WO2017033652A1 - 遊離のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシアルカン酸樹脂組成物、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
遊離のヒドロキシ基を有する新規の短鎖PHAとその製造方法を提供することを課題とする。 本発明は、炭素数3~6のジヒドロキシアルカン酸と、炭素数3~6のモノヒドロキシアルカン酸のそれぞれをモノマーユニットとして含有し、前記モノヒドロキシアルカン酸のモノマーユニットとしての含有量が80モル%以上であるポリヒドロキシアルカン酸、およびそれからなる樹脂組成物等を提供する。
Description
本発明は、遊離のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシアルカン酸樹脂組成物、およびその製造方法に関する。
ポリヒドロキシアルカン酸(polyhydroxyalkanoate;以下、「PHA」と略す)は、多くの微生物種の細胞内にエネルギー貯蔵物質として生産、蓄積される熱可塑性ポリエステルである。微生物によって様々な天然の炭素源から生産されるPHAは、土中や水中の微生物により完全に生分解されるため、自然界の炭素循環プロセスに取り込まれることになる。したがって、PHAは生態系への悪影響がほとんどない環境調和型のプラスチックであると言える。近年、環境汚染、廃棄物処理、石油資源の観点から、合成プラスチックが深刻な社会問題となるに至り、PHAが環境に対して悪影響を与えないグリーンプラスチックとして注目され、その実用化が切望されている。
微生物中で最初に発見されたPHAは、3-ヒドロキシ酪酸(3-hydroxybutyrate;以下、「3HB」と略す)のホモポリマーであるポリヒドロキシブチレート(Poly-3-hydroxybutyrate;以下、「PHB」と略す)である。PHBは高結晶性であり、結晶化度が高いため硬くて脆く、しかも融点付近の温度(180℃)で速やかに熱分解するため、溶融加工性が低く実用範囲は極めて限られるという問題を有している。
そこで、PHBの結晶化度を下げて脆性を改善するため、他の3-ヒドロキシアルカン酸をPHB骨格中に導入する試みがなされた。例えば、これまでに3-ヒドロキシプロピオン酸(3-hydroxypropionate;以下、「3HP」と略す)、4-ヒドロキシ酪酸(4-hydroxybutyrate;以下、「4HB」と略す)、5-ヒドロキシ吉草酸(5-hydroxyvalerate;以下、「5HV」と略す)など側鎖を持たない直鎖状モノマーや、乳酸、3-ヒドロキシ吉草酸(3-hydroxyvalerate;以下、「3HV」と略す)、3-ヒドロキシヘキサン酸(3-hydroxyhexanonate;以下、「3HHx」と略す)のようなアルキル分岐鎖を有するモノマーについて、PHB骨格への導入が報告されている。導入するモノマーの種類やその共重合比率によって得られるPHAの物性は変化するが、基本的にどのモノマーを導入してもPHBの結晶化度が低下するため、PHBと比べて溶融加工性が改善することが分かっている。しかしながら、さらに優れた物性や溶融加工性を有するPHAを生産するためには、これらのモノマー導入による加工性改善効果は、非常に限定的であるのが実情である。
PHAの用途をさらに広げるには、既知のPHAとは物性が大きく異なる新たなPHAの開発が必要である。しかし、新たなPHAを生産するためには、単純に主鎖の長さや側鎖の大きさを変化させるだけではなく、PHAに何らかの官能基を導入することが有効と考えられる。
PHAに官能基を導入することにより、官能基同士の相互作用により、分子内または分子間の相互作用が生じ、これに伴い、PHAの融点、結晶化温度と結晶化度が高くなることが知られている。結晶化温度が高くなれば、溶融樹脂を加工する際に、樹脂の固化が速くなり、加工時間、冷却時間の短縮につながり、成形加工時の生産性が高くなる。また、融点と結晶化度が高くなると、実用上の耐熱温度が高くなり、幅広い用途展開ができる。加えて、PHAに官能基を導入することにより、官能基と親和性を有する素材との親和性が改善され、他の材料とのブレンドや積層、接着や塗装時の接着剤や塗料等との密着性を改良できる。さらに、官能基が反応性を有する場合には、この官能基と反応性がある素材や接着剤、塗料などを用いれば、反応を介することで密着性を改善できる。側鎖に反応性を有する場合は、側鎖にある官能基を介して、新たなグラフト鎖を導入したり、PHAの分子間反応、さらには架橋を導入することもできる。一般的にポリマー鎖にグラフト反応や、分子間反応により分岐鎖を導入することで、分子の絡み合いが増加し、ポリマーの溶融張力や溶融時の流動性、高温時の形状保持性等が変化することが知られている。これにより、真空成形、発泡成形、ブロー成形などの溶融時の形状保持性が求められる成形での成形性の改善や得られた成形体の熱変形温度や耐熱変形性の改善が期待できる。また、グラフト鎖として、PHAとは異なる構造の分子鎖を導入できれば、グラフト鎖と親和性が高い材料とPHAをブレンドする場合の相溶化剤、界面安定剤として、あるいは接着する場合の、接着剤またはプライマーとして使用することが期待できる。
官能基を有するPHAおよびこれを介して分岐構造を導入したPHAはそのものを使用することもできるが、官能基を持たないPHAと共用することにより、官能基を持たないPHAの改質材としても使用でき、改質材として使用する場合も、上記のような効果が期待できる。
これまでに、PHAに官能基を導入した例として、特許文献1では炭素数6~12のモノヒドロキシアルカン酸を主成分とするPHA(以下、「中鎖PHA」と略す)の側鎖にチオエステル基を導入したことが報告されている。また、非特許文献1には、中鎖PHAの側鎖に、分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基、ハロゲン化アルキル基、アセトキシ基、エステル基、アルコシキ基、エポキシ基、チオール基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基やベンゾイル基などの芳香環化合物を導入した前例がまとめられている。これら官能基の導入は、PHAの物性を大きく変化させるだけでなく、化学的に修飾するための反応起点を付与する点でも重要である。ところが、中鎖PHAは、融点40~80℃のエラストマーであることが知られており、耐熱性も低く、フィルム、シート、射出成形品など、固形の成形体としての実用性に乏しいという問題がある。固形の成形体用途を目的とした場合、PHAの融点は100℃以上であることが好ましい。したがって、炭素数3~5のモノヒドロキシアルカン酸を主成分とするPHA(以下、「短鎖PHA」と略す)に官能基を導入した官能基含有短鎖PHAの開発が望まれている。
しかし、短鎖PHAに官能基を導入した例としては、非特許文献2に二重結合を持つ3-ヒドロキシ-4-ペンテン酸を含有するPHAを生産したことが報告されているに過ぎない。官能基を有するモノマーをPHAに効率的に取り込ませるためには、PHA合成酵素の基質特異性が課題となる。上述の通り、官能基を有するモノマーを、中鎖PHAに導入した例が数多くみられるのに対して、短鎖PHAに導入した報告が少ないのは、このPHA合成酵素の基質特異性に依るところが大きい。
Marta Tortajada, Luiziana Ferreira da Silva, Maria Auxiliadora Prieto, International Microbiology, vol.16,pp.1-15,2013
Henry E. Valentin, Pierre A. Berger, Kenneth J. Gruys, Maria Filomena de Andrade Rodrigues,Alexander Steinbuchel, Munhtien Tran,Jawed Asrar,Macromolecules,vol.32,pp.7389-7395,1999
本発明の課題は、遊離のヒドロキシ基を有する新規の短鎖PHAとその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の微生物を、δ-バレロラクトンおよび/またはε-カプロラクトンを使用して培養すること、またはグリコール酸を使用して培養することにより、遊離のヒドロキシ基を有するPHAを生産できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一の態様は、炭素数3~6のジヒドロキシアルカン酸および炭素数3~6のモノヒドロキシアルカン酸をモノマーユニットとして含有し、前記モノヒドロキシアルカン酸の含有量が80モル%以上であるポリヒドロキシアルカン酸からなる樹脂組成物に関する。前記ジヒドロキシアルカン酸は、3,5-ジヒドロキシ吉草酸であることが好ましく、その含量が0.5~20モル%であることがより好ましい。また、前記ジヒドロキシアルカン酸は、3,6-ジヒドロキシヘキサン酸であることが好ましく、その含量が0.5~20モル%であることがより好ましい。また、前記ジヒドロキシアルカン酸は、2,3-ジヒドロキシ酪酸であることが好ましく、その含量が0.05~15モル%であることがより好ましい。また、前記ジヒドロキシアルカン酸は、3,4-ジヒドロキシ酪酸であることが好ましく、その含量が0.05~10モル%であることがより好ましい。さらに前記ジヒドロキシアルカン酸は、2,3-ジヒドロキシ酪酸と3,4-ジヒドロキシ酪酸であることが好ましい。一実施形態において、本発明は、前記樹脂組成物からなる成形体に関する。他の実施形態において本発明は、前記樹脂組成物を加工して、所望の形状に成形する工程を含むことを特徴とする、前記成形体の製造方法に関する。さらに別の実施形態において、本発明は、前記樹脂組成物もしくは前記成型体を含む細胞足場材料、または前記樹脂組成物もしくは前記成型体の細胞足場材料としての使用に関する。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載の樹脂組成物を製造する方法に関する。この方法は、R体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ、およびPHA合成酵素をコードする遺伝子を有する微生物をδ-バレロラクトン、および/またはε-カプロラクトンを用いて培養する工程、および該微生物から前記樹脂組成物を回収する工程を含む。前記微生物は、R体特異的エノイル-CoAヒドラターゼをコードする遺伝子の発現が強化されていることが好ましく、S体特異的エノイル-CoAヒドラターゼをコードする遺伝子の発現が弱化されていることが好ましい。また、前記微生物はCupriavidus(カプリアビダス)属に属する微生物であることが好ましく、Cupriavidus necator(カプリアビダス ネカトール)であることがより好ましい。さらに、前記微生物は、Aeromonas(アエロモナス)属由来のPHA合成酵素を有する微生物であることが好ましい。
本発明の第三の態様も前記第一の態様に記載の樹脂組成物を製造する方法に関する。ただし、本態様の方法では、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ、βケトチオラーゼ、R体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼおよびPHA合成酵素のそれぞれをコードする遺伝子を有する微生物を、グリコール酸を用いて培養する工程、および該微生物から前記樹脂組成物を回収する工程を含む。前記微生物は、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼをコードする遺伝子の発現が強化された微生物であることが好ましく、βケトチオラーゼをコードする遺伝子の発現が強化されていることが好ましい。また、R体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼをコードする遺伝子の発現が強化された微生物であることが好ましい。さらに、前記微生物はCupriavidus属に属する微生物であることが好ましく、Cupriavidus necatorであることがより好ましい。さらに、前記微生物はEscherichia(エシェリキア)属に属する微生物であることが好ましく、Escherichia coli(エシェリキア コリ)であることがより好ましい。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015-164755号の開示内容を包含する。
本発明によれば、遊離のヒドロキシ基を有する全く新規のPHAを製造することができる。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明が提供するPHAは、炭素数3~6のジヒドロキシアルカン酸と炭素数3~6のモノヒドロキシアルカン酸のそれぞれをモノマーユニットとして含有するPHAである。本発明のPHAは、これらのジヒドロキシアルカン酸とモノヒドロキシアルカン酸のみからなるPHAでも良いし、これら以外のモノマーユニットを有していても良い。
本発明のPHAを構成する炭素数3~6のモノヒドロキシアルカン酸としては、例えば、3HB、3HP、4HB、3HV、5HV、3HHx、6-ヒドロキシヘキサン酸(6-hydroxyhexanonate;以下、「6HHx」と略す)などが挙げられる。本発明のPHAにおけるモノヒドロキシアルカン酸は、単一種で構成されていても良いし、複数種で構成されていても良い。モノヒドロキシアルカン酸が複数種で構成される場合、少なくとも3HBを含んでいることが好ましい。本発明のPHAにおけるモノヒドロキシアルカン酸の共重合比率は、80モル%以上であれば特に限定されないが、3HBを含む場合、その共重合比率は、50モル%以上であることがより好ましく、60モル%以上であることがさらに好ましく、70モル%以上であることが一層好ましく、80モル%以上であることが特に好ましい。
一方、本発明のPHAを構成する炭素数3~6のジヒドロキシアルカン酸としては、例えば、3,5-ジヒドロキシ吉草酸(3,5-dihydroxyvalerate;以下、「3,5-DHV」と略す)、3,6-ジヒドロキシヘキサン酸(3,6-dihydroxyhexanonate;以下、「3,6-DHHx」と略す)、2,3-ジヒドロキシ酪酸(2,3-dihydroxybutyrate;以下、「2,3-DHB」と略す)、3,4-ジヒドロキシ酪酸(3,4-dihydroxybutyrate;以下、「3,4-DHB」と略す)などが挙げられる。これらのジヒドロキシアルカン酸に含まれる2つのヒドロキシ基のうち、片方は重合に使用されるが、もう一方は重合後も遊離の状態として存在することになる。この重合後の状態において、遊離のヒドロキシ基は、PHAの主鎖を構成する炭素に直接結合していても良いし、アルキル分岐鎖からなる側鎖を構成する炭素に結合していても良い。本発明のPHAにおけるジヒドロキシアルカン酸は、単一種で構成されていても良いし、複数種で構成されていても良い。
