JP7024455B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

この明細書による開示は、噴孔から燃料を噴射する燃料噴射装置に関する。
従来、燃料噴射装置の一種として、例えば特許文献1には、以下に説明するボデー、ニードル、制御弁体及びフローティングプレートを備えた構成が開示されている。ボデーは、制御室及び噴孔を有するとともに、制御室へ燃料を流入させる流入流路、及び制御室から燃料を流出させる流出流路を有する。ニードルは、制御室の燃料圧力(背圧)の変動により作動して噴孔を開閉する。そして、制御弁体が流出流路を開弁すると、制御室の燃料が流出流路から流出し、これにより背圧が低下してニードルが開弁作動する。一方、制御弁体が流出流路を閉弁すると、上記流出が停止するとともに流入流路から制御室へ燃料が流入し、これにより背圧が上昇してニードルが閉弁作動する。
フローティングプレートは、制御室から流出流路へ流出する燃料の流量を規定するアウトオリフィスを有するとともに、制御室に収容されて流入流路を開閉するように、ボデーの内壁面に摺動しながら往復作動する。背圧低下時のフローティングプレートは、流入流路を閉じるように作動するので、背圧低下が迅速になり、ニードルの開弁応答性が向上する。背圧上昇時のフローティングプレートは、流入流路を開けるように作動するので、背圧上昇が迅速になり、ニードルの閉弁応答性が向上する。
特表2005-529264号公報
さて、フローティングプレートが流入流路を開けるように作動している状態では、制御室は、フローティングプレートにより、ニードル側の領域(ニードル側領域)と、流入流路側の領域(反ニードル側領域)とに区画されることになる。そして、フローティングプレートが流入流路を開けた直後では、反ニードル側領域の方がニードル側領域よりも圧力が低く、反ニードル側領域からニードル側領域へ迅速に燃料を移動させることで、背圧上昇の迅速化が促進される。
そして、フローティングプレートがボデーの内壁面に摺動しながら往復作動することは先述した通りであり、その摺動の隙間を通じて、上述した反ニードル側領域からニードル側領域へ燃料が移動する。したがって、上記隙間を大きく設定しておけば、反ニードル側領域からニードル側領域への燃料移動を促進でき、背圧上昇の迅速化を促進できる。
しかしながら、上述のごとく隙間を大きく設定すると、その背反として、フローティングプレートが摺動する際のガタツキが大きくなる。つまり、往復作動する際のフローティングプレートの傾きが大きくなるので、往復作動の速度が不安定になる。そのため、背圧上昇速度のばらつきが大きくなり、ニードルの閉弁応答性のばらつきが大きくなるので、燃料噴射装置の噴射特性が不安定になる。
本開示は、噴射特性が不安定になることを抑制しつつ、ニードルの閉弁応答性向上を図った燃料噴射装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、
燃料を噴射する噴孔(39)が形成され、燃料が充填される制御室(35)、制御室に燃料を流入させる流入流路(32)、及び制御室から燃料を流出させる流出流路(33)が内部に設けられる弁ボデー(20,220,320)と、
制御室の燃料圧力の変動によって、噴孔を開閉するように作動するニードル(50)と、
流出流路を開閉することで、制御室の燃料圧力を制御する制御弁体(42)と、
制御室から流出流路へ流出する燃料の流量を規定するアウトオリフィス(62)を有するとともに、制御室に収容されて流入流路を開閉するように往復作動する開閉部材(60)と、を備え、
開閉部材は、
往復作動の方向に対して交差する方向に開閉部材が移動することを規制するよう、弁ボデーに接触して摺動する摺動面(67)と、
開閉部材が流入流路を開けた状態で、制御室のうち開閉部材に対して流入流路の側の領域とニードルの側の領域とを連通させる貫通孔(63)と、
流入流路を開ける側への作動量を規制するよう、弁ボデーに当接するストッパ面(66)と、
を有しており、
貫通孔は、ストッパ面が弁ボデーに当接した状態でも、弁ボデーにより閉塞されることなく連通を維持させ、
弁ボデーは、ストッパ面に当接するボデー側ストッパ面(73)、及びボデー側ストッパ面から凹む形状のボデー側凹部(73a)を有し、
貫通孔の下流側開口(63b)は、ボデー側凹部に対向する燃料噴射装置とされている。
この態様では、弁ボデーに接触して摺動する摺動面を開閉部材が有することで、開閉部材の移動規制を実現させている。その上で、制御室のうち開閉部材に対して流入流路の側の領域(第一領域)とニードルの側の領域(第二領域)とを連通させる貫通孔を開閉部材が有する。そのため、摺動面と弁ボデーとの摺動隙間により両領域が連通されることに加えて貫通孔によっても連通されることになる。よって、開閉部材が流入流路を開けるように移動した直後において、貫通孔を通じて第一領域から第二領域へ燃料が移動することになるので、摺動隙間を大きくすることなく、第一領域から第二領域への燃料移動を促進できる。よって、流入流路を開けた直後に制御室の燃料圧力(背圧)を迅速に上昇させることを、摺動隙間を大きくすることなく促進できる。故に、摺動隙間を大きくすることによる開閉部材のガタツキ増大を招くことなく背圧上昇の迅速化を促進できるので、噴射特性が不安定になることを抑制しつつ、ニードルの閉弁応答性向上を図ることができる。
尚、上記括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
