JP7023967B2 - 構造体および反射層の形成方法 - Google Patents
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Description
これに対して、反射構造体の反射軸を不均一にした構成、および、反射構造体に反射軸を基板と垂直では無い方向に連続的に変化させる構成等では、反射構造体は、拡散反射性を示す。このような拡散反射性を示す反射構造体は、スクリーンおよび加飾等の用途に利用が可能である。
このコレステリック液晶フィルムは、コレステリック液晶相における螺旋軸方向が、膜厚方向に一様に平行ではない状態でコレステリック配向が固定化されており、かつ、フィルムの正反射除去反射率(SCE)と、正反射込みの反射率(SCI)との比『(SCE/SCI)×100』で定義される拡散率が15%以上の、コレステリック液晶フィルムである。
その反面、反射軸を不均一化した構成では、干渉現象によって反射される波長以外の波長領域においても、強い散乱が生じてしまう。そのため、例えば、透明スクリーンのような用途では、全ての波長領域において不透明度が高くなる問題が生じる。
コレステリック液晶相を固定してなる反射層では、断面において、コレステリック液晶相に由来する明部が成す線と暗部が成す線とが、縞模様状に観察される。コレステリック液晶相を固定してなる反射層は、或る条件において、この明部が成す線および暗部が成す線が波状構造となる(周期的な凹凸構造となる)。
このような、コレステリック液晶相からなり、断面における明部が成す線および暗部が成す線が波状構造を有する反射層は、干渉現象によって反射される波長以外の波長領域における散乱が少なく、不透明度が高くなりにくいメリットが有る。
[1] 基板と、コレステリック液晶相を固定してなる反射層と、を有する構造体であって、
反射層は、走査型電子顕微鏡による厚さ方向の断面の観察において、コレステリック液晶相に由来する明部が成す線および暗部が成す線が、波状構造を有しており、または、基板の表面に対して傾斜しており、かつ、
明部が成す線および暗部が成す線の少なくとも一部が、不連続であることを特徴とする構造体。
[2] 暗部が成す線が不連続である部分が、反射層の断面1μm2当たり0.05箇所以上である、[1]に記載の構造体。
[3] 明部が成す線および暗部が成す線が不連続である部分に、コレステリック液晶相の配向欠陥を含む、[1]または[2]に記載の構造体。
[4] 明部が成す線および暗部が成す線が不連続である部分に、粒子が存在する、[1]~[3]のいずれかに記載の構造体。
[5] 明部が成す線および暗部が成す線が、波状構造を有しており、波状構造の波の周期が0.3~10μmである、[1]~[4]のいずれかに記載の構造体。
[6] 基板の表面に、コレステリック液晶相を固定してなる反射層であって、厚さ方向の断面における走査型電子顕微鏡による観察において、コレステリック液晶相に由来する明部が成す線および暗部が成す線が、波状構造を有しており、または、基板の表面に対して傾斜しており、かつ、明部が成す線および暗部が成す線の少なくとも一部が不連続である、反射層を形成するに際し、
基板の表面に配向処理を施さずに、基板の表面に、液晶化合物およびキラル剤を含む組成物を塗布して、組成物を硬化する、反射層の形成方法。
[7] 基板の表面に、コレステリック液晶相を固定してなる反射層であって、厚さ方向の断面における走査型電子顕微鏡による観察において、コレステリック液晶相に由来する明部が成す線および暗部が成す線が、波状構造を有しており、または、基板の表面に対して傾斜しており、かつ、明部が成す線および暗部が成す線の少なくとも一部が不連続である、反射層を形成するに際し、
基板の表面に、液晶化合物、キラル剤および垂直配向剤を含む組成物を塗布して、組成物を硬化する、反射層の形成方法。
[8] 基板の表面に、コレステリック液晶相を固定してなる反射層であって、厚さ方向の断面における走査型電子顕微鏡による観察において、コレステリック液晶相に由来する明部が成す線および暗部が成す線が、波状構造を有しており、または、基板の表面に対して傾斜しており、かつ、明部が成す線および暗部が成す線の少なくとも一部が不連続である、反射層を形成するに際し、
基板の表面に、液晶化合物、キラル剤および粒子を含む組成物を塗布して、組成物を硬化する、反射層の形成方法。
[9] 基板の表面に組成物を塗布した後、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態にするために組成物の加熱を行い、その後、組成物を冷却または加熱する、[6]~[8]のいずれかに記載の反射層の形成方法。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を表す表記であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基の両方を表す表記であり、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルの両方を表す表記である。
また、これに制限されるものではないが、可視光のうち、420~490nmの波長領域の光は青色(B)光であり、495~570nmの波長領域の光は緑色(G)光であり、620~700nmの波長領域の光は赤色(R)光である。
さらに、本発明において、紫外線(紫外光)とは、400nm未満で200nm以上の波長領域の光であり、赤外線(赤外光)とは780nmを超え、1mm以下の波長領域の光であり、中でも、近赤外領域とは、780nmを超え、2000nm以下の波長領域の光である。
図1に示す構造体10は、基板12と、基板12の一方の表面に形成された、反射層14と、を有する。以下の説明では、構造体10の基板12側を『下』、反射層14側を『上』とも言う。
コレステリック液晶相を固定してなる層は、液晶分子が螺旋状に配向しており、反射に波長選択性を有し、さらに、所定の波長領域の右円偏光のみ、または、左円偏光のみを選択的に反射し、それ以外の光は、透過する。
また、本発明の構造体において、反射層が選択的に反射する波長領域、および、反射層の選択反射中心波長にも、制限はない。従って、反射層は、赤外線を選択的に反射する反射層でもよく、または、赤色光を選択的に反射する反射層でもよく、または、緑色光を選択的に反射する反射層でもよく、または、青色光を選択的に反射する反射層でもよく、または、紫外線を選択的に反射する反射層でもよい。
また、本発明の構造体は、層構成にも、制限はない。従って、本発明の構造体は、例えば、緑色光を選択的に反射する反射層を1層のみ有する構成でもよく、または、赤色光を選択的に反射する反射層と緑色光を選択的に反射する反射層とを有する2層構成でもよく、または、赤色光を選択的に反射する反射層と緑色光を選択的に反射する反射層と青色光を選択的に反射する反射層とを有する3層構成でもよく、または、赤外線を選択的に反射する反射層と赤色光を選択的に反射する反射層と緑色光を選択的に反射する反射層と青色光を選択的に反射する反射層とを有する4層構成でもよく、または、5層以上の反射層を有する構成でもよい。
従って、コレステリック液晶層である反射層14では、SEMで観察する断面において、コレステリック液晶相に由来して、厚さ方向に、明部16と暗部18とを交互に積層した縞模様が観察される。すなわち、コレステリック液晶相を固定した反射層14の断面では、明部16と暗部18とを交互に積層した層状構造が観察される。この縞模様の各線の法線が、コレステリック液晶相の螺旋軸方向となる。なお、上述した断面は、反射層14の厚さ方向の断面である。また、反射層14の厚さ方向とは、図1中における上下方向である。
ここで、図示例の構造体10は、基板12における反射層14の形成面は平坦面であるが、基板12に形成される反射層14の断面における明部16が成す線および暗部18が成す線は、周期的な波状構造を有する。周期的な波状構造とは、言い換えると、アンジュレーション構造であり、すなわち、凹凸構造である。
