JP7036389B1 - 天然色素を含む食品組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、水性媒体と天然物の細片と天然色素とを含み、水性媒体及び天然物の細片が天然色素により着色され、着色が光及び熱に対して安定な食品組成物を提供する。【解決手段】本発明の食品組成物は、水性媒体と、天然物の細片とを含み、天然色素として、(i)モナスカス色素と、カロテノイド色素及びアントシアニン色素から選択される1以上との組み合わせ、及び、(ii)イリドイド色素、の一方又は両方を含むことを特徴とする。本発明はまた、水性媒体と天然物の細片とを含む混合物を調製する工程、並びに、前記(i)及び/又は(ii)の色素を配合する工程を含む前記食品組成物の製造方法に関する。【選択図】図3

Description

本発明は、水性媒体、天然物の細片、及び、所定の天然色素を含む食品組成物及びその製造方法に関する。
食品素材として用いられる天然物を着色する場合、着色の保存時の光安定性、及び加熱調理時の熱安定性等が求められる。これらの性能において、赤色102号などの合成食用タール色素等が優れるが、合成色素は安全性に対する懸念から、消費者に好まれない傾向にある。そこで従来から食品素材の着色の目的で天然色素が用いられている。
例えば特許文献1には、クチナシ赤色色素(イリドイド色素)と紅コウジ色素(モナスカス色素)とからなる着色料、及び、これらを含む食品が記載されている。特許文献1には、クチナシ赤色色素と紅コウジ色素とを組み合わせた着色料が、好ましいイチゴ色を呈し、耐熱性、耐酸性に優れ、かつ、常温で長期間の保存が可能であることが記載されている。
特許文献2には、赤キャベツ色素(アントシアニン色素)を用いて、着色してなることを特徴とする赤ないし赤紫色ピクルス類が記載されている。特許文献2の実施例2には、赤キャベツ色素を含む溶液に漬けこんだ紅しょうが漬が記載されている。
特許文献3には、赤ダイコンにより抽出した赤色色素(アントシアニン色素)又は、その色素を含む色素製剤を用いたことを特徴とするしょうが漬等の低pH食品の着色法が記載されている。特許文献3には、赤ダイコン色素は安全性が高く、赤ダイコン色素により着色した低pH食品は、色調が良く、光熱に対し安定であることが記載されている。
一方、生しょうが、食酢等を含む原料を混合・粉砕して、チューブに入れた「おろししょうが」等が市販されている。おろししょうがは、豆腐のトッピング等に用いられ、一般に生しょうがの自然な黄色の状態を活かすため、着色されていない。一方、酢漬けの「紅しょうが」は、文字どおりに、赤色色素で着色されたものが市販されている。
特開昭64-63357号公報 特開昭62-3739号公報 特開平9-23846号公報
「おろししょうが」は、生しょうが、食酢等を含む原料を混合・粉砕したもので、水性媒体に、しょうがの粉砕物(体積を有する天然物の細片)を含む形態のものである。「おろししょうが」等の、破砕した天然物(体積を有する天然物の細片)を水性媒体中に含む組成物を、赤色等の所望の色に着色する場合、水性媒体と天然物の細片の両方を着色することができ、且つ、これらの着色の、室温における色の経時変化がないこと、保存時の光安定性及び加熱調理時の熱安定性が高いことが求められる。
そこで本発明は、水性媒体と天然物の細片と天然色素とを含み、水性媒体及び天然物の細片が天然色素により着色され、着色が光及び熱に対して安定な食品組成物を提供することを目的とする。
なお特許文献1では、クチナシ赤色色素と紅コウジ色素とを組み合わせた着色料により着色する食品は任意であるが、実施例ではイチゴミルクハバロア素材を着色することのみが記載されており、水性媒体及び天然物の細片を含む食品組成物を着色すること、並びに、これらを熱に対して安定に着色することについては記載されていない。
特許文献2では、赤キャベツ色素がアントシアニン系の他の種の色素に比べて退色度が小さく、より安定であることが記載されている。しかし特許文献2では、赤キャベツ色素と他の天然色素とを組み合わせることは示唆されていない。
特許文献3では、紅しょうが等の低pH食品の着色には、色調や安定性の点で紅麹色素等よりも、赤ダイコンより抽出した赤色色素が優れていることが開示されている。しかし特許文献3には、紅麹色素の有用性や、赤ダイコン色素と、他の天然物由来色素とを組み合わせることについての示唆はない。