第一実施形態による燃料噴射装置を含む燃料供給システムの全体構成を示す図である。 燃料噴射装置の縦断面図である。 制御室の近傍の構成を示す縦断面図である。 可動プレートが流路形成部材に着座している状態を示す縦断面図である。 可動プレートが流路形成部材から離座している状態を示す縦断面図である。 可動プレート単体を示す縦断面図である。 可動プレートを流路形成部材の側から見た、図6のVII矢視図である。 可動プレートをサポートスプリングの側から見た、図6のVIII矢視図である。 第二実施形態における可動プレートを、流路形成部材の側から見た平面図である。 第三実施形態において、可動プレートが流路形成部材に着座している状態を示す縦断面図である。 第三実施形態において、可動プレートが流路形成部材から離座している状態を示す縦断面図である。 第四実施形態における制御室の近傍の構成を示す縦断面図である。 第五実施形態における制御室の近傍の構成を示す縦断面図である。
以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第一実施形態)
本開示の第一実施形態による燃料噴射装置10は、図1に示す燃料供給システム1に用いられている。燃料噴射装置10は、内燃機関であるディーゼルエンジン(以下、「エンジン2」)の各燃焼室2bに、燃料タンク4に貯留された燃料を供給する。燃料供給システム1は、フィードポンプ5、高圧燃料ポンプ6、コモンレール3、及び制御装置9等を、燃料噴射装置10と共に備えている。
フィードポンプ5は、例えばトロコイド式の電動ポンプである。フィードポンプ5は、高圧燃料ポンプ6に内蔵されている。フィードポンプ5は、燃料タンク4に貯留された燃料としての軽油を、高圧燃料ポンプ6に圧送する。フィードポンプ5は、高圧燃料ポンプ6と別体で、例えば燃料タンク4の内部に配置される構成であってもよい。
高圧燃料ポンプ6は、例えばプランジャ式のポンプである。高圧燃料ポンプ6は、エンジン2の出力軸によって駆動される。高圧燃料ポンプ6は、燃料配管6aによってコモンレール3と接続されている。高圧燃料ポンプ6は、フィードポンプ5により供給された燃料をさらに昇圧し、高圧燃料としてコモンレール3に供給する。
コモンレール3は、高圧燃料配管3bを介して複数の燃料噴射装置10と接続されている。コモンレール3は、余剰燃料配管8aを介して燃料タンク4と接続されている。コモンレール3は、高圧燃料ポンプ6から供給される高圧燃料を一時的に蓄え、圧力を保持したまま各燃料噴射装置10に分配する。コモンレール3には、減圧弁8が備えられている。減圧弁8は、コモンレール3の燃料圧力が目標圧力よりも高い場合に、余剰になった燃料を余剰燃料配管8aへ排出する。
制御装置9は、各燃料噴射装置10と電気的に接続された電子制御ユニットである。制御装置9は、エンジン2の稼動状態に応じて、各燃料噴射装置10による燃料の噴射を制御する。制御装置9は、マイクロコンピュータ又はマイクロコントローラを主体に構成された演算回路と、各燃料噴射装置10の電磁制御弁40(図2参照)に駆動電流を印加する駆動回路等とによって構成されている。
燃料噴射装置10は、燃焼室2bを形成するヘッド部材2aの挿入孔に挿入された状態で、ヘッド部材2aに取り付けられている。燃料噴射装置10は、高圧燃料配管3bを介して供給される高圧燃料を、噴孔39から燃焼室2bへ向けて直接的に噴射する。燃料噴射装置10は、噴孔39からの燃料の噴射を制御する弁構造を備えている。燃料噴射装置10は、高圧燃料の一部を、噴孔39の開閉に使用する。燃料噴射装置10に供給された燃料の一部は、戻り配管8b及び余剰燃料配管8aを通じて燃料タンク4へ戻される。
燃料噴射装置10は、図2及び図3に示すように、弁ボデー20、ノズルニードル50、電磁制御弁40、可動プレート60及びサポートスプリング68を備えている。
弁ボデー20は、インジェクタボデー部材21、流路形成部材22、ノズルボデー部材23、リテーニングナット24、及びシリンダ70等の複数の金属部材を組み合わせることによって構成されている。弁ボデー20の内部には、高圧燃料通路31、流入流路32、流出流路33、制御室35、及び低圧室38が設けられている。加えて弁ボデー20には、制御シート面部26、開口壁27、及び噴孔39が形成されている。
高圧燃料通路31は、インジェクタボデー部材21、流路形成部材22、及びノズルボデー部材23に亘って形成されている。高圧燃料通路31は、高圧燃料配管3b(図1参照)と接続されている。高圧燃料通路31は、高圧燃料配管3bを通じてコモンレール3(図1参照)から供給される高圧燃料を、噴孔39へ向けて流通させる。
流入流路32は、流路形成部材22にて高圧燃料通路31から分岐されており、高圧燃料通路31と制御室35とを連通させている。流入流路32は、高圧燃料通路31を流通する高圧燃料の一部を制御室35に流入させる。流入流路32の制御室35側の端部は、開口壁27に流入開口32aとして開口している。流入開口32aは、真円状の開口であってもよく、円環状の開口であってもよい。
流出流路33は、流路形成部材22にて流入流路32と隣接する位置に設けられた燃料流路である。流出流路33は、制御室35と低圧室38とを連通させている。流出流路33は、制御室35から燃料を流出させる。流出流路33の制御室35側の端部は、開口壁27に流出開口33aとして開口している。流出流路33の低圧室38側の端部は、制御シート面部26の中央に排出開口33bとして開口している。流出開口33a及び排出開口33bは、それぞれ真円状の開口である。
制御室35は、流路形成部材22、シリンダ70、及びノズルニードル50等によって区画された空間である。制御室35は、ノズルニードル50を挟んで噴孔39の反対側に位置している。制御室35には、流入流路32を通じて供給された燃料が充填されている。制御室35の燃料圧力は、流入流路32を通じた燃料の流入と、流出流路33を通じた燃料の流出とにより、変動する。
低圧室38は、インジェクタボデー部材21に設けられた収容空間である。低圧室38には、電磁制御弁40が収容されている。低圧室38は、制御室35よりも低圧な燃料によって満たされている。低圧室38は、戻り配管8b(図1参照)と接続されており、流出流路33を通じて排出された余剰燃料を戻り配管8bに流通させる。
