JP2008287084A - 位相差フィルム - Google Patents

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岳史 梁谷
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Abstract

【課題】本発明は、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムであって、各波長領域において絶対値が比較的大きい厚み方向のレターデーション値(Rth)を達成可能であり、かつ、その波長依存性を任意に制御することが可能な位相差フィルムを提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムであって、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が逆分散型である第1基材と、上記第1基材上に形成され、棒状化合物を含有し、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が正分散型である第1位相差層と、上記第1基材上に形成され、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が逆分散型である第2基材と、を有することを特徴とする位相差フィルムを提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置用の視野角補償フィルムとして好適に用いられる位相差フィルムに関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、例えば図7に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものが代表的である。ここで、偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、TN、STN、MVA、IPS、および、OCB等に分類される。なかでも今日においては、上記MVA駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
一方、液晶表示装置はその特有の問題点として、液晶セルや偏光板の屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角依存性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重大性を増している。
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある。この位相差フィルムを用いる方法は、図8に示すように所定の光学特性を有する位相差フィルム103を、液晶セル101と偏光板102Aおよび102Bとの間に配置することにより、視野角依存性の問題を改善する方法である。このような方法は位相差フィルム103を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。
ここで上記位相差フィルムとしては、例えば、透明基板上に、規則的に配列した液晶材料を含有する位相差層が形成された構成を有するものや、延伸フィルムからなるものが一般的に知られている。そして、このような位相差フィルムに求められる位相差性は、視野角特性を改善する対象となる液晶表示装置の駆動方式等に依存して厳格に求められるものである。
従来、位相差フィルムに求められる位相差性としては、特定の波長における面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)が所定の範囲内であることが厳格に求められてきた。換言すると、特定の波長においてReおよびRthが所定の値を示せばそれ以外に光学特性として求められるものは少なかった。しかしながら、近年のディプレイ技術の急速な発展に伴って、位相差フィルムには単に特定の波長においてReおよびRthが所定値を示すことのみではなく、これらの値の波長依存性が所定の挙動を示すことまで求められるようになってきた。
すなわち、上記ReおよびRthは位相差フィルムの複屈率性を示すパラメーターであるが、光の屈折率は波長に依存するため上記ReおよびRthの値も波長に依存することになる。このため、近年の位相差フィルムには特定の波長におけるReおよびRthの値が所定の範囲内であることのみではなく、所定の波長範囲においてReおよびRthが所定の波長依存性を示すことが求められるようになっているのである。
上記ReおよびRthに求められる波長依存性は位相差フィルムの用途に応じて適宜決定されるものではあるが、代表的には逆分散型、正分散型およびフラット型のいずれかの波長依存性を示すことが求められる。
ここで、上記逆分散型は短波長側の方が長波長側よりも値が小さくなる波長依存性のタイプである。これとは逆に、上記正分散型は短波長側の方が長波長側よりも値が大きくなる波長依存性のタイプである。一方、上記フラット型は所定の波長領域において値が一定である波長依存性のタイプである。近年の位相差フィルムには、その用途に応じて上記ReおよびRthが特定の波長において所定値を示すことのみでなく、波長依存性が正分散型、逆分散型、あるいは、フラット型のいずれかであること、さらには波長依存性の程度までが厳格に求められるようになっている。
ところで、上述したMVA方式の液晶表示装置に用いられる位相差フィルムとしては、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムを用いることが望ましいとされている。従来、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムとしては、Rthの波長依存性が逆分散型である基材上に、棒状化合物からなる液晶材料等を含有する位相差層が積層された構成を有するものが主として用いられてきた(例えば、特許文献1)。このような位相差フィルムは、上記位相差層において棒状化合物を所定の形態に配列させることによって任意の光学特性を達成可能であることから、これまでに広く液晶表示装置の視野角依存性の改善等に用いられてきた。
しかしながら、近年のディスプレイ技術の急速な発展に伴い、位相差フィルムに求められる光学特性も急速に変化しているところ、今日の光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムには従来よりも高いRth値が求められることも多くなっている。
特に、光学的に負のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムと組み合わされて用いられる場合は、このような要求が高まっている。
この点、上述した基材上に位相差層が積層された構成を有する位相差フィルムにおいては、上記位相差層の厚みを大きくすることによってRth値を大きくすることは可能であるが、液晶材料に代表される負のCプレートの性能を付与し得るものとして現在実用化されている棒状化合物は、いずれも正分散型であるため、Rth値を大きくした場合、基材の逆分散性が位相差層に含有される棒状化合物の正分散性に相殺されてしまい、フィルム全体としてRthの波長依存性が正分散型になってしまうと欠点があった。
このようなことから、上述したような構成を有する位相差フィルムでは、高Rth値を発現させた際に、波長依存性を任意に制御することが困難であるという問題点があった。
特開2004−163523号公報
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムであって、各波長領域において絶対値が比較的大きい厚み方向のレターデーション値(Rth)を有し、かつ、その波長依存性を任意に制御することが可能な位相差フィルムを提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムであって、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が逆分散型である第1基材と、上記第1基材上に形成され、棒状化合物を含有し、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が正分散型である第1位相差層と、上記第1基材上に形成され、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が逆分散型である第2基材と、を有することを特徴とする位相差フィルムを提供する。
