JP7033437B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体の製造方法に関する。
使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の吸収体の製造装置として、外周面に集積用凹部を有する回転ドラムと、回転ドラムの集積用凹部にパルプ等を飛散状態で供給するダクトとを備え、該回転ドラムを回転させつつ該集積用凹部内に該ダクトから供給されるパルプ等を堆積させ、該集積用凹部内に堆積した積層体を該集積用凹部から離型して吸収体を得る吸収体の製造装置が知られている。
本出願人は、先に、該吸収体の製造装置として、回転ドラムの集積用凹部から離型させた後の積層体の構成材料の偏在状態を計測し、計測した構成材料の偏在状態に基づいて構成材料の供給量を変化させて良好な吸収体を得る吸収体の製造方法を提案した(特許文献1)。
これとは別の技術として、特許文献2には、流動物質の流路である可撓性チューブを変形させて、該可撓性チューブの流路の断面積を調節する機能を備えた粒状体又は粉体等の流動物質の供給装置が記載されている。
特開2016-116556号公報 特開2014-052305号公報
しかし、特許文献1に記載の吸収体の製造装置は、ダクトでパルプ等を飛散状態で回転ドラムの集積用凹部内に供給した後、集積用凹部から離型した後の積層体に対して構成材料の偏在状態を計測している。そのため、計測した積層体が構成材料の調整を要する場合、集積用凹部内の積層体のみならずダクトで搬送中のパルプ等も無駄になってしまう。そこで、更なる効率化が望まれていた。
また、特許文献2に記載の流動物質の供給装置は、ホッパーから受板上に供給された流動物質の高さを、溢れ検知センサーで測定し、測定結果に基づいて流動性物質の供給を調整している。このように、特許文献2に記載の流動物質の供給装置は、特許文献1に記載の吸収体の製造装置と同様に、供給された後の積層体である流動物質を測定しており、供給中の流動物質を測定することに関して、何ら記載がない。
したがって本発明は、積層体の不良数を抑えて、該積層体を効率的に製造する積層体の製造方法を提供することにある。
本発明は、ダクト内に供給された吸収性コアの構成材料を空気流によって搬送し、移動している集積用凹部内に堆積させて該構成材料の積層体を得る積層体の製造方法であって、前記ダクト内の前記構成材料の搬送状態を計測し、計測した該構成材料の搬送状態に基づいて、得られる積層体の良否を判断し、判断結果に基づいて前記ダクト内への前記構成材料の供給量を調整する、積層体の製造方法を提供するものである。
本発明の積層体の製造方法によれば、積層体の不良数を抑えて、該積層体を効率的に製造することができる。
図1は、本発明の積層体の製造方法に用いる製造装置の好ましい一実施形態の概略側面図である。 図2は、図1に示す製造装置の備える計測部を模式的に示す概略斜視図である。 図3は、供給量制御部により親水性繊維が定速供給される場合の一対の供給ローラの回転速度を示す図である。 図4は、供給量制御部により親水性繊維が1/2変速供給される場合の一対の供給ローラの動作を示す図である。 図5は、供給量制御部により親水性繊維が1/3変速供給される場合の一対の供給ローラの動作を示す図である。 図6(a)は、親水性繊維を定速供給した場合の一周期画像を示す図であり、図6(b)は親水性繊維を1/2変速供給した場合の一周期画像を示す図であり、図6(c)は、親水性繊維を1/3変速供給した場合の一周期画像を示す図である。 図7(a)は親水性繊維を定速供給した場合の各箇所での濃淡値をプロットしたグラフであり、図7(b)は親水性繊維を1/2変速供給した場合及び1/3変速供給した場合の各箇所での濃淡値をプロットしたグラフである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の製造方法は、ダクト内に供給された吸収性コアの構成材料を空気流によって搬送し、移動している集積用凹部内に堆積させて前記構成材料の積層体を得る積層体の製造方法である。本発明で製造する積層体は、吸収性物品用の吸収性コアを構成する積層体として好ましく用いられる。吸収性物品としては、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。吸収性物品は、典型的には、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収性コアを具備している。該吸収性コアを構成する積層体が、本発明の積層体の製造方法で形成される積層体である。
