JP6195296B2 - 低分子量ポリヒドロキシアルカン酸の製造方法 - Google Patents

低分子量ポリヒドロキシアルカン酸の製造方法 Download PDF

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本発明は、重量平均分子量が5,000〜40,000の低分子量であり、カルボキシ末端が修飾された低分子量ポリヒドロキシアルカン酸を、微生物を用いて製造する方法に関する。
近年、使用済み廃棄プラスチックによる環境問題が深刻化するにつれ、微生物の働きによって分解される生分解性プラスチックが注目を集めている。これまでに、熱可塑性の生分解性プラスチックとして、乳酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸、多価アルコールや多価カルボン酸などを繰り返し単位とする(共)重合体の生分解性ポリエステル樹脂が開発されている。しかし、生分解性ポリエステル樹脂は結晶化速度が遅いという欠点を抱えている。なかでも脂肪族ヒドロキシカルボン酸の(共)重合体であるポリヒドロキシアルカン酸(以下、PHAと略記する。)樹脂は、結晶化速度が非常に遅い(非特許文献1)。結晶化速度が遅いと、溶融状態からの固化が遅くなりPHA樹脂の成形加工が困難になる。また、成形加工時のラインスピードなども遅くなり、生産性が低下するという弊害を招く。
そこで、PHA樹脂の結晶化を促進して加工性に優れたPHA樹脂を製造するため、結晶化する際の核として作用する結晶核剤を用い、化学合成に比べて簡単で安価な微生物を利用した製造方法が提案されている。例えば、特許文献1および2には、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)や、融点の高い特定のポリ(3−ヒドロキシ酪酸−co−3−ヒドロキシ吉草酸)(PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸―co―3−ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)などを結晶核剤として用いる方法が開示されている。しかしながら、例えば特許文献2の実施例で用いられるPHBは、融点が約174℃、重量平均分子量は20万以上と非常に大きいため、PHA樹脂に均一に分散させることが困難であり、有効な結晶核剤とは言えない。
そこで、より低分子量のPHBを製造するため、土壌中で最も多種多様に存在するバチルス(Bacillus)属細菌を用いた発酵生産技術が開発されている。例えば非特許文献2には、バチルス・セレウス(Bacillus cereus YB−4)をグルコース含有培地中で長時間培養すると、PHBの重量平均分子量が、通常の約200万から約14万まで低下することが報告されている。また、非特許文献3には、バチルス属細菌(Bacillus sp.INT005)由来の、IV型のPHA合成酵素遺伝子と;ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)由来の、β−ケトチオラーゼ遺伝子(phaA)およびアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子(phaB)を大腸菌に導入し、グルコース含有培地中で培養すると、数平均分子量が48,000の低分子量PHBが生産されたことが報告されている。更に非特許文献4には、バチルス・セレウス(Bacillus cereus YB−4)由来の、PHA合成酵素遺伝子(phaC)およびphaRと;ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)由来の、β−ケトチオラーゼ遺伝子(phaA)およびアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子(phaB)を大腸菌に導入し、グルコース含有培地中で培養すると、より低分子量のPHB(重量平均分子量42,000、数平均分子量20,000)が生産されたことが報告されている。
米国特許第5693389号明細書 特開平2004−161802号公報
"Biopolymers",vol4,Polyesters III Applications and Commercial Products, WILEY−VCH,p67 K. Mizuno等, Polymer Degradation and Stability, vol95,1335−1339(2010) J.Agus等,Polymer Degradation and Stablity, vol95,2250−2254(2010) S.Tomizawa等,Biomacromolecules,vol12,2660−2666(2011)
前述した非特許文献3、4の方法によれば、分子量が低減されたPHBが得られるため、これを結晶核剤として用いれば、PHA樹脂の結晶化速度が向上することが期待される。しかし、加工性などの観点から、結晶化速度の更なる向上が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、PHA樹脂の結晶化を著しく促進することができ、PHA樹脂の結晶核剤として有用な末端修飾低分子量PHAを、微生物を用いて製造することができる新規な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、PHA樹脂の結晶核剤として有用な末端修飾低分子量PHAを、化学合成に比べて簡単で安価な微生物法を用いて製造可能な方法を提供するため、鋭意検討した。その結果、IV型のPHA合成酵素遺伝子を有する微生物をアルコールの存在下で培養すれば所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
本明細書において結晶核剤とは、PHA樹脂を結晶化する際の核として作用するものをいう。
上記課題を解決し得た本発明に係る、重量平均分子量が5,000〜40,000であり、カルボキシ末端が修飾されたPHAの製造方法は、IV型のPHA合成酵素遺伝子を有する微生物を、アルコールの存在下で培養するところに要旨を有するものである。
本発明の好ましい実施形態において、アルコールを加えた培地で培養する。
本発明の好ましい実施形態において、前記アルコールは、炭素数が1〜6の低級アルコールである。更に好ましくはエタノールである。
本発明の好ましい実施形態において、前記培地中のアルコール濃度は、0.01〜5体積%である。
本発明の好ましい実施形態において、カルボキシ末端が修飾されたPHAとは、前記カルボキシ末端がエステル化されたものである。より好ましくは、カルボキシ末端が炭素数1〜6の低級アルキルによってエステル化されたものであり、更に好ましくは、カルボキシ末端がエチルエステル化されたものである。
