JP7024529B2 - 硬化型組成物、硬化物、硬化物の製造方法及び硬化物の製造装置 - Google Patents

硬化型組成物、硬化物、硬化物の製造方法及び硬化物の製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7024529B2
JP7024529B2 JP2018050131A JP2018050131A JP7024529B2 JP 7024529 B2 JP7024529 B2 JP 7024529B2 JP 2018050131 A JP2018050131 A JP 2018050131A JP 2018050131 A JP2018050131 A JP 2018050131A JP 7024529 B2 JP7024529 B2 JP 7024529B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filler
cured product
acrylate
light
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018050131A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019157088A (ja
Inventor
輝樹 草原
雄司 長友
啓 斎藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2018050131A priority Critical patent/JP7024529B2/ja
Publication of JP2019157088A publication Critical patent/JP2019157088A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7024529B2 publication Critical patent/JP7024529B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、硬化型組成物、硬化物、硬化物の製造方法及び硬化物の製造装置に関する。
3次元の立体物(立体造形物)を造形する技術として、付加製造(AM:Additive Manufacturing)と呼ばれる技術が知られている。この技術は、立体造形物の積層方向について薄く切った断面形状を算出し、算出した断面形状に従って層状造形物(造形層)を形成して積層することにより立体造形物を製造する技術である。
立体造形物を製造する装置としては、例えば、SLA(Stereolithography;ステレオリソグラフィー)方式の造形装置が知られている(例えば、特許文献1、2)。このステレオリソグラフィー方式の造形装置は、硬化性樹脂溶液を紫外線レーザーで一層ずつ硬化させて積層していくことにより、硬化性樹脂溶液の硬化物からなる立体造形物を造形する。
ステレオリソグラフィー方式の造形装置における、硬化性樹脂溶液に用いる材料としては、例えば、ジメチルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが知られている(例えば、特許文献3)。また、ステレオリソグラフィー方式の造形装置において、(メタ)アクリレート化合物やウレタン(メタ)アクリレート化合物が含まれる放射線硬化性組成物を用いることが知られている(例えば、特許文献4)。
さらに、ステレオリソグラフィー方式の造形装置において、硬化性樹脂溶液にガラスやセラミックスなどの無機物の粒子を添加することにより、硬化性樹脂溶液の硬化物からなる立体造形物の強度を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献5、6)。
しかし、上記の方法では、比重の大きい無機物の粒子を添加するため、硬化性樹脂溶液の硬化物の比重が大きくなってしまうことがあった。
本発明は、比重あたりの強度の高い硬化物となる硬化型組成物を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段としての本発明の硬化性組成物は、
波長が350nm~420nmである光により硬化する硬化型組成物であって、
硬化型組成物は、重合性化合物と、充填材と、を含み、
充填材は、光を75%以上透過させる光透過性充填材と、光を40%以上遮断する光遮断性充填材を含み、
前記充填材の少なくとも1種類は、有機充填材である。
本発明によると、比重あたりの強度の高い硬化物となる硬化型組成物を提供することができる。
図1Aは、本発明の硬化物の製造方法の一実施形態を説明するための説明図である。 図1Bは、本発明の硬化物の製造方法の一実施形態を説明するための説明図である。 図1Cは、本発明の硬化物の製造方法の一実施形態を説明するための説明図である。 図2Aは、本発明の硬化物の製造方法の他の一実施形態を説明するための説明図である。 図2Bは、本発明の硬化物の製造方法の他の一実施形態を説明するための説明図である。 図2Cは、本発明の硬化物の製造方法の他の一実施形態を説明するための説明図である。
(硬化型組成物)
本発明の硬化型組成物は、波長が350nm~420nmである光により硬化する硬化型組成物であって、硬化型組成物は、重合性化合物と、充填材と、を含む。また、本発明の硬化型組成物の充填材は、前述した光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前述した光を40%以上遮断する光遮断性充填材を含む。ここで、本発明の硬化型組成物の充填材の少なくとも1種類は、有機充填材である。本発明の硬化型組成物は、さらに必要に応じてその他の成分を含む。
本発明は、従来技術の硬化型組成物の硬化物では、比重あたりの強度(比強度)が低くなってしまうことがあるという知見に基づくものである。
具体的には、例えば、特許文献5又は6に記載の硬化型組成物(硬化性樹脂溶液)のように、硬化型組成物にガラスやセラミックスなどの比重の大きい無機物の粒子を添加する場合には、硬化型組成物の比重が大きくなってしまう場合がある。この場合、硬化型組成物に比重の大きな無機物の粒子が添加されたことにより硬化物の強度が向上したとしても、無機物の粒子の添加に伴って硬化物の比重も大きくなるため、硬化物の比強度を向上させることは難しい。
また、近年、製造する部品を軽量化するため、トポロジー最適化などのシミュレーションの結果から、強度が不要であると判定された部分をくり抜いた、複雑な形状の部品を設計する技術が普及してきている。ステレオリソグラフィー方式の造形装置は、複雑な形状の硬化物を容易に造形できるため、前述した技術で設計された部品の製造への応用が検討されている。
しかしながら、ステレオリソグラフィー方式の造形装置を用いた場合でも、使用する硬化型組成物の硬化物の強度が低い又は比重が大きい(比強度が低い)ときは、製造する部品の強度を保ちながら軽量化することが難しい。
本発明の硬化型組成物は、比重あたりの強度の高い硬化物となるため、上述した従来の諸問題を解決することができる。
<重合性化合物>
重合性化合物とは、エネルギーが付与されることにより重合反応が起こる化合物を意味する。なお、本発明においては、重合性化合物は、後述する硬化性樹脂の前駆体でもある。
重合性化合物としては、エネルギーが付与されることにより、重合し硬化性樹脂となるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、モノマー、オリゴマー、モノマーとオリゴマーの混合物などが挙げられる。
モノマーとしては、重合性モノマーであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられ、重合性オリゴマーや重合性ポリマー(マクロモノマー)を含んでいてもよい。
-単官能モノマー-
単官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-多官能モノマー-
多官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、二官能モノマー、三官能以上のモノマーなどが挙げられる。
二官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
