JP7024529B2 - 硬化型組成物、硬化物、硬化物の製造方法及び硬化物の製造装置 - Google Patents
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しかし、上記の方法では、比重の大きい無機物の粒子を添加するため、硬化性樹脂溶液の硬化物の比重が大きくなってしまうことがあった。
波長が350nm~420nmである光により硬化する硬化型組成物であって、
硬化型組成物は、重合性化合物と、充填材と、を含み、
充填材は、光を75%以上透過させる光透過性充填材と、光を40%以上遮断する光遮断性充填材を含み、
前記充填材の少なくとも1種類は、有機充填材である。
本発明の硬化型組成物は、波長が350nm~420nmである光により硬化する硬化型組成物であって、硬化型組成物は、重合性化合物と、充填材と、を含む。また、本発明の硬化型組成物の充填材は、前述した光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前述した光を40%以上遮断する光遮断性充填材を含む。ここで、本発明の硬化型組成物の充填材の少なくとも1種類は、有機充填材である。本発明の硬化型組成物は、さらに必要に応じてその他の成分を含む。
具体的には、例えば、特許文献5又は6に記載の硬化型組成物(硬化性樹脂溶液)のように、硬化型組成物にガラスやセラミックスなどの比重の大きい無機物の粒子を添加する場合には、硬化型組成物の比重が大きくなってしまう場合がある。この場合、硬化型組成物に比重の大きな無機物の粒子が添加されたことにより硬化物の強度が向上したとしても、無機物の粒子の添加に伴って硬化物の比重も大きくなるため、硬化物の比強度を向上させることは難しい。
しかしながら、ステレオリソグラフィー方式の造形装置を用いた場合でも、使用する硬化型組成物の硬化物の強度が低い又は比重が大きい(比強度が低い)ときは、製造する部品の強度を保ちながら軽量化することが難しい。
重合性化合物とは、エネルギーが付与されることにより重合反応が起こる化合物を意味する。なお、本発明においては、重合性化合物は、後述する硬化性樹脂の前駆体でもある。
重合性化合物としては、エネルギーが付与されることにより、重合し硬化性樹脂となるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、モノマー、オリゴマー、モノマーとオリゴマーの混合物などが挙げられる。
単官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、二官能モノマー、三官能以上のモノマーなどが挙げられる。
硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
充填材とは、硬化型組成物に充填される物質を意味する。
本発明の硬化型組成物は、波長が350nm~420nmである光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前述した光を40%以上遮断する光遮断性充填材を含む。ここで、本発明の硬化型組成物の充填材の少なくとも1種類は、有機充填材である。
光透過性充填材とは、波長が350nm~420nmである光を75%以上透過させる充填材を意味する。以下、充填材が光を透過させる割合(%)を、透過率と称することがある。
光透過性充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ガラスビーズ、ガラスファイバーなどのガラス類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光遮断性充填材とは、波長が350nm~420nmである光を40%以上遮断させる充填材を意味する。
ここで、光遮断性充填材が光を遮断する割合(%)は、光遮断性充填材の透過率を100%から減算した値となる(例えば、光遮断性充填材の透過率が20%である場合は、その光遮断性充填材が光を遮断する割合は、80%となる)。
光遮断性充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェンなどの炭素繊維、アラミド繊維、ザイロン繊維、有機変性粘度鉱物、有機顔料組成物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機充填材とは、有機物で形成された充填材を意味する。
有機充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ザイロン繊維、ボロン繊維、パルプ、セルロースナノファイバー、有機変性粘度鉱物、有機顔料組成物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機充填材とは、無機物で形成された充填材を意味する。