積層体を形成する構成材料としては、従来、吸収性物品用の吸収性コアに用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、親水性繊維、合成繊維及び吸収性粒子等を用いることができる。親水性繊維としては、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維等が挙げられる。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の短繊維等が挙げられる。吸収性粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系、高吸収性ポリマー系のものが挙げられる。高吸収性ポリマーとしては、例えば、デンプン-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、アクリル酸(塩)重合体からなるもの等を用いることができる。
次に、本発明の積層体の製造方法を、前述した積層体の一実施形態である吸収性コア103の製造方法を例にとり、図1~図7を参照しながら説明する。吸収性コア103の製造方法を説明するに当たり、先に該吸収性コア103の製造方法に用いる製造装置1を説明する。図1には、本実施形態の吸収性コア103の製造方法に用いる製造装置1の全体構成が示されている。
製造装置1は、図1に示すように、外周面に複数の集積用凹部22が所定の間隔で形成された回転ドラム2と、回転ドラム2の集積用凹部22に吸収性コア103の構成材料である親水性繊維101を飛散状態で供給するダクト3と、ダクト3内に親水性繊維101を供給する繊維材料供給部4と、ダクト3内を飛散状態で搬送する親水性繊維101の搬送状態を計測する計測部5と、回転ドラム2の下方に配されたバキュームコンベア6と、帯状の被覆シート104で吸収性コア103を被覆した吸収体の連続体100rを個々の吸収体100に切断する切断部7と、繊維材料供給部4から搬送される親水性繊維101の供給量を調整する供給量制御部8とを備えている。
回転ドラム2は、図1に示すように、金属製の剛体からなる円筒状のドラム本体20と、該ドラム本体20の外周部に重ねて配され回転ドラム2の外周面2fを形成する外周部材21とを有している。外周部材21は、モータ等の原動機(図示せず)からの動力を受けて、水平軸回りを矢印R方向に回転するようになっている。一方、ドラム本体20は、固定されており、回転しないようになっている。外周部材21は、その外周部に、多孔性プレート(不図示)と、該多孔性プレートの外面側に重ねて固定されたパターン形成プレート(不図示)とを有している。集積用凹部22の底面は、多孔性プレートから形成されている。
ドラム本体20は、図1に示すように、回転ドラム2の中心軸側から外周面2f側に向かって設けられた仕切板20pにより仕切られた相互に独立した複数の空間A,B,C,Dを有している。ドラム本体20の中心軸部222には、吸気ファン(不図示)が接続されている。中心軸部222と各空間の間には、それぞれ開口面積が調整できるシャッター・バルブなどが設置されており、シャッターの開口面積の増減により、回転ドラム2内の仕切られた空間A~Dの圧力が調整できるようになっている。製造装置1においては、外周面2fがダクト3で覆われた領域に位置する空間Aの領域の吸引力が、空間B~Dの領域の吸引力よりも強くなるように調整されている。尚、空間C及びDは、集積用凹部22内の吸収体100の転写位置及びその前後を含む領域であるので、圧力ゼロ又は陽圧が好ましい。