本発明のPHAがジヒドロキシアルカン酸として3,5-DHVをモノマーユニットとして含有する場合、PHAにおける3,5-DHVの共重合比率(モノマーユニットとしての含量)の下限は、0.5モル%であることが好ましく、1モル%であることがより好ましく、1.5モル%であることがさらに好ましく、2モル%であることが特に好ましい。またその上限は、20モル%であることが好ましく、15モル%であることがより好ましく、12モル%であることがさらに好ましく、10モル%であることが特に好ましい。ジヒドロキシアルカン酸として3,5-DHVをモノマーユニットとして含有する本発明のPHAは、モノヒドロキシアルカン酸として3HB、3HP、4HB、3HV、5HV、3HHx、および6HHxのいずれか一以上をモノマーユニットとして含有する共重合体であっても良い。また、ジヒドロキシアルカン酸として、3,5-DHV以外に、3,6-DHHx、2,3-DHB、および3,4-DHBのいずれか一以上をモノマーユニットとして含有する共重合体であっても良い。さらに、前記モノヒドロキシアルカン酸およびジヒドロキシアルカン酸のモノマーに加えて、炭素数が7以上のモノマーを含んでいても良い。より好ましくは、モノヒドロキシアルカン酸としての3HB、3HP、および5HVとジヒドロキシアルカン酸としての3,5-DHVの共重合体である。なお、3,5-DHVに含まれる2つのヒドロキシ基のうち、3位のヒドロキシ基が重合に使用される方が好ましい。
本発明のPHAがジヒドロキシアルカン酸として3,6-DHHxをモノマーユニットとして含有する場合、PHAにおける3,6-DHHxの共重合比率(モノマーユニットとしての含量)の下限は、0.5モル%であることが好ましく、1モル%であることがより好ましく、1.2モル%であることがさらに好ましい。またその上限は、20モル%であることが好ましく、15モル%であることがより好ましく、10モル%であることがさらに好ましく、8モル%であることが特に好ましい。ジヒドロキシアルカン酸として3,6-DHHxをモノマーユニットとして含有する本発明のPHAは、モノヒドロキシアルカン酸として3HB、3HP、4HB、3HV、5HV、3HHx、6HHxのいずれか一以上をモノマーユニットとして含有する共重合体であっても良い。また、ジヒドロキシアルカン酸として、3,6-DHHx以外に、3,5-DHV、2,3-DHB、および3,4-DHBのいずれか一以上をモノマーユニットとして含有する共重合体であっても良い。さらに、前記モノヒドロキシアルカン酸およびジヒドロキシアルカン酸のモノマーに加えて、炭素数が7以上のモノマーを含んでいても良い。より好ましくは、モノヒドロキシアルカン酸としての3HBおよび4HBとジヒドロキシアルカン酸としての3,6-DHHxの共重合体である。なお、3,6-DHHxに含まれる2つのヒドロキシ基のうち、3位のヒドロキシ基が重合に使用される方が好ましい。
上記のような3,5-DHVおよび/または3,6-DHHxをモノマーユニットとして含有するPHAを生産する方法としては、特に限定されないが、例えば、R体特異的エノイル-CoAヒドラターゼをコードする遺伝子(以下「R体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子」という)およびPHA合成酵素をコードする遺伝子(以下、「PHA合成酵素遺伝子」という)を有する本発明の微生物(以下、「微生物A」という)を、ε-カプロラクトンまたはδ-バレロラクトンを炭素源の少なくとも一部として使用して培養する方法が挙げられる。
微生物Aは、内在性(endogenous)および/または外来性(exogenous)のR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子およびPHA合成酵素遺伝子を有する限り特に限定されないが、R体特異的エノイル-CoAヒドラターゼが強化されていることが好ましい。ここで「R体特異的エノイル-CoAヒドラターゼの強化」とは、例えば、R体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子の発現量を増強して宿主細胞あたりのR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼの絶対量を増加すること、および/またはR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ1分子あたりの活性を高めることをいう。前記強化方法は特に限定されないが、R体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子の発現を強化する方法が好ましい。そのような遺伝子発現の強化方法としては、例えば内在性のR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子のプロモーターを強発現プロモーターに置換する方法、強発現プロモーターを該遺伝子の上流に挿入する方法、該遺伝子のプロモーターを一部改変する方法、が挙げられる。あるいは、R体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子を、プラスミドで保持する形式、または染色体の任意の位置に導入する形式によって宿主細胞に導入しても良い。ただし、プラスミドで保持する形式の場合、培養中にプラスミドが脱落する可能性があるため、プラスミド保持の選択圧をかけながら培養しなければならない。したがって、染色体上に保持する形式がより好ましい。この際、導入するR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子は、宿主由来であっても良いし、宿主以外の生物由来であっても良いし、あるいはそれらの遺伝子を人工的に改変した遺伝子であっても良い。さらに、導入するR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子は複数種あっても良い。
微生物Aが有するR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子としては、Cupriavidus属由来のR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子であることが好ましい。一例として、宿主がCupriavidus necatorである場合、染色体上にはR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子としてphaJ4a、phaJ4b、およびphaJ4cの3つが存在する。これら3つの遺伝子のうち1つまたは複数についてその発現を強化すれば良い。発現強化方法の具体例として、phaJ4b直上流にtrcプロモーターを挿入する方法がある。このようなプロモーターの挿入または置換の方法は、当該分野で公知の方法を用いれば良い。例えば、宿主となる微生物の染色体上に存在するR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子の直上流に位置するプロモーターを別のプロモーターに置換する、または直上流に別のプロモーターを挿入するには、相同組換え法等が利用できる。DNAの挿入または置換の具体的な方法については、例えば、Green,M.R. and Sambrook,J.,2012,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Fourth Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New Yorkに記載の方法を参考にすれば良い。
さらに、微生物Aは、内在性のS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼが弱化されていることがより好ましい。ここで「S体特異的エノイル-CoAヒドラターゼの弱化」とは、例えば、S体特異的エノイル-CoAヒドラターゼをコードする遺伝子(以下「S体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子」という)の発現量を低減して宿主細胞あたりのS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼの絶対量を減少すること、および/またはS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ1分子あたりの活性を低下することをいう。前記弱化方法は特に限定されないが、S体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子を全長にわたって、または部分的に、欠損する方法、またはS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子への塩基の付加、欠失、または置換によって発現するS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼの機能が欠損する方法が好ましい。内在するS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子の数は宿主によって異なり、また現時点で染色体上のS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子が全て同定されていない場合もあるが、可能な限り弱化されていることが好ましい。
微生物Aが有するS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子としては、Cupriavidus属由来のS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子であることが好ましい。一例として、宿主がCupriavidus necatorである場合、少なくとも現時点では、染色体上のS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子として、fadB1、fadB2、fadB’の3つが存在することが報告されている。したがって、それらのうち一以上の遺伝子が欠損していることが好ましく、3つ全てが欠損していることが特に好ましい。染色体上の遺伝子機能を欠損させるための改変は、公知のDNA組換え技術を用いることで達成できる。例えば、相同組換え法によって、宿主の染色体上に存在するS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝子を全長または部分的に欠失させることができる。
微生物Aは、内在性および/または外来性のPHA合成酵素遺伝子を有する微生物である。外来性のPHA合成酵素遺伝子を保持する形式としては、プラスミドで保持する形式、または染色体の任意の位置に導入する形式のどちらであっても良い。本発明の微生物Aが有するPHA合成酵素遺伝子が外来性のPHA合成酵素遺伝子である場合、当該PHA合成酵素遺伝子は、宿主と同じ種の微生物由来であっても良いし、宿主とは異なる種の微生物由来であっても良いし、またはそれらの遺伝子を人工的に改変した遺伝子であっても良い。導入する遺伝子は、複数あっても良い。
微生物Aが有するPHA合成酵素遺伝子としては、Aeromonas属由来のPHA合成酵素遺伝子であることが好ましい。一例として、配列番号1に記載するアミノ酸配列からなる、Aeromonas caviae(アエロモナス キャビエ)由来で、かつ149番目のアスパラギンがセリンに、171番目のアスパラギン酸がグリシンにそれぞれ人工的に置き換えられたPHA合成酵素をコードする遺伝子を使用することができる。
微生物Aの形質転換用宿主として用いる生物種は、微生物であれば特に限定されない。細菌、または真菌のいずれであっても良い。例えば、Acinetobacter(アシネトバクター)属、Aeromonas(アエロモナス)属、Alcaligenes(アルカリゲネス)属、Allochromatium(アルロクロマチウム)属、Azorhizobium(アゾリゾビウム)属、Azotobacter(アゾトバクター)属、Bacillus(バチルス)属、Burkholderia(バークホルデリア)属、Candida(カンジダ)属、Caulobacter(カウロバクター)属、Chromobacterium(クロモバクテリウム)属、Comamonas(コマモナス)属、Cupriavidus(カプリアビダス)属、Ectothiorhodospira(エクトチオドスピラ)属、Escherichia属、Klebsiella(クレブシエラ)属、Methylobacterium(メチロバクテリウム)属、Nocardia(ノカルディア)属、Paracoccus(パラコッカス)属、Pseudomonas(シュードモナス)属、Ralstonia(ラルストニア)属、Rhizobium(リゾビウム)属、Rhodobacter(ロドバクター)属、Rhodococcus(ロドコッカス)属、Rhodospirillum(ロドスピリルム)属、Rickettsia(リケッチア)属、Saccharomyces(サッカロミセス)属、Sinorhizobium(シノリゾビウム)属、Sphingomonas(スフィンゴモナス)属、Synechocystis(シネコシスティス)属、Thiococcus(チオコッカス)属、Thiocystis(チオキスチス)属、Vibrio(ビブリオ)属、Wautersia(ウォーテルシア)属、またはZoog/Loea(ゾオグ/ロエア)属に属する微生物が挙げられる。中でもAeromonas属、Alcaligenes属、Cupriavidus属、Escherichia属、Pseudomonas属、Ralstonia属等に属する微生物が好ましく、Cupriavidus属、Escherichia属、Ralstonia属に属する微生物がより好ましく、Cupriavidus属に属する微生物がさらに好ましい。微生物Aの形質転換用宿主として特に好ましい微生物は、Cupriavidus necatorである。
上記微生物Aを、δ-バレロラクトンおよび/またはε-カプロラクトン存在下で培養することで、3,5-DHVおよび/または3,6-DHHxをジヒドロキシアルカン酸のモノマーユニットとして含有するPHAを生産することができる。この場合の、δ-バレロラクトンおよび/またはε-カプロラクトンの培養液中の濃度は特に限定されないが、例えば0.1g/L以上あれば良く、0.5g/L以上であることが好ましい。一方、培養液中のδ-バレロラクトンおよび/またはε-カプロラクトン濃度が高くなると、微生物の生育やPHAの生産に悪影響が出る可能性があることから、その上限は、5g/Lであることが好ましく、4g/Lであることがより好ましく、3g/Lであることがさらに好ましく、2.5g/Lであることが特に好ましい。また、この悪影響を緩和する方法として、例えば微生物Aをフルクトースなどの炭素源である程度増殖させた後に、δ-バレロラクトンおよび/またはε-カプロラクトンを所定量添加して培養を行うこともできる。あるいは、δ-バレロラクトンおよび/またはε-カプロラクトンを段階的、あるいは連続的に添加することで、培養液中のδ-バレロラクトンおよび/またはε-カプロラクトン濃度をより低位に抑えることもできる。
PHAが2,3-DHBおよび/または3,4-DHBをジヒドロキシアルカン酸のモノマーユニットとして含有する場合、2,3-DHBの共重合比率は、0.05モル%以上であることが好ましく、0.1モル%以上であることがより好ましく、0.2モル%以上であることがさらに好ましく、0.3モル%以上であることが特に好ましい。また2,3-DHBの共重合比率の上限は、15モル%であることが好ましく、10モル%であることがより好ましく、8モル%であることがさらに好ましく、6モル%であることが特に好ましい。
