JP7036103B2 - ガスバリア性積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、紙を支持体とするガスバリア性積層体に関する。
紙を基材とし、水蒸気バリア性やガスバリア性(特に、酸素バリア性)を付与した包装材料は、食品、医療品、電子部品等の包装において、内容物の品質低下を防止するために、従来から用いられてきている。
紙基材に水蒸気バリア性やガスバリア性を付与する方法としては、紙を支持体としてガスバリア性に優れた合成樹脂フィルムや金属箔を積層する方法が一般的である。しかし、紙基材に合成樹脂フィルム等を積層した材料は、使用後に紙や合成樹脂等をリサイクルすることが困難であり、環境面において課題を有するものであった。
そこで、合成樹脂フィルム等を使用せずに、紙を基材としたガスバリア性材料の開発が進められてきている。例えば、特許文献1には、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層がこの順で設けられた紙製バリア材料が開示されている。前記水蒸気バリア層は、水蒸気バリア性樹脂及び撥水剤を含有し、且つ前記ガスバリア層は、水溶性高分子及び界面活性剤を含有する。
また、特許文献2には、紙基材上に水蒸気バリア層およびガスバリア層が設けられた紙製バリア包装材料が開示されている。水蒸気バリア層は、平均粒子径5μm以上、アスペクト比10以上のカオリンを全顔料に対して50~100重量%含有し、ガスバリア層のバインダー樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂である。
特許第6234654号公報 特許第5331265号公報
しかしながら、特許文献1に記載された紙製バリア材料は、水蒸気バリア層が撥水剤を含有しているため、水蒸気バリア層の上にガスバリア層を塗工する際に、均一な塗工層を形成することが困難となる懸念を有していた。また、特許文献2に記載された紙製バリア材料は、水蒸気バリア層におけるカオリンの存在形態に起因して、水蒸気バリア性に改良の余地を有するものであった。
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れたガスバリア性積層体を提供することである。
本発明者らは、水蒸気バリア層における層状無機化合物の種類や形状について検討を加えたところ、アスペクト比が50以上の層状無機化合物を使用することが水蒸気バリア性を発現するために有効であることを見出した。また、水蒸気バリア層にカチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア層の塗工性や内部構造が改善されることを見出した。本発明はこのような知見を踏まえて完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、以下のような構成を有している。
(1)紙支持体の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層およびガスバリア層をこの順に有するガスバリア性積層体であって、前記水蒸気バリア層が層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有し、前記層状無機化合物のアスペクト比が80以上であり、前記層状無機化合物の厚さが100nm以下であり、前記層状無機化合物の含有量が前記アニオン性バインダー100質量部に対して0.1~800質量部であり、前記カチオン性樹脂の含有量が前記アニオン性バインダー100質量部に対して0.1~20質量部であり、前記ガスバリア層が水溶性高分子を含有することを特徴とするガスバリア性積層体。
(2)前記アニオン性バインダーがスチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体およびオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である前記(1)に記載のガスバリア性積層体。
(3)前記カチオン性樹脂は表面電荷が0.1~10meq/gである前記(1)または前記(2)に記載のガスバリア性積層体。
(4)前記水溶性高分子がポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールである前記(1)~(3)のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
(5)前記ガスバリア層が前記層状無機化合物を含有する前記(1)~(4)のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
(6)前記層状無機化合物がマイカ、ベントナイトおよびカオリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記(1)~(5)のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
(7)さらに、少なくとも一方の最外層にシーラント層を有する前記(1)~(6)のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
(8)前記シーラント層が生分解性樹脂を含有する前記(7)に記載のガスバリア性積層体。
(9)包装用材料である前記(1)~(8)のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
本発明のガスバリア性積層体は、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れている。
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本実施形態のガスバリア性積層体は、紙支持体の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層およびガスバリア層をこの順に有している。紙支持体の片面のみに水蒸気バリア層およびガスバリア層を設けてもよいし、紙支持体の両面に水蒸気バリア層およびガスバリア層を設けてもよい。
