<印刷システム1の概要>
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。印刷システム1は、熱転写型の印刷を行うためのシステムである。印刷システム1は、外部機器8(図3参照)によって搬送される印刷媒体P(図2参照)に対して印刷を行う。外部機器8の具体例として、包材を搬送する包装機が挙げられる。この場合、例えば印刷システム1は、包装機によって印刷媒体Pが搬送される搬送ラインの一部に組み込まれて使用される。
図1に示すように、印刷システム1は、印刷装置2、ブラケット6、コントローラ7(図3参照)、及びプラテンローラQを有する。以下、図の説明の理解を助けるため、印刷システム1に含まれる各構成の上方、下方、左方、右方、前方、及び後方を定義する。印刷装置2及びブラケット6の上方、下方、左方、右方、前方、及び後方は、それぞれ、図1の上方、下方、左斜め上方、右斜め下方、左斜め下方、及び右斜め上方にそれぞれ対応する。図1において、印刷媒体Pの搬送方向は、左右方向と一致する。印刷媒体Pは、外部機器8によって左方(矢印Y1の方向)に搬送される。
<カセット9>
印刷システム1では、印刷装置2のカセット装着部20にカセット9が装着された状態で、印刷媒体Pに対する印刷が行われる。印刷装置2は、カセット9のインクリボン9A(図2参照)を加熱することで印刷を実行する。図2に示すように、カセット9は、蓋91(図1参照)、シャフト92A~92F、供給ロール90A、及び巻取ロール90Bを有する。シャフト92A~92Fは、前後方向に延びる回転軸を中心として回転可能なスピンドルである。シャフト92A~92Fは、蓋91の後面から後方に延びる。
シャフト92A、92Fは、蓋91の上下方向の中心よりも上方において左右方向に並ぶ。シャフト92Aには、インクリボン9Aの一端が接続されたスプール921が装着される。シャフト92Fには、インクリボン9Aの他端が接続されたスプール922が装着される。スプール921、922は、それぞれ、インクリボン9Aがロール状に巻回される。スプール921にインクリボン9Aが巻回されることにより、供給ロール90Aが構成される。スプール922にインクリボン9Aが巻回されることにより、巻取ロール90Bが構成される。
インクリボン9Aは、印刷装置2によって供給ロール90Aから繰り出され、巻取ロール90Bに巻き取られる。シャフト92Bは、蓋91の右上の隅に設けられる。シャフト92Cは、蓋91の右下の隅に設けられる。シャフト92Dは、蓋91の左下の隅に設けられる。シャフト92Eは、蓋91の左上の隅に設けられる。シャフト92B~92Eのそれぞれの周面の一部に、供給ロール90Aと巻取ロール90Bとの間に張り渡されるインクリボン9Aが接触する。
<プラテンローラQ>
図1及び図2に示すように、プラテンローラQは円柱状の形状を有する。プラテンローラQは、前後方向に延びる回転軸を中心として回転可能である。プラテンローラQの上方に、印刷装置2が配置される。プラテンローラQは、印刷装置2のサーマルヘッド24との間に、印刷媒体P及びインクリボン9Aを挟む。プラテンローラQは、外部機器8により搬送される印刷媒体Pに対して下方から接触し、インクリボン9Aに印刷媒体Pを押し付ける。
<印刷装置2>
印刷装置2は、熱転写型のサーマルプリンタである。図2及び図3に示すように、印刷装置2は、供給部22、巻取部23、サーマルヘッド24、非図示の制御基板、第1モータ26、第2モータ27、第3モータ28等を備える。図2に示すカセット9が印刷装置2のカセット装着部20に装着された場合、シャフト92Aは供給部22に接続され、シャフト92Fは巻取部23に接続される。シャフト92Aのスプール921に巻回された供給ロール90Aは、供給部22に装着される。シャフト92Fのスプール922に巻回された巻取ロール90Bは、巻取部23に装着される。
第1モータ26及び第2モータ27は、ステッピングモータである。第1モータ26は、供給部22を回転駆動することで、供給部22に装着された供給ロール90Aを回転可能である。第2モータ27は、巻取部23を回転駆動することで、巻取部23に装着された巻取ロール90Bを回転可能である。印刷装置2にカセット9が装着された状態で第1モータ26及び第2モータ27が回転した場合、インクリボン9Aは供給ロール90A及び巻取ロール90B間で、シャフト92B~92Eに接触して案内されながら、印刷装置2内を搬送される。
詳細には、供給ロール90A及び巻取ロール90Bが、図2における印刷装置2を前方から見た状態で反時計回り方向である正転方向に回転するとき、インクリボン9Aは供給ロール90Aから繰り出され、巻取ロール90Bに巻き取られる。供給ロール90A及び巻取ロール90Bが、図2における印刷装置2を前方から見た状態で時計回り方向である反転方向に回転するとき、インクリボン9Aは巻取ロール90Bから繰り出され、供給ロール90Aに巻き取られる。
サーマルヘッド24は、前後方向に直線状に並んだ複数の発熱体を有するラインサーマルヘッドである。サーマルヘッド24は、カセット9の供給ロール90Aから巻取ロール90Bに向けて搬送されるインクリボン9Aのうち、シャフト92C、92D間に張り渡された部分に上側から接触する。サーマルヘッド24は、印刷装置2の下方に配置されたプラテンローラQとの間に、印刷媒体P及びインクリボン9Aを挟む。サーマルヘッド24は、印刷媒体Pにインクリボン9Aを押し付けながらインクリボン9Aを加熱することによって、印刷媒体Pに対する印刷を行う。
第3モータ28は、ステッピングモータである。第3モータ28は、ギアを介して、サーマルヘッド24をヘッド位置24A、24B間で上下方向に移動させる。サーマルヘッド24は、下方に移動することによってプラテンローラQに接近し、上方に移動することによってプラテンローラQから離れる。サーマルヘッド24の移動方向(上下方向)は、シャフト92C、92D間で搬送されるインクリボン9Aの搬送方向(左右方向)と直交する。ヘッド位置24Bは、サーマルヘッド24がインクリボン9Aに接触して、インクリボン9AをプラテンローラQに向けて付勢する位置である。ヘッド位置24Aは、サーマルヘッド24がヘッド位置24Bよりも上方に配置され、プラテンローラQに対するインクリボン9Aの付勢を解除する位置である。
<ブラケット6>
図1に示すように、ブラケット6は、印刷媒体P(図2参照)の搬送方向である左右方向と直交する前後方向(矢印Y2の方向)に印刷装置2を移動させる。ブラケット6は、支持部61、ブラケットモータ62、非図示のリードスクリュー、非図示のボールねじを有する。支持部61は、前後方向に長い略箱状を有する。リードスクリューは、支持部61の内部に配置され、前後方向に延びる。リードスクリューの後端部は、ブラケットモータ62の回転軸に連結する。ボールねじは、リードスクリューに螺合し、リードスクリューの回転に応じて前後方向に移動する。ボールねじは、印刷装置2の右端に設けられた連結部21に接続する。印刷装置2は、リードスクリューの回転によってボールねじが前後方向に移動することに応じ、前後方向に移動する。
<コントローラ7>
図3に示すように、コントローラ7は印刷装置2及び外部機器8の間に介在する。コントローラ7は、印刷装置2が印刷を実行するために必要なデータを、印刷装置2に出力する。コントローラ7から印刷装置2に出力されるデータの具体例として、印刷イメージのデータが挙げられる。又、コントローラ7は、外部機器8から出力される信号を印刷装置2に伝達する。外部機器8から出力される信号として、印刷媒体Pの搬送開始信号/搬送停止信号、印刷媒体Pの搬送速度を示す速度信号、印刷媒体Pに対する印刷時期を通知する為の印刷信号が挙げられる。
<電気的構成>
図3を参照し、印刷システム1の電気的構成について説明する。印刷装置2は、制御部2A、記憶部2B、通信インタフェース2C、サーマルヘッド24、第1モータ26、第2モータ27、及び第3モータ28を有する。制御部2A、記憶部2B、及び通信インタフェース2Cは、非図示の制御基板に実装される。制御部2Aは、記憶部2B、通信インタフェース2C、サーマルヘッド24、第1モータ26、第2モータ27、第3モータ28と電気的に接続する。制御部2AはCPU及びRAM等から構成される。また、記憶部2Bは、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発メモリから構成される。