PHAが3,4-DHBをジヒドロキシアルカン酸のモノマーユニットとして含有する場合、他にどのようなモノマーユニットを含んでも良いが、モノヒドロキシアルカン酸の共重合比率は50モル%以上であることが好ましい。特にモノヒドロキシアルカン酸が3HBの場合、その共重合比率は、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましく、80モル%以上であることが特に好ましい。3,4-DHBの共重合比率の下限は、0.05モル%であることが好ましく、0.08モル%であることがより好ましく、0.1モル%であることがさらに好ましい。また3,4-DHBの共重合比率の上限は、10モル%であることが好ましく、8モル%であることがより好ましく、6モル%であることがさらに好ましく、5モル%であることが特に好ましい。
ジヒドロキシアルカン酸として、2,3-DHBおよび/または3,4-DHBをモノマーユニットとして含有し、かつ3HBをモノヒドロキシアルカン酸のモノマーユニットとして含有するPHAにおいては、例えば、3HBと2,3-DHBからなる共重合体、3HBと3,4-DHBからなる共重合体、および3HBと2,3-DHBおよび3,4-DHBからなる共重合体が挙げられる。それ以外のモノマーとして、例えば3HP、4HB、3HV、5HV、3HHx、6HHxなどのモノマーを含んでいても良いし、さらに炭素数が6より多いモノマーを含んでいても良い。より好ましくは、3HB、3HV、および2,3-DHBの3つのモノマーからなる共重合体、または3HB、3HV、2,3-DHB、および3,4-DHBの4つのモノマーからなる共重合体である。なお、2,3-DHBや3,4-DHBに含まれる2つのヒドロキシ基のうち、どちらが重合に使用されても良い。結果として、どちらか片方が重合に使用され、もう一方が遊離のヒドロキシ基となる。また、重合に使用されるヒドロキシ基が異なる2,3-DHBや3,4-DHBが混在していても良い。
このような2,3-DHBおよび/または3,4-DHBをヒドロキシアルカン酸のモノマーユニットとして含有するPHAを生産する方法としては特に限定されないが、例えば、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼをコードする遺伝子(以下、「プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子」という)、βケトチオラーゼをコードする遺伝子(以下、「βケトチオラーゼ遺伝子」という)、R体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼをコードする遺伝子(以下、「R体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼ遺伝子」という)、およびPHA合成酵素遺伝子を有する本発明の微生物(以下、「微生物B」という)を、炭素源の一部として少なくともグリコール酸を使用して培養することで、上記PHAを生産することができる。
微生物Bは、内在性および/または外来性のプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子、βケトチオラーゼ遺伝子、R体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼ遺伝子およびPHA合成酵素遺伝子を有する限り、特に限定されないが、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子の発現が強化されていることが好ましい。プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子の発現強化方法は特に限定されないが、例えば内在性のプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーターをより強発現プロモーターに置換する方法、該プロモーターに人為的改変を加えて発現強度を高める方法、外来性のプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子を適当なプロモーターに連結し、宿主である微生物Bに導入する方法が挙げられる。宿主細胞に導入する形式としては、プラスミドで保持する形式、または染色体上の任意の場所に挿入する形式が挙げられる。プロモーターは、例えば配列番号2に記載する塩基配列からなるtrcプロモーターや、配列番号3に記載する塩基配列からなるtacIプロモーターを使用することができる。外来性のプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子は、宿主と同じ種の微生物由来、宿主とは異なる種の微生物由来、またはそれらの遺伝子を人工的に改変した遺伝子であっても良い。さらに、導入する遺伝子は複数あっても良い。
微生物Bが有するプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子としては、Megasphaera(メガスフェラ)属由来のプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子であることが好ましい。一例として、配列番号4記載のアミノ酸配列からなる、Megasphaera elsedenii(メガスフェラ エルスデニイ)由来のプロピオン酸CoAトランスフェラーゼをコードする遺伝子を使用することができる。このような遺伝子の導入、置換の方法は、当該分野で公知の方法を用いれば良い。例えば、宿主となる微生物Bの染色体上に存在するプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子の直上流にあるプロモーターを置換、または直上流に別のプロモーターを挿入するには、相同組換え法等が利用できる。DNAの挿入または置換の具体的な方法については、前述のGreen,M.R. and Sambrook,J.(2012)を参考にすれば良い。
さらに、微生物Bは、βケトチオラーゼ遺伝子の発現が強化されていることがより好ましい。βケトチオラーゼ遺伝子についても、前述のプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ遺伝子と同様の方法で、発現を強化することが好ましい。導入するβケトチオラーゼ遺伝子としては、例えば、配列番号5記載のアミノ酸配列からなる、Cupriavidus necator由来のβケトチオラーゼをコードする遺伝子(bktB)を使用することができる。
また、微生物Bは、R体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼ遺伝子の発現が強化されていることがより好ましい。R体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼ遺伝子についても、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼをコードする遺伝子と同様の方法で、発現を強化することが好ましい。導入するR体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼ遺伝子としては、例えば、配列番号6記載のアミノ酸配列からなる、Cupriavidus necator由来のR体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼをコードする遺伝子(phaB)を使用することができる。
微生物Bは、内在性および/または外来性のPHA合成酵素遺伝子を有する微生物である。外来性のPHA合成酵素遺伝子を保持する形式としては、プラスミドで保持する形式、または染色体の任意の位置に導入する形式のどちらであっても良い。微生物Bが有するPHA合成酵素遺伝子が外来性のPHA合成酵素遺伝子である場合、当該PHA合成酵素遺伝子は、宿主と同じ種の微生物由来、宿主とは異なる種の微生物由来、またはそれらの遺伝子を人工的に改変した遺伝子であっても良い。導入する遺伝子は複数あっても良い。微生物Bが有するPHA合成酵素遺伝子としては、炭素数3~6のモノヒドロキシアルカン酸CoAを基質とする任意のPHA合成酵素遺伝子を使用することができる。
前記微生物Bの形質転換用宿主として用いる生物種は、微生物であれば特に限定されない。細菌、または真菌のいずれであっても良い。例えば、Acinetobacter属、Aeromonas属、Alcaligenes属、Allochromatium属、Azorhizobium属、Azotobacter属、Bacillus属、Burkholderia属、Candida属、Caulobacter属、Chromobacterium属、Comamonas属、Cupriavidus属、Ectothiorhodospira属、Escherichia属、Klebsiella属、Methylobacterium属、Nocardia属、Paracoccus属、Pseudomonas属、Ralstonia属、Rhizobium属、Rhodobacter属、Rhodococcus属、Rhodospirillum属、Rickettsia属、Saccharomyces属、Sinorhizobium属、Sphingomonas属、Synechocystis属、Thiococcus属、Thiocystis属、Vibrio属、Wautersia属、Zoog/Loea属に属する微生物が挙げられる。中でもAeromonas属、Alcaligenes属、Cupriavidus属、Escherichia属、Pseudomonas属、Ralstonia属等に属する微生物が好ましく、Cupriavidus属、Escherichia属、Ralstonia属に属する微生物がより好ましく、Cupriavidus属、またはEscherichia属に属する微生物がさらに好ましい。微生物Bの形質転換用宿主として特に好ましい微生物は、Cupriavidus necator、またはEscherichia coliである。
上記本発明の微生物Bを、グリコール酸存在下で培養することで、2,3-DHBおよび/または3,4-DHBをジヒドロキシアルカン酸のモノマーユニットとして含有するPHAを生産することができる。この場合の、グリコール酸の培養液中の濃度は特に限定されないが、例えば1g/L以上あれば良く、2g/L以上であることが好ましい。また、その上限としては、15g/Lであることが好ましく、10g/Lであることがより好ましい。
本発明のPHAを上述した微生物Aまたは微生物Bを用いて生産する場合、培養時の炭素源としては、上記ε-カプロラクトンまたはδ-バレロラクトン、あるいはグリコール酸以外に、微生物Aまたは微生物Bが資化可能な炭素源を併用することもできる。そのような炭素源は、特に限定されないが、好ましくは、グルコース、フルクトース、スクロースなどの糖類、パーム油、パーム核油、コーン油、やし油、オリーブ油、大豆油、菜種油、ヤトロファ油などの油脂、その分画油類もしくはその精製副産物、またはラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸などの脂肪酸、それらの誘導体等が好ましい。また、酵母エキスやポリペプトンなども使用することができる。より好ましくは、パーム油、パーム核油などの植物油脂、またはパーム油やパーム核油を分別した低融点分画であるパームオレイン、パームダブルオレイン、もしくはパーム核油オレインである。食糧との競合を避ける観点から、PFAD(パーム油脂肪酸蒸留物)、PKFAD(パーム核油脂肪酸蒸留物)、または菜種油の脂肪酸蒸留物といった油脂の精製副産物等は特に好ましい。
一方で、微生物Aが、S体特異的エノイル-CoAヒドラターゼを一部欠損する場合、β酸化の全欠損または部分欠損により、微生物Aが各種トリグリセリドや脂肪酸蒸留物に含まれる脂肪酸を資化できない場合がある。このような場合には、上記糖類を炭素源として用いることが好ましく、グルコース、フルクトースまたはスクロースを用いることがより好ましく、グルコースまたはフルクトースを用いることがさらに好ましく、フルクトースを用いることが特に好ましい。
微生物Aまたは微生物Bによる本発明のPHAの生産においては、上記炭素源、炭素源以外の栄養源である窒素源、無機塩類、およびその他の有機栄養源を含む培地を用いて、前記微生物を培養することが好ましい。窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、尿素、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス等が挙げられる。無機塩類としては、例えばリン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。そのほかの有機栄養源としては、例えばグリシン、アラニン、セリン、スレオニン、プロリン等のアミノ酸、ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンC等のビタミン等が挙げられる。
培養温度、培養時間、培養時pH、培地等の条件は、微生物Aまたは微生物Bにおいて通常使用される培養条件で良い。
本発明において、微生物菌体からPHAを回収する方法は、特に限定されないが、例えば次のような方法により行うことができる。培養終了後、培養液から遠心分離機等で菌体を分離し、その菌体を蒸留水およびメタノール等により洗浄し、乾燥させる。この乾燥菌体から、クロロホルム等の有機溶剤を用いてPHAを抽出する。このPHAを含んだ有機溶剤溶液から、濾過等によって菌体成分を除去し、その濾液にメタノールやヘキサン等の貧溶媒を加えてPHAを沈殿させる。さらに、濾過や遠心分離によって上澄み液を除去し、乾燥させてPHAを回収する。
なお、本発明のPHAは、上記微生物による生産に限定されず、例えば化学重合法等を利用することによっても生産できる。
上記本発明のPHAからなる樹脂組成物は、単独で、または、他のポリマーと混合して、適宜所望の形状に成形することにより成形体とすることができる。その際、当該樹脂組成物には、さらに必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料・顔料などの着色剤、可塑剤、滑剤、無機充填剤、帯電防止剤、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、難燃剤、結晶核剤などを添加しても良い。また、本発明のPHAからなる樹脂組成物にさらに分子間反応やグラフト鎖導入、架橋などの処理を行っても良い。成形加工方法としては従来公知の方法で良く、例えば射出成形、フィルム成形、ブロー成形、繊維の紡糸、押出発泡、ビーズ発泡などが挙げられる。前記成形体は、例えば各種容器、包装材、農園芸用のフィルム、医療材料等に用いることができる。
本発明のPHAからなる樹脂組成物は、例えば、細胞足場(scaffolds、スキャフォールド)を形成するための材料(細胞足場用材料)としても好ましく使用し得る。したがって、一実施形態において、本発明は、本発明のPHAからなる樹脂組成物もしくは上記成形体を含む細胞足場材料、または本発明のPHAからなる樹脂組成物もしくは上記成形体の細胞足場材料としての使用に関する。細胞足場材料と使用することができる本発明のPHAの種類は特に限定しないが、例えば3HB、3HV、および2,3-DHBの3つのモノマーからなる共重合体を使用することができる。
本明細書において、「細胞足場材料」とは、細胞が当該材料と接することによって、細胞の接着、増殖、分化、活性化、移動、遊走、形態変化等の様々な機能が発現および/または促進される材料を意味する。
本発明の樹脂組成物を含む細胞足場材料は、適度な親水性と良好な機械物性を有し、かつ重大な細胞毒性を有しないことから、細胞の増殖、活性化、分化誘導、もしくは定着、または組織や臓器の形成、修復、もしくは接着等に利用することができ、特に、心臓血管や軟部組織のマトリクスとして使用できる可能性を有する。
