JP2016165862A - 光硬化性立体造形用樹脂組成物、並びに、立体造形物及びその製造方法 - Google Patents

光硬化性立体造形用樹脂組成物、並びに、立体造形物及びその製造方法 Download PDF

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吉田 明弘
Akihiro Yoshida
明弘 吉田
丸山 直樹
Naoki Maruyama
直樹 丸山
穣 岡田
Yutaka Okada
穣 岡田
直己 高原
Naoki Takahara
直己 高原
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Abstract

【課題】拡がりにくくかつ所望の形状に成形し易い光硬化性立体造形用樹脂組成物を提供する。【解決手段】25℃においてずり速度10s−1における粘度Aに対するずり速度1s−1における粘度Bの比率B/Aが1.1以上である、光硬化性立体造形用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化性立体造形用樹脂組成物、並びに、立体造形物及びその製造方法に関する。
近年、三次元CADに入力されたデータに基づき、液状の光硬化性樹脂を使用して立体的に光学造形する方法が、金型等を作製することなく、目的とする立体造形物を良好な寸法精度で製造し得ることから広く採用されるようになっている。
光硬化性樹脂を用いた立体的な造形方法の代表例としては、例えば、レーザーや紫外光等の光源を用いて、容器に入れた液状の光硬化性樹脂の表面の一部を光硬化することにより、目的とする立体造形物の一部の断面形状を形成した後に、液状の光硬化性樹脂の1層分を供給し、目的とする立体造形物の一部の断面形状を光硬化によって更に形成する工程を繰り返しながら硬化層を1層ずつ積層させる方法により立体的な造形物を得る方法が挙げられる。この造形方法は、熱可塑性樹脂を溶融しながら積層する方式と比べ、形状のかなり複雑な造形物を得ることができる利点があることが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2012−106437号公報
ところで、光硬化性樹脂を含有する従来の液状の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、流動性が高く、硬化を必要とする所定の場所のみに塗布しても直ぐに組成物が濡れ拡がってしまう問題がある。このため、液状組成物で容器全体が満たされることとなり、組成物の無駄が多い。また、この場合、反りが発生することがある。
本発明は、上記問題を解決し、拡がりにくくかつ所望の形状に成形し易い光硬化性立体造形用樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記光硬化性立体造形用樹脂組成物を用いた立体造形物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、25℃においてずり速度10s−1における粘度Aに対するずり速度1s−1における粘度Bの比率B/Aが1.1以上である、光硬化性立体造形用樹脂組成物に関する。
本発明の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、拡がりにくくかつ所望の形状に成形し易い。また、液状の光硬化性樹脂を用いる従来の立体的な造形方法では、未硬化の光硬化性樹脂が大量に発生しそれらを廃棄する必要があるが、本発明の光硬化性立体造形用樹脂組成物によれば、光硬化性立体造形用樹脂組成物が不必要に薄く拡がることが抑制されるため、廃棄量を低減することができる。
本発明の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、光重合性官能基を有する化合物、揺変剤、及び、光重合開始剤を含有してもよい。
前記揺変剤は、オイルゲル化剤及び無機フィラーからなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
前記オイルゲル化剤は、ヒドロキシ脂肪酸、水添ひまし油、脂肪酸アミド、n−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジブチルアミド、ジ−p−メチルベンジリデンソルビトールグルシトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール、1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、ビス(2−エチルヘキサノアト)ヒドロキシアルミニウム、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物、下記一般式(6)で表される化合物、下記一般式(7)で表される化合物、下記一般式(8)で表される化合物、下記式(9)で表される化合物、下記一般式(10)で表される化合物、下記式(11)で表される化合物、下記式(12)で表される化合物、及び、下記一般式(13)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
Figure 2016165862

[一般式(1)中、n1は3〜10の整数、n2は2〜6の整数、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Xは硫黄原子又は酸素原子である。]
Figure 2016165862

[一般式(2)中、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Yは結合手又はベンゼン環である。]
Figure 2016165862

[一般式(3)中、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Yは結合手又はベンゼン環である。]
Figure 2016165862

[一般式(4)中、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
Figure 2016165862

Figure 2016165862

[一般式(6)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
Figure 2016165862

[一般式(7)中、Rは、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
Figure 2016165862

[一般式(8)中、Rは、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
Figure 2016165862

