JP2009128637A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Takeshi Yanaya
岳史 梁谷
Keiji Kashima
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Abstract

【課題】視野角特性および表示品質に優れた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶セルの一方の面側に配置され、両面に保護フィルムを有する第1偏光板、および、液晶セルの他方の面側に配置され、両面に保護フィルムを有する第2偏光板を備え、液晶セルおよび第1偏光子の間、または液晶セルおよび第2偏光子の間に配置された位相差フィルムを有する液晶表示装置であって、上記位相差フィルムとして、屈折率nx、nyおよび厚み方向の屈折率nzにnx≧ny>nzの関係が成立するものが用いられており、かつ、第1偏光子と液晶セルとの間に配置された位相差フィルムおよび/または保護フィルム、ならびに第2偏光子と液晶セルとの間に配置された位相差フィルムおよび/または保護フィルムの厚み方向のレターデーションの絶対値の総和を、液晶セルの厚み方向のレターデーションの絶対値と、同程度にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直配向(VA)型液晶が用いられた液晶セルを有する液晶表示装置に関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、例えば図6に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものが代表的である。ここで、偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、TN、STN、VA、IPS、およびOCB等に分類される。なかでも今日においては、上記VA駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
一方、液晶表示装置はその特有の問題点として、液晶セルが示す屈折率異方性と、偏光板との視角による見かけのなす角度変化に起因する視野角により表示品質が低下する問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角依存性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重大性を増している。
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある。この位相差フィルムを用いる方法は、図7に示すように所定の光学特性を有する位相差フィルム103及び104を、液晶セル101と偏光板102Aおよび102Bとの間に配置することにより、視野角依存性の問題を改善する方法である。このような方法は位相差フィルム103を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。例えば、上述したVA方式の液晶表示装置においては、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムと、光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムとを併用することが技術常識となっており、これにより良好な視野角特性が達成されている(例えば、特許文献1)。
国際公開第2003/032060号パンフレット
ところで、近年の液晶表示装置の需要拡大に伴って、表示品質に対しても高いレベルの要求が高まっていることに伴い、従来のVA方式の液晶表示装置においては位相差フィルムを用いることに起因する表示品質の低下が指摘されている。すなわち、VA方式の液晶表示装置においては、上述したように光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムと、光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムを併用することにより良好な視野角特性が達成されてきた。しかしながら、その一方で複数の位相差フィルムを用いることによって視認される色味が変化してしまい、表示品質の低下の原因となっていることが指摘されている。より具体的には、位相差フィルムはその光学特性(複屈折率)に応じて、透過する光の位相を変化させることにより、液晶表示装置の視野角特性の改善に寄与するものであるが、変化される位相の程度は光の波長によって異なるものである。したがって、位相差フィルムを用いて表示品質を損なうことなく視野角特性を改善するには、位相差フィルムにおいて位相が変化される程度を、全波長領域において同程度にすることが望ましいものである。従来のVA方式の液晶表示装置には複数の位相差フィルムが用いられていたことから、位相差フィルムにおいて位相が変化される程度を全波長領域において同程度にするには、すべての位相差フィルムを通して変化される位相の程度を全波長領域において同程度にする必要があるが、現実的には複数の位相差フィルムの光学特性を任意に制御し、これを実現することには多大な困難性を伴うものであった。このため、従来の複数の位相差フィルムが用いられたVA方式の液晶表示装置においては、視野角コントラストは優れるものの、表示画像の色味が損なわれる等、表示品質の不十分さが指摘されつつあった。
また、従来のVA方式の液晶表示装置において複数の位相差フィルムが用いられていたことに起因して、次のような問題点が指摘されていた。
まず、液晶表示装置の普及が進むにつれて、市場価格も製品の競争力にとって重要な要素になっているところ、従来のVA方式の液晶表示装置においては、複数の位相差フィルムが用いられていたことから、これに起因してコスト高となってしまう点が指摘されていた。
また、上述したように従来のVA方式の液晶表示装置に用いられる位相差フィルムとしては、光学的に正のAプレートとしての性質を有するものが用いられていたため、製造工程が複雑化するという点が指摘されていた。すなわち、光学的にAプレートとしての性質を有する位相差フィルムは、面内方向において屈折率の異方性を示すものであるところ、このような位相差フィルムを液晶表示装置に用いる際には、位相差フィルムの遅相軸と、偏光板を構成する偏光子の透過軸とを厳格に一致させる必要があるため、これを工業的に実現させるために工程が複雑化してしまうという問題点が指摘されていた。さらに両者の軸がずれることに起因する視野角特性および表示品質の低下も問題視されていた。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、従来品と比較して簡略化された構成であるにもかかわらず、視野角特性および表示品質の双方に優れ、かつ簡易な工程で、かつ高生産性で製造可能な液晶表示装置を提供することを主目的とするものである。
上記問題点に鑑みて本発明者らが鋭意検討した結果、VA液晶セルの光学特性と、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムの光学特性とを、一定の関係にすることによって、従来、不可欠とされてきた光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムを用いることなく、視野角特性と表示品質との双方に優れた液晶表示装置を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、上記課題を解決するために本発明は、垂直配向型液晶が用いられたVA液晶セル、上記VA液晶セルの一方の面側に配置され、第1偏光子と、上記第1偏光子の両面上に積層された偏光板保護フィルムとを有する第1偏光板、および、上記VA液晶セルのもう一方の面側に配置され、第2偏光子と、上記第2偏光子の両面上に積層された偏光板保護フィルムとを有する第2偏光板を備え、上記VA液晶セルおよび上記第1偏光子の間、または上記VA液晶セルおよび上記第2偏光子の間の少なくとも一方に配置された位相差フィルムを有する液晶表示装置であって、上記位相差フィルムとして、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyおよび厚み方向の屈折率nzにnx≧ny>nzの関係が成立するもののみが用いられており、かつ、上記第1偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルム、ならびに上記第2偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルムの厚み方向のレターデーションの絶対値の総和(|Rth|)が、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、同程度であることを特徴とする、液晶表示装置を提供する。
本発明によれば、上記第1偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルム、ならびに上記第2偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルム(以下、これらの位相差フィルムおよび偏光板保護フィルムを合わせて「位相差フィルム等」と称する場合がある。)の厚み方向のレターデーションの絶対値の総和(|Rth|)と、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、が同程度であることにより、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムのみを用い、従来のVA方式の液晶表示装置には必須とされてきた光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムを用いることなく、視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
また、本発明によれば、従来のVA方式の液晶表示装置には必須とされてきた光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムが不要になることにより、液晶表示装置の構成を簡略化できることに加えて、従来、製造工程を複雑化する原因となっていた位相差フィルムの遅相軸と、偏光板の透過軸とを厳格に一致させる工程を不要にすることができる。このため、本発明によれば高生産性を実現可能な簡易な工程で、かつ安価で製造可能な液晶表示装置を得ることができる。