本発明のPHAからなる樹脂組成物を含む細胞足場材料は、公知の方法により製造することが可能である。例えば、細胞足場材料は、J.Biomed.Mater.Res.1999,44,446-455.で記載された通りに製造することができる。例えば、細胞足場材料は、本発明のPHAからなる樹脂組成物を、1,4-ジオキサン中に溶解させ、得られた溶液を凍結し、その後凍結乾燥によって溶媒を除去し、必要に応じて減圧乾燥によって残存する溶媒をさらに除去することで得ることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、菌株の育種、PHAのモノマー組成分析、PHAの結晶化の評価方法、PHAフィルムの水接触角の評価方法は以下の通りである。
(菌株の育種)
本明細書の実施例、製造例、および比較例における遺伝子操作は、前述のGreen,M.R. and Sambrook,J.(2012)に記載されている方法で行うことができる。また、遺伝子操作に使用する酵素、クローニング宿主などは市場の供給者から購入し、その取扱説明書に従って使用することができる。なお、実施例等に用いられる酵素は、遺伝子操作に使用できるものであれば特に限定されない。
本明細書の実施例、製造例、および比較例における遺伝子操作は、前述のGreen,M.R. and Sambrook,J.(2012)に記載されている方法で行うことができる。また、遺伝子操作に使用する酵素、クローニング宿主などは市場の供給者から購入し、その取扱説明書に従って使用することができる。なお、実施例等に用いられる酵素は、遺伝子操作に使用できるものであれば特に限定されない。
(PHAに含まれるモノマーの共重合比率の分析)
実施例1~4、および比較例1~3について、得られたPHAに含まれるモノマーの共重合比率は、NMRを用いて分析した。得られたPHA2mgを重クロロホルム2mLに溶かし、試料管に移して測定に供した。検出された各ピークの面積から、モノマーユニットの共重合比率を算出した。
実施例1~4、および比較例1~3について、得られたPHAに含まれるモノマーの共重合比率は、NMRを用いて分析した。得られたPHA2mgを重クロロホルム2mLに溶かし、試料管に移して測定に供した。検出された各ピークの面積から、モノマーユニットの共重合比率を算出した。
実施例5~8については、ガスクロマトグラフィーを用いてモノマーの共重合比率を測定した。まず、5~15mgの乾燥菌体にメタノール1.7mL、濃硫酸0.3mL、およびクロロホルム2mLを添加し、100℃で140分間加熱することにより、各モノマーユニットをメチルエステル化した。反応液を室温まで冷却した後、水1mLを添加して、ボルテックスミキサーにより激しく懸濁した。室温にて10分間静置することにより二相に分離させて、下層のクロロホルム層のみを回収した。回収したクロロホルム層をフィルターろ過に供し、得られた溶液0.5mLを内標準溶液0.5mL(0.1%オクタン酸メチルを含有するクロロホルム溶液)と混和した後、サンプルバイアルに移液し、ガスクロマトグラフィーに供した。前記ガスクロマトグラフとしては島津社製GC-17A、キャピラリーカラムにはNeutra Bond-1(カラム長:30m、内径0.25mm)(アジレント社製)を使用し、水素炎イオン化型検出器にて検出した。検出された各ピークの面積から、モノマーユニットの共重合比率を算出した。
(PHAの結晶化の評価)
得られたPHAの結晶化は、示差走査熱量計を用いて測定を行うことにより評価した。示差走査熱量測定において、2~5mgのPHAを5℃から170℃まで10℃/分で昇温して5分間保持したあと、170℃から5℃まで10℃/分で冷却した。その後、5℃で5分間保持した後、再度170℃まで10℃/分で昇温した。冷却時に得られた発熱曲線における結晶化ピーク温度(Tc)および結晶化発熱量(Hc)から結晶化のし易さを評価した。結晶化ピーク温度(Tc)が高く、結晶化発熱量(Hc)が大きいほど結晶化が優れている。また、2回目の昇温時に得られた吸熱曲線において、溶融ピークのピークトップの温度を融点(Tm)とした。
得られたPHAの結晶化は、示差走査熱量計を用いて測定を行うことにより評価した。示差走査熱量測定において、2~5mgのPHAを5℃から170℃まで10℃/分で昇温して5分間保持したあと、170℃から5℃まで10℃/分で冷却した。その後、5℃で5分間保持した後、再度170℃まで10℃/分で昇温した。冷却時に得られた発熱曲線における結晶化ピーク温度(Tc)および結晶化発熱量(Hc)から結晶化のし易さを評価した。結晶化ピーク温度(Tc)が高く、結晶化発熱量(Hc)が大きいほど結晶化が優れている。また、2回目の昇温時に得られた吸熱曲線において、溶融ピークのピークトップの温度を融点(Tm)とした。
また、結晶核の形成速度を偏光顕微鏡を用いて評価した。まず、約1~2mgのPHAをスライドガラスに乗せ、200℃で5分間加熱した。その後、サンプルを55℃のステージに移し、結晶核の形成を目視で観察した。結晶核形成時間が短いほど、結晶化が優れている。
(PHAフィルムの水接触角の評価)
PHAフィルムは、PHAをクロロホルムに溶解し、ガラスシャーレ上でクロロホルム溶液を揮発させる方法で調製した。このPHAフィルムを用いて、水接触角を液滴法(Sessile Droplet Method)で測定した。測定は、接触角計(協和界面科学社製Dropmaster DMe-201)を使用して行い、10回の測定結果の平均値を示した。
PHAフィルムは、PHAをクロロホルムに溶解し、ガラスシャーレ上でクロロホルム溶液を揮発させる方法で調製した。このPHAフィルムを用いて、水接触角を液滴法(Sessile Droplet Method)で測定した。測定は、接触角計(協和界面科学社製Dropmaster DMe-201)を使用して行い、10回の測定結果の平均値を示した。
<製造例1:KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株の作製>
まず、染色体上のphaJ4b遺伝子の上流にphaJ4b遺伝子の発現を強化するための発現調節配列を挿入することを目的とし、phaJ4b遺伝子の直上流に発現調節配列を挿入するためのプラスミドを作製した。C. necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号7および配列番号8で示したDNAをプライマーペアとして、PCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plus(東洋紡社製)を用いた。同様に、配列番号9および配列番号10で示したDNAをプライマーペアとして、PCRを行った。さらに、プラスミドpKK388-1(CLONTECH社製)を鋳型とし、配列番号11および配列番号12で示したDNAをプライマーペアとして、同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた3種類のDNA断片を鋳型とし、配列番号7および配列番号12で示したDNAをプライマーペアとして、同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SmiIで消化した。このDNA断片を、特開2007-259708号公報に記載のベクターpNS2X-sacBをSmiIで消化して得られたDNA断片と、DNAリガーゼ(Ligation High、東洋紡社製)を用いて連結し、phaJ4b遺伝子より上流の塩基配列、trcプロモーター、phaC1 SD配列、およびphaJ4b遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドpNS2X-sacB+phaJ4bU-trc-phaJ4bを作製した。
まず、染色体上のphaJ4b遺伝子の上流にphaJ4b遺伝子の発現を強化するための発現調節配列を挿入することを目的とし、phaJ4b遺伝子の直上流に発現調節配列を挿入するためのプラスミドを作製した。C. necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号7および配列番号8で示したDNAをプライマーペアとして、PCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plus(東洋紡社製)を用いた。同様に、配列番号9および配列番号10で示したDNAをプライマーペアとして、PCRを行った。さらに、プラスミドpKK388-1(CLONTECH社製)を鋳型とし、配列番号11および配列番号12で示したDNAをプライマーペアとして、同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた3種類のDNA断片を鋳型とし、配列番号7および配列番号12で示したDNAをプライマーペアとして、同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SmiIで消化した。このDNA断片を、特開2007-259708号公報に記載のベクターpNS2X-sacBをSmiIで消化して得られたDNA断片と、DNAリガーゼ(Ligation High、東洋紡社製)を用いて連結し、phaJ4b遺伝子より上流の塩基配列、trcプロモーター、phaC1 SD配列、およびphaJ4b遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドpNS2X-sacB+phaJ4bU-trc-phaJ4bを作製した。
次に、プロモーターおよびSD配列挿入株の作製を行った。DNA挿入用プラスミドpNS2X-sacB+phaJ4bU-trc-phaJ4bを大腸菌S17-1株(ATCC47055)に導入し、KNK-005 ΔphaZ1,2,6株(WO2014/065253号参照)とNutrient Agar培地(DIFCO社製)上で混合培養して接合伝達を行った。KNK-005 ΔphaZ1,2,6株は、染色体上のphaZ1遺伝子およびphaZ6遺伝子を全長欠失し、phaZ2遺伝子の16番目のコドンから終止コドンまでを欠失し、染色体上に配列番号13に記載のPHA合成酵素遺伝子を有する菌株である。
上記接合伝達後の菌株から、250mg/Lのカナマイシン硫酸塩を含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム 7水和物0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)上で生育する菌株を選択し、前記プラスミドがKNK-005株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(DIFCO社製)で2世代培養した後、15%のショ糖を含むNutrient Agar培地で生育する菌株を選択した。得られた菌株から染色体上のphaJ4b遺伝子の上流に配列番号14で示される、trcプロモーターおよびphaC1 SD配列を有するDNA断片が挿入された菌株をPCRにより選別し、うち1株をKNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6株と命名した。KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6株は、KNK-005 ΔphaZ1,2,6株を親株とし、phaJ4b遺伝子上流にtrcプロモーターおよびphaC1 SD配列が挿入された菌株である。
次にfadB1遺伝子の破壊を目的とし、遺伝子置換用プラスミドの作製を行った。C. necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号15および配列番号16で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plusを用いた。同様に配列番号17および配列番号18で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。さらに、上記PCRで得られた2種DNA断片を鋳型とし、配列番号15および配列番号18で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SmiIで消化した。このDNA断片を、pNS2X-sacBをSmiIで消化したDNA断片と、DNAリガーゼを用いて連結し、fadB1遺伝子より上流および下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドpNS2X-sacB-ΔfadB1を作製した。
上記プロモーターおよびSD配列の挿入と同様の方法で、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6株を親株とし、pNS2X-sacB-ΔfadB1を用いてfadB1遺伝子の破壊を行った。得られた株はKNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1株と命名した。KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1株は、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6株を親株とし、fadB1遺伝子を全長欠失した菌株である。
さらにfadB’遺伝子の破壊を目的とし、遺伝子置換用プラスミドの作製を行った。C. necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号19および配列番号20で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plusを用いた。同様に配列番号21および配列番号22で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。さらに、上記PCRで得られた2種DNA断片を鋳型とし、配列番号19および配列番号22で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SmiIで消化した。このDNA断片を、pNS2X-sacBをSmiIで消化したDNA断片と、DNAリガーゼを用いて連結し、fadB’遺伝子より上流および下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドpNS2X-sacB-ΔfadB’を作製した。
上記プロモーターおよびSD配列の挿入と同様の方法で、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1株を親株とし、pNS2X-sacB-ΔfadB’を用いてfadB’遺伝子の破壊を行った。得られた株はKNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B’株と命名した。KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B’株は、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1株を親株とし、fadB’遺伝子を全長欠失した菌株である。