ダクト3は、図2に示すように、繊維材料供給部4から回転ドラム2に亘って延びている。ダクト3の下流側の開口部は、負圧に維持される回転ドラム2の空間A上に位置する外周面2fを覆っている。ダクト3は、天面を形成する天板31、底面を形成する底板32、及び両側面を形成する両側壁33,34を有している。ダクト3の天板31、底板32及び両側壁33,34で囲まれた内部には、回転ドラム2の吸気ファン(不図示)の作動により、回転ドラム2の集積用凹部22に向けて吸収性コア103の構成材料を搬送する空気流が生じるようになっている。ダクトの側壁33には、後述する計測部5の撮像器50を配置するために、図2に示すように、第1スリット35が形成されている。第1スリット35は、天板31側から底板32側に向かう上下方向に延びる矩形状に形成されている。ダクトの側壁34には、第1スリット35と対向する位置に、後述する計測部5の照明器51を配置するために、第2スリット36が形成されている。第2スリット36は、第1スリット35と同様に、上下方向に延びる矩形状に形成されている。
繊維材料供給部4は、木材パルプシート等の繊維材料からなる繊維シート101sを解繊して親水性繊維を形成する粉砕機41と、繊維シート101sを粉砕機41に供給する一対の供給ローラ42、42と、一対の供給ローラ42,42を駆動する駆動モータ43とを有している。一対の供給ローラ42,42は、例えばギア等を介して互いに連結されおり、一つの駆動モータ43により同一の周速度で互いに逆方向に回転するようになされている。駆動モータ43は、後に詳述する供給量制御部8に電気的に接続されており、供給量制御部8によって駆動が制御されている。駆動モータ43としては、サーボモータを用いることが好ましい。尚、駆動モータ43と供給量制御部8との間には、供給量制御部8から出力される回転制御信号の種類やモータの種類等に応じて、入出力インターフェースやサーボアンプ等の公知の装置が配置されている。
ダクト3における回転ドラム2と繊維材料供給部4との間には、吸収性コア103の構成材料の一種である吸水性ポリマー102をダクト3に供給する吸水性粒子散布管46が設けられている。吸水性粒子散布管46は、ダクト3の天板31に配されている。
回転ドラム2におけるダクト3と反対側には、図1に示すように、該回転ドラム2の外周面2fに沿って押さえベルト24が配されている。押さえベルト24は、無端状の通気性又は非通気性のベルトであり、ロール25及びロール26に架け渡されて、回転ドラム2の回転と共に連れ回るようになっている。押さえベルト24により、集積用凹部22内の吸収性コア103をバキュームコンベア6上に転写するまで、集積用凹部22内に保持できる。
計測部5は、図1及び図2に示すように、ダクト3の内部を搬送する親水性繊維101を撮像する撮像器50と、該ダクト3の内部を照射する照明器51とを有している。撮像器50は、第1スリット35を介してダクト3の内部を撮像可能に配されている。撮像器50としては、ダクト3の内部をその上下方向の全域に亘って広域に撮像可能なラインセンサを用いることが好ましい。撮像器50は、供給量制御部8に電気的に接続されており、ダクト3の内部を連続して撮像した撮像データを供給量制御部8に送信するようになっている。照明器51は、第2スリット36を介してダクト3の内部を照射可能に配されている。照明器51としては、ダクト3の内部をその上下方向の全域に亘って均一に照射可能な上下方向に長いライトを用いることが好ましい。
バキュームコンベア6は、図1に示すように、回転ドラム2の下方に配されており、回転ドラム2の弱い陽圧又は圧力ゼロ(大気圧)に設定されている空間Cに位置する外周面2fに近接して配されている。バキュームコンベア6は、無端状の通気性ベルト60と、通気性ベルト60を挟んで回転ドラム2の外周面2fと対向する位置に配されたバキュームボックス61とを有している。バキュームコンベア6上には、ティッシュペーパー又は透液性の不織布等からなる被覆シート104が導入されるようになっている。