本発明においては、上記位相差フィルム等の厚み方向のレターデーション(Rth)の絶対値の総和(|Rth|)と、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)との比が、0.8<|Rth(C)|/|Rth|<1.2の範囲内であることが好ましい。これにより本発明の液晶表示装置をさらに視野角特性に優れたものにできるからである。
また、本発明においては上記第1偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルム、ならびに上記第2偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルムの角度40度における波長450nmのレターデーションの和(Re40(450))と、角度40度における波長550nmのレターデーションの和(Re40(550))との比(Re40(450)/Re40(550))が、上記VA液晶セルの角度40度における波長450nmのレターデーション(Re(C)40(450))と角度40度における波長550nmのレターデーション(Re(C)40(550))の比(Re(C)40(450)/Re(C)40(550))と同程度であり、かつ、Re40(450)/Re40(550)>1、およびRe(C)40(450)/Re(C)40(550)>1が成立することが好ましい。これにより本発明の液晶表示装置を視野角特性のみならず、表示品質にも優れたものにできるからである。
さらに本発明においては、上記Re40(450)/Re40(550)の絶対値(|Re40(450)/Re40(550)|)と、上記Re(C)40(450)/Re(C)40(550)の絶対値(|Re(C)40(450)/Re(C)40(550)|)との比が、0.8<|Re(C)40(450)/Re(C)40(550)|/|Re40(450)/Re40(550)|<1.2の範囲内であることが好ましい。これにより本発明の液晶表示装置を表示品質にさらに優れたものにできるからである。
また本発明においては、上記位相差フィルムが、透明基板と、上記透明基板上に直接形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含有する位相差層とを有するものであり、かつ、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることが好ましい。上記位相差フィルムがこのような構成を有するものであることにより、位相差フィルムに任意の光学特性を付与することが可能になる結果、例えば、位相差フィルムの厚み方向のレターデーション(Rth)の絶対値(|Rth|)を、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と同程度にすることが容易になるからである。
さらに本発明においては、上記第1偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルム、ならびに上記第2偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルムの面内レターデーション(Re)の絶対値の総和が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。これにより、本発明の液晶表示装置をさらに視野角特性に優れたものにできるからである。
本発明の液晶表示装置は、VA方式の液晶表示装置であって、従来品と比較して簡略化された構成であるにもかかわらず、視野角特性および表示品質の双方に優れ、かつ簡易な工程で、かつ高生産性で製造することができるという効果を奏する。
以下、本発明の液晶表示装置について詳細に説明する。
上述したように本発明の液晶表示装置は、垂直配向型液晶が用いられたVA液晶セル、上記VA液晶セルの一方の面側に配置され、第1偏光子と、上記第1偏光子の両面上に積層された偏光板保護フィルムとを有する第1偏光板、および、上記VA液晶セルのもう一方の面側に配置され、第2偏光子と、上記第2偏光子の両面上に積層された偏光板保護フィルムとを有する第2偏光板を備え、上記VA液晶セルおよび上記第1偏光子の間、または上記VA液晶セルおよび上記第2偏光子の間の少なくとも一方に配置された位相差フィルムを有する液晶表示装置であって、上記位相差フィルムとして、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyおよび厚み方向の屈折率nzにnx≧ny>nzの関係が成立するもののみが用いられており、かつ、上記第1偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルム、ならびに上記第2偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルムの厚み方向のレターデーションの絶対値の総和(|Rth|)が、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、同程度であることを特徴とするものである。
このような本発明の液晶表示装置について図を参照しながら説明する。図1は本発明の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。図1(a)に例示するように本発明の液晶表示装置10は、垂直配向型液晶が用いられたVA液晶セル1と、上記VA液晶セル1の一方の面側に配置された第1偏光板2Aと、上記VA液晶セル1の他の方の面側に配置された第2偏光板2Bと、上記VA液晶セル1および上記第1偏光板2Aの間、および上記VA液晶セル1および上記第2偏光板2Bの間に配置された位相差フィルム3とを有するものである。また、上記第1偏光板2Aおよび第2偏光板2Bは、それぞれ偏光子2aと、当該偏光子2aの両面に配置された偏光板保護フィルム2bとを有するものである。
このような例において、本発明の液晶表示装置10は、上記位相差フィルム3として、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyおよび厚み方向の屈折率nzにnx≧ny>nzの関係が成立するもののみが用いられており、かつ、上記第1偏光子2aと上記VA液晶セル1との間に配置された上記位相差フィルム3および上記偏光板保護フィルム2b、ならびに上記第2偏光子2aと上記VA液晶セル1との間に配置された上記位相差フィルム3および上記偏光板保護フィルム2bの厚み方向のレターデーションの絶対値の総和(|Rth|)が、上記VA液晶セル1の厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、同程度であることを特徴とするものである。
また、図1(b)は本発明の液晶表示装置の他の例を示す概略断面図である。図1(b)に例示するように、本発明の液晶表示装置10は、上記位相差フィルム3が、第1偏光板2A’および第2偏光板2B’における偏光板保護フィルムとして用いられていてもよい。
このような場合、本発明の液晶表示装置10は、2枚の位相差フィルム3の厚み方向のレターデーションの絶対値の総和(|Rth|)が、上記VA液晶セル1の厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、同程度であることを特徴とするものになる。
なお、図1においては本発明の液晶表示装置の例として、第1偏光子とVA液晶セルとの間、および第2偏光子とVA液晶セルとの間の両方に位相差フィルムが用いられた例を示したが、本発明の液晶表示装置はこのような例に限定されるものではなく、第1偏光子とVA液晶セルとの間、および第2偏光子とVA液晶セルとの間の少なくとも一方に位相差フィルムが配置されていればよい。
本発明によれば、上記位相差フィルム等の厚み方向のレターデーション(Rth)の絶対値(|Rth|)と、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、が同程度であることにより、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムのみを用い、従来VA方式の液晶表示装置には必須とされてきた光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムを用いることなく、視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
ここで、上記位相差フィルム等の厚み方向のレターデーション(Rth)の絶対値(|Rth|)と、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、が同程度であることにより、従来VA方式の液晶表示装置には必須とされてきた光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムを用いることなく、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムのみを用いて視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることができる理由は次の通りである。
まず、液晶表示装置が視野角特性の特有の問題を有するのは、主として、液晶セルが示す屈折率異方性(複屈折率)に起因して、バックライト側に配置された偏光板を通過した直線偏光が(楕)円偏光とされ、表示側に配置された偏光板によって遮蔽されるべき光が透過してしまうことに起因するものである。また、偏光板の吸収軸は偏光板の吸収軸のなす間の角度から見ると、視角によって吸収軸の見かけのなす角度が変化し、クロスニコルの関係を変えるため、偏光板によって遮蔽されるべき光が透過してしまうことにも起因するものである。したがって、このような視野角特性を改善するためには上記液晶セルが示す屈折率異方性と偏光板との視角による見かけのなす角度変化を何らかの手段により解消することが直接的な手段となる。この点、位相差フィルムは特定の位相差性(屈折率異方性)を示すことにより、上記液晶セルが示す屈折率異方性を相殺することができ、これにより優れた視野角特性を実現することができるものである。
