JP7037495B2 - ポロキサマーを精製するための方法 - Google Patents
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Description
ポロキサマーを精製するいくつかの方法が、示唆されている。
WO12091361において、有機金属不純物が識別され、活性炭を使用してポロキサマーのロットから除去されている。有機金属不純物の除去は、薬物送達システムとして使用される鎖伸長による多重ブロックコポリマーの合成に必要である旨主張されている。
a)その効率が改善されるポロキサマーを提供すること、
b)ステップa)のポロキサマーを溶媒に溶解し、活性炭にそれらを接触させること、
c)活性炭および溶媒を除去し、改善された効率を有するポロキサマーを得ること、
によって、細胞培養における細胞生存率を増加するために、ポロキサマーの効率を増加する方法に関する。
別の態様において、溶解されたポロキサマーは活性炭とフロースルーまたはバッチで行われるかに依存して、1分間から24時間接触される。
別の好ましい態様において、ステップc)において、活性炭は遠心分離、および/または濾過によって除去される。
好ましい態様において、ステップa)で提供されるポロキサマーはSECによって測定された13,000g/molを超える分子量を有する成分を含む。
別の態様において、活性炭は有機ポリマー材料、好ましくはポリスチレンの熱分解によって得られる活性炭である。
a)ポロキサマーを溶媒に溶解し、活性炭とそれらを接触させること、
b)活性炭と溶媒を除去すること、
によって処理されている。
別の好ましい態様において、溶解されたポロキサマーは活性炭と1分間から24時間接触される。
別の好ましい態様において、ステップc)において、活性炭は、遠心分離および/または濾過によって除去される。
好ましい態様において、ステップa)において提供されたポロキサマーはSECによって決定された13,000g/molを超える分子量を有する成分を含む。
別の態様において、活性炭は、有機ポリマー材料、好ましくはポリスチレンの熱分解によって得られる活性炭である。
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、特定の組成物またはプロセスステップに限定されるものではなく、かように変化し得ると理解されるべきである。本明細書および添付された特許請求の範囲に使用されているように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を包含する。こうして、例えば「ポロキサマー」の参照は、複数のポロキサマーなどを包含する。
重量平均分子量:Mw=ΣiNiMi 2/(ΣiNiMi)
数平均分子量:Mn=ΣiNiMi/(ΣNi)
ピーク分子量:Mp=最大Niにおける分子量
Ni=フラクションiにおけるポリマー種の数
Mi=フラクションiにおけるポリマー種の分子量
SEC条件:
較正標準:PEG(詳細は例7参照)
溶離液:THF
流速:1ml/分
注入容量:100μl
カラム:粒子サイズ=5μm、材料=スチレン-ジビニルベンゼン
温度:40℃
本発明の要旨は、細胞生存率の増強剤としてのポロキサマーの適合性が、疎水性の高分子量化合物の存否に依存し、これらの疎水性の高分子量化合物は、可溶化されたポロキサマーを活性炭と接触させることによって除去され得るという発見である。
好適な球状活性炭は、また、SARATECH (TM) 100562, SARATECH (TM) 100772およびSARATECH (TM) 101373 (Blucher GmbH, Erkrath, ドイツ)として入手可能である。
活性炭の平均粒子サイズは、好ましくは少なくとも2μm、より好ましくは2~800μmである。
ポロキサマーは、ポリエチレングリコール(PEG)/ポリプロピレングリコール(PPG)トリブロックコポリマーである。
さらなる詳細は、例6に見出し得る。
-異なる濃度のポロキサマーが使用され得る(典型的には0.1と5g/Lの間)
-任意のタイプのCHO細胞またはその他の細胞が使用され得る
-任意のタイプの選択された細胞株に適した細胞培地が使用され得る
-培養は、好ましくは環状シェーカーで行われ、速度とスロー(投入)は、選択された細胞株と培養条件に合わされる必要があり得る。
-上記の選択されたパラメータに依存して、2時間と5日の間の適切な時点で生存率の低下を測定され得る、
ことは明確である。
本発明による細胞生存率の定義は、例えば、Beckman-Coulter ViCell XRまたは類似のものにおけるTrypanブルーアッセイによって決定されるような溶液中の生存細胞の百分率である。
活性炭との接触のために、ポロキサマーは、溶媒に溶解される必要がある。
以下に、好適な溶媒のいくつかの例と必要とされる量が与えられる。
1gのポロキサマー188を溶解するのに必要な溶媒および典型的な量の例は以下の通りである:
THF:50ml/g→透明溶液
メタノール:80ml/g→透明溶液
アセトニトリル:30ml/g→わずかに濁り 40ml/g→透明溶液
DMSO:60ml/g→わずかに濁り
(60ml DMSO+800μl 水)/g→透明溶液
アセトン:60ml/g→わずかに濁り
(60ml アセトン+800μl 水)→透明溶液
エタノール:(50ml エタノール+1ml 水)→透明溶液
プロパノール:(120ml プロパノール+6ml 水)→透明溶液
1-ブタノール:(150ml 1-ブタノール+8ml 水)→透明溶液