以下、本実施形態のガスバリア性積層体を構成する各層について説明する。
[紙支持体]
本実施形態に用いられる紙支持体は、植物由来のパルプを主成分として一般的に用いられている紙であれば特に制限はない。具体的には、晒または未晒クラフト紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙等を挙げることができる。機械的離解作用により水中で分散しやすいパルプを主成分とする紙であることが好ましい。
紙支持体のJIS P8121:2012に準じて測定した離解フリーネス(濾水度)は、バリア性を向上させる観点から、800ml以下とすることが好ましく、500ml以下がより好ましい。ここで、離解フリーネスとは、抄紙後の紙をJIS P8220-1に準拠して離解したパルプを、JIS P8121:2012に準拠して測定したカナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness)のことである。離解フリーネスを調製するために、パルプを叩解する方法については、公知の方法を使用することができる。
紙支持体の坪量は、特に限定されないが、20~400g/mであることが好ましく、30~320g/mがより好ましい。
紙支持体のサイズ度は、特に限定されないが、バリア性を向上させる観点から、JIS P 8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度が1秒以上とすることが好ましい。紙支持体のサイズ度は、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン-アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等の内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。内添サイズ剤の含有量は、特に限定されないが、紙支持体のパルプ100質量部に対して0~3質量部程度の範囲が好ましい。
紙支持体にはさらに、公知の内添薬品を適宜添加することができる。内添薬品としては、例えば、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等の填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料・顔料等を挙げることができる。
[水蒸気バリア層]
水蒸気バリア層は、水蒸気の透過を阻止する機能を有する層であり、層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有している。
(層状無機化合物)
層状無機化合物の形態は、平板状である。層状無機化合物とバインダーとの混合溶液を作成し、紙支持体上に塗工すると、水蒸気バリア層が形成される。水蒸気バリア層内においては、平板状の層状無機化合物が紙支持体の平面(表面)とほぼ平行に積層した状態に配列する。そうすると、平面方向では層状無機化合物が存在していない面積が小さくなることから、水蒸気の透過が抑制される。また、厚さ方向では平板状の層状無機化合物が紙支持体平面に対して平行に配列して存在するため、層中の水蒸気は層状無機化合物を迂回しながら透過することとなり、水蒸気の透過が抑制される。その結果、水蒸気バリア層は優れた水蒸気バリア性を発現することができる。
層状無機化合物は、平均長さが1μm~100μmであることが好ましい。平均長さが1μm以上であると、塗工層中における層状無機化合物が紙支持体に対して平行に配列し易い。また、平均長さが100μm以下であると層状無機化合物の一部が水蒸気バリア層から突出する懸念が少ない。
層状無機化合物は、アスペクト比が50以上である。言い換えるとアスペクト比が50または50より大きい。アスペクト比が50以上であると、所定の水蒸気透過度を達成することが可能となる。層状無機化合物のアスペクト比は、80以上が好ましく、300以上がより好ましく、500以上が特に好ましい。アスペクト比が大きいほど、水蒸気の透過が抑制され、水蒸気バリア性が向上する。また、アスペクト比が大きいほど、層状無機化合物の添加量を低減させることができる。アスペクト比の上限は特に限定されず、塗工液の粘度の観点から10000以下程度が好ましい。ここで、アスペクト比とは、水蒸気バリア層の断面の顕微鏡拡大写真を撮ったときに、層状無機化合物の長さをその厚さで除した値の平均値である。
層状無機化合物は、厚さが200nm以下である。言い換えると厚さが200nmまたは200nmより小さい。ここで、層状無機化合物の厚さとは、水蒸気バリア層の断面の顕微鏡拡大写真を撮ったときに、その平均厚さである。層状無機化合物の厚さは、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。層状無機化合物の平均厚さが小さい方が、水蒸気バリア層中における層状無機化合物の積層数が大きくなるため、高い水蒸気バリア性を発揮することができる。
層状無機化合物の具体例としては、雲母族、脆雲母族等のマイカ、ベントナイト、カオリナイト(カオリン鉱物)、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、モンモリロナイトなどが挙げられる。
これらの中でも特に、バリア性を向上させる観点から、マイカ、ベントナイトおよびカオリンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、マイカまたはベントナイトがより好ましい。マイカには、合成マイカ、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。また、ベントナイトはモンモリロナイトが挙げられる。