本発明によれば、厚み方向のレターデーション(Rth,Rth)が逆分散型である第1基材および第2基材が用いられていることにより、第1位相差層の厚みを大きくして、第1位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth)の値を高くした場合であっても、上記第1基材および第2基材の厚みを適宜調整することによって、位相差フィルム全体としての厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性を任意に制御することができる。
このため、本発明によれば光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムであって、各波長領域において絶対値が比較的大きい厚み方向のレターデーション値(Rth)を達成可能であり、かつ、その波長依存性を任意に制御することか可能な位相差フィルムを得ることができる。
本発明の位相差フィルムは、上記第2基材上に形成され、棒状化合物を含有し、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が正分散型である第2位相差層を有するものであってもよい。これにより本発明の位相差フィルムにより高い厚み方向のレターデーション(Rth)を付与することが可能になるからである。
また本発明の位相差フィルムは、位相差フィルム全体として、波長450nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth450)と、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth550)とに、Rth450/Rth550<1.02の関係が成立することが好ましい。これにより本発明の位相差フィルムを液晶表示装置用の視野角補償フィルムとして用いた場合に、広い波長範囲において視野角特性を改善することが可能になるからである。
また本発明の位相差フィルムは、23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth)が300nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。厚み方向のレターデーション(Rth)が上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムをVA方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いられるものにできるからである。
なお、本発明の位相差フィルムは、このように比較的高い厚み方向のレターデーション(Rth)を有する場合であっても、上記第1基材および第2基材の2枚の基材が用いられていることにより、位相差フィルム全体として厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性を任意に制御することができる。
さらに本発明の位相差フィルムにおいては、上記棒状化合物が、ランダムホモジニアス配向を形成していることが好ましい。上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることにより、本発明の位相差フィルムに光学的に負のCプレートとしての性質を付与することが容易になるからである。
本発明の位相差フィルムは、各波長領域において絶対値が比較的大きい厚み方向のレターデーション値(Rth)を有し、かつ、その波長依存性を任意に制御することができるという効果を奏する。
以下、本発明の位相差フィルムについて詳細に説明する。
上述したように本発明の位相差フィルムは、光学的に負のCプレートとしての性質を有するものであって、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が逆分散型である第1基材と、上記第1基材上に形成され、棒状化合物を含有し、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が正分散型である第1位相差層と、上記第1基材上に形成され、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が逆分散型である第2基材とを有し、位相差フィルム全体として厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が逆分散型であることを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムについて図を参照しながら説明する。図1は本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。図1に例示するように本発明の位相差フィルム10は、第1基材1と、上記第1基材上に形成され、棒状化合物を含有する第1位相差層2と、上記第1基材1上に配置された第2基材3とを有するものであり、位相差フィルム10全体として光学的に負のCプレートとしての性質を有するものである。
このような例において本発明の位相差フィルム10は、上記第1基材1および第2基材3は、共に厚み方向のレターデーション(Rth,Rth)が逆分散型であり、かつ、上記第1位相差層2は、厚み方向のレターデーション(Rth)が正分散型であることを特徴とするものである。
本発明によれば、厚み方向のレターデーション(Rth,Rth)が逆分散型である第1基材および第2基材が用いられていることにより、第1位相差層の厚みを大きくして、第1位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth)の値を高くした場合であっても、位相差フィルム全体としての厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性を波長450nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth450)と、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth550)とに、Rth450/Rth550<1.02の関係を成立させることができる。
すなわち、従来、厚み方向のレターデーションの波長依存性が逆分散型である基材上に、厚み方向のレターデーションの波長依存性が正分散型である位相差層が積層された構成を有する位相差フィルムにおいては、工業的に使用可能な基材の種類が限定されていたことから、必然的に基材の厚みにも制約があった。このため単一の基材が用いられた位相差フィルムでは、例えば、上記位相差層の厚みを大きくして高い厚み方向のレターデーションを発現させようとすると、波長依存性も位相差層の正分散特性が支配的となってしまい、位相差フィルム全体として上記Rth450/Rth550<1.02の関係を成立させることは困難であった。
この点、本発明においては厚み方向のレターデーションの波長依存性が逆分散型である基材が2枚用いられていることから、これらの基材の厚みを適宜調整して組み合わせることにより、上記第1位相差層の厚みを大きくして高い厚み方向のレターデーションを発現させた場合でも、位相差フィルム全体として逆分散型の波長依存性を達成することが可能になる。
このため、本発明によれば光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムであって、波長依存性が逆分散型であり、かつ、各波長領域において絶対値が比較的大きい厚み方向のレターデーション値(Rth)を達成可能な位相差フィルムを得ることができる。
ここで、上記各構成における厚み方向のレターデーション(Rth)とは、各構成における面内の互いに直交する任意の2方向(x方向、y方向)の屈折率をnx、ny、各構成の厚み方向の屈折率をnz、および、各構成の厚みをdとした場合に、Rth=((nx+ny)/2−nz)×dで表されるものである。
なお、本明細書においては、上記Rthに類似するパラメーターとして面内レターデーション(Re)を用いる場合があるが、当該Reは上記nx、nyおよびdにより、Re=(nx−ny)×dで表されるものである。
また、各構成の厚み方向のレターデーション(Rth)および面内レターデーション(Re)は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。さらに、上記厚み方向のレターデーション(Rth)および面内レターデーション(Re)は、測定波長によって値が異なる場合があるが、本明細書においては、特筆しない限り上記厚み方向のレターデーション(Rth)および面内レターデーション(Re)は、23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける値を意味するものとする。