本発明の好ましい実施形態において、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)を少なくとも含むPHAを製造するものである。例えば、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)またはポリ(3−ヒドロキシ酪酸―co―3−ヒドロキシ吉草酸)を製造するものである。
本発明の好ましい実施形態において、前記IV型のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子を有する微生物はBacillus属細菌である。より好ましくは、前記Bacillus属細菌はBacillus cereusである。
本発明の好ましい実施形態において、前記IV型のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子を有する微生物は、Bacillus属細菌由来のIV型のPHA合成酵素遺伝子、ケトチオラーゼ遺伝子、およびアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子によって形質転換されたものである。形質転換された微生物として、より好ましくは大腸菌である。また、好ましいBacillus属細菌は、Bacillus cereusである。
本発明によれば、結晶核剤として極めて有用な末端修飾低分子量PHAを、簡単で安価な微生物法を用いて製造することができる。本発明の製造方法によって得られた低分子量PHAをPHA樹脂に添加することにより、当該樹脂の結晶化速度が大幅に向上し、加工性を著しく改善することが可能となる。
図1は、PHBの合成経路を説明するための模式図である。 図2は、製造例1で使用したBacillus cereus YB−4のPHA合成酵素遺伝子(phaR、phaC)発現ベクターの構成を示す図である。 図3は、比較物質であるエチル−3−ヒドロキシ酪酸と、実施例2で得られた低分子量PHA(末端がエチルエステル化されたPHB)の1H−NMRチャートである。 図4は、図3の1H−NMRチャートを拡大した図である。 図5は、実施例2で得られた低分子量PHA(末端がブチルエステル化されたPHB)の1H−NMRチャートである。 図6は、図5の1H−NMRチャートを拡大した図である。
以下の記載では、本発明の製造方法によって得られるものであり、結晶核剤として有用なカルボキシ末端修飾低分子量PHAと;当該カルボキシ末端修飾低分子量PHAを用いて結晶化速度が改善される、改善対象のPHA樹脂とを区別するため、特に前者のPHAをsPHAと略記する場合がある。
はじめに、本発明の加工性改善対象であるPHA樹脂について説明する。
(PHA樹脂)
PHAは、微生物が菌体内に蓄積する熱可塑性の生分解性プラスチックである。PHAとしては、例えば3−ヒドロキシアルカン酸や4−ヒドロキシアルカン酸などのモノマー成分を構成単位とするホモポリマーまたは共重合ポリマーが知られている。なかでも共重合ポリマーは、モノマー成分の組成比によって硬質から軟質の幅広い性質を発揮し得るため、広範な用途に適用することができる。なお共重合ポリマーは、一般的にはホモポリマーに比べて結晶化度が低下するという不具合があるが、本発明の結晶核剤を使用することでこの不具合を克服できるため、本発明では共重合ポリマーが好ましい。
PHAの共重合ポリマーとして、代表的には、下式で表されるポリ(3−ヒドロキシ酪酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸)(以下、PHBHで略記する場合がある。)が挙げられる。
式中、m、nは同一または異なって、1以上の整数を表す。
PHBHは、3−ヒドロキシ酪酸(3HB)と3−ヒドロキシヘキサン酸(3HH)をモノマー単位とする共重合体である。3HBのホモポリマーは結晶性が高く、硬くて脆い性質を有するため、応用範囲が限られているが、3HHなどの他のモノマーユニットと共重合させることで、軟質性を付与させることができる。そのような共重合体であるPHBHでは、PHBH中に占める3HHの比率を高めることで、PHBHは結晶化度が低下し、柔軟性が向上し、同時に融点も下げられるため、応用範囲の拡大が期待できる。
軟質性を付与できる3HH以外のモノマーユニットとして、3−ヒドロキシ吉草酸(3HV)、4−ヒドロキシ酪酸(4HB)などが挙げられる。これら3HH、3HV、4HBなどのモノマーユニットは、適宜、組み合わせて3HBと共重合することも可能である。本発明の加工性改善対象である、PHAの共重合ポリマーとしては、上記PHBHのほか、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−co−3−ヒドロキシ吉草酸)(以下、PHBVで略記する場合がある。);ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−co−3−ヒドロキシ吉草酸−co−3−ヒドロキシヘキサン酸);ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−co−4−ヒドロキシ酪酸)などが挙げられる。本発明では、物性などの観点から、PHBHまたはPHBVが好ましく、PHBHがより好ましく用いられる。また、PHBHとしては、全モノマーユニット100モル%に占める3HHの比率を、例えば3〜20モル%、好ましくは3〜15モル%の範囲に制御することが推奨される。本発明の結晶核剤は後述するように結晶化速度向上効果が特に優れるため、3HHの割合が比較的高い場合でも、実用上、十分な結晶化促進効果が得られる。
(本発明の製造方法)
次に、PHA樹脂の結晶核剤として有用な、本発明に係るカルボキシ末端修飾低分子量PHA(sPHA)の製造方法を詳しく説明する。
本発明の製造方法は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜40,000であり、カルボキシ末端が修飾されたPHAを、微生物を用いて製造する方法であって、IV型のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子を有する微生物をアルコールの存在下で培養するところに特徴がある。
PHAは種々の生合成経路によって合成されるが、詳細な説明を行なう前に、その一例として、図1に示すPHBの合成経路について説明する。