三官能以上のモノマーとしては、例えば、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、PO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリテート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、シリコーンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂とは、エネルギーが付与されることにより硬化する樹脂を意味する。
硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
光硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物、ウレタン(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。光硬化性樹脂として、具体的には、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジキシルエチル(メタ)アクリレート、エチルジグリコール(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルモノ(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、エトキシ化コハク酸(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、N-ビニルホルムアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エトキシ化トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、オクチル/デシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化(4)ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノ(メタ)アクリレート、ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化リン酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレートグリセリルトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物、1,6-ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<充填材>
充填材とは、硬化型組成物に充填される物質を意味する。
本発明の硬化型組成物は、波長が350nm~420nmである光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前述した光を40%以上遮断する光遮断性充填材を含む。ここで、本発明の硬化型組成物の充填材の少なくとも1種類は、有機充填材である。
<<光透過性充填材>>
光透過性充填材とは、波長が350nm~420nmである光を75%以上透過させる充填材を意味する。以下、充填材が光を透過させる割合(%)を、透過率と称することがある。
光透過性充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ガラスビーズ、ガラスファイバーなどのガラス類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<光遮断性充填材>>
光遮断性充填材とは、波長が350nm~420nmである光を40%以上遮断させる充填材を意味する。
ここで、光遮断性充填材が光を遮断する割合(%)は、光遮断性充填材の透過率を100%から減算した値となる(例えば、光遮断性充填材の透過率が20%である場合は、その光遮断性充填材が光を遮断する割合は、80%となる)。
光遮断性充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェンなどの炭素繊維、アラミド繊維、ザイロン繊維、有機変性粘度鉱物、有機顔料組成物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、光透過性充填材及び光遮断性充填材の透過率は、株式会社島津製作所社製、紫外可視近赤外線分光光度計により、JIS R3106に準じた試験を行うことにより、測定することができる。
<<<有機充填材>>>
有機充填材とは、有機物で形成された充填材を意味する。
有機充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ザイロン繊維、ボロン繊維、パルプ、セルロースナノファイバー、有機変性粘度鉱物、有機顔料組成物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前述した充填材の少なくとも1種類が有機充填材であれば、その他の充填材は、無機充填材であってもよい。
無機充填材とは、無機物で形成された充填材を意味する。
無機充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ガラスビーズ、ガラスファイバーなどのガラス類、またはカーボンファイバー、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェンなどの炭素繊維、またはシリカフィラー、アルミナフィラー、ジルコニアフィラーなどのセラミックスフィラー、またはアルミニウム、マグネシウムなどの軽量金属ファイバーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上述した充填材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、球形、針形状、繊維形状、扁平な鱗片形状などが挙げられる。充填材の幅及び長さとしては、幅が0.1μm以上50μm以下、長さが10μm以上であることが好ましく、幅が10μm以上30μm以下、長さが50μm以上であることがより好ましい。
ここで、充填材の幅及び長さは、それぞれの平均値を意味しており、硬化物含まれる充填材について、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)による測定の結果から得ることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて、硬化物に含まれる多数の充填材の中から、5つの充填材を任意に選択して幅及び長さを測定し、それらの測定した幅及び長さの平均値を、充填材の幅及び長さとすることができる。
硬化型組成物の総量に対する充填材の含有量としては、全く含まれていない場合を除き特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。充填材は、硬化型組成物の総量に対し、例えば、2体積%以上含まれることが好ましい。硬化型組成物が充填材を2体積%以上含むことにより、硬化型組成物が硬化した硬化物は、比強度が向上する。
また、充填材は、硬化型組成物の総量に対し、例えば、90体積%以下含まれることが好ましい。硬化型組成物が充填材を90体積%以下で含むことにより、重合性化合物との分量の兼ね合いから、硬化型組成物を容易に硬化させて硬化物を造形することができる。
さらに、充填材は、硬化型組成物の総量に対し、硬化型組成物の粘度との兼ね合いから、10体積%以上50体積%以下含まれることが好ましく、20体積%以上40体積%以下含まれることがより好ましい。特に、硬化型組成物が充填材を20体積%以上40体積%以下含むことにより、硬化型組成物の硬化物の比強度をより向上させることができる。
充填材の総量に対する光透過性充填材の含有量としては、全く含まれていない場合を除き特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。光透過性充填材は、充填材の総量に対し、例えば、50体積%以上であることが好ましい。充填材が光透過性充填材を50体積%以上含むと、硬化型組成物が硬化される際に、ムラ無く硬化されるため、硬化物の比強度をより向上させることができる。