従来のVA方式の液晶表示装置においては、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムと、光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムとが併用されることが技術常識となっていたが、これは主として次のような理由に基づくものであった。すなわち、偏光板の吸収軸は偏光板の吸収軸のなす間の角度から見ると、視角によって吸収軸の見かけのなす角度が変化し、クロスニコルの関係を変化してしまうため、偏光板によって遮蔽されるべき光が透過してしまう。このような光の透過を防止するために、VA方式の液晶表示装置においては、液晶セル自体が正のCプレートとして機能することを利用し、正のAプレートと正のCプレートを用いる方法が採用されてきた。しかしながら、VA液晶セルの位相差値は非常に大きいため、これを適切な程度にキャンセルする機能として負のCプレートも併用されるのが通常であった。
本発明はこのような従来の考え方を転換することにより光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムを用いることなく、視野角特性に優れたVA方式の液晶表示装置を得ることを実現できるものである。
すなわち、上述したように、従来は実用上許容される最低限の視野角特性を達成するには、液晶セルが示す屈折率異方性と、偏光板との視角による見かけのなす角度変化を補償することが必須と考えれられてきた。しかしながら、本発明者らが検討した結果、VA方式の液晶表示装置においては、上記偏光板の視角による見かけのなす角度変化が視野角特性に与える影響は僅かであり、液晶セルの屈折率異方性の寄与が支配的であることが判明したことから、液晶セルの屈折率異方性のみを完全に解消することができれば、IPS方式等の他方式の液晶表示装置と比較して遜色のない視野角特性を実現することができることが明らかとなった。このため、本発明は従来の技術常識を転換し、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムの厚み方向のレターデーション(Rth)の絶対値(|Rth|)と、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、を同程度とし、上記位相差フィルムによってVA液晶セルの屈折率をほぼ完全に解消することにより、光学的に正のAプレートとしての位相差フィルムを用いることなく、視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることができるのである。
また、本発明によれば、従来、VA方式の液晶表示装置には必須とされてきた光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムが不要になることにより、液晶表示装置の構成を簡略化できることに加えて、従来、製造工程を複雑化する原因となっていた位相差フィルムの遅相軸と、偏光板の透過軸とを厳格に一致させる工程を不要にすることができる。このように、光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムが不要になることにより位相差フィルムの遅相軸と、偏光板の透過軸とを厳格に一致させる工程を不要にすることができるのは、光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムは、面内方向に屈折率異方性を有さないからである。
このようなことから、本発明によれば高生産性を実現可能な簡易な工程で、かつ安価で製造可能な液晶表示装置を得ることができる。
なお、上述したように本発明の液晶表示装置は、上記第1偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルム、ならびに上記第2偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルムの厚み方向のレターデーションの絶対値の総和(|Rth|)が、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、同程度であることを特徴とするものであるが、上記偏光板保護フィルムのレターデーションが上記|Rth|の要素として加えられるのは、上記偏光板保護フィルムが、位相差フィルムと同様に光学的に負のCプレートとしての性質を有する場合に限られる。
また、上記厚み方向のレターデーション(Rth)とは、位相差フィルム等またはVA液晶セルの面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率をnx、ny、厚み方向の屈折率をnz、さらに厚みをdとした場合に、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dで表されるものである。このようなRthは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。また、上記Rthは、測定する波長および測定角度によって値が変化する場合があるが、特筆しない限り本発明におけるRthは23℃、55%RHの環境下で、波長589nmの光を、厚み方向に対して平行に入射して測定した際に値を意味するものとする。
本発明の液晶表示装置は、少なくともVA液晶セル、第1偏光板、第2偏光板および位相差フィルムが用いられたものである。
以下、このような本発明に用いられる各構成について順に説明する。
1.位相差フィルム
まず、本発明に用いられる位相差フィルムについて説明する。本発明に用いられる位相差フィルムは、本発明の液晶表示装置において第1偏光子とVA液晶セルとの間、または第2偏光子とVA液晶セルとの間の少なくとも一方に配置されるものであり、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyおよび厚み方向の屈折率nzにnx≧ny>nzの関係が成立するもの、すなわち光学的に負のCプレートとしての性質を有するものである。
以下、このような位相差フィルムについて詳細に説明する。
本発明に用いられる位相差フィルムの厚み方向のレターデーション(Rth)の値としては、本発明における位相差フィルム等の厚み方向のレターデーションの絶対値の総和|Rth|と、後述するVA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の値に応じて、絶対値がこれと同程度となるように適宜調整されるものである。また、本発明に用いられる位相差フィルムは、光学的に負のCプレートとしての性質を有するものであるため、厚み方向のレターデーション(Rth)は、通常、正の値を示すことになる。
本発明に用いられる位相差フィルムの厚み方向のレターデーション(Rth)の具体的な値は、後述するVA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の値等に依存して決定されるため、絶対値として特に好ましい値はないが、通常は、250〜400の範囲内、または260〜350の範囲内とされる。
本発明に用いられる位相差フィルムの構成としては、単一のフィルムからなり、必要に応じて光学特性発現させる材料が含まれる構成であってもよく、あるいは透明基板と、上記透明基板上に形成された配向層と、上記配向層上に形成され、光学異方性材料を含有する位相差層と、を有する構成であってもよい。なかでも本発明に用いられる位相差フィルムは、透明基板と、上記透明基板上に直接形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含有する位相差層とを有するものであることが好ましい。本発明に用いられる位相差フィルムがこのような構成を有するものであることにより、位相差フィルムに任意の光学特性を付与することが可能になるからである。
このような構成を有する位相差フィルムについて図を参照しながら説明する。図2は本発明に用いられる位相差フィルムの一例を示す概略斜視図である。図2に例示するように、本発明に用いられる位相差フィルム3は、透明基板3aと、上記透明基板3a上に直接形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含有する位相差層3bとを有するものであることが好ましい。
以下、このような構成を有する位相差フィルムについて説明する。
(1)透明基板
まず、上記透明基板について説明する。本発明に用いられる透明基板としては、後述する位相差層と相まって、本発明に用いられる位相差フィルムに所望の光学特性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような透明基板としては、例えば、セルロース誘導体、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネートからなる透明基板を例示することができる。なかでも本発明においてはセルロース誘導、または、シクロオレフィン系ポリマーからなる透明基板を用いることが好ましい。
本発明に用いられるセルロース誘導体としては、セルロースエステルを用いることが好ましく、さらに、セルロースエステル類のなかでも、セルロースアシレート類を用いることが好ましい。セルロースアシレート類は工業的に広く用いられていることから、入手容易性の点において有利だからである。
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが用いられることが好ましい。このような低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであってもよい。
また、本発明においては、上記低級脂肪酸エステルのなかでもセルロースアセテートを特に好適に用いることができる。また、セルロースアセテートのなかでも平均酢化度が57.5〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算により求めることができる。
一方、本発明に用いられるシクロオレフィン系ポリマーとしては、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する樹脂であれば特に限定されるものではない。このような上記環状オレフィンからなるモノマーとしては、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。
なお、上記シクロオレフィン系ポリマーとしては、シクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであっても好適に用いることができる。また、本発明に用いられるシクロオレフィン系ポリマーは上記環状オレフィンからなるモノマーの単独重合体であってもよく、または、共重合体であってもよい。