無機充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ガラスビーズ、ガラスファイバーなどのガラス類、またはカーボンファイバー、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェンなどの炭素繊維、またはシリカフィラー、アルミナフィラー、ジルコニアフィラーなどのセラミックスフィラー、またはアルミニウム、マグネシウムなどの軽量金属ファイバーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、充填材の幅及び長さは、それぞれの平均値を意味しており、硬化物含まれる充填材について、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)による測定の結果から得ることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて、硬化物に含まれる多数の充填材の中から、5つの充填材を任意に選択して幅及び長さを測定し、それらの測定した幅及び長さの平均値を、充填材の幅及び長さとすることができる。
また、充填材は、硬化型組成物の総量に対し、例えば、90体積%以下含まれることが好ましい。硬化型組成物が充填材を90体積%以下で含むことにより、重合性化合物との分量の兼ね合いから、硬化型組成物を容易に硬化させて硬化物を造形することができる。
光としては、波長が350nmから420nmの範囲の光であれば特に制限はなく、例えば、紫外光域乃至可視光域の電磁波などをいう。光は、後述する光を照射する手段から直接照射された光でもよいし、光学フィルタを介して取り出した光でもよい。
硬化型組成物に照射される光は、2種類以上あってもよく、同時もしくは順番に切り替えて使用されるのでもよい。
硬化型組成物に後述する重合開始剤が含まれている場合には、重合開始剤を励起させるのに十分な強度を有していることが好ましい。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、重合開始剤、消泡剤、収束剤、架橋剤、減粘剤、表面処理剤、可塑剤、平滑化剤、溶媒などが挙げられる。これらの中でも、硬化型組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤とは、光を吸収することで、上述した重合性化合物の重合反応を開始させる物質を意味する。
重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、光熱変換剤などが挙げられ、ラジカル重合開始剤が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化型組成物全体に対する重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて選択でき、例えば、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
本発明の硬化物(造形物などとも称する)は、本発明の硬化型組成物からなるものであり、硬化型組成物に光の少なくとも一方を照射し、硬化させて得ることができる。
本発明の硬化物は、本発明の硬化型組成物が硬化したものであれば特に制限はなく、後述する本発明の硬化物の製造方法又は硬化物の製造装置により製造されたものに限定されず、例えば、インクジェット方式の造形装置などにより製造されたものでもよい。
本発明の硬化物の製造方法は、ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給工程を含む。さらに、本発明の硬化物の製造方法は、供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化工程を含む。また、本発明の硬化物の製造方法は、硬化型組成物が本発明の硬化型組成物であり、必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の硬化物の製造装置は、ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給手段を有する。さらに、本発明の硬化物の製造装置は、供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化手段を含む。また、本発明の硬化物の製造装置は、硬化型組成物が本発明の硬化型組成物であり、必要に応じてその他の手段を有する。
硬化物の製造方法は、硬化物の製造装置により好適に行うことができ、供給工程は供給手段により好適に行うことができ、硬化工程は硬化手段により好適に行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
供給手段は、ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する。
供給工程は、供給手段により、ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する。
また、硬化型組成物の粘度によっては、供給した硬化型組成物の表面が平面になりにくい場合があるため必要に応じて、供給手段は、硬化型組成物の表面を平坦化する平坦化機構を有してもよい。