また、充填材の総量に対する有機充填材の含有量としては、全く含まれていない場合を除き特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。有機充填材は、充填材の総量に対して、例えば、50体積%以上であることが好ましい。充填材が有機充填材を50体積%以上含むと、比重の小さい有機充填材が多く含まれることになるため、硬化型組成物の硬化物の比重も小さくなることにより、硬化物の比強度をより向上させることができる。
充填材と重合性化合物の密着性を向上させる観点から、充填材の表面処理を行うことが好ましい。充填材の表面処理としては、例えば、疎水化処理が挙げられる。
疎水化処理の方法としては、充填材の表面を疎水化するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。疎水化処理に用いられる疎水化処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン等のシランカップリング剤、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル処理剤などが挙げられ、シランカップリング剤が好ましい。
<光>
光としては、波長が350nmから420nmの範囲の光であれば特に制限はなく、例えば、紫外光域乃至可視光域の電磁波などをいう。光は、後述する光を照射する手段から直接照射された光でもよいし、光学フィルタを介して取り出した光でもよい。
光を照射する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。光を照射する手段としては、例えば、蛍光灯、メタルハライドランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、ネオン管などの放電管、白熱電球、LED(Light Emitting Diode)、半導体レーザー照射器(Laser Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)、無機EL、紫外線(UV)照射器、DLP(Digital Light Processing、登録商標)光源などが挙げられる。
硬化型組成物に照射される光は、2種類以上あってもよく、同時もしくは順番に切り替えて使用されるのでもよい。
硬化型組成物に後述する重合開始剤が含まれている場合には、重合開始剤を励起させるのに十分な強度を有していることが好ましい。
<その他の成分>
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、重合開始剤、消泡剤、収束剤、架橋剤、減粘剤、表面処理剤、可塑剤、平滑化剤、溶媒などが挙げられる。これらの中でも、硬化型組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
<<重合開始剤>>
重合開始剤とは、光を吸収することで、上述した重合性化合物の重合反応を開始させる物質を意味する。
重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、光熱変換剤などが挙げられ、ラジカル重合開始剤が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化型組成物全体に対する重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて選択でき、例えば、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
カチオン重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、オニウム塩であるアリールスルフォニウム塩やアリールヨウドニウム塩、N-ビニルカルバゾール、チオキサントン化合物、9,10-ジブトキシアントラセン等のアントラセン化合物などが挙げられる。
アニオン重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、o-ニトロベンジルカーバメート、α,α-ジメチルベンジルカーバメート、α-ケトカーバメート誘導体、N-ヒドロキシイミドカーバメート、などの第一級アミンまたは第二級アミンや、フェニルグリオキシレートのアンモニウム塩、ベンズヒドリルアンモニウム塩、N-ベンゾフェノンメチル-トリ-N-アルキルアンモニウムホウ酸塩、第四級α-アンモニウムアセトフェノン塩のホウ酸塩、ジチオカーバメート、チオシアナート、および他の対イオン、またはアミンイミド誘導体からなる塩などが挙げられる。
光熱変換剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、カシアニン系化合物、ポリメチン系化合物、アミニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、メロシアニン系化合物、ベンゼンチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、芳香族ジアミン系金属錯体、ニッケル錯体化合物、アントラキノン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、インドレニン化合物などが挙げられる。
本発明の硬化型組成物は、例えば、電子機器パーツ、自動車部品のプロトタイプ、自動車のドレスアップツール等の少量ロットの製品などの物品を形成することに好適に用いることができる。本発明の硬化型組成物の硬化物は、比強度が高いため、実用の製品としての使用にも耐え得る。
(硬化物)
本発明の硬化物(造形物などとも称する)は、本発明の硬化型組成物からなるものであり、硬化型組成物に光の少なくとも一方を照射し、硬化させて得ることができる。
本発明の硬化物は、本発明の硬化型組成物が硬化したものであれば特に制限はなく、後述する本発明の硬化物の製造方法又は硬化物の製造装置により製造されたものに限定されず、例えば、インクジェット方式の造形装置などにより製造されたものでもよい。
また、本発明の硬化物は、比曲げ強度が30MPa以上であることが好ましい。硬化物は、比曲げ強度が30MPa以上であると、強度が必要とされる部品などにより好適に用いることができる。なお、硬化物の比曲げ強度は、精密万能試験機(オートグラフ)を用いて、JIS K7171に準じた試験を行うことにより求めることができる。
(硬化物の製造方法、硬化物の製造装置)
本発明の硬化物の製造方法は、ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給工程を含む。さらに、本発明の硬化物の製造方法は、供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化工程を含む。また、本発明の硬化物の製造方法は、硬化型組成物が本発明の硬化型組成物であり、必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の硬化物の製造装置は、ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給手段を有する。さらに、本発明の硬化物の製造装置は、供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化手段を含む。また、本発明の硬化物の製造装置は、硬化型組成物が本発明の硬化型組成物であり、必要に応じてその他の手段を有する。
硬化物の製造方法は、硬化物の製造装置により好適に行うことができ、供給工程は供給手段により好適に行うことができ、硬化工程は硬化手段により好適に行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
つまり、本発明の硬化物の製造装置は、本発明の硬化物の製造方法を実施することと同義であるので、主に本発明の硬化物の製造装置の説明を通じて本発明の硬化物の製造方法の詳細についても明らかにする。
<供給手段、供給工程>
供給手段は、ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する。
供給工程は、供給手段により、ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する。
供給手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、自由液面法のステレオリソグラフィー方式の造形装置で採用されている、硬化物(造形物)が造形されるステージを降下させることにより硬化型組成物を供給する機構が挙げられる。また、供給手段としては、例えば、規制液面法のステレオリソグラフィー方式の造形装置で採用されている、造形物が造形されるステージを上昇させることにより硬化型組成物を供給する機構でもよい。