PHBの合成には、β−ケトチオラーゼ(PhaA)、アセトアセチル−CoA還元酵素(PhaB)、およびPHA合成酵素(PhaC)の三つの酵素が関与することが知られている。これらのうちPhaAは、2分子のアセチル−CoAが縮合してアセトアセチル−CoAが形成される反応を触媒する酵素である。また、PhaBは、補酵素NADPHの存在下でアセトアセチル−CoAを還元し、(R)−3−ヒドロキシブチリル−CoAを形成する反応を触媒する酵素である。また、PhaCは、3−ヒドロキシブチリル−CoAを基質としてPHBを合成する反応の触媒活性を有する酵素である。上述のようにPhaCは、3−ヒドロキシアシル−CoAを基質として種々のPHAを合成することができるが、その基質特異性、サブユニット構造などに基づいて、I〜IV型が知られている。
つまり、例えばPHBの場合、図1に示すように、まず、アセチル−CoA2分子がβ−ケトチオラーゼ(PhaA)の作用で縮合され、アセトアセチル−CoAとなる。続いて、アセトアセチル−CoA還元酵素(PhaB)の作用により、(R)−3−ヒドロキシブチリル−CoAへとNADPH依存的に還元される。最後にPHB合成酵素(PhaC)により重合され、PHBが合成される。
上述したように本発明では、IV型のPHA合成酵素遺伝子を有する微生物を用いる。IV型のPHA合成酵素は、PhaCとPhaRの2つのサブユニットから構成されることが知られている(例えば、前述した非特許文献4)。上記非特許文献4には、IV型のPHA合成酵素のうち、バチルス・セレウス(Bacillus cereus YB−4)由来のPhaCが、PHAの分子量低減に寄与することや、培養時間と培養温度に依存してPHAの分子量が低減することが記載されている。本発明者らが、IV型のPHA合成酵素遺伝子を有する微生物について詳細に検討した結果、当該微生物を、アルコールの存在下で培養すれば、所期の目的が達成されることが判明した。
本発明において、上記IV型のPHA合成酵素遺伝子を有する微生物としては、Bacillus属細菌が好ましく使用でき、Bacillus cereus、Bacillus sp.INT005がより好ましく、Bacillus cereus YB−4がさらに好ましい。
或いは、本発明においては、上記IV型のPHA合成酵素遺伝子を有する微生物として、Bacillus属細菌以外の微生物(以下、宿主微生物と呼ぶ場合がある。)に、IV型のPHA合成酵素遺伝子(好ましくは、更にβ−ケトチオラーゼ遺伝子およびアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子の1つまたは複数)を組み込んだ形質転換体を用いることもできる。
ここで、上記IV型のPHA合成酵素遺伝子としては、上記Bacillus属細菌由来のPHA合成遺伝子が好ましく使用でき、Bacillus cereus、Bacillus sp.INT005由来のPHA合成酵素遺伝子がより好ましく、Bacillus cereus YB−4由来のPHA合成酵素遺伝子がさらに好ましい。
また、上記宿主微生物としては、上記IV型のPHA合成酵素遺伝子を発現させたとき、PHAを生産できる微生物であれば特に限定されないが、例えば、ラルストニア属(Ralstonia)に属する微生物(例えばRalstonia eutropha)、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物、PHA合成酵素の基質を供給できるように改変された微生物[例えば、大腸菌(E.coli)に属する微生物]などが挙げられる。これらのうち、入手のし易さ、増殖能などを考慮すると、大腸菌が好ましく用いられる。
上記宿主微生物は、前述したPHBの上記合成経路を考慮すれば、更に、phaA(β−ケトチオラーゼ遺伝子)やphaB(アセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子)を含む微生物を用いることが好ましい。
具体的には、上記phaAの由来となる微生物として、例えば、ラルストニア属(Ralstonia)、シュードモナス属(Pseudomonas)などの微生物が挙げられる。特に好ましくはラルストニア属の微生物であり、例えば、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)などが挙げられる。
また、上記phaBの由来となる微生物は、前述したphaA由来の微生物と同じものを用いることができる。具体的には、例えば、ラルストニア属(Ralstonia)、シュードモナス属(Pseudomonas)などの微生物が挙げられる。特に好ましくはラルストニア属の微生物であり、例えば、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)などが挙げられる。
本発明に用いられる上記形質転換体の具体例としては、例えば、Bacillus cereus YB−4由来のIV型のphaCおよびphaRと、Ralstonia eutropha由来のphaAおよびphaBの発現プラスミド(例えば、pGEM−phaRCYB4AB)を導入したE.coli JM109などが挙げられる。
本発明では、以上で説明した微生物を、アルコールの存在下で培養する。微生物培養に用いられる一般的な炭素源としては、例えばグルコースなどの炭水化物、炭素数4以上の油脂関連物質などが用いられるが、アルコールは通常用いられない。本発明では、アルコールを炭素源としてではなく、PHAの分子量低減剤として用いる。本発明者らの検討結果によれば、PHAの生産に通常用いられる炭素源と共に、アルコールの存在下で、上記微生物を培養すれば、所望とするsPHAが得られることが判明した。PHAの結晶核剤として有用なsPHAを得るために、アルコールの存在下で上記微生物を培養することは、これまで開示されていない。
本発明では、炭素数が1〜6の低級アルコールの使用が好ましい。前記アルコールは、直鎖状、分岐状のいずれも含むが、直鎖状が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜4のアルコールであり、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。工業的な利用のしやすさや汎用性などを考慮すると、更に好ましくはエタノールである。
本発明によれば、使用するアルコールが、sPHAの末端のカルボン酸基に結合することで、sPHA末端が修飾される。例えばエタノールを用いるときは、sPHAの末端が、実施例4に示すようにエチルエステル化される。
本明細書において「アルコールの存在下で培養する」とは、アルコールを培地中に添加して培養する場合(外部添加)のみならず、アルコールを外部添加せずアルコールが発生する条件下で培養する場合の両方を含む趣旨である。いずれの場合でも、所望とするsPHAを得ることができるが、好ましくは、アルコールを培地中に添加して培養する。