層状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分中80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましく、10質量%以下が最も好ましい。一方、層状無機化合物の含有量は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。本実施形態では、層状無機化合物のアスペクト比を大きくし、厚さを小さくすることによって、層状無機化合物の含有量を低減することができる。また、水蒸気バリア層の強度を高めて、層状無機化合物の水蒸気バリア層からの脱落を抑えることができる。特に、アスペクト比が大きく且つ厚さの小さい特定の範囲の層状無機化合物、すなわち、アスペクト比が80以上且つ厚さが100nm以下の範囲の層状無機化合物を用いると、水蒸気バリア層の顕微鏡拡大写真を撮ったときに、従来とは明らかに異なり、空隙のない稠密な膜を形成する。この水蒸気バリア層の空隙のない稠密な膜構造が、強靭な皮膜を形成して、折割れを効果的に抑えている。また、ガスバリア層の塗工液の浸透を抑えて、均一なガスバリア層の形成にも寄与している。
層状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層のアニオン性バインダー100質量部に対して0.1~800質量部である。層状無機化合物の含有量は、好ましくは、水蒸気バリア層のアニオン性バインダー100質量部に対して1~400質量部であり、より好ましくは、1~200質量部であり、さらに好ましくは1~100質量部であり、特に好ましくは1~50質量部であり、最も好ましくは1~20質量部である。層状無機化合物の含有量が、水蒸気バリア層のアニオン性バインダー100質量部に対して0.1質量部以上であると、水蒸気バリア性が発現し易い。また、層状無機化合物の含有量が、水蒸気バリア層のアニオン性バインダー100質量部に対して800質量部以下であると、層状無機化合物の一部が層表面から露出して水蒸気バリア性が低減するといった懸念が低減する。また、ガスバリア層の塗工性が低下して均一なガスバリア層が形成されず、ガスバリア性が低下するといった懸念が低減する。
(カチオン性樹脂)
本発明者らは、層状無機化合物を含有する水蒸気バリア層にカチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア性が大きく向上することを見出した。
カチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア性が大きく向上する理由については、以下のように考えている。層状無機化合物は、平板状の形態の平面部分がアニオン性、エッジ部分がカチオン性に帯電し易いため、層状無機化合物が相互に立体的に凝集した、いわゆるカードハウス構造をとることが知られている。このカードハウス構造のために、層状無機化合物の水分散液は粘度が非常に高くなる。一方、カードハウス構造は攪拌などにより力を加えると簡単に壊れるため、層状無機化合物の水分散液はチキソトロピー性を示す。
ここに、適切なカチオン性樹脂を添加すると、層状無機化合物のアニオン性の平面部分にカチオン性樹脂が吸着することによって、カードハウス構造が破壊される。その結果、層状無機化合物が立体的に凝集することが抑制され、平板状の層状無機化合物が紙支持体平面に対して平行に積層し易くなり、水蒸気バリア性の向上につながるものと推定している。
カチオン性樹脂の具体例としては、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどを挙げることができる。
カチオン性樹脂は、表面電荷が0.1~10meq/gであることが好ましく、0.1~5.0meq/gであることがより好ましい。カチオン性樹脂の表面電荷が前記範囲内であると、カードハウス構造を破壊することが可能であり、後記するアニオン性バインダーとも適度に共存することができる。なお、カチオン性樹脂の表面電荷は、以下に記載する方法で測定する。
試料となる重合体を水に溶解して、重合体濃度1ppmの溶液を得る。その溶液に対し、チャージアナライザーMutek PCD-04型(BTG社製)を用いて、0.001Nポリエチレンスルホン酸ナトリウムを滴下して電荷量を測定する。
カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層に使用される層状無機化合物とアニオン性バインダーの種類に応じて適宜選択すればよいが、バリア性を向上させる観点から、層状無機化合物100質量部に対して、1~300質量部が好ましく、1~250質量部がより好ましく、10~150質量部がさらに好ましく、20~150質量部が特に好ましく、20~100質量部が最も好ましい。
また、カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層のアニオン性バインダー100質量部に対して0.1~20質量部であることが好ましく、0.1~15質量部であることがより好ましく、1~10質量部がさらに好ましい。
(アニオン性バインダー)
本発明者らは、さらに、バインダーがアニオン性を示す方が、水蒸気バリア性がより向上することも見出した。前記したように、層状無機化合物の平面部分はアニオン性であるが、カチオン性樹脂が吸着すると表面がカチオン性になる。そのため、アニオン性であるバインダーとの親和性が高まることとなる。
アニオン性のバインダーとしては、カルボン酸基を含む単量体で変性されたバインダーが好ましい。アニオン性バインダーの骨格となるポリマーとしては、スチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体、メタクリレート・ブタジエン系共重合体、アクリルニトリル・ブタジエン系共重合体、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体、アクリルエステル系重合体などが挙げられる。これらの中では、耐水性が良好で、伸びがよく、折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいことから、スチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体およびオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
