JP7035665B2 - セパレータ、セル、および燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用のセパレータ、このセパレータを備えるセル、およびこのセルを備える燃料電池に関する。
導電性に優れた金属材料の用途として、電池の集電体がある。燃料電池用途では、このような金属材料は、セパレータとして利用される。たとえば、固体高分子形燃料電池では、固体高分子電解質膜を挟むように、1対のセパレータが配置される。セパレータは、燃料電池で発生した電流を集めて取り出す集電体としての機能を有する。
1対のセパレータの一方には、固体高分子電解質膜に対向する面に、燃料ガスを流すための流路としての溝(凹条)が形成されている。また、1対のセパレータの他方には、固体高分子電解質膜に対向する面に、酸化性ガスを流すための流路としての溝が形成されている。セパレータにおいて、溝が形成された面には、ガス拡散層(GDL;Gas Diffusion Layer)が重ねられる。セパレータの溝を流れる燃料ガスまたは酸化性ガスは、ガス拡散層に供給される。燃料電池では、燃料ガスおよび酸化性ガスの反応により発電する。以下、燃料ガスと酸化性ガスとを総称して、「反応ガス」という。
溝に垂直なセパレータの断面において、溝の断面積が大きいほど、反応ガスを多く流すことができる。この場合、燃料ガスおよび酸化性ガスの反応量が多くなり、燃料電池から取り出すことができる電流が大きくなる。しかし、セパレータにおいて、溝の幅を大きくすることにより溝の断面積を増やすと、ガス拡散層に接触する部分(以下、「GDL接触部」という。)の面積は小さくなる。この場合、セルとしての電気抵抗が高くなる。このため、発電量が増えても、電導時のジュール熱として損失が生じる。
溝を深く形成すれば、GDL接触部の面積を小さくすることなく、溝の断面積を増やすことができる。しかし、この場合、セパレータの厚さが増大し、燃料電池の体積が増大する。その結果、燃料電池の容積あたりの発電量は低下してしまう。
GDL接触部は、電気を取り出すための領域である。GDL接触部に供給される反応ガスの量は、溝に供給される反応ガスの量よりも少ない。その結果、局所的な発電量は、GDL接触部では溝に比して少ない。一方、溝では、反応ガスの供給量が多いため、効率的な発電が生じる。しかし、溝では電気を取り出すことができない。このように、セパレータにおいて、発電部と通電部とは分離している。この分離の大きさは、溝のピッチ程度であり、セパレータの板厚に比してかなり大きい。このため、燃料電池の発電効率を十分に高くすることはできなかった。
特許文献1では、反応ガスの流れを調整することが試みられている。その手段として、セパレータには、凹凸部が連続的に形成されたコレクタが備えられている。凹凸部により、反応ガスを三次元的に拡散させ、発電部および通電部それぞれで反応ガスの拡散にむらが生じることを抑制できる。
特許文献2には、セパレータの溝の側面に微小幅の溝を形成することが開示されている。このセパレータでは、微小幅の溝での毛細管現象により、微小幅の溝を介して、水素と酸素との反応により生じた水が外部に排出される。
特開2009-21022号公報 特開2010-238645号公報
神戸製鋼技報、Vol.65、No.2、p.21-24 (2015)
しかし、特許文献1のセパレータでは、発電部と通電部との距離は、部材の厚さに比して著しく大きくなる。たとえば、セパレータの厚さが0.1mm程度であるとすると、発電部と通電部との距離は、少なくとも1mmオーダーとなる。また、特許文献2のセパレータにおいて、微小幅の溝は、水を排出するための構造である。このため、特許文献1および2のセパレータは、通電部と発電部との分離を小さくする方法とはならない。
そこで、本発明の目的は、セルおよび燃料電池の発電効率を向上させることができるセパレータを提供することである。本発明の他の目的は、発電効率が向上されたセルおよび燃料電池を提供することである。
燃料電池用のセパレータであって、
相互に隣接する凸条および凹条と、
前記凸条の頂面に形成された複数の筋溝であって、各々が、前記凸条の前記凹条に隣接する縁から前記凸条の前記縁より少なくとも30μm離れた位置まで延びる最小幅が0.1μm以上の複数の筋溝と、を備え、
前記筋溝の最大幅が10μm以下であり、
下記式(1)で表される前記複数の筋溝の密度Fが0.5以上である、燃料電池用のセパレータ。
F=D×Wmina (1)
ただし、Dは、前記筋溝が形成された前記凸条の前記頂面の領域のうち、長辺が前記凸条の前記縁を含む長さ50μmで、短辺が長さ30μmである矩形領域に存在する前記筋溝の数であり、Wminaは、前記矩形領域に存在する前記筋溝の最小幅の平均(μm)である。
本発明の実施形態のセルは、
前記セパレータと、
前記凸条の頂面に接触するガス拡散層と、
を備える。
本発明の実施形態の燃料電池は、前記セルを備える。
本発明のセパレータは、セルおよび燃料電池の発電効率を向上させることができる。本発明のセルおよび燃料電池は、発電効率が向上されている。
図1Aは、本発明の一実施形態に係るセパレータを含む固体高分子形燃料電池の斜視図である。 図1Bは、燃料電池のセル(単セル)の分解斜視図である。 図2は、セパレータの平面図である。 図3は、図2に示すセパレータにおいて、GDL接触部の縁近傍を拡大して示す図である。 図4Aは、GDL接触部における筋溝形成領域の一例を示す平面図である。 図4Bは、GDL接触部における筋溝形成領域の一例を示す平面図である。 図4Cは、GDL接触部における筋溝形成領域の一例を示す平面図である。 図4Dは、GDL接触部における筋溝形成領域の一例を示す平面図である。 図5は、工程1~工程3を経て得られた基材および脆化層の断面図である。 図6は、試料の接触抵抗を測定する装置の構成を示す図である。 図7Aは、本発明例3のセパレータにおけるGDL接触部のSEM像である。 図7Bは、本発明例11のセパレータにおけるGDL接触部のSEM像である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明で、特に断りがない限り、化学組成について、「%」は質量%を意味する。