切断部7は、バキュームコンベア6の搬送方向下流側に配されている。切断部7は、吸収性コア103を被覆シート104で被覆してなる吸収体の連続体100rを搬送方向と直交する幅方向に切断するカッターローラ70と、該カッターローラ70と対向配置される受けローラ71とを有している。カッターローラ70の表面には、該カッターローラ70の軸方向に沿って且つカッターローラ70の全幅に亘って連続して延びるカッター刃72が配されている。切断部7では、カッターローラ70が一回転することで、1個の吸収体100が製造されるようになっている。またカッターローラ70の内部には、該カッターローラ70の回転位置を検知するエンコーダ(不図示)が配されている。エンコーダにより検出されたカッターローラ70の回転位置データは、供給量制御部8に送信されるようになっている。
供給量制御部8は、詳細は図示しないが、記憶部及び判断部を備えたコンピュータ、該コンピュータと他の装置等とを電気的に接続するインターフェース、及びコンピュータに組み込まれた所定のプログラム等から構成されている。供給量制御部8のコンピュータには、撮像器50から送信された撮像データ及び切断部7のエンコーダから送信されたカッターローラ70の回転位置データが入力される。判断部では、これらを用いて画像処理し、今後得られる吸収性コア103の良否を判断することができるようになっている。記憶部には、ダクト3内を搬送する親水性繊維101の良好な搬送状態の撮像データが登録できるようになっている。該判断部及び該記憶部については、後述する。
供給量制御部8のコンピュータは、駆動モータ43に対して回転制御信号を出力して駆動モータ43の回転を制御することにより、繊維シート101sの粉砕機41への供給量を制御し、ダクト3内で搬送される親水性繊維101の供給量を制御することができる。例えば、駆動モータ43の回転数を上げることで、繊維シート101sの粉砕機41に対する供給量が増加し、ダクト3に対する親水性繊維101の単位時間当たりの供給量が増加する。他方、駆動モータ43の回転数を下げることで、繊維シート101sの粉砕機41に対する供給量が減少し、ダクト3に対する親水性繊維101の単位時間当たりの供給量が減少する。供給量制御部8は、コンピュータに代えて、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を用いることもできる。
次に、上述した製造装置1を用いて吸収性コア103を製造する方法、即ち、本発明の積層体の製造方法の一実施形態について説明する。
先ず、回転ドラム2内の空間A、及びバキュームコンベア6用のバキュームボックス61内を、それぞれに接続された吸気ファン(不図示)を作動させて負圧にする。空間A内を負圧にすることで、ダクト3の内部に、吸収性コア103の構成材料(親水性繊維101、吸水性ポリマー102)を、回転ドラム2の集積用凹部22に向けて搬送する空気流が生じる。また粉砕機41及び回転ドラム2を回転させ、且つ押さえベルト24及びバキュームコンベア6を作動させる。
そして、図1に示すように、繊維材料供給部4の一対の供給ローラ42,42を作動させて、繊維シート101sを粉砕機41に導入すると、粉砕機41により解繊されて生じた親水性繊維101がダクト3内に供給される。ダクト3内に供給された親水性繊維101は、飛散状態となって、ダクト3内を流れる空気流に載って、回転ドラム2の外周面2fに向けて供給される。
製造装置1においては、供給量制御部8が、回転ドラム2に対して飛散状態で搬送される親水性繊維101の単位時間当たりの供給量をコントロールしている。具体的には、供給量制御部8に含まれるコンピュータにより、一対の供給ローラ42,42の回転速度をコントロールすることによって、親水性繊維101の繊維シート101sを粉砕機41に供給する速度をコントロールし、それによって、ダクト3内で搬送される親水性繊維101の単位時間当たりの供給量をコントロールしている。供給量制御部8のコンピュータには、そのような変化を生じさせるためのプログラムをインストールしておく。プログラマブルロジックコントローラを用いて、一対の供給ローラ42,42の回転速度をコントロールしてもよい。