アルコールを培地中に添加して培養する場合、培地中の好ましいアルコール濃度(アルコール添加時の初期濃度を意味し、アルコールを一種類含むときは単独の濃度であり、二種類以上含むときは合計濃度である)の上限は、使用する微生物の種類などによっても相違するが、例えば5体積%以下である。アルコール添加による上記作用を有効に発揮するとの観点からのみすれば、上記アルコール濃度は高い程良いが、アルコール濃度が高くなり過ぎると、微生物の生育を阻害するようになる。より好ましくは2体積%以下であり、更に好ましくは1体積%以下である。また、培地中の好ましいアルコール濃度の下限は、0.01体積%以上であり、より好ましくは0.05体積%以上である。
なお、培養中、培地中のアルコール濃度が上記の好ましい範囲に保たれるように、経時的に培地濃度をチェックすることが好ましい。例えば、培地中のアルコール濃度が低下したときは、経時的にアルコールを補充することもできる。
培地中にアルコールを添加する時期は、sPHAを生産できる限り、特に限定されず、培養の初期、中期、後期のいずれの段階でも、アルコールを添加することができる。但し、一旦、培地中にアルコールを添加した後は、引き続き、当該アルコール添加培地で培養を行なうことが好ましく、培養途中で、アルコールを含まない培地に移し換えない方が好ましい。培養途中で、アルコール非添加培地に培地を移し変えると、分子量低減効果などに問題があるためである。
例えば後記する実施例1のように、予め所定濃度のアルコールを添加した培地を用い、微生物の培養中、当該培地中で培養することができる。或いは、後記する実施例2のように、まず、アルコールを添加しない培地にて微生物を培養した後、当該微生物を、アルコールを添加した培地中に植え継ぎ、所望とするsPHAが得られるまで培養することもできる。
本発明に用いられる培地は、上記アルコールを少なくとも含み、更にsPHAの合成に必要な炭素源(アルコールを除く意味。以下、同じ。)を含むことが好ましい。
上記炭素源としては、PHAの生育に通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、グルコース、フラクトース等の糖類;酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸等の炭素数が6以上の脂肪酸類;或いはこれら脂肪酸のエステルや塩等の脂肪酸誘導体、乳酸、ヤシ油、パーム油、パーム核油(以下PKOO)等の植物油脂が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を、上記アルコールと共に用いることができる。
上記窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス等が挙げられる。
また、リン供給源としては、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウムなどが挙げられる。
上記のほか、有機栄養源を培地中に添加することもできる。有機栄養源としては、例えばグリシン、アラニン、セリン、スレオニン、プロリン等のアミノ酸;ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンC等のビタミン等が挙げられる。また、培養液中に、発現プラスミドに存在する薬剤耐性遺伝子に対応する抗生物質(カナマイシン等)を添加しても良い。
すなわち、本発明では、上記栄養素を含む、一般的な培地や市販の培地に、前述した所定濃度のアルコールを添加することができる。例えば、本発明で好ましく用いられる大腸菌を宿主として得られた形質転換体を培養するための培地として、LB培地、M9培地などが挙げられる。
培養条件は、使用する微生物の種類や培地の組成などによっても相違するため、所望とするsPHAが生産されるように適切に制御すれば良い。
具体的には、使用する微生物の種類により一概には言えないが、例えばE.coliを宿主とする組み換え微生物を使用する場合、培養温度はおおむね20〜40℃、培養時間はおおむね12〜96時間の範囲であることが好ましい。
(本発明の製造方法によって得られるsPHAについて)
上述した本発明の方法によって得られるsPHAは、重量平均分子量(Mw)が5,000〜40,000と非常に低く、カルボキシ末端が修飾されたものである。
sPHAの好ましい重量平均分子量(Mw)は、6,000〜40,000であり、より好ましくは、10,000〜30,000である。Mwは、例えばゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。具体的には、標準物質としてポリスチレンを用いて較正曲線を作成し、当該較正曲線から、sPHAのMw(更には、後記するMn)を求めることができる。
上記sPHAを構成するPHAは、マトリックス樹脂との相溶性や分散性などを考慮すると、少なくともPHBを含んでいることが好ましく、例えば、PHBのホモポリマーのほか、PHBVなどの共重合ポリマーなどが挙げられる。これらのうち、PHA樹脂の結晶核剤として作用するにはホモポリマーの方が好ましいことなどを考慮すると、PHBが好ましい。
上記sPHAは、カルボキシ末端が修飾されており、好ましくはエステル化されている。アルコールの種類によってカルボキシ末端の修飾状態も変化し得る。前述したように炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)の低級アルキルが好ましく用いられることから、カルボキシ末端は炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)の低級アルキルでエステル化されていることが好ましい。最も好ましくは、カルボキシ末端がエチル基によりエステル化されているものである。
具体的には、上記sPHAとして、PHBのカルボキシ末端が、メチルエステル化されたもの、エチルエステル化されたもの、プロピルエステル化されたもの、ブチルエステル化されたものが挙げられる。
上記sPHAは、PHA樹脂の結晶核剤として非常に有用である。適用対象となるPHA樹脂の好ましい種類は前述したとおりである。
以上、本発明の製造方法および上記製造方法によって得られるsPHAについて詳述した。
本発明は上記製造方法に特徴があり、上記製造方法によって得られたsPHAを回収する方法などは、公知の方法を採用することができる。
例えば、本発明において、微生物菌体からsPHAを回収する方法として以下の方法が挙げられる。まず、培養終了後、培養液から遠心分離機などで菌体を分離し、集める。得られた菌体を、蒸留水およびメタノールなどで洗浄した後、乾燥させる。このようにして得られた乾燥菌体をクロロホルムなどの有機溶剤に懸濁し、加熱することによって、目的とするsPHAを有機溶剤画分に抽出する。このsPHAを含む有機溶剤画分から、濾過などの方法により菌体成分を除去し、その濾液にヘキサンなどの貧溶媒を加えてsPHAを沈殿させる。次いで、濾過や遠心分離などの方法によって上澄み液を除去した後、乾燥することにより、所望とするsPHAを回収する。