スチレン・ブタジエン系共重合体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物と、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンなどの共役ジエン化合物、およびこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。芳香族ビニル化合物としてはスチレン、また共役ジエン化合物としては1,3-ブタジエンが好適である。
スチレン・アクリル系共重合体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物と、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステルなどの少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸単量体又はその塩、およびこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。芳香族ビニル化合物としてはスチレンなどが好適であり、また不飽和カルボン酸単量体、不飽和スルホン酸単量体又はその塩としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などが好適である。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィン、とりわけ、エチレン、プロピレン等のα-オレフィンとアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸単量体又はその塩、およびこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。オレフィンとしては、α-オレフィン、とりわけエチレンなどが好適であり、また不飽和カルボン酸単量体、不飽和スルホン酸単量体又はその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などが好適である。オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体の具体例としては、例えばエチレン・アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液が、ザイクセン(登録商標)AC等(アクリル酸の共重合比率20%、住友精化株式会社製)として市販されており、容易に入手し利用することができる。
共重合可能なその他の化合物としては、具体的に、シアノ基含有エチレン性不飽和化合物、エチレン性不飽和酸のグリシジルエーテル、不飽和アルコールのグリシジルエーテル、(メタ)アクリルアミド系化合物などが挙げられる。
アニオン性バインダーは、上記の骨格となるポリマーにカルボン酸基を含む単量体を共重合して、変性させることにより得ることができる。カルボン酸基を含む単量体の共重合比率は、1~50mol%であることが好ましい。
アニオン性バインダーの重量平均分子量は、塗工液粘度の観点から、1万~1000万が好ましく、10万~500万がより好ましい。
アニオン性バインダーの含有割合は、特に限定されないが、水蒸気バリア層の全固形分中20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましく、80質量%以上が最も好ましい。
水蒸気バリア層は、層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダー以外に、必要に応じて適宜、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
水蒸気バリア層の厚さは、1~30μmであることが好ましく、3~20μmであることがより好ましい。また、水蒸気バリア層の塗工量は、固形分として、1~30g/mであることが好ましく、3~20g/mであることがより好ましい。
[ガスバリア層]
ガスバリア層は、主として酸素ガスの透過を阻止する機能を有する層であり、水溶性高分子を含有している。
(水溶性高分子)
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ウレタン系樹脂、ポリアクリル酸およびその塩、カゼイン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
これらの中でも、ガスバリア性がより優れていることから、完全ケン化もしくは部分ケン化したポリビニルアルコール、または変性ポリビニルアルコールが好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
水溶性高分子の含有量は、ガスバリア層の全固形分中50~100質量%であることが好ましく、70~100質量%であることがより好ましい。
ガスバリア層には、水蒸気バリア層と同様に、前記した層状無機化合物を含有させてもよい。層状無機化合物をガスバリア層に含有させる場合、層状無機化合物の含有量は、特に限定されないが、ガスバリア層の水溶性高分子100質量部に対して、1~20質量部程度が好ましく、5~15質量部がより好ましい。層状無機化合物としては、バリア性を向上させる観点から、マイカ、ベントナイトおよびカオリンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。ガスバリア層に含有させる層状無機化合物は、水蒸気バリア層に含有させる層状無機化合物と同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