図3~図5に、供給量制御部8による親水性繊維101の単位時間当たりの供給量のコントロールの例を示す。図3~図5に示すグラフの縦軸は、親水性繊維101の繊維シート101sを粉砕機41に導入する一対の供給ローラ42,42の回転速度であり、横軸は、1個の吸収体を製造するための周期である。供給量制御部8は、図3に示すように、繊維材料供給部4の一対の供給ローラ42,42の回転速度を一定速度Vにコントロールする回転制御信号を出力することができる(以下、定速供給ともいう)。それにより、繊維シート101sを粉砕機41に供給する速度が一定となり、ダクト3内で搬送される親水性繊維101の単位時間当たりの供給量が一定となる。
供給量制御部8は、これに代えて、一対の供給ローラ42,42の回転速度を上述の一定速度Vの2倍の回転速度2Vにして1/2周期(T/2)駆動させた後、1/2周期(T/2)停止させることを繰り返すパターンの回転制御信号を出力することができる(以下、1/2変速供給ともいう)。それにより、1個の吸収体100を製造するための一周期(T)毎に、一対の供給ローラ42,42は、図4に示す波形の動作で回転する。
また供給量制御部8は、これに代えて、一対の供給ローラ42,42の回転速度を上述の一定速度Vの3倍の回転速度3Vにして1/3周期(T/3)駆動させた後、2/3周期(2T/3)停止させることを繰り返すパターンの回転制御信号を出力することもできる(以下、1/3変速供給ともいう)。それにより、1個の吸収体100を製造するための一周期(T)毎に、一対の供給ローラ42,42は、図5に示す波形の動作で回転する。
そして、計測部5の照明器51を用いて、ダクト3の内部を照射する。照明器51は、上下方向に長い第2スリット36を介してダクト3の内部を照射するので、撮像器50が撮像するダクト3の内部の上下方向の全域に亘る領域が均一に照射される。
また、図2に示すように、計測部5の撮像器50を用いて、ダクト3の内部を撮像する。ダクト3の内部には、粉砕機41にて粉砕された複数の親水性繊維101が空気流に乗って回転ドラム2の外周面2fに向けて搬送されている。照明器51により第2スリット36側からダクト3の内部が照射されている。その為、第2スリット36と対向配置された第1スリット35側からは空気流に乗って搬送される親水性繊維101の影が視認可能となっている。そこで、ダクト3内の親水性繊維101の影を撮像器50を用いて撮像する。撮像されたダクト3内の親水性繊維101の影の画像がダクト3内の親水性繊維101の搬送状態を示す画像となる。このようにして、ダクト3内の親水性繊維101の搬送状態の画像を連続的に撮像データとして取り込む。親水性繊維101の搬送状態の画像の撮像データは、撮像器50から供給量制御部8に送信される。
これとは別に、図1に示すように、切断部7のカッターローラ70を回転させる。そして、エンコーダによって測定されるカッターローラ70の回転位置データを画像処理する供給量制御部8に送信する。製造装置1の運転時には、カッターローラ70の一回転と、製造される吸収体100の一個分、即ち、吸収性コア103の一個分とが一致するようになっている。
供給量制御部8は、撮像器50から送信された撮像データから、今後得られる1個の吸収性コア103に対応する画像を特定する。ここでは、カッターローラ70の一回転が1個の吸収体100を製造する周期と一致している。その為、撮像データから、カッターローラ70の回転位置データに基づいて、今後得られる1個の吸収性コア103に対応する一個分の画像(以下、一周期画像ともいう)を取得する。例えば、カッターローラ70のカッター刃72がカット位置に位置してから、該カッターローラ70が一回転して、再度、カッター刃72がカット位置に位置するまでの間の画像を一周期画像とすることができる。
取得される一周期画像としては、例えば、供給量制御部8が図3に示すタイミングで親水性繊維101の供給量を定速供給している場合には、図6(a)に示す画像が挙げられる。また例えば、供給量制御部8が図4に示すタイミングで親水性繊維101の供給量を1/2変速供給している場合には、図6(b)に示す画像が挙げられ、供給量制御部8が図5に示す親水性繊維101の供給量を1/3変速供給している場合には、図6(c)に示す画像が挙げられる。