このようにして回収されたsPHAの組成は、例えば、ガスクロマトグラフィ(GLC)や核磁気共鳴法(NMR)などの方法により分析することができる。また、上記sPHAの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、前述したとおり、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)などの方法により測定することができる。
前述したとおり、上記sPHAはPHA樹脂の結晶核剤として非常に有用であり、PHA樹脂の結晶化速度が向上する。
具体的には、上記sPHAを、公知の方法によりPHBHやPHVHなどのPHA樹脂に添加し、溶融混練などを行なって樹脂組成物を得ると、当該樹脂組成物の結晶化速度が向上する。PHA樹脂に対するsPHAの配合比率は、所望とするPHA樹脂の組成や結晶化速度の程度などに基づいて適切に制御すれば良いが、例えば、PHA樹脂100質量部に対し、sPHAを、おおむね、0.1〜15質量部の範囲で添加することが好ましい。
このようにして得られるPHA樹脂の結晶化速度は公知の方法によって測定することができる。例えば、密度測定法、ディラトメーターを用いて体積変化から測定する方法、X線回折強度より求める方法、示差走査熱量などの熱量変化から測定する方法などが挙げられる。或いは、IRやNMRを用いたり、偏光顕微鏡などを用いて測定することもできる。これらのうち、実際の成形を出来る限り再現できるという観点からすると、偏光顕微鏡を用いて結晶化開始時間および結晶化完了時間を測定する方法が推奨される。具体的には、PHA樹脂の融点以上の温度(例えば、160℃以上)から、室温または成形機の金型温度(例えば、30〜80℃)までの範囲を急激に冷却して結晶化させ、結晶開始までに要する時間(結晶化開始時間)と、結晶の成長が完了するのに要する時間(結晶化完了時間)を、偏光顕微鏡を用いて測定する方法が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
本実施例における遺伝子操作は、Molecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press、(1989))に記載されている方法で行うことができる。また、遺伝子操作に使用する酵素、クローニング宿主などは、市場の供給者から購入し、その取扱説明書に従って使用することができる。なお、本実施例に用いられる酵素は、遺伝子操作に使用できるものであれば特に限定されない。
製造例1:sPHA生産株の作製
以下の実施例では、sPHA生産株として、前述した非特許文献2などに記載のBacillus cereus YB−4を用いた。この菌株は、北九州市の土壌から単離されたPHA合成細菌であり、北九州工業高等専門学校の水野康平准教授より提供されたものである。
まず、上記Bacillus cereus YB−4由来のPHA合成酵素遺伝子(phaR、phaC)発現ベクター(pGEM−phaRCYB4AB)を、非特許文献4に記載の方法に準じて作製した。この発現ベクターは、上記非特許文献4に記載のpGEM−phaRYB4CYB4ABと同じである。図2に、上記発現ベクターの構成を示す。上記発現ベクターは、PHA合成のための目的の遺伝子(Bacillus cereus YB−4由来のphaRYB4、phaCYB4;および、Ralstonia eutropha由来のphaARe、phaBRe)によって構築されている。
次に、定法により、上記発現ベクターをE.coli JM109(タカラバイオ株式会社)に形質転換し、所望とするsPHA生産株(E.coli JM109 pGEM−phaRCYB4AB)を作製した。
実施例1:sPHAの生産(その1)
本実施例および後記する実施例2では、アルコール添加培地にて上記sPHA生産株を培養したときのアルコール添加による分子量低減効果を調べるため、培地へのアルコール添加時期を変えて実験を行なった。
本実施例では、培養の開始時からアルコールを添加した培地中で培養を行った。全培養を、このアルコール添加培地中で行なった。
詳細には、まず、上記製造例1で得られたE.coli JM109 pGEM−phaRCYB4ABを、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールの各アルコールを添加した2質量%グルコース含有LB培地中に1体積%の濃度で接種し、37℃で72時間培養した。培地中への各アルコールの添加濃度(2質量%グルコース含有LB培地に対する濃度)は、0.5体積%(5mL/L)または1体積%(10mL/L)とした。
比較のため、アルコールを添加しない培地も用意し、上記と同様の培養を行った。
このようにして得られた各培養液を、6,000rpm、10分間(4℃)の条件で遠心分離し、得られた菌体ペレットを純水に懸濁した後、再度、上記と同じ条件で遠心分離し、菌体ペレットを得た。このようにして得られた菌体ペレットを凍結乾燥し、乾燥菌体を得た。得られた乾燥菌体の重量DCW(g/L)を表1に示す。
次に、上記乾燥菌体からPHAを抽出して精製すると共に、乾燥菌体内のPHA含量およびPHAの分子量(MwおよびMn)を測定した。これらの抽出、精製、および測定は、前述した非特許文献4に記載の方法に準じて行なった。
これらの結果を表1にまとめて示す。表1には、PDI(Mw/Mn)の結果も併記する。
表1に示すように、培養の全期間に亘って、アルコール添加培地中でE.coli JM109 pGEM−phaRCYB4ABを培養すると、いずれのアルコールを用いた場合にも、Mwが17,000〜25,000の低分子量sPHAが得られた。また、上記sPHAのMnも8,600〜12,000と低く、PDIは1.8〜2.2と、非常に狭いものであった。本実験条件下では、エタノールまたはプロパノールを10mL/Lの濃度で添加した場合に、MwおよびMnの分子量が最も小さいsPHAが得られた。
これに対し、アルコールを添加しない培地中で培養した場合は、得られるPHAのMwは42,000であった。
上記結果より、培地中にアルコールを添加することにより、低分子量のsPHAが得られることが確認された。
実施例2:sPHAの生産(その2)
本実施例では、培養初期はアルコールを添加せず、培養中期〜後期にかけてアルコールを添加した培地中で培養を行ったときの、アルコール添加による分子量低減効果を調べた。
まず、上記製造例1で得られたE.coli JM109 pGEM−phaRCYB4ABを、2質量%グルコース含有LB培地(アルコール添加なし)に1体積%の濃度で接種し、37℃で24時間培養した後、無菌的に集菌した。次に、得られた菌体を、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールをそれぞれ添加したM9培地に移し変え、更に37℃で48時間培養した。