制御シート面部26は、流路形成部材22においてインジェクタボデー部材21と接する上端面に設けられている。制御シート面部26は、排出開口33bの周囲を囲む平坦な円環状に形成されている。
開口壁27は、流路形成部材22においてノズルボデー部材23と接する下端面の中央に設けられている。開口壁27は、制御室35を区画する区画壁の一部であって、制御室35の天井面を形成している。開口壁27には、上述した流入開口32a及び流出開口33aが設けられている。開口壁27には、可動プレート60が離着座する。可動プレート60のうち流路形成部材22に対向する面は、開口壁27に密着して流入開口32aを閉塞するシール面60sとして機能する(図4~図7参照)。
噴孔39は、ヘッド部材2a(図1参照)へ挿入される弁ボデー20において、挿入方向の先端部に形成されている。噴孔39は、燃焼室2b(図1参照)に露出している。弁ボデー20の先端部は、円錐状又は半球状に形成されている。噴孔39は、弁ボデー20の内側から外側に向けて放射状に複数設けられている。各噴孔39は、燃焼室2bへ向けて高圧燃料を噴射する。高圧燃料は、噴孔39を通過することによって霧化され、空気と混合容易な状態となる。
ノズルニードル50は、金属材料により円柱形に形成されている。ノズルニードル50は、制御室35の燃料圧力の変動により、軸方向に沿って弁ボデー20に対し相対変位し、噴孔39の開閉を行う。ノズルニードル50の噴孔39側の先端は円錐形に形成されている。ノズルニードル50は、ノズルボデー部材23に収容されており、高圧燃料通路31を通じて供給された高圧燃料から噴孔39を開く方向(以下、「開弁方向」)の力を受ける。ノズルニードル50は、ニードルスプリング53の付勢力により、シリンダ70に対して噴孔39を閉じる方向(以下、「閉弁方向」)へ付勢されている。ノズルニードル50には、ニードル受圧面51及びニードル摺動面52が形成されている。
ニードル受圧面51は、制御室35に臨むノズルニードル50の軸方向の端面に形成されている。ニードル受圧面51は、制御室35に充填された高圧燃料から、閉弁方向の力を受ける。ニードル摺動面52は、ノズルニードル50の外周壁面のうちで、シリンダ70に内嵌された部分である。ニードル摺動面52は、シリンダ70によって摺動可能に支持されている。ニードル摺動面52は、シリンダ70との間で油密を形成している。
電磁制御弁40は、低圧室38に収容され、排出開口33bを開閉する機構である。電磁制御弁40は、制御弁体42及び駆動部41を有している。制御弁体42は、排出開口33bを開閉する弁体である。駆動部41は、駆動電流に基づいて制御弁体42を変位させることにより、排出開口33bを開閉する。制御装置9からの電力供給が無い場合、駆動部41は、制御弁体42を制御シート面部26に着座させて、制御室35から低圧室38への燃料流出を中断させる。一方、制御装置9からの電力供給が有る場合、駆動部41は、制御弁体42を制御シート面部26から離座させ、制御室35から低圧室38への燃料流出を可能にする。
可動プレート60は、金属材料によって円盤状に形成されている。可動プレート60は、制御室35に配置されている。可動プレート60は、ノズルニードル50の軸方向に沿って往復変位する。可動プレート60には、連通孔61及び貫通孔63が形成されている(図4参照)。連通孔61は、可動プレート60の径方向の中心に設けられており、軸方向に沿って可動プレート60を貫通している。制御弁体42によって排出開口33bが開弁状態とされると、制御室35の燃料は、連通孔61及び流出流路33を順に流通し、低圧室38に排出される。連通孔61には、アウトオリフィス62が設けられている。
アウトオリフィス62は、開口壁27に着座した可動プレート60が流入開口32aを閉じた状態にて、連通孔61を流れる燃料流量を規定し、所定流量の燃料を制御室35から流出流路33へと流出させる。連通孔61の内径は、連通孔61においてアウトオリフィス62を除く区間の内径よりも小さくされている。アウトオリフィス62は、可動プレート60の軸方向の上下における燃料の圧力差を拡大させる。圧力差によって流出開口33aに吸引された可動プレート60は、開口壁27に押し付けられて、流入開口32aを閉じることができる。可動プレート60は、三方弁として機能し、流入開口32aから制御室35への常時の高圧燃料の流入を防ぐ静リークレス構造を実現させている。
流入流路32には、インオリフィス32bが設けられている。インオリフィス32bは、可動プレート60が開口壁27から離座して流入開口32aを開けた状態にて、流入流路32を流れる燃料流量を規定し、所定流量の燃料を流入流路32から制御室35へと流入させる。可動プレート60が開口壁27に着座して流入開口32aを閉じた状態、つまり、シール面60sが開口壁27に密着して流入開口32aを閉塞するようにシールしている状態では、流入流路32から制御室35への燃料の流入が停止される。
サポートスプリング68は、金属材料よりなる線材を円筒螺旋状に巻回してなる弾性部材である。サポートスプリング68の外径は、可動プレート60の外径よりも小さくされている。サポートスプリング68は、可動プレート60と実質的に同軸となる配置にて、軸方向に押し縮められた状態で、制御室35に配置されている。サポートスプリング68は、可動プレート60を開口壁27へ向けて付勢しており、開口壁27と当接する初期位置に可動プレート60を戻す機能を有している。
シリンダ70は、全体として略円柱状に形成された制御室35を、軸方向において二つの空間に分割している。具体的には、シリンダ70には、制御室35を背圧室部36と収容室部37とに区分けする分割壁部75が形成されている。
背圧室部36は、軸方向に分割された制御室35の二つの空間のうちで、ニードル受圧面51に接する一方の空間であり、円柱状に区画されている。背圧室部36は、ノズルニードル50に燃料圧力を作用させる。