Figure 2016165862

[一般式(10)中、R及びR10は、それぞれ独立に炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
Figure 2016165862

Figure 2016165862

Figure 2016165862

[一般式(13)中、R11は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基であり、R12及びR13は、それぞれ独立に炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
前記無機フィラーは、シリカを含んでいてもよい。
前記光重合性官能基を有する化合物は、光ラジカル重合性を有する化合物、及び、光カチオン重合性を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
前記光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤、及び、光カチオン重合開始剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
本発明の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、可塑剤を更に含有してもよい。
また、本発明は、前記光硬化性立体造形用樹脂組成物を用いて立体造形物を造形する工程を備える、立体造形物の製造方法に関する。
さらに、本発明は、前記光硬化性立体造形用樹脂組成物又はその硬化物を含む、立体造形物に関する。
本発明によれば、拡がりにくくかつ所望の形状に成形し易い光硬化性立体造形用樹脂組成物、並びに、前記光硬化性立体造形用樹脂組成物を用いた立体造形物及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又はそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」又はそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。また、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<光硬化性立体造形用樹脂組成物>
本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、25℃におけるずり速度(シェア速度)が10s−1(=1/s)及び10s−1(=1/s)のときの粘度の比率1.1以上を有しており、具体的には、25℃においてずり速度10s−1における粘度Aに対するずり速度1s−1における粘度Bの比率B/Aが1.1以上である。本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、例えば、25℃において液状である。
本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物(例えばワニス)では、上記のとおり粘度の比率が1.1以上であることにより、ずり速度の低い状態(1s−1)における粘度が、ずり速度が高い状態(10s−1)における粘度に比べて高くなる。この場合、粘度の比率が1.1未満である樹脂組成物(例えば、従来の液状の立体造形用樹脂組成物)と比べて、周囲への漏出が抑制され、また、光硬化する前に立体的な造形が可能となる。そのため、樹脂組成物(ワニス等)の無駄な浪費が少なくなり、また、層を減らすことにより歪みも抑えられることから、本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、立体造形用の樹脂組成物として最適である。
本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物においては、粘度の比率B/Aが1.1以上であることにより、樹脂組成物が拡がりにくく、かつ、樹脂組成物を所望の形状に成形し易い。前記粘度の比率B/Aは、拡がりにくくかつ所望の形状に成形し易い樹脂組成物として更に好適である観点から、1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。前記粘度の比率B/Aは、気泡の巻き込みを抑制できる観点から、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。光硬化性立体造形用樹脂組成物の粘度は、例えば、東機産業株式会社製の粘度計「TPE−100H」等を用いて測定することができる。前記粘度の比率B/Aは、例えば、後述する揺変剤(B)の種類を変えることにより調整可能であり、また、揺変剤(B)の濃度を高めた場合に増加する傾向がある。
本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、例えば、光重合性官能基を有する化合物(A)、揺変剤(B)、及び、光重合開始剤(C)を含有している。以下、光硬化性立体造形用樹脂組成物の各成分について説明する。
(光重合性官能基を有する化合物(A))
光重合性官能基を有する化合物(A)(以下、「(A)成分」ということがある。)としては、硬化可能なものであれば特に制限はなく、光ラジカル重合性を有する化合物(例えば光ラジカル重合性有機化合物)、光カチオン重合性を有する化合物(例えば光カチオン重合性有機化合物)等が挙げられる。(A)成分としては、ラジカルを発生する光重合開始剤で硬化可能な、エチレン性不飽和基((メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等)を有する化合物;酸を発生する光酸発生剤で硬化可能な、環状エーテル基(エポキシ基、オキセタン基等)を有する化合物が好ましい。
[エチレン性不飽和基を有する化合物]
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリロイル基を有するポリマー、ビニル基を有する化合物、アリル基を有する化合物等が好適である。次に、これらの化合物及びポリマーについて説明する。
{(メタ)アクリレート化合物}