硬化手段は、供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化させる。
硬化工程は、硬化手段により、供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化させる。
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱手段、撹拌手段などが挙げられる。
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱工程、撹拌工程などが挙げられる。
加熱工程は加熱手段により好適に行うことができ、撹拌工程は撹拌手段により好適に行うことができ、平坦化工程は平坦化手段により好適に行うことができる。
加熱手段により、造形物の製造途中及び造形物の製造後の少なくともいずれかのタイミングで、硬化型組成物の硬化物を加熱することで、硬化物の耐熱性や比強度をより向上させることができる。
撹拌手段が硬化型組成物を撹拌するタイミングとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、供給手段が硬化型組成物を供給する前などが挙げられる。
撹拌手段により硬化型組成物を撹拌することで、一時的に硬化型組成物の粘度が低下するため、高粘度の硬化型組成物であっても造形物の製造が容易になると共に、硬化型組成物中における各成分のムラを防止でき、高精密な硬化物が得られやすくなる。
まず、図1Aに示すように、供給工程において、硬化型組成物が供給されることにより、ステージ10の上に薄層20が形成されている。
次に、図1Bに示すように、硬化工程において、ステージ10に対して上側から、薄層20の少なくとも一部に光30を照射して硬化させる。
そして、図1Cに示すように、薄層20の少なくとも一部が硬化されることにより、硬化物40が造形される。次いで、供給工程において、図1Cの矢印の方向にステージ10を降下させて、硬化型組成物を供給し、次の層となる薄層を形成する。
このように、本発明の硬化物の製造方法の一実施形態においては、供給工程と硬化工程とを繰り返すことにより、ステージ10の上に硬化物40を積層して造形物(立体造形物)を製造する。
まず、図2Aに示すように、供給工程において、硬化型組成物が供給されることにより、ステージ10の下に薄層20が形成されている。
次に、図2Bに示すように、硬化工程において、ステージ10の下側から薄層20の少なくとも一部に光30を照射して硬化させる。
そして、図2Cに示すように、薄層20の少なくとも一部が硬化されることにより、硬化物40が造形される。次いで、供給工程において、図2Cの矢印の方向にステージ10を上昇させて、硬化型組成物を供給し、次の層となる薄層を形成する。
このように、本発明の硬化物の製造方法の他の一実施形態においては、供給工程と硬化工程とを繰り返すことにより、ステージ10の下に硬化物40を積層して造形物(立体造形物)を製造する。
<母体樹脂液1の作製>
まず、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:NK-A-DCP、新中村化学工業株式会社製)18質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(商品名:A9550W、新中村化学工業株式会社製)2質量部、ポリエチレングリコールモノアクリレート(商品名:ブレンマーAE200、日本油脂株式会社製)10質量部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名:HBE100、新日本理化株式会社製)50質量部、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名:EP-4100E、ADEKA製)5質量部、
3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(商品名:OXT-101、東亞合成株式会社合成製)10質量部を混合し、混合液1を得た。
密閉容器に、充填材としてポリエチレン繊維(商品名:ダイニーマSK60、東洋紡社製、以下「PE1」と表記する)、25体積%を加え、続けて、ガラスファイバー(商品名:SS05-404、日東紡績社製、以下「GF1」と表記する)を25体積%加えた。さらにカーボンファイバー(商品名:M-2007S、クレカ社製、以下「CF1」と表記する)を50体積%加え、手振り攪拌し充填材1を得た。
硬化型組成物の全体に対して、母体樹脂液1を75体積%に、充填材1を25体積%加え、遊星式撹拌・脱泡装置マゼルスター KK-400W(クラボウ社製)で5分間攪拌し、硬化型組成物1を得た。
上記得られた硬化型組成物1を200mL秤量し、DWS社製028Jを用いて、積層ピッチを50μm、レーザースピードを1層目及び2層目では設定値275、3層目以降を設定値4400に設定して硬化物1を作製した。なお、本実施例では、DWS社製028Jを用いて、波長が405nmであるレーザー光を半導体レーザー照射器により硬化型組成物1に照射した。