ガスバリア層は、水溶性高分子と層状無機化合物以外に、必要に応じて適宜、顔料、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。ガスバリア層には、層状無機化合物を水蒸気バリア層で使用できるものの中から適宜選択して含有させることができる。
ガスバリア層の厚さは、0.1~10μmであることが好ましく、0.5~5μmであることがより好ましい。また、ガスバリア層の塗工量は、固形分として、0.1~10g/mであることが好ましく、0.5~5g/mであることがより好ましい。
[ガスバリア性積層体]
(製造方法)
ガスバリア性積層体は、紙支持体上に、まず水蒸気バリア層形成用塗工液を塗工して、水蒸気バリア層を形成した後、ガスバリア層形成用塗工液を塗工して、ガスバリア層を形成することにより、製造することができる。各層は、塗工液を逐次塗工および乾燥させて形成してもよく、同時多層塗工した後に乾燥させて形成してもよい。
塗工液の溶媒としては、特に制限はなく、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンもしくはトルエンなどの有機溶媒を用いることができる。
塗工液を紙支持体に塗工するための塗工設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いることができる。塗工設備としては、例えば、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ゲートロールコーターなどが挙げられる。特に水蒸気バリア層の形成には、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーターなどの塗工表面をスクレイプするコーターが層状無機化合物の配向を促すという点で好ましい。
塗工層を乾燥するための乾燥設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いることができる。乾燥設備としては、例えば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板などが挙げられる。
[シーラント層]
ガスバリア性積層体は、紙支持体の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層およびガスバリア層をこの順に有しているが、さらに、当該ガスバリア性積層体の少なくとも一方の最外層にシーラント層を形成してもよい。すなわち、シーラント層は、水蒸気バリア層およびガスバリア層を形成した側の当該ガスバリア層の上に形成してもよいし、水蒸気バリア層およびガスバリア層を形成していない側の紙支持体の上に形成してもよいし、両方の上に形成してもよい。
シーラント層は、加熱や超音波で溶融し接着する層であり、ガスバリア性積層体同士をヒートシール等により相互に結合させることができる層である。
シーラント層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル重合体などの合成樹脂を溶融押出ラミ法やドライラミ法によって積層することによって形成することができる。また、シーラント層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル重合体などの合成樹脂の乳化分散液を塗工することによって形成することもできる。
シーラント層は、生分解性樹脂を含有することが好ましい。生分解性樹脂の具体例としては、特に限定されず、例えばポリ乳酸(PLA).ポリブチレンサクシネート(PBS)ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、3-ヒドロキシブタン酸・3-ヒドロキシヘキサン酸共重合体(PHBH)等が挙げられる。
シーラント層の厚さは、1~50μmであることが好ましく、3~30μmであることがより好ましい。また、シーラント層の形成量は、固形分として、1~50g/mであることが好ましく、3~30g/mであることがより好ましい。
本実施形態のガスバリア性積層体は、水蒸気バリア層に層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有していることから、水蒸気バリア層中の層状無機化合物がカードハウス構造を形成せず、均一に分散された状態で積層されるため、水蒸気バリア性に優れている。さらに、水蒸気バリア層の表面が平滑に形成されるため、その上のガスバリア層も均一に形成することが可能であり、ガスバリア性に優れている。
本実施形態のガスバリア性積層体は、上記の優れた水蒸気バリア性およびガスバリア性を生かして、食品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができる。また、本実施形態のガスバリア性積層体は、折割れに耐性を有することから、軟包装用材料として好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明のガスバリア性積層体をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例・比較例に用いた原材料は以下のとおりである。
(1)紙支持体
晒クラフト紙:坪量70g/m、厚さ100μm
(2)層状無機化合物
マイカ:膨潤性マイカ、粒子径6.3μm、アスペクト比約1000、厚さ約5nm、固形分6%、製品名:NTO-05、トピー工業社製
ベントナイト:膨潤性ベントナイト、粒子径300nm、アスペクト比300、厚さ約1nm、固形分100%、製品名:クニピアF、クニミネ工業社製
カオリン:エンジニアードカオリン、粒子径9.0μm、アスペクト比80~100、厚さ約0.1μm、固形分100%、製品名:バリサーフHX、イメリスミネラルズ社製
金雲母:粒子径20μm、アスペクト比20~30、厚さ約1μm、固形分100%、製品名:AB32、株式会社山口雲母工業製
(3)カチオン性樹脂
変性ポリアミド系樹脂:固形分53%、製品名:SPI203(50)、田岡化学工業社製、表面電荷0.4meq/g