また、本発明において厚み方向のレターデーションの波長依存性が逆分散型であるとは、波長550nmおよび波長450nmにおける厚み方向のレターデーションの比(波長450nmにおける厚み方向のレターデーション/波長550nmにおける厚み方向のレターデーション:以下、単に「レターデーション比」と称する場合がある。)が、1未満であることを意味する。また、厚み方向のレターデーションの波長依存性が正分散型であるとは、上記レターデーション比が1よりも大きいことを意味し、厚み方向のレターデーションの波長依存性がフラット型であるとは、上記レターデーション比が1であることを意味する。
さらに、本発明において、光学的にCプレートとしての性質を有するとは、本発明の位相差フィルムの面内における遅相軸方向の屈折率をNx、進相軸方向の屈折率をNy、および、厚み方向の屈折率をNzとした場合に、Nx≧Ny>Nzの関係が成立することを意味するものとする。
本発明の位相差フィルムは、必須の構成として第1基材と、第2基材と、第1位相差層とを有するものであり、必要に応じて他の任意の構成を有してもよいものである。
以下、本発明に用いられる各構成について詳細に説明する。
1.第1基材および第2基材
まず、本発明に用いられる第1基材および第2基材について説明する。本発明に用いられる第1基材および第2基材は、厚み方向のレターデーション(Rth,Rth)の波長依存性が逆分散型であることを特徴とするものである。
以下、このような第1基材および第2基材について詳細に説明する。
本発明に用いられる第1基材および第2基材は、厚み方向のレターデーション(Rth,Rth)の波長依存性が逆分散型であるものである。したがって、本発明に用いられる第1基材および第2基材としては、上記レターデーション比が1未満であるものであれば特に限定されるものではない。具体的なレターデーション比は後述する第1位相差層のレターデーション比等を考慮し、本発明の位相差フィルムに所定のレターデーション比を付与できる範囲で適宜決定することができる。なかでも本発明に用いられる第1基材および第2基材は、レターデーション比が0.70〜1.00の範囲内であることが好ましく、特に0.80〜0.95の範囲内であることが好ましく、さらに0.80〜0.90の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明に用いられる第1基材および第2基材のレターデーション比の大小関係は特に制約があるものではなく、第1基材の方が第2基材よりも大きくてもよく、またその逆であってもよい。また両基材のレターデーション比は同一であってもよい。
本発明に用いられる第1基材および第2基材の透明度は、本発明の位相差フィルムに求める透明性等に応じて任意に決定すればよいが、通常、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が低いと、本発明の位相差フィルムのヘイズが所望の値よりも大きくなってしまう場合があるからである。
ここで、第1基材および第2基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる第1基材および第2基材は、上記透明性を具備するものであれば、可撓性を有するフレキシブル材でも、可撓性のないリジッド材でも用いることもできる。なかでも本発明においては、フレキシブル材を用いることが好ましい。フレキシブル材を用いることにより、本発明の位相差フィルムの製造工程を生産性の高いロールトゥロールプロセスとすることができるからである。
また、本発明に用いられる第1基材および第2基材は厚み方向のレターデーションが逆分散性を示す材料からなる基材であってもよく、あるいは、厚み方向のレターデーションが正分散性を示す材料からなり、厚み方向のレターデーションが逆分散性を示す添加剤を含有する基材であってもよい。本発明においてはこれらのいずれの基材であっても好適に用いることができる。また、本発明に用いられる第1基材および第2基材は、一方が前者の基材であり、他方が後者の基材であってもよい。なかでも本発明に用いられる第1基材および第2基材は、共に前者の基材、すなわち厚み方向のレターデーションが逆分散性を示す材料からなる基材であることが好ましい。
上記厚み方向のレターデーションが逆分散性を示す材料としては、例えば、セルロース誘導体、ポリカーボネート等を例示することができる。本発明においてはこれらのいずれ材料であっても好適に用いることができる。また本発明に用いられる第1基材および第2基材を構成する材料は同一のものであってもよく、あるいは、異なるものであってもよい。なかでも本発明に用いられる第1基材および第2基材は、少なくとも一方がセルロース誘導体からなることが好ましく、特に両基材ともにセルロース誘導体からなることが好ましい。セルロース誘導体は光学的等方性に優れるため、このような第1基材および第2基材を用いることにより、本発明の位相差フィルムの光学特性設計が容易になるからである。
上記セルロース誘導体としては、セルロースエステル類を用いることが好ましく、さらに、セルロースエステル類のなかでも、セルロースアシレート類を用いることが好ましい。セルロースアシレート類は工業的に広く用いられていることから、入手容易性の点において有利だからである。
また、本発明においては上記セルロースアシレート類のなかでも炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルを用いることが好ましい。このような低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであってもよい。
本発明においては、上記低級脂肪酸エステルの中でもセルロースアセテートを特に好適に用いることができる。また、セルロースアセテートのなかでも平均酢化度が57.5%〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算により求めることができる。なお、トリアセチルセルロースフィルムを構成するトリアセチルセルロースの酢化度は、フィルム中に含まれる可塑剤等の不純物を除去した後、上記の方法により求めることができる。
本発明に用いられる第1基材および第2基材の厚みは、本発明の位相差フィルムの用途に応じて、レターデーション比を所望の程度にできる範囲内であれば特に限定されるものではない。したがって第1基材および第2基材の厚みは、後述する第1位相差層のレターデーション比等に応じて、本発明の位相差フィルム全体としてのレターデーション比を所定の範囲内にできる程度に適宜決定することができる。なかでも本発明に用いられる第1基材および第2基材の厚みは、20μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、なかでも25μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。第1基材および第2基材の厚みが上記の範囲外であると、両基材のレターデーション比を所望の範囲にすることが困難となる場合があるからである。また、厚みが上記範囲よりも薄いと本発明の位相差フィルムに必要な自己支持性が得られない場合があり、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明の位相差フィルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
なお、本発明に用いられる第1基材および第2基材の厚みは同一であってもよく、あるいは、異なっていてもよい。
また、本発明に用いられる第1基材および第2基材は、延伸処理が施されているものであってもよい。延伸処理が施された第1基材および第2基材を用いることにより、第1基材および第2基材と、後述する第1位相差層との密着性を向上させることができるという利点がある。
ここで、上記延伸処理としては特に限定されるものではなく、第1基材および第2基材を構成する材料等に応じて任意に決定すればよい。このような延伸処理としては1軸延伸処理と、2軸延伸処理とを例示することができる。
また、第1基材および第2基材の形態は、一定のサイズを有するシート状であってもよく、または、一定の長さを有する長尺フィルムであってもよい。第1基材および第2基材を上記長尺フィルムとする場合は、工業的に一般的に用いられるロール巻きされた形態であることが好ましい。