[燃料電池及びセル]
図1Aは、本発明の一実施形態に係るセパレータを含む固体高分子形燃料電池の斜視図である。図1Bは、燃料電池のセル(単セル)の分解斜視図である。図1Aおよび図1Bに示すように、燃料電池1は単セルの集合体である。燃料電池1において、複数のセルが積層され直列に接続されている。
図1Bに示すように、単セルでは、固体高分子電解質膜2の一面および他面に、それぞれ、燃料電極膜(アノード)3、および酸化剤電極膜(カソード)4が積層されている。そして、この積層体の両面にそれぞれセパレータ5a、5bが重ねられている。図1Bでは、セパレータ5a、5bの周縁部は図示を省略している。
固体高分子電解質膜2を構成する代表的な材料として、水素イオン(プロトン)交換基を有するふっ素系イオン交換樹脂膜がある。燃料電極膜3および酸化剤電極膜4は、カーボンシートからなるガス拡散層と、ガス拡散層の固体高分子電解質膜2側の表面に接するように設けられた触媒層とを備える。カーボンシートは、カーボン繊維から構成される。カーボンシートとしては、カーボンペーパ、またはカーボンクロスが用いられる。触媒層は、粒子状の白金触媒と、触媒担持用カーボンと、水素イオン(プロトン)交換基を有するふっ素樹脂とを有する。固体高分子電解質膜2、燃料電極膜3、および酸化剤電極膜4は、これらが貼り合わされた一体的な構成部材であるMEA(Membrane Electrode Assembly)として用いられることがある。
セパレータ5a、5bは、相互に隣接する凸条および凹条6a、6bを含む。セパレータ5aに形成された凹条6aには、燃料ガス(水素または水素含有ガス)G1が流される。これにより、燃料電極膜3のガス拡散層に燃料ガスG1が供給される。燃料電極膜3では、燃料ガスG1はガス拡散層を透過して触媒層に至る。また、セパレータ5bに形成された凹条6bには、空気等の酸化性ガスG2が流される。これにより、酸化剤電極膜4のガス拡散層に酸化性ガスG2が流される。酸化剤電極膜4では、酸化性ガスG2はガス拡散層を透過して触媒層に至る。これらのガスにより、電気化学反応が生じて、燃料電極膜3と酸化剤電極膜4との間に、直流電圧が発生する。
固体高分子電解質膜2とセパレータ5bとの間では、水素イオンと酸素イオンとの反応により、水が生成する。セパレータ5bに形成された凹条6bは、生成した水を外部に排出する流路としても機能する。
[セパレータ]
セパレータ5a、5bは、金属からなる基材を有する。純チタン、またはチタン合金は、導電性、および燃料電池内での耐食性が高いので、基材を構成する金属として好ましい。ここで、「純チタン」とは、98.8%以上のTiを含有し、残部が不純物からなる金属材を意味する。純チタンとして、たとえば、JIS1種~JIS4種の純チタンを用いることができる。これらのうち、JIS1種およびJIS2種の純チタンは、経済性に優れ、加工しやすいという利点を有する。「チタン合金」とは、70%以上のTiを含有し、残部が合金元素と不純物元素とからなる金属材を意味する。チタン合金として、たとえば、耐食用途のJIS11種、13種、もしくは17種、または高強度用途のJIS60種を用いることができる。
基材を構成する金属は、ステンレス鋼等、純チタンおよびチタン合金以外の金属であってもよい。セパレータ5a、5bの表層部には、酸化物、窒化物、または炭化物が存在していてもよい。
以下では、セパレータ5a、5bの構造を、セパレータ5aを例に説明する。セパレータ5bは、セパレータ5aと同様の構造を有し、同様の効果を奏することができる。
図2は、セパレータ5aの平面図である。図2には、セパレータ5aにおいて固体高分子電解質膜2に対向する面(以下、「対向面」という。)を示す。セパレータ5aは、矩形状である。凸条の頂部としてのガス拡散層接触部(以下、「GDL接触部」という。)11は、燃料電極膜3のガス拡散層に接触する。GDL接触部11の表面は、ほぼ同一平面上にある。凹条6aは、GDL接触部11に隣接している。凹条6aは、固体高分子電解質膜2側から見て、GDL接触部11に対して凹んでいる。
セパレータ5aは、矩形であるので、図2の平面図において、2対の対辺を含む。これらのうち、1対の対辺(図2において、左右の対辺)を、以下、「第1の辺」および「第2の辺」という。凹条6aは、この実施形態では、セパレータ5aの第1および第2の辺に垂直に延びる複数の第1部分6a1と、隣接する2つの第1部分6a1をつなぐ複数の第2部分6a2とを有する。第1部分6a1は、第1の辺の近傍と第2の辺の近傍との間に渡って延びている。
複数の第1部分6a1は、対向面のほぼ全域にわたって、均等に形成されている。すなわち、複数の第1部分6a1は、互いにほぼ同じ幅を有するとともに、ほぼ同じピッチで形成されている。第1部分6a1の幅方向に関して、複数の第1部分6a1は、対向面の一端近傍から他端近傍に渡って形成されている。以上の構成により、凹条6aにより、燃料ガスを対向面に渡って流すことができる。図2に、燃料ガスが流れる方向を矢印で示す。
凹条6aの幅は、1~3mmであることが好ましい。凹条6aの幅が1mm以上であれば、凹条6aにおいてガスの導入部と排出部との間の圧力損失を小さくし、燃料ガスの流量を十分に確保することができる。その結果、ガスの滞留、および結露を生じ難くすることができる。
一方、燃料電池内では、セパレータ5aには、燃料電極膜3のガス拡散層が押しつけられている。このとき、ガス拡散層を構成するカーボン繊維が変形して、カーボン繊維の一部が凹条6a内に入り込むことがある。この場合、凹条6aの横断面積(凹条の長さ方向に垂直な断面における凹条6aの面積)は、実質的に小さくなる。これにより、凹条6aに流れる燃料ガスの流量が低下する。凹条6aの幅が3mm以下であれば、凹条6a内に入り込むカーボン繊維の量を少なくして、燃料ガスの流量を十分に確保することができる。