本発明に用いられるシクロオレフィン系ポリマーは、23℃における飽和吸水率が1質量%以下であるものが好ましく、なかでも0.1質量%〜0.7質量%の範囲内であるものが好ましい。このようなシクロオレフィン系ポリマーを用いることにより、本発明によって製造される位相差フィルムを吸水による光学特性の変化や寸法の変化がより生じにくいものとすることができるからである。
ここで、上記飽和吸水率は、ASTMD570に準拠し23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる。
また、本発明に用いられるシクロオレフィン系ポリマーは、ガラス転移点が100℃〜200℃の範囲内であるものが好ましく、特に100℃〜180℃の範囲内であるものが好ましく、なかでも100℃〜150℃の範囲内であるものが好ましい。ガラス転移点が上記範囲内であることにより、本発明によって製造される位相差フィルムの耐熱性および加工適性を向上させることができるからである。
本発明に用いられるシクロオレフィン系ポリマーからなる透明基板の具体例としては、例えば、Ticona社製 Topas、ジェイエスアール社製 アートン、日本ゼオン社製 ZEONOR、日本ゼオン社製 ZEONEX、三井化学社製 アペルや、これらの透明基板に延伸処理を施したもの等挙げることができる。
本発明に用いられる透明基板の厚みは、本発明に用いられる位相差フィルムに必要な自己支持性を備えることができる程度であれば特に限定されないが、通常、25μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、なかでも20μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。透明基板の厚みが上記の範囲よりも薄いと、位相差フィルムに必要な自己支持性を付与することができない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、位相差フィルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
本発明に用いられる透明基板の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成であってもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
(2)位相差層
次に、上記位相差層について説明する。上記位相差層は、上述した透明基板上に直接形成されるものであり、屈折率異方性を有する棒状化合物を含有するものである。
ここで、上記「透明基板上に直接形成される」とは、位相差層と透明基板との間に他の層を介することなく、位相差層が透明基板に接するように形成されることを意味するものである。
(棒状化合物)
上記棒状化合物としては、位相差層に所定の態様で含有されることにより、本発明に用いられる位相差フィルムに所望の厚み方向のレターデーションを付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる棒状化合物は液晶性を示す液晶性材料であることが好ましい。液晶性材料は屈折率異方性が大きいため、本発明の位相差フィルムに所望の位相差性を付与することが容易になるからである。
上記液晶性材料としては、本発明の位相差フィルムに所望の位相差性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような液晶性材料としては、例えば、ネマチック相、コレステリック相、および、スメクチック相等の液晶相を示す材料を挙げることができる。
本発明においては、これらのいずれの液晶相を示す材料であっても好適に用いることができるが、なかでもネマチック相を示す液晶性材料を用いることが好ましい。ネマチック相を示す液晶性材料は、他の液晶相を示す液晶性材料と比較して規則的に配列させることが容易であるからである。
また、本発明においては、上記ネマチック相を示す液晶性材料として、メソゲン両端にスペーサを有する材料を用いることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶性材料は柔軟性に優れるため、このような液晶性材料を用いることにより、本発明の位相差フィルムを透明性に優れたものにできるからである。
さらに、本発明に用いられる棒状化合物は、分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられ、なかでも3次元架橋可能な重合性官能基を有するものがより好適に用いられる。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物を重合して固定することが可能になるため、配列安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくい位相差フィルムを得ることができるからである。
また、本発明においては上記重合性官能基を有する棒状化合物と、上記重合性官能基を有さない棒状化合物とを混合して用いてもよい。
なお、上記「3次元架橋」とは、液晶性分子を互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。
上記重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。これらの中でもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
さらにまた、本発明における棒状化合物は液晶性を示す液晶性材料であって、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。このような液晶材料を用いることにより、例えば、互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、配列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた上記を形成することができるからである。
なお、本発明においては片末端に重合性官能基を有する液晶性材料を用いた場合であっても、他の分子と架橋して配列安定化することができる。
本発明に用いられる棒状化合物の具体例としては、下記式(1)〜(6)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2009128637
ここで、化学式(1)、(2)、(5)および(6)で示される液晶性材料は、D.J.Broerら、Makromol.Chem.190,3201−3215(1989)、またはD.J.Broerら、Makromol.Chem.190,2250(1989)に開示された方法に従い、あるいはそれに類似して調製することができる。また、化学式(3)および(4)で示される液晶性材料の調製は、DE195,04,224に開示されている。
また、末端にアクリレート基を有するネマチック液晶性材料の具体例としては、下記化
学式(7)〜(17)に示すものも挙げられる。
Figure 2009128637
なお、本発明において上記棒状化合物は、1種類のみを用いてもよく、または、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、上記棒状化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。
(棒状化合物の配列形態)
次に、本発明における位相差層中において棒状化合物が配列している形態について説明する。上記棒状化合物が配列している形態としては、本発明の位相差フィルムに光学的に負のCプレートとしての性質を付与できる形態であれば特に限定されるものではない。このような形態としては、例えばコレステリック配向や、以下に説明するランダムホモジニアス配向などを挙げることができる。
上記ランダムホモジニアス配向について説明する。本発明における棒状化合物のランダムホモジニアス配向は、少なくとも、次の3つの特徴を有するものである。すなわち、本発明における上記ランダムホモジニアス配向は、
第1に、位相差層における棒状化合物の配列方向がランダムであること(以下、単に「不規則性」と称する場合がある。)、
第2に、位相差層において棒状化合物が形成するドメインの大きさが可視光領域の波長よりも小さいこと(以下、単に「分散性」と称する場合がある。)、
第3に、位相差層において棒状化合物が面内配向していること(以下、単に「面内配向性」と称する場合がある。)、
を少なくとも備えるものである。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向について図3を参照しながら説明する。図3(a)は上述した図2中のZで表す位相差層の法線方向から本発明に用いられる位相差フィルムを正視した場合の概略図である。また、図3(b)、(c)は、図3(a)におけるX−X’線矢視断面図である。
まず、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「不規則性」について図3(a)を参照しながら説明する。上記「不規則性」は、図3(a)に示すように、位相差層3bにおいて棒状化合物Aがランダムに配列していることを示すものである。
ここで、本発明においては上記棒状化合物Aの配列方向を説明するのに、図3(a)中のaで表す分子長軸方向(以下、分子軸と称する。)を基準にして考えるものとする。したがって、上記棒状化合物Aの配列方向がランダムであることは、上記位相差層3bに含まれる棒状化合物Aの分子軸aがランダムに向いていることを意味する。
図3(a)に例示するような配列状態の他に、棒状化合物Aがコレステリック構造を有する場合であっても、上記分子軸aの方向が全体としてランダムになるため、形式的には上記「不規則性」に該当するが、上記「不規則性」には、コレステリック構造に起因する形態は含まないものとする。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「分散性」について図3(a)を参照しながら説明する。上記「分散性」は、図3(a)に示すように、位相差層3bにおいて棒状化合物AがドメインA’を形成している場合に、ドメインA’の大きさが可視光領域の波長よりも小さいことを示すものである。本発明においては、上記ドメインA’の大きさが小さい程好ましいものであり、棒状化合物がドメインを形成せずに単分子で分散している状態が最も好ましいものである。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「面内配向性」について図3(b)を参照しながら説明する。上記「面内配向性」は、図3(b)に示すように、位相差層3bにおいて棒状化合物Aが、分子軸aを位相差層3bの法線方向Zに対して略垂直になるように配向していることを意味する。本発明における上記「面内配向性」としては、図3(b)に示すように、上記位相差層3bにおけるすべての棒状化合物Aの分子軸aが上記法線方向Zに対して略垂直になっている場合のみを意味するものではなく、例えば図3(c)に示すように、上記位相差層3bに分子軸a’が上記法線方向Zと垂直でない棒状化合物Aが存在していたとしても、位相差層3b中に存在する棒状化合物Aの分子軸aの平均的な方向が上記法線方向Zに対して略垂直である場合を含むものである。