2-ブタノール::(150ml 2-ブタノール+9ml 水)/g→透明溶液
2-メチル-1-プロパノール:(150ml 2-メチル-1-プロパノール+7ml 水)/g→透明溶液
ポロキサマーを含有する液体を活性炭に流して接触を連続的に行う場合、接触時間は典型的には1分と30分の間である。このために、活性炭は、カラム、カートリッジ、フィルタまたは他の好適なデバイスに充填されてもよい。好ましくは、デバイス内の液体の滞留時間は1と10分間の間である。連続的な精製を行うのに適したシステムは、Stax AKS Sytem(Pall)である。
活性炭を除去した後、液体はポロキサマーを含む溶液から除去される。これは、例えば、蒸発、噴霧乾燥または凍結乾燥によって行うことができる。
典型的な条件は、例えば:
アセトン:555hPa、40℃
アセトニトリル:240hPa、40℃
THF:355hPa、40℃
エタノール:175hPa、40℃
メタノール:335hPa、40℃
水:70hPa、40℃
必要に応じて、オーブンまたは真空オーブン内で追加の乾燥を行うことができる。
凍結乾燥またはフリーズドライのために、材料は、例えば液体窒素中で凍結され、および溶媒は周囲圧力を低下させることによって昇華される。
細胞培養は、ペトリ皿、接触プレート、ボトル、チューブ、ウェル、容器、バッグ、フラスコおよび/またはタンクなどの細胞の培養に適した任意の容器で行うことができる。好ましくは、それはバイオリアクター内で行われる。典型的には、容器は使用前に殺菌される。培養は、典型的には、環境からの外来微生物による汚染を制限する、適切な温度、浸透圧、通気、撹拌などの適切な条件下で、水性細胞培地中で細胞のインキュベーションによって行われる。当業者は、細胞の増殖/培養を支持または維持するための適切なインキュベーション条件を認識している。
当業者は、特定の想定される目的のために適切な細胞培地を選択することができる。
実験データは、ポロキサマー188よりもより疎水性である高分子量成分を有するポロキサマー188ロット(典型的にはより高いPPO/PEO比のため)のみが細胞生存率に悪影響を及ぼし、活性炭で除去できることを示している。
ポロキサマーが2つの親水性ブロックと疎水性ブロックを中央に有する両親媒性ポリマーであるという事実を考慮すると、活性炭は実際にはより疎水性で高分子量のポロキサマー成分を選択的に吸着することができ、一方で、実際のポロキサマー(例えばポロキサマー188)は極めて少ない吸着が起こるということは幾分驚くべきことである。これは、良好な収率で細胞培養に適したポロキサマーの首尾良い精製を可能にする。
例1:水中の活性炭によるポロキサマーの精製
活性炭を195gの脱イオン水に添加した(添加した活性炭の量については以下の表を参照)。5.0gのポロキサマー188をそれぞれ懸濁液に加えた(下記の表参照)。懸濁液を一晩混合した後、Pall VacuCap(登録商標)(0.2μm)を通して濾過して活性炭を除去した。濾液を凍結乾燥した。
5.0gのポロキサマー188を195gのエタノール、各2.5重量%の水に添加し、各々はポロキサマー188を溶解するために添加した。1時間混合後、活性炭を添加した(以下の表参照)。
エタノール/水(97.5:2.5)中の5.0gのポロキサマー188の溶液に、以下の量の球状活性炭(Felgentrager、表面積:1000~2000m2/g、粒子サイズ:0.3~0.8mm)を添加した(以下の表参照):
細胞アッセイは、Haofan Peng et al., Biotechnol. Prog., 2014, Vol. 30 (6), 1411 - 1418と同様に行われた。細胞培養は潜在的に細胞を損傷する剪断力を誘発するために、バッフル付き振とうフラスコ内で行われた。CHO-S細胞およびCellvento(TM) CHO-220培地が使用される。ポロキサマー濃度は1g/Lである。細胞培地は、約100万細胞/mLの生存細胞密度にて、選択の細胞を植え付けする。培養は、軌道上で振とうされたインキュベーター中で行われる。Beckman-Coulter ViCell XRでのトリパンブルーアッセイにより、4時間後に細胞生存率(溶液中の生存細胞の百分率)が決定される。各ロットは3回測定される。以下の平均細胞生存率が、ポロキサマー188ロットA、B,CおよびDについて決定された:
ロットDの性能は96%の生存率で非常に良好である。活性炭による処理はロットの性能に影響を及ぼさない(サンプル間の小さな偏差は測定誤差内である)、図3も参照されたい。これは、ポロキサマーロットD中の高分子量成分が疎水性ではなく、したがって、活性炭によって除去されないことを暗示する。SECのデータはこれらの知見を支持している(図7)。
全てのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、以下のように行われる:
較正標準:PEG(Mp:430、982、1960、3020、6690、12300、26100および44000g/mol)
溶離液:THF
流速:1ml/分
注入体積:100μl
カラム:粒子サイズ=5μm、材料=スチレン-ジビニルベンゼン
温度:40℃
検知器:屈折率(RI)
ポロキサマー188ロットA、B,CおよびDのサイズ排除クロマトグラフィー測定(図4)。高分子量成分は約13,000と40,000g/molの間に観察される(図4II)。