(4)アニオン性バインダー
酸変性SBRラテックス:固形分47.3%、製品名:LX407S12、日本ゼオン社製
酸変性SBRラテックス:固形分50.5%、製品名:LX407BP-6、日本ゼオン社製
スチレンアクリル系樹脂エマルジョン:固形分53.8%、製品名:ハービルC-3、第一塗料製造所製
オレフィン・不飽和カルボン酸系樹脂エマルジョン:固形分29.0%、製品名:ザイクセンAC、住友精化株式会社製
(5)水溶性高分子
ポリビニルアルコール:完全ケン化型ポリビニルアルコール、製品名:ポバールPVA117、クラレ社製
(6)シーラント
低密度ポリエチレン:LDPE、製品名:サンテックL4490、旭化成株式会社製
ポリ乳酸フィルム:PLA、製品名:エコロージュ、三菱ケミカル株式会社製
ポリブチレンサクシネート:PBS、製品名:Bio PBS FZ71、三菱ケミカル株式会社製
(実施例1)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部に、攪拌しながらアニオン性バインダーとして酸変性SBRラテックス(LX407S12)90.0部及び酸変性SBRラテックス(LX407BP-6)9.4部を加え、攪拌した。これに、カチオン性樹脂として変性ポリアミド系樹脂(SPI203(50))を4.5部加え、攪拌した。さらに、25%アンモニア水溶液を0.6部加え攪拌した。さらに、希釈水を加え、固形分濃度32%とし、水蒸気バリア層の塗工液とした。
水溶性高分子としてポリビニルアルコール(PVA、ポバールPVA117)の固形分濃度10%水溶液を調製し、ガスバリア層の塗工液とした。
得られた水蒸気バリア層の塗工液を、水蒸気バリア層の乾燥後の塗工量が13g/mとなるように、晒クラフト紙の一方の面上にメイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥し、水蒸気バリア層を形成した。さらに、水蒸気バリア層の上に、ガスバリア層の塗工液をガスバリア層の乾燥後の塗工量が2.0g/mとなるように、メイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥し、ガスバリア層を形成し、ガスバリア性積層体を得た。塗工量は、塗工液の固形分濃度とメイヤーバーの番手によって調節した。
(実施例2)
変性ポリアミド樹脂の添加量を0.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例3)
変性ポリアミド樹脂の添加量を3.8部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例4)
変性ポリアミド樹脂の添加量を11.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例5)
変性ポリアミド樹脂の添加量を15.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例6)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部をベントナイト(膨潤性ベントナイト、クニピアF)12部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例7)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部をカオリン(バリサーフHX)20部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例8)
水蒸気バリア層の塗工液の酸変性SBRラテックス(LX407S12)90.0部及び酸変性SBRラテックス(LX407BP-6)9.4部を、スチレンアクリル系樹脂エマルジョン(ハービルC-3)87.9部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例9)
変性ポリアミド樹脂の添加量を0.1部に変更した以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例10)
変性ポリアミド樹脂の添加量を3.8部に変更した以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例11)
変性ポリアミド樹脂の添加量を11.3部に変更した以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例12)
変性ポリアミド樹脂の添加量を15.1部に変更した以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例13)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部をベントナイト(膨潤性ベントナイト、クニピアF)12部に変更した以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例14)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部をカオリン(バリサーフHX)20部に変更した以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例15)
水蒸気バリア層の塗工液の酸変性SBRラテックス(LX407S12)90部及び酸変性SBRラテックス(LX407BP-6)9.4部を、オレフィン・不飽和カルボン酸系樹脂エマルジョン(ザイクセンAC)162.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例16)
水蒸気バリア層と酸素バリア層を形成したガスバリア性積層体の両面にラミネート方法として低密度ポリエチレン(LDPE)を使用した押出ラミネートによりシーラント層を厚さ30μmで積層する工程を加えたこと以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例17)