自由液面法のステレオリソグラフィー方式の造形装置は、硬化型組成物が供給されるタンクに配置されたステージを所定の距離降下させることにより、ステージの上に硬化型組成物を供給する。供給された硬化型組成物は、後述する硬化手段により硬化されて、硬化物からなる薄層を形成する。
また、硬化型組成物の粘度によっては、供給した硬化型組成物の表面が平面になりにくい場合があるため必要に応じて、供給手段は、硬化型組成物の表面を平坦化する平坦化機構を有してもよい。
規制液面法のステレオリソグラフィー方式の造形装置は、硬化型組成物が供給されるタンクに配置されたステージを所定の距離上昇させることにより、ステージの下に硬化型組成物を供給する。供給された硬化型組成物は、後述する硬化手段により硬化されて、硬化物からなる薄層を形成する。
<硬化手段、硬化工程>
硬化手段は、供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化させる。
硬化工程は、硬化手段により、供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化させる。
硬化手段としては、硬化型組成物にエネルギーを与えて硬化させることのできる光を照射できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。硬化手段としては、例えば、蛍光灯、メタルハライドランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、ネオン管などの放電管、白熱電球、LED(Light Emitting Diode)、半導体レーザー照射器(Laser Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)、無機EL、紫外線(UV)照射器、DLP(Digital Light Processing、登録商標)光源などが挙げられる。
硬化手段は、光を照射する際には、所望の位置に移動しながら所望の箇所に対して集中して照射してもよいし、ある程度の範囲に一括して照射してもよい。照射の範囲は適宜変更することができ、照射の範囲が狭いほど、精密な硬化物が得られる。硬化手段が光を照射する方向としては、ステージに対して上方向から照射してもよいし、下方向から照射してもよい。
なお、所望の箇所に光を照射して硬化型組成物を硬化させる手法としては、特に制限はなく、目的に応じて選択できる。例えば、fθレンズとガルバノミラーを用いて照射位置を変化させる手法、fθレンズとポリゴンミラーを用いて照射位置を変化させる手法、硬化手段を所望の位置に移動させる手法、硬化手段に対してステージを相対的に移動させる手法などが挙げられる。
硬化手段が照射する光としては、波長が350nm~420nmの範囲の光であれば特に制限はなく、例えば、紫外光域乃至可視光域の電磁波などをいう。硬化手段が照射する光は、硬化手段により直接照射された光でもよいし、光学フィルタを介して取り出した光でもよい。
本発明の硬化物の製造装置は、供給手段により硬化型組成物を供給する供給工程と、硬化手段により硬化型組成物を硬化する硬化工程とを、所定の回数繰り返すことで、硬化型組成物の硬化物からなる薄層を積層して、造形物を製造する。
<その他の手段、その他の工程>
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱手段、撹拌手段などが挙げられる。
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱工程、撹拌工程などが挙げられる。
加熱工程は加熱手段により好適に行うことができ、撹拌工程は撹拌手段により好適に行うことができ、平坦化工程は平坦化手段により好適に行うことができる。
加熱手段としては、硬化型組成物の硬化物を加熱することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、赤外線(IR)ヒータなどが挙げられる。
加熱手段により、造形物の製造途中及び造形物の製造後の少なくともいずれかのタイミングで、硬化型組成物の硬化物を加熱することで、硬化物の耐熱性や比強度をより向上させることができる。
撹拌手段としては、硬化型組成物を撹拌することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、羽根形状の部品を回転させて撹拌する機構や、超音波による振動により撹拌する機構などが挙げられる。
撹拌手段が硬化型組成物を撹拌するタイミングとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、供給手段が硬化型組成物を供給する前などが挙げられる。
撹拌手段により硬化型組成物を撹拌することで、一時的に硬化型組成物の粘度が低下するため、高粘度の硬化型組成物であっても造形物の製造が容易になると共に、硬化型組成物中における各成分のムラを防止でき、高精密な硬化物が得られやすくなる。
本発明の硬化物の製造装置は、高粘度の硬化型組成物であっても硬化物の製造が容易になるため、上述した規制液面法の硬化物の製造装置であることが好ましい。また、規制液面法の硬化物の製造装置としては、例えば、特許第5774825号公報に記載の1次元規制方式の硬化物の製造装置、特許5605589号公報に記載の2次元規制方式の硬化物の製造装置などを用いることができる。
以下、本発明の硬化物の製造方法について、一実施形態を説明するが、本発明は下記の実施形態に限られるものではない。
図1A~図1Cは、本発明の硬化物の製造方法の一実施形態を説明するための説明図である。
まず、図1Aに示すように、供給工程において、硬化型組成物が供給されることにより、ステージ10の上に薄層20が形成されている。
次に、図1Bに示すように、硬化工程において、ステージ10に対して上側から、薄層20の少なくとも一部に光30を照射して硬化させる。
そして、図1Cに示すように、薄層20の少なくとも一部が硬化されることにより、硬化物40が造形される。次いで、供給工程において、図1Cの矢印の方向にステージ10を降下させて、硬化型組成物を供給し、次の層となる薄層を形成する。
このように、本発明の硬化物の製造方法の一実施形態においては、供給工程と硬化工程とを繰り返すことにより、ステージ10の上に硬化物40を積層して造形物(立体造形物)を製造する。
図2A~図2Cは、本発明の硬化物の製造方法の他の一実施形態を説明するための説明図である。
まず、図2Aに示すように、供給工程において、硬化型組成物が供給されることにより、ステージ10の下に薄層20が形成されている。
次に、図2Bに示すように、硬化工程において、ステージ10の下側から薄層20の少なくとも一部に光30を照射して硬化させる。
そして、図2Cに示すように、薄層20の少なくとも一部が硬化されることにより、硬化物40が造形される。次いで、供給工程において、図2Cの矢印の方向にステージ10を上昇させて、硬化型組成物を供給し、次の層となる薄層を形成する。
このように、本発明の硬化物の製造方法の他の一実施形態においては、供給工程と硬化工程とを繰り返すことにより、ステージ10の下に硬化物40を積層して造形物(立体造形物)を製造する。
以下、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<母体樹脂液1の作製>
まず、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:NK-A-DCP、新中村化学工業株式会社製)18質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(商品名:A9550W、新中村化学工業株式会社製)2質量部、ポリエチレングリコールモノアクリレート(商品名:ブレンマーAE200、日本油脂株式会社製)10質量部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名:HBE100、新日本理化株式会社製)50質量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名:EP-4100E、ADEKA製)5質量部、