本発明者らは、水性媒体と天然物の細片とを含み、天然色素として、(i)モナスカス色素と、カロテノイド色素及びアントシアニン色素から選択される1以上との組み合わせ、及び/又は、(ii)イリドイド色素、を含む食品組成物において、水性媒体と天然物の細片が、光及び熱に対して安定な着色を呈することを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の各実施形態を包含する。
(1)水性媒体と、天然物の細片とを含み、かつ、
天然色素として下記の(i)及び(ii):
(i)モナスカス色素と、カロテノイド色素及びアントシアニン色素から選択される1以上との組み合わせ、
(ii)イリドイド色素
の一方又は両方を含む、食品組成物。
(2)モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり、
カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、クチナシ黄色素、デュナリエラカロテン、トウガラシ色素、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上であり、
アントシアニン色素が、ブドウ果皮色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、アカキャベツ色素、アカゴメ色素、アカダイコン色素、ウグイスカグラ色素、エルダーベリー色素、カウベリー色素、グーズベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、シソ色素、ストロベリー色素、ダークスィートチェリー色素、チェリー色素、チンブルベリー色素、デュベリー色素、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、ブドウ果汁色素、ブラックカーラント色素、ブラツクベリー色素、プラム色素、ブルーベリー色素、ボイセンベリー色素、ホワートルベリー色素、マルベリー色素、モレロチェリー色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素及びローガンベリー色素から選択される1以上である、
(1)に記載の食品組成物。
(3)イリドイド色素が、クチナシ青色素及びクチナシ赤色素から選択される1以上である、(1)又は(2)に記載の食品組成物。
(4)天然物の細片が1~200mmの体積を有する、(1)~(3)のいずれかに記載の食品組成物。
(5)pHが2.5~4.8である、(1)~(4)のいずれかに記載の食品組成物。
(6)天然物が、野菜又は果実である、(1)~(5)のいずれかに記載の食品組成物。
(7)天然物が、しょうが、大根、わさび又はにんにくである、(6)に記載の食品組成物。
(8)水性媒体と天然物の細片とを含む混合物を調製する工程、並びに、
下記の(i)及び(ii):
(i)モナスカス色素と、カロテノイド色素及びアントシアニン色素から選択される1以上との組み合わせ、
(ii)イリドイド色素
の一方又は両方を配合する工程、
を含む、(1)に記載の食品組成物の製造方法。
本発明の一以上の実施形態に係る食品組成物では、水性媒体及び天然物の細片の天然色素による着色の、光及び熱に対する安定性が高い。
図1は、実施例1~3、比較例1~7のおろししょうが組成物の製造後の外観の写真を示す(評価1)。 図2は、実施例1~3、比較例1~7のおろししょうが組成物の製造時の写真を左側に、10日間光照射試験後の写真を右側に示す(評価3)。 図3は、実施例1~3、比較例1~7のおろししょうが組成物を用いて調理した卵焼きの断面の写真を示す(評価2)。
1.水性媒体及び天然物の細片を含む食品組成物
本明細書に開示する食品組成物は、水性媒体と天然物の細片とを含み、更に、着色のための所定の天然色素を含むことを特徴とする。
本明細書において「水性媒体」とは、少なくとも水を含む液状又はペースト状(粘性を有する液状)の媒体であり、水中に更に1以上の他の成分が溶解及び/又は懸濁された水溶液又は懸濁液であってよい。水性媒体は調味液であってもよい。
水性媒体が含み得る1以上の他の成分としては、塩(食塩等)、調味料(食酢等)、澱粉、酒精、酸味料、安定剤(キサンタンガム、カラギナン、ペクチン、グアーガム等)、香料、抗酸化剤が例示できる。
天然物は、好ましくは食用できる植物や動物、より好ましくは植物であり、特に好ましくは野菜又は果実である。天然物の具体例としては、しょうが、大根、しょうが、わさび及びにんにくからなる群から選択される1以上が挙げられる。前記植物としては、食用できる任意の部位を用いることができる。例えばしょうがの根茎、大根の根、わさびの根茎、又は、にんにくの球根を用いることができる。前記天然物は、生のものの他、凍結品、乾燥品、焙焼したもの等の任意の形態であってよい。