さらにfadB2遺伝子の破壊を目的とし、遺伝子置換用プラスミドの作製を行った。C. necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号23および配列番号24で示したDNAをプライマーとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plusを用いた。同様に配列番号25および配列番号26で示したDNAをプライマーとしてPCRを行った。さらに、上記PCRで得られた2種DNA断片を鋳型とし、配列番号23および配列番号26で示したDNAをプライマーとしてPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SmiIで消化した。このDNA断片を、pNS2X-sacBをSmiIで消化したDNA断片と、DNAリガーゼを用いて連結し、fadB2遺伝子より上流および下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドpNS2X-sacB-ΔfadB2を作製した。
上記プロモーターおよびSD配列の挿入と同様の方法で、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B’株を親株とし、pNS2X-sacB-ΔfadB2を用いてfadB2遺伝子の破壊を行った。得られた株はKNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株と命名した。KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株は、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B’株を親株とし、fadB2遺伝子を全長欠失した菌株である。
<実施例1:δ-バレロラクトンを1g/L含有する培地における、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株によるPHAの生産>
製造例1で得られたKNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を以下の条件で培養、精製し、精製PHAを取得した。
製造例1で得られたKNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を以下の条件で培養、精製し、精製PHAを取得した。
(培養)
菌株は以下のように培養した。
前培養培地の組成は、10g/L Meat extract、10g/L Bacto Tryptone、2g/L Yeast extract、9g/L Na2HPO4・12H2O、1.5g/L KH2PO4、pH6.8とした。
菌株は以下のように培養した。
前培養培地の組成は、10g/L Meat extract、10g/L Bacto Tryptone、2g/L Yeast extract、9g/L Na2HPO4・12H2O、1.5g/L KH2PO4、pH6.8とした。
PHA生産培地の組成は、11g/L Na2HPO4・12H2O、1.9g/L KH2PO4、1.3g/L (NH4)2SO4、5mL/L マグネシウム溶液、1mL/L 微量金属塩溶液とした。マグネシウム溶液は、水に200g/L MgSO4・7H2Oを溶かして調製した。微量金属塩溶液は、0.1N塩酸に、0.218g/L CoCl2・6H2O、16.2g/L FeCl3・6H2O、10.3g/L CaCl2・2H2O、0.118g/L NiCl2・6H2O、0.156g/L CuSO4・5H2Oを溶かして調製した。
菌株のグリセロールストック溶液50μLを前培養培地10mLに接種し、30℃で24時間振盪培養した。得られた培養液を前培養液とした。
PHA生産培養は、フラスコで行った。500mL容量の振盪フラスコにPHA生産培地50mLを入れた。植菌直前に、マグネシウム溶液を250μL、微量金属溶液を50μL、40%(w/v)フルクトース溶液を3.125mL添加し、さらにδ-バレロラクトンを1g/Lとなるように添加した。培地調製後、振盪フラスコに前培養液を500μL接種し、30℃で72時間振盪培養を行った。
(精製)
培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、水で懸濁した後、終濃度3%(w/v)となるようにラウリル硫酸ナトリウムを添加した。調製した菌体溶液を、氷冷しながら超音波で処理し、菌体を破砕した。破砕菌体溶液から遠心分離によってPHAを沈殿として回収し、水およびエタノールで1回ずつ洗浄した後、沈殿を60℃で2時間真空乾燥して、精製PHAとして取得した。
培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、水で懸濁した後、終濃度3%(w/v)となるようにラウリル硫酸ナトリウムを添加した。調製した菌体溶液を、氷冷しながら超音波で処理し、菌体を破砕した。破砕菌体溶液から遠心分離によってPHAを沈殿として回収し、水およびエタノールで1回ずつ洗浄した後、沈殿を60℃で2時間真空乾燥して、精製PHAとして取得した。
<実施例2:δ-バレロラクトンを2.5g/L含有する培地における、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株によるPHAの生産>
実施例1と同様に、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を培養、精製し、精製PHAを取得した。ただし、添加するδ-バレロラクトンの終濃度は2.5g/Lとした。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析、および結晶化の評価を行った。得られた結果を前記表1および以下の表2に示した。
実施例1と同様に、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を培養、精製し、精製PHAを取得した。ただし、添加するδ-バレロラクトンの終濃度は2.5g/Lとした。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析、および結晶化の評価を行った。得られた結果を前記表1および以下の表2に示した。
なお、得られたPHAの構造は前記式(I)および図1に示した通りである。
<実施例3:ε-カプロラクトンを1g/L含有する培地における、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株によるPHAの生産>
実施例1と同様に、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を培養、精製し、精製PHAを取得した。ただし、δ-バレロラクトンの代わりにε-カプロラクトンを終濃度1g/Lとなるように添加した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、結果を前記表1に示した。
実施例1と同様に、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を培養、精製し、精製PHAを取得した。ただし、δ-バレロラクトンの代わりにε-カプロラクトンを終濃度1g/Lとなるように添加した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、結果を前記表1に示した。
<実施例4:ε-カプロラクトンを2.5g/L含有する培地における、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株によるPHAの生産>
実施例3と同様に、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を培養、精製し、精製PHAを取得した。ただし、添加するε-カプロラクトンの終濃度は2.5g/Lとした。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析、および結晶化の評価を行った。得られた結果を前記表1および表2に示した。
実施例3と同様に、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を培養、精製し、精製PHAを取得した。ただし、添加するε-カプロラクトンの終濃度は2.5g/Lとした。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析、および結晶化の評価を行った。得られた結果を前記表1および表2に示した。
なお、得られたPHAの構造は前記式(II)および図2に示した通りである。
<比較例1:ラクトン類を含有しない培地における、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株によるPHAの生産>
実施例1と同様に、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を培養、精製し、精製PHAを取得した。ただし、δ-バレロラクトンを添加しない培地を使用した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、結果を前記表1に示した。
実施例1と同様に、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を培養、精製し、精製PHAを取得した。ただし、δ-バレロラクトンを添加しない培地を使用した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、結果を前記表1に示した。
<比較例2:γ-ブチロラクトンを2.5g/L含有する培地における、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株によるPHAの生産>
実施例1と同様に、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を培養、精製し、精製PHAを取得した。ただし、δ-バレロラクトンの代わりにγ-ブチロラクトンを終濃度2.5g/Lとなるように添加した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、その結果を前記表1に示した。
実施例1と同様に、KNK-005 Ptrc-phaJ4b ΔphaZ1,2,6 ΔfadB1,B2,B’株を培養、精製し、精製PHAを取得した。ただし、δ-バレロラクトンの代わりにγ-ブチロラクトンを終濃度2.5g/Lとなるように添加した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、その結果を前記表1に示した。
<比較例3:KNK-631株による、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸-co-3-ヒドロキシヘキサン酸)の生産>
培養生産にはKNK-631株(WO2009/145164参照)を用いた。
培養は以下のように行った。種母培地の組成は10g/L Meat-extract、10g/L Bacto Trypton、2g/L Yeast extract、9g/L Na2HPO4・12H2O、1.5g/L KH2PO4、(pH6.8)、50μg/L カナマイシン硫酸塩とした。
培養生産にはKNK-631株(WO2009/145164参照)を用いた。
培養は以下のように行った。種母培地の組成は10g/L Meat-extract、10g/L Bacto Trypton、2g/L Yeast extract、9g/L Na2HPO4・12H2O、1.5g/L KH2PO4、(pH6.8)、50μg/L カナマイシン硫酸塩とした。
前培養培地の組成は11g/L Na2HPO4・12H2O、1.9g/L KH2PO4、12.9g/L (NH4)2SO4、1g/L MgSO4・7H2O、25g/L パーム核油オレイン、5mL/L 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に16g/L FeCl3・6H2O、10g/L CaCl2・2H2O、0.2g/L CoCl2・6H2O、0.16g/L CuSO4・5H2O、0.12g/L NiCl2・6H2Oを溶かしたもの。)、とした。
PHA生産培地の組成は3.85g/L Na2HPO4・12H2O、0.67g/L KH2PO4、2.91g/L (NH4)2SO4、1g/L MgSO4・7H2O、5mL/L 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に16g/L FeCl3・6H2O、10g/L CaCl2・2H2O、0.2g/L CoCl2・6H2O、0.16g/L CuSO4・5H2O、0.12g/L NiCl2・6H2Oを溶かしたもの。)、0.5g/L BIOSPUMEX200K(消泡剤:コグニスジャパン社製)とした。炭素源としてはパーム核油を分別した低融点画分であるパーム核油オレインを用いた。流加用のリン酸塩水溶液としては、40g/L Na2HPO4・12H2O、6.9g/L KH2PO4、となるよう調製したものを用いた。
KNK-631株のグリセロールストック(50μL)を種母培地(10mL)に接種して24時間培養し、1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL-300型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/minとし、pHは6.7~6.8の間でコントロールしながら28時間培養した。pHコントロールには7%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
次に、PHAの生産培養は4.3Lの生産培地を入れた10Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL-1000型)に前培養種母を5.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度600rpm、通気量6L/minとし、pHは6.7から6.8の間でコントロールした。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。炭素源は培養全般を通じ、パーム核油オレインを、比基質供給速度が0.1~0.12(g油脂)×(g正味乾燥菌体重量)-1×(h)-1となるように流加した。ここで、比基質供給速度とは、単位時間に正味の菌体重量あたり供給される油脂の量、つまり、正味の乾燥菌体重量あたりの油脂流加速度として定義される培養変数である。また、正味の乾燥菌体重量とは、全乾燥菌体重量から含有するポリエステル重量を差し引いた乾燥菌体重量である。すなわち、比基質供給速度は上記の式より求められる値である。
また、リン酸塩水溶液を培養20時間目以降、C/P比が600~800となるような流速にて連続的に添加した。培養は約64時間行った。
菌体からのPHAの精製、モノマーユニットの共重合比率の分析、および結晶化の評価は、実施例1と同様の方法で行い、その結果を前記表1、表2に示した。また、接触角の測定結果を表4に示した。
(結果と考察)
表1の結果から、δ-バレロラクトンを添加して培養した場合には、式Iおよび図1に示す3HB、3HP、5HV、3,5-DHVの4つのモノマーユニットからなる共重合PHAが生産されることが分かった。また、3HB以外の3つの共重合比率については、添加するδ-バレロラクトンの量に応じて変化した。また、ε-カプロラクトンを添加して培養した場合には、式IIおよび図2に示す3HB、4HB、3,6-DHHxの3つのモノマーユニットからなる共重合PHAが生産されることが分かった。δ-バレロラクトンを用いた場合と同様に、添加するε-カプロラクトンの量に応じて、4HBや3,6-DHHxの共重合比率が変化した。