(メタ)アクリレート化合物としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリロイルモルホリン;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(n−ラウリル(メタ)アクリレート)、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の、アルキル基の炭素数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の、アルカンの炭素数が1〜18のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(例えば、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート)、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の、(メタ)アクリロイル基を分子内に3つ以上有する多官能(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;3−ブテニル(メタ)アクリレート等の、アルケニル基の炭素数が2〜18のアルケニル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の、芳香環を有する(メタ)アクリレート;メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘプタプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の、脂環式基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の、水酸基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等の、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;イソシアヌル環骨格を有する(メタ)アクリレート;シロキサン骨格を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。脂環式基を有する(メタ)アクリレートとしては、FA−512AS(日立化成株式会社製)を用いることができる。(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、アルキル基の炭素数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、アルカンの炭素数が1〜18のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を分子内に3つ以上有する多官能(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、及び、アルケニル基の炭素数が2〜18のアルケニル(メタ)アクリレートは、「脂肪族系(メタ)アクリレート」と総称する場合もある。また、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル環骨格を有する(メタ)アクリレート、シロキサン骨格を有する(メタ)アクリレートは、「ヘテロ原子系(メタ)アクリレート」と総称する場合もある。
{(メタ)アクリロイル基を有するポリマー}
(メタ)アクリロイル基を有するポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリイソプレン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂、及び、これらの変性物が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有するポリマーとしては、例えば、UC−102(株式会社クラレ製、数平均分子量17000)を用いることができる。(メタ)アクリロイル基を有するポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
{ビニル基を有する化合物及びアリル基を有する化合物}
ビニル基を有する化合物及びアリル基を有する化合物としては、ビニルシリコーン、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルピロリドン、トリアリルイソシアヌレート、1,2−ポリブタジエン等が挙げられる。ビニル基を有する化合物及びアリル基を有する化合物のそれぞれは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[環状エーテル基を有する化合物]
環状エーテル基(エポキシ基、オキセタン基等)を有する化合物としては、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、エポキシ化ポリブタジエン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられる。環状エーテル基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[光重合性官能基を有する化合物(A)の含有量]
(A)成分の含有量は、光硬化性立体造形用樹脂組成物の全量を基準として、0.5〜99.5質量%が好ましい。(A)成分の含有量が0.5質量%以上であると、充分に硬化し易くすることができる。(A)成分の含有量が99.5質量%以下であると、相対的に揺変剤(B)の含有量が多くなり、充分にゲル化することができる。これらの観点から、(A)成分の含有量は、1〜95質量%がより好ましく、2〜90質量%が更に好ましい。
(揺変剤(B))
揺変剤(B)(以下、「(B)成分」ということがある。)としては、オイルゲル化剤、無機フィラー等が挙げられる。
[オイルゲル化剤]
オイルゲル化剤としては、ヒドロキシ脂肪酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸)、水添ひまし油(水素添加ひまし油。例えば、ヒドロキシ脂肪酸を主成分とする水添ひまし油)、脂肪酸アミド(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸アミド)、n−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジブチルアミド、ジ−p−メチルベンジリデンソルビトールグルシトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール、1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、ビス(2−エチルヘキサノアト)ヒドロキシアルミニウム、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物、下記一般式(6)で表される化合物、下記一般式(7)で表される化合物、下記一般式(8)で表される化合物、下記式(9)で表される化合物(式(9)中のPhはフェニル基を示す。)、下記一般式(10)で表される化合物、下記式(11)で表される化合物、下記式(12)で表される化合物、及び、下記一般式(13)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。オイルゲル化剤としては、重合あまに油、酸化ポリエチレン等を用いることもできる。オイルゲル化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2016165862