収容室部37は、軸方向に分割された制御室35の二つの空間のうちで、開口壁27と接する他方の空間であり、第一周壁面71及び第二周壁面72を有する二段円柱状に形成されている。収容室部37は、背圧室部36と実質的に同軸となるように形成されている。収容室部37は、可動プレート60及びサポートスプリング68を収容している。収容室部37に充填される燃料の容量は、ノズルニードル50が噴孔39を閉じた状態にて背圧室部36に充填される燃料の容量よりも小さい。換言すれば、可動プレート60及びサポートスプリング68の各体積を収容室部37の容積から差し引いた値は、噴孔39の閉弁時における背圧室部36の容積よりも小さい。
二段円柱状である収容室部37の第一周壁面71及び第二周壁面72は、実質的に同軸となるように形成されている。第一周壁面71は、可動プレート60を収容する円柱状部分を形成し、可動プレート60の外周に位置する摺動面67に当接することで、可動プレート60が径方向に移動することを規制する。換言すると、摺動面67は、可動プレート60が往復作動する方向に対して交差する方向(径方向)に可動プレート60が移動することを規制するよう、シリンダ70の第一周壁面71に接触して摺動する。第二周壁面72は、サポートスプリング68を収容する円柱状部分を形成し、サポートスプリング68の外周に当接することで、サポートスプリング68が径方向に移動することを規制する。
分割壁部75は、シリンダ70の軸方向と直交する横断面に沿った平板状に形成されている。分割壁部75によって制御室35は、上述の背圧室部36と収容室部37とに分割されている。分割壁部75には、支持面部76及び絞り孔77が設けられている。
支持面部76は、分割壁部75の両側のうちで、収容室部37に臨む上側面に設けられている。支持面部76には、サポートスプリング68の一端が載置されている。支持面部76は、サポートスプリング68を挟んで可動プレート60と軸方向に対向する位置にて、サポートスプリング68を支持している。支持面部76によって支持されることで、サポートスプリング68は、ノズルニードル50の変位から物理的に遮断される。
絞り孔77は、分割壁部75を厚さ方向に貫通する円筒孔状の貫通開口である。絞り孔77は、分割壁部75の中央であって、支持面部76の内周側に設けられている。絞り孔77は、背圧室部36及び収容室部37と同軸となる配置で形成されている。絞り孔77は、収容室部37及び背圧室部36を互いに連通させている。絞り孔77の内径は、アウトオリフィス62の内径よりも大きく、且つ、背圧室部36の内径よりも小さい。
次に、可動プレート60の構造について、図4~図8を用いてさらに詳しく説明する。
可動プレート60に形成されている貫通孔63は、可動プレート60が開口壁27から離座して流入開口32aを開けた状態で、第一収容室部37aと第二収容室部37bとを連通させる(図5参照)。第一収容室部37aは、収容室部37のうち可動プレート60に対して流入開口32aの側の領域(第一領域)に相当する。第二収容室部37bは、収容室部37のうち可動プレート60に対してノズルニードル50の側の領域(第二領域)に相当する。
摺動面67と第一周壁面71との摺動隙間、及び連通孔61についても、上述した貫通孔63と同様にして、可動プレート60が開口壁27から離座した状態で第一収容室部37aと第二収容室部37bとを連通させている。したがって、制御弁体42を閉弁させることに伴い可動プレート60が離座すると、インオリフィス32bを通じて流入流路32から第一収容室部37aへ高圧燃料が流入する。そして、第一収容室部37aへ流入した高圧燃料は、貫通孔63、連通孔61および摺動隙間を通じて第二収容室部37bへ流れる。
図6及び図8に示すように、可動プレート60のうちシール面60sの反対側の面には、シリンダ70に当接するストッパ面66が形成されている。シリンダ70のうちストッパ面66が当接する部分をボデー側ストッパ面73と呼ぶ。可動プレート60が開口壁27から離座して移動すると、ストッパ面66がボデー側ストッパ面73に当接する。これにより、可動プレート60の流入流路32から遠ざかる方向への移動量が規制される。ストッパ面66は、可動プレート60の中心線周りに環状に延びる平坦形状である。
貫通孔63は複数(図7の例では2個)設けられており、複数の貫通孔63が、可動プレート60の中心線周りに等間隔に配置されている。貫通孔63は軸方向に直線状に延びる形状であり、軸方向に対して垂直な断面の形状は円形である(図7及び図8参照)。
可動プレート60は、ストッパ面66から、軸方向において流入開口32aの側へ凹む形状の凹部64を有する。凹部64は、環状のストッパ面66に対して環状内側に位置し、可動プレート60の中心線を中心とした円形である。凹部64の底面は、サポートスプリング68の他端を支持する支持面65として機能する。第二周壁面72は、サポートスプリング68の外周面に当接することで、サポートスプリング68の径方向への移動を規制する。
貫通孔63の両端に形成される開口のうち、流入開口32aの側に位置する開口を上流側開口63aと呼び、流入開口32aの側に位置する開口を下流側開口63bと呼ぶ。上流側開口63aは、流入開口32aに対して可動プレート60の径方向外側に位置する。下流側開口63bは凹部64に位置する。詳細には、下流側開口63bは凹部64内のうち径方向において最も外側に位置する(図6および図8参照)。換言すれば、軸方向から見て、貫通孔63の外周面が凹部64の内周面に接するように貫通孔63は配置されている。
貫通孔63は、ストッパ面66がボデー側ストッパ面73に当接した状態でも、シリンダ70により閉塞されることなく、第一収容室部37aと第二収容室部37bとの連通を維持させる(図5参照)。なお、ストッパ面66は環状に延びる平坦形状であるため、ストッパ面66がボデー側ストッパ面73に当接した状態では、摺動隙間は第二収容室部37bとの連通が遮断される。つまり、ストッパ面66が当接した状態では、連通孔61及び貫通孔63により第一収容室部37aと第二収容室部37bとが連通することになる。