上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることにより、図2に示すx方向の屈折率nxと、y方向の屈折率nyと、z方向の屈折率nzに、nx=ny>nzの関係が成立することから、本発明に用いられる位相差フィルムを光学的に負のCプレートとして作用する光学特性の発現性に優れたものにできる。
以上説明したように、本発明におけるランダムホモジニアス配向は、少なくとも「不規則性」、「分散性」および「面内配向性」を示すことを特徴とするが、本発明の位相差フィルムが、これらの特徴を有することについては、以下の方法により確認することができる。
まず、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「不規則性」の確認方法について説明する。上記「不規則性」は、本発明の位相差フィルムを構成する位相差層の面内レターデーション(Re’)評価、および、コレステリック構造に起因する選択反射波長の有無を評価することにより確認することができる。
すなわち、本発明の位相差フィルムを構成する位相差層の面内レターデーション(Re’)評価により棒状化合物がランダムに配向をしていることを確認でき、選択反射波長の有無により棒状化合物がコレステリック構造を形成していないことを確認することができる。
上記棒状化合物がランダムに配向していることは、面内レターデーション(Re’)の値が、上記棒状化合物の配向状態がランダムであることを示す範囲内であることにより、確認することができる。なかでも、本発明においては位相差層の面内レターデーション(Re’)が0nm〜5nmの範囲内であることが好ましい。
上記位相差層のRe’は、例えば、位相差フィルムの面内レターデーションから位相差層以外の層が示す面内レターデーションを差し引くことにより求めることができる。すなわち、位相差フィルム全体、および、位相差フィルムから位相差層を切除したものについてRe測定し、前者の測定値から後者の測定値を差し引くことにより位相差層の面内レターデーションを求めることができる。面内レターデーションは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
上記棒状化合物がコレステリック構造を有しないことは、例えば、株式会社島津製作所製紫外可視金赤外分光光度計(UV−3100等)を用い、本発明における位相差層が、選択反射波長を有していないことを確認することにより評価できる。コレステリック構造を有する場合は、その特徴としてコレステリック構造の螺旋ピッチに依存する選択反射波長を有するからである。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「分散性」の確認方法について説明する。上記「分散性」は、本発明の位相差フィルムを構成する位相差層のヘイズ値が、上記棒状化合物のドメインの大きさが可視光領域の波長以下であることを示す範囲内であることにより確認することができる。なかでも本発明においては、位相差層のヘイズ値が0.1%〜1%の範囲内であることが好ましい。ここで、上記ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した値を用いるものとする。
ここで、位相差層のヘイズ値は、例えば、位相差フィルムのヘイズ値から位相差層以外の層のヘイズ値を差し引くことにより求めることができる。すなわち、位相差フィルム全体、および、位相差フィルムから位相差層を切除したものについてヘイズ値を測定し、前者のヘイズ値から後者のヘイズ値を差し引くことにより位相差層のヘイズ値を求めることができる。上記ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した値を用いるものとする。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「面内配向性」の確認方法について説明する。上記「面内配向性」は、本発明の位相差フィルムを構成する位相差層の面内レターデーション(Re’)の値が上述した範囲にあること、および、本発明における位相差層が負のCプレートとしての性質を示す厚み方向のレターデーション(Rth’)値を有することにより確認することができる。なかでも本発明における位相差層の厚み方向レターデーション(Rth)は、絶対値で200nm〜400nmの範囲内であることが好ましい。
上記位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth’)は、例えば、位相差フィルムのRthから位相差層以外の層が示す厚み方向のレターデーション値を差し引くことにより求めることができる。すなわち、位相差フィルム全体、および、位相差フィルムから位相差層を切除したものについて厚み方向のレターデーションを測定し、前者の測定値から後者の測定値を差し引くことにより位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth’)を求めることができる。
2.第1偏光板および第2偏光板
次に、本発明に用いられる第1偏光板および第2偏光板について説明する。本発明に用いられる第1偏光板および第2偏光板は、後述するVA液晶セルの両側に配置されるものである。以下、このような第1偏光板および第2偏光板について説明する。
なお、本明細書においては、第1偏光板および第2偏光板を合わせて、単に「偏光板」と称する場合がある。
本発明に用いられる偏光板は、一方向に吸収軸を備える直線偏光板であれば特に限定されるものではなく、一般的に公知の構成を有するものを用いることができる。なかでも本発明に用いられる偏光板は、通常、偏光子と、当該偏光子の表面に貼り合わされた偏光板保護フィルムとからなるものが用いられる。
また、本発明に用いられる偏光板は、上記位相差フィルムが上記偏光板保護フィルムとして用いられたものであってもよい。
このような本発明に用いられる偏光板について図を参照しながら説明する。図4は本発明に用いられる偏光板について説明する概略断面図である。図4に例示するように本発明に用いられる偏光板2としては、通常、偏光子2aと、当該偏光子2aの表面に貼り合わされた偏光板保護フィルム2bとを有するものが用いられる。
なお、このような構成を有する偏光板2としては、図4(a)に示すように、偏光子2aの両面上に上記偏光板保護フィルム2bが貼り合わされた構成を有するものであってもよく、あるいは、図4(b)に示すように、偏光板保護フィルムとして上述した位相差フィルム3が用いられたものであってもよい。
以下、このような構成を有する偏光板について説明する。
(1)偏光板保護フィルム
まず、上記偏光板保護フィルムについて説明する。本発明に用いられる偏光板保護フィルムは、上記構成を有する偏光板において偏光子が空気中の水分等に曝されることを防止する機能と、偏光子の寸法変化を防止する機能とを有するものである。
上記偏光板保護フィルムは、本発明に用いられる偏光板において上記偏光子を保護することができ、かつ、所望の透明性を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる偏光板保護フィルムは、可視光領域における透過率が80%以上であるものが好ましく、90%以上であるものがより好ましい。
ここで、上記偏光板保護フィルムの透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる偏光板保護フィルムを構成する材料としては、例えば、セルロース誘導体、シクロオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類等を挙げることができる。
なかでも本発明においては、上記樹脂材料としてセルロース誘導体またはシクロオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
ここで、上記セルロース誘導体および上記シクロオレフィン系樹脂としては、例えば、上記「1.位相差フィルム」の項において透明基板を構成するものとして説明したものと同様のものを用いることができる。
(2)偏光子
次に、上記偏光子について説明する。本発明に用いられる偏光子は、本発明の偏光板に直線偏光特性を付与する機能を有するものである。
本発明に用いられる偏光子は、本発明の偏光板に所望の直線偏光特性を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置の偏光板に用いられるものを特に制限なく用いることができる。本発明においては、このような偏光子として、通常、ポリビニルアルコールフィルムが延伸されてなり、ヨウ素を含有する偏光子が用いられる。
3.VA液晶セル
次に本発明に用いられるVA液晶セルについて説明する。本発明に用いられるVA液晶セルは、垂直配向型液晶が一対の基板間に封入されてなるものである。
本発明に用いられるVA液晶セルは、垂直配向型液晶が封入された構成を有するものであるため、VA液晶セル全体としては、光学的に正のCプレートとしての性質を備えるものになる。
本発明に用いられるVA液晶セルは、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて所望の光学特性を備えるものを選択して用いることができ、選択されたVA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の値や、光学特性の波長依存性(Re(C)40(450)/Re(C)40(550))等に応じて、上述した位相差フィルムの光学特性が、本発明で規定する範囲内となるように調整されることになる。
なお、本発明に用いられるVA液晶セルについては、一般的にVA方式の液晶表示装置に用いられるものとして公知のものを用いることができるため、ここでの詳しい説明は省略する。