3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(商品名:OXT-101、東亞合成株式会社合成製)10質量部を混合し、混合液1を得た。
遮光された室内で、混合液1に、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(商品名:イルガキュア1173、BASF社製)4質量部を混合し、母体樹脂液1を作製した。
<充填材1の作製>
密閉容器に、充填材としてポリエチレン繊維(商品名:ダイニーマSK60、東洋紡社製、以下「PE1」と表記する)、25体積%を加え、続けて、ガラスファイバー(商品名:SS05-404、日東紡績社製、以下「GF1」と表記する)を25体積%加えた。さらにカーボンファイバー(商品名:M-2007S、クレカ社製、以下「CF1」と表記する)を50体積%加え、手振り攪拌し充填材1を得た。
<硬化型組成物1の作製>
硬化型組成物の全体に対して、母体樹脂液1を75体積%に、充填材1を25体積%加え、遊星式撹拌・脱泡装置マゼルスター KK-400W(クラボウ社製)で5分間攪拌し、硬化型組成物1を得た。
<硬化物1の作製>
上記得られた硬化型組成物1を200mL秤量し、DWS社製028Jを用いて、積層ピッチを50μm、レーザースピードを1層目及び2層目では設定値275、3層目以降を設定値4400に設定して硬化物1を作製した。なお、本実施例では、DWS社製028Jを用いて、波長が405nmであるレーザー光を半導体レーザー照射器により硬化型組成物1に照射した。
得られた硬化物1はエタノールで十分に洗浄した後に、自然乾燥させた。硬化物1は、JIS K7171に記載された曲げ試験片をZ軸方向が最も長い辺となるように3本作製した。
なお、下記の実施例2~25及び比較例1~12において、レーザースピードの3層目以降の設定値は、4400、2200、275の中から、硬化物2~37の硬化性に合わせて、その硬化物を硬化することができる最大の値を用いた。レーザースピードの3層目以降の設定値が大きな値であると、硬化物の製造に必要される時間(造形時間)を短くすることができ、硬化物の生産性を高めることができる。
実施例1~25及び比較例1~12では、硬化物の薄層の厚み(一層当たりの厚み)を0.050mmと設定し、80層の薄層からなる全体の厚みが4mmの造形物を作製した。この場合、レーザースピードの3層目以降の設定値が4400のときは、薄層を一層造形するのに必要とされる時間は、約30秒間から60秒間であり、製造装置のその他の挙動に必要とされる時間も含めると、硬化物全体の製造に必要とされる時間は、約40分間~80分間であった。レーザースピードの3層目以降の設定値が2200のときは、薄層を一層造形するのに必要とされる時間は、約60秒間から90秒間であり、製造装置のその他の挙動に必要とされる時間も含めると、硬化物全体の製造に必要とされる時間は、約80分間~120分間であった。また、レーザースピードの3層目以降の設定値が275のときは、薄層を一層造形するのに必要とされる時間は、約480秒間から510秒間であり、製造装置のその他の挙動に必要とされる時間も含めると、硬化物全体の製造に必要とされる時間は、約640分間~680分間であった。
(実施例2)
実施例2では、充填材1に代えて、密閉容器に、充填材としてポリエチレン繊維(商品名:ダイニーマSK60、東洋紡社製、以下「PE1」と表記する)50体積%を加えた。さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作製した充填材2を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物2を作製した。
(実施例3)
実施例3では、充填材1に代えて、ポリプロピレンペレット(商品名:実験用樹脂ペレット ポリプロピレン、サンプラテック社製)を凍結粉砕して、ポリプロピレン粉末(以下「PP1」と表記する)を作製した。そして、密閉容器に、充填材としてPP1を50体積%加え、さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作製した充填材3を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物3を作製した。
(実施例4)
実施例4では、充填材1に代えて、ポリカーボネートペレット(商品名:実験用樹脂ペレット ポリカーボネート、サンプラテック社製)を凍結粉砕して、ポリカーボネート粉末(以下「PC1」と表記する)を作製した。そして、密閉容器に、充填材としてPC1を50体積%加え、さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作成した充填材4を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物4を作製した。
(実施例5)
実施例5では、充填材1に代えて、密閉容器に、充填材としてポリエステル繊維カットファイバー(商品名:テトロン、東レ社製、以下「PES1」と表記する)を50体積%加えた。さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作製した充填材5を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物5を作製した。
(実施例6)
実施例6において、充填材1に代えて、密閉容器に、充填材としてアクリル繊維カットファイバー(商品名:トレロン、東レ社製、以下「PAN1」と表記する)を50体積%加えた。さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作製した充填材6を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物6を作製した。
(実施例7)
実施例7において、充填材1に代えて、密閉容器に、充填材としてセルロースナノファイバー(商品名:セレンピア、日本製紙社製、以下「CNF1」と表記する)を50体積%加えた。さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作成した充填材7を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物7を作製した。
(実施例8)
実施例8では、硬化型組成物1に代えて、母体樹脂液1を98体積%に、充填材2を2体積%加え、遊星式撹拌・脱泡装置マゼルスター KK-400W(クラボウ社製)で5分間攪拌して作製した硬化型組成物2を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物8を作製した。
(実施例9)
実施例9では、硬化型組成物1に代えて、母体樹脂液1を50体積%に、充填材2を50体積%加え、遊星式撹拌・脱泡装置マゼルスター KK-400W(クラボウ社製)で5分間攪拌して作製した硬化型組成物3を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物9を作製した。
(実施例10)
実施例10では、硬化型組成物1に代えて、母体樹脂液1を10体積%に、充填材2を90体積%加え、遊星式撹拌・脱泡装置マゼルスター KK-400W(クラボウ社製)で5分間攪拌して作製した硬化型組成物4を用いること以外は全て同様にして、硬化物10を作製した。
(実施例11)
実施例11では、母体樹脂液1に代えて、不飽和ポリエステル樹脂(商品名:LP-921-N、DIC社製)99質量%にラジカル重合開始剤1(商品名:irgacure1173、BASF社製)を1質量%混合して母体樹脂液2を作製した。そして、充填材1に代えて、密閉容器に、PE1を50体積%加え、さらにGF1を25体積%加え、CF1を25体積%加え、手振り攪拌して得た充填材8を用いた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物11を作製した。
(実施例12)
実施例12では、母体樹脂液1に代えて、母体樹脂液2を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物12を作製した。
(実施例13)
実施例13では、充填材2に代えて、密閉容器に、PE1を25体積%加え、さらにGF1を50体積%加え、アラミド繊維カットファイバー(商品名:トワロン、帝人社製、以下「アラミド1」と表記する)を25体積%加え、手振り攪拌して得た充填材9を用いた以外は実施例2と全て同様にして、硬化物13を作製した。