アウトオリフィス62の通路断面積と、複数の貫通孔63の通路断面積との総和が、インオリフィス32bの通路断面積より大きくなるように、貫通孔63の通路断面積は設定されている。なお、「通路断面積」とは、燃料の流れ方向に対して垂直な方向の面積のことである。
さて、ストッパ面66がボデー側ストッパ面73に当接した状態、つまり連通孔61及び貫通孔63により第一収容室部37aと第二収容室部37bとが連通する状態では、高圧燃料は以下のように流通する。すなわち、高圧燃料は、インオリフィス32bを流通して絞られた後、第一収容室部37aへ流入し、その後、貫通孔63及びアウトオリフィス62を並行して流通して絞られた後、第二収容室部37bへ流入する。そして、アウトオリフィス62と貫通孔63の通路断面積の総和は、インオリフィス32bの通路断面積より大きい。そのため、貫通孔63及びアウトオリフィス62で絞られる度合はインオリフィス32bで絞られる度合より小さくなる。
貫通孔63の下流側開口63bの外周長に、ストッパ面66が当接した状態における下流側開口63bとシリンダ70との離間距離、つまり凹部64の軸方向長さを乗算して得られる面積を隙間面積と呼ぶ。貫通孔63を軸方向においてストッパ面66の側に延長させた仮想の円柱を仮想円柱と呼ぶ。隙間面積は、仮想円柱の外周面の面積に相当する。そして、アウトオリフィス62の通路断面積と、複数の貫通孔63の隙間面積との総和が、インオリフィス32bの通路断面積より大きくなるように、凹部64の軸方向長さは設定されている。
さて、ストッパ面66がボデー側ストッパ面73に当接した状態では、高圧燃料は、インオリフィス32bを流通して絞られた後、第一収容室部37aへ流入する。その後、貫通孔63及びアウトオリフィス62を並行して流通して絞られた後、第二収容室部37bへ流入する。そして、アウトオリフィス62の通路断面積と隙間面積の総和は、インオリフィス32bの通路断面積より大きい。そのため、下流側開口63bから流出した直後の高圧燃料が凹部64内で絞られる度合に、アウトオリフィス62で絞られる度合を加算した度合は、インオリフィス32bで絞られる度合より小さくなる。
また、貫通孔63の通路断面積が上述した隙間面積より小さくなるように、貫通孔63の通路断面積は設定されている。このことは、可動プレート60が離座を開始してからボデー側ストッパ面73に当接するまでの期間において、下流側開口63bから流出した直後の高圧燃料が凹部64内で絞られる度合が、貫通孔63で絞られる度合より常時小さくなることを意味する。
ここまで説明した燃料噴射装置10では、制御装置9から入力される駆動電流によって燃料の噴射が指示されると、電磁制御弁40の開弁により、アウトオリフィス62及び流出流路33を通じた制御室35から低圧室38への燃料流出が開始される。これによる制御室35の圧力降下により、ノズルニードル50は、噴孔近傍の高圧燃料に押し上げられ、開弁方向へ向けて変位し、噴孔39からの燃料噴射を開始させる。また、燃料噴射時には可動プレート60が上流側開口63aを閉鎖することで、流入流路32から流出流路33へ高圧燃料が漏れ出ることが回避されている。
一方、制御装置9の制御による電磁制御弁40の閉弁によれば、可動プレート60を開口壁27に押し付けていた油圧力が低下する。その結果、可動プレート60は、流入開口32aの燃料圧力によって開口壁27から離座し、制御室35への高圧燃料の流入を可能にする。これによる制御室35の圧力回復によれば、ノズルニードル50は、閉弁方向に押し下げられて、噴孔39からの燃料流出を停止させる。
以上の第一実施形態では、可動プレート60は、摺動面67及び貫通孔63を有する。摺動面67は、往復作動の方向(軸方向)に対して交差する方向(径方向)に可動プレート60が移動することを規制するよう、シリンダ70(弁ボデー20)に接触して摺動する。貫通孔63は、流入開口32aが開いた状態で、第一収容室部37aと第二収容室部37bとを連通させる。これによれば、第一収容室部37aと第二収容室部37bとが摺動面67により連通されることに加えて、貫通孔63によっても連通される。
これによれば、可動プレート60が開口壁27から離座した直後において、シリンダ70の第一周壁面71と摺動面67との摺動隙間、アウトオリフィス62及び貫通孔63を通じて、第一収容室部37aの燃料が第二収容室部37bへ移動することになる。よって、貫通孔63が備えられている分だけ上記移動が促進されるので、流入開口32aを開けた直後に制御室35の燃料圧力(背圧)を迅速に上昇(回復)させることを、摺動隙間を大きくすることなく促進できる。故に、摺動隙間を大きくすることによる可動プレート60のガタツキ増大を招くことなく背圧上昇の迅速化を促進できるので、噴射特性が不安定になることを抑制しつつ、ノズルニードル50の閉弁応答性向上を図ることができる。
加えて第一実施形態では、可動プレート60は、流入開口32aを開ける側(離座する側)への作動量を規制するよう、シリンダ70(弁ボデー20)のボデー側ストッパ面73に当接するストッパ面66を有する。そして貫通孔63は、ストッパ面66がシリンダ70に当接した状態でも、シリンダ70により閉塞されることなく、第一収容室部37aと第二収容室部37bとの連通状態を維持させる。そのため、可動プレート60が離座した直後に、貫通孔63を通じて背圧回復を促進させること加えて、その後、可動プレート60がシリンダ70に当接した以降についても、貫通孔63を通じて背圧回復を促進させることができる。よって、貫通孔63による背圧回復促進の効果が、当接以降についても発揮される。