すなわち、図示例の構造体10において、反射層14は、コレステリック液晶構造を有し、螺旋軸と基板12の表面とのなす角が周期的に変化する構造を有する層である。言い換えれば、反射層14は、コレステリック液晶構造を有し、コレステリック液晶構造が、SEMで観測される断面図において、明部16と暗部18との縞模様を与え、明部16および暗部18の法線と基板12の表面とがなす角が、周期的に変化する層である。
また、図1では表現されていないが、配向欠陥部20以外にも、コレステリック液晶相の欠陥部(転位など)でも、反射層14の断面において明部16が成す線および暗部18が成す線が不連続となる。具体的には、コレステリック液晶相の欠陥部とは、反射層14の断面において明部16が成す線および暗部18が成す線が途中で途切れてしまっている部分である。
本発明においては、このように明部16が成す線および暗部18が成す線が不連続な部分を有する構成により、本発明の構造体を透明スクリーン等に用いた際における、ギラツキを抑制している。この点に関しては、後に詳述する。
明部16と暗部18の繰り返し2回分とは、すなわち、明部3つ、および、暗部2つ分である。また、螺旋1ピッチ分とは、言い換えれば、螺旋の巻き数1回分である。
先にも述べたが、図2に示すように、基板12上に形成されたコレステリック液晶層50aの断面では、通常、明部16と暗部18との縞模様が観察される。
一般的に、明部16および暗部18の縞模様(層状構造)は、図2に示すように、形成面である基板12の表面と平行となるように形成される。コレステリック液晶層は、螺旋軸に直交する平面で鏡面反射性を示す。従って、このような態様の場合、コレステリック液晶相を固定したコレステリック液晶層50aは、鏡面反射性を示す。すなわち、コレステリック液晶層50aの法線方向から光が入射される場合、法線方向に光は反射されるが、斜め方向には光は反射されにくく、拡散反射性に劣る(図2中の矢印参照)。
つまり、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層においては、明部16が成す線と暗部18が成す線とが波状構造を有することにより、拡散反射性の高いコレステリック液晶層が実現できる。また、拡散反射性は、明部16と暗部18との波状構造の凹凸が大きいほど、良好になる。
以下の説明では、コレステリック液晶層の断面における『明部が成す線および暗部が成す線の波状構造』を、単に『波状構造』とも言う。
前述のように、構造体が複数のコレステリック層を有する場合には、波状構造を有するコレステリック液晶層の上に、コレステリック液晶層を形成すると、下層のコレステリック液晶層の波状構造に追従して、上層のコレステリック液晶層も、同様の波状構造となる。すなわち、構造体が複数のコレステリック層を有する場合には、波状構造を有するコレステリック液晶層の上に、コレステリック液晶層を形成すると、下層のコレステリック液晶層の波状構造を踏襲して、上層のコレステリック液晶層も、同様の波状構造となる。
さらに、下層のコレステリック液晶層の波状構造の凹凸が大きいほど、上方のコレステリック液晶層の波状構造の凹凸も大きくなる。なお、コレステリック液晶層の波状構造の凹凸が大きいとは、波の高さが高いこと、および、波の周期が短いこと、を示す。
例えば、波の高さが、反射層14の厚さ方向の中央領域が最も高く、厚さ方向の上方(表面側)および基板12側に向かうにしたがって、漸次、低くなる構成でもよい。すなわち、反射層14の断面の波状構造の振幅は、厚さ方向の中央領域が最も大きく、表面側および基板12側に向かうにしたがって、漸次、小さくなる構成でもよい。
あるいは、図3に示すコレステリック液晶層50bの波状構造のように、厚さ方向の全域で均一な高さの波を有する構造であってもよい。
表面24に凹凸を有する反射層14は、反射層14の断面における波状構造の波の高さが、表面が平坦なコレステリック液晶層よりも大きい。そのため、表面24に凹凸構造を有する反射層14は、より高い拡散反射性が得られる。
具体的には、反射層14の表面24の凹凸は、断面の波状構造に対して、位相が、半分(略半分)ズレている。従って、基板12の面方向では、反射層14の断面の波状構造の凸部の位置が反射層14の表面24の凹凸の凹部の位置となり、反射層14の断面の波状構造の凹部の位置が反射層14の表面24の凹凸の凸部の位置となる。
なお、図1に示すように、周期C1は、反射層14の表面24に最も近い暗部18の波の頂点の間隔であり、周期C2は、反射層14の表面24における凸部の頂点の間隔である。
また、本発明において、周期C1と周期C2とが等しいとは、周期C1と周期C2とが完全に一致する場合のみならず、『[(C1-C2)/C1]×100』で算出される周期の差が±30%以下である場合も含む。
しかしながら、反射層14の表面24の凹凸の周期C2すなわち断面の波状構造の周期C1を狭くすると、凹凸の高さhは低くなる傾向にある。逆に、表面24の凹凸の高さhを高くすると、凹凸の周期C2すなわち波状構造の周期C1は狭くなる傾向にある。
この点を考慮すると、反射層14の波状構造の周期C1は、0.3~10μmが好ましく、1~6μmがより好ましい。なお、反射層14では、基本的に、表面24の凹凸の周期C2と、断面の波状構造の周期C1とが等しいのは、前述のとおりである。
また、反射層14の表面24の凹凸の高さhは、1~500nmが好ましく、5~300nmがより好ましい。
ただし、本発明は、これに限定はされず、反射層14は、断面において、連続的な波が一方向にのみ進行するように形成される波状構造を有するものでもよい。しかしながら、拡散反射性の点では、反射層14は、前述のように、あらゆる方向の断面で波状構造が認められるのが好ましい。
この点に関しては、反射層14の表面の凹凸に関しても、同様である。
本発明の構造体10は、このような構造を有することにより、良好な拡散反射性(非鏡面反射性)および透明性に加え、例えば透明スクリーンとして用いた場合にギラツキが生じることも抑制している。
しかしながら、反射軸を不均一化した構成では、干渉現象によって反射される波長以外の波長領域においても、強い散乱が生じてしまう。そのため、例えば、透明スクリーンのような用途では、全ての波長領域において不透明度が高くなる問題が生じる。
ところが、コレステリック液晶相に由来する明部が成す線がおよび暗部が成す線が、波状構造を有する反射層は、図3に示すように、面内方向に波状の周期的な構造を有するため、この周期構造に由来して、強い回折現象が生じてしまう。そのため、例えば、スクリーン等の用途では、投影像にギラツキが生じてしまうという問題がある。
そのため、本発明の構造体10は、例えば、透明スクリーン等の用途に用いた場合に、良好な拡散反射性および透明性を有すると共に、投影光のギラツキも抑制して、背景の視認性と投影光の良好な観察とを両立することができる。
なお、本発明において、反射層14の面内方向とは、すなわち、反射層14の主面の面方向と一致する方向であり、すなわち、厚さ方向を垂線とする方向である。主面とは、層(シート状物、板状物、フィルム)の最大面である。
以下の説明では、明部16が成す線が不連続である部分、および、暗部18が成す線が不連続である部分を『不連続点』とも言う。特に、暗部18が成す線が不連続である部分は『暗部18の不連続点』とも言う。
暗部18の不連続点の数を、反射層14の断面1μm2当たり0.05箇所以上とすることにより、例えば積層体10を透明スクリーン等に用いた場合のギラツキを好適に抑制できる。より好ましくは、反射層14の断面1μm2当たりの暗部18の不連続点を0.1箇所以上、さらに好ましく0.15箇所以上、特に好ましくは0.2箇所以上とすることにより、積層体10を透明スクリーン等に用いた場合のギラツキを、より好適に抑制できる。