制御部2Aは、記憶部2Bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、後述するRRS機能印刷処理(図9参照)を実行する。記憶部2Bには、制御部2AがRRS機能印刷処理を実行するためのプログラム、後述する列中最大の印刷使用長さXp_max等が記憶される。通信インタフェース2Cは、印刷装置2とコントローラ7との間で通信を行う為のインタフェース素子である。通信インタフェース2Cは、通信ケーブルを介してコントローラ7に接続される。
サーマルヘッド24は、制御部2Aからの制御信号に応じて、発熱体に通電して発熱させる。第1モータ26は、制御部2Aから出力されるパルス信号に応じて回転することで、供給部22を回転させる。第2モータ27は、制御部2Aから出力されるパルス信号に応じて回転することで、巻取部23を回転させる。第3モータ28は、制御部2Aから出力されるパルス信号に応じて回転することで、サーマルヘッド24を上下方向に移動させる。
ブラケット6は、ブラケットモータ62、センサ63、及びスイッチ64を備える。ブラケットモータ62は、制御部2Aから出力されるパルス信号に応じて回転することで、印刷装置2を前後方向に移動させる。センサ63は、印刷装置2の前後方向の位置を検出可能な接触式のセンサである。スイッチ64は、ブラケット6に対する指示が入力される押しボタンスイッチである。
コントローラ7は、制御部7A、記憶部7B、通信インタフェース7C、7Dを有する。通信インタフェース7Cは、印刷装置2とコントローラ7との間で通信を行う為のインタフェース素子である。通信インタフェース7Cは、通信ケーブルを介して印刷装置2に接続される。通信インタフェース7Dは、外部機器8とコントローラ7との間で通信を行うためのインタフェース素子である。通信インタフェース7Dは、通信ケーブルを介して外部機器8に接続される。記憶部7Bには、印刷装置2が印刷を実行するために必要なデータが記憶される。制御部7Aは、記憶部7B及び通信インタフェース7C、7Dと電気的に接続する。制御部7Aは、印刷装置2が印刷を実行するために必要なデータを記憶部7Bから読み出し、通信インタフェース7Cを介して印刷装置2に出力する。制御部7Aは、通信インタフェース7Dを介して外部機器8から受信した信号を検出し、通信インタフェース7Cを介して印刷装置2に出力する。
外部機器8は、制御部8A、操作パネル8B、通信インタフェース8Cを有する。操作パネル8Bは、外部機器8に対する指示が入力される。通信インタフェース8Cは、外部機器8とコントローラ7との間で通信を行う為のインタフェース素子である。通信インタフェース8Cは、通信ケーブルを介してコントローラ7に接続する。制御部8Aは、操作パネル8B及び通信インタフェース8Cと電気的に接続する。制御部8Aは、操作パネル8Bに対して入力された指示を受け付ける。制御部8Aは、通信インタフェース8Cを介して各種信号をコントローラ7に出力する。
<印刷動作概要>
図2を参照し、印刷システム1における印刷動作の概要について説明する。印刷システム1における印刷動作が開始されると、コントローラ7は印刷イメージを示すデータを印刷装置2に出力する。印刷装置2は、データを受信して記憶部2Bに記憶する。外部機器8による印刷媒体Pの搬送が開始されることに応じ、印刷媒体Pの搬送を開始する搬送開始信号、及び、印刷媒体Pの搬送速度を示す速度信号が外部機器8から出力される。印刷装置2は、コントローラ7を介して搬送開始信号及び速度信号を受信する。
印刷媒体Pに対する印刷時期を通知する印刷信号が、外部機器8から繰り返し出力される。印刷装置2は、コントローラ7を介して印刷信号を繰り返し受信する。印刷装置2は、印刷信号の受信に応じて、以下の印刷動作を実行する。即ち印刷装置2は、速度信号で示される搬送速度と同期した速度でインクリボン9Aが搬送されるように、第1モータ26及び第2モータ27を回転駆動して供給ロール90A及び巻取ロール90Bを正転方向に回転させる。インクリボン9Aは、シャフト92C、92D間の搬送経路において、印刷媒体Pと同期した速度で左方に移動する。インクリボン9A及び印刷媒体Pは左方に並走する。印刷装置2は、第3モータ28を回転駆動し、サーマルヘッド24をヘッド位置24Aからヘッド位置24Bまで下方に移動させる。サーマルヘッド24は、プラテンローラQとの間にインクリボン9A及び印刷媒体Pを挟み、印刷媒体Pにインクリボン9Aを押し付ける。サーマルヘッド24の発熱体は、記憶部2Bに記憶されたデータに基づいて発熱する。インクリボン9Aのインクが印刷媒体Pに転写され、印刷イメージが印刷される。印刷イメージの印刷後、第3モータ28が回転駆動し、サーマルヘッド24はヘッド位置24Bからヘッド位置24Aまで上方に移動する。印刷装置2は、第1モータ26及び第2モータ27の回転を停止させる。これにより、供給ロール90A及び巻取ロール90Bの回転も停止し、インクリボン9Aの搬送は停止される。印刷イメージの印刷は、印刷装置2において印刷信号が受信される毎に繰り返し実行される。
本実施形態の印刷システム1は、インクリボン9Aの幅方向の未使用領域を減らして印刷することが可能なラジアルリボンセーブ(以下、「RRS」ともいう。)機能を有する。具体的には印刷システム1では、1行分の印刷後、次の1行分の印刷開始までに、印刷装置2がインクリボン9Aの幅方向(前後方向)に移動されることで、印刷装置2はインクリボン9Aの幅方向の未使用領域を使用して次の1行分の印刷を行う。
<印刷媒体Pの搬送速度が一定の場合のRRS機能による印刷処理>
図4及び図5を参照して、印刷媒体Pの搬送速度が一定の場合のRRS機能による印刷処理(以下、「RRS機能印刷処理」とも言う。)について説明する。図4及び図5では、インクリボン9Aにおける未使用領域を黒で示し、使用領域(印字跡)を白抜きで示す。印刷イメージの一例は、矩形の枠の中にABの文字である。図4及び図5に示す具体例では、インクリボン9Aの右側(図4の下側)が供給ロール90A側であり、インクリボン9Aの左側(図4の上側)が巻取ロール90B側である。また、インクリボン9Aの前後方向を列、左右方向を行といい、インクリボン9Aにおける左側(図4及び図5の上段)の列を第1列、右側(図4及び図5の下段)の列を第2列という。また、インクリボン9Aにおける最も前側(幅方向左端)の行を第1行といい、後ろ側(幅方向右端)に向けて順に第2行、第3行、及び第4行という。
従って、図4(A)は、印刷装置2が印刷イメージをインクリボン9Aの第1列第1行を使用して印字した使用領域を示す。図4(D)は、印刷装置2が印刷イメージをインクリボン9Aの第1列第1行~第1列第4行まで4行分使用して印字した状態を示す。図5(D)は、印刷装置2が印刷イメージをインクリボン9Aの第1列及び第2列において各々4行分使用して印字した状態を示す。1行分の印刷で加熱使用されるインクリボン9Aの使用領域の幅方向(前後方向)長さは、インクリボン9Aの幅方向長さの四分の一よりも小さい。
図4(A)に示すように、印刷装置2が印刷イメージをインクリボン9Aの第1列第1行を使用して印字した場合、印刷システム1では、次の1行分の印刷が開始されるまでに、以下の後方準備制御が実行される。即ち印刷装置2は、第3モータ28を回転駆動して、サーマルヘッド24をヘッド位置24Bからヘッド位置24Aまで上方に移動させる。印刷装置2は、第1モータ26及び第2モータ27を回転駆動して供給ロール90A及び巻取ロール90Bを反転方向に回転させることで、インクリボン9Aを使用領域の搬送方向長さ分だけ供給ロール90A側に巻き戻す。ブラケット6は、ブラケットモータ62の回転駆動により、印刷装置2を距離Kだけ前方に移動させる。距離Kは、1行分の使用領域の前後方向長さと、所定の余白分の前後方向長さとを加えた距離である。これにより、印刷媒体Pに対するインクリボン9Aの位置が、距離Kだけ前方に相対移動する。