凹条6aの深さは、凹条6aの幅の半分程度、すなわち、0.5~1.5mmであることが好ましい。凹条6aの深さが0.5mm以上であれば、凹条6aにおいてガスの導入部と排出部との間の圧力損失を小さくし、燃料ガスの流量を十分に確保することができる。凹条6aの深さが1.5mm以下であれば、セルの厚さを十分に薄くすることができる。
対向面において、凹条6aの面積とGDL接触部11の面積とは、ほぼ同じであることが好ましい。対向面において、凹条6a以外の部分は、大部分、GDL接触部11である。対向面を垂直に見て、対向面の面積に占める凹条6aの面積の割合は、たとえば、40~60%であることが好ましい。この場合、GDL接触部11とガス拡散層との接触による通電量と、凹条6aを流れる燃料ガスによる発電量とのバランスを保ち、セルとしての発電量を大きくすることができる。
図3は、図2に示すセパレータ5aにおいて、GDL接触部11の縁B近傍を拡大して示す図である。縁Bは、GDL接触部11と凹条6aとの境界である。凹条6aの内側面(図3で紙面にほぼ垂直な面)とGDL接触部11とが曲面を介して相互に移行する場合は、縁Bは、その曲面とGDL接触部11との境界線とする。
GDL接触部11の表層部には、複数の微細溝が形成されている。GDL接触部11において、縁Bに隣接する幅が30μmの領域を、以下、「隣接領域」Aという。隣接領域Aは、GDL接触部11において、縁Bと、縁Bから30μm離れた位置にある線(以下、「内方区画線」という。)Dとの間の領域である。複数の微細溝のうち一部の微細溝C1~C8は、隣接領域A内に少なくとも一部が入る。
微細溝は、直線状に延びていてもよい。また、微細溝は、折れ曲がり部、および曲線状の部分の少なくとも一方を有していてもよい。この実施形態では、微細溝C1~C8は、縁Bにほぼ垂直に延びている。しかし、微細溝は、縁Bに斜交する方向に延びていてもよい。微細溝C1~C8は、隣接領域Aから、隣接領域A外の領域(凹条6aの内面、およびGDL接触部11内で隣接領域A外の領域の少なくとも一方)に延びている。
微細溝C1~C8の各々の最大幅は、10μm以下である。これにより、セパレータ5aの強度は、実質的に低下しない。また、微細溝C1~C8の幅が大きすぎると、燃料電池内の環境でセパレータ5aの耐食性が低下することがある。微細溝C1~C8の最大幅を10μm以下とすることにより、セパレータ5aの耐食性を高く保つことができる。
微細溝C1~C8は、たとえば、後述するように、基材の表層部に形成された脆化層にひずみを与えることにより生じる微細な亀裂とすることができる。このようにして形成される亀裂の最大幅は、亀裂毎に、そして、基材上の領域毎には、大幅には変わらない。このため、隣接領域Aの一部で微細溝C1~C8の最大幅が10μm以下であることが確認できると、セパレータ5a全体について、微細溝は、幅が10μmを超える部分を有さないと判断することができる。
微細溝C1~C8のうち、下記(i)および(ii)の要件を満たすものを、以下、「筋溝」という。下記(ii)の要件に関しては、GDL接触部11の表面(凸条の頂面)の領域のうち、長辺が縁Bを含む長さ50μmで、短辺が長さ30μmである矩形領域Rについて判断する。筋溝は、矩形領域R外で、幅が0.1μm未満の部分を有してもよい。
(i)縁Bから少なくとも内方区画線Dまで延びる。
(ii)最小幅が0.1μm以上である。
微細溝C1~C8のうち、上記(i)の要件を満たすものは、微細溝C1~C3、C6、C7である。これらは、いずれも、上記(ii)の要件を満たすものとする。したがって、微細溝C1~C3、C6、C7は、筋溝である。
下記式(1)で表される筋溝C1~C3、C6、C7の密度Fは、0.5以上である。
F=D×Wmina (1)
ここで、Dは、矩形領域Rに存在する筋溝C1~C3の数である。微細溝についての「幅」は、GDL接触部11表面での開口部における幅である。Wminaは、矩形領域Rに存在する筋溝C1~C3の最小幅の平均(μm)である。
図3の例では、Dは3である。微細溝C1、C2およびC3の最小幅を、それぞれ、W1(μm)、W2(μm)、およびW3(μm)とする。Wminaは、(W1+W2+W3)/3である。したがって、密度Fは、3×(W1+W2+W3)/3=W1+W2+W3である。このように、式(1)の右辺は、矩形領域Rにおける筋溝C1~C3それぞれの最小幅の合計に等しい。
微細溝C1~C4、C6~C8は、縁Bから延びているので、凹条6aの内部に連通している。このため、凹条6aを流れる燃料ガスは、微細溝C1~C4、C6~C8内に導入される。これにより、GDL接触部11の領域内において、発電を生じさせることができる。ただし、GDL接触部11内で縁Bからの長さが短い微細溝、および隣接領域A内で最小幅が狭い溝は、GDL接触部11の領域内で発電を生じさせることには、十分に寄与しない。
筋溝の密度Fが0.5以上であることにより、GDL接触部11において、縁Bから30μm以上内方の領域まで、多くの燃料ガスを供給することができる。このため、GDL接触部11の領域内で発電量を十分に向上させることができる。セパレータ5b(図1B参照)はセパレータ5aと同様の構造を有するので、セパレータ5bの筋溝の密度Fは0.5以上である。これにより、セパレータ5bのGDL接触部11において、GDL接触部11の縁から30μm以上内方の領域まで、酸化性ガスを十分に供給することができる。
したがって、セパレータ5a、5bは、セルおよび燃料電池の発電効率を向上させることができる。セパレータ5a、5bを備えたセルおよび燃料電池は、発電効率が向上されている。
上記効果を十分に奏するためには、密度Fは、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。
密度Fが0.5、1または2以上であるとの要件は、隣接領域A内に設定し得るすべての矩形領域Rについて満たされる必要はなく、隣接領域A内の一部の矩形領域Rについて満たされればよい。この要件が満たされる矩形領域Rで、発電量を向上させる効果が得られる。