暗部18の不連続点の数を反射層14の断面1μm2当たり1箇所以下とすることにより、高い透明性を維持できる等の点で好ましい。
具体的には、反射層14の断面1μm2当たりの暗部18の不連続点の数は、例えば、反射層14の断面をSEMで観察して、断面における100μm2の領域を任意に20箇所選択し、各領域で暗部18の不連続点の数を計数して、その平均を面積で除して、反射層14の断面1μm2当たりの暗部18の不連続点の数とすればよい。暗部18の不連続点とは、言い換えれば、暗部18が成す線が途切れた箇所である。
まず、液晶化合物、キラル剤および配向制御剤を含有する組成物(液晶組成物)を調製する。次いで、調製した組成物を基板12(反射層の形成面)に塗布する。さらに、塗布した組成物を加熱することによって、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向する。その後、組成物を冷却または加熱し、必要に応じて、紫外線照射等によって組成物を架橋することで、反射層14を形成する。
これに対して、基板12に配向処理を行わずに組成物を塗布して、反射層14を形成することにより、波状構造を有すると共に、不連続点を有する反射層14を形成できる。すなわち、基板12界面の水平配向制御を弱くすることで、波状構造を有し、かつ、不連続点を有する反射層14を形成できる。
コレステリック液晶相の形成では、組成物を塗布した当初は、液晶化合物の向きは様々であり、全体が配向欠陥のような状態になっている。そのため、基板12に配向処理を行わないことにより、液晶化合物がコレステリック液晶相に配向され難くなり、様々な方向を向くため、液晶化合物が適正にコレステリック液晶相に配向されない部分が生じ、この部分が配向欠陥となる。その結果、波状構造を有し、かつ、不連続点を有する反射層14を形成できる。
前述のように、反射層14を形成する場合には、基板12にラビング処理等を施して、基板12に配向規制力を付与する。ここで、反射層14を形成する組成物が垂直配向剤を有する場合には、組成物の空気界面において、液晶化合物が垂直方向に配向しようとするため、組成物内で歪みが生じ、この部分が配向欠陥になる。その結果、波状構造を有し、かつ、不連続点を有する反射層14を形成できる。
なお、反射層14を形成する組成物には、通常、配向制御剤として後述するような液晶化合物を水平配向させる水平配向剤を添加するが、この垂直配向剤を添加する方法では、水平配向剤を添加せずに、垂直配向剤のみを添加するのが好ましい。
前述のように、コレステリック液晶相の形成では、組成物を塗布した当初は、液晶化合物の向きは様々であり、全体が配向欠陥のような状態になっている。組成物中の液晶化合物は、ラビング等によって水平配向性を付与された基板12の近傍から、上方に向かって、徐々に、コレステリック液晶相の状態に配向される。ここで、粒子が存在する位置は、液晶化合物が適正に配向されず、配向欠陥の状態で安定化する。その結果、波状構造を有すると共に、不連続点を有する反射層14を形成できる。
反射層14における粒子の含有量にも、制限はないが、2質量%以下であるのが好ましい。
一例として、酸化物系ナノ粒子、ナノダイヤモンド、銀ナノ粒子、および、ポリマー系ナノ粒子等が例示される。酸化物系ナノ粒子としては、一例として、シリカゾル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化窒化チタンおよびITO(Indium Tin Oxide)等が例示される。ポリマー系ナノ粒子としては、一例として、ポリスチレン、アクリル樹脂およびメラミン等が例示される。
反射層14の厚さは、0.3~20μmが好ましく、0.5~10μmがより好ましい。反射層14の厚さを0.3μm以上とすることにより、十分な厚さの反射層14によって、良好な拡散反射性が得られる。また、反射層14の厚さを20μm以下とすることにより、反射層14が不要に厚くなることを防止して、例えば、後述する投影像表示用部材等を薄くできる。
なお、前述のように、基板12の上に複数の反射層を有する場合には、1層あたり厚さが、この範囲であるのが好ましい。また、表面24に凹凸を有さないコレステリック液晶層の厚さも、この範囲であるのが好ましい。
構造体10において、基板12は、反射層14(反射層14を形成する組成物)を支持するための板状物である。
基板12は、色味(色彩)を有さず、かつ、全光線透過率が70%以上であるのが好ましい。色彩を有さないとは、言い換えれば、無彩色である。すなわち、基板12は、無色透明であるのが好ましい。また、基板12の全光線透過率は、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
本発明において、全光線透過率は、日本電色工業社製のNDH5000またはSH-4000等の市販の測定装置を用いて、JIS K 7361に準拠して測定すればよい。
基板12には、UV(紫外線)吸収剤、マット剤微粒子、可塑剤、劣化防止剤、および、剥離剤などの各種添加剤が含まれていてもよい。さらに、基板12は、表面に配向層などの層を有してもよい。
なお、基板は、可視光領域で低複屈折性であるのが好ましい。例えば、基板の波長550nmにおける位相差は、50nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましい。
前述のように、図示例の構造体10においては、反射層14は波状構造を有するが、基板12の反射層14の形成面は、凹凸構造または波状構造を有するものではなく、平坦面である。
前述のように、反射層14は、コレステリック液晶相を固定してなる層であり、反射に波長選択性を有し、左円偏光または右円偏光を反射する。
ここで、反射層14が有する選択反射の中心波長λは、反射層14の法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長を意味する。上記式から分かるように、螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射の中心波長を調節できる。すなわち、n値とP値を調節して、例えば、青色光に対して右円偏光および左円偏光のいずれか一方を選択的に反射させるために、中心波長λを調節し、見かけ上の選択反射の中心波長が420nm以上500nm未満の波長領域となるようにすることができる。なお、見かけ上の選択反射の中心波長とは、実用の際の観察方向から測定した反射層14の円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長を意味する。実用の際とは、例えば、投影像表示用部材としての使用時である。
コレステリック液晶相のピッチは液晶化合物とともに用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、反射層14を形成する液晶化合物の種類または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
液晶化合物の種類は、特に制限されない。
一般的に、液晶化合物は、その形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(ディスコティック液晶化合物、円盤状液晶化合物)とに分類できる。さらに、棒状タイプおよび円盤状タイプには、それぞれ低分子タイプと高分子タイプとがある。高分子とは、一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできる。また、2種以上の液晶化合物を併用してもよい。
重合性基の数は特に制限されないが、2以上が好ましい。上限は特に制限されないが、8以下の場合が多い。
なかでも、反射層14の拡散反射性がより優れる点で、Aで表される置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基の数をmで割った数をmcとしたとき、mc>0.1を満たす液晶化合物が好ましく、0.4≦mc≦0.8を満たす液晶化合物であるのがより好ましい。