得られた硬化物1はエタノールで十分に洗浄した後に、自然乾燥させた。硬化物1は、JIS K7171に記載された曲げ試験片をZ軸方向が最も長い辺となるように3本作製した。
実施例1~25及び比較例1~12では、硬化物の薄層の厚み(一層当たりの厚み)を0.050mmと設定し、80層の薄層からなる全体の厚みが4mmの造形物を作製した。この場合、レーザースピードの3層目以降の設定値が4400のときは、薄層を一層造形するのに必要とされる時間は、約30秒間から60秒間であり、製造装置のその他の挙動に必要とされる時間も含めると、硬化物全体の製造に必要とされる時間は、約40分間~80分間であった。レーザースピードの3層目以降の設定値が2200のときは、薄層を一層造形するのに必要とされる時間は、約60秒間から90秒間であり、製造装置のその他の挙動に必要とされる時間も含めると、硬化物全体の製造に必要とされる時間は、約80分間~120分間であった。また、レーザースピードの3層目以降の設定値が275のときは、薄層を一層造形するのに必要とされる時間は、約480秒間から510秒間であり、製造装置のその他の挙動に必要とされる時間も含めると、硬化物全体の製造に必要とされる時間は、約640分間~680分間であった。
実施例2では、充填材1に代えて、密閉容器に、充填材としてポリエチレン繊維(商品名:ダイニーマSK60、東洋紡社製、以下「PE1」と表記する)50体積%を加えた。さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作製した充填材2を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物2を作製した。
実施例3では、充填材1に代えて、ポリプロピレンペレット(商品名:実験用樹脂ペレット ポリプロピレン、サンプラテック社製)を凍結粉砕して、ポリプロピレン粉末(以下「PP1」と表記する)を作製した。そして、密閉容器に、充填材としてPP1を50体積%加え、さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作製した充填材3を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物3を作製した。
実施例4では、充填材1に代えて、ポリカーボネートペレット(商品名:実験用樹脂ペレット ポリカーボネート、サンプラテック社製)を凍結粉砕して、ポリカーボネート粉末(以下「PC1」と表記する)を作製した。そして、密閉容器に、充填材としてPC1を50体積%加え、さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作成した充填材4を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物4を作製した。
実施例5では、充填材1に代えて、密閉容器に、充填材としてポリエステル繊維カットファイバー(商品名:テトロン、東レ社製、以下「PES1」と表記する)を50体積%加えた。さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作製した充填材5を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物5を作製した。
実施例6において、充填材1に代えて、密閉容器に、充填材としてアクリル繊維カットファイバー(商品名:トレロン、東レ社製、以下「PAN1」と表記する)を50体積%加えた。さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作製した充填材6を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物6を作製した。
実施例7において、充填材1に代えて、密閉容器に、充填材としてセルロースナノファイバー(商品名:セレンピア、日本製紙社製、以下「CNF1」と表記する)を50体積%加えた。さらにCF1を50体積%加え、手振り攪拌し作成した充填材7を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物7を作製した。
実施例8では、硬化型組成物1に代えて、母体樹脂液1を98体積%に、充填材2を2体積%加え、遊星式撹拌・脱泡装置マゼルスター KK-400W(クラボウ社製)で5分間攪拌して作製した硬化型組成物2を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物8を作製した。
実施例9では、硬化型組成物1に代えて、母体樹脂液1を50体積%に、充填材2を50体積%加え、遊星式撹拌・脱泡装置マゼルスター KK-400W(クラボウ社製)で5分間攪拌して作製した硬化型組成物3を用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物9を作製した。