また、下記式(2)で表される最大幅密度Gが40以下であることが好ましい。
G=D×Wmaxa (2)
ただし、Wmaxaは、矩形領域Rに存在する筋溝C1~C3の最大幅の平均(μm)である。
最大幅密度Gは、各筋溝C1~C3について、幅が最大となる部分の断面積の合計に関係している。幅密度Gが40以下であることにより、微細溝が形成されていない領域の面積がある程度広く保たれる。これにより、矩形領域R(隣接領域A)が脆くなって欠けることを抑制することができる。このような効果を十分に奏するため、最大幅密度Gは、35以下であることがより好ましく、30以下であることがさらに好ましい。
微細溝が折れ曲がり部または曲線状の部分を有すると、その部分で燃料ガスの流れが抑制される。この場合、微細溝に導入された燃料ガスは、GDL接触部11の内方の領域に効率的には供給されない。このため、微細溝は、折れ曲がり部または曲線状の部分を有さず、直線状に延びることが好ましい。
微細溝は、セパレータ5a、5bにおいて、対向面の全面(凹条の内面を含む。)に渡って形成されていてもよい。また、筋溝は、隣接領域A内を含む一部の領域にのみ形成されていてもよい。図4A~図4Dは、GDL接触部11における筋溝形成領域の一例を示す平面図である。
図4Aおよび図4Cに示すように、筋溝C21、C23は、GDL接触部11において、幅方向の端部近傍にのみ形成されていてもよい。この場合、GDL接触部11の幅方向中央部には、筋溝C21、C23が形成されていない領域が存在する。また、図4Aに示すように、GDL接触部11の幅方向の一方側の筋溝C21と反対側の筋溝C21とは、同一直線上にのるように形成されていてもよい。図4Cに示すように、GDL接触部11の幅方向の一方側の筋溝C23と反対側の筋溝C23とは、同一直線上にのらないように形成されていてもよい。
図4Bに示すように、筋溝C22は、GDL接触部11の幅方向に渡って連続して形成されていてもよい。図4Dに示すように、筋溝C24は、GDL接触部11の幅方向の一方側にのみ形成されていてもよい。
以上、燃料電池が固体高分子形燃料電池である場合について説明したが、燃料電池は、それ以外の燃料電池、たとえば、固体電解質形、溶融炭酸塩形、またはリン酸形の燃料電池であってもよい。
[セパレータの製造方法]
本発明のセパレータを製造する方法は、特に限定されない。一例として、本発明のセパレータは、基材の表層部に脆化層を形成する脆化層形成工程と、脆化層にひずみを与えて、脆化層に亀裂を生じさせる亀裂生成工程とを含む方法により製造することができる。この方法により、筋溝としての亀裂を安価に形成することができる。
脆化層は、たとえば、基材の表層部に対して、酸化処理、窒化処理、または炭化処理を施すことによって形成することができる。これらの場合、酸化処理、窒化処理、または炭化処理により、それぞれ形成される化合物である酸化物、窒化物、または炭化物の層は、脆化層の少なくとも一部をなす。酸化処理により得られる酸化物の層が導電性を有さない場合は、酸化物の層に還元処理を施すことによって、酸化物の層に導電性を付与する。
これらの化合物の層と基材の金属部との間で、基材の深さ方向に関して組成が急激に変化すると、脆化層の少なくとも一部をなす化合物の層が、亀裂形成時に、基材から剥離しやすい。この場合、熱処理により元素を拡散させて、化合物の層と基材との間に、これらの中間的な組成を有する遷移層を形成することが好ましい。これにより、基材に対する化合物の層の密着性を高くすることができる。
〈基材が純チタンまたはチタン合金からなる場合〉
セパレータを製造する方法は、以下に説明する工程1~工程3を含んでもよい。
工程1
この工程では、脆化層形成工程として、基材の表層部に、酸化処理により、主としてTiOからなる酸化皮膜を生成させる。この場合、酸化皮膜は、少なくとも脆化層の一部をなす。酸化処理は、たとえば、酸化性雰囲気(たとえば、大気雰囲気)中での熱処理、または陽極酸化処理とすることができる。亀裂は脆化層に導入されるので、厚い脆化層を形成することにより、深い亀裂(筋溝)を形成することができる。陽極酸化により、基材の表層部に、厚い(たとえば、厚さが30nm以上の)均質な酸化皮膜を、容易に形成することができる。このため、工程1では、陽極酸化処理を行うことが好ましい。
陽極酸化処理は、チタンの一般的な陽極酸化に用いられる水溶液、たとえば、リン酸水溶液、硫酸水溶液等を用いて実施することが可能である。陽極酸化の電圧は、15V以上で、絶縁破壊を起こさない上限の電圧(約150V)未満とする。TiOの結晶構造がアナターゼ型である場合は、TiOがルチル型またはブルッカイト型である場合に比して、次に実施する工程2(還元処理)で、より多くの低次酸化物を生成できる。陽極酸化の電圧を40V以上とすることにより、酸化皮膜のTiOの結晶構造をアナターゼ型にすることができる。このため、陽極酸化の電圧は、40V以上とすることが好ましい。陽極酸化の電圧は、115V以下とすることが好ましい。115Vは、工業的に容易にチタンの陽極酸化が可能な上限の電圧である。
工程2
工程2では、酸化皮膜に還元処理を施す。TiOは、導電性を実質的に有さない。したがって、工程1で形成された酸化皮膜は、導電性を実質的に有さない。一方、TiOを還元して得られるTiO、Ti、Ti、Ti等の低次酸化物(Ti(2n-1))は導電性を有する。したがって、工程2を実施することにより、工程1で形成された酸化皮膜に導電性を付与することができる。
還元処理は、たとえば、酸化皮膜を、還元に寄与する炭素を含む炭素源で被覆し、その後、低酸素分圧(たとえば、酸素分圧が10-2Pa以下)の雰囲気で熱処理を施すことにより行うことができる。この方法によれば、TiOが還元されて低次酸化物が形成される。このとき、たとえば、以下の反応が生じる。
2TiO+C→Ti+CO↑
また、熱処理を行うことにより、チタン酸化物中のO、および還元に用いるC(炭素)が基材中に拡散し、低次酸化物の層の下に、OおよびCがTiに固溶した固溶層が形成される。αチタン相のc軸の格子定数は、OおよびCを固溶することにより大きくなる。したがって、αチタン相のc軸の格子定数は、OおよびCの固溶量の指標となる。