なお、上記mcは、以下の計算式で表される数である。
mc=(Aで表される置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基の数)÷m
Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基を示し、Aのうち少なくとも1つは置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基を示し、
Lは、単結合、または、-CH2O-、-OCH2-、-(CH2)2OC(=O)-、-C(=O)O(CH2)2-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-NHC(=O)-、-C(=O)NH-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=CH-C(=O)O-、および、-OC(=O)-CH=CH-からなる群から選択される連結基を示し、
mは3~12の整数を示し、
Sp1およびSp2は、それぞれ独立に、単結合、または、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、
Q1およびQ2は、それぞれ独立に、水素原子、または、以下の式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す;
なお、Aのうち少なくとも1つは置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基である。
m個のAは、互いに同一でも異なっていてもよい。
Q3およびQ4はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、もしくは-C(=O)O-で置換された基、または式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。
L11は単結合、-C(=O)O-、または、-O(C=O)-を示し、
L12は-C(=O)O-、-OC(=O)-、または、-CONR2-を示し、
R2は、水素原子、または、炭素数1から3のアルキル基を示し、
Z11およびZ12はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-NH-、-N(CH3)-、-S-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、または、-C(=O)NR12-を示し、
R12は水素原子または-Sp12-Q12を示し、
Sp11およびSp12はそれぞれ独立に、単結合、Q11で置換されていてもよい炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、または、Q11で置換されていてもよい炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において、いずれか1つ以上の-CH2-を-O-、-S-、-NH-、-N(Q11)-、または、-C(=O)-に置き換えて得られる連結基を示し、
Q11は水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つまたは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、もしくは-C(=O)O-で置換された基、または、式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、
Q12は水素原子または式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、
l11は0~2の整数を示し、
m11は1または2の整数を示し、
n11は1~3の整数を示し、
複数のR11、複数のL11、複数のL12、複数のl11、複数のZ11、複数のSp11、および、複数のQ11はそれぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。
また、式(I-11)で表される液晶化合物は、R11として、Q12が式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択される重合性基である-Z12-Sp12-Q12を少なくとも1つ含む。
また、式(I-11)で表される液晶化合物は、Z11が-C(=O)O-または-C(=O)NR12-、および、Q11が式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択される重合性基である-Z11-Sp11-Q11であるのが好ましい。また、式(I-11)で表される液晶化合物は、R11として、Z12が-C(=O)O-または-C(=O)NR12-、および、Q12が式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択される重合性基である-Z12-Sp12-Q12であるのが好ましい。
式(I-11)で表される液晶化合物の好適態様としては、L11が単結合、l11が1(ジシクロヘキシル基)、かつ、Q11が式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択される重合性基である化合物が挙げられる。
式(I-11)で表される液晶化合物の他の好適態様としては、m11が2、l11が0、かつ、2つのR11がいずれも-Z12-Sp12-Q12を表し、Q12が式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択される重合性基である化合物が挙げられる。
上記置換基はいずれもそれぞれ独立に、-CO-X21-Sp23-Q23、アルキル基、およびアルコキシ基からなる群から選択される1から4個の置換基であり、
m21は1または2の整数を示し、n21は0または1の整数を示し、
m21が2を示すときn21は0を示し、
m21が2を示すとき2つのZ21は同一であっても異なっていてもよく、
Z21およびZ22の少なくともいずれか一つは置換基を有していてもよいフェニレン基であり、
L21、L22、L23およびL24はそれぞれ独立に、単結合、または、-CH2O-、-OCH2-、-(CH2)2OC(=O)-、-C(=O)O(CH2)2-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-CH=CH-C(=O)O-、および-OC(=O)-CH=CH-からなる群から選択される連結基を示し、
X21は-O-、-S-、もしくは-N(Sp25-Q25)-を示すか、または、Q23およびSp23と共に環構造を形成する窒素原子を示し、
r21は1から4の整数を示し、
Sp21、Sp22、Sp23、およびSp25はそれぞれ独立に、単結合、または、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、
Q21およびQ22はそれぞれ独立に、式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、
Q23は水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、もしくは-C(=O)O-で置換された基、式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基、または、X21がQ23およびSp23と共に環構造を形成する窒素原子である場合において単結合を示し、