次いで、図4(B)に示すように、印刷装置2は印刷信号を受信すると、印刷媒体Pに印刷された1行と同じ列で、インクリボン9Aの第1列第2行の未使用領域を使用して、1行の印刷を実行する。その後、印刷システム1では、後方準備制御が実行されて、印刷媒体Pに対するインクリボン9Aの位置が距離Kだけ前方に相対移動する。以下同様に、図4(C)に示すように、印刷装置2は、インクリボン9Aの第1列第3行の未使用領域を使用して、1行分の印刷を実行する。次いで、図4(D)に示すように、印刷装置2は第1列第4行の未使用領域を使用して、1行分の印刷を実行する。これにより印刷装置2は、インクリボン9Aの幅方向に並ぶ4つの未使用領域を前側から順に使用して、印刷媒体Pに対して搬送方向に並ぶ4行分の印刷を実行する。
印刷システム1では、図4(D)に示すように第1列に4行分の印刷が完了した場合、1行分を印刷可能な未使用領域が、インクリボン9Aにおける使用領域の後方に存在しない。この場合、印刷システム1では、次の1行分の印刷が開始されるまでに、以下の通常準備制御が実行される。即ち印刷装置2は、第3モータ28を回転駆動して、サーマルヘッド24をヘッド位置24Bからヘッド位置24Aまで上方に移動させる。印刷装置2は、第1モータ26及び第2モータ27を回転駆動して供給ロール90A及び巻取ロール90Bを正転方向に回転させることで、インクリボン9Aを印刷媒体Pと並走させる。ブラケット6はブラケットモータ62を回転駆動することなく、印刷装置2の前後方向位置を維持する。
次いで、印刷装置2は印刷信号を受信すると、図5(A)に示すように、インクリボン9Aの第2列第4行を使用して、1行分の印刷を実行する。この場合、印刷システム1では、次の1行分の印刷が開始されるまでに、前方準備制御が実行される。前方準備制御は、後方準備制御と基本的に同じであるが、ブラケット6がブラケットモータ62の回転駆動により印刷装置2を距離Kだけ後方に移動させる点が異なる。これにより、印刷媒体Pに対するインクリボン9Aの位置が、距離Kだけ後方に相対移動する。
次いで、印刷装置2は印刷信号を受信すると、図5(B)に示すように、インクリボン9Aの第2列第3行を使用して、1行分の印刷を実行する。その後、印刷システム1では、前方準備制御が実行されて、印刷媒体Pに対するインクリボン9Aの位置が距離Kだけ後方に相対移動する。以下同様に、図5(C)に示すように、印刷装置2は、インクリボン9Aの第2列第2行を使用して、1行分の印刷を実行する。図5(D)に示すように、印刷装置2はインクリボン9Aの第2列第1行を使用して、1行分の印刷を実行する。これにより印刷装置2は、インクリボン9Aの幅方向に並ぶ4つの未使用領域を後側から順に使用して、印刷媒体Pに対して搬送方向に並ぶ4行分の印刷を実行できる。
図5(D)に示すように、4行分の印刷が完了した場合、1行分を印刷可能な未使用領域が、インクリボン9Aにおける使用領域の前方に存在していない。この場合、印刷システム1では、次の1行分の印刷が開始されるまでに、通常準備制御が実行される。印刷装置2は印刷信号を受信すると、図5(D)に示す使用領域に対してインクリボン9Aの搬送方向上流(右方)にある未使用領域を使用して、図4(A)と同様に1行分の印刷を実行する。印刷システム1では、図4(A)~図5(D)に示す印刷動作が繰り返し実行されることで、インクリボン9Aにおいて未使用領域が蛇行するように使用されて、図6に示すように、印刷媒体Pに対して矢印Y1方向に並ぶ8個の印刷イメージが印刷される。
なお、外部機器8による印刷媒体Pの搬送が停止されることに応じ、印刷媒体Pの搬送を停止する搬送停止信号が外部機器8から出力される。印刷装置2は、コントローラ7を介して搬送停止信号を受信する。印刷システム1における印刷動作は停止される。
<印刷媒体Pの搬送速度が可変する場合の従来のRRS機能による印刷処理>
図7を参照して、搬送速度が可変する印刷媒体Pに、印刷装置2が従来のRRS機能による印刷処理を行った場合のインクリボン9Aの使用状態について説明する。図7に示す例では、図5(D)に示す例と同じく、印刷装置2がインクリボン9Aの第1列第1行~第2列第4行までを使用して、印刷を行った状態を示す。図7に示す例では、図4及び図5に示す例とインクリボン9Aの使用領域の順番は同じであり、矢印に示すように、インクリボン9Aの第1列第1行~第1列第4行を順に使用して印刷が行われ、次いで、第2列第4行~第2列第1行を順に使用して印刷が行われる。以下、図4及び図5に示す例と印刷動作の同じ部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。
図7に示す例では、一例として、インクリボン9Aの第1列第1行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度に比べて、第1列第2行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度が遅い。従って、第1列第2行を使用する印刷時のインクリボン9Aの印字開始位置までの搬送長さが第1列第1行の印刷時の搬送長さより長くなる。この場合、インクリボン9Aの第1列第2行の使用領域が第1列第1行の使用領域よりも右方向にずれる。また、第1列第3行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度は、第1列第1行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度と同じである。従って、インクリボン9Aの第1列第3行の使用領域は、第1列第1行を使用する使用領域と左右方向において同じ位置である。また、第1列第4行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度は、第1列第3行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度より遅く、第1列第2行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度より速い。従って、第1列第4行の使用領域が第1列第3行の使用領域よりも右方向にずれ、且つ、第1列第2行の使用領域よりも左方向にずれる
図7に示す例では、インクリボン9Aの左右方向に於ける位置P1が第1列第4行を使用する印刷完了位置である。位置P2が第1列第4行のインクリボン9Aのリボン減速完了位置である。従って、第2列の印刷開始予定位置は、位置P1に掛からないように位置P1から所定間隔離れた位置P3である。従って、第2列の印刷の為にインクリボン9Aが巻き戻される長さは、第2列の印刷の為にインクリボン9Aの加速に必要な長さと、位置P1と位置P2との間の長さを合わせた長さになる。一例として、第2列の印刷の為にインクリボン9Aが巻き戻される位置は、位置P4となる。位置P5は、第2列第4行を使用した印刷完了位置である。位置P6が第2列第4行を使用した印刷のインクリボン9Aのリボン減速完了位置である。
図7に示す例では、インクリボン9Aの第2列第4行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度に比べて、第2列第3行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度が遅い。従って、第2列第3行を使用する印刷時のインクリボン9Aの印字開始位置までの搬送長さが第2列第4行の印刷時の搬送長さより長くなる。この場合、インクリボン9Aの第2列第3行の使用領域が第2列第4行の使用領域よりも右方向にずれる。また、第2列第2行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度は、第2列第4行を使用する印刷時の印刷媒体Pの搬送速度と同じである。従って、インクリボン9Aの第2列第2行の使用領域は、第2列第4行を使用する使用領域と左右方向において同じ位置である。従って、第1列第2行の使用領域に第2列第2行の使用領域の一部が重なる。この場合、図8に示すように、インクリボン9Aの第2列第2行を使用して印刷媒体Pに印刷された印刷イメージにかすれが生じる。
<印刷媒体Pの搬送速度が可変する場合の本実施形態のRRS機能による印刷処理>