天然物の細片は、目視で判別できるレベルの寸法を有することが好ましく、個々の細片の体積が1~200mmであることが好ましい。天然物の細片の形状は特に限定されず、粒状、フレーク状、柱状等の任意の形状であってよい。天然物の細片は、天然物を破砕又はカットして得ることができる。天然物を粉砕して得られる細片は破砕片と称することができる。
本明細書に開示する食品組成物中での、水性媒体、天然物の細片及び所定の天然色素の配合割合は特に限定されない。例えば、本明細書に開示する食品組成物の全量あたり天然物の細片(湿重量)は20~99.5質量%、所定の天然色素((i)モナスカス色素と、カロテノイド色素及びアントシアニン色素から選択される1以上との組み合わせ、及び、(ii)イリドイド色素の一方又は両方)の全量は0.1~3.0質量%であり、残量が水性媒体であることができる。
本明細書に開示する食品組成物は、液体状、ペースト状及び固体状のいずれでもよいが、液体状又はペースト状であることが好ましい。
本明細書に開示する食品組成物は、好ましくはpHが2.5~4.8の低pH食品組成物である。特許文献3に記載のように、低pH食品組成物は天然色素による着色に適さない場合があったが、本明細書に開示する食品組成物では、所定の天然色素を用いることにより低pH条件で着色が安定化される。
2.天然色素
本明細書に開示する食品組成物は、天然色素として下記の(i)及び(ii):
(i)モナスカス色素と、カロテノイド色素及びアントシアニン色素から選択される1以上との組み合わせ、
(ii)イリドイド色素
の一方又は両方を含むことを特徴とする。
すなわち、食品組成物は、天然色素として、(i)モナスカス色素とカロテノイド色素とを組み合わせて含むか、(i)モナスカス色素とアントシアニン色素とを組み合わせて含むか、(i)モナスカス色素とカロテノイド色素とアントシアニン色素とを組み合わせて含むか、(ii)イリドイド色素を単独で含むか、あるいは、前記(i)のいずれかの組み合わせと、(ii)イリドイド色素とを組み合わせて含む。
これらの天然色素を含む本明細書に開示する食品組成物では、水性媒体及び天然物の細片が着色され、且つ、着色の保存時の光安定性及び加熱調理時の熱安定性が高い。
これらの天然色素は好ましくは赤色を呈する。
モナスカス色素は、「既存添加物名簿収載品目リスト」(http://www.ffcr.or.jp/webupload/kizon_tenkabutsu_2020.pdf)(以下、「リスト1」という)において、「簡略名又は分類名」の欄に、「モナスカス色素」又は「モナスカス」と表示されている物質である。具体的には、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり、赤色を呈する色素であるベニコウジ色素が好適である。将来的に前記リスト1において「簡略名又は分類名」の欄に、「モナスカス色素」又は「モナスカス」と表示される色素もモナスカス色素として使用できる。
カロテノイド色素は、前記リスト1において、「簡略名又は分類名」の欄に、「カロテノイド色素」と表示されている物質、及び、「一般飲食物添加物リスト」(http://www.ffcr.or.jp/shokuhin/upload/%E4%B8%80%E8%88%AC%E6%B7%BB%E5%8A%A0%E7%89%A9%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88.pdf)(以下、「リスト2」という)において、「簡略名又は類別名」の欄に、「カロテノイド色素」と表示されている物質である。具体的には、アナトー色素、オレンジ色素、クチナシ黄色素、デュナリエラカロテン、トウガラシ色素、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である。赤色を呈する色素である、トウガラシ色素、トマト色素、ファフィア色素及びヘマトコッカス藻色素が好適である。将来的に前記リスト1及び2において、前記の各欄に、「カロテノイド色素」と表示される色素もカロテノイド色素として使用できる。