ラミネート方法をポリ乳酸(PLA)フィルムを使用したドライラミネートに変更し、ラミネート面をガスバリア層側のみに変更した以外は、実施例16と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例18)
ラミネートに使用する樹脂を低密度ポリエチレンに代えてポリブチレンサクシネート(PBS)とした以外は、実施例16と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例19)
水蒸気バリア層の塗工液のスチレンアクリル系樹脂エマルジョン(ハービルC-3)87.9部を、オレフィン・不飽和カルボン酸系樹脂エマルジョン(ザイクセンAC)162.0部に変更した以外は、実施例17と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例20)
水溶性高分子としてポリビニルアルコール(PVA、ポバールPVA117)の固形分濃度10%に代えて12%とした水溶液335部、層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)66.7部、および水40部からなる組成物を混合して、ガスバリア層の塗工液としたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア積層体を得た。
(実施例21)
水溶性高分子としてポリビニルアルコール(PVA、ポバールPVA117)の固形分濃度10%に代えて12%とした水溶液335部、層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)66.7部、および水40部からなる組成物を混合して、ガスバリア層の塗工液としたこと以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア積層体を得た。
(実施例22)
水溶性高分子としてポリビニルアルコール(PVA、ポバールPVA117)の固形分濃度10%に代えて12%とした水溶液335部、層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)66.7部、および水40部からなる組成物を混合して、ガスバリア層の塗工液としたこと以外は、実施例15と同様にして、ガスバリア積層体を得た。
(実施例23)
水溶性高分子としてポリビニルアルコール(PVA、ポバールPVA117)の固形分濃度10%に代えて12%とした水溶液335部、層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)66.7部、および水40部からなる組成物を混合して、ガスバリア層の塗工液としたこと以外は、実施例17と同様にして、ガスバリア積層体を得た。
(実施例24)
水溶性高分子としてポリビニルアルコール(PVA、ポバールPVA117)の固形分濃度10%に代えて12%とした水溶液335部、層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)35.0部、および水40部からなる組成物を混合して、ガスバリア層の塗工液としたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア積層体を得た。
(実施例25)
水溶性高分子としてポリビニルアルコール(PVA、ポバールPVA117)の固形分濃度10%に代えて12%とした水溶液335部、層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)90.0部、および水40部からなる組成物を混合して、ガスバリア層の塗工液としたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア積層体を得た。
(実施例26)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部をカオリン(バリサーフHX)94.0部に変更した以外は実施例15と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例27)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部をカオリン(バリサーフHX)188.0部に変更した以外は実施例15と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例28)
水蒸気バリア層と酸素バリア層を形成したガスバリア性積層体の両面にラミネート方法としてポリブチレンサクシネート(PBS)を使用した押出ラミネートによりシーラント層を厚さ30μmで積層する工程を加えたこと以外は、実施例26と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(比較例1)
変性ポリアミド樹脂を水蒸気バリア層の塗工液に含まないこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(比較例2)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部をカオリン(バリサーフHX)20部に変更したことと、変性ポリアミド樹脂を水蒸気バリア層の塗工液に含まないこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(比較例3)