Q25は、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、もしくは-C(=O)O-で置換された基、または、式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、Sp25が単結合のとき、Q25は水素原子ではない。
n31およびn32はそれぞれ独立に、0~4の整数を示し、
X31は単結合、-O-、-S-、もしくは-N(Sp34-Q34)-を示すか、または、Q33およびSp33と共に環構造を形成している窒素原子を示し、
Z31は、置換基を有していてもよいフェニレン基を示し、
Z32は、置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基、または、置換基を有していてもよいフェニレン基を示し、
上記置換基はいずれもそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、および、-C(=O)-X31-Sp33-Q33からなる群から選択される1から4個の置換基であり、
m31は1または2の整数を示し、m32は0~2の整数を示し、
m31およびm32が2を示すとき2つのZ31、Z32は同一であっても異なっていてもよく、
L31およびL32はそれぞれ独立に、単結合、または、-CH2O-、-OCH2-、-(CH2)2OC(=O)-、-C(=O)O(CH2)2-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-CH=CH-C(=O)O-、および-OC(=O)-CH=CH-からなる群から選択される連結基を示し、
Sp31、Sp32、Sp33およびSp34はそれぞれ独立に、単結合、または、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、
Q31およびQ32はそれぞれ独立に、式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、
Q33およびQ34はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、もしくは-C(=O)O-で置換された基、または、式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、Q33はX31およびSp33と共に環構造を形成している場合において、単結合を示してもよく、Sp34が単結合のとき、Q34は水素原子ではない。
式(I-31)で表される液晶化合物として、特に好ましい化合物としては、Z32がフェニレン基である化合物およびm32が0である化合物が挙げられる。
式(II)において、黒丸は、式(I)の他の部分との結合位置を示す。式(II)で表される部分構造は式(I)中の下記式(III)で表される部分構造の一部として含まれていればよい。
Q3およびQ4はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-もしくは-C(=O)O-で置換された基、または、式(Q-1)~式(Q-5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。
L1、L2およびL3は単結合、または、-CH2O-、-OCH2-、-(CH2)2OC(=O)-、-C(=O)O(CH2)2-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-CH=CH-C(=O)O-、および、-OC(=O)-CH=CH-からなる群から選択される連結基を示し、
n1およびn2はそれぞれ独立に、0から9の整数を示し、かつn1+n2は9以下である。
Q1、Q2、Sp1、および、Sp2の定義は、上記式(I)中の各基の定義と同義である。X3、Sp3、Q3、R1、および、R2の定義は、上記式(II)中の各基の定義と同義である。
なかでも、上記式(I)で表される液晶化合物であって、0.4≦mc≦0.8を満たす液晶化合物と共に、式(I)で表される液晶化合物であって、0.1<mc<0.3を満たす液晶化合物を用いるのが好ましい。
式(IV)中、A1は、炭素数2~18のアルキレン基を表し、アルキレン基中の1つのCH2または隣接していない2つ以上のCH2は、-O-で置換されていてもよい;
Z1は、-C(=O)-、-O-C(=O)-または単結合を表し;
Z2は、-C(=O)-または-C(=O)-CH=CH-を表し;
R1は、水素原子またはメチル基を表し;
R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、置換基を有していても良いフェニル基、ビニル基、ホルミル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基、アセトキシ基、N-アセチルアミド基、アクリロイルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基またはマレイミド基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、アリルオキシカルバモイル基、アルキル基の炭素数が1~4であるN-アルキルオキシカルバモイル基、N-(2-メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基、N-(2-アクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基または以下の式(IV-2)で表される構造を表し;
L1、L2、L3およびL4は各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基、炭素数2~4のアシル基、ハロゲン原子または水素原子を表し、L1、L2、L3およびL4のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。
式(IV-2)中、Pはアクリル基、メタクリル基または水素原子を表し、Z5は単結合、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NR1-(R1は水素原子またはメチル基を表す)、-NR1C(=O)-、-C(=O)S-、または、-SC(=O)-を表し、Tは1,4-フェニレンを表し、Spは置換基を有していてもよい炭素数1~12の2価の脂肪族基を表し、脂肪族基中の1つのCH2または隣接していない2以上のCH2は、-O-、-S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-または-OCOO-で置換されていてもよい。)を表す。
式(V)
式(V)中、n1は3~6の整数を表し;
R11は水素原子またはメチル基を表し;
Z12は、-C(=O)-または-C(=O)-CH=CH-を表し;
R12は、水素原子、炭素数1~4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、または以下の式(IV-3)で表される構造を表す。
-Z51-T-Sp-P 式(IV-3)
式(IV-3)中、Pはアクリル基またはメタクリル基を表し;
Z51は、-C(=O)O-、または、-OC(=O)-を表し;Tは1,4-フェニレンを表し;
Spは置換基を有していてもよい炭素数2~6の2価の脂肪族基を表す。この脂肪族基中の1つのCH2または隣接していない2以上のCH2は、-O-、-OC(=O)-、-C(=O)O-または-OC(=O)O-で置換されていてもよい。
上記Z12は、-C(=O)-または-C(=O)-CH=CH-を表し、-C(=O)-を表すことが好ましい。
上記R12は、水素原子、炭素数1~4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、または上記式(IV-3)で表される基を表し、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、または上記式(IV-3)で表される基を表すことがより好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、または上記式(IV-3)で表される構造を表すことがさらに好ましい。