(実施例14)
実施例14では、アラミド1に代えて、ザイロン繊維カットファイバー(商品名:ザイロン、東洋紡社製、以下「ザイロン1」と表記する)を25体積%加えて作製した充填材10を用いること以外は実施例13と全て同様にして、硬化物14を作製した。
(実施例15)
実施例15では、アラミド1に代えて、パルプ繊維(商品名:NPファイバー W-10MG2、日本製紙社製、以下「パルプ1」と表記する)を25体積%加えて作製した充填材11を用いること以外は実施例13と全て同様にして、硬化物15を作製した。
(実施例16)
実施例16では、CF1に代えて、カーボンナノチューブ(商品名:NC-1100、シグマアルドリッチ社製、以下「CNT1」と表記する)25体積%を加えて作製した充填材12を用いること以外は実施例11と全て同様にして、硬化物16を作製した。
(実施例17)
実施例17では、CF1に代えて、アルミファイバー(商品名:KCメタルファイバー、虹技社製、以下「AlF1」と表記する)25体積%を加えて作製した充填材13を用いること以外は実施例11と全て同様にして、硬化物17を作製した。
(実施例18)
実施例18では、CF1に代えて、タルク(商品名:MS-T、日本タルク社製、以下「タルク1」と表記する)25体積%を加えて作製した充填材14を用いること以外は実施例11と全て同様にして、硬化物18を作製した。
(実施例19)
実施例19では、母体樹脂液1に代えて、不飽和ポリエステル樹脂(商品名:LP-921-N、DIC社製)99質量%に、光熱変換剤1(商品名:IR-806、シグマアルドリッチ社製)を1質量%混合して作製した母体樹脂液3を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物19を作製した。
(実施例20)
実施例20では、母体樹脂液1に代えて、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸(商品名:ユピアーAT、宇部社製)99質量%に、アニオン開始剤1(商品名:2-(9-Oxoxanthen-2-yl)propionic Acid 1,5,7-Triazabicyclo[4.4.0]dec-5-ene Salt、TCI社製)0.5質量%、光熱変換剤1を0.5質量%混合して作製した母体樹脂液4を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物20を作製した。
(実施例21)
実施例21では、母体樹脂液1に代えて、液状エポキシ樹脂1(商品名:EPICLON EXA-4850、DIC社製)49質量%に、液状エポキシ樹脂2(商品名EPICLON HP-4710、DIC社製)50質量%、アニオン開始剤1を0.5質量%、光熱変換剤1を0.5質量%混合して作製した母体樹脂液5を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物21を作製した。
(実施例22)
実施例22では、アニオン開始剤1に代えて、カチオン開始剤1(商品名:アデカアークルズSP-170、ADEKA社製)0.5質量%を混合して作製した母体樹脂液6を用いること以外は実施例21と全て同様にして、硬化物22を作製した。
(実施例23)
実施例23では、母体樹脂液1に代えて、フェノール樹脂(商品名:EPICLON EXA-4850、DIC社製)50質量%に、液状エポキシ樹脂2を49質量%、カチオン開始剤1を0.3質量%、アニオン開始剤0.3質量%、光熱変換剤1を0.4質量%混合して作製した母体樹脂液7を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物23を作製した。
(実施例24)
実施例24では、不飽和ポリエステルに代えて、ジアリルフタレート樹脂(住友ベークライト社製)99質量%を用いて作製した母体樹脂液8を用いること以外は実施例12と全て同様にして、硬化物24を作製した。
(実施例25)
実施例25では、不飽和ポリエステルに代えて、ウレタンアクリレート樹脂(商品名:CBZ500LM-AS、日本ユピカ社製)49.5質量%とウレタン樹脂(商品名:タケネート500、三井化学社製)49.5質量%を混合した。そして、さらにラジカル重合開始剤1を0.5質量%、光熱変換材1を0.5質量%混合して作製した母体樹脂液9を用いること以外は実施例12と全て同様にして、硬化物25を作製した。
(比較例1)
比較例1では、母体樹脂液1を硬化型組成物としてそのまま用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物26を作製した。
(比較例2)
比較例2では、母体樹脂液1を75体積%に対して、GF1を25体積%加えたこと以外は実施例1と全て同様にして、硬化物27を作製した。
(比較例3)
比較例3では、母体樹脂液1を75体積%に対して、CF1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物28の作製を試みたが、硬化が不十分となり作製できなかった。
(比較例4)
比較例4では、PE1に代えて、GF1を50体積%加えた以外は実施例2と全て同様にして、硬化物29を作製した。
(比較例5)
比較例5では、GF1を30体積%、CF1を70体積%とした以外は比較例4と全て同様にして、硬化物30の作製を試みたが、硬化が不十分となり作製できなかった。
(比較例6)
比較例6では、母体樹脂液1に代えて、母体樹脂液2とした以外は比較例2と全てと同様にして、硬化物31を作製した。
(比較例7)
比較例7では、母体樹脂液1に代えて、母体樹脂液2とした以外は比較例4と全て同様にして、硬化物32を作製した。
(比較例8)
比較例8では、母体樹脂液1を75体積%に対して、充填材としてPE1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物33を作製した。
(比較例9)
比較例9では、母体樹脂液1を75体積%に対して、充填材としてPP1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物34を作成した。
(比較例10)
比較例10では、母体樹脂液1を75体積%に対して、充填材としてPC1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物35を作製した。
(比較例11)
比較例11では、母体樹脂液1を75体積%に対して、充填材としてPES1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物36を作製した。
(比較例12)
比較例12では、母体樹脂液1を75体積%に対して、充填材としてPAN1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物37を作製した。
上述した実施例1~25及び比較例1~12の組成を、下記表1~表7に示す。
Figure 0007024529000001
Figure 0007024529000002
Figure 0007024529000003
Figure 0007024529000004
Figure 0007024529000005
Figure 0007024529000006
Figure 0007024529000007
ここで、表1~表7における、充填材の透過率は、株式会社島津製作所社製紫外可視近赤外線分光光度計を用いて、JIS R3106に準じた試験を行うことにより、測定することができる。具体的には、充填剤10%と水84.9%バインダーとしてポリビニルアルコール樹脂(商品名:JF-05、日本酢ビ・ポバール社製)5%、レベリング剤及び分散助剤として、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF477、DIC製)0.1%を加えて混合した。次に、φ0.5mmのジルコニアビーズを用いて5時間混合粉砕し、続いてφ0.1mmのジルコニアビーズを用いて5時間混合粉砕した後、スピンコーターを用いてガラス基板上に塗布し、膜厚1.0μm~5.0μmの塗膜を得た。得られた塗膜の光吸収スペクトルおよび透過スペクトルを、紫外可視近赤外(UV-Vis-NIR)分光光度計(商品名:UV-3600、株式会社島津製作所製)を用いて測定することにより、充填材の透過率を測定した。