実施例10では、硬化型組成物1に代えて、母体樹脂液1を10体積%に、充填材2を90体積%加え、遊星式撹拌・脱泡装置マゼルスター KK-400W(クラボウ社製)で5分間攪拌して作製した硬化型組成物4を用いること以外は全て同様にして、硬化物10を作製した。
実施例11では、母体樹脂液1に代えて、不飽和ポリエステル樹脂(商品名:LP-921-N、DIC社製)99質量%にラジカル重合開始剤1(商品名:irgacure1173、BASF社製)を1質量%混合して母体樹脂液2を作製した。そして、充填材1に代えて、密閉容器に、PE1を50体積%加え、さらにGF1を25体積%加え、CF1を25体積%加え、手振り攪拌して得た充填材8を用いた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物11を作製した。
実施例12では、母体樹脂液1に代えて、母体樹脂液2を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物12を作製した。
実施例13では、充填材2に代えて、密閉容器に、PE1を25体積%加え、さらにGF1を50体積%加え、アラミド繊維カットファイバー(商品名:トワロン、帝人社製、以下「アラミド1」と表記する)を25体積%加え、手振り攪拌して得た充填材9を用いた以外は実施例2と全て同様にして、硬化物13を作製した。
実施例14では、アラミド1に代えて、ザイロン繊維カットファイバー(商品名:ザイロン、東洋紡社製、以下「ザイロン1」と表記する)を25体積%加えて作製した充填材10を用いること以外は実施例13と全て同様にして、硬化物14を作製した。
実施例15では、アラミド1に代えて、パルプ繊維(商品名:NPファイバー W-10MG2、日本製紙社製、以下「パルプ1」と表記する)を25体積%加えて作製した充填材11を用いること以外は実施例13と全て同様にして、硬化物15を作製した。
実施例16では、CF1に代えて、カーボンナノチューブ(商品名:NC-1100、シグマアルドリッチ社製、以下「CNT1」と表記する)25体積%を加えて作製した充填材12を用いること以外は実施例11と全て同様にして、硬化物16を作製した。
実施例17では、CF1に代えて、アルミファイバー(商品名:KCメタルファイバー、虹技社製、以下「AlF1」と表記する)25体積%を加えて作製した充填材13を用いること以外は実施例11と全て同様にして、硬化物17を作製した。
実施例18では、CF1に代えて、タルク(商品名:MS-T、日本タルク社製、以下「タルク1」と表記する)25体積%を加えて作製した充填材14を用いること以外は実施例11と全て同様にして、硬化物18を作製した。
実施例19では、母体樹脂液1に代えて、不飽和ポリエステル樹脂(商品名:LP-921-N、DIC社製)99質量%に、光熱変換剤1(商品名:IR-806、シグマアルドリッチ社製)を1質量%混合して作製した母体樹脂液3を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物19を作製した。
実施例20では、母体樹脂液1に代えて、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸(商品名:ユピアーAT、宇部社製)99質量%に、アニオン開始剤1(商品名:2-(9-Oxoxanthen-2-yl)propionic Acid 1,5,7-Triazabicyclo[4.4.0]dec-5-ene Salt、TCI社製)0.5質量%、光熱変換剤1を0.5質量%混合して作製した母体樹脂液4を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物20を作製した。
実施例21では、母体樹脂液1に代えて、液状エポキシ樹脂1(商品名:EPICLON EXA-4850、DIC社製)49質量%に、液状エポキシ樹脂2(商品名EPICLON HP-4710、DIC社製)50質量%、アニオン開始剤1を0.5質量%、光熱変換剤1を0.5質量%混合して作製した母体樹脂液5を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物21を作製した。
実施例22では、アニオン開始剤1に代えて、カチオン開始剤1(商品名:アデカアークルズSP-170、ADEKA社製)0.5質量%を混合して作製した母体樹脂液6を用いること以外は実施例21と全て同様にして、硬化物22を作製した。
実施例23では、母体樹脂液1に代えて、フェノール樹脂(商品名:EPICLON EXA-4850、DIC社製)50質量%に、液状エポキシ樹脂2を49質量%、カチオン開始剤1を0.3質量%、アニオン開始剤0.3質量%、光熱変換剤1を0.4質量%混合して作製した母体樹脂液7を用いること以外は実施例2と全て同様にして、硬化物23を作製した。