2.第1位相差層
次に、本発明に用いられる第1位相差層について説明する。本発明に用いられる第1位相差層は、棒状化合物を含有し、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が正分散型であることを特徴とするものである。また、本発明に用いられる第1位相差層は、上記棒状化合物が配列した状態で含まれることにより、本発明の位相差フィルムに光学的に負のCプレートとしての性質を付与する機能を有するものである。
以下、このような第1位相差層について詳細に説明する。
本発明に用いられる第1位相差層は、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が正分散型であるものである。したがって、本発明に用いられる第1位相差層としては、上記レターデーション比が1よりも大きいものであれば特に限定されるものではない。具体的なレターデーション比は上述した第1基材および第2基材のレターデーション比等を考慮し、本発明の位相差フィルムに所定のレターデーション比を付与できる範囲で適宜決定することができる。なかでも本発明に用いられる第1位相差層は、レターデーション比が1.00〜1.20の範囲内であることが好ましく、特に1.01〜1.15の範囲内であることが好ましく、さらに1.02〜1.10の範囲内であることが好ましい。
(1)棒状化合物
本発明に用いられる棒状化合物は、厚み方向のレターデーション(Rth)が逆分散型である第1位相差層を形成することができ、かつ、第1位相差層において配列されることにより、本発明の位相差フィルムに光学的に負のCプレートとしての性質を付与できるものであれば特に限定されるものではない。
ここで、上記「棒状化合物」とは、分子構造の主骨格が棒状となってものを意味するものとする。
なかでも本発明においては、上記棒状化合物として厚み方向のレターデーションの波長依存性が正分散型を示す化合物を用いることが好ましい。厚み方向のレターデーションの波長依存性は材料特有の性質であるところ、上記棒状化合物としてこのような材料を用いることにより、他の添加剤等を使用することなく第1位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性を正分散型にすることができるからである。
本発明に用いられる棒状化合物は、2以上の複数のベンゼン環が結合された棒状の主骨格を有するものであることが好ましく、特に2以上の複数のベンゼン環が互いにエステル結合で結合された棒状の主骨格を有するものであることが好ましい。このような構造を有する棒状化合物は、分子内の屈折率異方性が大きいため、第1位相差層内で配列されることにより第1位相差層に、高い位相差性を付与することが可能になるからである。
本発明に用いられる棒状化合物としては、分子量が比較的小さい化合物が好適に用いられる。分子量が小さい方が上述した第1基材または第2基材を構成する材料と、棒状化合物との親和性を向上させることができるため、第1基材または第2基材と第1位相差層との密着性を向上させることができるからである。本発明に用いられる棒状化合物の具体的な分子量としては、200〜1200の範囲内であることが好ましく、特に400〜800の範囲内であることが好ましい。
なお、棒状化合物として、後述する重合性官能基を有する化合物を用いる場合、上記分子量は重合前の分子量を示すものとする。
また、本発明に用いられる棒状化合物としては、液晶性を示す液晶性材料であることが好ましい。棒状化合物が液晶性材料であることにより、本発明に用いられる第1位相差層を、単位厚み当たりの光学特性の発現性に優れたものにできるからである。
ここで、一般的に、「液晶性材料」は、狭義には流動性を有する状態のものを指すが、本願発明の明細書中においては、流動性を有する液晶材料を架橋、冷却等の手段により、液晶の持つ光学特性、屈折率、異方性等の所望の性能を維持する状態で固化させ、非流動状態としたものも「液晶」と称することにする。
上記液晶性材料としては、本発明の位相差フィルムに光学的に負のCプレートとしての性質を付与できるように配列可能なものであれば特に限定されるものではないが、なかでもネマチック相を示す液晶性材料を用いることが好ましい。ネマチック相を示す液晶性材料は、他の液晶相を示す液晶性材料よりも、光学的に負のCプレートとしての性質を発現するように配列させることが容易だからである。
さらに、上記ネマチック相を示す液晶性材料としては、メソゲン両端にスペーサを有する化合物を用いることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶性材料は、柔軟性に優れるため、本発明における第1位相差層が白濁することを効果的に防止することができるからである。
本発明に用いられる棒状化合物は、分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられ、なかでも3次元架橋可能な重合性官能基を有するものが特に好適に用いられる。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物を重合して固定することが可能になるため、棒状化合物の配列安定性に優れ、光学特性の変化が生じにくい第1位相差層を得ることができるからである。
本発明においては上記重合性官能基を有する棒状化合物と、上記重合性官能基を有さない棒状化合物とを混合して用いてもよい。
なお、「3次元架橋」とは、液晶性分子を互いに3次元に重合して、網目(ネットワー
ク)構造の状態にすることを意味する。
上記重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する各種重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等を挙げることができる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基を挙げることができる。具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。又、カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和三重結合等が挙げられる。これらの中でもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
本発明における棒状化合物は、液晶性を示す液晶性材料であって末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。例えば両末端に重合性官能基を有するネマチック液晶性材料を用いれば、互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができ、配列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた第1位相差層を得ることができるからである。また、片末端に重合性官能基を有するものであっても、他の分子と架橋して配列安定化することができるからである。
このような棒状化合物の具体例としては、例えば、下記式(1)〜(6)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2008287084
ここで、化学式(1)、(2)、(5)および(6)で示される液晶性材料は、D.J.Broerら、Makromol.Chem.190,3201−3215(1989)、またはD.J.Broerら、Makromol.Chem.190,2250(1989)に開示された方法に従い、あるいはそれに類似して調製することができる。また、化学式(3)および(4)で示される液晶性材料の調製は、DE195,04,224に開示されている。
また、末端にアクリレート基を有するネマチック液晶性材料の具体例としては、下記式(7)〜(17)に示すものも挙げることができる。
Figure 2008287084
なお、本発明に用いられる棒状化合物は、1種類であってもよく、または、2種以上であってもよい。
例えば、上記棒状化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。
(2)棒状化合物の配列形態
次に、本発明における第1位相差層において棒状化合物が配列している形態について説明する。上述したように、本発明に用いられる棒状化合物は第1位相差層内で配列することにより本発明の位相差フィルムに光学的に負のCプレートとしての性質を付与するものである。