また、表1~表7では、光遮断性充填材について透過率を示した。光遮断性充填材が光を遮断する割合については、光遮断性充填材の透過率を100%から減算することにより求めることができる。
(評価)
実施例1~25及び比較例1~12に対する評価は、硬化物を造形する際に必要とした時間(造形時間)と、硬化物の比重及び曲げ強度を測定し比曲げ強度を算出することにより行った。
<レーザースピード>
実施例1~25及び比較例1~12に対して、硬化物を作製することができるレーザースピードの3層目以降の設定値の上限を、下記レーザースピードの評価基準に基づいて評価した。
[レーザースピードの評価基準]
◎:レーザースピードの設定値を4400に設定して、硬化物を作製できたもの
○:レーザースピードの設定値が4400では硬化物を作製できなかったが、設定値を2200に設定すると硬化物を作製できたもの
△:レーザースピードの設定値が4400及び2200では硬化物を作製できなかったが、設定値を275に設定すると硬化物を作製できたもの
×:レーザースピードの設定値を275に設定しても、硬化物を作製できなかった(硬化しなかった)もの
<比重>
実施例1~25及び比較例1~12のうち、硬化物を作製できたもの対して、エー・アンド・デイ社製比重測定キットAD-1653を用いて、比重を測定した。
<曲げ強度>
実施例1~25及び比較例1~12のうち、硬化物を作製できたもの対して、島津社製オートグラフ AG-Xを用いて、JIS K7171に準じて曲げ強度試験を行い、硬化物の曲げ強度を測定した。
<比曲げ強度>
実施例1~25及び比較例1~12のうち、硬化物を作製できたもの対して、測定した曲げ強度を測定した比重で除することにより、比曲げ強度を算出し、下記評価基準に基づいて、硬化物の比曲げ強度を評価した。
[比曲げ強度の評価基準]
◎:比重が1.41g/cm以下であり、比曲げ強度が30.0MPa以上であるもの
○:比重が1.41g/cm以下であり、比曲げ強度が29.3MPa以上であるもの
△:比重が1.41g/cm以上であり、比曲げ強度が29.3MPa以上であるもの
×:比曲げ強度が29.3MPa以下であるもの
<総合評価>
レーザースピード及び比曲げ強度の評価結果を用いて、下記総合評価の評価基準に基づいて、硬化物の総合評価を行った。また、下記総合評価の評価基準において、「◎」又は「○」の評価の硬化物として実用に耐えうるが、「△」又は「×」の評価の硬化物は、実用に耐えられないものになる。
[総合評価の評価基準]
◎:レーザースピード及び比曲げ強度の評価結果が、共に「◎」のもの
○:レーザースピード及び比曲げ強度の評価結果の内、最も低い評価が「○」のもの
△:レーザースピード及び比曲げ強度の評価結果の内、最も低い評価が「△」のもの
×:レーザースピード及び比曲げ強度の評価結果の内、最も低い評価が「×」のもの
実施例1~25及び比較例1~12に対する、評価の結果を表8に示す。
Figure 0007024529000008
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 波長が350nm~420nmである光により硬化する硬化型組成物であって、
前記硬化型組成物は、重合性化合物と、充填材と、を含み、
前記充填材は、前記光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前記光を40%以上遮断する光遮断性充填材と、を含み、
前記充填材の少なくとも1種類は、有機充填材であることを特徴とする硬化型組成物である。
<2> 前記硬化型組成物は、重合開始剤を含む前記<1>に記載の硬化型組成物である。
<3> 前記重合開始剤は、ラジカル重合開始剤である前記<2>に記載の硬化型組成物である。
<4> 前記充填材は、前記硬化型組成物の総量に対し、体積比で10%~50%含まれる前記<1>から<3>のいずれかに記載の硬化型組成物である。
<5> 前記充填材は、前記硬化型組成物の総量に対し、体積比で20%~40%含まれる前記<4>に記載の硬化型組成物である。
<6> 波長が350nm~420nmである光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前記光を40%以上遮断する光遮断性充填材と、を含み、
前記充填材の少なくとも1種類は、有機充填材であることを特徴とする硬化物である。
<7> 比曲げ強度が30MPa以上である前記<6>に記載の硬化物である。
<8> ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給工程と、
供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化工程と、を含み、
前記硬化型組成物が前記<1>から<5>のいずれかに記載の硬化型組成物であることを特徴とする硬化物の製造方法である。
<9> ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給手段と、
供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化手段と、を有し、
前記硬化型組成物が前記<1>から<5>のいずれかに記載の硬化型組成物であることを特徴とする硬化物の製造装置である。
前記<1>から<5>のいずれかに記載の硬化型組成物、前記<6>から<7>のいずれかに記載の硬化物、前記<8>に記載の硬化物の製造方法、前記<9>に記載の硬化物の製造装置によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特許第5605589号公報 特許第5774825号公報 特開平10-101754号公報 特許第3971412号公報 国際公開第2016/076180号 国際公開第2016/114031号
10 ステージ
20 硬化型組成物
30 光
40 硬化物

Claims (8)

  1. 波長が350nm~420nmである光により硬化する硬化型組成物であって、
    前記硬化型組成物は、重合性化合物と、充填材と、を含み、
    前記充填材は、前記光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前記光を40%以上遮断する光遮断性充填材と、を含み、
    前記充填材の少なくとも1種類は、有機充填材であり、
    前記充填材の含有量が、前記硬化型組成物の総量に対して体積比で10%以上50%以下であることを特徴とする硬化型組成物。
  2. 前記硬化型組成物は、重合開始剤を含む請求項1に記載の硬化型組成物。
  3. 前記重合開始剤は、ラジカル重合開始剤である請求項2に記載の硬化型組成物。
  4. 前記充填材の含有量が、前記硬化型組成物の総量に対して体積比で20%以上40%以下である請求項1から3のいずれかに記載の硬化型組成物。
  5. 波長が350nm~420nmである光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前記光を40%以上遮断する光遮断性充填材と、を含み、
    前記光透過性充填材及び前記光遮断性充填材の少なくともいずれかは、有機充填材であり、
    前記光透過性充填材及び前記光遮断性充填材の総含有量が、硬化物の体積に対して体積比で10%以上50%以下であることを特徴とする硬化物。
  6. JIS K7171に準じた試験により測定した曲げ強度を、測定した比重で除して算出された比曲げ強度が30MPa以上である請求項5に記載の硬化物。
  7. ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給工程と、
    供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化工程と、を含み、
    前記硬化型組成物が請求項1から4のいずれかに記載の硬化型組成物であることを特徴とする硬化物の製造方法。
  8. ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給手段と、
    供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化手段と、を有し、
    前記硬化型組成物が請求項1から4のいずれかに記載の硬化型組成物であることを特徴とする硬化物の製造装置。