図6(a)~図6(c)に示す一周期画像を取得すると、一周期画像を搬送方向上流側から下流側に向かう流れ方向に沿って、均等に複数個所で分割する。本実施形態では、流れ方向に沿って、均等に12箇所で分割している。そして、分割した12箇所それぞれにおいて、濃淡値を算出する。濃淡値は、「0」を「黒」、「255」を「白」として、0~255の全256階調にて表したものである。従って、濃淡値の数値の低い方が画像に現れる色が濃く、数値の高い方が画像に現れる色が薄くなっている。
濃淡値を算出すると、供給量制御部8は、得られた濃淡値の算出結果をプロットして濃淡値のグラフを作成する。図7(a)に示すグラフは、親水性繊維101を定速供給した場合の図6(a)に示す一周期画像の各箇所での濃淡値を算出した結果をプロットしたものである。図7(a)に示すように、親水性繊維101を定速供給した場合には、一周期画像の各箇所での濃淡値がほぼ一定になる。そして、該定速供給にて得られた吸収性コア103を流れ方向に沿って、均等に12箇所で分割してみると、吸収性コア103の分割した12箇所それぞれにおける坪量が一周期画像の12箇所それぞれにおける濃淡値と対応しており、吸収性コア103の坪量が一定となっていることが分かった。
また、図7(b)示すグラフは、1/2変速供給した場合の図6(b)に示す一周期画像の各箇所での濃淡値を算出した結果をプロットしたものである。図7(b)に示すように、親水性繊維101を1/2変速供給した場合には、図4に示す動作に対応して、1/2周期で親水性繊維101を供給した部分の濃淡値が低く、残りの1/2周期で親水性繊維101を供給していない部分の濃淡値が高くなる。そして、該1/2変速供給にて得られた吸収性コア103を流れ方向に沿って、均等に12箇所で分割してみると、吸収性コア103の分割した12箇所それぞれにおける坪量が一周期画像の12箇所それぞれにおける濃淡値と対応しており、吸収性コア103の坪量が一周期画像の濃淡値と同様の波形になっていることが分かった。つまり、図7(b)に示す濃淡値の波形に対応して、相対的に坪量が高い部分と、相対的に坪量が低い部分とが形成されていることが分かった。
また、図7(b)示すグラフは、1/3変速供給した場合の図6(c)に示す一周期画像の各箇所での濃淡値を算出した結果をプロットしたものである。図7(b)に示すように、親水性繊維101を1/3変速供給した場合には、図5に示す動作に対応して、1/3周期で親水性繊維101を供給した部分の濃淡値が低く、残りの2/3周期で親水性繊維101を供給していない部分の濃淡値が高くなる。そして、該1/3変速供給にて得られた吸収性コア103を流れ方向に沿って、均等に12箇所で分割してみると、吸収性コア103の分割した12箇所それぞれにおける坪量が、一周期画像の12箇所それぞれにおける濃淡値と対応しており、吸収性コア103の坪量が一周期画像の濃淡値と同様の波形になっていることが分かった。つまり、図7(b)に示す濃淡値の波形に対応して、相対的に坪量が高い部分と、相対的に坪量が低い部分とが形成されていることが分かった。また、図7(b)に示すように、1/2変速供給した場合と1/3変速供給した場合との違いも確認することができた。
以上のことから、本発明者らは、ダクト3内で親水性繊維101を撮像した一周期画像から算出した濃淡値に対応して、実際に親水性繊維101が堆積して得られる吸収性コア103の積層状態、即ち坪量を推測できることを見出した。また本発明者らは、供給ローラ42の回転速度によってダクト3内への親水性繊維101の単位時間当たりの供給量を変化させることによって、坪量が相対的に高い部分と、坪量が相対的に低い部分とを有する吸収性コア103を得ることができることを見出した。