4.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、垂直配向型液晶が用いられたVA液晶セルと、上記VA液晶セルの一方の面側に配置された第1偏光板と、上記VA液晶セルの他の方の面側に配置された第2偏光板と、上記VA液晶セルおよび上記第1偏光板との間、または上記VA液晶セルおよび上記第2偏光板の間の少なくとも一方に配置された位相差フィルムとを有するものである。ここで、本発明に用いられる位相差フィルムは、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyおよび厚み方向の屈折率nzにnx≧ny>nzの関係が成立するもの、すなわち光学的に負のCプレートとしての性質を有するもののみである。したがって、本発明の液晶表示装置は、光学的に負のCプレートとしての性質有する位相差フィルムのみが用いられるものであり、その他の性質を有する位相差フィルムは用いられていないものである。このことは、主として本発明の液晶表示装置には光学的に正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムが用いられていないことを意味するものである。
本発明の液晶表示装置に上記位相差フィルムが用いられている態様としては、上記VA液晶セルおよび上記第1偏光板との間、または上記VA液晶セルおよび上記第2偏光板の間の少なくとも一方に配置された態様であれば特に限定されるものではない。したがって、本発明の液晶表示装置に位相差フィルムが用いられる態様としては、上記第1偏光板と上記VA液晶セルとの間にのみ配置される態様であってもよく、上記第2偏光板と上記VA液晶セルとの間にのみ配置される態様であってもよく、あるいは上記第1偏光板と上記VA液晶セルとの間、および上記第2偏光板と上記VA液晶セルとの間にのみ配置される態様であってもよい。
また、本発明の液晶表示装置において、上記VA液晶セルと上記第1偏光板および/または第2偏光板との間に位相差フィルムが配置される態様としては、上記第1偏光板および/または上記第2偏光板から独立して配置される態様であってもよく、あるいは、上記第1偏光板および/または上記第2偏光板を構成する偏光板保護フィルムとして配置される態様であってもよい。
このような態様について図を参照しながら説明する。図5は本発明の液晶表示装置において、上記VA液晶セルと上記第1偏光板および/または第2偏光板との間に位相差フィルムが配置される態様の一例について説明する概略断面図である。図5に例示するように、本発明の液晶表示装置10において、上記VA液晶セル1と上記第1偏光板2Aおよび/または第2偏光板2Bとの間に位相差フィルム3が配置される態様としては、図5(a)に例示するように、上記第1偏光板2Aおよび上記第2偏光板2Bから独立して配置される態様であってもよく、あるいは、図5(b)に例示するように上記第1偏光板2Aおよび上記記第2偏光板2Bを構成する偏光板保護フィルムとして配置される態様であってもよい。
本発明の液晶表示装置は、位相差フィルム等の厚み方向のレターデーションの絶対値の総和(|Rth|)が、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、同程度であることを特徴とするものである。ここで、上記「同程度」とは、位相差フィルム等の厚み方向のレターデーションの絶対値の総和(|Rth|)と、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)との差がほぼ0であることを意味する。
なかでも本発明の液晶表示装置においては、上記位相差フィルム等の厚み方向のレターデーションの絶対値(|Rth|)と、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)との比が、0.8<|Rth(C)|/|Rth|<1.2の範囲内であることが好ましく、0.90<|Rth(C)|/|Rth|<1.17の範囲内であることがより好ましく、0.95<|Rth(C)|/|Rth|<1.15の範囲内であることがさらに好ましい。上記厚み方向のレターデーションの比率が上記範囲内となるように、上記位相差フィルム等の厚み方向のレターデーション(|Rth|)が、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と近接していることにより、本発明の液晶表示装置をさらに視野角特性に優れたものにできるからである。
また本発明においては、上記位相差フィルム等の厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性は、後述するVA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の波長依存性と同程度であることが好ましい。これにより本発明の液晶表示装置を視野角コントラストに優れるのみならず、表示品質にも優れたものにできるからである。
すなわち、後述するVA液晶セルは位相差性として、光学的に正のCプレートとしての性質を備えるものであるところ、上記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))に波長依存性があると、VA液晶セルを透過する光の位相の変化が波長によって異なることになり、表示品質が損なわれる場合がある。この点、本発明に用いられる位相差フィルム等の厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性が、上記VA液晶セルのVA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))に波長依存性と同程度であることにより、VA液晶セルにおいて生じる波長による位相変化の違いを相殺することができ、上記のような表示品質の低下が生じることを防止できるからである。また、ここで、上記「同程度」の意味については上述したとおりであるためここでの説明は省略する。
本発明に用いられる位相差フィルム等の厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性の類型としては、後述するVA液晶セルのVA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))に波長依存性と同一類型であれば特に限定されるものではない。したがって、例えば、短波長側のほうが長波長側のよりも小さい値を示すが逆分散型であってもよく、逆に短波長側のほうが長波長側よりも大きい値を示す正分散型であってもよく、あるいは、値が全波長領域において同一であるフラット型であってもよい。
なお、本発明に用いられる位相差フィルム等の厚み方向のレターデーション(Rth)の波長依存性およびその程度は、測定角度40°でのレターデーション(Re40)の波長依存性およびその程度を指標として評価することができる。
ここで、面内レターデーション(Re)とは、位相差フィルム等またはVA液晶セルの面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率をnx、ny、厚み方向の屈折率をnz、さらに厚みをdとした場合にRe=(nx−ny)×dで表されるものである。面内レターデーションは、特筆されていない限り厚み方向に対して平行方向に23℃、55%RHの環境下で、波長589nmの測定光を入射することによって測定された値を意味するものである。このようなReは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
また、厚み方向のレターデーション(Rth)値の指標として、測定角度40°でのレターデーションを用いることができる旨を説明したが、当該「測定角度40°でのレターデーション」とは、厚み方向に平行な方向に対して、40°傾斜した方向から測定を入射させて測定したレターデーション値であり、位相差フィルム等またはVA液晶セルの厚み方向に平行な方向に対して、40°傾斜した方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率をnx40、ny40、厚み方向の屈折率をnz40、さらに厚みをd・cos40°とした場合にRe40=(nx40−ny40)×d・cos40°で表されるものである。ここで、(nx40−ny40)は、[nx−{nynx/(nysinψ+nz/cosψ)}]1/2で表される。角度40°におけるレターデーションは、特筆されていない限り23℃、55%RHの環境下で、測定光を入射することによって測定された値を意味するものである。このようなRe40は、例えば、大塚電子株式会社製 RETS−100を用い、測定することができる。また、Re40(450)は角度40°より波長450.6nmを入射することによって測定された値を意味し、Re40(550)は角度40°より波長554.1nmを入射することによって測定された値を意味する。
また本発明においては、上記第1偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルム、ならびに上記第2偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルムの角度40度における波長450nmのレターデーションの和(Re40(450))と、角度40度における波長550nmのレターデーションの和(Re40(550))との比(Re40(450)/Re40(550))が、上記VA液晶セルの角度40度における波長450nmのレターデーション(Re(C)40(450))と角度40度における波長550nmのレターデーション(Re(C)40(550))の比(Re(C)40(450)/Re(C)40(550))と同程度であり、かつ、Re40(450)/Re40(550)>1、およびRe(C)40(450)/Re(C)40(550)>1が成立することが好ましい。これにより本発明の液晶表示装置を視野角特性のみならず、表示品質にも優れたものにできるからである。
また本発明においては、上記Re40(450)/Re40(550)の絶対値(|Re40(450)/Re40(550)|)と、上記Re(C)40(450)/Re(C)40(550)の絶対値(|Re(C)40(450)/Re(C)40(550)|)との比が、0.8<|Re(C)40(450)/Re(C)40(550)|/|Re40(450)/Re40(550)|<1.2の範囲内であることが好ましく、0.9<|Re(C)40(450)/Re(C)40(550)|/|Re40(450)/Re40(550)|<1.10の範囲内であることがより好ましく、0.95<|Re(C)40(450)/Re(C)40(550)|/|Re40(450)/Re40(550)|<1.15の範囲内であることがさらに好ましい。上記比率が、このような範囲内となるように、位相差フィルムの位相差性の波長依存性が、VA液晶セルの位相差性の波長依存性と近接していることにより、本発明の液晶表示装置をさらに表示品質に優れたものにできるからである。