式(VI)中、Z3は、-C(=O)-または-CH=CH-C(=O)-を表し;
Z4は、-C(=O)-または-C(=O)-CH=CH-を表し;
R3およびR4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、置換基を有していても良い芳香環、シクロヘキシル基、ビニル基、ホルミル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基、アセトキシ基、アクリロイルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、マレイミド基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、アリルオキシカルバモイル基、アルキル基の炭素数が1~4であるN-アルキルオキシカルバモイル基、N-(2-メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基、N-(2-アクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基または以下の式(VI-2)で表される構造を表し;
L5、L6、L7およびL8は各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基、炭素数2~4のアシル基、ハロゲン原子または水素原子を表し、L5、L6、L7およびL8のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。
式(VI-2)中、Pはアクリル基、メタクリル基または水素原子を表し、Z5は-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NR1-(R1は水素原子またはメチル基を表す)、-NR1C(=O)-、-C(=O)S-、または-SC(=O)-を表し、Tは1,4-フェニレンを表し、Spは置換基を有していてもよい炭素数1~12の2価の脂肪族基を表す。ただし、この脂肪族基中の1つのCH2または隣接していない2以上のCH2は、-O-、-S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-または-OC(=O)O-で置換されていてもよい。
式(VII)
式(VII)中、Z13は、-C(=O)-または-C(=O)-CH=CH-を表し;
Z14は、-C(=O)-または-CH=CH-C(=O)-を表し;
R13およびR14は各々独立して、水素原子、炭素数1~4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、または上記式(IV-3)で表される構造を表す。
R13およびR14は各々独立して、水素原子、炭素数1~4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基または上記式(IV-3)で表される構造を表し、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、もしくは上記式(IV-3)で表される構造を表すことが好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基または上記式(IV-3)で表される構造を表すことがさらに好ましい。
式(VIII)中、A2およびA3は各々独立して、炭素数2~18のアルキレン基を表し、アルキレン基中の1つのCH2または隣接していない2つ以上のCH2は、-O-で置換されていてもよい;
Z5は、-C(=O)-、-OC(=O)-または単結合を表し;
Z6は、-C(=O)-、-C(=O)O-または単結合を表し;
R5およびR6は各々独立して、水素原子またはメチル基を表し;
L9、L10、L11およびL12は各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基、炭素数2~4のアシル基、ハロゲン原子または水素原子を表し、L9、L10、L11およびL12のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。
式(IX)
式(IX)中、n2およびn3は各々独立して、3~6の整数を表し;
R15およびR16は各々独立して、水素原子またはメチル基を表す。
式(IX)中、R15およびR16は各々独立して、水素原子またはメチル基を表し、上記R15およびR16が水素原子を表すことが好ましい。
組成物は、キラル剤を含む。
キラル剤の種類は、特に制限されない。キラル剤は液晶性であっても、非液晶性であってもよい。キラル剤は、公知の種々のキラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)から選択することができる。キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含む。ただし、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物を、キラル剤として用いることもできる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体等が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。
このような強い捩れ力を示すキラル剤としては、例えば、特開2002-302487号公報、特開2002-80478号公報、特開2002-80851号公報、特開2002―179668号公報、特開2002―179670号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-180051号公報、特開昭62―81354号公報、WO2002/006195号、特開2011-241215号公報、特開2003-287623号公報、特開2002-302487号公報、特開2002-80478号公報、特開2002-80851号公報、および、特開2014-034581号公報に記載のキラル剤、ならびに、BASF社製のLC-756などが挙げられる。
組成物には、液晶化合物およびキラル剤以外の他の成分が含まれていてもよい。
組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。特に、液晶化合物が重合性基を有する場合、組成物が重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤としては、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤としては、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、ならびに、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)などが挙げられる。
組成物中での重合開始剤の含有量は特に制限されないが、液晶化合物全質量に対して、0.1~20質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましい。
組成物は、配向制御剤を含んでいてもよい。組成物に配向制御剤が含まれることにより、安定的または迅速なコレステリック液晶相の形成が可能となる。