このようにして得られた各培養液を、前述した実施例1と同じ方法で処理して乾燥菌体を得た後、乾燥菌体内のPHA含量およびPHAの分子量(MwおよびMn、並びにPDI)を、実施例1と同様の方法により測定した。
これらの結果を表2に示す。
表2に示すように、本実施例のように培養途中からアルコール添加培地で培養した場合であっても、前述した実施例1と同様、いずれのアルコールを用いた場合にも、Mwが13,000〜25,000の低分子量sPHAが得られた。また、上記sPHAのMnは7,000〜15,000であり、PDIは1.6〜2.4と、非常に狭いものであった。本実験条件下では、プロパノールを10mL/L、またはブタノールを5mL/Lの濃度で添加した場合に、MwおよびMnの分子量が最も小さいsPHAが得られた。
前述した実施例1と比較すると、アルコール濃度が同じ場合、エタノールやプロパノールでは、実施例2のように培養途中からアルコールを添加して培養した方が、分子量の低減効果が高くなる傾向が見られた。
上記実施例1および実施例2の結果より、培地中へのアルコールの添加時期にかかわらず、アルコールの存在下で培養すれば、低分子量のsPHAが得られることが確認された。
実施例3:低分子量sPHAの骨格および末端解析(その1)
本実施例では、前述した実施例2のsPHAのうち、エタノール添加培地(エタノール濃度10mL/L)で培養して得られたsPHAについて、その骨格(繰り返し構造)およびカルボキシ末端の構造を解析した。
まず、上記sPHAを15%(v/v)の硫酸−メタノールで処理し、得られるヒドロキシアルカン酸のメチルエステルをガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、3HBのホモポリマーであるPHBが得られていることを確認した。
更に上記sPHAのカルボキシ末端の構造を以下のようにして解析した。まず、構造解析サンプルとして、0.03%(v/v)TMS(tetramethylsilane)を含む重クロロホルム中に上記のsPHAを溶かし、0.45μm径のMillex−HVPVDFフィルター(MILLIPORE社製)にてろ過したものを用意した。
次に、上記サンプルについて、1H−NMRを用いてカルボキシ末端の構造を決定した。具体的には、日本電子製NMR機器を用い、室温にて、500MHz、SCAN回数256回程度の条件で行った。データ解析は、ACLICE2 for windows ver.4を用いて行なった。比較物質としてエチル−3−ヒドロキシ酪酸(3HB−Et)(東京化成工業株式会社製)を用いた。
これらの結果を図3の(A)、(B)に示す。図3の(A)は、エチル−3−ヒドロキシ酪酸(3HB−Et)の1H−NMRの測定結果であり、図3の(B)は、上記実施例2で得られたsPHAの1H−NMRの測定結果である。図4は、図3の4.2ppm付近の拡大図である。
図3(A)および図4(A)に示すように、エチル−3−ヒドロキシ酪酸の末端エチルエステルのメチレン(iE)由来のピークが4.15ppm付近にカルテットとして観測された。これと同様のカルテットが、上記実施例2で得られたsPHAにも確認された(図4(B)を参照)。
これらの結果より、上記実施例2で得られたsPHAのうちエタノール添加培地(エタノール濃度10mL/L)で培養して得られたsPHAは、末端がエチルエステル化されたPHBであることが確認された。
実施例4:低分子量sPHAの骨格および末端解析(その2)
本実施例では、前述した実施例2のsPHAのうち、ブタノール添加培地(ブタノール濃度5mL/L)で培養して得られたsPHAについて、その骨格およびカルボキシ末端の構造を解析した。
まず、前述した実施例3と同様の方法により、上記sPHAの骨格はPHBであることを確認した。
更に、前述した実施例3と同様の方法により、上記sPHAのカルボキシ末端の構造を解析した。図5は、上記sPHAの1H−NMRの測定結果であり、図6は、図5の4.1ppm付近の拡大図である。
図6に示すように、ブチル−3−ヒドロキシ酪酸の末端ブチル基における酸素原子に隣接するメチレン(ib)由来のピークが4.1ppm付近にトリプレットとして観測された。この結果より、上記実施例2で得られたsPHAのうちブタノール添加培地(ブタノール濃度5mL/L)で培養して得られたsPHAは、末端がブチルエステル化されたPHBであることが確認された。
実施例5:結晶化速度の解析
前述した実施例1において、エタノール(5mL/L)添加培地で培養して得られたMn9,000、Mw20,000のsPHBを結晶核剤として用いたときの、PHA樹脂の結晶化速度を測定し、成形加工上効果を調べた。ここでは、PHA樹脂としてPHBHを用い、上記sPHBとPHA樹脂を溶融混錬して樹脂組成物(本発明例)とし、当該樹脂組成物の結晶化速度を測定した。
比較のため、上記本発明例において、結晶核剤を用いないときの結晶化速度を同様に測定した(比較例1)
また、結晶化速度の向上のためには結晶化剤の低分子量化が有効であることを示す目的で、比較のため、Mwが68万と非常に大きいPHBを結晶核剤として用い、上記本発明例と同様にして樹脂組成物の結晶化速度を測定した(比較例2)。
詳細な製造条件は以下のとおりである。
(1)本発明例1について
(PHA樹脂の製造)
ここでは、KNK−005株(US7384766を参照)を用いて培養した。培養に用いた種母培地、前培養培地、PHA生産培地の各組成は以下のとおりである。
種母培地の組成
1w/v%のMeat−extract、1w/v%のBacto−Tryptone、0.2w/v%のYeast−extract、0.9w/v%のNaHPO・12HO、0.15w/v%のKHPOを用いた(pH6.8)。
前培養培地の組成
1.1w/v%のNaHPO・12HO、0.19w/v%のKHPO、1.29w/v%の(NHSO、0.1w/v%のMgSO・7HO、0.5v/v%の微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v%のFeCl・6HO、1w/v%のCaCl・2HO、0.02w/v%のCoCl・6HO、0.016w/v%のCuSO・5HO、0.012w/v%のNiCl・6HOを溶かしたもの)を用いた。炭素源は、パーム油を10g/Lの濃度で一括添加した。
PHA生産培地の組成