[一般式(1)中、n1は3〜10の整数、n2は2〜6の整数、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Xは硫黄原子又は酸素原子である。]
Figure 2016165862

[一般式(2)中、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Yは結合手(単結合)又はベンゼン環(置換基を有していてもよいフェニレン基)である。]
Figure 2016165862

[一般式(3)中、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Yは結合手(単結合)又はベンゼン環(置換基を有していてもよいフェニレン基)である。]
Figure 2016165862

[一般式(4)中、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
Figure 2016165862
Figure 2016165862

[一般式(6)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
Figure 2016165862

[一般式(7)中、Rは、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
Figure 2016165862

[一般式(8)中、Rは、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
Figure 2016165862
Figure 2016165862

[一般式(10)中、R及びR10は、それぞれ独立に炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
Figure 2016165862
Figure 2016165862
Figure 2016165862

[一般式(13)中、R11は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基であり、R12及びR13は、それぞれ独立に炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。R12及びR13の前記飽和炭化水素基は、分子骨格中に少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1〜20の飽和炭化水素基であってもよい。]
[無機フィラー]
無機フィラーに含まれる粒子の構成材料としては、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩等が挙げられ、具体的には、シリカ、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、ワラストナイト等が挙げられる。無機フィラーは、シリカ粒子(シリカからなる粒子)を含んでいてもよい。無機フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分の含有量は、(A)成分、及び、後述する(D)成分の合計100質量部に対して、0.05〜30質量部が好ましい。(B)成分の含有量が0.05質量部以上であると、充分に組成物の弾性率を高めることができる。(B)成分の含有量が30質量部以下であると、相対的に(A)成分の含有量が多くなり、組成物の特性を容易に生かすことができる。これらの観点から、(B)成分の含有量は、0.1〜20質量部がより好ましく、0.2〜10質量部が更に好ましい。
(光重合開始剤(C))
本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、光重合開始剤(C)(以下、「(C)成分」ということがある。)を含有することが好ましい。これにより、(A)成分及び(B)成分を含む物理ゲル状物質を所定の形状に形成した後、(A)成分を三次元架橋することができ、熱に対する安定性を高めることができる。
(C)成分は、活性エネルギー線の照射により硬化反応が進むものである。ここで、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等が挙げられる。
(C)成分としては、特に制限はなく、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物等の、光ラジカル重合性を有する化合物が(A)成分として含まれている場合、光ラジカル重合開始剤として、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイル系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料を使用することができる。また、環状エーテル基を有する化合物等の、光カチオン重合性を有する化合物が(A)成分として含まれている場合、公知の光カチオン重合開始剤を使用することができる。(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、N,N'−テトラメチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラエチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジル、ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;β−(アクリジン−9−イル)(メタ)アクリル酸のエステル化合物、9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン等のα−アミノアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)などが挙げられる。
また、特に、光硬化性立体造形用樹脂組成物を着色させない重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)及びこれらを組み合わせたものが好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線を照射したときにルイス酸を放出するオニウム塩が好ましく用いられる。このようなオニウム塩の例としては、第VIIa族元素の芳香族スルホニウム塩、第VIa族元素の芳香族オニウム塩、第Va族元素の芳香族オニウム塩等を挙げることができる。具体的には、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロホウ酸トリフェニルフェナシルホスホニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジ4’−ヒドロキシエトキシフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロホウ酸ジフェニルヨードニウム等を挙げることができる。
本実施形態では、上記したような光カチオン重合開始剤のうちの1種又は2種以上を用いることができる。その中でも、本実施形態では、芳香族スルホニウム塩が好ましく用いられる。