実施例24では、不飽和ポリエステルに代えて、ジアリルフタレート樹脂(住友ベークライト社製)99質量%を用いて作製した母体樹脂液8を用いること以外は実施例12と全て同様にして、硬化物24を作製した。
実施例25では、不飽和ポリエステルに代えて、ウレタンアクリレート樹脂(商品名:CBZ500LM-AS、日本ユピカ社製)49.5質量%とウレタン樹脂(商品名:タケネート500、三井化学社製)49.5質量%を混合した。そして、さらにラジカル重合開始剤1を0.5質量%、光熱変換材1を0.5質量%混合して作製した母体樹脂液9を用いること以外は実施例12と全て同様にして、硬化物25を作製した。
比較例1では、母体樹脂液1を硬化型組成物としてそのまま用いること以外は実施例1と全て同様にして、硬化物26を作製した。
比較例2では、母体樹脂液1を75体積%に対して、GF1を25体積%加えたこと以外は実施例1と全て同様にして、硬化物27を作製した。
比較例3では、母体樹脂液1を75体積%に対して、CF1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物28の作製を試みたが、硬化が不十分となり作製できなかった。
比較例4では、PE1に代えて、GF1を50体積%加えた以外は実施例2と全て同様にして、硬化物29を作製した。
比較例5では、GF1を30体積%、CF1を70体積%とした以外は比較例4と全て同様にして、硬化物30の作製を試みたが、硬化が不十分となり作製できなかった。
比較例6では、母体樹脂液1に代えて、母体樹脂液2とした以外は比較例2と全てと同様にして、硬化物31を作製した。
比較例7では、母体樹脂液1に代えて、母体樹脂液2とした以外は比較例4と全て同様にして、硬化物32を作製した。
比較例8では、母体樹脂液1を75体積%に対して、充填材としてPE1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物33を作製した。
比較例9では、母体樹脂液1を75体積%に対して、充填材としてPP1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物34を作成した。
比較例10では、母体樹脂液1を75体積%に対して、充填材としてPC1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物35を作製した。
比較例11では、母体樹脂液1を75体積%に対して、充填材としてPES1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物36を作製した。
比較例12では、母体樹脂液1を75体積%に対して、充填材としてPAN1を25体積%加えた以外は実施例1と全て同様にして、硬化物37を作製した。
また、表1~表7では、光遮断性充填材について透過率を示した。光遮断性充填材が光を遮断する割合については、光遮断性充填材の透過率を100%から減算することにより求めることができる。
実施例1~25及び比較例1~12に対する評価は、硬化物を造形する際に必要とした時間(造形時間)と、硬化物の比重及び曲げ強度を測定し比曲げ強度を算出することにより行った。
実施例1~25及び比較例1~12に対して、硬化物を作製することができるレーザースピードの3層目以降の設定値の上限を、下記レーザースピードの評価基準に基づいて評価した。
[レーザースピードの評価基準]
◎:レーザースピードの設定値を4400に設定して、硬化物を作製できたもの
○:レーザースピードの設定値が4400では硬化物を作製できなかったが、設定値を2200に設定すると硬化物を作製できたもの
△:レーザースピードの設定値が4400及び2200では硬化物を作製できなかったが、設定値を275に設定すると硬化物を作製できたもの
×:レーザースピードの設定値を275に設定しても、硬化物を作製できなかった(硬化しなかった)もの
実施例1~25及び比較例1~12のうち、硬化物を作製できたもの対して、エー・アンド・デイ社製比重測定キットAD-1653を用いて、比重を測定した。
実施例1~25及び比較例1~12のうち、硬化物を作製できたもの対して、島津社製オートグラフ AG-Xを用いて、JIS K7171に準じて曲げ強度試験を行い、硬化物の曲げ強度を測定した。
実施例1~25及び比較例1~12のうち、硬化物を作製できたもの対して、測定した曲げ強度を測定した比重で除することにより、比曲げ強度を算出し、下記評価基準に基づいて、硬化物の比曲げ強度を評価した。
[比曲げ強度の評価基準]
◎:比重が1.41g/cm3以下であり、比曲げ強度が30.0MPa以上であるもの
○:比重が1.41g/cm3以下であり、比曲げ強度が29.3MPa以上であるもの
△:比重が1.41g/cm3以上であり、比曲げ強度が29.3MPa以上であるもの
×:比曲げ強度が29.3MPa以下であるもの
レーザースピード及び比曲げ強度の評価結果を用いて、下記総合評価の評価基準に基づいて、硬化物の総合評価を行った。また、下記総合評価の評価基準において、「◎」又は「○」の評価の硬化物として実用に耐えうるが、「△」又は「×」の評価の硬化物は、実用に耐えられないものになる。