表1の結果から、δ-バレロラクトンを添加して培養した場合には、式Iおよび図1に示す3HB、3HP、5HV、3,5-DHVの4つのモノマーユニットからなる共重合PHAが生産されることが分かった。また、3HB以外の3つの共重合比率については、添加するδ-バレロラクトンの量に応じて変化した。また、ε-カプロラクトンを添加して培養した場合には、式IIおよび図2に示す3HB、4HB、3,6-DHHxの3つのモノマーユニットからなる共重合PHAが生産されることが分かった。δ-バレロラクトンを用いた場合と同様に、添加するε-カプロラクトンの量に応じて、4HBや3,6-DHHxの共重合比率が変化した。
一方、比較例1のように、ラクトンを添加しない場合には、式IIIおよび図3に示す3HBのみからなるPHAが生産された。また、比較例2のように、γ-ブチロラクトンを添加した場合には、式IVおよび図4に示すように4HBは導入されたものの、側鎖にヒドロキシ基を有するモノマーはPHAに導入されなかった。
また、得られたPHAの結晶性評価結果を前記表2に示した。一般に、3HBを主成分とするPHAの場合、3HB以外のモノマーユニットが増えると結晶性は低下するため、3HBの共重合比率がほぼ同程度である、実施例2、実施例4、比較例3の3サンプルで比較した。まず示差走査熱量測定において、実施例2および実施例4は比較例3と比べてTc、Hcが高いことが分かった。また結晶核形成についても、実施例2および実施例4は比較例3と比べて短時間で結晶核の形成が認められた。また、実施例2は比較例3より高いTmを示した。これらの結果から、PHAにヒドロキシ基含有モノマーを構成成分として導入すれば、溶融樹脂加工時の樹脂の固化が速くなり、実用上の耐熱温度が高くなることが明らかとなった。
<製造例2:H16 ΔphaZ1,2,6株の作製>
まずphaZ6遺伝子の破壊を目的とし、遺伝子置換用プラスミドの作製を行った。C.necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号27および配列番号28で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plus(東洋紡社製)を用いた。同様に配列番号29および配列番号30で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。さらに、上記PCRで得られた2種DNA断片を鋳型とし、配列番号27および配列番号30で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SmiIで消化した。このDNA断片を、pNS2X-sacBをSmiIで消化したDNA断片と、DNAリガーゼ(Ligation High、東洋紡社製)を用いて連結し、phaZ6構造遺伝子より上流および下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドpNS2X-phaZ6(-+)を作製した。
まずphaZ6遺伝子の破壊を目的とし、遺伝子置換用プラスミドの作製を行った。C.necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号27および配列番号28で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plus(東洋紡社製)を用いた。同様に配列番号29および配列番号30で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。さらに、上記PCRで得られた2種DNA断片を鋳型とし、配列番号27および配列番号30で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SmiIで消化した。このDNA断片を、pNS2X-sacBをSmiIで消化したDNA断片と、DNAリガーゼ(Ligation High、東洋紡社製)を用いて連結し、phaZ6構造遺伝子より上流および下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドpNS2X-phaZ6(-+)を作製した。
次に遺伝子破壊株の作製を行った。遺伝子破壊用プラスミドpNS2X-phaZ6(-+)を大腸菌S17-1株に導入し、Cupriavidus necator H16株(ATCC17699)とNutrient Agar培地(DIFCO社製)上で混合培養して接合伝達を行った。
上記接合伝達後の菌株から、250mg/Lのカナマイシン硫酸塩を含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム七水和物0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)上で生育する菌株を選択し、前記プラスミドがC.necator H16株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(DIFCO社製)で2世代培養した後、15%のショ糖を含むNutrient Agar培地で生育する菌株を選択した。得られた菌株からphaZ6遺伝子の開始コドンから終止コドンまでを全長欠失したものをPCRにより選別し、うち1株をH16 ΔphaZ6株と命名した。H16 ΔphaZ6株は、染色体上のphaZ6遺伝子を全長欠失した菌株である。
次にphaZ1遺伝子の破壊を目的とし、遺伝子置換用プラスミドの作製を行った。C.necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号31および配列番号32で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plusを用いた。同様に配列番号33および配列番号34で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。さらに、上記PCRで得られた2種DNA断片を鋳型とし、配列番号31および配列番号34で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SmiIで消化した。このDNA断片を、pNS2X-sacBをSmiIで消化したDNA断片と、DNAリガーゼを用いて連結し、phaZ1構造遺伝子より上流および下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドpNS2X-phaZ1(-+)を作製した。
phaZ6遺伝子破壊と同様に、H16 ΔphaZ6株を親株としてpNS2X-phaZ1(-+)を用いてphaZ1遺伝子の破壊を行った。得られた株はH16 ΔphaZ1,6株と命名した。H16 ΔphaZ1,6株株は、染色体上のphaZ1遺伝子およびphaZ6遺伝子を全長欠失した菌株である。
次にphaZ2遺伝子の破壊を目的とし、遺伝子置換用プラスミドの作製を行った。C.necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号35および配列番号36で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plusを用いた。同様に配列番号37および配列番号38で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。さらに、上記PCRで得られた2種DNA断片を鋳型とし、配列番号35および配列番号38で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SmiIで消化した。このDNA断片を、pNS2X-sacBをSmiIで消化したDNA断片と、DNAリガーゼを用いて連結し、phaZ2構造遺伝子より上流および下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドpNS2X-phaZ2(-+)を作製した。
phaZ6遺伝子破壊と同様に、H16 ΔphaZ1,6株を親株としてpNS2X-phaZ2(-+)を用いてphaZ2遺伝子の破壊を行った。得られた株はH16 ΔphaZ1,2,6株と命名した。H16 ΔphaZ1,2,6株は、染色体上のphaZ1遺伝子およびphaZ6遺伝子を全長欠失し、phaZ2遺伝子の16番目のコドンから終止コドンまでを欠失した菌株である。
<製造例3:プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ導入用プラスミドpBBR-pctの作製>
プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ導入用プラスミドpBBR-pctは以下のように構築した。まず、Megasphaera elsedenii由来のpct遺伝子について、Cupriavidus necatorでの発現のために塩基配列を最適化した。この配列に、配列番号46で示す塩基配列からなる、リボソーム結合部位およびリンカー配列(AAAGGAGGACAACC)を連結した配列を設計し、配列番号39に記載したDNA断片を化学的に合成した。合成したDNA断片を制限酵素EcoRIと制限酵素BamHIで消化し、pBBR-MCS2(非特許文献、BioTechniques, 1994, vol.16, p.800-802参照)の該当部位に挿入して、プラスミドpBBR-pctを得た。
プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ導入用プラスミドpBBR-pctは以下のように構築した。まず、Megasphaera elsedenii由来のpct遺伝子について、Cupriavidus necatorでの発現のために塩基配列を最適化した。この配列に、配列番号46で示す塩基配列からなる、リボソーム結合部位およびリンカー配列(AAAGGAGGACAACC)を連結した配列を設計し、配列番号39に記載したDNA断片を化学的に合成した。合成したDNA断片を制限酵素EcoRIと制限酵素BamHIで消化し、pBBR-MCS2(非特許文献、BioTechniques, 1994, vol.16, p.800-802参照)の該当部位に挿入して、プラスミドpBBR-pctを得た。
<製造例4:βケトチオラーゼおよびプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ導入用プラスミドpBBR-bktB-pctの作製>
βケトチオラーゼおよびプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ導入用プラスミドpBBR-bktB-pctは以下のように構築した。まずCupriavidus necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号40および配列番号41で示したDNAをプライマーとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plusを用いた。得られたDNA断片を制限酵素XhoIおよび制限酵素EcoRIで消化し、pBBR-pctの該当部位に挿入して、プラスミドpBBR-bktB-pctを得た。
βケトチオラーゼおよびプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ導入用プラスミドpBBR-bktB-pctは以下のように構築した。まずCupriavidus necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号40および配列番号41で示したDNAをプライマーとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plusを用いた。得られたDNA断片を制限酵素XhoIおよび制限酵素EcoRIで消化し、pBBR-pctの該当部位に挿入して、プラスミドpBBR-bktB-pctを得た。
<製造例5:H16 ΔphaZ1,2,6株を親株とする、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ、および/またはβケトチオラーゼの導入株の作製>
プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ、および/またはβケトチオラーゼの発現が強化された菌株の取得を目的とし、H16 ΔphaZ1,2,6株を親株とし、製造例3および製造例4記載のプラスミドのいずれかを導入した菌株を作製した。
プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ、および/またはβケトチオラーゼの発現が強化された菌株の取得を目的とし、H16 ΔphaZ1,2,6株を親株とし、製造例3および製造例4記載のプラスミドのいずれかを導入した菌株を作製した。
まず、pBBR-pctおよびpBBR-bktB-pctを大腸菌S17-1に導入し、S17-1/pBBR-pctおよびS17-1/pBBR-bktB-pctを作製した。S17-1/pBBR-pctおよびS17-1/pBBR-bktB-pctを、カナマイシン100mg/Lを含むLuria-Bertani培地(LB培地、5g/L Yeast extract、10g/L Bacto Tryptone、5g/L 塩化ナトリウム)3mLに接種し、37℃で一晩振盪培養を行った。得られた培養液のうち0.4mLをチューブに移し、遠心分離後に上清を廃棄し、菌体をLB培地0.1mLに懸濁して大腸菌溶液を得た。
次に、H16 ΔphaZ1,2,6株をNutrient Broth培地3mLに接種し、30℃で一晩培養した。得られた培養液0.1mLを上記大腸菌溶液0.1mLと混合し、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、Φ=0.2μm)を乗せたNutrient Agar培地に塗布した。30℃で6~8時間インキュベートした後、メンブレンフィルターを回収し、0.8%塩化ナトリウム溶液(シグマ社製)1mLで洗浄して、フィルター上の菌体を回収した。得られた菌体液0.2mLを250mg/Lのカナマイシン硫酸塩を含むシモンズ寒天培地に塗布した。30℃で3日間培養し、得られたコロニーから各プラスミドが導入された菌株を取得した。得られた菌株をH16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-pct、およびH16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-bktB-pctと命名した。
<実施例5:グリコール酸を10g/L含有する培地における、H16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-pct株によるPHAの生産>
製造例5で得られたH16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-pct株を、以下の条件で培養、精製し、精製PHAを取得した。
製造例5で得られたH16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-pct株を、以下の条件で培養、精製し、精製PHAを取得した。
(培養)
菌株は以下のように培養した。