アントシアニン色素は、前記リスト1において「簡略名又は分類名」の欄に、「アントシアニン色素」又は「アントシアニン」と表示されている物質、及び前記リスト2において、「簡略名又は類別名」の欄に「アントシアニン色素」と表示されている物質である。具体的には、ブドウ果皮色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、アカキャベツ色素、アカゴメ色素、アカダイコン色素、ウグイスカグラ色素、エルダーベリー色素、カウベリー色素、グーズベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、シソ色素、ストロベリー色素、ダークスィートチェリー色素、チェリー色素、チンブルベリー色素、デュベリー色素、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、ブドウ果汁色素、ブラックカーラント色素、ブラツクベリー色素、プラム色素、ブルーベリー色素、ボイセンベリー色素、ホワートルベリー色素、マルベリー色素、モレロチェリー色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素及びローガンベリー色素から選択される1以上である。赤色を呈する色素が好適である。将来的に前記リスト1及び2において、前記の各欄に、「アントシアニン色素」又は「アントシアニン」と表示される色素もアントシアニン色素として使用できる。
前記(i)において、モナスカス色素と、カロテノイド色素及びアントシアニン色素から選択される1以上との配合比は特に限定されないが、例えば、モナスカス色素1質量部に対して、カロテノイド色素及びアントシアニン色素から選択される1以上が合計で0.1~10質量部、好ましくは0.2~5質量部であることができる。
後述する比較例1で示すように、生しょうが及びモナスカス色素(ベニコウジ色素)を含む原料を混合・粉砕したものでは、水性媒体及びしょうが破砕片の両者を、赤色に着色することができ、加熱調理しても、両者の赤色が保持された。一方で、チューブ容器入りのおろししょうがの形態で保存した場合に、赤色の光安定性が劣り、水性媒体及びしょうが粉砕物の両者の赤色が退色しやすい。
後述する比較例2で示すように、生しょうが及びカロテノイド色素(トマト色素)を含む原料を混合・粉砕したものでは、水性媒体だけが赤色に着色され、しょうが粉砕物を十分に赤色に着色することができないことが確認された。
後述する比較例3で示すように、生しょうが及びアントシアニン色素(赤ダイコン色素)を含む原料を混合・粉砕したものでは、水性媒体及びしょうが粉砕物の両者を、赤色に着色することができたが、加熱調理した場合に両者の赤色が退色することが確認された。
このように、モナスカス色素、カロテノイド色素及びアントシアニン色素はそれぞれ単独では、水性媒体及び天然物の細片の着色性、光安定性及び熱安定性が全て満足できるものはない。
これに対し後述する実施例1及び2では、それぞれ、モナスカス色素とカロテノイド色素との組み合わせ、及びモナスカス色素とアントシアニン色素との組み合わせを、色素として配合することにより、水性媒体及び天然物の細片の着色性、光安定性及び熱安定性の要求を全て満足することができることを確認している。特許文献1~3には、モナスカス色素とカロテノイド色素との組み合わせ、及びモナスカス色素とアントシアニン色素との組み合わせを着色に利用することは記載されていない。
イリドイド色素は、前記リスト1、及びこれに紐づく食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000186614.pdf)において、イリドイド配糖体を基原とされている物質である。具体的には、クチナシ青色素及びクチナシ赤色素から選択される1以上である。赤色を呈する色素である、クチナシ赤色素が好適である。将来的に前記リストにおいて「基原・製法・本質」の欄に、イリドイド配糖体を基原と表示される色素もイリドイド色素として使用できる。
実施例3では、イリドイド色素(クチナシ赤色素)を色素として配合した場合、水性媒体及び天然物の細片の着色性、光安定性及び熱安定性の要求を全て満足することができることを確認している。
3.製造方法
本明細書に開示する食品組成物は、
水性媒体と天然物の細片とを含む混合物を調製する工程、並びに、
下記の(i)及び(ii):
(i)モナスカス色素と、カロテノイド色素及びアントシアニン色素から選択される1以上との組み合わせ、
(ii)イリドイド色素
の一方又は両方を配合する工程、
を含む方法により製造することができる。