図9~図13を参照して、印刷システム1の本実施形態のRRS機能による印刷処理を詳細に説明する。図9に示すように、印刷装置2に電源が投入されると、印刷装置2の制御部2Aは、記憶部2Bに記憶されたRRS機能印刷処理のプロクラムを読み出して実行する。制御部2Aは、印刷装置2の機能にエラーが発生していないかを判断する(S1)。エラーの一例は、カセット装着部20にカセット9が装着されておらず、制御部2Aが図示外のカセットセンサからカセット9が装着さていないことを示す信号を受信した場合である。制御部2Aはエラーが発生していると判断した場合(S1:YES)、印刷を停止し(S21)、印刷処理を終了する。制御部2Aはエラーが発生していると判断しない場合(S1:NO)、印刷停止指示をコントローラ7介して受信したかを判断する(S2)。制御部2Aは印刷停止指示を受信したと判断した場合(S2:YES)、印刷を停止し(S21)、印刷処理を終了する。制御部2Aは印刷停止指示を受信したと判断しない場合(S2:NO)、1行分の印刷開始を指示する印刷信号をコントローラ7を介して受信したかを判断する(S3)。制御部2Aはコントローラ7を介して印刷信号を受信したと判断した場合(S3:YES)、1行分の印刷動作を開始する(S4)。
具体的には、コントローラ7は印刷イメージを示す印刷データを印刷装置2に出力する。制御部2Aは、印刷データを受信して記憶部2Bに記憶する。外部機器8による印刷媒体Pの搬送が開始されることに応じ、印刷媒体Pの搬送を開始する搬送開始信号、及び、印刷媒体Pの搬送速度を示す速度信号が外部機器8から出力される。制御部2Aはコントローラ7を介して搬送開始信号及び速度信号を受信する。
印刷媒体Pに対する1行分の印刷の開始を指示する印刷信号が、外部機器8から出力される。制御部2Aはコントローラ7を介して印刷信号を受信する(S3:YES)。印刷装置2は、印刷信号の受信に応じて、以下の印刷動作を実行する(S4)。即ち、制御部2Aは、速度信号で示される搬送速度と同期した速度でインクリボン9Aが搬送されるように、第1モータ26及び第2モータ27を回転駆動して供給ロール90A及び巻取ロール90Bを正転方向に回転させる。インクリボン9Aは、シャフト92C、92D間の搬送経路において、印刷媒体Pと同期した速度で左方に移動する。インクリボン9A及び印刷媒体Pは左方に並走する。印刷装置2は、第3モータ28を回転駆動し、サーマルヘッド24をヘッド位置24Aからヘッド位置24Bまで下方に移動させる。サーマルヘッド24は、プラテンローラQとの間にインクリボン9A及び印刷媒体Pを挟み、印刷媒体Pにインクリボン9Aを押し付ける。サーマルヘッド24の発熱体は、記憶部2Bに記憶された印刷データに基づいて発熱する。インクリボン9Aのインクが印刷媒体Pに転写され、印刷イメージが印刷される(S4)。
制御部2Aは、印刷動作にエラーが発生していないか判断する(S5)。エラーの一例は、カセット装着部20からのカセット9の取り外しや、インクリボン9A切れや、インクリボン9Aの搬送ができなくなった場合等である。制御部2Aは、印刷動作にエラーが発生したと判断した場合(S5:YES)、第1モータ26、第2モータ27、サーマルヘッド24を停止して印刷動作を停止する(S7)。制御部2Aは、印刷動作にエラーが発生していると判断しない場合(S5:NO)、印刷完了かを判断する(S6)。制御部2Aは、1行分の印刷を完了した場合、印刷完了と判断する(S6:YES)。即ち、制御部2Aは、インクリボン9Aを加速予想長さXu、印字使用長さXp、及び減速長さXdを合計した搬送長さX(以下、「正転量」ともいう。)だけ搬送した場合に、印刷完了と判断する(S6:YES)。加速予想長さXuは、インクリボン9Aの搬送が開始してサーマルヘッド24により印刷が開始されるまでにインクリボン9Aが搬送される長さである。印字使用長さXpは、インクリボン9Aの搬送が開始してサーマルヘッド24による印刷が終了するまでにインクリボン9Aが搬送される長さである。減速長さXdは、サーマルヘッド24による印刷が完了して、インクリボン9Aの搬送が停止するまでの長さである。即ち、加速予想長さXuだけ搬送した後で印字位置に到達していないときは搬送長さが長くなり、加速予想長さXuだけ搬送する前に印字位置に到達した場合は搬送長さが短くなる。この差がRRSの行ごとの印字開始位置(左右)のばらつきの原因となる。
図11(A)に第1列第1行の領域を使用して印刷を行ったインクリボン9Aを示す。位置P11がインクリボン9Aの加速開始位置であり、位置P12は印刷開始位置である。位置P13が印刷完了位置であり、位置P14がインクリボン9Aの減速完了位置である。位置P11から位置P12の間の長さが加速予想長さXuである。位置P11から位置P13の間の長さが印字使用長さXpである。位置P13から位置P14の間の長さが減速長さXdである。位置P11から位置P14の間の長さが搬送長さX(正転量)である。
制御部2Aは、印刷完了と判断しない場合(S6:NO)、処理をS5に戻す。制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。第3モータ28が回転駆動し、サーマルヘッド24はヘッド位置24Bからヘッド位置24Aまで上方に移動する。ブラケットモータ62が回転駆動して、印刷装置2を前後方向に移動する。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。印字使用長さXp=X-Xdである。列中最大の印刷使用長さXp_maxは、記憶部2Bに記憶されている。インクリボン9Aの各列の最初の行が使用されて印刷される場合には、印刷使用長さXp_maxの値はリセットされて「0」である。従って、図11(A)に示す第1列第1行の領域を使用した印刷が完了した場合の印字使用長さXpは印刷使用長さXp_maxよりも長い。制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断する(S9:YES)。制御部2Aは、Xp_max=Xpとして、第1列第1行の領域を使用した印刷が完了した時の印字使用長さXpをXp_maxとして記憶部2Bに記憶する(S10)。尚、記憶部2Bに記憶されるXp_maxの一例は、第1モータ26及び第2モータ27がステッピングモータである場合には、印字使用長さXpだけインクリボン9Aを搬送するステップ数である。
次いで、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後かを判断する(S11)。一例として、制御部2Aは、ブラケットモータ62を駆動したステップ数又は、センサ63からの検出信号によりS11の判断を行う。また、S9の判断処理で、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断しない場合(S9:NO)、処理をS11に進める。
制御部2Aは、印刷に使用した行はその列の最後と判断しない場合(S11:NO)、インクリボン9Aの巻き戻し長さXr=正転量で、インクリボン9Aの巻き戻しを開始する(S12)。即ち、制御部2Aは、第1モータ26及び第2モータ27を回転駆動して供給ロール90A及び巻取ロール90Bを逆転方向に回転させて、S4~S6の処理で搬送した搬送長さX(正転量)だけ巻き戻しを開始する(S12)。図11(A)に示す例では、インクリボン9Aは、P11~P14の長さ(正転量)だけ巻き戻される。制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断した場合(S13:YES)、RRS機能による印刷装置2の移動を停止する(S14)。次いで、制御部2Aは、第1モータ26、第2モータ27、サーマルヘッド24を停止して印刷動作を停止する(S7)。エラーの一例は、インクリボン9Aが搬送できない場合等である。