固溶層におけるαチタン相のc軸の格子定数は、0.472nm以上であることが好ましい。このような固溶層には、亀裂が生じやすい。すなわち、このような固溶層は、脆化層の一部として機能する。このような効果を十分に奏するため、固溶層において、αチタン相のc軸の格子定数は0.474nm以上であることがより好ましい。また、固溶層は、過剰にOおよびCを含むと、脆くなりすぎる。このため、固溶層において、αチタン相のc軸の格子定数は、0.480nm以下であることが好ましく、0.478nm以下であることがより好ましい。
また、固溶層は、上述の遷移層としても機能する。すなわち、固溶層を設けることにより、固溶層が形成されていなかった場合に比して、基材から酸化皮膜が剥離しにくくすることができる。
炭素源として、たとえば、ポリビニールアルコール(以下、「PVA」という。)、またはカルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」という。)などCとHとで構成された有機物を用いることができる。また、炭素源として、アクリル塗料等、樹脂系塗料を用いてもよい。PVA、CMC、およびアクリルは、いずれも、低酸素分圧雰囲気で加熱すると、炭素化する。
PVAおよびCMCは、水溶性である。このため、PVAまたはCMCの水溶液を酸化皮膜の表面に塗布することにより、酸化皮膜の表面を炭素源で被覆することができる。PVAまたはCMCの水溶液は適度の粘度を有するので、塗布しやすい。また、アクリル塗料を酸化皮膜の表面に塗布することにより、酸化皮膜の表面を炭素源で被覆してもよい。
炭素源を被覆する他の方法として、表層部に酸化皮膜を形成した基材に、圧延油を用いたスキンパス圧延(圧下率が5%以下の圧延)を施すことが挙げられる。これにより、炭素源としての圧延油を、酸化皮膜の表面に付着させることができる。圧下率が5%を超えると、酸化皮膜が破壊されて、基材を構成する金属が露出する。露出した金属の部分には、亀裂が生じない。したがって、圧延油を付着させるための圧延として、スキンパス圧延を採用することが好ましい。
また、塊状(ブロック状等)の導電性炭素材を酸化皮膜に対して摺動させることによって、酸化皮膜に導電性炭素材を付着させてもよい。これによっても、酸化皮膜を、炭素源としての導電性炭素材で被覆することができる。経済性が許せば、蒸着により、酸化皮膜をCで被覆してもよい。
還元処理の温度は、600℃以上850℃以下とすることが好ましい。還元処理の温度が600℃未満であると、TiOの還元がほとんど進行しない。また、還元処理の温度が850℃を超えると、基材中へのCの拡散速度が大きくなり、炭化チタン(TiC)が形成される可能性がある。炭化チタンは、酸性環境で溶解する。燃料電池内は酸性環境であるので、炭化チタンが形成されたセパレータは、耐食性に乏しい。
還元処理の時間は、所定の温度に到達してからの保持時間として、10秒以上10分以下であることが好ましい。保持時間が10秒未満であると、TiOの還元がほとんど進行しない。保持時間が10分を超えると、炭化チタンが形成される可能性がある。
上記の温度および保持時間では、低次酸化物を形成することができるのみならず、低次酸化物の下に、固溶層を形成することもできる。
工程3
この工程では、脆化層にひずみを与えて、亀裂(セパレータにおける、筋溝を含む微細溝)を、脆化層に形成する。脆化層にひずみを与える方法として、たとえば、工程2を経た基材に、所定の延伸率で、スキンパス圧延または冷間圧延を施すことが挙げられる。圧延により生じる歪みにより、脆化層に亀裂を生じさせることができる。ただし、圧延による基材の変形量は、基材の延性範囲内とする。基材の圧延部に対して圧延方向に張力を与えると、圧延方向とほぼ垂直に延びる亀裂が形成される。すなわち、亀裂の幅方向は、圧延方向とほぼ平行になる。
亀裂を形成するための圧延に用いる圧延機は、延伸率を制御できるものであれば、特に限定されない。ただし、工程3の後、通常、基材を最終的なセパレータ形状にプレス成形するため、工程3での圧延は、厚さが0.1~0.2mm程度の薄い基材に対して実施することになる。このため、バックアップロールの剛性が高く、高精度の圧延ができるクラスター圧延機、たとえば、直列6段式圧延機、またはゼンジミア圧延機を用いることが好ましい。
図5は、工程1~工程3を経て得られた基材および脆化層の断面図である。純チタンまたはチタン合金からなる基材15の上には、固溶層17が形成されている。固溶層17の上には、酸化皮膜18が形成されている。酸化皮膜18および固溶層17は、脆化層16を構成する。亀裂Cは、脆化層16に形成されており、基材15には至っていない。なお、実際には、基材15と固溶層17との間では、酸素濃度および炭素濃度等の組成は連続的に変化しており、明りょうな境界は有さない。
〈基材が純チタンおよびチタン合金以外の金属からなる場合〉
基材には、純チタンおよびチタン合金以外の金属として、たとえば、ステンレス鋼、Ni基合金、またはアルミニウム合金を用いることができる。ステンレス鋼、Ni基合金、またはアルミニウム合金からなる基材に対しては、たとえば、表層部を窒化することにより、脆化層を形成することができる。
ステンレス鋼からなる基材の表層部を窒化する方法として、たとえば、窒化炉を用い、アンモニアガス雰囲気中、450~650℃で2~40時間熱処理することが挙げられる。熱処理温度が450℃未満である場合、および熱処理時間が2時間未満である場合は、窒化物の層が十分に形成されない。熱処理温度が650℃を超える場合、および熱処理時間が40時間を超える場合は、窒化物が過剰に形成され、基材およびセパレータの強度が低下する。
Ni基合金およびアルミニウム合金は、難窒化性である。このため、Ni基合金およびアルミニウム合金からなる基材に対しては、プラズマイオン窒化(PIN;Plasma Ion Nitriding)処理により、表層部を窒化することが好ましい。プラズマイオン窒化処理では、基材を構成する材料により、形成される窒化物の層の厚さが変わる。このため、基材を構成する材料ごとに、プラズマイオン窒化処理の条件を調整する必要がある。