変性ポリアミド樹脂を水蒸気バリア層の塗工液に含まないこと以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(比較例4)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部をカオリン(バリサーフHX)20部に変更したことと、変性ポリアミド樹脂を水蒸気バリア層の塗工液に含まないこと以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(比較例5)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部を金雲母(AB32)20部に変更したこと以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(比較例6)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ、NTO-05)47.3部を金雲母(AB32)20部に変更したことと、変性ポリアミド樹脂を水蒸気バリア層の塗工液に含まないこと以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
得られたガスバリア性積層体(実施例16~19、28はシーラント層を有するガスバリア性積層体)について、水蒸気バリア性(水蒸気透過度)、ガスバリア性(酸素透過度)、稠密性を評価した。各項目の評価方法は、下記に示す通りである。
<水蒸気透過度>
JIS-Z-0208(カップ法)B法(40℃±0.5℃,90%±2%RH)で、水蒸気バリア層を内側にして測定した。なお、水蒸気透過度の基準としては、50g/m・24h以下であれば、水蒸気バリア層として実用性がある。
<酸素透過度>
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/20)を使用し、23℃,50%RH条件にて測定した。なお、酸素透過度の基準として、10cc/m・24h以下であれば、ガスバリア層として実用性がある。
<稠密性>
ガスバリア性積層体の断面を顕微鏡拡大写真(電子顕微鏡写真)により目視にて観察し、下記の基準で評価し、◎と○のときを合格と判定した。特に断面写真における空隙は、周囲が輝度ムラとして判別され、膜構造の厳密な評価ができる。
◎:水蒸気バリア層が均一で緻密性は高く、バリア性が高い。
○:水蒸気バリア層の層状無機化合物が目立つが稠密性は高く、バリア性が高い。
△:水蒸気バリア層の稠密性はあるが、バリア性が低い。
×:水蒸気バリア層の稠密性は著しく低く、バリア性が低い。
実施例1~28ならびに比較例1~6のガスバリア性積層体についての評価結果を表1および表2に示した。
Figure 0007036103000001
Figure 0007036103000002
表1および表2から明らかなように、カチオン性樹脂を含有しない場合には、層状無機化合物の均一な分散が困難となり、十分なバリア性能を得ることができなかった(比較例1~4、比較例6)。また、層状無機化合物の厚さが大きく、アスペクト比が50未満の場合にも、十分なバリア性能が得られなかった(比較例5)。一方、厚さが小さく、アスペクト比が50以上の層状無機化合物を使用し、カチオン性樹脂を含有する場合、高アスペクト比の層状無機化合物が均一に分散し、水蒸気バリア層の稠密性に優れ、水蒸気バリア性およびガスバリア性が大幅に向上した(実施例1~28)。

Claims (10)

  1. 紙支持体の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層およびガスバリア層をこの順に有するガスバリア性積層体であって、
    前記水蒸気バリア層が層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有し、
    前記層状無機化合物がマイカおよびベントナイトから選ばれる少なくとも1種であり、
    前記層状無機化合物のアスペクト比が80以上であり、
    前記層状無機化合物の厚さが100nm以下であり、
    前記層状無機化合物の含有量が前記アニオン性バインダー100質量部に対して0.1~800質量部であり、
    前記カチオン性樹脂の含有量が前記アニオン性バインダー100質量部に対して0.1~20質量部であり、
    前記ガスバリア層が水溶性高分子を含有することを特徴とするガスバリア性積層体。
  2. 前記アニオン性バインダーがスチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体およびオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  3. 前記カチオン性樹脂は表面電荷が0.1~10meq/gである請求項1または請求項2に記載のガスバリア性積層体。
  4. 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールである請求項1~3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
  5. 前記ガスバリア層が前記層状無機化合物を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
  6. カチオン性樹脂が、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドから選ばれるいずれかである請求項1~のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
  7. 前記カチオン性樹脂の含有量が、層状無機化合物100質量部に対して、1~300質量部である、請求項1~のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
  8. さらに、少なくとも一方の最外層にシーラント層を有する請求項1~のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
  9. 前記シーラント層が生分解性樹脂を含有する請求項に記載のガスバリア性積層体。
  10. 包装用材料である請求項1~のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
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