JP5785135B2 - 固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法および固体酸化物燃料電池用集電部材 - Google Patents
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Description
従来の作動温度は1000℃程度であり、耐熱性の観点からランタンクロマイトに代表される金属酸化物基材が使用されていたが、最近は作動温度が700℃〜800℃まで下がっており、金属基材が使用できるようになってきた。金属基材の使用により、コストダウン、ロバスト性の向上が期待できる。
インターコネクタの保護膜は、たとえば、ウェットコーティング法あるいは、ドライコーティング法によって形成することができる。ウェットコーティング法としては、スクリーン印刷法、電気泳動(EPD)法、ドクターブレード法、スプレーコート法、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート法等が例示できる。また、ドライコーティング法としては、たとえば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長(CVD)法、電気化学気相成長(EVD)法、イオンビーム法、レーザーアブレーション法、大気圧プラズマ成膜法、減圧プラズマ成膜法、溶射法等が例示できる。
本発明の固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法の特徴構成は、
角部を備えた金属基材の表面に金属酸化物を主成分とする保護膜を形成してある固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法であって、
金属基材をプレス加工により成形し、さらに前記金属基材の角部に面取り加工を施して、前記金属基材の角部における最も鋭い部分の角度を135°より大きな鈍角に成形した後、前記金属基材の表面全体に、前記保護膜を形成する点にある。
角部を備えた金属基材の表面を、プレス加工により成形し、さらに前記金属基材の角部に面取り加工を施すと、前記面取りされた部分に供給された金属酸化物材料は、面取りされた金属基材表面に対する付着力が高められ、その周辺部分に供給された金属酸化物材料の表面張力に引っ張られても面部側に移動しにくい。そのため、前記角部には、充分量の金属酸化物材料が保持された状態で保護膜が形成されやすくなる。
結果、前記保護膜が前記金属基材からのCr飛散を効果的に抑制するとともに、前記保護膜がより均一に形成されることになるため、熱応力等によってもクラックの発生等が抑制され、燃料電池の劣化を抑制することができ、金属基材の角部を面取りする簡便な処理を付加するだけで、長期使用に際しても信頼性の高い燃料電池の製造に寄与することができる。
前記金属基材において、C面取りを行えば、金属基材の角部は、理想的には135°になるが、場合によっては、角度にバラツキを生じ、135°よりも小さな角度の部分が発生することもある。しかし、C面取りを適切に行えば、角部における最も鋭い部分の角度が135°より大きくなるような十分に丸みを帯びた形状に成形することができる。この場合、最も鋭い部分である比較的小さな角度の部分が、熱応力を集中して受けたり、Cr飛散を許してしまう、合金中のCr欠乏による異常酸化が発生しやすい、など弱点となり得るが、この部分が135°よりも大きければ、保護膜の膜厚の膜厚が十分に確保されやすいため、応力が集中したとしても、クラック、ひび割れ等につながりにくく、また、Cr飛散等の問題も、より起きにくい。
また、本発明の固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法の異なる特徴構成は、
角部を備えた金属基材の表面に金属酸化物を主成分とする保護膜を形成してある固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法であって、
金属基材をプレス加工により成形し、さらに前記金属基材の角部に面取り加工を施して、前記金属基材の角部における最も鋭い部分の曲率半径を6μmよりも大きく成形した後、前記金属基材の表面全体に、前記保護膜を形成する点にある。
角部を備えた金属基材の表面を、プレス加工により成形し、さらに前記金属基材の角部に面取り加工を施すと、前記面取りされた部分に供給された金属酸化物材料は、面取りされた金属基材表面に対する付着力が高められ、その周辺部分に供給された金属酸化物材料の表面張力に引っ張られても面部側に移動しにくい。そのため、前記角部には、充分量の金属酸化物材料が保持された状態で保護膜が形成されやすくなる。