本発明における第1位相差層内で上記棒状化合物が配列している態様としては、本発明の位相差フィルムに光学的に負のCプレートとしての性質を付与できる態様であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることが好ましい。これにより、本発明の位相差フィルムに光学的に負のCプレートとしての性質を容易に付与することができるからである。
以下、このようなランダムホモジニアス配向について説明する。
上記ランダムホモジニアス配向は、少なくとも、第1位相差層において棒状化合物分子が形成するドメインの大きさが可視光領域の波長よりも小さいこと(以下、単に「分散性」と称する場合がある。)、および、第1位相差層において棒状化合物分子が、該第1位相差層の表面に平行な平面に存在していること(以下、単に「面内配向性」と称する場合がある。)、を特徴とするものである。
このようなランダムホモジニアス配向について図を参照しながら説明する。図2(a)は第1位相差層を法線方向から正視した場合の概略図である。また、図2(b)、(c)は、図2(a)におけるX−X’線矢視断面図である。
まず、ランダムホモジニアス配向が具備する「分散性」について図2(a)を参照しながら説明する。上記「分散性」は、図2(a)に示すように、第1位相差層2において棒状化合物AがドメインA’を形成している場合に、ドメインA’の大きさが可視光領域の波長よりも小さいことを示すものである。本発明においては、上記ドメインA’の大きさが小さい程好ましいものであり、棒状化合物AがドメインA’を形成せずに単分子で分散している状態が最も好ましいものである。
次に、ランダムホモジニアス配向が具備する「面内配向性」について図2(b)を参照しながら説明する。上記「面内配向性」は、図2(b)に示すように、第1位相差層2において棒状化合物Aが、分子軸aを第1位相差層2の法線方向Yに対して略垂直になるように配向していることを意味する。本発明における上記「面内配向性」としては、図2(b)に示すように、上記第1位相差層2におけるすべての棒状化合物Aの分子軸aが上記法線方向Yに対して略垂直になっている場合のみを意味するものではなく、例えば図2(c)に示すように、上記第1位相差層2に分子軸a’が上記法線方向Yと垂直でない棒状化合物Aが存在していたとしても、第1位相差層2中に存在する棒状化合物Aの分子軸の平均的な方向が上記法線方向Yに対して略垂直である場合を含むものである。
次に、上記第1位相差層に含まれる棒状化合物がこのような「分散性」および「面内配向性」を具備することを確認する方法について説明する。
まず、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「分散性」の確認方法について説明する。上記「分散性」は、上記第1位相差層のヘイズ値が、上記棒状化合物のドメインの大きさが可視光領域の波長以下であることを示す範囲内であることにより確認することができる。なかでも本発明においては、第1位相差層のヘイズ値が0.1%〜1%の範囲内であることが好ましい。
ここで、上記ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した値を用いるものとする。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「面内配向性」の確認方法について説明する。上記「面内配向性」は、上記第1位相差層が光学的に負のCプレートとしての性質を示す厚み方向のレターデーション(Rth)値を有することにより確認することができる。ここで、本発明において「負のCプレートとしての性質を示す」とは、厚み方向のレターデーション(Rth)が50nm以上であることを意味するものとするが、なかでも本発明における第1位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth)は、50nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記棒状化合物として2以上の複数のベンゼン環が結合された棒状の主骨格を有するものが用いられている場合、上記「面内配向性」は、上記第1位相差層の厚み方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)を測定することによっても確認することができる。すなわち、上記第1位相差層の厚み方向の切断面における厚み方向に対して垂直方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)が、厚み方向に対して平行方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)よりも大きいことにより、上記「面内配向性」を備えることを確認することができる。なかでも本発明においては、上記第1位相差層の厚み方向の切断面における厚み方向に対して垂直方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)が、厚み方向に対して平行方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)の1.1倍以上であることが好ましく、特に1.50倍以上であることが好ましく、さらに1.20倍〜3.00倍の範囲内であることが好ましい。
なお、ここで、「ラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)」とは、ラマンスペクトル中における(波数1605cm−1のスペクトル光強度/波数2942cm−1のスペクトル光強度)の比を意味する。
ここで、本発明における上記ラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)は、例えば、レーザーラマン分光光度計(日本分光:NRS−3000)を用いて、直線偏光の電場振動面が第1位相差層の厚み方向の切断面において、厚み方向に対して平行方向および垂直方向に一致するように測定光を入射することにより、厚み方向の切断面における厚み方向に対して平行方向および垂直方向のそれぞれについてラマン分光スペクトルを測定した後、1605cm−1(C−H結合由来ピーク)のピーク強度と、2942cm−1(ベンゼン環由来ピーク)のピーク強度とを評価することによって求めることができる。また、上記レーザーラマン分光光度計を用いてラマンスペクトルを測定する条件は、露光時間15秒、積算回数8回、励起波長532.11nmとする。
なお、上記第1位相差層の上記ラマンピーク強度比は、例えば、光学機能フィルムを厚み方向に切断して切片を作製した後、上記第1位相差層に相当する部位のみのラマン分光スペクトルを測定することにより求めることができる。
以上説明したように、本発明における第1位相差層は上記ランダムホモジニアス配向を形成した棒状化合物を有することより、光学的に負のCプレートとしての性質を有するものになるが、上記第1位相差層内における棒状化合物の配列規則性を制御することによって光学的にAプレートとしての性質を併有させることができる(なお、光学的にAプレートとしての性質と、光学的にCプレートとしての性質とを併有することを、単に「光学的にBプレートとしての性質を有する」と表現する場合がある。)。
より具体的には、上記第1位相差層内で上記棒状化合物がランダムに配列している場合(以下、このような場合を「等方性」と称する場合がある。)、上記第1位相差層は光学的に負のCプレートとしての性質のみを有するものとなり、一方、上記棒状化合物が上記第1位相差層内で分子軸が平均的に一方向に向くように配列している場合(以下、このような場合を「異方性」と称する場合がある。)、上記第1位相差層は光学的にBプレートとしての性質を有するものとなる。
以下、上記「等方性」および「異方性」について順に説明する。
まず、上記「等方性」について説明する。上述したように本発明における「等方性」とは、上記棒状化合物が上記第1位相差層内でランダムに配列していること意味するものである。
上記棒状化合物の「等方性」について図3を参照しながら説明する。図3(a)に例示するように上記「等方性」は、第1位相差層2において棒状化合物Aがランダムに配列していることを示すものである。
ここで、本発明においては上記棒状化合物Aの配列方向を説明するのに、図3(a)中のaで表す分子長軸方向(以下、分子軸と称する。)を基準として考えるため、上記棒状化合物Aの配列方向がランダムであることは、第1位相差層2に含まれる棒状化合物Aの分子軸aがランダムに向いていることを意味する。