(C)成分の含有量は、光硬化性立体造形用樹脂組成物の全量を基準として、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜7質量%がより好ましく、0.3〜5質量%が更に好ましい。(C)成分の含有量が0.1質量%以上であると、光重合を良好に開始することができる。(C)成分の含有量が10質量%以下であると、光照射後に得られた造形物の色相が黄味を帯びることが抑制され易い。
(可塑剤(D))
本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、可塑剤(D)(以下、「(D)成分」ということがある。)を更に含有してもよい。(D)成分は、立体造形性を損なわない範囲で、目的に応じて添加すればよい。(D)成分としては、(A)成分、(B)成分又は(C)成分に該当する化合物を除く。
(D)成分としては、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジウンデシルフタレート(DUP)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、流動パラフィン、有機溶媒等が挙げられる。
また、他の(D)成分としては、アクリル樹脂、1,4−構造単位を主とする液状ポリブタジエン、1,2−構造単位を主とする液状ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、水添ポリイソブテン等の液状ポリマーなどが挙げられ、これらは低硬化収縮という他の目的で使用される。
上記のアクリル樹脂は、アルキル基の炭素数が4〜18のアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有するアクリル樹脂が好ましい。また、アルキル基の炭素数が4〜18のアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位、及び、スチレン又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有するアクリル樹脂がより好ましい。
1,4−構造単位を主とする液状ポリブタジエンとしては、例えば、ポリオイル(日本ゼオン株式会社製)が商業的に入手可能である。1,2−構造単位を主とする液状ポリブタジエンとしては、例えば、G−1000(日本曹達株式会社製)が商業的に入手可能である。水添ポリイソブテンとしては、例えば、パールリーム(日油株式会社製、商品名)が商業的に入手可能である。
前記液状ポリマーの数平均分子量(Mn)は、500〜5000が好ましく、800〜4000がより好ましく、1000〜3000が更に好ましい。
(D)成分を用いる場合、(D)成分の含有量は、造形性や弾性率を調節する観点から、光硬化性立体造形用樹脂組成物の全量を基準として、1〜99質量%が好ましく、2〜98質量%がより好ましい。
(その他の添加剤)
本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、必要に応じて上記の(A)〜(D)成分とは別に、各種添加剤を含有してもよい。含有可能な各種添加剤としては、連鎖移動剤、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定化剤、シランカップリング剤、界面活性剤、レベリング剤、硬化促進剤、触媒、消泡材、光増感剤、タッキファイヤ等が挙げられる。
重合禁止剤は、光硬化性立体造形用樹脂組成物の保存安定性を高める目的で添加され、パラメトキシフェノール等が挙げられる。
酸化防止剤は、光硬化性立体造形用樹脂組成物を熱や光により硬化させて得られた硬化物の耐熱着色性を高める目的で添加され、トリフェニルホスファイト等のリン系;フェノール系;チオール系の酸化防止剤などが挙げられる。
光安定化剤は、紫外線等の光に対しての耐性を高める目的で添加され、HALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等が挙げられる。
シランカップリング剤は、ガラス等への密着性を高めるために添加され、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等が挙げられる。
界面活性剤は、剥離性を制御するために添加され、ポリジメチルシロキサン系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
レベリング剤は、光硬化性立体造形用樹脂組成物の平坦性を付与するために添加され、シリコン系、フッ素系等の、表面張力を下げる化合物などが挙げられる。
これらの添加剤は、単独で用いてもよく、また、複数の添加剤を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの添加剤を用いる場合の含有量は、通常、上記(A)〜(D)成分の合計含有量と比較すると小さく、一般に光硬化性立体造形用樹脂組成物の全量を基準として0.01〜5質量%程度である。
<光硬化性立体造形用樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物の製造方法に特に制限はなく、例えば、上記(A)成分〜(C)成分、並びに、必要に応じて(D)成分及び上記添加剤を混合し撹拌することにより製造することができる。
また、各成分のいずれかが固状である場合、混合撹拌前、混合撹拌中、及び、混合撹拌後の少なくとも1つのタイミングで固状成分を加温して溶解させることが好ましい。これにより、各成分が良好に分散し、その後、冷却することにより、光硬化性立体造形用樹脂組成物が得られる。
この加温温度に特に制限はないが、(B)成分として12−ヒドロキシステアリン酸を用いる場合には、60〜150℃に加温することが好ましい。加温温度が60℃以上であると、12−ヒドロキシステアリン酸を充分に溶解することができる。加温温度が150℃以下であると、高い透明性を維持できる。
撹拌時間としては、特に制限はないが、10〜600秒が好ましく、20〜300秒がより好ましい。
<立体造形物及びその製造方法>
本実施形態の立体造形物は、本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物又はその硬化物を含む。本実施形態の立体造形物の製造方法(造形方法)は、本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物を用いて立体造形物を造形する工程を備える。
本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物を用いて立体造形を行うにあたっては、従来既知の光学的立体造形方法及び装置のいずれもが使用できる。また、本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物の特長を生かして、塗布装置としてディスペンサやスリットコーター等を活用し、適宜露光をしながら造形物を得ることが可能である。