結果、前記保護膜が前記金属基材からのCr飛散を効果的に抑制するとともに、前記保護膜がより均一に形成されることになるため、熱応力等によってもクラックの発生等が抑制され、燃料電池の劣化を抑制することができ、金属基材の角部を面取りする簡便な処理を付加するだけで、長期使用に際しても信頼性の高い燃料電池の製造に寄与することができる。
前記金属基材において角部の角度が大きい場合と同様に、角部における最も鋭い部分の曲率半径を6μmよりも大きく成形してある場合にあっても、保護膜の膜厚の膜厚が十分に確保されやすく、その部分に応力が集中したとしても、クラック、ひび割れ等につながりにくく、また、Cr飛散等の問題も、より起きにくい。
また、本発明の固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法の異なる特徴構成は、
角部を備えた金属基材の表面に金属酸化物を主成分とする保護膜を形成してある固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法であって、
金属基材をプレス加工により成形し、さらに前記金属基材の角部に面取り加工を施して、前記面取り加工としてのC面取り加工の施工面の端部に形成される端面角部に電解研磨を施して前記端面角部を丸み付けし、前記金属基材の表面全体に、前記保護膜を形成する点にある。
角部を備えた金属基材の表面を、プレス加工により成形し、さらに前記金属基材の角部に面取り加工を施すと、前記面取りされた部分に供給された金属酸化物材料は、面取りされた金属基材表面に対する付着力が高められ、その周辺部分に供給された金属酸化物材料の表面張力に引っ張られても面部側に移動しにくい。そのため、前記角部には、充分量の金属酸化物材料が保持された状態で保護膜が形成されやすくなる。
結果、前記保護膜が前記金属基材からのCr飛散を効果的に抑制するとともに、前記保護膜がより均一に形成されることになるため、熱応力等によってもクラックの発生等が抑制され、燃料電池の劣化を抑制することができ、金属基材の角部を面取りする簡便な処理を付加するだけで、長期使用に際しても信頼性の高い燃料電池の製造に寄与することができる。
C面取り加工の施工面の端部に形成される端面角部に丸み付けする加工をすれば、面取り加工後に生じた前記端面角部や面取り加工に伴って発生した変形部分(いわゆるバリ)を保護膜形成の妨げになりにくい滑らかな形状に変形させることができる。そのため、より一層均一な保護膜を形成しやすくなった。
また、前記金属基材が断面方形の金属基材であり、
方形の金属基材をプレス加工し、前記金属基材の角部に面取り加工を施した後、前記金属基材の表面全体に、前記保護膜を形成し、前記金属基材の四辺面に形成される前記保護膜の厚と、前記面取り加工を施した面取り加工面に形成される前記保護膜の膜厚との比が、0.5以上、1以下としてあってもよい。
角部を備えた金属基材の表面を、プレス加工により成形し、さらに前記金属基材の角部に面取り加工を施すと、前記面取りされた部分に供給された金属酸化物材料は、面取りされた金属基材表面に対する付着力が高められ、その周辺部分に供給された金属酸化物材料の表面張力に引っ張られても面部側に移動しにくい。そのため、前記角部には、充分量の金属酸化物材料が保持された状態で保護膜が形成されやすくなる。
結果、前記保護膜が前記金属基材からのCr飛散を効果的に抑制するとともに、前記保護膜がより均一に形成されることになるため、熱応力等によってもクラックの発生等が抑制され、燃料電池の劣化を抑制することができ、金属基材の角部を面取りする簡便な処理を付加するだけで、長期使用に際しても信頼性の高い燃料電池の製造に寄与することができる。
上記構成によると、基材表面に形成される保護膜の膜厚がほぼ均一と言える状態になり、前記保護膜に熱応力が発生しにくいため、クラック、ひび割れ等につながりにくく、また、Cr飛散等の問題も、より起きにくい。
また、上記構成において、
前記面取り加工が、C面取り加工若しくはR面取り加工のいずれかであってもよい。
C面取り加工すれば、前記金属基材の角部において小さな領域ではあるが平面部分が形成され、この面と前記金属基材のもとの面部と形成される角度は鈍角となる。前記角部で周辺部分からの表面張力が及びやすく部分が少なくなり、薄肉になりやすい部分が減少する。また、形成される保護膜が金属基材表面に付着しようとする面積が大きくなる。そのため、前記面取りされた後の端面角部において、形成される保護膜は、面取りされる前の角部に形成される保護膜にくらべ、より均一なものとなりやすい。
また、前記面取り加工が、R面取り加工であってもよい。
上述のような状況は、前記面取り加工としてR面取り加工を採用した場合も同様で、R面取り加工した場合には、金属基材の外表面の面部同士が滑らかに接続されるので、より一層均一な保護膜形成に寄与するものと考えられる。