なお、図3(a)に例示するような配列状態の他に、棒状化合物がコレステリック構造を有する場合であっても、上記分子軸の方向が全体としてランダムになるため、形式的には上記「等方性」に該当するが、本発明における上記「等方性」には、コレステリック構造に起因する形態は含まないものとする。
本発明に用いられる棒状化合物が、上記「等方性」を備えることは、上記第1位相差層の面内レターデーション(Re)評価、および、コレステリック構造に起因する選択反射波長の有無を評価することにより確認することができる。これは、上記第1位相差層の面内レターデーション(Re)評価により棒状化合物がランダムに配向をしていることを確認でき、選択反射波長の有無により棒状化合物がコレステリック構造を形成していないことを確認することができるからである。
上記棒状化合物がランダムに配向していることは、面内レターデーション(Re)の値が、上記棒状化合物の配向状態がランダムであることを示す範囲内であることにより、確認することができる。なかでも、本発明においては第1位相差層の面内レターデーション(Re)が0nm〜5nmであることが好ましい。
なお、上記棒状化合物がコレステリック構造を有しないことは、例えば、株式会社島津製作所製紫外可視近赤外分光光度計(UV−3100等)を用い、本発明における第1位相差層が、選択反射波長を有していないことを確認することにより評価できる。コレステリック構造を有する場合は、その特徴としてコレステリック構造の螺旋ピッチに依存する選択反射波長を有するからである。
次に、上記「異方性」について説明する。上述したように本発明における「異方性」とは、上記棒状化合物が上記第1位相差層内で分子軸が平均的に一方向に向くように配列している場合を意味するものである。
このような「異方性」について図3を参照しながら説明する。図3(b)に例示するように、上記「異方性」は、第1位相差層2の表面に対して垂直方向から正視した場合に、第1位相差層2において棒状化合物Aが平均的に一方向に配列していることを示すものである。
ここで、上述したように本発明においては上記棒状化合物Aの配列方向を説明するのに、図3(b)中のaで表す分子長軸方向を基準として考えるため、上記棒状化合物Aが一方向に配列しているということは、上記第1位相差層2に含まれる棒状化合物Aの分子軸aが平均的に一方向に向いていることを意味する。
上記棒状化合物が上記「異方性」を有していることは、第1位相差層の面内レターデーション(Re)の値が、第1位相差層が光学的にAプレートとしての性質を有すること評価することにより確認することができる。ここで、本発明において「光学的にAプレートとしての性質を有する」とは、面内レターデーション(Re)の値が5nm以上であること意味するが、なかでも本発明においては、第1位相差層の面内レターデーション(Re)が、5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、なかでも10nm〜200nmの範囲内の範囲内であることが好ましく、特に40nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記棒状化合物として2以上の複数のベンゼン環が結合された棒状の主骨格を有するものが用いられている場合、上記「等方性」および「異方性」は、上記第1位相差層の面内方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)を測定することによっても確認することができる。
すなわち、本発明における第1位相差層の面内における遅相軸方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)が、面内の進相軸方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)よりも大きいことを確認することにより、上記「異方性」を備えることを確認することができる。なかでも本発明においては、第1位相差層の面内における遅相軸方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)が、面内における進相軸方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)の1.1倍以上であることが好ましく、特に1.15倍以上であることが好ましく、さらに1.20倍〜3.00倍の範囲内であることが好ましい。
一方、本発明における第1位相差層の面内における遅相軸方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)と、面内の進相軸方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)とが、ほぼ同等であることにより、上記「等方性」を備えることを確認することができる。
ここで、本発明における上記ラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)は、例えば、レーザーラマン分光光度計(日本分光:NRS−3000)を用いて、直線偏光の電場振動面が第1位相差層の面内における遅相軸方向および進相軸方向に一致するように測定光を入射することにより、面内の進相軸方向および面内の進相軸方向のそれぞれについてラマン分光スペクトルを測定した後、1605cm−1(C−H結合由来ピーク)のピーク強度と、2942cm−1(ベンゼン環由来ピーク)のピーク強度とを評価することによって求めることができる。また、上記レーザーラマン分光光度計を用いてラマンスペクトルを測定する条件は、露光時間15秒、積算回数8回、励起波長532.11nmとする。
なお、上記第1位相差層の上記ラマンピーク強度比は、例えば、位相差フィルム全体の上記ラマンピーク強度比から第1位相差層以外の層が示す上記ラマンピーク強度比を差し引くことにより求めることができる。すなわち、位相差フィルム全体、および、位相差フィルムから第1位相差層を切除したものについて上記ラマンピーク強度比測定し、前者の値から後者の値を差し引くことにより第1位相差層の上記ラマンピーク強度比を求めることができる。
(3)その他の任意の化合物
本発明における第1位相差層には、上記棒状化合物以外に他の任意の化合物を含んでもよい。このような任意の化合物としては、例えば、光重合開始剤、重合禁止剤、レベリング剤、カイラル剤、シランカップリング剤等を挙げることができる。本発明に用いられるこのような化合物としては、一般的に公知の化合物を用いることができるため、ここでの詳しい説明は省略する。
また、本発明における第1位相差層には、上述した第1基材を構成する材料が含有されていてもよい。
(4)第1位相差層
本発明における第1位相差層の厚みは、上記棒状化合物の種類に応じて、第1位相差層に所望の光学特性を付与できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては第1位相差層の厚みが0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜8μmの範囲内であることが好ましく、特に0.5μm〜6μmの範囲内であることが好ましい。
また、本発明における第1位相差層の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
さらに、本発明に用いられる第1位相差層は、上述した第1基材上に形成されるものであるが、第1位相差層が上記第1基材上に積層されている態様としては、上記第1基材に接するように形成されている態様であってもよく、あるいは、上記第1基材との間に他の層を介して積層されている態様であってもよい。本発明においてはこれらのいずれの態様であってもよいが、なかでも上記第1基材に接するように形成されている態様が好ましい。このような態様で第1位相差層が第1基材上に形成されていることにより、第1基材と第1位相差層との密着性を向上させることができるからである。
また、第1位相差層が上記第1基材に接するように形成されている場合、上記第1位相差層が形成されている態様としては、第1基材と第1位相差層とが明確な界面を形成するように積層されている態様であってもよく、あるいは、上記第1基材と上記第1位相差層との間に明確な界面がなく、上記棒状化合物の濃度が連続的に変化するように積層されている態様であってもよい。
3.位相差フィルム