制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、インクリボン9Aの搬送及びRSS移動が完了したか判断する(S15)。制御部2Aは、第1モータ26、第2モータ27及びブラケットモータ62を駆動したパルス数及びセンサ63からの信号によりS15の判断を行う。制御部2Aは、S15の判断処理でYESと判断した場合、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図11(B)に示すインクリボン9Aの第1列第2行の領域による印刷を行う。制御部2Aが、コントローラ7を介して受信した速度信号がインクリボン9Aの第1列第1行の領域による印刷より遅い場合には、図11(B)に示すように、第1列第2行の使用領域が第1列第1行の使用領域よりも右方にずれる。位置P15が第1列第2行の印刷完了位置であり、位置P16がインクリボン9Aの減速完了位置である。従って、第1列第2行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P11~位置P15間の長さ)は、第1列第1行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P11~位置P13間の長さ)よりも長くなる。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。第1列第2行の使用領域の印刷使用長さXpは、記憶部2BにXp_maxとして記憶されている第1列第1行の使用領域の印刷使用長さXpよりも長いので、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断する(S9:YES)。制御部2Aは、第1列第2行の印刷が完了した時の印字使用長さXpをXp_maxとして記憶部2Bに記憶する(S10)。
次いで、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後かを判断する(S11)。第1列第2行は、その列の最後ではないので、制御部2Aは、印刷した行はその列の最後と判断しない(S11:NO)。制御部2Aは、インクリボン9Aの巻き戻し長さXr=正転量で巻き戻しを開始する(S12)。第1列第2行の搬送長さX(正転量)は、第1列第1行の搬送長さX(正転量)よりも長いので、S12の処理における巻き戻し量は長くなる。
制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、且つ、インクリボン9Aが搬送及びRSS移動が完了したと判断した場合(S15:YES)、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図11(C)に示すインクリボン9Aの第1列第3行の領域による印刷を行う。制御部2Aが、コントローラ7を介して受信した速度信号がインクリボン9Aの第1列第1行の領域による印刷と同じ場合には、図11(C)に示すように、インクリボン9Aの左右方向において領域が第1列第1行の使用領域と同じ位置になる。従って、第1列第3行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P11~位置P13間の長さ)は、第1列第2行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P11~位置P15間の長さ)よりも短くなる。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。第1列第3行の使用領域の印刷使用長さXpは、記憶部2BにXp_maxとして記憶されている第1列第2行の使用領域の印刷使用長さXpよりも短い。従って、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断しない(S9:NO)。制御部2Aは、処理をS11に進める。
次いで、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後かを判断する(S11)。第1列第3行は、その列の最後ではないので、制御部2Aは、印刷した行はその列の最後と判断しない(S11:NO)。制御部2Aは、インクリボン9Aの巻き戻し長さXr=正転量で巻き戻しを開始する(S12)。第1列第3行の搬送長さX(正転量)は、第1列第1行の搬送長さX(正転量)と同じである。従って、位置P11から位置P14間の長さ巻き戻される。
制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、且つ、インクリボン9Aが搬送及びRSS移動が完了したと判断した場合(S15:YES)、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図11(D)に示すインクリボン9Aの第1列第4行の領域による印刷を行う。位置P17が印刷完了位置であり、位置P18がインクリボン9Aの減速完了位置である。制御部2Aが、コントローラ7を介して受信した速度信号がインクリボン9Aの第1列第3行の領域による印刷よりは遅いが、第1列第2行の領域による印刷よりは速い場合、図11(D)に示すように、インクリボン9Aの左右方向において、第1列第4行による印刷の使用領域が第1列第3行の使用領域よりは右にずれるが、第1列第2行の使用領域よりは左にずれる。従って、第1列第4行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P11~位置P17間の長さ)は、第1列第3行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P11~位置P13間の長さ)よりも長く、且つ、第1列第2行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P11~位置P15間の長さ)よりも短くなる。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。第1列第4行の使用領域の印刷使用長さXpは、記憶部2BにXp_maxとして記憶されている第1列第2行の使用領域の印刷使用長さXpよりも短いので、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断しない(S9:NO)。制御部2Aは、処理をS11に進める。
次いで、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後かを判断する(S11)。第1列第4行は、その列の最後なので、制御部2Aは、印刷した行はその列の最後と判断し(S11:YES)、巻き戻し長さXrを決定する(S16)。次の印刷では、第1列から第2列に印刷される列が切り替わる。列の切り替わりタイミングでは、制御部2Aは、次の列との間隔を最適化した巻き戻し長さXrを決定して巻き戻す。
巻き戻し長さXrを計算する処理(S16)を図10のサブルーチンを参照して説明する。以下、各パラメータを以下のように定義する。インクリボン9Aが停止位置から搬送が開始されて印字が開始するまでのインクリボン9Aの長さであるリボン加速予想長さを「Xu」、印字が終了してからインクリボン9Aの搬送が停止するまでのインクリボン9Aの搬送長さであるリボン減速長さを「Xd」、直前の印刷使用長さを「Xp」、Xpは、Xuと印字イメージの左右方向の長さの合計の長さである。列中の最大の印刷使用長さを「Xp_max」、実際のリボン搬送長さを「X」とする。Xは、Xu、Xd及び印字イメージの左右方向の長さの合計の長さである。従って、印刷使用長さXp=X-Xdである。巻き戻し長さを「Xr」、及び左右後方に於ける使用領域(印字跡)の間隔を「Xm(固定の値で例えば1mm)」とする。図12(A)に示す例では、Xuは位置P21~位置P22の間の長さであり、Xdは位置P23~位置P24の間の長さである。インクリボンの第2列第4行を使用して印刷を行うのに、最低限、巻き戻しが必要な長さは、Xu+Xd-Xmである。尚、本実施形態では、上記各パラメータの値は、一例として、第1モータ26及び第2モータ27を駆動するステップ数であり、S162及びS167の計算もステップ数により行われる。