前培養培地の組成は、10g/L Meat extract、10g/L Polypeptone、2g/L Yeast extractとした。PHA生産培地の組成は、9g/L Na2HPO4・12H2O、1.5g/L KH2PO4、0.5g/L NH4Cl、1mL/L マグネシウム溶液、1mL/L 微量金属溶液とした。マグネシウム溶液は、水に0.2g/L MgSO4・7H2Oを溶かして調製した。微量金属塩溶液は、0.1N塩酸に、0.218g/L CoCl2・6H2O、9.7g/L FeCl3、7.8g/L CaCl2、0.118g/L NiCl2・6H2O、0.156g/L CuSO4・5H2Oを溶かして調製した。
菌株は以下のように培養した。
前培養培地の組成は、10g/L Meat extract、10g/L Polypeptone、2g/L Yeast extractとした。PHA生産培地の組成は、9g/L Na2HPO4・12H2O、1.5g/L KH2PO4、0.5g/L NH4Cl、1mL/L マグネシウム溶液、1mL/L 微量金属溶液とした。マグネシウム溶液は、水に0.2g/L MgSO4・7H2Oを溶かして調製した。微量金属塩溶液は、0.1N塩酸に、0.218g/L CoCl2・6H2O、9.7g/L FeCl3、7.8g/L CaCl2、0.118g/L NiCl2・6H2O、0.156g/L CuSO4・5H2Oを溶かして調製した。
なお各培地は、直前にカナマイシンを250mg/Lの濃度になるように添加してから使用した。
菌株のグリセロールストック溶液50μLを前培養培地10mLに接種し、30で24時間振盪培養した。得られた培養液を前培養液とした。PHA生産培養は、フラスコで行った。500mL容量の振盪フラスコにPHA生産培地90mLを入れた。植菌直前に、マグネシウム溶液を0.1mL、微量金属溶液を0.1mL、100g/L グリコール酸溶液を10mL添加した。培地調製後、振盪フラスコに前培養液を500μL接種し、30℃で72時間振盪培養を行った。
(精製)
培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、水で3回洗浄した後、EYELA社製凍結乾燥機FDU-2100を用いて菌体を凍結乾燥した。得られた乾燥菌体約1gに100mLのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のポリエステルを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が約30mLになるまで濃縮後、約90mLのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥し、精製PHAとして取得した。
培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、水で3回洗浄した後、EYELA社製凍結乾燥機FDU-2100を用いて菌体を凍結乾燥した。得られた乾燥菌体約1gに100mLのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のポリエステルを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が約30mLになるまで濃縮後、約90mLのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥し、精製PHAとして取得した。
<実施例6:グリコール酸を10g/L含有する培地における、H16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-bktB-pct株によるPHAの生産>
製造例5で得られたH16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-bktB-pct株を、実施例5と同様の条件で培養、精製し、精製PHAを取得した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、その結果を前記表3に示した。
製造例5で得られたH16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-bktB-pct株を、実施例5と同様の条件で培養、精製し、精製PHAを取得した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、その結果を前記表3に示した。
なお、得られたPHAの構造は前記式(VI)および図6に示した通りである。
<製造例6:H16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6株の作製>
まず、phaA遺伝子の破壊を目的とし、遺伝子置換用プラスミドの作製を行った。C.necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号47および配列番号48で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plus(東洋紡社製)を用いた。次に、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(タカラバイオ社製)を用いて得られたDNA断片の5’末端をリン酸化した。得られたDNA断片を、pK18mobsacB(非特許文献、Gene, 1994, vol.145, p.69-73参照)をSmaIで消化したDNA断片と、DNAリガーゼ(Ligation High、東洋紡社製)を用いて連結した。得られたDNA断片を鋳型とし、配列番号49および配列番号50で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて得られたDNA断片の5’末端をリン酸化し、その後DNAリガーゼによってセルフライゲーションさせることにより、phaA構造遺伝子より上流および下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドpK18ΔphaAを作製した。
まず、phaA遺伝子の破壊を目的とし、遺伝子置換用プラスミドの作製を行った。C.necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号47および配列番号48で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plus(東洋紡社製)を用いた。次に、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(タカラバイオ社製)を用いて得られたDNA断片の5’末端をリン酸化した。得られたDNA断片を、pK18mobsacB(非特許文献、Gene, 1994, vol.145, p.69-73参照)をSmaIで消化したDNA断片と、DNAリガーゼ(Ligation High、東洋紡社製)を用いて連結した。得られたDNA断片を鋳型とし、配列番号49および配列番号50で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて得られたDNA断片の5’末端をリン酸化し、その後DNAリガーゼによってセルフライゲーションさせることにより、phaA構造遺伝子より上流および下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドpK18ΔphaAを作製した。
製造例1のphaZ6遺伝子破壊と同様に、製造例1で作製したH16 ΔphaZ1,2,6株を親株とし、pK18ΔphaAを用いてphaA遺伝子の破壊を行った。得られた株はH16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6株と命名した。H16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6株は、染色体上のphaA遺伝子、phaZ1遺伝子およびphaZ6遺伝子を全長欠失し、phaZ2遺伝子の16番目のコドンから終止コドンまでを欠失した菌株である。
<製造例7:H16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6株を親株とする、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼの導入株の作製>
プロピオン酸CoAトランスフェラーゼの発現が強化された菌株の取得を目的とし、H16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6株を親株とし、製造例3記載のプラスミドを導入した菌株を作製した。プラスミドの導入は、製造例5と同様の方法で行った。得られた菌株を、H16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6/pBBR-pct株と命名した。
プロピオン酸CoAトランスフェラーゼの発現が強化された菌株の取得を目的とし、H16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6株を親株とし、製造例3記載のプラスミドを導入した菌株を作製した。プラスミドの導入は、製造例5と同様の方法で行った。得られた菌株を、H16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6/pBBR-pct株と命名した。
<実施例7:グリコール酸を10g/L含有する培地における、H16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6/pBBR-pct株によるPHAの生産>
製造例7で得られたH16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6/pBBR-pct株を、実施例5と同様の条件で培養、精製し、精製PHAを取得した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、その結果を前記表3に示した。また、接触角の測定結果を表4に示した。
製造例7で得られたH16 ΔphaA ΔphaZ1,2,6/pBBR-pct株を、実施例5と同様の条件で培養、精製し、精製PHAを取得した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、その結果を前記表3に示した。また、接触角の測定結果を表4に示した。
<製造例8:βケトチオラーゼおよびプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ導入用プラスミドpTrc-pct-bktBの作製>
βケトチオラーゼおよびプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ導入用プラスミドpTrc-pct-bktBは以下のように構築した。まず製造例3で作製したpBBR-pctを鋳型とし、配列番号42および配列番号43で示したDNAをプライマーとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plusを用いた。得られたDNA断片を制限酵素BamHIおよび制限酵素EcoRIで消化し、pTrcHis2B(ライフテクノロジーズ社製)のクローニングサイトに挿入して、プラスミドpTrc-pctを得た。
βケトチオラーゼおよびプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ導入用プラスミドpTrc-pct-bktBは以下のように構築した。まず製造例3で作製したpBBR-pctを鋳型とし、配列番号42および配列番号43で示したDNAをプライマーとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plusを用いた。得られたDNA断片を制限酵素BamHIおよび制限酵素EcoRIで消化し、pTrcHis2B(ライフテクノロジーズ社製)のクローニングサイトに挿入して、プラスミドpTrc-pctを得た。
さらにCupriavidus necator H16株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号44および配列番号45で示したDNAをプライマーペアとしてPCRを行った。ポリメラーゼはKOD-plusを用いた。得られたDNA断片を制限酵素EcoRIおよび制限酵素XbaIで消化し、pTrc-pctのクローニングサイトに挿入して、プラスミドpTrc-pct-bktBを得た。
<製造例9:大腸菌JM109株を親株とする、Cupriavidus necator由来のphaCABオペロン、βケトチオラーゼおよびプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ導入株の作製>
まず、大腸菌を用いてPHAを生産するため、大腸菌JM109株(ライフテクノロジーズ社製)を親株として、Cupriavidus necator由来のphaCABオペロン(非特許文献、FEMS Microiology Letters, 2001, vol.198, p.65-71参照)を導入した菌株を作製した。形質転換はMolecular Cloning記載の塩化カルシウム法で行った。得られた菌株はJM109/pBBR-CABと命名した。
まず、大腸菌を用いてPHAを生産するため、大腸菌JM109株(ライフテクノロジーズ社製)を親株として、Cupriavidus necator由来のphaCABオペロン(非特許文献、FEMS Microiology Letters, 2001, vol.198, p.65-71参照)を導入した菌株を作製した。形質転換はMolecular Cloning記載の塩化カルシウム法で行った。得られた菌株はJM109/pBBR-CABと命名した。
さらにプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ、およびβケトチオラーゼの発現が強化された菌株の取得を目的とし、JM109/pBBR-CAB株を親株として、製造例8で作製したプラスミドpTrc-pct-bktBを導入した菌株を作製した。形質転換はMolecular Cloning記載の塩化カルシウム法で行った。得られた菌株はJM109/pBBR-CAB+pTrc-pct-bktBと命名した。
<実施例8:グリコール酸を5g/L含有する培地における、JM109/pBBR-CAB+pTrc-pct-bktB株によるPHAの生産>
製造例9で得られたJM109/pBBR-CAB+pTrc-pct-bktB株を、以下の条件で培養、精製し、精製PHAを取得した。
製造例9で得られたJM109/pBBR-CAB+pTrc-pct-bktB株を、以下の条件で培養、精製し、精製PHAを取得した。
(培養)
菌株は以下のように培養した。培地はLuria-Bertani培地(LB培地、5g/L Yeast extract、10g/L Bacto Tryptone、5g/L 塩化ナトリウム)を用い、直前にカナマイシン、およびアンピシリンを100mg/Lの濃度になるように添加してから使用した。
菌株は以下のように培養した。培地はLuria-Bertani培地(LB培地、5g/L Yeast extract、10g/L Bacto Tryptone、5g/L 塩化ナトリウム)を用い、直前にカナマイシン、およびアンピシリンを100mg/Lの濃度になるように添加してから使用した。