また、前記保護膜を、前記金属基材の全表面に電着塗装法により形成してもよい。
前記保護膜は、電着塗装により形成することにより、より簡便に緻密で均一な被膜を形成するのに寄与することができる。
本発明に係るSOFC用集電部材としてのインターコネクタ及びその製造方法の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すSOFC用セルCは、酸化物イオン電導性の固体酸化物の緻密体からなる電解質膜30の一方面側に、酸化物イオン及び電子電導性の多孔体からなる空気極31を接合するとともに、同電解質膜30の他方面側に電子電導性の多孔体からなる燃料極32を接合してなる単セル3を備える。
更に、SOFC用セルCは、この単セル3を、空気極31又は燃料極32に対して電子の授受を行うとともに空気及び水素を供給するための溝2が形成された一対の電子電導性の合金又は酸化物からなるインターコネクタ1により、適宜外周縁部においてガスシール体を挟持した状態で挟み込んだ構造を有する。そして、空気極31側の上記溝2が、空気極31とインターコネクタ1とが密着配置されることで、空気極31に空気を供給するための空気流路2aとして機能し、一方、燃料極32側の上記溝2が、燃料極32とインターコネクタ1とが密着配置されることで、燃料極32に水素を供給するための燃料流路2bとして機能する。
このセルスタックにおいて、積層方向の両端部に配置されたインターコネクタ1は、燃料流路2b又は空気流路2aの一方のみが形成されるものであればよく、その他の中間に配置されたインターコネクタ1は、一方の面に燃料流路2bが形成され他方の面に空気流路2aが形成されるものを利用することができる。尚、かかる積層構造のセルスタックでは、上記インターコネクタ1をセパレータと呼ぶ場合がある。
このようなセルスタックの構造を有するSOFCを一般的に平板型SOFCと呼ぶ。本実施形態では、一例として平板型SOFCについて説明するが、本願発明は、その他の構造のSOFCについても適用可能である。
前記インターコネクタ1は、図1、図4に示すように、インターコネクタ用の金属基材11の表面に保護膜12を設けて構成してある。そして、前記各セル3の間に空気流路2a、燃料流路2bを形成しつつ接続可能にする溝板状に形成してある。
前記保護膜12は、たとえば、Crを22%、Mnを約0.5%含むフェライト系ステンレス鋼等からなる前記金属基材11の表面に、たとえば、ZnCo2O4等の金属酸化物微粒子と樹脂とを含んでなる被膜を形成し、その被膜を焼成して前記電着塗膜中の樹脂成分を焼失させた焼成被膜を形成する焼成工程を行い、さらに前記焼成被膜を焼結させて金属酸化物からなる保護膜12を形成する焼結工程を行うことにより形成されている。前記被膜を形成するにはアニオン電着塗装法により電着塗膜を形成する電着工程を採用することができ、樹脂としてはポリアクリル酸等のアニオン型樹脂を、金属酸化物微粒子との混合比(質量比)で(金属酸化物微粒子:アニオン型樹脂)=(0.5:1)〜(1.7:1)の割合で含有している混合液を用いることができる。
前記金属基材11として、上記Crを22%、Mnを約0.5%含むフェライト系ステンレス鋼等からなる金属材料から試験片(A)〜(D)を作成した。
(B)切り出したのちプレス加工し、さらに角部f1をC面取り加工した試験片、
(C)金属材料を切り出したのちプレス加工し、さらに角部g1をC面取り加工し、電解研磨により端面角部g2を鈍角に成形加工した試験片、
(D)金属材料を、切り出したのち角部h1をR面取り加工した試験片
電着塗装条件も特に制限されず、金属基材11である金属の種類、前記混合液の種類、通電槽の大きさおよび形状、得られるインターコネクタ1の用途などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常は、浴温度(前記混合液温度)10〜40℃程度、印加電圧10〜450V程度、電圧印加時間1〜10分程度、前記混合液の液温10〜40℃とすればよい。
なお、電着電圧、電着時間を変更することにより電着塗膜の膜厚をコントロールできる。また、基材に対して、種々前処理を行うこともできる。
前記混合液としてZnCo2O4微粒子:樹脂=1:1(質量比)のものを用いて形成した電着塗膜を、350℃の電気炉に投入し、1hr保持し、前記電着塗膜を乾燥硬化させた。次に500℃まで1hrで昇温し、2hr保持して、前記電着塗膜中の樹脂成分を焼失させた(焼成工程)。さらに、1000℃まで2hrで昇温し、2hrその温度で保持して前記電着塗膜中の金属酸化物微粒子を焼結させて(焼結工程)、その後電気炉電源をOFFして徐冷した。