さらに本発明においては、上記第1偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルム、ならびに上記第2偏光子と上記VA液晶セルとの間に配置された上記位相差フィルムおよび/または上記偏光板保護フィルムの面内レターデーション(Re)の絶対値の総和が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。これにより、本発明の液晶表示装置をさらに視野角特性に優れたものにできるからである。
また、本発明の液晶表示装置は、上記位相差フィルムとして光学的に負のCプレートとしての性質を有するもののみが用いられていることにより、表示品質に優れたものにできることを特徴とするものであるが、なかでも本発明の液晶表示装置においては、正面(ディスプレイに対して法線方向)から極角60°における上下左右コントラスト(CR)が、5<CRであることが好ましく、10<CRであることがさらに好ましい。また、CIE標準表色系(XYZ表色系)において、正面(ディスプレイに対して法線方向)から極角60°、方位角45°へ傾けたときの色の変化Δx及びΔyが、Δx,Δy<0.1であることが好ましく、Δx,Δy<0.09であることがより好ましく、Δx,Δy<0.08であることがさらに好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、実施例を示すことにより本発明についてさらに具体的に説明する。
1.実施例1
第1偏光板として、偏光子の両面上に偏光板保護フィルムとして富士フイルム社製TACフィルム(厚み80μm)が積層されたものを用い、さらに第2偏光板として、偏光子上の一方の面上に偏光板保護フィルムとして富士フィルム製TACフィルム(厚み80μm)が積層され、他方の面上に光学的に負のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムが積層されたもの用い、液晶セルの観察面側に第1偏光板を配置し、バックライト側に第2偏光板を配置し、さらにバックライト光源を配置した構成の液晶表示装置について、光学シミュレーションを実施し、効果の確認を行った。このとき、第2偏光板は、位相差フィルムが液晶セル側に位置するように配置した。
光学計算には、シンテック社製のLCD Master Ver6.08を用いた。液晶セルや基板、偏光板等は、液晶ディスプレイ用に従来から用いられている材料の値をそのまま使用した。液晶材料には負の誘電率異方性を有する液晶材料でΔε=−4.1を用いた。光源にはシャープ株式会社製AQUOS LC26GD3にて用いられている光源のスペクトルを用いた。
液晶セルの配向はプレチルト角89.9度でほぼ垂直配向とし、方位角45°、135°、225°、315°の4分割マルチドメインとした。また、基板のセルギャップを3.85μmとし、液晶のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)は、波長450nmで331nm、波長550nmで316nm、波長650nmで306nmとした。また、このとき、TACフィルムの面内レターデーション2.0nm、厚み方向レターデーション50.0nm、波長による位相差値は波長450nmのとき10.7nm、波長550nmのとき12.5nmとし、負のCプレートの面内レターデーション1.2nm、厚み方向レターデーション221nm、波長による位相差値は波長450nmで47.6nm、波長550nmのとき46.2nmとした。
尚、TACフィルムと負のCプレートの波長分散値Re40(450)/Re40(550)は1.03であった。
2.実施例2
〈第1偏光板作製方法〉
予めヨウ素染色、延伸したPVAフィルムの片側に反射防止機能を有する偏光板保護フィルム、反対側に厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 TF80UL)を貼合する。このとき、TF80ULの光学特性はRth=52.6nm、レターデーション比Rth(450)/Rth(550)=0.86であった。
〈第2偏光板作製方法〉
上偏光板作製方法で用いた反射防止機能を有する偏光板保護フィルムの代わりに、光学的に負のCプレートの機能を有する位相差フィルムを用いること以外は、第1偏光板と同様に作製する。
ここで、光学的に負のCプレートの機能を有する位相差フィルムは以下のようにして作製した。
基材として、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 TF80UL)を用いた。
屈折率異方性材料として下記式(I)で表される光重合性液晶化合物、重合開始剤としてイルガキュア907(日本チバガイギー社製)を光重合性液晶化合物に対して5wt%とし、シクロヘキサノンに20wt%溶解させ、位相差層形成用塗工液とした。この位相差層形成用塗工液を上記基材上に、バーコート法により塗工し、40℃オーブンで2分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて、100mJ/mの紫外線を照射して硬化させ、基材上に厚み5μmの位相差層を形成することにより位相差フィルムを作製した。
Figure 2009128637
作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける面内レターデーション1.2nm、厚み方向のレターデーションが230nmであった。また、レターデーションの波長依存性は、波長450nmのとき50.2nm、波長550nmのとき49.1nmであった。
なお、TACフィルムの面内レターデーションは0.7nm、厚み方向レターデーションは50.5nm、波長による位相差値は波長450nmのとき11.8nm、波長550nmのとき13.7nmであった。
この構成の場合、TACフィルムと位相差フィルムの総和としては、厚み方向レターデーションRthは280.5nm、波長450nmにおけるレターデーションと、波長550nmにおけるレターデーションの比(以下、「R450/R550」という)は0.98であった。
〈液晶表示装置の作製〉
上記方法にて作製した第1偏光板および第2偏光板をシャープ株式会社製AQUOS LC26GH3に実装することにより評価した。液晶パネルの厚み方向のレターデーションは310nm、波長による位相差値は波長450nmで60.8nm、波長550nmのとき60.1nmであり、レターデーション比R450/R550は1.01であった。実装方法は、第1偏光板および第2偏光板の吸収軸が概ね直交するように、第1偏光板の吸収軸が画面の横方向、第2偏光板の吸収軸が画面に対して縦方向となるように粘着剤(日東電工株式会社製CS9621)を用いて貼り合わせた。この際、第1偏光板のセル側にはTAC、第2偏光板のセル側には負のCプレートとなるようにした。
3.実施例3
光学特性が所望の範囲内となるように位相差層の厚みを適宜変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により位相差フィルムを作製した。作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける面内レターデーションは0.9nm、厚み方向のレターデーションは240nmであった。また、レターデーションの波長依存性は、波長450nmのとき53.9nm、波長550nmのとき53.5nmであった。この構成の場合、TACフィルムと負のCプレート総和としては、厚み方向位相差Rthは290.5nm、レターデーション比R450/R550は0.98であった。
作製した位相差フィルムを用いて、実施例2と同様の方法により液晶表示装置を作製し、評価した。
4.実施例4
光学特性が所望の範囲内となるように位相差層の厚みを適宜変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により位相差フィルムを作製した。作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける面内レターデーション1.1nm、厚み方向のレターデーションが250nmであった。また、レターデーションの波長依存性は、波長450nmのとき57.3nm、波長550nmのとき54.3nmであった。この構成の場合、TACフィルムと負のCプレート総和としては、厚み方向位相差Rthは300.5nm、レターデーション比R450/R550は1.01であった。
作製した位相差フィルムを用いて、実施例2と同様の方法により液晶表示装置を作製し、評価した。
5.実施例5
光学特性が所望の範囲内となるように位相差層の厚みを適宜変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により位相差フィルムを作製した。作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける面内レターデーション1.2nm、厚み方向のレターデーションが260nmであった。また、レターデーションの波長依存性は、波長450nmのとき59.1nm、波長550nmのとき55.9nmであった。この構成の場合、TACフィルムと負のCプレート総和としては、厚み方向位相差Rthは310.5nm、レターデーション比R450/R550は1.02であった。
作製した位相差フィルムを用いて、実施例2と同様の方法により液晶表示装置を作製し、評価した。
6.実施例6
光学特性が所望の範囲内となるように位相差層の厚みを適宜変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により位相差フィルムを作製した。作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける面内レターデーション0.9nm、厚み方向のレターデーションが270nmであった。また、レターデーションの波長依存性は、波長450nmのとき66.6nm、波長550nmのとき62.6nmであった。この構成の場合、TACフィルムと負のCプレート総和としては、厚み方向位相差Rthは320.5nm、レターデーション比R450/R550は1.03であった。
作製した位相差フィルムを用いて、実施例2と同様の方法により液晶表示装置を作製し、評価した。