また、アルミニウム合金は低融点であるため、アルミニウム合金からなる基材に対してプラズマイオン窒化処理を施す際は、基材の温度がアルミニウム合金の融点を超えないように注意する必要がある。また、アルミニウム合金の表層部には、強固なAlの皮膜が形成されている。この皮膜は、窒化を阻害する。このため、表面にAlの皮膜が形成された基材に対しては、窒化処理チャンバー内で、まず、アルゴンスパッタにより皮膜を除去し、その後大気開放することなく、同一チャンバー内でプラズマイオン窒化処理を行うことが好ましい。
〈筋溝の他の形成方法〉
筋溝の形成方法は、上記の方法に限られず、たとえば、リソグラフィ等の電子材料の微細加工に用いる方法、またはイオンビームを用いる加工方法であってもよい。これらの方法によれば、図4A~4Dに示すように、所定の領域に所定の長さを有する筋溝C21~C24を形成することができる。ただし、これらの方法は、脆化層を形成する上記の方法に比して、量産性が低く、コスト高となる。
〈セパレータ形状への成形方法〉
筋溝を形成した後、基材を、セパレータ形状、すなわち、対向面に、凹条、およびGDL接触部を有する形状に成形する。成形は、量産性を高くするため、プレス加工により行うことが好ましい。形成すべき凹条の主たる長さ方向(図2の例では、第1部分6a1の長さ方向)を、亀裂生成工程での圧延方向と一致させることにより、大部分の筋溝(微細溝)を凹条に直交させることができる。
本発明の効果を確認するため、セパレータの試料を作製し、評価した。
[試料の作製]
表1に、用いた基材を構成する材料を示す。基材を構成する材料は、純チタン(基材A)、チタン合金(基材B)、ステンレス鋼(基材C~F)、ニッケル基合金(基材G)、およびアルミニウム合金(基材H)であった。表2に、基材AおよびBの組成(単位は、質量%)を示す。基材は、いずれも、厚さが0.1mmの平板材であった。基材の主面は、矩形状であった。
Figure 0007035665000001
Figure 0007035665000002
基材の表層部に脆化層を形成した。ただし、比較例として、一部の試料については脆化層を形成しなかった。表3に、試料の作製条件および評価結果を示す。
Figure 0007035665000003
脆化層は、以下の方法のいずれかにより形成した。
a:陽極酸化処理、および還元熱処理
b:窒素を含む雰囲気中での加熱による窒化処理
c:プラズマイオン窒化処理
基材AおよびBに対しては、方法aにより脆化層を形成した。基材C~Fに対しては、方法bにより脆化層を形成した。基材GおよびHに対しては、方法cにより脆化層を形成した。
陽極酸化は、10質量%硫酸水溶液中で行った。このとき、白金製の対極を用い、直流安定化電源により、対極と基材との間に、表3に示す電圧を印加した。電圧印加後、対極と基材との間に流れる電流が除々に小さくなり低位に安定してから30秒間保持して、処理を終了した。
陽極酸化により、試料の表層部には、主としてTiOからなる酸化皮膜が形成された。そこで、TiOを低次酸化物に還元して酸化皮膜に導電性を付与するため、試料に対して還元熱処理を施した。まず、陽極酸化を行った試料を、以下の方法により、炭素源で被覆した。炭素源として、キシダ化学社製のPVAを用いた。このPVAは、重合度が500で、けん化度が86.5~89であった。このPVAを10質量%含む水溶液を作製した。そして、室温で、試料を、この水溶液に浸漬した後、引き上げた。これにより、試料の表面にPVAの水溶液を塗布した。その後、この試料を、1日、大気乾燥した。
得られた試料を、アルゴンガス雰囲気中、720℃で30秒加熱することにより還元熱処理した。
窒素を含む雰囲気中での加熱による窒化処理は、アンモニアガス雰囲気中、520℃で10時間加熱することにより行った。
プラズマイオン窒化処理は、窒化層の厚さが5μmになる条件で行った。具体的には、基材Gに対しては、NとHとが体積比で1:1の組成を有し、圧力が800Paの雰囲気中、700℃で180時間処理した。基材Hに対しては、直流タイプのイオン窒化装置を用い、アルゴンガスでプレスパッタして酸化膜を除去した。その後、基材Hを、NとHとが体積比で1:1の組成を有し、圧力が190Paの雰囲気中、475℃で10時間処理した。
続いて、脆化層を形成した試料に対して、長さ方向に所定のひずみを与える圧延を行った。これにより、脆化層に、亀裂、すなわち、セパレータにおける、筋溝を含む微細溝を形成した。圧延は、冷間で1回の圧下として実施した。具体的には、6段式のゼンジミア圧延機により、ロール径6cmの圧延ロールを用い、4mpmの速度で圧延した。表3に、圧延による延伸率を示す。
[試料の評価]
以上の工程により得られた試料について、以下の評価をした。
〈試料表層部のα-Ti相の格子定数〉
リガク社製のX線回折装置リント2500を用い、試料表層部のα-Ti相の格子定数を測定した。ターゲットはCoを用いた。試料表面に対するX線の入射角を0.3degに固定して、薄膜X線回折測定を実施した。そして、α-Ti相の(002)面による回折線の角度(2θ)を測定した。得られたθの値を、Braggの式、すなわち、2×d=λ×sin(θ)に代入して、dの値を求めた。そして、c軸の格子定数cをd×2として求めた。
〈接触抵抗〉
試料として、セパレータ形状にプレスする前の平板材を、耐食性試験として、90℃、pH2のHSO水溶液に96時間浸漬した。耐食性試験は、接触抵抗を測定するための試料についてのみ行った。その後、試料を水洗して乾燥させた。そして、下記の方法で試料に応力を繰り返し与え、その後、接触抵抗測定を行った。以下、繰り返し荷重の付与および接触抵抗の測定の具体的な方法を説明する。