本発明の位相差フィルムは、必須の構成として上記第1基材、第2基材および第1位相差層を有するものであるが、本発明の位相差フィルムの構成としては上記第1基材上に上記第2基材および第1位相差層が形成されている構成であれば特に限定されるものではない。したがって、本発明の位相差フィルムの構成としては、上述した図1に例示するように、第1基材1の一方の面上に第1位相差層2が形成され、他方の面上に第2基材3が配置されている構成であってもよく、図4(a)に例示するように、第1基材1上に第1位相差層2が形成され、さらに第1位相差層2上に第2基材3が配置された構成であってもよく、あるいは、図4(b)に例示するように、第1基材1上に第2基材3が配置され、さらに第2基材3上に第1位相差層2が形成された構成であってもよい。
また、本発明の位相差フィルムには上記の必須の構成以外に、他の任意の構成を有していてもよい。本発明に用いられる任意の構成としては、本発明の位相差フィルムの用途に応じて所望の機能を有するものを適宜選択して用いることができる。なかでも本発明においては、上記任意の構成として上記第2基材上に形成され、棒状化合物を含有する第2位相差層を有することが好ましい。このような第2位相差層を有することにより、本発明の位相差フィルムにより高い厚み方向のレターデーション(Rth)を付与することが可能になるからである。また、このような第2位相差層を有することにより、本発明の位相差フィルムは、形式的に基材上に位相差層が積層された積層体が2枚積層された構成を有するものとなる。したがって、例えば、第1基材と第2基材とを同一構成とし、かつ、第1位相差層と第2位相差層とを同一構成とすることにより、同種のフィルムを2枚積層することによって、本発明の位相差フィルムを容易に製造することが可能になるからである。
本発明の位相差フィルムがこのような第2位相差層を有する場合について図を参照しながら説明する。図5は本発明の位相差フィルムが第2位相差層を有する場合の一例を示す概略図である。図5に例示するように本発明の位相差フィルム10’は、第2基材3上に、棒状化合物を含有する第2位相差層4を有することが好ましい。
本発明の位相差フィルムに上記第2位相差層が形成されている態様としては、第2位相差層が第2基材上に形成されている態様であれば特に限定されるものではない。このような態様としては、例えば、図6(a)に例示するように、第1基材1の一方の面上に第1位相差層2が形成され、他方の面上に第2位相差層4および第2基材3がこの順で積層された態様であってもよく、図6(b)に例示するように、第1基材上に、第1位相差層2、第2基材3および第2位相差層4がこの順で積層された態様であってもよく、あるいは、図6(c)に例示するように第1基材1上に、第1位相差層2、第2位相差層4および第2基材3がこの順で積層された態様であってもよい。本発明においては、位相差フィルムの用途に応じてこれらのいずれの態様であっても好適に用いることができる。
ここで、本発明に用いられる第2位相差層としては、上述した第1位相差層と同様のものを用いることができるため、ここでの詳しい説明は省略する。なお、本発明に用いられる第2位相差層は、上記第1位相差層と同一の構成を有するものであってもよく、あるいは、異なる構成を有するものであってもよい。
本発明に用いられる任意の構成としては上記第2位相差層以外にも、例えば、反射防止層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、帯電防止層、および、接着層等を用いることができる。
上記反射防止層としては、例えば、透明基材フィルム上に、該透明基材よりも低屈折率の物質からなる低屈折率層を形成したもの、或いは透明基材フィルム上に、該透明基材よりも高屈折率の物質からなる高屈折率層、及び、該透明基材よりも低屈折率の物質からなる低屈折率層とを、この順に、交互に、各1層ずつ以上積層したものなどが挙げられる。これら高屈折率層、及び低屈折率層は、層の幾何学的厚と屈折率との積で表される光学厚みが反射防止すべき光の波長の1/4となるように、真空蒸着、塗工等により形成される。高屈折率層の構成材料としては、酸化チタン、硫化亜鉛等が、低屈折率層の構成材料としては、弗化マグネシウム、氷晶石等が用いられる。
また、上記紫外線吸収層としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のフィルム中に、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物等から成る紫外線吸収剤を添加して成膜したものが挙げられる。
また、上記赤外線吸収層としては、例えば、ポリエステル樹脂等のフィルム基材上に吸収層を塗工等により形成したものが挙げられる。吸収層としては、例えば、ジインモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物等から成る赤外線吸収剤を、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等から成るバインダー樹脂中に添加して成膜したものが用いられる。
また上記接着層としては、一般的に公知の接着剤からなるものを用いることができる。
本発明の位相差フィルムは、光学的に負のCプレートとしての性質を有するものである。上述したように本発明の位相差フィルムが光学的に負のCプレートとしての性質を有する態様としては、光学的に負のCプレートとしての性質のみを有する態様(第1態様)と、光学的に負のCプレートとしての性質および光学的にAプレートとしての性質を併有する態様(第2態様)とを挙げることができる。
上記第1態様および第2態様のいずれの場合であっても、上記厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性は、逆分散型であってもよく、正分散型であってもよく、あるいは、フラット型であってもよい。本発明においては上記第1基材および上記第2基材が逆分散型であり、上記位相差層が正分散型であることから、これらのレターデーション比を適宜調整することにより位相差フィルム全体としてのレターデーション比を任意に調整することができる。
また本発明の位相差フィルムは、位相差フィルム全体として、波長450nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth450)と、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth550)との比が、Rth450/Rth550<1.10であることが好ましく、0.80<Rth450/Rth550<1.05の範囲内であることが好ましく、さらに1.00<Rth450/Rth550<1.02の範囲内であることが好ましい。これにより本発明の位相差フィルムを液晶表示装置用の視野角補償フィルムとして用いた場合に、広い波長範囲において視野角特性を改善することが可能になるからである。
4.位相差フィルムの用途
本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置に用いられる視野角補償フィルム、楕円偏光板、輝度向上フィルム等として用いることができる。なかでも特にVA方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償フィルムとして用いる場合においては、本発明の位相差フィルムを単体で用いることも可能であり、また、本発明の位相差フィルムと他の光学機能フィルムと積層して用いることも可能である。
また、本発明の位相差フィルムは、偏光子と貼り合わせることにより、偏光板としての用途にも用いることができる。すなわち、偏光板は、通常、偏光子とその両表面に形成された偏光板保護フィルムとからなるものであるが、本発明においては、例えば、その一方の偏光板保護フィルムとして本発明の位相差フィルムを用いることにより、液晶表示装置の視野角補償機能を備える偏光板として用いることができる。
5.位相差フィルムの製造方法
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。本発明の位相差フィルムの製造方法としては、上記構成を有する位相差フィルムを製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、次の方法を例示することができる。
第1の方法は、第1基材を用い、棒状化合物を含有する第1位相差層形成用塗工液を上記第1基材上に塗工することにより第1基材上に第1位相差層が形成された第1積層体を形成する工程と、第2基材を用い、棒状化合物を含有する第2位相差層形成用塗工液を上記第2基材上に塗工することにより第2基材上に第2位相差層が形成された第2積層体を形成する工程と、上記第1積層体と上記第2積層体とを貼り合わせる工程とを有する方法である。