[総合評価の評価基準]
◎:レーザースピード及び比曲げ強度の評価結果が、共に「◎」のもの
○:レーザースピード及び比曲げ強度の評価結果の内、最も低い評価が「○」のもの
△:レーザースピード及び比曲げ強度の評価結果の内、最も低い評価が「△」のもの
×:レーザースピード及び比曲げ強度の評価結果の内、最も低い評価が「×」のもの
<1> 波長が350nm~420nmである光により硬化する硬化型組成物であって、
前記硬化型組成物は、重合性化合物と、充填材と、を含み、
前記充填材は、前記光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前記光を40%以上遮断する光遮断性充填材と、を含み、
前記充填材の少なくとも1種類は、有機充填材であることを特徴とする硬化型組成物である。
<2> 前記硬化型組成物は、重合開始剤を含む前記<1>に記載の硬化型組成物である。
<3> 前記重合開始剤は、ラジカル重合開始剤である前記<2>に記載の硬化型組成物である。
<4> 前記充填材は、前記硬化型組成物の総量に対し、体積比で10%~50%含まれる前記<1>から<3>のいずれかに記載の硬化型組成物である。
<5> 前記充填材は、前記硬化型組成物の総量に対し、体積比で20%~40%含まれる前記<4>に記載の硬化型組成物である。
<6> 波長が350nm~420nmである光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前記光を40%以上遮断する光遮断性充填材と、を含み、
前記充填材の少なくとも1種類は、有機充填材であることを特徴とする硬化物である。
<7> 比曲げ強度が30MPa以上である前記<6>に記載の硬化物である。
<8> ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給工程と、
供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化工程と、を含み、
前記硬化型組成物が前記<1>から<5>のいずれかに記載の硬化型組成物であることを特徴とする硬化物の製造方法である。
<9> ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給手段と、
供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化手段と、を有し、
前記硬化型組成物が前記<1>から<5>のいずれかに記載の硬化型組成物であることを特徴とする硬化物の製造装置である。
20 硬化型組成物
30 光
40 硬化物
Claims (8)
- 波長が350nm~420nmである光により硬化する硬化型組成物であって、
前記硬化型組成物は、重合性化合物と、充填材と、を含み、
前記充填材は、前記光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前記光を40%以上遮断する光遮断性充填材と、を含み、
前記充填材の少なくとも1種類は、有機充填材であり、
前記充填材の含有量が、前記硬化型組成物の総量に対して体積比で10%以上50%以下であることを特徴とする硬化型組成物。 - 前記硬化型組成物は、重合開始剤を含む請求項1に記載の硬化型組成物。
- 前記重合開始剤は、ラジカル重合開始剤である請求項2に記載の硬化型組成物。
- 前記充填材の含有量が、前記硬化型組成物の総量に対して体積比で20%以上40%以下である請求項1から3のいずれかに記載の硬化型組成物。
- 波長が350nm~420nmである光を75%以上透過させる光透過性充填材と、前記光を40%以上遮断する光遮断性充填材と、を含み、
前記光透過性充填材及び前記光遮断性充填材の少なくともいずれかは、有機充填材であり、
前記光透過性充填材及び前記光遮断性充填材の総含有量が、硬化物の体積に対して体積比で10%以上50%以下であることを特徴とする硬化物。 - JIS K7171に準じた試験により測定した曲げ強度を、測定した比重で除して算出された比曲げ強度が30MPa以上である請求項5に記載の硬化物。
- ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給工程と、
供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化工程と、を含み、
前記硬化型組成物が請求項1から4のいずれかに記載の硬化型組成物であることを特徴とする硬化物の製造方法。 - ステージの上又はステージの下に硬化型組成物を供給する供給手段と、
供給した硬化型組成物の少なくとも一部を、波長が350nm~420nmである光を照射することにより硬化する硬化手段と、を有し、
前記硬化型組成物が請求項1から4のいずれかに記載の硬化型組成物であることを特徴とする硬化物の製造装置。
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