配向制御剤としては、例えば、含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、WO2011/162291号に記載の一般式(X1)~(X3)で表される化合物、特開2012-211306号公報の段落[0007]~[0029]に記載の化合物、特開2013-47204号公報の段落[0020]~[0031]に記載の化合物、WO2016/009648号の段落[0165]~[0170]に記載の化合物、WO2016/092844号の段落[0077]~[0081]、および、特許第4592225号公報に記載の一般式(Cy201)~(Cy211)等が挙げられる。これらから選択される2種以上を含有していてもよい。これらの化合物は、層の空気界面において、液晶化合物の分子のチルト角を低減または実質的に水平配向させることができる。なお、本明細書で「水平配向」とは、液晶分子長軸と膜面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が20°未満の配向を意味するものとする。
組成物中での配向制御剤の含有量は特に制限されないが、液晶化合物全質量に対して、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.01~1質量%がさらに好ましい。
組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、水または有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;ピリジンなどのヘテロ環化合物;ベンゼン、ヘキサンなどの炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタンなどのアルキルハライド類;酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル類;1,4-ブタンジオールジアセテート;などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
組成物は、1種または2種以上の、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、安定剤、可塑剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、消泡剤、レべリング剤、増粘剤、難燃剤、界面活性物質、分散剤、ならびに、染料および顔料などの色材、などの他の添加剤を含んでいてもよい。
反射層14の形成においては、まず、基板12の反射層14の形成面に、ラビング処理等の液晶化合物を水平配向制御させるための配向処理を行う。一方で、前述のような液晶化合物、キラル剤および配向制御剤を含む組成物を調製する。
その上で、配向処理を施した基板12に、調製した組成物を基板12に塗布する。
塗布方法は特に制限されず、例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、および、ダイコーティング法などが挙げられる。
なお、必要に応じて、塗布後に、基板12に塗布した組成物を乾燥する処理を実施してもよい。乾燥処理を実施することにより、塗布した組成物から溶媒を除去できる。
組成物の液晶相転移温度は、製造適性の面から10~250℃が好ましく、10~150℃がより好ましい。
好ましい加熱条件としては、40~100℃(好ましくは、60~100℃)で0.5~5分間(好ましくは、0.5~2分間)にわたって組成物を加熱する。
塗布層の冷却処理および加熱処理を施すことにより、キラル剤の螺旋誘起力が上昇して、液晶化合物の捩れが増して、結果として、コレステリック液晶相の配向(螺旋軸の傾き)が変化する。これにより、基板12に平行な明部16および暗部18が変化して、図1(図3)に示すような波状構造(凹凸構造)の明部16および暗部18を有する反射層14(コレステリック液晶相状態の組成物の層)が形成される。
なお、上述の冷却処理は、言い換えると、冷却前のコレステリック液晶相の状態の組成物の温度をT℃とする場合、T-30℃以下となるように、組成物を冷却することを意図する。
上記冷却の方法は特に制限されず、組成物が配置された基板を所定の温度の雰囲気中に静置する方法が挙げられる。
具体的には、冷却処理における冷却速度は、その最大値が毎秒1℃以上であるのが好ましく、毎秒2℃以上であるのがより好ましく、毎秒3℃以上であるのがさらに好ましい。なお、冷却速度の上限には制限はないが、毎秒10℃以下の場合が多い。
この硬化処理は、冷却処理または加熱処理と同時に行ってもよく、あるいは、冷却処理または加熱処理を施した後に行ってもよい。
なお、コレステリック液晶相を固定してなる層においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、最終的に層中の組成物がもはや液晶性を示す必要はない。
紫外線照射には、紫外線ランプなどの光源が利用される。
紫外線の照射エネルギー量は特に制限されないが、一般的には、0.1~0.8J/cm2程度が好ましい。また、紫外線を照射する時間は特に制限されないが、得られる層の充分な強度および生産性の双方の観点から適宜決定すればよい。
従って、コレステリック液晶層の上に、さらにコレステリック液晶層を形成する場合には、HTPを向上して波状構造を形成するための組成物の冷却または加熱は、必要に応じて行えばよい。
本発明の構造体において、断面において明部16が成す線および暗部18が成す線が波状構造を有するコレステリック液晶層は、これに制限はされず、各種の構成が利用可能である。
この構造体30では、反射層34におけるコレステリック液晶相の配向は、通常のコレステリック液晶層と同様に形成面に対して垂直である。しかしながら、構造体30を全体的に見れば、明部16が成す線および暗部18が成す線は、波状構造になる。
反射層34は、前述のような液晶化合物、キラル剤および水平配向剤を含有する組成物(液晶組成物)を調製し、凸部32を覆うように組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、組成物を硬化して、形成すればよい。この際において、凸部32に配向処理を施さない、組成物が垂直配向剤を含有する、および、組成物が粒子を含有する、の1以上によって、反射層34のコレステリック液晶相に配向欠陥を生じさせ、明部16が成す線および暗部18が成す線に不連続点を形成できる。
凸部32の形状としては、半球状(略半球状)以外にも、球欠状(略球欠状)等、各種の形状が利用可能である。
これに対し、図6に概念的に示す本発明の別の態様の構造体40において、反射層42は、SEMで観察する断面におけるコレステリック液晶相に由来する明部16が成す線および暗部18が成す線が、基板12の表面すなわち反射層42の形成面に対して傾斜しており、かつ、コレステリック液晶相が配向欠陥部46を有することにより、明部16が成す線および暗部18が成す線が不連続点を有する。
なお、図6に示す構造体40は、明部16が成す線および暗部18が成す線が、波状構造ではなく、基板12の表面に対して傾斜している以外は、基本的に、前述の構造体10と同様であるので、以下の説明は、異なる点を主に行う。
そのため、前述の波状構造のコレステリック液晶層50b(図3参照)と同様に、この周期構造に由来して、強い回折現象が生じてしまい、例えば、スクリーン等の用途では、投影像にギラツキが生じてしまう。
また、この態様では、反射層42(コレステリック液晶層)の反射軸は、基本的に均一なので、干渉現象によって反射される波長以外の波長領域以外における散乱波生じないため、透明性も確保できる。
そのため、本発明の構造体40においても、例えば、透明スクリーン等の用途に用いた場合に、良好な非鏡面反射性および透明性を有すると共に、投影光のギラツキも抑制して、背景の視認性と投影光の良好な観察とを両立することができる。
好ましくは、明部16が成す線および暗部18が成す線が、基板12の表面に対して傾斜しているとは、明部16が成す線および暗部18が成す線と、基板12の表面とが成す角度が、±5°以上である状態を示す。言い換えれば、好ましくは、コレステリック液晶相の螺旋軸と、基板12の表面とが成す角度が、90°±5°以上である状態を示す。