なお、角部における2面が形成する角度は、たとえば図5(b)に示すように、その角部g1近傍における、その角部g1を挟んで基材表面に形成される2つの平面g2、g2が成す角度として求められ、曲率半径は、たとえば図5(c)に示すように、その2面g2、g2に対する法線が互いに交差する点からその角部までの距離として求められる。
上述の結果より、プレス加工により、前記金属基材の角部に面取り加工を施した後、前記金属基材の表面全体に、前記保護膜を形成した場合、基材を切り出しただけのものにくらべて、保護膜の厚さが均一化していることが読み取れる。また、C面取り加工にくらべ、C面取り加工を施した後、前記C面取り施工面の端部に形成される端面角部に電解研磨を施して前記端面角部を丸み付けしたもののほうが保護膜の均一性が増していることが読み取れ、また、C面取り加工にくらべてR面取り加工を行ったほうが効率良く角部に丸み付けが行えることもわかる。
なお、Cr飛散試験は、前記各試験片を空気極材料(ここでは、LaCoO3系材料を用いた)に埋設し、大気雰囲気中で1000℃〜1150℃の焼成温度で2時間焼成処理を行い、次に、作動時を想定して、大気雰囲気中で800℃の作動温度で0.5A/cm2の直流電流を流し続けた状態で200時間保持した。そして、その後に、夫々の試験片について、金属基材と空気極材料との接合部付近の断面のCr分布をEPMA(電子プローブ微量分析)により観察することによって行った。Crの飛散量を定量的に評価するため、空気極材料中に飛散したCrのカウント数を計数した。
11 :金属基材
12 :保護膜
2 :溝
2a :空気流路
2b :燃料流路
3 :単セル
30 :電解質膜
31 :空気極
32 :燃料極
C :SOFC用セル
Claims (7)
- 角部を備えた金属基材の表面に金属酸化物を主成分とする保護膜を形成してある固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法であって、
金属基材をプレス加工により成形し、さらに前記金属基材の角部に面取り加工を施して、前記金属基材の角部における最も鋭い部分の角度を135°より大きな鈍角に成形した後、前記金属基材の表面全体に、前記保護膜を形成する固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法。 - 角部を備えた金属基材の表面に金属酸化物を主成分とする保護膜を形成してある固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法であって、
金属基材をプレス加工により成形し、さらに前記金属基材の角部に面取り加工を施して、前記金属基材の角部における最も鋭い部分の曲率半径を6μmよりも大きく成形した後、前記金属基材の表面全体に、前記保護膜を形成する固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法。 - 角部を備えた金属基材の表面に金属酸化物を主成分とする保護膜を形成してある固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法であって、
金属基材をプレス加工により成形し、さらに前記金属基材の角部に面取り加工を施して、前記面取り加工としてのC面取り加工の施工面の端部に形成される端面角部に電解研磨を施して前記端面角部を丸み付けし、前記金属基材の表面全体に、前記保護膜を形成する固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法。 - 前記金属基材が断面方形の金属基材であり、
方形の金属基材をプレス加工し、前記金属基材の角部に面取り加工を施した後、前記金属基材の表面全体に、前記保護膜を形成し、前記金属基材の四辺面に形成される前記保護膜の膜厚と、前記面取り加工を施した面取り加工面に形成される前記保護膜の膜厚との比が、0.5以上、1以下としてある請求項1または2に記載の固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法。 - 前記面取り加工が、C面取り加工若しくはR面取り加工のいずれかである請求項1または2に記載の固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法。
- 前記面取り加工が、R面取り加工である請求項1または2に記載の固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法。
- 前記保護膜を、前記金属基材の全表面に電着塗装法により形成する請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池用集電部材の製造方法。
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