図6は、試料の接触抵抗を測定する装置の構成を示す図である。図6を参照して、まず、作製した試料Sを、燃料電池用のガス拡散層として使用される1対のカーボンペーパ(東レ株式会社製TGP-H-90)12で挟み込み、これを1対の白金電極13で挟んだ。各カーボンペーパ12の面積は、1cmであった。
そして、1対の白金電極13の間に荷重を加えた。図6に、荷重を加えた方向を白抜き矢印で示す。荷重は、5kgf/cm(4.90×10Pa)と20kgf/cm(19.6×10Pa)との間で繰り返し10回変化させた。荷重を5kgf/cmから20kgf/cmへ変更する途中、および20kgf/cmから5kgf/cmへ変更する途中で、荷重が10kgf/cm(9.81×10Pa)の状態で、数秒保持した。
次に、各試料の接触抵抗を測定した。接触抵抗の測定は、非特許文献1に記載されている方法に準じて行った。1対の白金電極13の間に、10kgf/cmの荷重を加えた。この状態で、1対の白金電極13の間に一定の電流を流し、このとき生じるカーボンペーパ12と試料Sとの間の電圧降下を測定した。電流値および電圧降下の測定には、東陽テクニカ社製のデジタルマルチメータKEITHLEY 2001を用いた。この結果に基づいて抵抗値を求めた。得られた抵抗値は、試料Sの両面の接触抵抗を合算した値となるため、これを2で除して、試料Sの片面あたりの接触抵抗値とした。
荷重を繰り返し変化させたのは、燃料電池運転中にセパレータ表面にかかる荷重が繰り返し変化することを模擬するためである。燃料電池内では、燃料電池に接続された電気的負荷の大きさが変動することに伴うガス流量および圧力の変動、燃料電池の起動および停止による温度変化などにより、セパレータ表面にかかる荷重が繰り返し変化する。セパレータの材料によっては、そのような荷重の変動を受けると、セパレータの接触抵抗が徐々に上昇することがある。
表3で、「耐食性試験後接触抵抗」の「評価」の欄における符号の意味は、以下の通りである。
◎:接触抵抗が10mΩ・cm未満(耐食性は良好であった。)
〇:接触抵抗が10mΩ・cm以上、20mΩ・cm未満
□:接触抵抗が20mΩ・cm以上50mΩ・cm未満
×:接触抵抗が50mΩ・cm以上(耐食性に乏しく、発電効率を著しく低下させる程度に接触抵抗が増大した。)
〈セパレータ形状への成形〉
次に、平板材としての試料を、最終的なセパレータ形状、すなわち、凹条およびGDL接触部を有する形状に、プレス加工により成形した。セパレータ(成形後の試料)の形態は、以下の通りとした。成形後の試料の発電部の外形は、長辺が14cmで、短辺が7cmの矩形状であった。したがって、平面視において、この試料の発電部の面積は98cmであった。
凹条は、第1部分6a1および第2部分6a2(図2参照)を含むサーペンタイン流路を構成していた。ただし、1枚のセパレータにつき、凹条の第1部分の数は3本であった。凹条の内側面は、GDL接触部の表面に対して75°傾斜していた。このため、凹条の幅は、凹条の深さ方向に変化していた。同様に、凸条(リブ)の幅は、凸条の高さ方向に変化していた。凹条の幅、およびGDL接触部の幅は、これらの長さ方向に関しては、実質的に変化していなかった。
凹条の深さ方向に関する平均幅は、1.5mmであった。凸条の高さ方向の平均幅は、1.5mmであった。すなわち、凹条の平均ピッチは、3.0mmであった。凹条の開口部における幅は、1.7mmであった。凸条の頂面(GDL接触部の表面)の幅は、1.3mmであった。凹条の深さは、0.7mmであった。
〈微細溝のサイズおよび密度〉
成形後の試料から、一辺が5mmの正方形の観察用サンプルを採取した。サンプルは、成形後の試料において凹条とGDL接触部とを含んだ。
日本電子社製の走査型電子顕微鏡JSM-7800を用いて、サンプルの表面を観察した。加速電圧は10kVとした。倍率は2000倍とした。サンプル表面において、長辺の長さが50μmで短辺の長さが30μmの矩形の領域の画像(SEM像)を、視野を変えて10個の領域について取得した。各画像は、その画像の一方の長辺がGDL接触部の縁(GDL接触部と凹条との稜線)を含み、その画像全体がGDL接触部の像となる領域について得た。すなわち、各画像の視野は、矩形領域であった。
図7Aおよび図7Bに、それぞれ、本発明例3および11のセパレータについて得たSEM像を示す。図7Aおよび図7BのいずれのSEM像でも、GDL接触部の表層部に微細溝としての亀裂が形成されている。表層部に脆化層を形成した試料を圧延することにより、微細溝を形成できることがわかる。
1つのサンプルの10個の画像について、筋溝の本数、ならびに、各筋溝の最小幅および最大幅を測定した。測定した筋溝の本数に基づき、1つの画像あたり、すなわち、1つの矩形領域あたりの筋溝の数(平均)Dを求めた。また、測定した最小幅のうち最小のものを最小幅Wminとした。測定した最大幅のうち最大のものを最大幅Wmaxとした。また、測定した最小幅の平均を平均最小幅Wminaとした。測定した最大幅の平均を平均最大幅Wmaxaとした。以上の結果に基づき、D×Wmina、およびD×Wmaxaを算出した。
〈燃料電池単セルの出力電圧〉
筋溝により燃料電池の発電効率が向上することを確認するため、単セルの燃料電池を作製し、出力電圧を測定した。本発明例20では、燃料電池単セルを作製する前に、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング法により、表面に非晶質炭素膜を形成した。ECRスパッタリングは、グラファイトのターゲットを用い、3.5W/cmのパワー密度で、1時間行った。その際、セパレータに20Vのバイアス電圧を印加した。セパレータの温度は、雰囲気温度とした。
次に、固体高分子形燃料電池のMEAを、以下のようにして作製した。固体高分子電解質膜(イオン交換膜)として、ナフィオン膜(Dupont社製NR211)を用いた。そして、Pt担持黒鉛触媒(田中貴金属社製TEC10E50E)をナフィオン分散溶液(Dupont社製DE521)に分散させたインクを作製した。このインクを、この固体高分子電解質膜の両面に塗布した。この状態の固体高分子電解質膜を、1対のガス拡散層(SGLカーボン社製35BC)で挟んで、120℃、5MPaで10分ホットプレスした。これにより、MEAを得た。