加えて第一実施形態では、可動プレート60は、ストッパ面66から凹む形状の凹部64を有し、貫通孔63の下流側開口63bは凹部64に位置する。ここで、可動プレート60は、摺動隙間の分だけ径方向に移動可能な状態、つまりガタツキを有する状態で配置されている。そのため、ボデー側ストッパ面73を形成する範囲は、少なくとも上記ガタツキの分だけストッパ面66よりも広い範囲に設定することが望ましい。その場合、本実施形態に反して凹部64を有していないと、ストッパ面66が当接した状態でボデー側ストッパ面73が下流側開口63bを閉塞する懸念が生じる。この懸念に対し本実施形態では、下流側開口63bを凹部64に位置させるので、貫通孔63がシリンダ70で閉塞されないようにすることを、簡素な構成で実現できる。
加えて第一実施形態では、アウトオリフィス62の通路断面積と複数の貫通孔63の通路断面積の総和は、インオリフィス32bの通路断面積より大きい。そのため、複数の貫通孔63及びアウトオリフィス62で高圧燃料が絞られる度合は、インオリフィス32bで絞られる度合より小さくなる。よって、背圧室部36へ流入する流量は、貫通孔63及びアウトオリフィス62で絞られることよりも、インオリフィス32bで絞られることの方が大きく影響を受けるようになる。故に、背圧室部36への流入流量を所定量にするべくインオリフィス32bの絞り度合を設定した場合に、上記流入流量が上記所定量より少なくなることを抑制できる。つまり、インオリフィス32bによる絞り度合で上記流入流量をコントロールすることを高精度に実現できる。
加えて第一実施形態では、貫通孔63の下流側開口63bの外周長に、弁ボデー20にストッパ面66が当接した状態における下流側開口63bと弁ボデー20との離間距離を乗算して得られる面積を隙間面積とする。そして、アウトオリフィス62の通路断面積と複数の上記隙間面積の総和は、インオリフィス32bの通路断面積より大きい。そのため、下流側開口63bから流出した直後の高圧燃料が凹部64内で絞られる度合に、アウトオリフィス62で絞られる度合を加えた絞り度合は、インオリフィス32bで絞られる度合より小さくなる。故に、背圧室部36への流入流量を所定量にするべくインオリフィス32bの絞り度合を設定した場合に、その流入流量が所定量より少なくなることを抑制できる。つまり、インオリフィス32bによる絞り度合で上記流入流量をコントロールすることを、高精度に実現できる。
加えて第一実施形態では、複数の貫通孔63の通路断面積は、弁ボデー20にストッパ面66が当接した状態での上記隙間面積(当接時隙間面積)より小さい。ということは、ストッパ面66が当接していない状態での隙間面積(非当接時隙間面積)に対しても、複数の貫通孔63の通路断面積は小さいことになる。よって本実施形態では、可動プレート60が離座を開始してからボデー側ストッパ面73に当接するまでの期間において、下流側開口63bから流出した直後の高圧燃料が凹部64内で絞られる度合が、貫通孔63で絞られる度合より常時小さくなる。
故に、可動プレート60の往復動位置に拘らず、凹部64内の隙間での絞り度合よりも、貫通孔63での絞り度合の方が大きくなるので、可動プレート60の往復動位置に拘らず可動プレート60の往復動速度を所定速度に保つことが促進される。よって、ノズルニードル50の閉弁応答性を安定させることができ、駆動部41への通電時間に対する噴孔39からの噴射量の関係(噴射特性)が不安定になることを抑制できる。
加えて第一実施形態では、ストッパ面66は環状に延びる形状である。ここで、本実施形態に反して貫通孔63が形成されていない場合には、ストッパ面66がボデー側ストッパ面73に当接すると、摺動隙間を通じた収容室部37への燃料流入が遮断されるので、背圧回復が著しく遅くなってしまう。そこで、径方向に延びる溝をストッパ面66に形成することで上記遮断を回避させようとすると、ストッパ面66の当接面積が小さくなるので、ストッパ面66にかかる面圧が高くなり、可動プレート60が損傷しやすくなる。これに対し本実施形態では、貫通孔63を備えることにより背圧回復を迅速にできるので、上記溝の必要性を低減できる。故に、貫通孔63を備えることに起因して、ストッパ面66は、上記溝を廃止した形状、つまり環状に延びる形状に形成されている。よって、ストッパ面66にかかる面圧を高くすることなく、背圧回復の迅速化を図ることができる。
加えて第一実施形態では、複数の貫通孔63が、可動プレート60の中心線周りに等間隔に配置されている。これによれば、第一収容室部37aから第二収容室部37bへ移動する燃料の偏り、つまり第二収容室部37bの径方向における燃料の圧力分布の偏りを低減できる。よって、可動プレート60が安定して移動することを促進でき、噴射特性が不安定になることを抑制できる。
加えて第一実施形態では、分割壁部75により制御室35が収容室部37及び背圧室部36に区分けされたうえで、収容室部37及び背圧室部36は、絞り孔77によって互いに連通されている。故に、制御室35の容積を増加させても、分割壁部75が無い場合と比較して、背圧室部36の容積は、小さく抑制され得る。以上によれば、制御室35からの燃料流出に伴う背圧室部36の燃料圧力の脈動周期が短くなるため、脈動の早期の収束が可能になる。故に、ノズルニードル50の開弁方向への変位速度が波打つように変動する事態は、防がれ得る。その結果、電磁制御弁40の開弁時間に対する燃料噴射量のばらつきが低減され得る。
尚、第一実施形態では、ノズルニードル50が「ニードル」に相当し、可動プレート60が「開閉部材」に相当する。
(第二実施形態)
上記第一実施形態では、可動プレート60に形成される貫通孔63が2つである。これに対し本実施形態では、図9に示すように、可動プレート60Aに形成される貫通孔63が4つである。本実施形態でも、上記第一実施形態と同様にして、複数の貫通孔63が、可動プレート60Aの中心線周りに等間隔に配置されている。