第2の方法は、第1基材を用い、棒状化合物を含有する第1位相差層形成用塗工液を上記第1基材上に塗工することにより第1基材上に第1位相差層が形成された第1積層体を形成する工程と、上記第1積層体の第1位相差層上に第2基材を貼り合わせる工程とを有する方法である。
本発明の位相差フィルムは、上記のいずれの方法であっても製造することができるが、なかでも上記第1の方法によれば、より簡便に本発明の位相差フィルムを製造することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、実施例を示すことにより本発明についてさらに具体的に説明する。
1.実施例1
基材として、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 TF80UL)を用いた。次いで、屈折率異方性材料として下記式で表される光重合性液晶化合物、重合開始剤としてイルガキュア907(日本チバガイギー社製)を光重合性液晶化合物に対して5wt%とし、シクロヘキサノンに25wt%溶解させ、位相差層形成用塗工液とした。この位相差層形成用塗工液を上記基材上に、バーコート法により塗工し、40℃オーブンで2分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて、100mJ/mの紫外線を照射して硬化させ、基材上に厚み3μmの位相差層形成用層が形成された第1積層体を作製した。
Figure 2008287084
次に、上記第1積層体の作製方法と同様の方法によって、第2基材と第2位相差層とが積層された第2積層体を作製し、第1積層体と、第2積層体とを貼り合わせることによって本発明の位相差フィルムを作製した。
作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける厚み方向のレターデーションが580nmであり、レターデーション比が1.04であった。また、基材、位相差層、第1積層体および第2積層体のレターデーション比は、それぞれ、0.86、1.05、1.00および1.00であった。
2.実施例2
第1積層体における位相差層形成用層の厚みを2μmとし、第2積層体における位相差層形成用層の厚みを3μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により、位相差フィルムを作製した。
作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける厚み方向のレターデーションが389nmであり、レターデーション比が1.00であった。また、基材、位相差層、第1積層体および第2積層体のレターデーション比は、それぞれ、0.86、1.05、1.00および1.01であった。
3.実施例3
第1積層体および第2積層体における位相差層形成用層の厚みを7μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。
作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける厚み方向のレターデーションが495nmであり、レターデーション比が1.01であった。また、基材、位相差層、第1積層体および第2積層体のレターデーション比は、それぞれ、0.86、1.05、1.03および1.03であった。
4.比較例1
基材として、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 TF80UL)を用い、当該基材上に実施例1で用いたものと同様の組成を有する位相差層形成用塗工液を塗布することにより、基材上に厚み10μmの位相差層形成用層が形成された積層体を作製した。
次に、上記位相差層形成用層に紫外線を照射することによって、位相差層形成用層中に含まれる棒状化合物を硬化することにより、基材上に位相差層が形成された位相差フィルムを作製した。
作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける厚み方向のレターデーションが598nmであり、レターデーション比が1.04であった。また、基材のレターデーション比は0.86であり、位相差層のレターデーション比は1.05であった。
5.比較例2
基材として、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 TF80UL)を用い、当該基材上に実施例1で用いたものと同様の組成を有する位相差層形成用塗工液を塗布することにより、基材上に厚み10μmの位相差層形成用層が形成された積層体を作製した。
次に、上記位相差層形成用層に紫外線を照射することによって、位相差層形成用層中に含まれる棒状化合物を硬化することにより、基材上に位相差層が形成された位相差フィルムを作製した。
作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける厚み方向のレターデーションが568nmであり、レターデーション比が1.05であった。また、基材のレターデーション比は0.86であり、位相差層のレターデーション比は1.05であった。
本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。 本発明における第1位相差層の一例を示す概略図である。 本発明における第1位相差層の他の例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムの他の例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムの他の例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムの他の例を示す概略図である。 一般的な液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。 位相差フィルムが用いられた液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。
符号の説明
1 … 第1基材
2 … 第1位相差層
3 … 第2基材
4 … 第2位相差層
10,10’ … 位相差フィルム
101 … 液晶セル
102A,102B … 偏光板
103 … 位相差フィルム

Claims (5)

  1. 光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムであって、
    厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が逆分散型である第1基材と、
    前記第1基材上に形成され、棒状化合物を含有し、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が正分散型である第1位相差層と、
    前記第1基材上に形成され、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が逆分散型である第2基材と、を有することを特徴とする、位相差フィルム。
  2. 前記第2基材上に形成され、棒状化合物を含有し、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が正分散型である第2位相差層を有することを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 位相差フィルム全体として、波長450nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth450)と、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth550)とに、Rth450/Rth550<1.02の関係が成立することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の位相差フィルム。
  4. 23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth)が300nm〜500nmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の位相差フィルム。
  5. 前記棒状化合物が、ランダムホモジニアス配向を形成していることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の位相差フィルム。
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