露光は、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等を使用し、実施することができる。それらの中でも、300〜400nmの波長を有する紫外線が光重合開始剤との相性が良く好ましい。光源としては、紫外線レーザー、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、LEED、紫外線蛍光灯、ブラックライト等を使用することができる。
本実施形態の光硬化性立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形の分野に幅広く用いることができ、代表的な応用分野としては、何ら限定されるものはでないが、設計途中で外観デザインを検証するための形状確認モデル、部品の機能性をチェックするモデル、鋳型を製作するためのモデル、金型を製作するためのモデル等を挙げることができる。例えば、精密部品、電気部品、電子部品、補聴器や義肢等の医療用具、歯列矯正具、細胞培養足場材、航空機用部品、意匠性の高い服飾、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器、等々に有効に用いることができる。
以下、実施例により本発明を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<樹脂組成物の調製>
(実施例1)
スクリュー管内に、光重合性官能基を有する化合物(A)としてUC−102(株式会社クラレ製、数平均分子量17000)20g及びFA−512AS(日立化成株式会社製)5g、可塑剤(D)としてG−1000(両末端水酸基ポリブタジエン、日本曹達株式会社製、数平均分子量1100)75g、揺変剤(B)としてHSA(12−ヒドロキシステアリン酸、和光純薬株式会社製)1g、光重合開始剤(C)としてi−184(イルガキュア184、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製)1gを加えた。その後、スクリュー管に対し、60℃の水温に調節した超音波洗浄機(日本エマソン株式会社製2510型)で音波をかけることでHSAを溶解し、光硬化性立体造形用樹脂組成物を得た。
(実施例2)
スクリュー管内に、光重合性官能基を有する化合物(A)としてUC−102(株式会社クラレ製)20g及びFA−512AS(日立化成株式会社製)5g、可塑剤(D)としてG−1000(日本曹達株式会社製)75g、揺変剤(B)としてHSA(和光純薬株式会社製)3g、光重合開始剤(C)としてi−184(BASF社製)1gを加えた。その後、スクリュー管に対し、60℃の水温に調節した超音波洗浄機(日本エマソン株式会社製2510型)で音波をかけることでHSAを溶解し、光硬化性立体造形用樹脂組成物を得た。
(実施例3)
スクリュー管内に、光重合性官能基を有する化合物(A)としてUC−102(株式会社クラレ製)20g及びFA−512AS(日立化成株式会社製)5g、可塑剤(D)としてG−1000(日本曹達株式会社製)75g、揺変剤(B)としてDisparlon 308(水添ひまし油系、楠本化成株式会社製)2g、光重合開始剤(C)としてi−184(BASF社製)1gを加えた。その後、スクリュー管に対し、60℃の水温に調節した超音波洗浄機(日本エマソン株式会社製2510型)で音波をかけることでDisparlon 308を溶解し、光硬化性立体造形用樹脂組成物を得た。
(実施例4)
スクリュー管内に、光重合性官能基を有する化合物(A)としてUC−102(株式会社クラレ製)15g、FA−512AS(日立化成株式会社製)5g及びエポライト−4000(水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、共栄社化学株式会社製)5g、可塑剤(D)としてG−1000(日本曹達株式会社製)75g、揺変剤(B)としてHSA(和光純薬株式会社製)1g、光重合開始剤(C)としてi−184(BASF社製)1g及びCPI−101(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、サンアプロ株式会社製)4gを加えた。その後、スクリュー管に対し、60℃の水温に調節した超音波洗浄機(日本エマソン株式会社製2510型)で音波をかけることでHSAを溶解し、光硬化性立体造形用樹脂組成物を得た。
(比較例1)
スクリュー管内に、光重合性官能基を有する化合物(A)としてUC−102(株式会社クラレ製)20g及びFA−512AS(日立化成株式会社製)5g、可塑剤(D)としてG−1000(日本曹達株式会社製)75g、光重合開始剤(C)としてi−184(BASF社製)1gを加えた。その後、スクリュー管に対し、60℃の水温に調節した超音波洗浄機(日本エマソン株式会社製2510型)で音波をかけて均一な溶液とし、樹脂組成物を得た。
(比較例2)
スクリュー管内に、光重合性官能基を有する化合物(A)としてUC−102(株式会社クラレ製)15g、FA−512AS(日立化成株式会社製)5g及びエポライト−4000(共栄社化学株式会社製)5g、可塑剤(D)としてG−1000(日本曹達株式会社製)75g、光重合開始剤(C)としてi−184(BASF社製)1g及びCPI−101(サンアプロ株式会社製)4gを加えた。その後、スクリュー管に対し、60℃の水温に調節した超音波洗浄機(日本エマソン株式会社製2510型)で音波をかけて均一な溶液とし、樹脂組成物を得た。
<評価>
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を以下の試験方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(1)粘度の比率の評価
樹脂組成物のサンプル量は0.2mlとした。粘度計としては、予めペルチェ素子の設定温度を25℃に調整した装置(東機産業株式会社製TPE−100H)を使用した。コーンとして3°×R9.7、ローターコード06を使用した。ずり速度(シェア速度)をそれぞれ1s−1及び10s−1に設定したときの粘度(25℃)を測定し、粘度の比率(1s−1の粘度/10s−1の粘度)を求めた。
(2)立体造形性の評価
10cm角のガラス板の上に、10cm角であり且つ中心に1cm角の穴の開いた厚さ1mmのシリコーンシートを敷き、鋳型を作製した。次いで、70℃のオーブン中で20分加温した光硬化性立体造形用樹脂組成物をシリンジで吸い取り、直ちに、その鋳型の中に流しこんだ。そして、室温(25℃)の状態で鋳型を10分間放置した後、シリコーンシートをはずした。この際、組成物が染み出さなかった場合を「○」と評価し、染み出した場合を「×」と評価した。
(3)造形物の安定性の評価
上記(2)で染み出さなかった造形物をガラス板ごと、ハイパワーメタルハライドランプを装着した露光機で照度10mW/cm、露光量1500mJ/cmの条件で露光した。次いで、この造形物を80℃のオーブンに入れた。この際、溶解せず形が変化しない場合を「○」と評価し、溶解した場合を「×」と評価した。
Figure 2016165862
実施例の光硬化性立体造形用樹脂組成物に関して、ずり速度の変化で粘度が変わり、鋳型から染み出さず、良好な造形性が示された。比較例の組成物に関して、ずり速度を変えたときに粘度が変わらず、また、鋳型から直ぐに染み出してしまい、造形物を作製することができなかった。