このことから、供給量制御部8の記憶部に、良好な搬送状態の一周期画像を予め登録しておけば、実際に製造される吸収性コア103が良好な吸収性コア103となるか否かを判断することができる。ここで、「良好な搬送状態の一周期画像」とは、所望の吸収性コア103が得られている状態でのダクト3内を搬送する親水性繊維101の搬送状態を撮像した画像である。具体的には、良好な搬送状態の一周期画像を連続して取得し、それぞれの一周期画像を例えば12箇所で均等に分割して、各箇所での濃淡値の好ましい範囲を予め登録しておく。そして、実際に吸収性コア103の製造時に取得された一周期画像を、同様にして12箇所で均等に分割した際の各箇所での濃淡値を求め、各箇所で求めた濃淡値の値が、登録している各箇所での濃淡値の好ましい範囲内にあるか否かによって、製造される吸収性コア103が、各箇所で所定の坪量を有する良好な吸収性コア103となるか否かを判断することができる。
詳述すると、実際の製造時に取得された各箇所での濃淡値が、記憶部に予め登録した各箇所での濃淡値の好ましい範囲内にある場合には良と判断し、供給ローラ42の回転速度をそのままにして親水性繊維101の供給状態を維持する。このようにして、所望の吸収性コア103を連続して製造することができる。一方、実際の製造時に取得された各箇所での濃淡値が、記憶部に予め登録した各箇所での濃淡値の好ましい範囲内にない場合には不良と判断し、判断結果に基づき、実際の製造時に取得された各箇所での濃淡値が記憶部に予め登録した各箇所での濃淡値の好ましい範囲となるように、供給ローラ42の回転速度を制御してダクト3内への親水性繊維101の供給量を調整する。具体的には、実際の製造時に取得された各箇所での濃淡値の中に、記憶部に予め登録した各箇所での濃淡値の好ましい範囲よりも低い箇所がある場合には、濃淡値が低いと判断された箇所に対応する箇所において供給ローラ42の回転速度を上げて、ダクト3内への親水性繊維101の供給量を増加させ、該箇所の濃淡値を増加させる。また、実際の製造時に取得された各箇所での濃淡値の中に、記憶部に予め登録した各箇所での濃淡値の好ましい範囲よりも高い箇所がある場合には、濃淡値が高いと判断された箇所に対応する箇所において供給ローラ42の回転速度を下げて、ダクト3内への親水性繊維101の供給量を低下させ、該箇所の濃淡値を低下させる。言い換えれば、予め登録された好ましい範囲の濃淡値の波形と、実際の製造時に取得された濃淡値の波形との位相がずれている場合には、供給ローラ42の回転速度を制御して、実際に製造時に取得された濃淡値の波形の位相を変化させて該位相を合わせる。このようにして、ダクト3内への親水性繊維101の単位時間当たりの供給量を変化させ、親水性繊維101の坪量が相対的に高い部分と親水性繊維101の坪量が相対的に低い部分とを有する、所望の坪量を有する吸収性コア103を連続して製造することができる。
以上のように、本実施形態の吸収性コア103の製造方法によれば、親水性繊維101を空気流により搬送するダクト3内で撮像された親水性繊維101の搬送状態から計測された濃淡値に基づいて、実際に親水性繊維101が堆積して得られる吸収性コア103の良否を判断するので、製造する吸収性コア103の不良数を抑えることができ、所望の吸収性コア103を効率的に製造することができる。
そして、集積用凹部22に集積された吸収性コア103を、回転ドラム2の周方向(図1に示す矢印R方向)の全周に亘って間欠的に製造し、押さえベルト24で集積用凹部22内の吸収性コア103を押さえつけながら、バキュームコンベア6上まで搬送する。そして、吸収性コア103がバキュームボックス61の対向位置にくると、バキュームボックス61からの吸引によって、被覆シート104の幅方向の中央部分上に吸収性コア103を受け渡す。そして、図1に示すように、被覆シート104の搬送方向に沿う両側部を、折りガイド板(不図示)により幅方向の内側に折り返し、吸収性コア103を被覆シート104で被覆してなる吸収体の連続体100rを製造する。その後、切断部7のカッターローラ70を用いて、吸収体の連続体100rを、搬送方向に所定の間隔にて切断して、個々の吸収体100を製造する。