初めに、制御部2Aは、Xp<Xp_maxかを判断する(S161)。直前の印刷使用長さXpは、図11(D)に示すように第1列第4行の印刷使用長さ(位置P11~位置P17間の長さ)であるので、記憶部2Bに記憶されているXp_max(第1列第2行の印刷使用長さ、即ち、位置P11~位置P15間の長さ)よりも短い。従って、制御部2Aは、Xp<Xp_maxであると判断する(S161:YES)。次に、制御部2Aは、巻き戻し長さXrを次のように計算する。Xr=Xu+Xd-Xm-(Xp_max-Xp)(S162)。Xu+Xd-XmからXp_max-Xpを減じているのは、直前の印刷使用長さXpよりも長いXp_maxとの差分を巻き戻し長さXrから減じないと、図7に示すように、インクリボン9Aの使用領域に重なりができる。従って、図8に示すように、印字にかすれが生じる可能性がある。制御部2Aは、S162の処理で巻き戻し長さXrを計算後に、記憶部2Bに記憶されているXp_maxの値をリセットする。
制御部2Aは、Xrが0でないか判断する(S163)。制御部2Aは、Xrが0でないと判断しない場合(S163:NO)、即ち、Xr=0の場合、インクリボン9Aの巻き戻しも送り出しも必要ないので、制御部2Aは、処理を図9のS13に進める。制御部2Aは、Xrが0でないと判断した場合(S163:YES)、Xrが0より大きいか判断する(S164)。制御部2Aは、Xrが0より大きいと判断した場合(S164:YES)、供給部22側にインクリボン9AをXrだけ巻き戻しを開始し(S165)、処理を図9のS13に進める。制御部2Aは、Xrが0より大きいと判断しない場合(S164:NO)、インクリボン9Aを巻取部23側にXrだけ送り出しを開始し(S166)、処理を図9のS13に進める。
制御部2Aは、Xp<Xp_maxであると判断しない場合(S161:NO)、即ち、Xp≧Xp_maxの場合には、巻き戻し長さXrをXr=Xu+Xd-Xmとする(S167)。制御部2Aは、S167の処理で巻き戻し長さXrを計算後に、記憶部2Bに記憶されているXp_maxの値をリセットする。次いで、制御部2Aは、供給部22側にインクリボン9AをXrだけ巻き戻しを開始し(S168)、処理を図9のS13に進める。
図12(A)に示す例では、一例として、Xrが0より大きいので(S164:YES)。制御部2Aは、インクリボン9AをS162の処理で計算されたXrだけ巻き戻しを開始し(S165)、処理を図9のS13に進める。制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、且つ、インクリボン9Aが搬送及びRSS移動が完了したと判断した場合(S15:YES)、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図12(A)に示すインクリボン9Aの第2列第4行の領域による印刷を行う。位置P21がインクリボン9Aの加速開始位置であり、位置P23が印刷完了位置であり、位置P24がインクリボン9Aの減速完了位置である。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。インクリボン9Aの各列の最初の行が使用されて印刷される場合には、印刷使用長さXp_maxの値はリセットされて「0」である。また、図12(A)に示すインクリボン9Aの第2列第4行の領域を使用した印刷が完了した場合の印字使用長さXpは位置P21~位置P23間の長さである。従って、印字使用長さXpは印刷使用長さXp_maxよりも大きい。従って、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断する(S9:YES)。制御部2Aは、Xp_max=Xpとして、第2列第4行の領域を使用した印刷が完了した時の印字使用長さXpをXp_maxとして記憶部2Bに記憶する(S10)。
次いで、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後かを判断する(S11)。インクリボン9Aの第2列は、第2列第4行~第2列第1行を順に使用して印刷が行われるので、第2列第4行はその列の最後ではない。従って、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後と判断しない(S11:NO)。
次いで、制御部2Aは、インクリボン9Aの巻き戻し長さXr=正転量で、インクリボン9Aの巻き戻しを開始する(S12)。図12(A)に示す例では、インクリボン9Aは、P21~P24の長さ(正転量)だけ巻き戻される。制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、インクリボン9Aの搬送及びRSS移動が完了したか判断する(S15)。制御部2Aは、S15の判断処理でYESと判断した場合、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図12(B)に示すインクリボン9Aの第2列第3行の領域による印刷を行う。制御部2Aが、コントローラ7を介して受信した速度信号がインクリボン9Aの第2列第4行の領域による印刷より遅い場合には、図12(B)に示すように、第2列第3行の使用領域が第2列第4行の使用領域よりも右方にずれる。位置P25が第2列第3行の印刷完了位置であり、位置P26がインクリボン9Aの減速完了位置である。従って、第2列第3行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P21~位置P25間の長さ)は、第2列第4行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P21~位置P23間の長さ)よりも長くなる。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。第2列第3行の使用領域の印刷使用長さXpは、記憶部2BにXp_maxとして記憶されている第2列第4行の使用領域の印刷使用長さXpよりも長い。従って、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断する(S9:YES)。制御部2Aは、第2列第3行の印刷のインクリボン9Aの印字使用長さXpをXp_maxとして記憶部2Bに記憶する(S10)。
次いで、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後かを判断する(S11)。第2列第3行は、その列の最後ではないので、制御部2Aは、印刷した行はその列の最後と判断しない(S11:NO)。制御部2Aは、インクリボン9Aの巻き戻し長さXr=正転量で巻き戻しを開始する(S12)。第2列第3行の搬送長さX(正転量)は、第2列第4行の搬送長さX(正転量)よりも長いので、S12の処理における巻き戻し量は長くなる。
制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、且つ、インクリボン9Aが搬送及びRSS移動が完了したと判断した場合(S15:YES)、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図12(C)に示すインクリボン9Aの第2列第2行の領域による印刷を行う。制御部2Aが、コントローラ7を介して受信した速度信号がインクリボン9Aの第2列第4行の領域による印刷と同じ場合には、図12(C)に示すように、インクリボン9Aの左右方向において第2列第2行の使用領域が第2列第4行の使用領域と同じ位置になる。従って、第2列第2行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P21~位置P23間の長さ)は、第2列第3行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P21~位置P25間の長さ)よりも短くなる。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。第2列第2行の使用領域の印刷使用長さXpは、記憶部2BにXp_maxとして記憶されている第2列第3行の使用領域の印刷使用長さXpよりも短い。従って、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断しない(S9:NO)。制御部2Aは、処理をS11に進める。