JP2018050131A 2018-03-16 2018-03-16 硬化型組成物、硬化物、硬化物の製造方法及び硬化物の製造装置 Active JP7024529B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018050131A JP7024529B2 (ja) 2018-03-16 2018-03-16 硬化型組成物、硬化物、硬化物の製造方法及び硬化物の製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018050131A JP7024529B2 (ja) 2018-03-16 2018-03-16 硬化型組成物、硬化物、硬化物の製造方法及び硬化物の製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019157088A JP2019157088A (ja) 2019-09-19
JP7024529B2 true JP7024529B2 (ja) 2022-02-24

Family

ID=67993138

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018050131A Active JP7024529B2 (ja) 2018-03-16 2018-03-16 硬化型組成物、硬化物、硬化物の製造方法及び硬化物の製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7024529B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112851941B (zh) * 2021-02-03 2022-05-31 湘潭大学 一种具有高效光热效应的聚酰亚胺碳纳米管复合气凝胶的制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004504427A (ja) 2000-07-13 2004-02-12 サンカラー コーポレイション 放射線硬化性組成物および硬化品
JP2014152191A (ja) 2013-02-05 2014-08-25 Denki Kagaku Kogyo Kk エネルギー線硬化性樹脂組成物
JP2014219522A (ja) 2013-05-07 2014-11-20 太陽ホールディングス株式会社 ソルダーレジスト組成物およびそれを用いたプリント配線板
JP2017052870A (ja) 2015-09-09 2017-03-16 株式会社リコー 活性エネルギー線硬化型組成物
JP2017160355A (ja) 2016-03-10 2017-09-14 株式会社リコー 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、像形成方法、像形成装置、硬化物、像形成物

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5589316A (en) * 1978-12-26 1980-07-05 Sony Corp Unsaturated polyester resin composition
JP4046398B2 (ja) * 1997-02-05 2008-02-13 ナブテスコ株式会社 光学的立体造形用樹脂組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004504427A (ja) 2000-07-13 2004-02-12 サンカラー コーポレイション 放射線硬化性組成物および硬化品
JP2014152191A (ja) 2013-02-05 2014-08-25 Denki Kagaku Kogyo Kk エネルギー線硬化性樹脂組成物
JP2014219522A (ja) 2013-05-07 2014-11-20 太陽ホールディングス株式会社 ソルダーレジスト組成物およびそれを用いたプリント配線板
JP2017052870A (ja) 2015-09-09 2017-03-16 株式会社リコー 活性エネルギー線硬化型組成物
JP2017160355A (ja) 2016-03-10 2017-09-14 株式会社リコー 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、像形成方法、像形成装置、硬化物、像形成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019157088A (ja) 2019-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6550727B2 (ja) 液状組成物、造形物および造形物の製造方法
JP6582485B2 (ja) 組成物、造形物の製造方法および造形物
US20160114529A1 (en) Three-dimensional object manufacturing method, three-dimensional object manufacturing device, and three-dimensional object
JP6807531B2 (ja) 光学的立体造形用組成物及びこれを用いた立体造形物の製造方法
JP7406193B2 (ja) ナノインプリント用硬化性樹脂組成物、硬化物の製造方法、及び凹凸構造体の製造方法
JP7024529B2 (ja) 硬化型組成物、硬化物、硬化物の製造方法及び硬化物の製造装置
JP2016098313A (ja) セルロース系材料、液状組成物、造形物および造形物の製造方法
JP2009084619A (ja) マイクロ光造形用光硬化性組成物、金属造形物、及びその製造方法
JP5987269B2 (ja) ハードコートフィルム、偏光板および画像表示装置
JP6874559B2 (ja) 硬化性組成物、立体造形物の製造方法および立体造形装置
JP5830929B2 (ja) 金属粉末、紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物
JP6036937B2 (ja) 金属粉末の製造方法、紫外線硬化型インクジェット組成物の製造方法および記録物の製造方法
JP5288758B2 (ja) 光造形用光硬化性組成物、金属造形物及びその製造方法
KR102416294B1 (ko) 3d 프린팅용 광경화성 조성물 및 이를 이용한 3차원 인쇄물 제조방법
JP2016165862A (ja) 光硬化性立体造形用樹脂組成物、並びに、立体造形物及びその製造方法
JP6390236B2 (ja) 三次元造形物の製造方法および三次元造形物
JP7424434B2 (ja) 硬化型液体組成物、硬化物及び硬化物の製造方法
JP7166523B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型インク組成物、液体吐出装置用インク組成物、像形成装置、及び像形成方法
WO2019193961A1 (ja) 樹脂組成物、およびこれを用いた立体造形物の製造方法、ならびに立体造形物
JP6390237B2 (ja) 三次元造形物の製造方法および三次元造形物
US20230001633A1 (en) Method for manufacturing three-dimensional modeled object, and three-dimensional modeling device
JP5990351B1 (ja) 硬化収縮チヂミ模様形成用紫外線硬化型樹脂組成物、印刷インキ、印刷物、成形品、印刷物の製造方法、及び硬化収縮チヂミ模様の形成方法
JP6488583B2 (ja) 三次元造形物の製造方法および三次元造形物
JP2007160786A (ja) 活性エネルギー線硬化型インクジェット記録材用塗工液、およびそれを用いるインクジェット記録材の製造方法
JP6404558B2 (ja) 樹脂硬化物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210928

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220124

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7024529

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151