶が成長しづらくなる。すなわち、成形後に樹脂の結晶化が進行しにくいため、樹脂組成物が経時的に脆化することを抑制でき、品質を安定化できる。
結晶化促進剤の樹脂への添加方法(混練方法、混合方法)は、均一に混合できればよく、慣用の混合方法(ヘンシェルミキサー、ロール混練、溶融混練、押出機など)により混合できる。結晶化促進剤と樹脂との混合は、成形前に行ってもよく、成形と並行して行ってもよい。
樹脂組成物は、樹脂と結晶化促進剤との混合物の形態であってもよく、樹脂と結晶化促進剤とが混練されて一体化した粉粒体又はペレットの形態であってもよい。樹脂組成物は、慣用の成形法(押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法などの溶融成形法、キャスティング法など)により、線状、フィルム又はシート状、筒状又はパイプ状、ケーシング、ハウジングなどの三次元形状などの所定の形態の成形体を作製できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、用いた原料並びに試験項目の測定方法は、以下の通りである。
[原料]
3-ヒドロキシ酪酸(3-HB):(純度99%、光学純度R体99%ee以上)
ポリヒドロキシ酪酸(PHB):メタボリックス社製「M1200」
[評価方法]
[引張試験]
プレス機により作製した厚さ約400μmのプレスシートをJIS K 6251に準拠したダンベル状6号形試験片に切り抜いた。このダンベル状試験片を、万能材料試験機(ミネベアミツミ(株)製「LTS-1kNB-S50」)を用い、チャック間距離30mm、引張速度5mm/分で引張試験を実施し、破断伸度(%)、初期弾性率(MPa)、最大点強度(MPa)を測定した。なお、破断伸度(%)は、初期のチャック間距離を基準とし、破断時のチャック間距離の増加割合を表す。
[エンタルピー変化(J/g)]
示差走査熱量計DSC(ネッチ・ジャパン(株)製「DSC 214 Polyma」)を用いて、190℃で融解した樹脂組成物を冷却速度-100℃/分で-50℃まで急冷し、その後、昇温速度10℃/分の条件で昇温した際の発熱ピーク面積を結晶化温度におけるエンタルピー変化とした。
[結晶化温度(℃)]
示差走査熱量計DSC(ネッチ・ジャパン(株)製「DSC 214 Polyma」)を用いて、190℃で融解した樹脂組成物を冷却速度-100℃/分で-50℃まで急冷し、その後、昇温速度10℃/分の条件で昇温した際の発熱ピーク温度を結晶化温度とした。
[融点(℃)]
示差走査熱量計DSC(ネッチ・ジャパン(株)製「DSC 214 Polyma」)を用いて、190℃で融解した樹脂組成物を冷却速度-100℃/分で-30℃まで急冷し、その後、昇温速度10℃/分の条件で昇温した際の吸熱ピーク温度を融点とした。
[(合成例)化合物(1)の合成]
(アルキルアルコールの反応性誘導体の合成)
セチルアルコール57.7g(0.24mol)をフラスコに入れ、窒素置換し、その後、ジクロロメタン500ml及びピリジン38.5mlを前記フラスコに添加し、攪拌して、セチルアルコールを溶解させた。その後、p-トルエンスルホニルクロライド68.1g(0.36mol)を10分間にわたって分割添加し、室温で24.5時間攪拌した。反応液に2N塩酸250mlを添加し、30分間攪拌した後、水層をジクロロメタン100mlで3度抽出し、抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウムをろ別し、減圧乾固により、濃縮固化し、半透粘稠液体110gを得た。この半透明粘稠液体をテトラヒドロフラン500mlに溶解させ、水酸化ナトリウム14.3gを添加し、19時間攪拌分散させた。分散液を減圧乾燥し、テトラヒドロフランを留去した後、ジエチルエーテル750mlを添加して、30分間攪拌し、不溶部分をろ別し、ろ液を減圧乾燥して、ジエチルエーテルを留去して減圧乾固することにより、下記式(2)で表されるセチルアルコールの反応性誘導体(p-トルエンスルホン酸セチルエステル;淡褐色固体78.3g)を単離収率83.1%で得た。
Figure 0007037987000002
(アルキルアルコールの反応性誘導体と3-HAとの反応)
上記で得られたp-トルエンスルホン酸セチルエステル1.98g(5mmol)と、3-ヒドロキシ酪酸(R体)1.43g(14mmol)とを反応器に仕込み、窒素置換した後、ジメチルホルムアミド17mlを添加して攪拌溶解させ、次いで炭酸カリウム2.07gを添加し、室温で17時間攪拌反応させた。その後、反応液を45℃で4時間攪拌反応させた。反応液を室温に戻し、精製水40ml及び酢酸エチル40mlを添加し、30分間攪拌した後、分液して水層を酢酸エチル10mlで4回抽出し、有機層を精製水20mlで5回洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウムをろ別し、減圧乾燥し、濃縮することにより、ワックス状固体1.58gを得た。生成物をヘキサン/酢酸エチルを移動相とするカラムクロマトグラフィーにより精製し、ワックス状固体1.43gを単離収率87.2%で得た。NMR分析(JEOL社製「JNM-AL300」(300MHz))により、得られたワックス状固体が目的物である3-ヒドロキシ酪酸セチルエステル(3-HBセチルエステル)(3)であること、及び有意な含有率の不純物は認められないことを確認した。
H NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm)=0.88(t,3H,CH-CH-),1.25(d,3H,CH-CH(OH)-CH-),1.22-1.36(br,26H,-CH-CH-),1.59-1.68(m,2H,-COO-CH-CH-),2.37-2.53(dd,2H,-CH(OH)-CH-),3.0(d,1H,-CH(OH)-),4.1(t,2H,-COO-CH-),4.2(m,1H,CH3-CH(OH)-)
Figure 0007037987000003
(実施例1)
PHB10.8gと3-HBセチルエステル(3)0.57gとを、バッチ式のラボプラストミル((株)東洋精機製作所製、「4M150」)を用いてコンポジット化を行った。混練条件は、トルク:3~4N・m、混練温度:190℃、混練時間:3分間、スクリュー回転数:90rpmであった。コンポジット化により得られた樹脂組成物(3-HBセチルエステル含有率5重量%)を、プレス機にて、190℃で30秒間熱プレスした後、33℃で10分間冷却プレスすることにより、厚さ約400μmのプレスシートを調製した。このプレスシートを用いて、引張試験を行った。また、コンポジット化により得られた樹脂組成物を用いて、DSC測定を行った。
(実施例2)
PHBを10.26g、3-HBセチルエステルを1.14gとし、3-HBセチルエステルの含有量を樹脂組成物の10重量%とした以外は、実施例1と同様にプレスシートを調製し、引張試験及びDSC測定を行った。
(比較例)
3-HBセチルエステルを添加することなく、PHBを11.4g用いて実施例1と同様にプレスシートを調製し、引張試験及びDSC測定を行った。
結果を表1に示す。
Figure 0007037987000004
表1から明らかなように、実施例では、靭性を維持又は増大させつつ、比較例に比べ、結晶化温度が低下し、結晶化温度におけるエンタルピー変化の増大がみられたことから、PHBの結晶化が促進されていることが分かる。さらに、実施例では、比較例に比べ、融点の降下もみられたことから、PHBの結晶が微結晶化し、結晶化が起きやすくなっていると考えられる。特に、実施例1では、結晶が微結晶化したことにより、ラメラ厚みが減少したためか、結晶化が促進されているにも関わらず、破断伸度の向上もみられた。
本発明の化合物は、樹脂に添加すると、樹脂の靭性を維持しつつ、樹脂の結晶化を促進できるため、結晶化促進剤として有用である。また、本発明の化合物は、生分解性を有するバイオマス由来の化合物であるため、生分解性樹脂(例えば、PHBなどのバイオマス由来の生分解性樹脂)に添加すると、結晶性及び靭性が良好なバイオマス由来の生分解性樹脂組成物を得ることができる。そのため、本発明の樹脂組成物は、石油由来樹脂の代替として種々の用途、例えば、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、医療用品の部材、事務機器の部材、電気・電子機器の部材などに好適に利用できる。

Claims (14)

  1. 下記式(1)
    Figure 0007037987000005
    (式中、R 1-4 アルキル基、RはC-2214 アルキル基を表す。)
    で表される化合物。
  2. 式(1)において、R 1-2 アルキル基である請求項1に記載の化合物。
  3. 式(1)において、RがC-2014 アルキル基である請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 式(1)において、RがC14-18アルキル基である請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
  5. 式(1)で表される化合物が、R体である請求項1~4のいずれかに記載の化合物。
  6. 式(1)で表される化合物を製造する方法であって、3-ヒドロキシアルカン酸又はその反応性誘導体とアルキルアルコール又はその反応性誘導体とを反応させて請求項1~5のいずれかに記載の化合物を製造する方法。
  7. エステル結合を有する生分解性結晶性樹脂の結晶化を促進するための結晶化促進剤であって、請求項1~5のいずれかに記載の化合物を含む結晶化促進剤。
  8. 少なくとも結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂と、請求項7に記載の結晶化促進剤とを含む樹脂組成物であって、前記結晶性樹脂が、エステル結合を有する生分解性樹脂を含む、樹脂組成物
  9. 熱可塑性樹脂が、バイオマス由来の生分解性樹脂を含む請求項8に記載の樹脂組成物。
  10. 熱可塑性樹脂が、ポリヒドロキシアルカノエートを含む請求項8又は9に記載の樹脂組成物。
  11. 熱可塑性樹脂が、3-ヒドロキシブタン酸の単独又は共重合体を含む請求項8~10のいずれかに記載の樹脂組成物。
  12. 熱可塑性樹脂100質量部に対して、請求項7に記載の結晶化促進剤を0.1~20質量部の割合で含む請求項8~11のいずれかに記載の樹脂組成物。
  13. 請求項8~12のいずれかに記載の樹脂組成物で形成された成形体。
  14. 少なくとも結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂に、請求項7に記載の結晶化促進剤を添加して、熱可塑性樹脂の結晶化を促進する方法であって、前記結晶性樹脂が、エステル結合を有する生分解性樹脂を含む、方法
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