例2に記載されているように、エタノール/水中の10、20および100重量%の活性炭で精製した不良な性能のロットAのサイズ排除クロマトグラフィー測定(図5参照)。精製により、~29000g/molにおける疎水性高分子量成分が除去される。100重量%の活性炭により、疎水性高分子量成分は完全に除去される。結果として、細胞生存率が著しく改善され、精製されたロットが細胞培養における使用に適している(例6bおよび図1)。
例2に記載されているようにエタノール/水中の活性炭10および100重量%で精製された中程度の性能のロットBをサイズ排除クロマトグラフィー測定(図6参照)。精製は、~16000g/molの高分子量成分の疎水性部分を除去し、~16000g/molにおける高分子量ピークの強度の著しい減少をもたらす。結果として、細胞生存率が著しく改善され、精製されたロットが細胞培養における使用に適している(実施例6bおよび図2)。
例2に記載されているように、エタノール/水(点線)中の10、20および40重量%の活性炭で処理した良好に機能するロットDのサイズ排除クロマトグラフィー測定(図7参照)。活性炭処理後に高分子量ピーク(~15000g/mol)に有意な変化は観察されない。~11000g/molの40%活性炭に対して観察された小さな偏差は、残留活性炭(完全に除去されていない)に起因し得る。これは、ロットD中の高分子量成分がポロキサマー188よりも高い疎水性を有さず、したがって除去されないことを暗示する。ポロキサマー188(類似のPPO/PEO比)と同様の疎水性を有する高分子量成分は、細胞生存率に負の効果を有さず、活性炭によって除去することができない(ロットD、例6bおよび図3)。
底部にフリットを有するガラスカラム(高さ190mm、内径10mm)に、5.0gの球状活性炭(Felgentrager、表面積1000~2000m2/g、粒子サイズ0.30~0.8mm)を充填した。カラムは、底端で密封され、アセトンで満たされ、気泡を除去するために注意深く旋回された。カラム中の活性炭床を一晩放置した。5.0gのポロキサマー188ロットAを300mlのアセトンに溶解した。ポロキサマー溶液をカラムに注入し、底部シールを除去した。ポロキサマー溶液は4.6ml/分の流速でカラムを通過させた後に集められた。ポロキサマーが乾燥するまで回転式蒸発器で溶媒を蒸発させた。
例6に記載したようにして行われた細胞アッセイ。精製ポロキサマーロットの性能:
Claims (14)
- a)効率が改善されるポロキサマーを提供すること、
b)a)ステップのポロキサマーを溶媒に溶解し、活性炭にそれらを接触させること、
c)活性炭および溶媒を除去し、改善された効率を有するポロキサマーを得ること、
によって、細胞培養における細胞生存率を増加するためのポロキサマーの効率を増加する方法。 - 溶媒が、水、アセトン、THFまたはエタノールと水との混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 溶解されたポロキサマーが、活性炭と1分間から24時間接触されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- ステップc)において、活性炭が濾過および/または遠心分離によって除去されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- ステップa)において提供されるポロキサマーが13,000g/molを超える分子量を有する成分を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
- ポロキサマーが、7680と9510g/molの間の平均分子量を有するポロキサマーであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
- 活性炭が、有機ポリマー材料の熱分解によって得られた活性炭であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
- 活性炭が、2と800μmの間の中程度の粒子サイズを有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
- ポロキサマーを含む水性培地において細胞を培養することによって細胞培養を行うための方法であって、ポロキサマーはそれらを細胞培地に加える前に、
a)ポロキサマーを溶媒に溶解し、活性炭とそれらを接触させること、
b)活性炭と溶媒を除去すること、
によって処理される、前記方法。 - 溶解されたポロキサマーが、活性炭に2~24時間接触されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
- ステップb)において、活性炭が濾過および/または遠心分離によって除去されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
- ステップa)において提供されるポロキサマーが、13,000g/molを超える分子量を有する成分を含むことを特徴とする、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
- ポロキサマーが、7680と9510g/molの間の平均分子量を有するポロキサマーであることを特徴とする、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
- 活性炭が2と800μmの間の中程度の粒子サイズを有することを特徴とする、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
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