0.385w/v%のNaHPO・12HO、0.067w/v%のKHPO、0.291w/v%の(NHSO、0.1w/v%のMgSO・7HO、0.5v/v%の微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v%のFeCl・6HO、1w/v%のCaCl・2HO、0.02w/v%のCoCl・6HO、0.016w/v%のCuSO・5HO、0.012w/v%のNiCl・6HOを溶かしたもの)、0.05w/v%のBIOSPUREX200K(消泡剤:コグニスジャパン社製)を用いた。
まず、KNK−005株のグリセロールストック(50μL)を種母培地(10mL)に接種して24時間培養し、種母培養を行なった。
次に、得られた種母培養液を、1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−300型)に1.0v/v%の濃度で接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールしながら28時間培養し、前培養を行なった。pHのコントロールには、14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
次に、得られた前培養液を、6LのPHBH生産培地を入れた10Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDS−1000型)に1.0v/v%の濃度で接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度400rpm、通気量6.0L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールした。pHのコントロールには、14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。培養は64時間行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収した。次いでメタノールで洗浄した後、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
このようにして得られた乾燥菌体1gに100mLのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。上記菌体の残渣をろ別した後、エバポレーターで総容量が30mlになるまで濃縮した。次いで、90mLのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら1時間放置した。析出したPHAをろ別した後、50℃で3時間真空乾燥した。
このようにして得られた乾燥PHA中の3HH(3−ヒドロキシヘキサノエート)の組成を、ガスクロマトグラフィーによって測定した。
詳細には、まず、上記の乾燥PHA20mgに、2mLの硫酸−メタノール混液(体積比:15:85)と2mLのクロロホルムを添加して密栓した後、100℃で140分間加熱し、PHA分解物のメチルエステル体を得た。次いで、室温まで冷却した後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生が止まるまで放置した。次に、4mLのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、3000rpmで遠心し、上清を採取した。
得られた上清中に含まれる、ポリエステル分解物のモノマーユニットの組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。ガスクロマトグラフは島津製作所GC−17A、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製NEUTRA BOND−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧100kPaとし、サンプル1μLを注入した。温度条件は、初発温度100〜200℃の範囲を8℃/分の平均速度で昇温した後、更に、200〜290℃の範囲を30℃/分の平均速度で昇温した。
その結果、上記の方法で得られたPHAは、前記式(2)で表されるPHBHであることが分かった。3HHの組成は5.6mol%であった。また、GPCにより測定した上記PHBHのMwは61万であった。また、DSCで測定した上記PHBHの融点は141℃ であった。詳細には、融点の測定には日立ハイテクサイエンス社の仕差走査熱量計(DSC7020)を用いた。融点測定用試料約5mgを精秤し、昇温速度10℃/分で得られる吸熱ピークを融点とした。
(樹脂組成物の製造)
次に、上記のようにして得られたPHBHと、前述したsPHBを用い、以下のようにして樹脂組成物を製造した。
詳細には、小型2軸混錬機(レオ・ラボ社製、Xplore MC5)を用い、設定温度160℃、スクリュー回転数100rpmの条件で上記PHBHと、sPHBを溶融混錬し、樹脂組成物を得た。配合比は、PHBH100重量部に対し、sPHBは1重量部とした。このようにして得られた樹脂組成物の樹脂温度は、K型熱電対を上記小型2軸混錬機の吐出口に挿入して測定した。その結果、樹脂温度は168〜172℃であった。上記樹脂組成物をダイスからストランド状に引き取り、ペレット状にカットした。
(樹脂組成物の結晶化の評価)
次に、偏光顕微鏡を用いて、上記樹脂組成物の結晶化の程度を目視評価した。偏光顕微鏡として、LINKAM社製の顕微鏡用急冷加熱ステージLK300Bを用いた。詳細には、まず、上記樹脂組成物を190℃で溶融させて5分間保持した。その後、60℃に急冷した。急冷した直後から、偏光顕微鏡にて倍率400倍で目視観察を行った。上記樹脂組成物の結晶が認められた時間を結晶開始時間とし、結晶がこれ以上成長しない時間を結晶化完了時間とした。測定はそれぞれ、3回繰り返して行い、3回の平均値を算出した。
(2)比較例2について
ここでは、低分子量の結晶核剤が有効であることを示す目的で、分子量が十分に高いPHB(Mw=68万)を下記方法により作製し、前述した方法と同様にして樹脂組成物を作製し、結晶化を評価した。
(分子量が十分に高いPHBの製造)
種母培地の組成
1w/v%のMeat−extract、1w/v%のBacto−Trypton、0.2w/v%のYeast−extract、0.9w/v%のNaHPO・12HO、0.15w/v%のKHPO、5×10−6w/v%のカナマイシンとした。
前培養培地の組成
1.1w/v%のNaHPO・12HO、0.19w/v%のKH2PO、1.29w/v%の(NHSO、0.1w/v%のMgSO・7HO、2.5w/v%のパームWオレイン油、0.5v/v%の微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v%のFeCl・6HO、1w/v%のCaCl・2HO、0.02w/v%のCoCl2・6HO、0.016w/v%のCuSO・5HO、0.012w/v%のNiCl・6HOを溶かしたもの)とした。