以上により、本実施形態によれば、複数の貫通孔63が等間隔に配置されているので、第一収容室部37aから第二収容室部37bへ移動する燃料の偏り、つまり第二収容室部37bの径方向における燃料の圧力分布の偏りを低減できる。また、貫通孔63が4つであるため、2つの場合に比べて、圧力分布の偏り低減を促進できる。
(第三実施形態)
上記第一実施形態では、ストッパ面66の当接時に貫通孔63の下流側開口63bを閉塞させないようにするべく、可動プレート60Aに凹部64が形成され、その凹部64に下流側開口63bが配置されている。また、シリンダ70のうち可動プレート60の凹部64及びストッパ面66に対向する面は、ボデー側ストッパ面73を含む平坦な面に形成されている。
これに対し本実施形態では、図10及び図11に示すように、シリンダ70A(弁ボデー)は、環状のボデー側ストッパ面73と、ボデー側ストッパ面73の環状内側に位置してボデー側ストッパ面73から凹む形状のボデー側凹部73aとを有する。また、可動プレート60Bのうちボデー側凹部73a及びボデー側ストッパ面73に対向する面は、ストッパ面66を含む平坦な面に形成されている。
そして、貫通孔63の下流側開口63bは、ボデー側凹部73aに対向する位置に設けられている。これにより、ストッパ面66がボデー側ストッパ面73に当接している状態であっても、貫通孔63の下流側開口63bが70Aにより閉塞されることを回避でき、第一収容室部37aと第二収容室部37bとの連通を維持できる。
(第四実施形態)
図12に示す本実施形態は、第一実施形態の変形例である。本実施形態の弁ボデー220は、第一実施形態のノズルボデー部材23(図3参照)に相当するノズルボデー部材223に加えて、バルブ収容部材123を有している。さらに、本実施形態のシリンダ270は、背圧室部36及び収容室部37のうちで、背圧室部36のみを区画する構成とされている。
バルブ収容部材123は、金属材料によって円盤状に形成されている。バルブ収容部材123は、流路形成部材22とノズルボデー部材223との間に、これらの部材と実質的に同軸に配置されている。バルブ収容部材123には、縦孔131aが形成されている。縦孔131aは、軸方向に沿ってバルブ収容部材123を貫通している。縦孔131aは、高圧燃料通路31の一部であって、ノズルボデー部材223へ向けて高圧燃料を流通させる。
バルブ収容部材123には、収容室部37が設けられている。バルブ収容部材123には、収容室部37を区画する区画壁として、第一周壁面71、第二周壁面72、及び分割壁部75が形成されている。バルブ収容部材123には、可動プレート60及びサポートスプリング68が収容されている。サポートスプリング68は、分割壁部75の支持面部76と可動プレート60との間に、圧縮された状態で配置されている。
シリンダ270は、ノズルボデー部材223に収容されている。シリンダ270は、バルブ収容部材123の下端面123aに、ニードルスプリング53の付勢力によって押し当てられている。背圧室部36は、バルブ収容部材123の分割壁部75に設けられた絞り孔77を通じて、収容室部37と連通している。
以上により、本実施形態に係る燃料噴射装置10は、背圧室部36がシリンダ270によって区画され、収容室部37がバルブ収容部材123によって区画された構造である。このような構造の燃料噴射装置10において、本実施形態でも上記第一実施形態と同様の貫通孔63及びストッパ面66が可動プレート60に形成されている。
(第五実施形態)
図13に示す本実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。本実施形態の弁ボデー320には、第一実施形態のシリンダ70(図3参照)に替えて、外シリンダ370及び内シリンダ170が設けられている。
外シリンダ370は、金属材料により、制御室35の全体の周囲を囲む円筒状に形成されている。外シリンダ370の内周壁には、第一周壁面71及び第三周壁面79に加えて、摺動壁部74及び規制部78が形成されている。摺動壁部74は、外シリンダ370の軸方向にて、第一周壁面71と第三周壁面79の間に形成されており、第一周壁面71と軸方向に連続している。摺動壁部74の内径は、第一周壁面71の内径と実質的に同一であり、内シリンダ170の外径とも実質的に同一である。規制部78は、摺動壁部74と第三周壁面79との間に形成された径方向の段差である。規制部78は、内シリンダ170との当接により、ノズルニードル50に近接する方向への内シリンダ170の変位を規制する。
内シリンダ170は、金属材料により、有底の円筒状に形成されている。内シリンダ170は、可動プレート60と軸方向に間隔を開けて並ぶ配置にて、外シリンダ370の内側に収容されている。内シリンダ170は、摺動壁部74に内嵌されており、外シリンダ370の軸方向に沿って、摺動壁部74に対し摺動可能である。内シリンダ170には、第二周壁面72及び分割壁部75が設けられている。
分割壁部75は、内シリンダ170の底壁171によって形成されている。底壁171において収容室部37に臨む内側面が支持面部76となる。支持面部76には、サポートスプリング68が載置されている。支持面部76に作用するサポートスプリング68の復元力により、内シリンダ170は、底壁171を規制部78に当接させた初期位置に戻される。また、底壁171の中央に形成された貫通開口が、絞り孔77となっている。
以上により、本実施形態に係る燃料噴射装置10は、収容室部37と背圧室部36とに制御室35を区分けした構造である。このような構造の燃料噴射装置10において、本実施形態でも、上記第一実施形態と同様の貫通孔63及びストッパ面66が可動プレート60に形成されている。
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記各実施形態では、貫通孔63が複数形成されているが、貫通孔63は1つであってもよい。また、上記各実施形態では、複数の貫通孔63が等間隔に形成されているが、等間隔でなくてもよい。また、上記各実施形態では、可動プレート60は、シリンダ70に当接するストッパ面66を有しているが、ストッパ面66を廃止してもよい。