本実施形態の製造方法においては、ダクト3内に、親水性繊維101を供給するのに加えて、吸水性ポリマー102を一定の供給量で連続して供給することも好ましい。吸水性ポリマー102は、例えば、前述した吸水性粒子散布管46から投入され、親水性繊維101を搬送する空気流中に供給される。吸水性ポリマー102を連続的に供給しても、吸水性ポリマー102が空気流のなかを搬送する親水性繊維101に絡まる為、親水性繊維の坪量が相対的に多い部分に、親水性繊維101の坪量が相対的に少ない部分より多くの吸水性ポリマー102が配される。このように、本実施形態の製造方法によれば、吸水性ポリマー102の供給装置に供給量を変化させる手段を設けなくても、吸水性ポリマー102が偏在した吸収性コア103が得られる。
以上、本発明の積層体の製造方法の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず、適宜変更可能である。例えば、上述した実施形態においては、吸収性コアの構成材料の搬送状態の計測に、画像処理を用いたが、それに代えて、レーザー計測器や静電容量センサーを用いることもできる。レーザー計測器は、例えば、吸収性物品の材料として用いられる吸水性ポリマーの測定に適している点から好ましい。静電容量センサーは、例えば、吸収性物品の材料として用いられるパルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維等のセルロース系繊維や、ポリエチレン等の合成繊維などの絶縁体の測定に適している点から好ましい。
また本実施形態においては、良好な搬送状態の一周期画像を12箇所で均等に分割した各箇所での濃淡値の好ましい範囲を記憶部に予め登録したが、濃淡値を登録しておく箇所は12箇所に限定されない。実際に吸収性コア103の製造時に取得された一周期画像において、濃淡値を求める箇所は、記憶部に予め登録した一周期画像を分割した数と一致していればよい。
1 製造装置
2 回転ドラム
2f 外周面
22 集積用凹部
3 ダクト
33,34 側壁
35 第1スリット
36 第2スリット
4 繊維材料供給部
41 粉砕機
42 供給ローラ
43 駆動モータ
5 計測部
50 撮像器
51 照明器
7 切断部
70 カッターローラ
71 受けローラ
8 供給量制御部
100 吸収体
101 親水性繊維
101s 繊維シート
103 吸収性コア
104 被覆シート

Claims (3)

  1. ダクト内に供給された吸収性コアの構成材料を空気流によって搬送し、移動している集積用凹部内に堆積させて該構成材料の積層体を得る積層体の製造方法であって、
    前記ダクトは、該ダクト内に前記構成材料を供給する繊維材料供給部から、外周面に前記集積用凹部が形成された回転ドラムに亘って延びており、
    前記ダクト内に供給され且つ前記集積用凹部に向けて搬送される前記構成材料の搬送状態を、該ダクトに設けられた第1スリットを介して該ダクトの内部を撮像する撮像器と、
    該ダクトに設けられた第2スリットを介して該ダクトの内部を照射する照明器とを用いて計測し、計測した該構成材料の搬送状態に基づいて、得られる積層体の良否を判断し、判断結果に基づいて前記ダクト内への前記構成材料の供給量を調整する、積層体の製造方法。
  2. 製造される前記積層体は、前記構成材料の坪量が相対的に高い部分と該構成材料の坪量が相対的に低い部分とを有するものであり、
    前記構成材料の搬送状態を計測し、前記ダクト内への該構成材料の単位時間当たりの供給量を変化させることによって、前記積層体を得る、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 計測した前記構成材料の搬送状態が、予め登録された吸収性コアの構成材料の搬送状態に合致するように、前記ダクト内への前記構成材料の供給量を変化させる、請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
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