PHB生産培地の組成
0.385w/v%のNa2HPO・12HO、0.067w/v%のKHPO、0・291w/v%の(NHSO、0.1w/v%のMgSO・7HO、0.5v/v%の微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v%のFeCl・6HO、1w/v%のCaCl・2HO、0.02w/v%のCoCl・6HO、0.016w/v%のCuSO・5HO、0.012w/v%のNiCl・6HOを溶かしたもの)とした。炭素源として、パーム核油を分別した低融点画分であるパーム核油オレインのみを用いた。
まず、Cupriavidus necator(旧分類:Ralstonia eutropha或いはAlcaligenes eutrophus) H16(ATCC17699)株のグリセロールストック(50μL)を上記種母培地(10mL)に接種して24時間培養した後、1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−300型)に1.0v/v%の濃度で接種した。運転条件は、培養温度30℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールしながら28時間培養した。pHのコントロールには、7%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
次に、6LのPHB生産培地を入れた10Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−1000型)に、上記の前培養液を5.0v/v%の濃度で接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度400rpm、通気量3.6L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールした。pHのコントロールには、7%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。培養は約65時間行った。培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、メタノールで洗浄した後、凍結乾燥し、乾燥菌体を得た。
このようにして得られた乾燥菌体約1gに100mLのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHBを抽出した。上記菌体の残渣をろ別した後、エバポレーターで総容量が約30mLになるまで濃縮した後、約90mLのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したPHBをろ別した後、50℃で3時間真空乾燥し、PHBを得た。このようにして得られたPHBについて、GPCで測定したMwは68万であった。また、DSCで測定した融点は175℃であった。
これらの結果を表3にまとめて示す。
表3より、本発明の方法によって得られた低分子量PBHを用いた本発明例では、結晶化開始時間(11秒)および結晶化完了時間(28秒)ともに、上記低分子量を用いない比較例1に比べて短くなった。すなわち、上記低分子量PHBは、樹脂組成物の結晶化速度向上効果に優れており、PHA樹脂の結晶核剤として非常に有用であることが分かる。
これに対し、Mwが68万と分子量が非常に大きいPHBを用いた比較例2では、結晶化開始時間は上記本発明例と同様、短い(12秒)ものの、結晶化完了時間が81秒と、非常に長くなった。これは、分子量が高くなると粘度が高くなり、PHBが均一に分散しないため、結晶化効果が不均一になったと推察される。よって、上記比較例2との対比結果からも、結晶核剤は、分子量の低いものが有効であることが確認された。

Claims (11)

  1. IV型のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子を有する微生物としてBacillus属細菌を用いるか、または、
    IV型のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子を有する微生物としてBacillus属細菌以外の微生物に、Bacillus属細菌由来のIV型のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子、ケトチオラーゼ遺伝子、およびアセトアセチル−CoA還元酵素遺伝子を組み込んだ形質転換体を用いて、
    炭素数が1〜6の低級アルコールの存在下で培養することを特徴とする、重量平均分子量が5,000〜40,000であり、カルボキシ末端が修飾されたポリヒドロキシアルカン酸を製造する方法。
  2. 前記アルコールを加えた培地でBacillus属細菌または形質転換体を培養するものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記アルコールは、エタノールである請求項に記載の製造方法。
  4. 前記培地中のアルコール濃度は、0.01〜5体積%である請求項2または3に記載の製造方法。
  5. 前記カルボキシ末端がエステル化されたものである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記カルボキシ末端が、炭素数が1〜6の低級アルキルによってエステル化されたものである請求項に記載の製造方法。
  7. 前記カルボキシ末端が、エチルエステル化されたものである請求項に記載の製造方法。
  8. ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)を少なくとも含むポリヒドロキシアルカン酸を製造するものである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  9. ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)またはポリ(3−ヒドロキシ酪酸−co−3−ヒドロキシ吉草酸)を製造するものである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記Bacillus属細菌が、Bacillus cereusである請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記Bacillus属細菌以外の微生物が大腸菌である請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
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