次いで、第2列第2行は、その列の最後ではないので、制御部2Aは、印刷した行はその列の最後と判断しない(S11:NO)。制御部2Aは、インクリボン9Aの巻き戻し長さXr=正転量で巻き戻しを開始する。即ち、制御部2Aは、S4~S6の処理で搬送した搬送長さX(正転量)だけ巻き戻しを開始する(S12)。第2列第2行の搬送長さX(正転量)は、第2列第4行の搬送長さX(正転量)と同じである。従って、インクリボン9Aは位置P21から位置P23間の長さ巻き戻される。
制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、且つ、インクリボン9Aが搬送及びRSS移動が完了したと判断した場合(S15:YES)、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図12(D)に示すインクリボン9Aの第2列第1行の領域による印刷を行う。位置P28が印刷完了位置であり、位置P29がインクリボン9Aの減速完了位置である。制御部2Aが、コントローラ7を介して受信した速度信号がインクリボン9Aの第2列第4行~第2列第2行の領域による印刷より遅い場合、図12(D)に示すように、インクリボン9Aの左右方向において、第2列第1行による印刷の使用領域が一番右側にずれる。従って、第2列第1行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P21~位置P28間の長さ)は、第2列第3行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P21~位置P25間の長さ)よりも長い。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。第2列第1行の使用領域の印刷使用長さXpは、記憶部2BにXp_maxとして記憶されている第2列第3行の使用領域の印刷使用長さXpよりも長いので、制御部2Aは、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断する(S9:YES)。制御部2Aは、第2列第1行の印刷のインクリボン9Aの印字使用長さXpをXp_maxとして記憶部2Bに記憶する(S10)。
第2列第1行は、その列の最後なので、制御部2Aは、印刷した行はその列の最後と判断し(S11:YES)、巻き戻し長さXrを計算する(S16)。巻き戻し長さXrを計算する処理(S16)を図10のサブルーチンを参照して説明する。初めに、制御部2Aは、Xp<Xp_maxかを判断する(S161)。直前の印刷使用長さXpは、図12(D)に示すように第2列第1行の印刷使用長さ(位置P21~位置P28間の長さ)であり、記憶部2Bに記憶されているXp_max(第2列第1行の印刷使用長さ、即ち、位置P21~位置P28間の長さ)と同じである。従って、制御部2Aは、Xp<Xp_maxであると判断しない(S161:NO)。次いで、制御部2Aは、巻き戻し長さXrをXr=Xu+Xd-Xmとする(S167)。制御部2Aは、S167の処理で巻き戻し長さXrを計算後に、記憶部2Bに記憶されているXp_maxの値をリセットする。次いで、制御部2Aは、供給部22側にインクリボン9AをXrだけ巻き戻しを開始し(S168)、処理を図9のS13に進める。
制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、且つ、インクリボン9Aが搬送及びRSS移動が完了したと判断した場合(S15:YES)、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図13(A)に示すインクリボン9Aの第3列第1行の領域による印刷を行う。位置P31がインクリボン9Aの加速開始位置であり、位置P32が印字開始位置であり、位置P33が印刷完了位置である。また、位置P34がインクリボン9Aの減速完了位置である。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。インクリボン9Aの各列の最初の行が使用されて印刷される場合には、印刷使用長さXp_maxの値はリセットされて「0」である。また、図13(A)に示すインクリボン9Aの第3列第1行の領域を使用した印刷が完了した場合の印字使用長さXpは位置P31~位置P33間の長さである。従って、印字使用長さXpは印刷使用長さXp_maxよりも大きい。従って、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断する(S9:YES)。制御部2Aは、Xp_max=Xpとして、第3列第1行の領域を使用した印刷が完了した時の印字使用長さXpをXp_maxとして記憶部2Bに記憶する(S10)。
次いで、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後かを判断する(S11)。インクリボン9Aの第3列は、第3列第1行~第3列第4行を順に使用して印刷が行われるので、第3列第1行はその列の最後ではない。従って、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後と判断しない(S11:NO)。
制御部2Aは、印刷に使用した行はその列の最後と判断しない場合(S11:NO)。制御部2Aは、インクリボン9Aの巻き戻し長さXr=正転量で、インクリボン9Aの巻き戻しを開始する(S12)。図13(A)に示す例では、インクリボン9Aは、P31~P34の長さ(正転量)だけ巻き戻される。
制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、インクリボン9Aの搬送及びRSS移動が完了したか判断する(S15)。制御部2Aは、S15の判断処理でYESと判断した場合、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図13(B)に示すインクリボン9Aの第3列第2行の領域による印刷を行う。制御部2Aが、コントローラ7を介して受信した速度信号がインクリボン9Aの第3列第1行の領域による印刷より遅い場合には、図13(B)に示すように、第3列第2行の使用領域が第3列第1行の使用領域よりも右方にずれる。位置P35が第3列第2行の印刷完了位置であり、位置P36がインクリボン9Aの減速完了位置である。従って、第3列第2行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P31~位置P35の長さ)は、第3列第1行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P31~位置P33間の長さ)よりも長くなる。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。第3列第2行の使用領域の印刷使用長さXpは、記憶部2BにXp_maxとして記憶されている第3列第1行の使用領域の印刷使用長さXpよりも長いので、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断する(S9:YES)。制御部2Aは、第3列第2行の印刷のインクリボン9Aの印字使用長さXpをXp_maxとして記憶部2Bに記憶する(S10)。
次いで、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後かを判断する(S11)。第3列第2行は、その列の最後ではないので、制御部2Aは、印刷した行はその列の最後と判断しない(S11:NO)。制御部2Aは、インクリボン9Aの巻き戻し長さXr=正転量で巻き戻しを開始する(S12)。第3列第2行の搬送長さX(正転量)は、第3列第1行の搬送長さX(正転量)よりも長いので、S12の処理における巻き戻し量は長くなる。