このような反射層42の形成において、上述の前述の波状構造の反射層14の形成と同様に、反射層42を形成する組成物に、垂直配向剤を添加することによって、および/または、粒子を添加することによって、コレステリック液晶相に配向欠陥部46を生じさせることで、明部16が成す線および暗部18が成す線が、基板12の表面に対して傾斜すると共に、直線状の明部16が成す線および暗部18が成す線の少なくとも一部が不連続となっている、反射層42を形成できる。
また、構造体は、光学素子の構成要素である、偏光素子、反射膜、反射防止膜、視野角補償膜、ホログラフィー、および、配向膜など、種々の用途に利用できる。
すなわち、前述のようなコレステリック液晶層の機能により、投影光のうち選択反射を示す波長において、いずれか一方のセンスの円偏光を反射させて、投影像を形成することができる。投影像は投影像表示用部材表面で表示され、そのように視認されるものであってもよく、観察者から見て投影像表示用部材の先に浮かび上がって見える虚像であってもよい。
下記の表1に示す成分を混合して、組成物1~5を調製した。なお、各成分の量は、全て、質量部である。
(構造体の作製)
基板として、ラビング処理を施したPET(poly-ethylene terephthalate)フィルム(東洋紡社製)を用意した。
基板のラビング処理面に、表1に示す組成物を、ワイヤーバーを用いて塗布した。組成物の塗布層を室温にて50秒間乾燥させた後、95℃の雰囲気で1分間加熱して液晶化合物を配向させた。
その後、塗布層に対して、30℃で、フュージョン社製のDバルブ(ランプ90mW/cm2)を用いて、出力80%で、8秒間、紫外線(UV(Ultra Violet)光)を照射することで、基板上に反射層(コレステリック液晶層)を形成して、構造体を作製した。なお、上記の手順においては、95℃で液晶化合物を配向させた後、30℃まで液晶組成物を冷却した。
基板として、ラビング処理を施さないPETフィルムを用いた以外は、実施例1と同様に、構造体を作製した。
(重合性組成物塗布液Aの調製)
以下の成分を混合して、重合性組成物塗布液Aを調製した。
ブレンマー758(日油社製) 100質量部
空気界面配向剤(A-2) 0.02質量部
重合開始剤(BASF社製、Irg819) 3質量部
MEK(メチルエチルケトン、和光純薬社製) 200質量部
PETフィルム(東洋紡社製)を用意した。
PETフィルムに、ワイヤーバーを用いて、室温にて、重合性組成物塗布液Aを塗布した。得られた塗布層を、室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱した。
その後、塗膜に対して、30℃で、フュージョン社製のDバルブ(ランプ90mW/cm2)を用いて、出力60%で、6秒間。紫外線を照射し、アクリル層を形成した。このアクリル層は、下地層に該当する。
形成したアクリル層の一部を剥離し、形状測定レーザマイクロスコープVK-X200(キーエンス社製)によって、10倍の対物レンズを用いて、膜厚を測定した。その結果、アクリル層の膜厚は、3μmであった。
基板として、このアクリル層を形成したPETフィルムを用い、かつ、組成物5を用いた以外は、実施例1と同様に、構造体を作製した。なお、反射層の形成は、アクリル層に行った。
実施例1~5および比較例1で作製した構造体について、反射層の一部を剥離し、形状測定レーザマイクロスコープVK-X200(キーエンス社製)にて10倍の対物レンズを用いて、反射層の膜厚を測定した。その結果、反射層の厚さは、3.5μmであった。
また、構造体をウルトラミクロトームによって断面切削し、断面にカーボン蒸着による導電性処理を施したのち、SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、SU8030)によって、加速電圧2kVでの二次電子像を観察したところ、各反射層は、明部の成す線および暗部の成す線が波状構造になっていることが確認できた。
さらに、このSEM画像を解析して、コレステリック液晶相の螺旋ピッチを測定したところ、組成物1、3および4を用いたものは520nm、組成物2を用いたものは320nmであった。
断面SEM画像を解析して、反射層の断面における1μm2当たり暗部の不連続点の数を計数した。
1μm2当たり暗部の不連続点の数は、反射層の断面をSEMで観察して、断面における100μm2の領域を任意に2箇所選択して、各領域で暗部の不連続点の数を計数し、その平均を面積で除して、反射層の断面1μm2当たりの暗部の不連続点の数([箇所/μm2])を求めた。
作製した構造体について、白色光の環境下で、観察角度を任意に変化させて、反射層における面内方向の反射色の均一性を目視で確認して、下記の基準で評価した。
A: 面内方向の反射色のバラツキが全くなく、ギラツキも発生していない
B: 面内方向の反射色のバラツキがほとんどなく、ギラツキも発生していない
C: 面内方向の反射色のバラツキが少しあるもの、ギラツキは目立たない
D: 面内方向の反射色のバラツキが有り、ギラツキが発生している。
以上の結果を、表2に示す。
なお、実施例3が、他の例に比してギラツキの評価が低いのは、垂直配向剤を用いる実施例3の構成では、基板近傍は適正にコレステリック液晶相の状態に配向されており、基板近傍における不連続点が少ないために、不連続点の数が他の例に比して少なく、ギラツキの評価が低くなったものと推測される。
これに対して、反射層の不連続点が極めて少ない、すなわち、無いに等しい比較例1では、波状の周期構造に由来する強い回折現象が生じたと考えられ、面内方向に反射色のバラツキが認められ、また、観察角度によってギラツキが発生している。
また、作製した構造体について、日本電色工業社製のNDH5000を用いて、JIS K 7361に準拠して、全光線透過率を測定した。その結果、いずれの構造体も、十分な全光線透過率を有し、透明性は十分であった。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
12 基板
14、34、42、62 反射層
16 明部
18 暗部
20、46 配向欠陥部
24 表面
32 凸部
50a、50b コレステリック液晶層
C1 波状構造の周期
C2 凹凸の周期
h 凹凸の高さ
Claims (4)
- 基板と、コレステリック液晶相を固定してなる反射層と、を有する構造体であって、
前記反射層は、走査型電子顕微鏡による厚さ方向の断面の観察において、前記コレステリック液晶相に由来する明部が成す線および暗部が成す線が、周期的な波状構造を有しており、かつ、
前記明部が成す線および前記暗部が成す線の少なくとも一部が、不連続であり、前記暗部が成す線が不連続である部分が、前記反射層の断面1μm2当たり0.05箇所以上であり、
前記反射層の表面が凹凸構造を有し、前記反射層の表面の凹凸構造の凹凸の位相は、前記明部が成す線および前記暗部が成す線の前記波状構造の凹凸の位相と逆であり、前記反射層の表面の凹凸構造の周期は、前記明部が成す線および前記暗部が成す線の前記波状構造の凹凸の周期と等しいことを特徴とする構造体。 - 前記明部が成す線および前記暗部が成す線が不連続である部分に、前記コレステリック液晶相の配向欠陥を含む、請求項1に記載の構造体。
- 前記明部が成す線および前記暗部が成す線の不連続である部分に、粒子が存在する、請求項1または2に記載の構造体。
- 前記明部が成す線および前記暗部が成す線が、波状構造を有しており、前記波状構造の波の周期が0.3~10μmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の構造体。
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