水性媒体と天然物の細片とを含む混合物を調製する工程は特に限定されないが、例えば、水性媒体又は水性媒体を調製するための材料と天然物との混合物、あるいは、天然物自体を、ミキサー、ミル等の破砕手段で破砕して、水性媒体と天然物の細片とを含む混合物を調製することができる。水性媒体と破砕した天然物とを混合してもよい。要は、水、調味液等の水性媒体、天然物、当該天然物に含まれる水分等を用いて、水性媒体と天然物の細片とを含む混合物を調製すればよい。
前記色素を配合する工程は、前記混合物を調製する工程の前に行っても良いし、同時に行っても良いし、後に行っても良い。
前記混合物を調製する工程と、前記色素を配合する工程とを同時に行う例としては、前記混合物の調製の途中(例えば混合乃至破砕の途中)で、前記色素を配合して、前記色素を含む前記混合物、すなわち本明細書に開示する食品組成物、を製造することが挙げられる。
前記色素を配合する工程を先に行い、前記混合物を調製する工程を後で行う例としては、前記混合物の材料(例えば水性媒体を調製するための材料及び天然物)の一部又は全部あるいは天然物の一部又は全部に前記色素を配合し、その後に前記混合物を調製して、前記色素を含む前記混合物、すなわち本明細書に開示する食品組成物、を製造することが挙げられる。
前記混合物を調製する工程を先に行い、前記色素を配合する工程を後で行う例としては、前記混合物を先に調製し、調製された前記混合物に前記の色素を配合して、前記色素を含む前記混合物、すなわち本明細書に開示する食品組成物、を製造することが挙げられる。
<実験1:おろししょうが組成物>
表1に示す原料(色素は表2に示す)を、スピードカッターで粉砕・混合して調製したおろししょうが組成物を、チューブ容器に充填して、チューブ容器入りのおろししょうが組成物を調製した。色素は、各試験区のおろししょうが組成物で、赤色の濃さが同程度となるように、適当量用いた。チューブ容器入りのおろししょうが組成物は、水性媒体中に、各々が約30mmの体積を有するしょうがの細片が分散する形態であった。
以下の評価基準に基づいて、製造時から保存後における、水性媒体及びしょうがの細片の外観の色調を官能評価した。評価は5名のパネラーで行い、当該評価をしたパネラーの数をプロットした(表2)。
<評価基準>
<評価1>
粉砕・混合して調製したおろししょうが組成物に含まれる、しょうがの細片と水性媒体の色調を調べた。結果を表2に示す。各実施例及び比較例のおろししょうが組成物の外観の写真を図1に示す。
○:しょうがの細片と水性媒体が、十分に赤色に着色されている。
×:水性媒体だけが赤色に着色され、しょうがの細片は十分に赤色に着色されていない。
<評価2>
製造直後のチューブ容器入りのおろししょうが組成物を、卵液に加えて、常法によって卵焼きを調理し、卵焼きに含まれるしょうがの細片を調べた。結果を表2に示す。各実施例及び比較例のおろししょうが組成物を用いて調理した卵焼きの断面の写真を図3に示す。
○:卵焼きの中に、赤色に着色されたしょうがの細片が分散し、しょうがの細片が、チューブ容器入りのおろししょうがと同等の赤色を呈する。
△:卵焼きの中に、赤色に着色されたしょうがの細片が認められるが、しょうがの細片が、チューブ容器入りのおろししょうがに比べて、異なる色調を呈するか、赤色が薄くなっている。
×:卵焼きの中に、赤色に着色されたしょうがの細片が認められず、通常の卵焼きと変わらない外観である。
<評価3>
チューブ容器入りのおろししょうが組成物に対して、製造後10日間、25℃で10000ルクスの光照射を行った後、しょうがの細片と水性媒体を調べた。結果を表2に示す。また、図2で、各実施例及び比較例のおろししょうが組成物の製造時の写真を各図面の左側に、10日間光照射試験後の写真を各図面の右側に示す。
○:しょうがの細片と水性媒体が、光照射前と同等の赤色を呈する。
△:しょうがの細片と水性媒体の赤色が、光照射前と比べて薄くなっている。
×:しょうがの細片と水性媒体の赤色が、光照射前と比べて、異なる色調を呈するか、完全に退色している。
<評価4>
チューブ容器入りのおろししょうが組成物を、40℃で2週間保持する加速試験を行った後、水性媒体としょうがの細片を調べた。結果を表2に示す。
○:しょうがの細片と水性媒体が、加速試験前と同等の赤色を呈する。
△:しょうがの細片と水性媒体の赤色が、加速試験前と比べて薄くなっている。
×:しょうがの細片と水性媒体の赤色が、加速試験前と比べて、異なる色調を呈するか、完全に退色している。
以上の評価において、赤色の色調は、「DICカラーガイド」(DICグラフィックス株式会社)の色見本(色見本番号は表2に示す)と比較して肉眼で評価した。