制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、且つ、インクリボン9Aが搬送及びRSS移動が完了したと判断した場合(S15)、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図13(C)に示すインクリボン9Aの第3列第3行の領域による印刷を行う。制御部2Aが、コントローラ7を介して受信した速度信号がインクリボン9Aの第3列第2行の領域による印刷より速い場合には、図13(C)に示すように、第3列第3行の使用領域が第3列第2行の使用領域よりも左方にずれる。位置P37が第3列第3行の印刷完了位置であり、位置P38がインクリボン9Aの減速完了位置である。従って、第3列第3行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P31~位置P37の長さ)は、第3列第2行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P31~位置P35間の長さ)よりも短くなる。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。第3列第3行の使用領域の印刷使用長さXpは、記憶部2BにXp_maxとして記憶されている第3列第2行の使用領域の印刷使用長さXpよりも短いので、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断しない(S9:NO)。制御部2Aは、処理をS11に進める。
次いで、制御部2Aは、印刷に使用した行がその列の最後かを判断する(S11)。第3列第3行は、その列の最後ではないので、制御部2Aは、印刷した行はその列の最後と判断しない(S11:NO)。制御部2Aは、インクリボン9Aの巻き戻し長さXr=正転量で巻き戻しを開始する(S12)。第3列第3行の搬送長さX(正転量)は、第3列第2行の搬送長さX(正転量)よりも短いので、S12の処理における巻き戻し量は短くなる。
制御部2Aは、巻き戻し動作にエラーが発生したと判断しない場合(S13:NO)、且つ、インクリボン9Aが搬送及びRSS移動が完了したと判断した場合(S15)、処理をS1に戻す。制御部2Aは、S1~S6の処理を前記同様に行い、図13(D)に示すインクリボン9Aの第3列第4行の領域による印刷を行う。制御部2Aが、コントローラ7を介して受信した速度信号がインクリボン9Aの第3列第3行の領域による印刷より速い場合には、図13(D)に示すように、第3列第4行の使用領域が第3列第3行の使用領域よりも左方にずれる。位置P39が第3列第4行の印刷完了位置であり、位置P40がインクリボン9Aの減速完了位置である。従って、第3列第4行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P31~位置P39の長さ)は、第3列第3行の使用領域の印刷使用長さXp(位置P31~位置P37間の長さ)よりも短くなる。
制御部2Aは、印刷完了と判断した場合(S6:YES)、前記同様に、RRS機能による印刷装置2の移動を開始する(S8)。次いで、制御部2Aは、印字使用長さXpが、列中最大の印刷使用長さXp_maxより大きいかを判断する(S9)。第3列第4行の使用領域の印刷使用長さXpは、記憶部2BにXp_maxとして記憶されている第3列第2行の使用領域の印刷使用長さXpよりも短いので、制御部2Aは、Xp>Xp_maxであると判断しない(S9:NO)。制御部2Aは、処理をS11に進める。以下、上記同様にS11以降の処理を繰り返す。制御部2Aは印刷停止指示を受信したと判断した場合(S2:YES)、印刷を停止し(S21)、印刷処理を終了する。上記実施形態では、図13(D)に示すように、インクリボン9A上において、使用領域(印字跡)が重ならない。従って、図6に示す印刷媒体Pの搬送速度が一定の場合の印刷媒体Pへの印刷イメージの印刷状態と同様に、印刷されたイメージにかすれ等の印字不良が生じる可能性を低減できる。
<本実施形態の主たる作用、効果>
印刷システム1では、サーマルヘッド24による印刷により、幅方向の一列分のインクリボン9Aが使用された後、一列分の中で最も長くインクリボン9Aが使用された長さが記憶部2Bに記憶される(図9:S10)。サーマルヘッド24による印刷が次の一列に移動するとき、記憶部2Bに記憶された長さXp_maxに基づいて、インクリボン9Aの次の搬送量が決定され(S16)、インクリボン9Aが搬送される。従って、インクリボン9Aの搬送量に過不足が生じる可能性を低減できる。よって、搬送処理(S165,S166,S168)において、インクリボン9Aの巻戻し量が過剰で使用領域(印字跡)が重なり印刷媒体Pに印字不良が生じたり、インクリボン9Aの巻戻し量が不足し印刷に使用されないインクリボンが増加して無駄が生じたりする可能性を低減できる。
印刷システム1では、搬送処理(S165,S168)において、インクリボン9Aを巻き戻すので、インクリボン9Aの巻戻し量が不足し印刷に使用されないインクリボン9Aが増加して無駄が生じる可能性を低減できる。
印刷システム1では、サーマルヘッド24による印刷が次の一列に移動するとき、巻戻し量が減ると、インクリボン9Aが供給部22側に巻き戻される量が減る。従って、インクリボン9A上で、使用領域(印字跡)の間が開き、前の列で一番インクリボン9Aが使用された行の使用領域(印字跡)と、次の列の対応する行の使用領域とが重なる可能性を低減できる。よって、使用領域(印字跡)が重なり印字不良が生じる可能性を低減できる。
印刷システム1では、決定処理(S16、S162)において決定された搬送量Xrがマイナスである場合(S164:NO)、搬送処理(S166)においてインクリボン9Aが供給部側から巻取部側へ繰り出される。従って、インクリボン9A上で、使用領域(印字跡)の間が開き、前の列で一番インクリボン9Aが使用された行の使用領域(印字跡)と、次の列の対応する行の使用領域(印字跡)とが重なる可能性を低減できる。よって、使用領域(印字跡)が重なり印字不良が生じる可能性を低減できる。
印刷システム1では、決定処理(S16、S162)において決定された搬送量Xrがプラスである場合、搬送処理においてインクリボンが巻取部側から供給部側へ巻き戻される。従って、インクリボン9A上で、印字跡の間が狭くなり、前の列で一番インクリボン9Aが使用された行と、次の列の対応する行との間が狭くなり、インクリボン9Aに無駄が生じる可能性を低減できる。
印刷システム1は、決定処理(S16、S162)において決定された搬送量Xrがゼロである場合、搬送処理においてインクリボンを搬送しない。従って、インクリボン9A上で、使用領域の間隔が適切になり、前の列で一番インクリボンが使用された行の使用領域と、次の列の対応する行の使用領域が重なったり、広くなったりして、印字不良やインクリボン9Aに無駄が生じる可能性を低減できる。
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。上記実施形態において、RRS機能印刷処理は印刷装置2の制御部2Aによって実行された。これに対し、RRS機能印刷処理の一部又は全部は、コントローラ7の制御部7A、又は、外部機器8の制御部8Aにより実行されてもよい。制御部2Aは内部にメモリを備え、記憶部2Bの代わりに使用してもよい。第1モータ26、及び、第2モータ27がサーボモータであってもよい。この場合には、9Aの巻き戻し長さXr等の搬送量は位相により制御されてもよい。制御部2Aは、一行の印刷を終了するごとに、印刷使用長さXpを記憶部2BにXp_maxとして記憶されている長さと比較して、長い方を記憶部2BにXp_maxとして記憶しているが、一列の各行の印刷使用長さXpを4つ全て記憶し、その中で一番長い印刷使用長さXpを利用して、S161、S162の処理を行ってもよい。また、Xp_maxは、図示外のRAM等に記憶されてもよい。インクリボン9Aの幅方向(前後方向)において印刷に使用できる使用領域は4行に限られない。インクリボン9Aの幅と印刷イメージの大きさにより異なる。
<その他>
制御部2Aが、本発明の「制御部」の一例である。記憶部2Bが、本発明の「記憶部」の一例である。第1モータ26、及び、第2モータ27は、本発明の「リボン搬送機構」の一例である。ブラケット6は、本発明の「移動機構」の一例である。S12の処理が、本発明の「巻戻処理」の一例である。S10の処理が、本発明の「記憶処理」の一例である。S16の処理が、本発明の「決定処理」の一例である。S165,S166,S168の処理が、本発明の「搬送処理」の一例である。