まず菌株のグリセロールストック溶液50μLをLB培地10mLに接種し、37℃で24時間振盪培養した。得られた培養液を前培養液とした。PHA生産培養は、フラスコで行った。500mL容量の振盪フラスコにLB培地95mLを入れ、前培養液を500μL接種して、37℃で振盪培養を行った。ODが0.6に到達した時点でイソプロピルチオガラクトシドを終濃度1mMとなるよう添加し、さらに100g/L グリコール酸溶液を5mL添加して、培養温度を30℃に変更して培養を継続した。培養は72時間実施した。
(精製)
精製は、実施例5と同様の方法により行った。
精製は、実施例5と同様の方法により行った。
得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行い、その結果を前記表3に示した。
<比較例4:フルクトースを10g/L含有する培地における、H16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-bktB-pct株によるPHAの生産>
実施例6と同様に、製造例5で作製したH16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-bktB-pct株を培養し、菌体から精製PHAを取得した。ただし、グリコール酸の代わりに、フルクトースを10g/Lとなるように添加した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行った。その結果を前記表3に示した。
実施例6と同様に、製造例5で作製したH16 ΔphaZ1,2,6/pBBR-bktB-pct株を培養し、菌体から精製PHAを取得した。ただし、グリコール酸の代わりに、フルクトースを10g/Lとなるように添加した。得られたPHAについて、モノマーの共重合比率の分析を行った。その結果を前記表3に示した。
(結果と考察)
表3の結果から、グリコール酸を添加して培養した場合には、3HB、3HV、2,3-DHB、3,4-DHBからなる共重合PHAが生産されることが明らかとなった。2,3-DHB、および3,4-DHBは、重合反応に利用できるヒドロキシ基が2個あるため、異なる2種類の重合様式でPHA中に取り込まれていた。
表3の結果から、グリコール酸を添加して培養した場合には、3HB、3HV、2,3-DHB、3,4-DHBからなる共重合PHAが生産されることが明らかとなった。2,3-DHB、および3,4-DHBは、重合反応に利用できるヒドロキシ基が2個あるため、異なる2種類の重合様式でPHA中に取り込まれていた。
また実施例5と実施例7の比較から、phaA遺伝子破壊によりジヒドロキシアルカン酸の共重合比率が向上したことが分かる。これは、PhaAと比べてBktBの方が炭素数の多い基質に対する特異性が高く、アセチルCoAとグリコリルCoAの縮合を触媒しやすいためと考えられる。
一方、同じ菌株を使用しても、比較例4のグリコール酸を使用しないフルクトース含有培地で培養をした場合には、PHAは、表3で示すように3HBのみからなるPHBが生産され、側鎖にヒドロキシ基を有するモノマーはPHAに導入されなかった。
また本発明によれば、宿主がR.eutrophaかE.coliかによらず、2,3-DHBや3,4-DHBをモノマーユニットとして有するPHAが生産された。
さらに表4の結果から、側鎖にヒドロキシ基を有するPHAは、フィルム成形時の水接触角が低下することが明らかとなった。これは、ヒドロキシ基の効果でフィルム表面の親水性が向上したためと考えられる。
過去の研究報告により、親水性が高められた変性PHAは、細胞の成長と増殖を促進することが示されている。一方、表面の親水性が高すぎると(例えば、水の接触角が40°未満の場合)、細胞の接着性が低下する。上記のように、本発明のPHAの表面は中程度の親水性を有しているため、細胞の成長および増殖を促し、かつ細胞の接着性にも優れる細胞足場用材料として適するものであることが示唆された。
<実施例9:PHAを用いた細胞足場(scaffolds)の製造>
実施例7で得られたPHAを用い、以下の方法(thermally induced phase separation;J.Biomed.Mater.Res.1999,44,446-455.)で細胞足場を製造した。
実施例7で得られたPHAを用い、以下の方法(thermally induced phase separation;J.Biomed.Mater.Res.1999,44,446-455.)で細胞足場を製造した。
実施例7で得られたPHA400mgを、1,4-ジオキサン10mL中で65℃、60分間の条件で激しく攪拌することによって、溶解させた。得られた溶液を-80℃、2時間の条件で凍結し、その後48時間の凍結乾燥によって溶媒を除去した。残存する溶媒をさらに除去するために減圧乾燥を実施し、細胞足場を得た。
(SEM観察)
実施例9で得られた細胞足場の二次電子像を、SEM(JCM-6000 NeoScope Benchtop scanning electron microscope、JEOL製)で分析した。分析条件は、加速電圧5kV、減圧、標準プローブ電流量、とした。なお、細胞足場の分析サンプルとしては、カーボンテープ上に載置し、1分間のスパッタにより金をコーティングしたものを使用した。撮影されたSEM像を図9に示す。図9に示すように、実施例9で得られた細胞足場は、孔径20~150μmの多孔質構造を有していた。
実施例9で得られた細胞足場の二次電子像を、SEM(JCM-6000 NeoScope Benchtop scanning electron microscope、JEOL製)で分析した。分析条件は、加速電圧5kV、減圧、標準プローブ電流量、とした。なお、細胞足場の分析サンプルとしては、カーボンテープ上に載置し、1分間のスパッタにより金をコーティングしたものを使用した。撮影されたSEM像を図9に示す。図9に示すように、実施例9で得られた細胞足場は、孔径20~150μmの多孔質構造を有していた。
(機械物性測定)
実施例9で得られた細胞足場の圧縮試験を、500Nのロードセルを有する引張試験機(Shimadzu EZ-LX HS universal tester、島津製作所製)を用いて実施した。具体的には、直径12mm、厚み2mmのカラム形状に加工した細胞足場を、一定の速度(2mm/分)で圧縮した際の圧縮強度(20%変形時の圧縮強度)と弾性率を測定し、3サンプルの測定値の平均とを算出した。その結果、圧縮強度は38.9±11.1kPaであり、弾性率は170.8±50.6kPaであった。
実施例9で得られた細胞足場の圧縮試験を、500Nのロードセルを有する引張試験機(Shimadzu EZ-LX HS universal tester、島津製作所製)を用いて実施した。具体的には、直径12mm、厚み2mmのカラム形状に加工した細胞足場を、一定の速度(2mm/分)で圧縮した際の圧縮強度(20%変形時の圧縮強度)と弾性率を測定し、3サンプルの測定値の平均とを算出した。その結果、圧縮強度は38.9±11.1kPaであり、弾性率は170.8±50.6kPaであった。
(細胞の培養と生存性)
生存した細胞に対する適合性を評価するため、実施例9で得られた細胞足場にヒト間葉系幹細胞(hMSCs)を播種した。細胞足場は、ポリスチレン製の96ウェルプレートに配置した。また、殺菌のため、細胞足場は70%エタノールに2時間浸した後、PBSバッファーで2回洗浄し、最後に無菌フードにおいてUVを照射しながら24時間PBSバッファーの中でインキュベートした。
生存した細胞に対する適合性を評価するため、実施例9で得られた細胞足場にヒト間葉系幹細胞(hMSCs)を播種した。細胞足場は、ポリスチレン製の96ウェルプレートに配置した。また、殺菌のため、細胞足場は70%エタノールに2時間浸した後、PBSバッファーで2回洗浄し、最後に無菌フードにおいてUVを照射しながら24時間PBSバッファーの中でインキュベートした。
hMSCsは、ACS Biomater.Sci.Eng.2015,1,567-576.に記載の以下の方法で培養した。
幹細胞培地(expansion media、R&D systems Inc.,Minneapolis,MN,USA)100μL中の10000セルを細胞足場に播種し、37℃、5%CO2下、24時間の条件で培養した。次いで、さらに上記幹細胞培地100μLを加え、24時間培養した。
生存性(Viability)は、CellTiter 96 AQueous One Solution Cell Proliferation Assay System(Promega,Madison,WI,USA)を用いて評価した。つまり、CellTiter 96 AQueous One Solution試薬20μLを100μLの培地中の細胞足場を含む96ウェルプレートに加え、37℃、5%CO2下、1~2時間の条件で培養した。上清を新たな96ウェルプレートに移し、490nmでの吸光度をMolecular Devices SpectraMax M3 plate reader(Molecular Devices LLC.,Sunnyvale,CA,USA)で測定した。同測定は、6回実施した。さらに生存性は、Invitrogen’s Live/Dead assay(Grand Island,NY,USA)を用いても観察した。48時間の培養のあと、培地を細胞足場から取り除き、カルセインAMとエチジウムホモダイマー1を5μM含む溶液100μLを加えた。37℃、5%CO2下、15分間の条件で培養した後、細胞足場をプラスチック製のペトリ皿に置き、50μLの培地を加えた。この細胞足場を、すぐにZeissSM 700 confocal laser-scanning microscope(CLSM,Leica Microsystems,Wetzlar,Germany)を使用して観察した。細胞の生存(緑)/死亡(赤)を示す蛍光を観察するため、それぞれ488/555nmの励起波長を用いた。細胞足場の構造は、微分干渉(DIC;Differential interference contrast)モードで観察した。結果を図10に示す。
観察の結果、hMSCsは細長い形状を示し、良好に拡がった通常の形態を有しており、実施例9で得られた細胞足場は重大な細胞毒性を示さなかった。なお、hMSCsの生存率は59.7±8.7%であり、他のPHA(例えば、PHBH、PHBV)を使用した細胞足場を用いた場合(データ示さず)の生存率と同等であった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。
Claims (27)
- 炭素数3~6のジヒドロキシアルカン酸および炭素数3~6のモノヒドロキシアルカン酸をモノマーユニットとして含有するポリヒドロキシアルカン酸からなる樹脂組成物であって、
前記モノヒドロキシアルカン酸の含有量が80モル%以上である前記樹脂組成物。 - 前記ジヒドロキシアルカン酸が3,5-ジヒドロキシ吉草酸である、請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記3,5-ジヒドロキシ吉草酸の含量が0.5~20モル%である、請求項2記載の樹脂組成物。
- 前記ジヒドロキシアルカン酸が3,6-ジヒドロキシヘキサン酸である、請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記3,6-ジヒドロキシヘキサン酸の含量が0.5~20モル%である、請求項4記載の樹脂組成物。
- 前記ジヒドロキシアルカン酸が2,3-ジヒドロキシ酪酸である、請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記2,3-ジヒドロキシ酪酸の含量が0.05~15モル%である、請求項6記載の樹脂組成物。
- 前記ジヒドロキシアルカン酸が3,4-ジヒドロキシ酪酸である、請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記3,4-ジヒドロキシ酪酸の含量が0.05~10モル%である、請求項8記載の樹脂組成物。
- 前記ジヒドロキシアルカン酸として、さらに3,4-ジヒドロキシ酪酸を含む、請求項6または7記載の樹脂組成物。
- 前記3,4-ジヒドロキシ酪酸の含量が0.05~10モル%である、請求項10記載の樹脂組成物。
- 請求項1から11のいずれか1項記載の樹脂組成物からなる成形体。
- 請求項1から11のいずれか1項記載の樹脂組成物を加工して所望の形状に成形する工程を含む、請求項12に記載の成形体の製造方法。
- 請求項1から11のいずれか1項記載の樹脂組成物、または請求項12に記載の成形体を含む細胞足場材料。
- 請求項1から11のいずれか1項記載の樹脂組成物、または請求項12に記載の成形体の、細胞足場材料としての使用。
- R体特異的エノイル-CoAヒドラターゼをコードする遺伝子およびPHA合成酵素をコードする遺伝子を有する微生物をδ-バレロラクトンおよび/またはε-カプロラクトン存在下で培養する工程、および
前記微生物から請求項1から5のいずれか1項記載の樹脂組成物を回収する工程
を含む、樹脂組成物を製造する方法。 - 前記微生物はR体特異的エノイル-CoAヒドラターゼをコードする遺伝子の発現が強化された微生物である、請求項16記載の製造方法。
- 前記微生物はS体特異的エノイル-CoAヒドラターゼをコードする遺伝子の発現が弱化された微生物である、請求項16または17記載の製造方法。
- 前記微生物がAeromonas属由来のPHA合成酵素をコードする遺伝子を有する微生物である、請求項16から18のいずれか1項記載の製造方法。
- プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ、βケトチオラーゼ、R体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼ、およびPHA合成酵素のそれぞれをコードする遺伝子を有する微生物を、グリコール酸存在下で培養する工程、および
前記微生物から請求項1、および請求項6から11のいずれか1項記載の樹脂組成物を回収する工程
を含む、樹脂組成物を製造する方法。 - 微生物が、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼをコードする遺伝子の発現が強化された微生物である、請求項20記載の製造方法。
- 微生物が、βケトチオラーゼをコードする遺伝子の発現が強化された微生物である、請求項20または21記載の製造方法。
- 微生物が、R体特異的アセトアセチルCoAレダクターゼをコードする遺伝子の発現が強化された微生物である、請求項20から22のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記微生物がCupriavidus属に属する微生物である、請求項16から23のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記Cupriavidus属に属する微生物がCupriavidus necatorである、請求項24記載の製造方法。
- 前記微生物がEscherichia属に属する微生物である、請求項20から23のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記Escherichia属に属する微生物が、Escherichia coliである、請求項26記載の製造方法。
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