上記各実施形態では、貫通孔63は、ストッパ面66がシリンダ70に当接した状態でも、シリンダ70により閉塞されることなく、第一収容室部37aと第二収容室部37bとの連通状態を維持させるように配置されている。これに対し、上記当接の状態でシリンダ70に閉塞される位置に貫通孔63が形成されていてもよい。特にこの場合には、凹部64及びボデー側凹部73aは廃止されていてもよい。
上記各実施形態では、貫通孔63の上流側開口63aは、流入開口32aに対して可動プレート60の径方向外側に位置しているが、流入開口32aに対して径方向内側に位置していてもよい。
上記第一実施形態では、サポートスプリングを支持する分割壁部のような支持部材が、シリンダと一体で設けられていた。また上記第四,第五実施形態では、サポートスプリングを支持する支持部材が、バルブ収容部材及び内シリンダとして、各シリンダとは別体で設けられていた。以上のように、制御室の区分けする構造を実現するための各部材の構成は、適宜変更されてよい。
上記第一実施形態では、軸方向から見て、貫通孔63の外周面が凹部64の内周面に接するように貫通孔63は配置されている。これに対し、貫通孔63の外周面と凹部64の内周面とが離間する位置に貫通孔63が形成されていてもよい。
上記実施形態では、可動プレートを付勢するサポートスプリングとして、コイルスプリングが用いられていた。しかし、可動プレートを付勢する付勢部材は、例えば板バネ等であってもよい。
上記実施形態では、電磁制御弁が制御室からの燃料流出を制御していた。しかし、燃料噴射装置は、電磁制御弁に替えて、ピエゾアクチュエータを有する制御弁を備えていてもよい。また上記実施形態では、燃料として軽油を噴射する燃料噴射装置に本開示の制御室の分割構造を適用した例を説明した。しかし、上記の制御室の分割構造は、軽油以外の燃料を噴射する燃料噴射装置にも適用可能である。
10 燃料噴射装置、20,220,320 弁ボデー、 32 流入流路、 320 弁ボデー、 32b インオリフィス、 33 流出流路、 35 制御室、 39 噴孔、 42 制御弁体、 50 ニードル、 60 開閉部材、 62 アウトオリフィス、 63 貫通孔、 63b 下流側開口、 64 凹部、 66 ストッパ面、 67 摺動面、 73 ボデー側ストッパ面、 73a ボデー側凹部。

Claims (6)

  1. 燃料を噴射する噴孔(39)が形成され、燃料が充填される制御室(35)、前記制御室に燃料を流入させる流入流路(32)、及び前記制御室から燃料を流出させる流出流路(33)が内部に設けられる弁ボデー(20,220,320)と、
    前記制御室の燃料圧力の変動によって、前記噴孔を開閉するように作動するニードル(50)と、
    前記流出流路を開閉することで、前記制御室の燃料圧力を制御する制御弁体(42)と、
    前記制御室から前記流出流路へ流出する燃料の流量を規定するアウトオリフィス(62)を有するとともに、前記制御室に収容されて前記流入流路を開閉するように往復作動する開閉部材(60)と、
    を備え、
    前記開閉部材は、
    前記往復作動の方向に対して交差する方向に前記開閉部材が移動することを規制するよう、前記弁ボデーに接触して摺動する摺動面(67)と、
    前記開閉部材が前記流入流路を開けた状態で、前記制御室のうち前記開閉部材に対して前記流入流路の側の領域と前記ニードルの側の領域とを連通させる貫通孔(63)と、
    前記流入流路を開ける側への作動量を規制するよう、前記弁ボデーに当接するストッパ面(66)と、
    を有しており、
    前記貫通孔は、前記ストッパ面が前記弁ボデーに当接した状態でも、前記弁ボデーにより閉塞されることなく前記連通を維持させ、
    前記弁ボデーは、前記ストッパ面に当接するボデー側ストッパ面(73)、及び前記ボデー側ストッパ面から凹む形状のボデー側凹部(73a)を有し、
    前記貫通孔の下流側開口(63b)は、前記ボデー側凹部に対向する燃料噴射装置。
  2. 前記弁ボデーは、前記流入流路から前記制御室へ流入する燃料の流量を規定するインオリフィス(32b)を有し、
    前記アウトオリフィスの通路断面積と前記貫通孔の通路断面積の総和は、前記インオリフィスの通路断面積より大きい請求項に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記弁ボデーは、前記流入流路から前記制御室へ流入する燃料の流量を規定するインオリフィス(32b)を有し、
    前記貫通孔の下流側開口(63b)の外周長に、前記弁ボデーに前記ストッパ面が当接した状態における前記下流側開口と前記弁ボデーとの離間距離を乗算して得られる面積を隙間面積とし、
    前記アウトオリフィスの通路断面積と前記隙間面積の総和は、前記インオリフィスの通路断面積より大きい請求項1又は2に記載の燃料噴射装置。
  4. 前記弁ボデーは、前記流入流路から前記制御室へ流入する燃料の流量を規定するインオリフィス(32b)を有し、
    前記貫通孔の下流側開口(63b)の外周長に、前記弁ボデーに前記ストッパ面が当接した状態における前記下流側開口と前記弁ボデーとの離間距離を乗算して得られる面積を隙間面積とし、
    前記貫通孔の通路断面積は、前記隙間面積より小さい請求項のいずれか1つに記載の燃料噴射装置。
  5. 前記ストッパ面は、環状に延びる形状である請求項のいずれか1つに記載の燃料噴射装置。
  6. 複数の前記貫通孔が、前記開閉部材の中心線周りに等間隔に配置されている請求項1~のいずれか1つに記載の燃料噴射装置。
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