セパレータを2枚用い、これらのセパレータでMEAを挟んで単セルを作製した。各セパレータのGDL接触部を、MEAの電極膜(ガス拡散層)に接触させた。
作製した単セルを用いて、以下の条件で運転した。セル温度は、68℃とした。酸化性ガスとしての空気を、3L/分の流量で、一方のセパレータの凹条に導入した。燃料ガスとしての水素を、6L/分の流量で、他方のセパレータの凹条に導入した。空気および水素の流量は、いずれも、25℃、1気圧におけるものであった。空気および水素は、いずれも、68℃の純水にバブリングして用いた。得られた空気および水素は、68℃以上に加熱した配管を介して、単セルに供給した。これにより、単セルに供給される空気および水素を、100%加湿ガスとした。
この状態で、電子負荷装置(菊水電子社製PLZ664WA)を用いて、単セルを運転した。電子負荷装置は、電流制御モードに設定して用いた。これにより、50A(約0.5A/cm)の定電流を生じさせた。この状態で、単セルの出力電圧を測定した。出力電圧が高いほど、単セルの発電効率は高い。運転を開始した直後の出力は安定しないので、500時間運転後の出力電圧を評価した。
表3で、「出力電圧」の「評価」の欄における符号の意味は、以下の通りである。
◎:出力電圧が0.37V以上(発電効率向上の効果が十分にあった。)
〇:出力電圧が0.36V以上、0.37V未満
□:出力電圧が0.34V以上、0.36V未満
×:出力電圧が0.34V未満(発電効率向上の効果が実質的になかった。)
〈評価結果〉
本発明例の耐食性は良好であった。すなわち、これらの試料の耐食性試験後の接触抵抗は、許容できる程度に低かった。本発明例のセパレータは、いずれも、燃料電池単セルに用いたときの出力電圧(発電効率)の向上効果が認められた。すなわち、GDL接触部に、本発明における要件を満足する筋溝が形成されていることにより、燃料電池(セル)の発電効率が向上することが確認された。
ただし、本発明例1、3および13では、D×Wminaの値は、0.5以上ではあったが小さかった。このため、GDL接触部に、燃料ガスまたは酸化性ガスを多く供給できず、発電効率向上の効果が低かった。また、本発明例5、12および17では、他の本発明例に比して、D×Wmaxaの値が高く、耐食性試験時に腐食生成物が形成されやすかった。このため、本発明例5、12および17では、他の本発明例に比して、耐食性試験後の接触抵抗が高かった。
本発明例13~19を本発明例1~12と対比すると、純チタンおよびチタン合金以外の金属からなる基材を用いた場合は、純チタンまたはチタン合金からなる基材を用いた場合に比して、耐食性試験後の接触抵抗が高くなる傾向があった。本発明例20では、表層に非晶質炭素膜が設けられていることにより、接触抵抗の上昇は抑制された。
比較例1では、純チタンである基材Aに対して、陽極酸化および還元熱処理を施して脆化層を形成した。還元熱処理により低次酸化物が十分に形成されたので、得られた試料の接触抵抗(耐食性試験後)は、十分に低かった。しかし、圧延時の延伸率が小さく、脆化層に十分なひずみを与えることができなかった。このため、形成された筋溝が少なかった。その結果、筋溝により、燃料ガスおよび酸化性ガスをGDL接触部に供給することがほとんどできず、単セルの発電効率は、向上しなかった。
比較例2では、純チタンである基材Aに対して、脆化層の形成および圧延を行わなかった。このため、筋溝を含む微細溝は形成されなかった。比較例2では、接触抵抗は高く、発電効率は低かった。これは、比較例2では、還元熱処理を行わなかったことにより、自然酸化膜(TiO)の存在により、初期から抵抗値が高かったことによる。
比較例3では、圧延時の延伸率が大きかったため、微細溝の最大幅Wmaxが10μmを超えた。このため、試料の耐食性が乏しく、耐食性試験後の接触抵抗が高くなった。比較例3のセパレータは、セル内の環境でセパレータに腐食生成物が形成され、接触抵抗が増大した。これにより、筋溝が形成されていることによる発電効率の向上効果が打ち消され、出力電圧は、ほとんど向上しなかった。また、セルの運転を終了した後のセパレータについてGDL接触部表面を観察したところ、微細溝周辺に脆化層の剥離が生じていた。
1:燃料電池
3:燃料電極膜
4:酸化剤電極膜
5a、5b:セパレータ
6a、6b:凹条
11:ガス拡散層(GDL)接触部
15:基材
16:脆化層
17:固溶層
18:酸化皮膜
A:隣接領域
B:縁
C1~C8:微細溝
C1~C3、C6、C7、C21~C24:筋溝
D:内方区画線
G1:燃料ガス
G2:酸化性ガス
R:矩形領域

Claims (4)

  1. 燃料電池用のセパレータであって、
    相互に隣接する凸条および凹条と、
    前記凸条の頂面に形成された複数の筋溝であって、各々が、前記凸条の前記凹条に隣接する縁から前記凸条の前記縁より少なくとも30μm離れた位置まで延びる最小幅が0.1μm以上の複数の筋溝と、を備え、
    前記筋溝の最大幅が9.2μm以下であり、
    下記式(1)で表される前記複数の筋溝の密度Fが0.5以上である、燃料電池用のセパレータ。
    F=D×Wmina (1)
    ただし、Dは、前記筋溝が形成された前記凸条の前記頂面の領域のうち、長辺が前記凸条の前記縁を含む長さ50μmで、短辺が長さ30μmである矩形領域に存在する前記筋溝の数であり、Wminaは、前記矩形領域に存在する前記筋溝の最小幅の平均(μm)である。
  2. 請求項1に記載のセパレータであって、
    前記凸条および前記凹条が、純チタン、またはチタン合金からなる基材を含む、セパレータ。
  3. 請求項1または2に記載のセパレータと、
    前記凸条の頂面に接触するガス拡散層とを備える、セル。
  4. 請求項3に記載のセルを備える、燃料電池。
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