7.実施例7
光学特性が所望の範囲内となるように位相差層の厚みを適宜変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により位相差フィルムを作製した。作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける面内レターデーション1.2nm、厚み方向のレターデーションが280nmであった。また、レターデーションの波長依存性は、波長450nmのとき60.3nm、波長550nmのとき59.4nmであった。この構成の場合、TACフィルムと負のCプレート総和としては、厚み方向位相差Rthは330.5nm、レターデーション比R450/R550は0.98であった。
作製した位相差フィルムを用いて、実施例2と同様の方法により液晶表示装置を作製し、評価した。
8.比較例1
第2偏光板の負のCプレートの代わりに負のBプレートを用いたこと以外は実施例1と同様に光学シミュレーションを実施した。用いた負のBプレートの光学特性は、波長589nmにおける面内レターデーション60.5nm、厚み方向のレターデーションが240nmであった。また、レターデーションの波長依存性は、波長450nmのとき114.1nm、波長550nmのとき105.7nmであった。
9.比較例2
第2偏光板の負のCプレートの代わりに負のBプレートを用いたこと以外は実施例2と同様に評価した。用いたBプレートの作製方法を以下に示す。
基材として、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 TF80UL)を用いた。
屈折率異方性材料として上記式(I)で表される光重合性液晶化合物、重合開始剤としてイルガキュア907(日本チバガイギー社製)を光重合性液晶化合物に対して5wt%とし、シクロヘキサノンに20wt%溶解させ、位相差層形成用塗工液とした。この位相差層形成用塗工液を上記基材上に、バーコート法により塗工し、40℃オーブンで2分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて、100mJ/mの紫外線を照射して硬化させ、基材上に厚み5μmの位相差層形成用層が形成された積層体を作製した。
次に、上記積層体を150℃に加温し、積層体を基材の長手方向に対して垂直な方向に1.15倍延伸することにより位相差フィルムを作製した。
作製された位相差フィルムの光学特性は、23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける面内レターデーション60nm、厚み方向のレターデーションが210nmであった。また、レターデーションの波長依存性は、波長450nmのとき107.4nm、波長550nmのとき99.5nmであった。
10.比較例3
光学特性が所望の範囲内となるように位相差層の厚みを適宜変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により位相差フィルムを作製した。作製した位相差フィルムの光学特性は23℃、55%RHの環境下で、波長589nmにおける面内レターデーション1.1nm、厚み方向のレターデーションが290nmであった。また、レターデーションの波長依存性は、波長450nmのとき63.2nm、波長550nmのとき62.1nmであった。この構成の場合、TACフィルムと負のCプレート総和としては、厚み方向位相差Rthは340.5nm、レターデーション比R450/R550は0.99であった。
作製した位相差フィルムを用いて、実施例2と同様の方法により液晶表示装置を作製し、評価した。
11.比較例4
第2偏光板の負のCプレートの代わりにTACを4枚用いたこと以外は実施例1と同様に光学シミュレーションを実施した。
用いたTAC4枚の光学特性は、波長589nmにおける面内レターデーション3.2nm、厚み方向のレターデーションが240nmであった。また、レターデーションの波長依存性は、波長450nmのとき46.0nm、波長550nmのとき53.5nmであった。
この構成の場合、総和としては、厚み方向位相差Rthは300nm、レターデーション比R450/R550は0.86であった。
12.評価結果
光学シミュレーション及び実装による評価結果を表1にまとめる。表1においてCRは極角60°、方位角45°の斜めコントラストを示す。また、斜めカラーシフトはCIE標準表色系(XYZ表色系)において、正面(ディスプレイに対して法線方向)から極角60°、方位角45°へ傾けたときの色の変化をΔx及びΔyで示す。
Figure 2009128637
本発明の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる位相差フィルムの一例を示す概略斜視図である。 本発明に用いられる位相差フィルムの他の一例を示す概略図である。 本発明に用いられる偏光板の一例を示す概略斜視図である。 本発明の液晶表示装置の他の例を示す概略断面図である。 一般的な液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。 位相差フィルムが用いられた液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。
符号の説明
1 … VA液晶セル
2 … 偏光板
2a … 偏光子
2b … 偏光板保護フィルム
2A、2A’ … 第1偏光板
2B、2B’ … 第2偏光板
3 … 位相差フィルム
3a … 透明基板
3b … 位相差層
10 … 液晶表示装置
101 … 液晶セル
102A,102B … 偏光板
103 … 位相差フィルム

Claims (7)

  1. 垂直配向型液晶が用いられたVA液晶セル、
    前記VA液晶セルの一方の面側に配置され、第1偏光子と、前記第1偏光子の両面上に積層された偏光板保護フィルムとを有する第1偏光板、および、
    前記VA液晶セルのもう一方の面側に配置され、第2偏光子と、前記第2偏光子の両面上に積層された偏光板保護フィルムとを有する第2偏光板を備え、
    前記VA液晶セルおよび前記第1偏光子の間、または前記VA液晶セルおよび前記第2偏光子の間の少なくとも一方に配置された位相差フィルムを有する液晶表示装置であって、
    前記位相差フィルムとして、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyおよび厚み方向の屈折率nzにnx≧ny>nzの関係が成立するもののみが用いられており、かつ、前記第1偏光子と前記VA液晶セルとの間に配置された前記位相差フィルムおよび/または前記偏光板保護フィルム、ならびに前記第2偏光子と前記VA液晶セルとの間に配置された前記位相差フィルムおよび/または前記偏光板保護フィルムの厚み方向のレターデーションの絶対値の総和(|Rth|)が、前記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)と、同程度であることを特徴とする、液晶表示装置。
  2. 前記第1偏光子と前記VA液晶セルとの間に配置された前記位相差フィルムおよび/または前記偏光板保護フィルム、ならびに前記第2偏光子と前記VA液晶セルとの間に配置された前記位相差フィルムおよび/または前記偏光板保護フィルムの厚み方向のレターデーションの絶対値の総和(|Rth|)と、前記VA液晶セルの厚み方向のレターデーション(Rth(C))の絶対値(|Rth(C)|)との比が、0.8<|Rth(C)|/|Rth|<1.2の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記第1偏光子と前記VA液晶セルとの間に配置された前記位相差フィルムおよび/または前記偏光板保護フィルム、ならびに前記第2偏光子と前記VA液晶セルとの間に配置された前記位相差フィルムおよび/または前記偏光板保護フィルムの角度40度における波長450nmのレターデーションの和(Re40(450))と、角度40度における波長550nmのレターデーションの和(Re40(550))との比(Re40(450)/Re40(550))が、前記VA液晶セルの角度40度における波長450nmのレターデーション(Re(C)40(450))と角度40度における波長550nmのレターデーション(Re(C)40(550))の比(Re(C)40(450)/Re(C)40(550))と同程度であり、かつ、Re40(450)/Re40(550)>1、およびRe(C)40(450)/Re(C)40(550)>1が成立することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記Re40(450)/Re40(550)の絶対値(|Re40(450)/Re40(550)|)と、前記Re(C)40(450)/Re(C)40(550)の絶対値(|Re(C)40(450)/Re(C)40(550)|)との比が、0.8<|Re(C)40(450)/Re(C)40(550)|/|Re40(450)/Re40(550)|<1.2の範囲内であることを特徴とする、請求項3に記載の液晶表示装置。
  5. 前記位相差フィルムが透明基板と、前記透明基板上に直接形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含有する位相差層とを有するものであり、かつ、前記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の液晶表示装置。
  6. 前記第1偏光子と前記VA液晶セルとの間に配置された前記位相差フィルムおよび/または前記偏光板保護フィルム、ならびに前記第2偏光子と前記VA液晶セルとの間に配置された前記位相差フィルムおよび/または前記偏光板保護フィルムの面内レターデーション(Re)の絶対値の総和が10nm以下であることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記第1偏光子と前記VA液晶セルとの間に配置された前記位相差フィルムおよび/または前記偏光板保護フィルム、ならびに前記第2偏光子と前記VA液晶セルとの間に配置された前記位相差フィルムおよび/または前記偏光板保護フィルムの面内レターデーション(Re)の絶対値の総和が5nm以下であることを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の液晶表示装置。
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