<組成と結果>
Figure 0007036389000002
Figure 0007036389000003
色素としてベニコウジ色素のみを用いた比較例1のチューブ容器入りのおろししょうが組成物では、製造時及び調理時にしょうがの細片が着色していた(評価1及び2)が、光照射した評価3ではしょうがの細片の着色が失われたことから、ベニコウジ色素単独では耐光性が劣ることが確認された。図2で、比較例1右側の、光照射試験後のおろししょうが組成物では、しょうがの細片と水性媒体の赤色が、左側の光照射前のものと比べて、完全に退色している。
また、トマト色素、ベニバナ赤色素、ビートレッド色素を単独で用いた比較例2、4、5のチューブ容器入りのおろししょうが組成物は、製造時にしょうがの細片が十分に着色されなかった(評価1)。図1で、比較例2、4、5のおろししょうが組成物では、しょうがの細片が着色されていないことがわかる。
また、評価2~4及び図2及び3で、赤ダイコン色素を単独で用いた比較例3のおろししょうが組成物は、加熱調理した場合に赤色が退色し、耐光性と熱安定性が劣ることが示された。
また、トマト色素と赤ダイコン色素を組み合わせた比較例6では、製造時及び調理時にしょうがの細片が十分に着色されなかった(評価1及び2、図1及び3を参照)。ベニコウジ色素とベニバナ赤色素を組み合わせた比較例7では、耐光性と熱安定性が劣ることが確認された(評価3及び4、図2を参照)。
これらに対して、ベニコウジ色素とトマト色素を組み合わせた実施例1、ベニコウジ色素と赤ダイコン色素を組み合わせた実施例2では、評価1~4全てで良好な結果であった(図1~3参照)。
クチナシ赤色素のみを用いた実施例3のチューブ容器入りのおろししょうが組成物は、紫色の色調を伴う赤色を保持し、評価1~4全てで良好な結果であった(図1~3参照)。
おろししょうが組成物を用いて調理した卵焼きの断面の写真を示す図3から明らかなように、実施例1~3では、卵焼きの中に、赤色に着色されたしょうがの細片が、はっきりと確認できる。
<実験2:大根おろし組成物>
実施例4として、大根99.1質量%、ベニコウジ色素0.6質量%及びトマト色素0.3質量%を、スピードカッターで粉砕・混合して調製した大根おろし組成物を、チューブ容器に充填して、チューブ容器入りの大根おろし組成物を調製した。上記組成物は、水性媒体に約5mmの体積を有する大根の細片が分散する形態であった。
前記評価1~4と同様の評価基準に基づいて、製造時から保存後における、水性媒体及び大根の細片の外観の色調を官能評価した結果、評価1~4全てで、水性媒体及び大根の細片が、赤色に着色されており、良好な結果であった。

Claims (7)

  1. 水性媒体と、天然物の細片とを含み、かつ、
    天然色素として下記の(i):
    (i)モナスカス色素と、カロテノイド色素との組み合わせ
    を含む、食品組成物(ただし、ヘム鉄、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素との組み合わせを含む食品組成物、並びに、コチニール赤色素を含む食品組成物を除く)。
  2. モナスカス色素が、ベニコウジ黄色素及びベニコウジ色素から選択される1以上であり、
    カロテノイド色素が、アナトー色素、オレンジ色素、クチナシ黄色素、デュナリエラカロテン、トウガラシ色素、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素及びサフラン色素から選択される1以上である、
    請求項1に記載の食品組成物。
  3. 天然物の細片が1~200mmの体積を有する、請求項1又は2に記載の食品組成物。
  4. pHが2.5~4.8である、請求項1~3のいずれか1項に記載の食品組成物。
  5. 天然物が、野菜又は果実である、請求項1~4のいずれか1項に記載の食品組成物。
  6. 天然物が、しょうが、大根、わさび又はにんにくである、請求項5に記載の食品組成物。
  7. 水性媒体と天然物の細片とを含む混合物を調製する工程、並びに、
    下記の(i):
    (i)モナスカス色素と、カロテノイド色素との組み合わせ
    を配合する工程(ただし、ヘム鉄、ベニコウジ色素及び/又はアナトー色素の組み合わせを配合する工程、並びに、コチニール赤色素を更に配合する工程を除く)、
    を含む、請求項1に記載の食品組成物の製造方法。
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