Claims (10)

  1. 25℃においてずり速度10s−1における粘度Aに対するずり速度1s−1における粘度Bの比率B/Aが1.1以上である、光硬化性立体造形用樹脂組成物。
  2. 光重合性官能基を有する化合物、揺変剤、及び、光重合開始剤を含有する、請求項1に記載の光硬化性立体造形用樹脂組成物。
  3. 前記揺変剤が、オイルゲル化剤及び無機フィラーからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の光硬化性立体造形用樹脂組成物。
  4. 前記オイルゲル化剤が、ヒドロキシ脂肪酸、水添ひまし油、脂肪酸アミド、n−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジブチルアミド、ジ−p−メチルベンジリデンソルビトールグルシトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール、1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、ビス(2−エチルヘキサノアト)ヒドロキシアルミニウム、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物、下記一般式(6)で表される化合物、下記一般式(7)で表される化合物、下記一般式(8)で表される化合物、下記式(9)で表される化合物、下記一般式(10)で表される化合物、下記式(11)で表される化合物、下記式(12)で表される化合物、及び、下記一般式(13)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の光硬化性立体造形用樹脂組成物。
    Figure 2016165862

    [一般式(1)中、n1は3〜10の整数、n2は2〜6の整数、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Xは硫黄原子又は酸素原子である。]
    Figure 2016165862

    [一般式(2)中、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Yは結合手又はベンゼン環である。]
    Figure 2016165862

    [一般式(3)中、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Yは結合手又はベンゼン環である。]
    Figure 2016165862

    [一般式(4)中、Rは炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
    Figure 2016165862

    Figure 2016165862

    [一般式(6)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
    Figure 2016165862

    [一般式(7)中、Rは、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
    Figure 2016165862

    [一般式(8)中、Rは、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
    Figure 2016165862

    Figure 2016165862

    [一般式(10)中、R及びR10は、それぞれ独立に炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
    Figure 2016165862

    Figure 2016165862

    Figure 2016165862

    [一般式(13)中、R11は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基であり、R12及びR13は、それぞれ独立に炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。]
  5. 前記無機フィラーがシリカを含む、請求項3又は4に記載の光硬化性立体造形用樹脂組成物。
  6. 前記光重合性官能基を有する化合物が、光ラジカル重合性を有する化合物、及び、光カチオン重合性を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の光硬化性立体造形用樹脂組成物。
  7. 前記光重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤、及び、光カチオン重合開始剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の光硬化性立体造形用樹脂組成物。
  8. 可塑剤を更に含有する、請求項2〜7のいずれか一項に記載の光硬化性立体造形用樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性立体造形用樹脂組成物を用いて立体造形物を造形する工程を備える、立体造形物の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性立体造形用樹脂組成物又はその硬化物を含む、立体造形物。
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